JPWO2015046111A1 - ガラス板 - Google Patents

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Abstract

本発明は、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きく、両者の比が1.4より大きいガラス板であって、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板に関する。本発明のガラス板によれば、化学強化後の反りを効果的に抑制することができるとともに、化学強化前の研磨処理等を省略または簡略化することができる。

Description

本発明は、ガラス板に関する。
近年、携帯電話または携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビ、車載ナビゲーション表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。
このようなフラットパネルディスプレイ装置に対しては、軽量および薄型化が要求されており、そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。
しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題がある。
このため従来のカバーガラスは、フロート法により製造されたガラス(以下、フロートガラスということがある。)を、化学強化することで表面に圧縮応力層を形成しカバーガラスの耐傷性を高めている。
フロートガラスは化学強化後に反りが生じて平坦性が損なわれることが報告されている(特許文献1〜3)。該反りは、フロート成形時に溶融錫等の溶融金属と接触していないガラス面(以下、トップ面ともいう。)と、溶融金属と接触しているガラス面(以下、ボトム面ともいう。)とが異質になり、両面の化学強化の入り方が異なることにより生じるとされている。
前記フロートガラスの反りは化学強化の入り方が強いほど大きくなる。したがって、高い耐傷性への要求に応えるべく表面圧縮応力をこれまで以上、特に600MPa以上にする場合、反りの問題がより顕在化することとなる。
特許文献1には、ガラス表面にSiO膜を形成した後に化学強化することにより、化学強化時にガラスに入るイオンの量を調整するガラスの強化方法が開示されている。また、特許文献2および3には、トップ面側の表面圧縮応力を特定範囲とすることにより、化学強化後の反りを低減する方法が開示されている。
また、従来、前記反りの問題を低減するために、化学強化による強化応力を小さくしたり、ガラスの少なくとも一方の面を研削処理または研磨処理等することにより表面異質層を除去した後に化学強化する対処方法がなされている。
米国特許出願公開第2011/0293928号明細書 国際公開第2007/004634号 日本国特開昭62−191449号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガラス表面にSiO膜を形成した後に化学強化する方法では、化学強化の際の予熱条件が限定され、さらには条件によってはSiO膜の膜質が変化して反りに影響を与える可能性がある。また、特許文献2および3に記載のように、トップ面側の表面圧縮応力を特定範囲とする方法では、ガラスの強度の観点から問題がある。
また、化学強化前にガラスの少なくとも一方の面を研削処理または研磨処理等する方法は、生産性を向上させる観点から問題があり、これらの研削処理または研磨処理等を省略することが好ましい。
さらに、化学強化後にある程度以上の反りが生じる場合、カバーガラスの黒枠を印刷する時にガラスとステージの間に隙間が大きくなりすぎて、ガラスがステージに吸着しなくなることがある。また、タッチパネル一体型のカバーガラスに使用される場合には、後工程にて大板の状態でITO(Indium Tin Oxide)等の成膜を行うことがある。その際に、ガラスが薬液処理槽や洗浄槽のエアーナイフに接触する等の搬送異常が生じたり、ITO成膜中に反りが増大し、基板周辺部のITOの成膜状態が適切にならず、剥がれてしまう等の不具合を生じることがある。また、LCD(Liquid Crystal Display)とタッチパネルが貼りつけられたカバーガラスの間に空間が存在するタイプの場合、カバーガラスに一定以上の反りがあると、輝度ムラやニュートンリングが生じることがある。
したがって、本発明は、化学強化後の反りを効果的に抑制することができるとともに、化学強化前の研磨処理等を省略または簡略化することができるガラス板を提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラス表面をフッ素処理することにより、ガラスの一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方に差が生じるのを抑制し、化学強化後の反りを低減できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きく、両者の比が1.4より大きいガラス板であって、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
2.一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値ともう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値の比が4以上である前項1に記載のガラス板。
3.フロート法により製造されたガラス板であって、トップ面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がボトム面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きい前項1に記載のガラス板。
4.トップ面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値とボトム面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値の比が4.9以上である前項3に記載のガラス板。
5.横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板であって、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
6.横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)を、同方向から見た深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)で除した値(S/S)が2.1以上である前項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板。
7.横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)を、同方向から見た深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)で除した値(S/S)が2.1〜100である前項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板。
8.フロート法により製造されたガラス板である前項6または7に記載のガラス板。
9.厚みが1.5mm以下である前項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板。
10.厚みが0.8mm以下である前項1〜9のいずれか1項に記載のガラス板。
11.表面粗さRaが2.5nm以下である前項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板。
12.前項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板を化学強化して得られる化学強化ガラス板。
