JP6428630B2 - ガラス板 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス板に関する。
近年、携帯電話または携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ、テレビ、車載ナビゲーション表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置において、ディスプレイの保護および美観を高めるために、画像表示部分よりも広い領域となるように薄い板状のカバーガラスをディスプレイの前面に配置することが行われている。
このようなフラットパネルディスプレイ装置に対しては、軽量および薄型化が要求されており、そのため、ディスプレイ保護用に使用されるカバーガラスも薄くすることが要求されている。
しかし、カバーガラスの厚さを薄くしていくと、強度が低下し、使用中または携帯中の落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題がある。
このため従来のカバーガラスは、フロート法により製造されたガラス(以下、フロートガラスということがある。)を化学強化することで、表面に圧縮応力層を形成しカバーガラスの耐傷性を高めている。
フロートガラスは化学強化後に反りが生じて平坦性が損なわれることが報告されている(特許文献1〜3)。該反りは、フロート成形時に溶融錫等の溶融金属と接触していないガラス面(以下、トップ面ともいう。)と、溶融金属と接触しているガラス面(以下、ボトム面ともいう。)とが異質になり、両面の化学強化の入り方が異なることにより生じるとされている。
前記フロートガラスの反りは化学強化の入り方が強いほど大きくなる。したがって、高い耐傷性への要求に応えるべく表面圧縮応力をこれまで以上、特に600MPa以上にする場合、反りの問題がより顕在化することとなる。
特許文献1には、ガラス表面にSiO膜を形成した後に化学強化することにより、化学強化時にガラスに入るイオンの量を調整するガラスの強化方法が開示されている。また、特許文献2および3には、トップ面側の表面圧縮応力を特定範囲とすることにより、化学強化後の反りを低減する方法が開示されている。
また、従来、前記反りの問題を低減するために、化学強化による強化応力を小さくしたり、ガラスの少なくとも一方の面を研削処理または研磨処理等することにより表面異質層を除去した後に化学強化する対処方法がなされている。
米国特許出願公開第2011/0293928号明細書 国際公開第2007/004634号 日本国特開昭62−191449号公報
しかしながら、特許文献1に記載のガラス表面にSiO膜を形成した後に化学強化する方法では、化学強化の際の予熱条件が限定され、さらには条件によってはSiO膜の膜質が変化して反りに影響を与える可能性がある。また、特許文献2および3に記載のように、トップ面側の表面圧縮応力を特定範囲とする方法では、ガラスの強度の観点から問題がある。
また、化学強化前にガラスの少なくとも一方の面を研削処理または研磨処理等する方法は、生産性を向上させる観点から問題があり、これらの研削処理または研磨処理等を省略することが好ましい。
さらに、化学強化後にある程度以上の反りが生じる場合、カバーガラスの黒枠を印刷する時にガラスとステージの間に隙間が大きくなりすぎて、ガラスがステージに吸着しなくなることがある。また、タッチパネル一体型のカバーガラスに使用される場合には、後工程にて大板の状態でITO(Indium Tin Oxide)等の成膜を行うことがある。その際に、ガラスが薬液処理槽や洗浄槽のエアーナイフに接触する等の搬送異常が生じたり、ITO成膜中に反りが増大し、基板周辺部のITOの成膜状態が適切にならず、剥がれてしまう等の不具合を生じることがある。また、LCD(Liquid Crystal Display)とタッチパネルが貼りつけられたカバーガラスの間に空間が存在するタイプの場合、カバーガラスに一定以上の反りがあると、輝度ムラやニュートンリングが生じることがある。
したがって、本発明は、化学強化後の反りを効果的に抑制することができるとともに、化学強化前の研磨処理等を省略または簡略化することができるガラス板を提供することを目的とする。
本発明者らは、ガラス表面をフッ素処理することにより、ガラスの一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方に差が生じるのを抑制し、化学強化後の反りを低減できることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1. 厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(I)で表される表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つ下式(II)で表されるF0−3が0.02より大きいガラス板。
表層フッ素割合=F0−3/F0−30…(I)