13.カバーガラスを備えたフラットパネルディスプレイ装置であって、該カバーガラスが前項12に記載の化学強化ガラス板であるフラットパネルディスプレイ装置。
14.一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるaが−0.1未満であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
15.一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるbが4以上であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
b=F−3×a
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
16.一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるFが4以上であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
本発明のガラス板はその表面がフッ素処理されていることにより、ガラスの一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方に差が生じるのを抑制し、化学強化による応力値を所望の値にできる。また、化学強化前の研磨処理等を簡略化または省略しても、化学強化後におけるガラスの反りを低減し、優れた平坦度を得ることができる。
図1は、本発明で用いることのできる両流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。 図2は、本発明で用いることのできる片流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。 図3は、本発明の化学強化用フロートガラスを化学強化した後、フラットパネルディスプレイ用のカバーガラスとして用いたフラットパネルディスプレイの断面図である。 図4(a)は、アルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。図4(b)は、横軸に深さ、縦軸に式(a)で表される任意の点xにおける傾きをプロットした図を示す。図4(c)は、図4(b)中の点線部分を拡大した図を示す。 図5(a)にフロート法によるガラス板の製造において、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体をビームにより供給してガラスリボンの表面を処理する方法の概略説明図を示す。図5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。 図6(a)〜(d)は、気体の量をガラスリボンの幅方向で3分割して調整可能なビームの断面図を示す。 図7(a)〜(c)は、フッ素処理したアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。 図8は、SIMSプロファイルから、ガラス中に含まれるフッ素量を算出する方法を示した図である。 図9は、SIMSより求めた本発明に係るガラス板(ソーダライムガラス)のガラス中に含まれるフッ素量と、当該ガラスを化学強化処理した後の反り変位量との関係を示す図である。 図10は、SIMSより求めた本発明に係るガラス板(アルミノシリケートガラス)のガラス中に含まれるフッ素量と、当該ガラスを化学強化処理した後の反り変位量との関係を示す図である。
1.ガラス板
本発明において、「ガラス板」とは、溶融ガラスが板状に成形されているものも含み、たとえばフロートバス内のいわゆるガラスリボンもガラス板である。ガラス板の化学強化後の反りは、ガラス板の一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方が異なることにより生じる。具体的には、例えば、フロートガラスの場合、フロート成形時に溶融金属(通常、錫)と接触していないガラス面(トップ面)と溶融金属と接触しているガラス面(ボトム面)において化学強化の入り方が異なることにより化学強化後の反りが生じる。
本発明によれば、ガラス板上をフッ素処理して一方の面のフッ素処理の程度ともう一方の面のフッ素処理の程度に差をつけることにより、ガラス板の一方の面ともう一方の面におけるイオンの拡散速度を調整して、一方の面ともう一方の面における化学強化の入り方を均衡化することができる。そのため、本発明のガラス板は、強化応力を調整したり、化学強化処理の前に研削および研磨等の処理をすることなく、化学強化後のガラス板の反りを低減することができる。
また、片面のガラス板上のフッ素処理の程度を変更することにより、処理面のイオン拡散速度と非処理面のイオン拡散速度が同じになるように調整して、化学強化の入り方を均衡化することができる。
ガラス板の表面をフッ素処理することにより化学強化後の反りが低減できるメカニズムとしては、以下のような現象が生じていると考えられる。
(1)ガラスの表面に取り込まれたフッ素により緩和が促進され、フッ素処理された面のCS(compressive stress、表面圧縮応力)が低下する。
(2)ガラスの表面に取り込まれたフッ素によりイオン交換が阻害され、フッ素処理された面のDOL(depth of layer、圧縮応力深さ)が低下する。
(3)フッ素処理により、ガラスの脱アルカリが生じる。
(4)フッ素処理によりガラス表面の主成分が変化し、ガラス中のSiがSiFまたはHSiFとしてガラス表面から減少するため、応力の入り方が変化する。
(5)フッ素処理により、ガラス表面からの脱水が抑制されるかあるいは水が侵入することにより、反りが低減される。
本発明のガラス板は、横軸をガラス表面をゼロとした時の深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板である。すなわち、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をS、もう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をSとした場合に、S/S≠1である。
なお、フロート法により製造されたガラス板である場合、少なくともトップ面の深さ0〜20μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値がボトム面の深さ0〜20μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値より大きいことが好ましい。
本発明のガラス板は、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値が1.0×10より大きく、1.0×10未満であることが好ましく、1.1×10より大きく、1.0×10未満であることがより好ましく、1.3×10より大きく、1.0×10未満であることがさらに好ましい。典型的には7.22/5.19超すなわち1.4超であり、4以上であることが好ましく、4.9以上であることがより好ましい。尚、割り算の値が1以上になるように計算することとする。
本発明のガラス板は、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値を1.0×10未満とすることにより、反りの改善が進行しすぎて反対側に大きく反ってしまうのを防ぐことができる。一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値を1.0より大きくすることにより、反りの改善効果が小さくなってしまうのを防ぐことができる。
本発明のガラス板は、化学強化後のガラス板である場合にも、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板である。
本発明のガラス板は、化学強化後のガラス板である場合にも、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値S/Sが1.0×10より大きく、1.0×10未満であることが好ましく、1.1×10より大きく、1.0×10未満であることがより好ましく、1.3×10より大きく、1.0×10未満であることがさらに好ましい。S/Sはさらには1.4超、1.8超、特には2.1超であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、4.9以上であることがさらに好ましい。
また、本発明のガラス板は、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板である。すなわち、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をS、同方向から見た深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値をSとした場合に、S/S>1であり、2.1以上であることが好ましく、2.1以上100以下であることがより好ましい。
なお、フロート法により製造されたガラス板である場合、トップ面の深さ0〜20μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値より大きいことが好ましく、少なくともトップ面において、深さ0〜20μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける該深さ方向プロファイルの平均値より大きいことがより好ましい。
本発明のガラス板は、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値を、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値が1.0×10より大きく、1.0×10未満であることが好ましく、1.1×10より大きく、1.0×10未満であることがより好ましく、1.3×10より大きく、1.0×10未満であることがさらに好ましい。S/Sはさらには1.4超、1.8超、特には2.1超であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、4.8以上であることがさらに好ましい。
横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値を、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値を1.0×10未満とすることにより、反りの改善が進行しすぎて反対側に大きく反ってしまうのを防ぐことができる。また、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値を、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値を1.0より大きくすることにより、反りの改善効果が小さくなってしまうのを防ぐことができる。
本発明のガラス板は、化学強化後のガラス板である場合にも、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板である。
本発明のガラス板は、化学強化後のガラス板である場合にも、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値を、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値で除した値が1.0×10より大きく、1.0×10未満であることが好ましく、1.1×10より大きく、1.0×10未満であることがより好ましく、1.3×10より大きく、1.0×10未満であることがさらに好ましい。S/Sはさらには1.4超、1.8超、特には2.1超であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、4.8以上であることがさらに好ましい。
本発明のガラス板は、両面にフッ素を含有し、一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいガラス板であって、下記式で表されるaが−0.1未満であり、好ましくは−0.2以下であり、より好ましくは−20以上−0.2以下である。aが−0.1未満であることにより、化学強化後のガラス板の反りを低減することができる。
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
なお、本明細書において、「深さxμmのフッ素濃度」とは深さ(x−0.5)〜(x+0.5)μmの平均フッ素濃度として算出する。例えば、深さ3μmのフッ素濃度とは深さ2.5〜3.5μmの平均フッ素濃度として算出し、20μmのフッ素濃度とは、19.5〜20.5μmの平均フッ素濃度として算出する。
本発明のガラス板は、両面にフッ素を含有し、一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいガラス板であって、下記式で表されるbが4以上であり、5以上であることが好ましく、5以上360以下であることがより好ましい。bが4以上であることにより、化学強化後のガラス板の反りを低減することができる。
b=F−3×a
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
上記においてa、bを求める際に深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度を考慮するのは、試料の履歴の観点から、深さ0〜2μmにおけるフッ素濃度と比較して、フッ素処理後に試料が受ける影響を受けにくいと考えられるためである。
本発明のガラス板は、両面にフッ素を含有し、一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいガラス板であって、下記式で表されるFが4以上であり、5以上であることが好ましく、5以上300以下であることがより好ましい。Fが4以上であることにより、ガラス板の反りを低減することができる。
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
本発明のガラス板は、横軸をガラス表面をゼロとした時の深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板である。
ガラス中に含まれるフッ素量とは、図8に示すように、SIMSにおける深さ方向プロファイル上で、横軸をガラス表面をゼロとした時の深さ(μm)とし、縦軸をフッ素濃度(mol%)とした際の積分(mol%・μm)により求めることができる。SIMSにおけるフッ素濃度の算出方法については後述する。
ガラス中に含まれるフッ素量とは、正確にはガラス板全体に含まれるフッ素原子の量であるが、フッ素処理によってフッ素がガラス中に侵入できる深さには限界があると考えられることから、実際にはガラス表面からの深さが0〜30μmまでの深さ方向プロファイルを測定した際の積分値と同じ値であるとみなすことができる。
ガラス中に含まれるフッ素量(mol%・μm)と当該ガラスを化学強化処理した後の反り変位量(μm)とは、一次の比例関係にあると考えられる(図9及び図10)。ここで反り変位量とは、以下に示す式により求められる。
反り変位量=ΔX−ΔY
ΔX:未処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ΔY:処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ここで、反り変化量は、化学強化後のガラス板の反り量から、化学強化前のガラス板の反り量を減じた値である。反り変化量は、ΔX>0とする。ΔYはΔXと同方向に反る場合にΔY>0、ΔXと逆方向に反る場合はΔY<0とする。
ガラス中に含まれるフッ素量が上記範囲内であれば、そのガラスの種類によらず、化学強化した際の反りを改善することができる。中でも、フロート法により製造されたガラスは、より多くの反り改善効果がみられることから好ましい。ガラス中に含まれるフッ素量は0.23mol%・μm超であり、0.7mol%・μm以上であることが好ましい。ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm以下であると、反りの変位に有意な差が見られない。また、ガラス中に含まれるフッ素量は21mol%・μm以下であり、9mol%・μm以下であることが実用上好ましい。