式(I)中、F0−3は下式(II)により求める。
0−3=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜3μmの二次イオン質量分析(SIMS)による平均フッ素濃度(mol%)]×3…(II)
式(I)中、F0−30は下式(III)により求める。
0−30=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜30μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)]×30…(III)
2. 前記表層フッ素割合が0.15以上である前項1に記載のガラス板。
3. 前記表層フッ素割合が0.15以上0.4以下である前項1又は2に記載のガラス板。
4. 前記表層フッ素割合が0.3以下である前項3に記載のガラス板。
5. 前項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板であって、下式(1)を満たすガラス板。ここで、フッ素濃度は深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)である。
0.38≦ΔF/ΔHO…(1)
式(1)中、ΔFは、フッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)からフッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)を減じた値である。
式(1)中、ΔHOは、フッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)からフッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)を減じた値の絶対値である。
6. 前項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板であって、下式(2)を満たすガラス板。ここで、フッ素濃度は深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)である。
5≦x…(2)
式(2)中、xはSIMSによるフッ素濃度プロファイルにおいて、任意の深さx(μm)における傾きが下式(3)を満たす最大の深さ(μm)である。
[F(x+0.1)−F(x)]/0.1=−0.015…(3)
式(3)中、F(x)は、深さx(μm)におけるSIMSによるフッ素濃度(mol%)を示す。
7. フロート法により製造されたガラス板である前項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板。
8. 厚みが1.5mm以下である前項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板。
9. 厚みが0.8mm以下である前項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板。
10. 表面粗さRaが2.5nm以下である前項1〜9のいずれか1項に記載のガラス板。
11. フッ素濃度が大きい方の表面に直径が10nm以上である凹部が存在しない、または同凹部が6個/μm以下の密度で存在する前項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板。
12. 前項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板を化学強化して得られるガラス板。
13. カバーガラスを備えたフラットパネルディスプレイ装置であって、該カバーガラスが前項12に記載のガラス板であるフラットパネルディスプレイ装置。
本発明のガラス板はその表面がフッ素処理されていることにより、ガラスの一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方に差が生じるのを抑制し、化学強化による応力値を所望の値にできる。また、化学強化前の研磨処理等を簡略化または省略しても、化学強化後におけるガラスの反りを低減し、優れた平坦度を得ることができる。
図1は、本発明で用いることのできる両流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。 図2は、本発明で用いることのできる片流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。 図3は、本発明の化学強化用フロートガラスを化学強化した後、フラットパネルディスプレイ用のカバーガラスとして用いたフラットパネルディスプレイの断面図である。 図4(a)にフロート法によるガラス板の製造において、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体をビームにより供給してガラスリボンの表面を処理する方法の概略説明図を示す。