本発明のガラス板は、化学強化後のガラス板である場合にも、横軸を深さ(μm)とし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下となる。
本発明のガラス板は、両面にフッ素を含有していても、一方の面にのみフッ素を含有していてもよい。中でも、後者の方が反り改善の点から好ましい。
なお、本明細書において、ガラス板の一方の面と他方の面とは、板厚方向に対向する一方の面と他方の面をいう。また、ガラス板の両面とは、板厚方向に対向する両面をいう。
次に、二次イオン質量分析(SIMS)においてF濃度(mol%)を求める方法について説明する。
二次イオン質量分析における元素Mの同位体Mの二次イオン強度IM1は、一次イオン強度I、マトリックスのスパッタ率Y、元素Mの濃度C(全濃度に対する比)、同位体Mの存在確率α、元素Mの二次イオン化率β、および質量分析計の透過効率η(検出器の検出効率を含む)に比例する。
M1=A・I・Y・C・α・β・η (式w)
ここで、Aは一次イオンビームの走査範囲に対する二次イオンの検出面積の比である。一般的には装置のηを求めるのは困難なためβの絶対値を求めることができない。そこで、同じ試料の中の主成分元素などを参照元素として用い、(式w)との比をとることによりηを消去する。
ここで参照元素をR、その同位体をRとした場合、(式x)が得られる。
M1/IRj=(C・α・β)/(C・α・β)=C/K (式x)
ここでKは元素Mの元素Rに対する相対感度因子である。
K=(C・α・β)/(α・β) (式y)
この場合、元素Mの濃度は(式z)より求められる。
=K・IM1/IRj (式z)
本発明においては、FはMに、SiはRにそれぞれ対応する。したがって、(式x)より両者の強度比(F/Si)はフッ素濃度CをKで除したものに等しい。
平均フッ素濃度は、SIMS装置でガラス中のフッ素濃度プロファイル測定を実施し、以下の手順(a1)〜(a3)により該プロファイルから算出する。図7(a)〜(c)はフッ素処理したアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。
(a1)濃度が既知の標準試料および測定対象サンプルのSIMSによるフッ素濃度プロファイルを測定する[図7(a)]。
(a2)標準試料の測定結果から検量線を作成し、19F/30Siをフッ素濃度(mol%)に変換するための係数を算出する[図7(b)]。
(a3)工程(a2)で算出した係数から測定対象サンプルのフッ素濃度(mol%)を求める。例えば、深さ0〜3μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)は、深さ0〜3μmのフッ素濃度を積算し、深さ3μmで除した値である[図7(c)]。
深さ0〜30μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)についても、同様に求めることができる。
このフッ素濃度(mol%)を縦軸とし、深さ(μm)を横軸とした際の積分値を、ガラス中に含まれるフッ素量(mol%・μm)と定義する。
SIMSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。また、SIMSによって得られる深さ方向プロファイルの横軸の深さは、分析クレーターの深さを触針式膜厚計(例えば、Veeco社製Dektak150)によって測定することで、求められる。
(分析条件)
一次イオン種:Cs
一次イオン入射角:60°
一次加速電圧:5kV
より具体的な分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
(分析条件)
測定装置:四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置としては、例えば、アルバック・ファイ社製ADEPT1010が挙げられる。
ガラス板の厚みは、特に制限されるものではなく、たとえば2mm、0.8mm、0.73mm、0.7mm、0.56mm、0.4mmが挙げられるが、後述する化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましく、0.8mm以下であることが特に好ましい。
通常、厚み0.7mmのガラス板の化学強化後における反り量は40μm以下であることが求められる。90mm角のガラス板でCSが750MPa、DOLが40μmの場合、化学強化後の反り量は約130μmである。一方、化学強化後におけるガラス板の反り量は板厚の2乗と反比例の関係にあるので、ガラス板の厚みが2.0mmのときの反り量は約16μmとなり、実質的に反りが問題となることはない。したがって、ガラス板の厚み2mm未満、典型的には1.5mm以下で化学強化後における反りの問題が生じる可能性がある。
ガラス表層にフッ素を添加することで化学強化後の反りが改善されるが、フッ素の侵入深さを考慮して下記パラメータを設定する。
本発明のガラス板は、厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(1)を満たすことが好ましい。
1≦x…(1)
式(1)中、xはSIMSによるフッ素濃度プロファイルにおいて、任意の深さx(μm)における傾きが下式(2)を満たす最大の深さ(μm)である。
[F(x+0.1)−F(x)]/0.1=−0.015…(2)
式(2)中、F(x)は、深さx(μm)におけるSIMSによるフッ素濃度(mol%)を示す。
図4(a)に典型的なソーダライムガラスのSIMSによるフッ素濃度プロファイルを示す。図4(b)は、横軸に深さ、縦軸に下式(a)で表される任意の点xにおける傾きをプロットしたグラフである。下式(a)において、F(x)は点xにおけるフッ素濃度(mol%)を示す。
[F(x+Δx)−F(x)]/Δx…(a)
Δxを0.1とした場合に、式(a)で表される傾きが−0.015となる最大の深さx(μm)は1以上であり、2以上であることが好ましく、2.8以上であることがより好ましく、3以上であることが特に好ましい。xが1未満であると、反りの変位に有意な差が見られない。
図4(c)は、図4(b)のグラフの点線部分を拡大した図である。例えば、図4(c)において、Δxを0.1とした場合に、式(a)で表される傾きが−0.015となる最大の深さx(μm)は6.5となる。
2.ガラス板の製造方法
本発明において溶融ガラスを板状のガラス板に成形する方法は特に限定されず、また該ガラスは化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。例えば、種々の原料を適量調合し、加熱溶融した後、脱泡または攪拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法(例えば、フュージョン法など)またはプレス法などによって板状に成形し、徐冷後、所望のサイズに切断し、研磨加工を施して製造される。これらの製造方法の中でも、フロート法により製造されたガラスは、特に本発明の効果である化学強化後の反り改善が発揮され易いため、好ましい。
本発明に用いられるガラス板としては、具体的には、例えば、典型的にはソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラスからなるガラス板が挙げられる。
これらの中でも、Alを含む組成のガラスが好ましい。Alはアルカリが共存すると4配位をとってSiと同様にガラスの骨格となる網目の形成に参加する。4配位のAlが増えると、アルカリイオンの移動が容易になり、化学強化処理時にイオン交換が進行しやすくなる。
本発明のガラス板の組成としては、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを0.1〜25%、LiO+NaO+KOを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%およびZrOを0〜5%含むガラスが挙げられるが、特に限定されない。より具体的には、以下のガラスの組成が挙げられる。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよい、の意である。(i)のガラスはソーダライムシリケートガラスに含まれ、(ii)および(iii)のガラスはアルミノシリケートガラスに含まれる。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを63〜73%、Alを0.1〜5.2%、NaOを10〜16%、KOを0〜1.5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
本発明のガラス板の製造方法では、ガラス板またはガラスリボンの少なくとも一面に対して、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体または液体(以下、フッ素含有流体という)を接触させて表面処理する。
ガラスリボンの少なくとも一面に対してフッ素含有流体を接触させて表面処理する場合、ガラスリボンの表面温度は600℃以上であることが好ましく、650℃超であることがより好ましい。650℃超とすることにより、得られたガラスに対して化学強化後のガラスの反り量を低減するのに十分なフッ素総接触量でフッ素含有流体の吹き付け処理を実施しやすくなる。なお、以下ではガラス板という語をガラス板およびガラスリボンを総称するものとして用いることがある。
フッ素含有流体としては、例えば、フッ化水素(HF)、フロン(例えば、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロン)、フッ化水素酸、フッ素単体、トリフルオロ酢酸、四フッ化炭素、四フッ化ケイ素、五フッ化リン、三フッ化リン、三フッ化ホウ素、三フッ化窒素、三フッ化塩素などが挙げられるが、これらの気体または液体に限定されるものではない。
これらの中でも、フッ化水素、フロンまたはフッ化水素酸がガラス板表面との反応性が高い点で好ましい。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用してもよい。また、フロート法でガラスを製造するに際し、ガラスリボンに対してフッ素含有流体を吹き付ける場合には、フロートバス内では酸化力が強すぎるので、フッ素単体を使用しないことが好ましい。
また液体を使用する場合は、液体のまま、例えば、スプレー塗布でガラス板表面に供給しても、液体を気化してからガラス板表面に供給してもよい。また必要に応じて他の液体または気体で希釈してもよい。
フッ素含有流体としては、それらの液体や気体以外の液体または気体を含んでいてもよく、常温でフッ素原子が存在する分子と反応しない液体または気体であることが好ましい。
前記液体または気体としては、例えば、N、空気、H、O、Ne、Xe、CO、Ar、HeおよびKrなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用することもできる。
フッ素含有流体のキャリアガスとしては、N、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。また、フッ素含有流体には、更にSOを含んでもよい。SOはフロート法などで連続的にガラス板を生産する際に使用されており、徐冷域において搬送ローラーがガラス板と接触して、ガラスに疵を発生させることを防ぐ働きがある。また、高温で分解するガスを含んでいてもよい。
更に、フッ素含有流体には、水蒸気または水を含んでもよい。水蒸気は加熱した水に窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスをバブリングさせて取り出すことができる。大量の水蒸気が必要な場合は、気化器に水を送り込んで直接気化させる方法をとることも可能である。
フッ素含有流体をガラス又はガラスリボンに吹き付けることにより、ガラス表面からフッ素を侵入させ、フッ素を含むガラスを得ることができる。フッ素含有流体を吹き付ける条件を、得られたガラスに含まれるフッ素が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下となるように、調整することが必要である。
例えば、フロート法においてガラスリボンにフッ素含有流体を吹き付けてフッ素を侵入させる場合には、フッ素含有流体におけるフッ素原子濃度は0.1体積%〜15体積%であることが設備への負荷低減の点から好ましく、0.1体積%〜10体積%がより好ましい。さらに、ガラスリボンの表面温度は600℃以上であることがガラスのより深くまでフッ素を侵入させる点から好ましい。
ガラスリボンの表面温度は、該ガラス板のガラス転移温度をTgとした場合に、(Tg+50℃)〜(Tg+460℃)であることが好ましく、(Tg+150℃)〜(Tg+460℃)であることがより好ましく、(Tg+230℃)〜(Tg+460℃)であることがさらに好ましい。
ガラスリボンにフッ素含有流体を吹き付ける場合、フッ素含有流体を吹き付けることでフッ素をガラス内に侵入させるが、ガラスリボンを徐冷してフロートガラス板を製造するまでの間に、侵入したフッ素の一部はガラス内から抜けることがある。
しかしながら、本発明の趣旨においてその抜けるフッ素量は微量であることから、ガラスリボン中のフッ素原子濃度と、成形工程を経た後のフロートガラス中のフッ素原子濃度とを区別する技術的必要性はない。
本発明において溶融ガラスを板状のガラス板に成形する方法の具体例としてフロート法について詳述する。フロート法では、ガラスの原料を溶解する溶融炉と、溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボンを成形するフロートバスと、該ガラスリボンを徐冷する徐冷炉とを有するガラス製造装置を用いてガラス板が製造される。
溶融金属(錫)浴上でガラスが成形される際に、溶融金属浴上を搬送されるガラス板に対して、金属面に触れていない側(トップ面)からフッ素含有流体を供給して当該ガラス板表面を処理してもよい。溶融金属(錫)浴に続く徐冷領域では、ガラス板はローラーにより搬送される。
ここで、徐冷領域とは、徐冷炉内だけではなく、フロートバス内で上記溶融金属(錫)浴から搬出されてから徐冷炉内に搬送されるまでの部分も含むものである。徐冷領域においては溶融金属(錫)に触れていない側から当該ガスを供給してもよい。
図5(a)にフロート法によるガラス板の製造において、フッ素含有流体を供給してガラス表面を処理する方法の概略説明図を示す。
溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボン101を成形するフロートバスにおいて、フロートバス内に挿入したビーム102により、フッ素含有流体を、該ガラスリボン101に吹き付ける。図5(a)に示すように、フッ素含有流体は、ガラスリボン101が溶融金属面に触れていない側からガラスリボン101に吹き付けることが好ましい。矢印Yaは、フロートバスにおいてガラスリボン101が流れる方向を示す。
ビーム102によりガラスリボン101にフッ素含有流体を吹き付ける位置は、ガラス転移点が550℃以上の場合には、ガラスリボン101の温度は(Tg+50)℃〜(Tg+460)℃が好ましく、(Tg+150)℃〜(Tg+460)℃がより好ましく、(Tg+230)℃〜(Tg+460)℃がさらに好ましい。好ましいガラスリボンの温度は、吹きつける流体の種類によっても異なるが、原則は、より高温でより高濃度及び/又はより多量の流体を吹き付けることによって、得られたガラス中のフッ素量を多くすることができる。
また、ビーム102の位置は、ラジエーションゲート103の上流であってもよいし、下流であってもよい。ガラスリボン101に吹きつけるフッ素含有流体の量は、HFの場合1×10−6〜5×10−3mol/ガラスリボン1cmであることが好ましい。
図5(b)に図5(a)のA−A断面図を示す。ビーム102によりY1の方向からガラスリボン101に吹き付けられたフッ素含有流体は、「IN」から流入して、「OUT」の方向から流出する。すなわち、矢印Y4およびY5の方向に移動して、ガラスリボン101に曝露する。また、矢印Y4の方向に移動したフッ素含有流体は矢印Y2の方向から流出し、矢印Y5の方向に移動したフッ素含有流体は矢印Y3の方向から流出する。