図4(b)は、図4(a)のA−A断面図である。 図5(a)〜(d)は、気体の量をガラスリボンの幅方向で3分割して調整可能なビームの断面図を示す。 図6(a)〜(c)は、フッ素処理したアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。 図7(a)〜(c)は、アルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なHO濃度プロファイルを示す。 図8は、アルミノシリケートガラスの典型的なIRスペクトルを示す。 図9は、ΔF/ΔHOとガラスの反り変位量の相関関係を示す図である。 図10(a)は、アルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。図10(b)は、横軸に深さ、縦軸に式(a)で表される任意の点xにおける傾きをプロットした図を示す。図10(c)は、図10(b)中の点線部分を拡大した図を示す。 図11は、HF処理による凹部発生のメカニズムの説明図を示す。 図12は、実施例で用いた装置の斜視図である。(実施例4)
1.ガラス板
本発明において、「ガラス板」とは、溶融ガラスが板状に成形されているものも含み、たとえばフロートバス内のいわゆるガラスリボンもガラス板である。ガラス板の化学強化後の反りは、ガラス板の一方の面ともう一方の面において化学強化の入り方が異なることにより生じる。具体的には、例えば、フロートガラスの場合、フロート成形時に溶融金属(通常、錫)と接触していないガラス面(トップ面)と溶融金属と接触しているガラス面(ボトム面)において化学強化の入り方が異なることにより化学強化後の反りが生じる。
本発明のガラス板によれば、典型的にはガラス板の一方の面がフッ素処理されていることにより、ガラス板の一方の面ともう一方の面におけるイオンの拡散速度を調整して、一方の面ともう一方の面におけるにおける化学強化の入り方を調整することができる。そのため、本発明のガラス板は、強化応力を調整したり、化学強化処理の前に研削および研磨等の処理をすることなく、化学強化後のガラス板の反りを低減することができる。
ガラス板の表面をフッ素処理することにより化学強化後の反りが低減できるメカニズムとしては、以下のような現象が生じていると考えられる。
(1)ガラスの表面に取り込まれたフッ素により緩和が促進され、フッ素処理された面のCS(compressive stress、表面圧縮応力)が低下する。
(2)ガラスの表面に取り込まれたフッ素によりイオン交換が阻害され、フッ素処理された面のDOL(depth of layer、圧縮応力深さ)が低下する。
(3)フッ素処理により、ガラスの脱アルカリが生じる。
(4)フッ素処理によりガラス表面の主成分が変化し、ガラス中のSiがSiFまたはHSiFとしてガラス表面から減少するため、応力の入り方が変化する。
(5)フッ素処理により、ガラス表面からの脱水が抑制されるかあるいは水が侵入することにより、反りが低減される。
1A.反り改善のための適正な厚み方向におけるフッ素濃度分布を規定するパラメータ
ガラスの化学強化による反りは、トップ面およびボトム面における化学強化の入り方の違いに起因する。ガラス表層にフッ素を添加することで種々の要因によってガラスの化学強化による反りが改善されるが、ガラスに添加されるフッ素濃度分布をトップ面における侵入深さを考慮して下記パラメータを設定する。
本発明のガラス板は、厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(I)で表される表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つ下式(II)で表されるF0−3が0.02より大きいガラス板である。
表層フッ素割合=F0−3/F0−30…(I)
式(I)中、F0−3はガラス表面(ガラス表面からの深さ0〜3μm)のフッ素量であり、下式(II)により求める。
0−3=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜3μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)]×3…(II)
式(I)中、F0−30はフッ素処理によりガラスに取り込まれたフッ素量であり、下式(III)により求める。
0−30=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜30μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)]×30…(III)
平均フッ素濃度は、SIMS装置でガラス中のフッ素濃度プロファイル測定を実施し、以下の手順(a1)〜(a3)により該プロファイルから算出する。図6(a)〜(c)はフッ素処理したアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。