ガラスリボン101の幅方向の位置によって化学強化後におけるガラス板の反り量が変化する場合もあり、そのような場合は、フッ素含有流体の量を調整することが好ましい。すなわち、反り量が大きい位置にはフッ素含有流体を吹きつける量を多くし、反り量が少ない位置にはフッ素含有流体を吹きつける量を少なくすることが好ましい。
ガラスリボン101の位置によって化学強化後におけるガラス板の反り量が変化する場合には、ビーム102の構造を、ガラスリボン101の幅方向でフッ素含有流体量を調整可能な構造とすることにより、ガラスリボン101の幅方向で反り量を調整してもよい。
具体例として、フッ素含有流体の量をガラスリボン101の幅方向110でI〜IIIに3分割して調整するビーム102の断面図を図6(a)に示す。ガス系統111〜113は、隔壁114、115によって分割されており、それぞれガス吹き穴116からフッ素含有流体を流出させて、ガラスに吹き付ける。
図6(a)における矢印はフッ素含有流体の流れを示す。図6(b)における矢印は、ガス系統111におけるフッ素含有流体の流れを示す。図6(c)における矢印は、ガス系統112におけるフッ素含有流体の流れを示す。図6(d)における矢印は、ガス系統113におけるフッ素含有流体の流れを示す。
ガラス板にフッ素含有流体をガラス表面に供給する方法としては、例えば、インジェクタを用いる方法、および導入チューブを用いる方法等が挙げられる。
本発明で用いることのできるガラス板の表面処理に用いるインジェクタの模式図を図1および図2に示す。図1は、本発明で用いることのできる両流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。図2は、本発明で用いることのできる片流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。
フッ素含有流体は、中央スリット1及び外スリット2からガラス板20に向かって吐出され、ガラス板20上を流路4を通じて流れ、排気スリット5から排気される。なお、図1及び図2中の符号21は、ガラス板20が流れる方向であり、流路4と平行である。
インジェクタより供給されるフッ素含有流体が気体である場合、インジェクタの気体吐出口とガラス板との距離は50mm以下であることが好ましい。
前記距離を50mm以下とすることにより、気体が大気中に拡散するのを抑制し、所望するガス量に対して、ガラス板に十分量のガスを到達させることができる。逆にガラス板との距離が短すぎると、例えばフロート法で生産されるガラス板にオンラインで処理をする際に、ガラスリボンの変動により、ガラス板とインジェクタが接触する恐れがある。
またインジェクタより供給されるフッ素含有流体が液体である場合、インジェクタの液体吐出口とガラス板との距離には特段の制限がなく、ガラス板が均一に処理できるような配置であればよい。
インジェクタは、両流しまたは片流しなど、いずれの態様で用いてもよく、ガラス板の流れ方向に直列に2個以上並べて、ガラス板表面を処理してもよい。両流しインジェクタとは、図1に示す通り、吐出から排気へのガスの流れがガラス板の移動方向に対して、順方向と逆方向に均等に分かれるインジェクタである。
この両流しインジェクタは一般的なものであり、低反射ガラスを製造するために使用するものとしても知られている。例えば、600℃まで再加熱した厚さ1.8mmの旭硝子製ソーダライムシリケートガラス(ガラス転移点560℃)に、中央スリット1からHFガスを1.12SLM(標準状態での気体で毎分リットル)と窒素(N)ガス9SLMを混合したガスを150℃に加熱し流速64cm/sで、外スリット2からNガスを45.5SLM吹き付けるように、使用することがある。このようにしてHFガスが吹き付けられたガラス表面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは30.6nmであり、上述のxの値は2.5μmである。
片流しインジェクタとは、図2に示す通り、吐出から排気へのガスの流れがガラス板の移動方向に対して順方向もしくは逆方向のいずれかに固定されるインジェクタである。片流しインジェクタを使用するときは、気流安定性の点でガラス板上のガスの流れとガラス板の移動方向が同じであることが好ましい。
また、フッ素含有流体の供給口と、未反応のフッ素含有流体ならびにガラス板と反応して生成する気体、またはフッ素含有流体のうち2種以上のガスが反応して生成する気体の排気口とが、ガラス板の同じ側の面に存在することが好ましい。
搬送されているガラス板表面に対してフッ素含有流体を供給して表面処理をするにあたっては、例えば、ガラス板がコンベヤーの上を流れている場合は、コンベヤーに触れていない側から供給してもよい。また、コンベヤーベルトにメッシュベルトなどのガラス板の一部が覆われていないメッシュ素材を用いることにより、コンベヤーに触れている側から供給してもよい。
また2つ以上のコンベヤーを直列に並べて、隣り合うコンベヤーの間にインジェクタを設置することにより、コンベヤーに触れている側から当該ガスを供給してガラス板表面を処理してもよい。また、ガラス板がローラーの上を流れている場合は、ローラーに触れていない側から供給してもよいし、ローラーに触れている側において、隣り合うローラーの間から供給してもよい。
ガラス板の両方の側から同じまたは異なるガスを供給してもよい。例えば、ローラーに触れていない側と、ローラーに触れている側の両方の側からガスを供給してガラス板を表面処理してもよい。例えば、徐冷領域で両方の側からガスを供給する場合は、連続的に搬送されているガラスに対してインジェクタを、ガラス板を挟んで向かい合うように配置して、ローラーに触れていない側とローラーに触れている側の両方の側からガスを供給してもよい。
ローラーに触れている側に配置されるインジェクタと、ローラーに触れていない側に配置されるインジェクタは、ガラス板の流れ方向に異なる位置に配置してもよい。異なる位置に配置するにあたっては、いずれがガラス板の流れ方向に対して上流に配置されても、下流に配置されてもよい。
フロート法によるガラス製造技術とCVD技術を組み合わせて、オンラインで機能膜付きガラス板が製造されていることは広く知られている。この場合透明導電膜及びその下地膜については、いずれも錫に触れていない面から、もしくは、ローラーに触れていない面からガスを供給して、ガラス板上に成膜されることが知られている。
例えば、このオンラインCVDによる機能膜付きガラス板の製造において、ローラーに触れている面にインジェクタを配置して、そのインジェクタからガラス板にフッ素含有流体を供給してガラス板表面を処理してもよい。
また、フッ素含有流体をガラス板表面に供給する際のガラス板表面の圧力は、大気圧−100Paから大気圧+100Paの圧力範囲の雰囲気であることが好ましく、大気圧−50Paから大気圧+50Paの圧力範囲の雰囲気であることがより好ましい。
ガス流量について、フッ素含有流体としてHFを用いた場合について代表して述べる。HFでガラス板を処理するにあたっては、HF流量が多いほど化学強化処理時の反り改善効果が大きいため好ましく、全ガス流量が同じ場合は、HF濃度が高いほど、化学強化処理時の反り改善効果が大きくなる。
全ガス流量とHFガス流量とが一定の場合は、ガラス板を処理する時間が長いほど、化学強化処理時の反り改善効果が大きくなる。例えばガラス板を加熱した後に、HFガスを用いてガラス板表面を処理する場合、ガラス板の搬送速度が低いほど化学強化後の反りが改善する。全ガス流量やHF流量をうまくコントロールできない設備でも、ガラス板の搬送速度を適宜コントロールすることによって、化学強化後の反りを改善することができる。
3.化学強化
化学強化は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、LiイオンまたはNaイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリ金属イオン(典型的には、Kイオン)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理である。化学強化処理は従来公知の方法によって行うことができる。
本発明では、フッ素を導入したガラス板を化学強化することにより、化学強化後の反りが改善されたガラス板を得ることができる。化学強化前のガラス板に対する化学強化後のガラス板の反りの変化量(反り変化量)は、三次元形状測定機(例えば、三鷹光器株式会社製)、または、表面粗さ・輪郭形状測定機(例えば、株式会社東京精密製)で測定することができる。
本発明において、化学強化後の反りの改善は、フッ素含有流体により表面処理する以外は全て同じ条件の実験において、以下に示す式により求める反り変位量により評価する。
反り変位量=ΔX−ΔY
ΔX:未処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ΔY:処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ここで、反り変化量は、化学強化後のガラス板の反り量から、化学強化前のガラス板の反り量を減じた値である。反り変化量は、ΔX>0とする。ΔYはΔXと同方向に反る場合にΔY>0、ΔXと逆方向に反る場合はΔY<0とする。
未処理ガラス板の化学強化による反り変化量は、種々の条件に依存しばらつきが大きい。反り変位量が所定値より大きいということは、上記ばらつきにかかわらず反りを制御できることを意味する。したがって、反り変位量が所定値、具体的には10μm以上であるガラス板は、反り問題を低減することができる。
ガラス板のCS(表面圧縮応力)およびDOL(圧縮応力層の深さ)は、表面応力計により測定することができる。化学強化ガラスの表面圧縮応力は600MPa以上であることが好ましく、圧縮応力層の深さは15μm以上であることが好ましい。化学強化ガラスの表面圧縮応力および圧縮応力層の深さを当該範囲とすることにより、優れた強度と耐傷性が得られる。
4.フラットパネルディスプレイ装置
以下、本発明のガラス板を化学強化した後、当該化学強化ガラスをフラットパネルディスプレイ装置のカバーガラスとして用いた例について説明する。図3は、カバーガラスが配置されたディスプレイ装置の断面図である。なお、以下の説明において、前後左右は図中の矢印の向きを基準とする。
ディスプレイ装置40は、図3に示すように、筐体15内に設けられた表示パネル45と、表示パネル45の全面を覆い筐体15の前方を囲うように設けられるカバーガラス30とを備える。
カバーガラス30は、主として、ディスプレイ装置40の美観や強度の向上、衝撃破損防止などを目的として設置されるものであり、全体形状が略平面形状の一枚の板状ガラスから形成される。カバーガラス30は、図3に示すように、表示パネル45の表示側(前側)から離間するように(空気層を有するように)設置されていてもよく、透光性を有する接着膜(図示せず)を介して表示パネル45の表示側に貼り付けられてもよい。
カバーガラス30の表示パネル45からの光を出射する前面には機能膜41が設けられ、表示パネル45からの光が入射する背面には、表示パネル45と対応する位置に機能膜42が設けられている。なお、機能膜41、42は、図3では両面に設けたが、これに限らず前面または背面に設けてもよく、省略してもよい。
機能膜41、42は、例えば、周囲光の反射防止、衝撃破損防止、電磁波遮蔽、近赤外線遮蔽、色調補正、および/または耐傷性向上などの機能を有し、厚さおよび形状などは用途に応じて適宜選択される。機能膜41、42は、例えば、樹脂製の膜をカバーガラス30に貼り付けることにより形成される。あるいは、蒸着法、スパッタ法またはCVD法などの薄膜形成法により形成されてもよい。
符号44は、黒色層であり、例えば、顔料粒子を含むインクをカバーガラス30に塗布し、これを紫外線照射、または加熱焼成した後、冷却することによって形成された被膜であり、筐体15の外側からは表示パネル等が見えなくなり、外観の審美性を向上させる。
このように、ディスプレイ装置のカバーガラスとして本発明のガラス板を用いる場合、表面粗さ(算術平均粗さ)Raが2.5nm以下であることが好ましく、1.5nm以下であることがさらに好ましい。これにより、カバーガラスによってディスプレイ装置の表示像の鮮明さを損なうことを防止できる。ガラス板の表面粗さRaは、JIS B0601(2001年)に準拠して、次のように測定できる。測定装置として、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)、例えばPark Systems社製、XE−HDM用いて、スキャンサイズ1μm×1μmにて3か所測定し、3か所の平均値をガラス板のRa値とする。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(ガラス板の組成)
本実施例では、以下の組成の硝材AおよびBのガラス板を用いた。
(硝材A)モル%表示で、SiOを72.0%、Alを1.1%、NaOを12.6%、KOを0.2%、MgOを5.5%、CaOを8.6%含有するガラス(ガラス転移温度566℃)
(硝材B)モル%表示で、SiOを64.3%、Alを8.0%、NaOを12.5%、KOを4.0%、MgOを10.5%、CaOを0.1%、SrOを0.1%、BaOを0.1%およびZrOを0.5%含有するガラス(ガラス転移温度604℃)
(反り量の測定)
化学強化前にサーフコム表面粗さ・輪郭形状測定機(株式会社東京精密製)で反り量を測定した後、各ガラスを化学強化し、化学強化後の反り量も同様に測定し、上述の手順に基づいて反り変位量を算出した。
(二次イオン質量分析;SIMS)
二次イオン質量分析の分析条件は以下とした。
測定装置:アルバック・ファイ社製 ADEPT1010
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
得られた結果から、上述した式1〜式4より強度比(F/Si)を求め、さらにフッ素濃度(mol%)に変換した。横軸を深さとし、縦軸をフッ素濃度(mol%)とする深さ方向プロファイルを作成し、その積分値をガラス中に含まれるフッ素量(mol%・μm)とした。
また、SIMS分析によって得られる深さ方向プロファイルの横軸の深さは、分析クレーターの深さを触針式膜厚計(Veeco社製Dektak150)によって測定した。
(HF総接触量)
HF総接触量(mol/cm)は、下式により求めた。同式中の処理時間とは、HFガスがガラスリボンの表面と接触している時間である。
[HF総接触量(mol/cm)]=[HFガス濃度(体積%)]/100×[ガス流量(mol/s/cm)]×[処理時間(s)]…(b)
[実施例1]
硝材AおよびBのガラスリボンが流れるフロートバスにおいて、フッ素含有流体としてHFガスを用いてフッ素処理(以下、HF処理という)を実施した。得られたガラスを上述の手順で測定し、ガラス中に含まれるフッ素量、フッ素の侵入深さx、表面フッ素濃度等を算出した。
得られた板厚0.7mmのガラスを100mm角3枚に切断し、その基板の90mm角部に相当する部分の対角線2本の反りを測定し、その平均値を強化前の反り量とした。その後、硝材Bのガラス板を450℃に加熱されたKNO熔融塩中に2時間浸漬し、硝材Aのガラス板を420℃に加熱されたKNO熔融塩中に2.5時間浸漬し化学強化を行った。次に、基板の90mm角部に相当する部分の対角線2本の反りを測定し、その平均値を強化後の反り量とした。
結果を表1〜3に示す。なお、比較例1−1〜1−3は、HF処理を実施していないリファレンスである。
表3の「a」欄に記載の数値は、下記式により求めた。
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
表3の「b」欄に記載の数値は、下記式により求めた。
b=F−3×a
a=(F20−F)/17
20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
=(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
Figure 2015046111
Figure 2015046111