(a1)濃度が既知の標準試料および測定対象サンプルのSIMSによるフッ素濃度プロファイルを測定する[図6(a)]。
(a2)標準試料の測定結果から検量線を作成し、19F/30Siをフッ素濃度(mol%)に変換するための係数を算出する[図6(b)]。
(a3)工程(a2)で算出した係数から測定対象サンプルのフッ素濃度(mol%)を求める。例えば、深さ0〜3μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)は、深さ0〜3μmのフッ素濃度を積算し、深さ3μmで除した値である[図6(c)]。
深さ0〜30μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)についても、同様に求めることができる。
表層フッ素割合を0.1以上とすることにより、化学強化後によるガラスの反りを効果的に抑制することができる。表層フッ素割合は0.1以上であり、0.15以上であることが好ましい。
表層フッ素割合は0.5未満であり、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましい。表層フッ素割合が0.4以下、特に0.3以下であると、以下の(1)〜(3)の効果が顕著となりより好ましい。
(1)ガラスの化学強化による反りは、ガラス両表面の圧縮応力の差によって生じる。一般に、フロート法で作製された板ガラスは、その表裏面の深さ方向の組成分布が異なる。そのため、化学強化によるガラス表裏面の深さ方向への圧縮応力の入り方も異なり、結果としてガラスに反りが生じる。この反りは、圧縮応力層の厚み(以下DOLと表記する)に依存する。一方、本発明者らの検討結果によりガラス中のフッ素は、化学強化で生じた圧縮応力を緩和させる効果があることが見出された。よって、ガラス表面にフッ素を導入することで、上述したガラス表裏面の圧縮応力差を小さくして、反りを小さくすることができる。このとき、DOLの深さまで生じた圧縮応力のうち、フッ素侵入深さまでの領域で応力緩和が起こる。このため、フッ素侵入深さが深い場合、DOLが変動した際、圧縮応力深さに対するフッ素侵入深さの割合の変動が小さくなるため、応力緩和の変動が小さくなる。この結果として、反り改善量の変動も小さくなる。以上の理由により、フッ素処理により表層フッ素割合を0.4以下、特に0.3以下とすると、フッ素のガラスへの侵入深さを深くし、ガラスにおける最表面のフッ素濃度を減少して、化学強化によるガラスの反りのDOL依存性を抑制することができる。
(2)ガラスをフッ素処理した後にガラスが研磨またはエッチング処理されるとガラス表面のフッ素が減少し、ガラスをフッ素処理することによる化学強化後の反り低減効果が減少する。フッ素処理により表層フッ素割合を0.4以下、特に0.3以下とし、フッ素のガラスへの侵入深さを深くすることにより、化学強化前にガラスを研磨またはエッチング処理した場合にも、フッ素処理による化学強化後におけるガラスの反り低減効果を十分に担保することができる。
(3)ガラスの一方の面をフッ素処理することにより最表面のフッ素濃度が高くなると、フッ素によって応力が一方の面だけ緩和されてしまい、CSが入りにくくなってしまうという問題がある。フッ素処理により表層フッ素割合を0.4以下、特に0.3以下とすると、最表面のフッ素濃度が高くなるのを防ぎ、ΔCS(厚み方向に対向する一方の面のCSの値と他方の面のCSの値の差)を0に近づけることが可能となるため、化学強化による反りが低減できるとともに、強度の面においても優れたガラスが得られる。
表層フッ素割合を0.4以下、特に0.3以下とするためには、後述するように、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体または液体(以下、フッ素含有流体ともいう。)を搬送中のガラス板の表面に供給して該表面を処理する際のガラス板の表面温度を、該ガラス板のガラス転移温度をTgとした場合に、好ましくは(Tg+230℃)以上、より好ましくは(Tg+300℃)以上とする方法が挙げられる。
その他、表層フッ素割合を0.4以下とするための方法としては、フッ素による処理時間を長くする方法、ガラスをフッ素処理した後に再度加熱処理を施すことで表面のフッ素を揮散させる方法、等を挙げることができる。
SIMSにおける元素Mの同位体Mの二次イオン強度IM1は、一次イオン強度I、マトリックスのスパッタ率Y、元素Mの濃度C(全濃度に対する比)、同位体Mの存在確率α、元素Mの二次イオン化率β、および質量分析計の透過効率η(検出器の検出効率を含む)に比例する。
M1=A・I・Y・C・α・β・η (式w)
ここで、Aは一次イオンビームの走査範囲に対する二次イオンの検出面積の比である。一般的には装置のηを求めるのは困難なためβの絶対値を求めることができない。そこで、同じ試料の中の主成分元素などを参照元素として用い、(式w)との比をとることによりηを消去する。
ここで参照元素をR、その同位体をRとした場合、(式x)が得られる。
M1/IRj=(C・α・β)/(C・α・β)=C/K (式x)
ここでKは元素Mの元素Rに対する相対感度因子である。
K=(C・α・β)/(α・β) (式y)
この場合、元素Mの濃度は(式z)より求められる。
=K・IM1/IRj (式z)
本発明においては、FはMに、SiはRにそれぞれ対応する。したがって、(式x)より両者の強度比(F/Si)はフッ素濃度CをKで除したものに等しい。すなわち、F/Siはフッ素濃度の直接的な指標である。
SIMSの分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。なお、以下で示す分析条件は例示であり、測定装置、サンプルなどによって適宜変更されるべきものである。また、SIMSによって得られる深さ方向プロファイルの横軸の深さは、分析クレーターの深さを触針式膜厚計(例えば、Veeco社製Dektak150)によって測定することで、求められる。
(分析条件)
一次イオン種:Cs
一次イオン入射角:60°
一次加速電圧:5kV
より具体的な分析条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
(分析条件)
測定装置:四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置
一次イオン種:Cs
一次加速電圧:5.0kV
一次イオンカレント:1μA
一次イオン入射角(試料面垂直方向からの角度):60°
ラスターサイズ:200x200μm
検出領域:40x40μm
二次イオン極性:マイナス
中和用の電子銃使用:有
四重極型質量分析器を有する二次イオン質量分析装置としては、例えば、アルバック・ファイ社製ADEPT1010が挙げられる。
1B.反り改善のための適正なフッ素添加量を規定するパラメータ
ガラスの化学強化による反りは、トップ面およびボトム面における化学強化の入り方の違いに起因する。該化学強化の入り方の違いはガラスの中の水分量の影響を多分に受ける。ガラス表層にフッ素を添加することで種々の要因によってガラスの化学強化による反りが改善されるが、ガラスに添加されるフッ素の適正量をトップ面およびボトム面における水分量の違いを考慮して下記パラメータを設定する。
本発明のガラス板は、厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(1)を満たすことが好ましい。
0.38≦ΔF/ΔHO…(1)
式(1)中、ΔFは、フッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)からフッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)を減じた値である。平均フッ素濃度は、上述の手順で得ることができる。
式(1)中、ΔHOは、フッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)からフッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)を減じた値の絶対値である。
平均HO濃度(mol%)は、SIMS装置でガラス中のフッ素濃度プロファイル測定を実施し、以下の手順(b1)〜(b3)により該プロファイルから算出する。図7(a)〜(c)はアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なHO濃度プロファイルを示す。
(b1)濃度が既知の標準試料および測定対象サンプルのSIMSによるHO濃度プロファイルを測定する[図7(a)]。
(b2)標準試料の測定結果から検量線を作成し、H/30SiをHO濃度(mol%)に変換するための係数を算出する[図7(b)]。
(b3)工程(b2)で算出した係数から測定対象サンプルのHO濃度(mol%)を求める。深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)は、深さ1〜24μmのHO濃度を積算し、23で除した値である[図7(c)]。
前記手順(b1)〜(b3)により深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)をガラスの厚さ方向に対向する両面について算出した値の差の絶対値がΔHOとなる。
前記工程(b2)において、標準試料中のHO濃度は、測定対象サンプルのトップ面およびボトム面ともに両面研磨し、ガラスの厚み方向にHO濃度の分布がないように加工したものについてFT−IR装置を用いてガラスのIRスペクトルを取得し、ガラス中の水に起因するピークの強度からHO濃度(mol%)を算出する。アルミノシリケートガラスの典型的なIRスペクトルを図8に示す。
すなわち、ガラス中のHO濃度CH2O(mol%)の算出は、式(i)に示すランベルト・ベールの法則とd:ガラスの比重(g/cm)、Mw:ガラスの平均分子量を用いて、式(ii)により求められる。
H2O=εH2O×C×l…(i)
εH2O:ガラス中のHOのモル吸光係数 (L mol− cm−1