Figure 2015046111
表1〜3に示すように、HFで表面処理した実施例1−1〜1−37のガラス板は、HFで表面処理しなかった比較例1−1〜1−3と比較して、化学強化後の反りが改善されていた。このことから、一方の面の深さ0〜20μmにおけるSIMS分析における平均フッ素濃度が、もう一方の面の深さ0〜20μmにおける平均フッ素濃度より大きいガラス板は、反り変位量が10μm以上となり、化学強化後の反りが改善されることが分かった。
また、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値の比が1.4より大きく、且つガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下である実施例1−1〜1−37は、化学強化後の反り改善効果がより高いことがわかった。また、表1〜3に示すように、x(μm)が1以上である実施例1−1〜1−37は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。
また、表1〜3に示すように、aを−0.1未満とすることにより、反り変位量10μm以上となり、化学強化後の反りが改善されることが分かった。また、bを4以上とすることにより、反り変位量が10μm以上となり、化学強化後の反りが改善されることが分かった。さらに、Fを4以上とすることにより、反り変位量が10μm以上となり、化学強化後の反りが改善されることが分かった。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2013年9月25日付けで出願された日本特許出願(特願2013−198472)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 中央スリット
2 外スリット
4 流路
5 排気スリット
15 筐体
20 ガラス板
30 カバーガラス
40 ディスプレイ装置
41,42 機能膜
45 表示パネル
101 ガラスリボン
102 ビーム
103 ラジエーションゲート
110 ガラスリボンの幅方向
111,112,113 ガス系統
114,115 隔壁
116 ガス吹き穴

Claims (16)

  1. 横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とする二次イオン質量分析(SIMS)による深さ方向プロファイル上で、一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がもう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きく、両者の比が1.4より大きいガラス板であって、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
  2. 一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値ともう一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値の比が4以上である請求項1に記載のガラス板。
  3. フロート法により製造されたガラス板であって、トップ面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値がボトム面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きい請求項1に記載のガラス板。
  4. トップ面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値とボトム面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値の比が4.9以上である請求項3に記載のガラス板。
  5. 横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値が、深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値より大きいガラス板であって、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
  6. 横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)を、同方向から見た深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)で除した値(S/S)が2.1以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板。
  7. 横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、少なくとも一方の面の深さ0〜20μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)を、同方向から見た深さ50〜70μmにおける深さ方向プロファイルの平均値(S)で除した値(S/S)が2.1〜100である請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板。
  8. フロート法により製造されたガラス板である請求項6または7に記載のガラス板。
  9. 厚みが1.5mm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板。
  10. 厚みが0.8mm以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス板。
  11. 表面粗さRaが2.5nm以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板を化学強化して得られる化学強化ガラス板。
  13. カバーガラスを備えたフラットパネルディスプレイ装置であって、該カバーガラスが請求項12に記載の化学強化ガラス板であるフラットパネルディスプレイ装置。
  14. 一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるaが−0.1未満であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
    a=(F20−F)/17
    20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
    =(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
  15. 一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるbが4以上であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
    b=F−3×a
    a=(F20−F)/17
    20=(フッ素濃度の大きい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ20μmのSIMSによるフッ素濃度)
    =(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
  16. 一方の面におけるフッ素濃度が他方の面におけるフッ素濃度より大きいフッ素含有ガラス板であって、下記式で表されるFが4以上であり、横軸を深さとし、且つ縦軸をフッ素濃度(mol%)とするSIMSによる深さ方向プロファイル上で、ガラス中に含まれるフッ素量が0.23mol%・μm超21mol%・μm以下であるガラス板。
    =(フッ素濃度の大きい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)/(フッ素濃度の小さい面における深さ3μmのSIMSによるフッ素濃度)
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