C:ガラス中HO濃度 (mol L−1
l:光路長(cm)
Figure 0006428630
図9に示すように、ΔF/ΔHOとガラスの反り変位量は相関関係を示し、0.38≦ΔF/ΔHOとすることにより、化学強化後の反りを効果的に抑制することができる。ΔF/ΔHOは0.38以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。ΔF/ΔHOが0.38未満であると、反りの変位に有意な差が見られないため不適である。また、ΔF/ΔHOは15以下であることが実用上好ましい。
1C.反り改善のためのフッ素侵入深さを規定するパラメータ
ガラス表層にフッ素を添加することで化学強化後の反りが改善されるが、フッ素の侵入深さを考慮して下記パラメータを設定する。
本発明のガラス板は、厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(2)を満たすことが好ましい。
5≦x…(2)
式(2)中、xはSIMSによるフッ素濃度プロファイルにおいて、任意の深さx(μm)における傾きが下式(3)を満たす最大の深さ(μm)である。
[F(x+0.1)−F(x)]/0.1=−0.015…(3)
式(3)中、F(x)は、深さx(μm)におけるSIMSによるフッ素濃度(mol%)を示す。
図10(a)にフッ素処理したアルミノシリケートガラスのSIMSによる典型的なフッ素濃度プロファイルを示す。図10(b)は、横軸に深さ、縦軸に下式(a)で表される任意の点xにおける傾きをプロットしたグラフである。下式(a)において、F(x)は点xにおけるフッ素濃度(mol%)を示す。
[F(x+Δx)−F(x)]/Δx…(a)
Δxを0.1とした場合に、式(a)で表される傾きが−0.015となる最大の深さx(μm)は5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。xが5未満であると、反りの変位に有意な差が見られない。
図10(c)は、図10(b)のグラフの点線部分を拡大した図である。例えば、図10(c)において、Δxを0.1とした場合に、式(a)で表される傾きが−0.015となる最大の深さx(μm)は6.5となる。
2.ガラス板の製造方法
本発明のガラス板の製造方法は特に限定されず、化学強化処理による強化が可能な組成を有するものである限り、種々の組成のものを使用することができる。例えば、種々の原料を適量調合し、加熱溶融した後、脱泡または攪拌などにより均質化し、周知のフロート法、ダウンドロー法(例えば、フュージョン法など)またはプレス法などによって板状に成形し、徐冷後、所望のサイズに切断し、研磨加工を施して製造される。これらの製造方法の中でも、フロート法により製造されたガラスは、特に本発明の効果である化学強化後の反り改善が発揮され易いため、好ましい。
本発明に用いられるガラス板としては、具体的には、例えば、典型的にはソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラスからなるガラス板が挙げられる。
これらの中でも、Alを含む組成のガラスが好ましい。Alはアルカリが共存すると4配位をとってSiと同様にガラスの骨格となる網目の形成に参加する。4配位のAlが増えると、アルカリイオンの移動が容易になり、化学強化処理時にイオン交換が進行しやすくなる。
ガラス板の厚みは、特に制限されるものではなく、たとえば2mm、0.8mm、0.73mm、0.7mm、0.56mm、0.4mmが挙げられるが、後述する化学強化処理を効果的に行うために、通常5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、1.5mm以下であることがさらに好ましく、0.8mm以下であることが特に好ましい。
通常、厚み0.7mmのガラス板の化学強化後における反り量は40μm以下であることが求められる。90mm角のガラス板でCSが750MPa、DOLが40μmの場合、化学強化後の反り量は約130μmである。一方、化学強化後におけるガラス板の反り量は板厚の2乗と反比例の関係にあるので、ガラス板の厚みが2.0mmのときの反り量は約16μmとなり、実質的に反りが問題となることはない。したがって、ガラス板の厚み2mm未満、典型的には1.5mm以下で化学強化後における反りの問題が生じる可能性がある。
本発明のガラス板の組成としては、モル%で表示した組成で、SiOを50〜80%、Alを0.1〜25%、LiO+NaO+KOを3〜30%、MgOを0〜25%、CaOを0〜25%およびZrOを0〜5%含むガラスが挙げられるが、特に限定されない。より具体的には、以下のガラスの組成が挙げられる。なお、例えば、「MgOを0〜25%含む」とは、MgOは必須ではないが25%まで含んでもよい、の意である。(i)のガラスはソーダライムシリケートガラスに含まれ、(ii)および(iii)のガラスはアルミノシリケートガラスに含まれる。
(i)モル%で表示した組成で、SiOを63〜73%、Alを0.1〜5.2%、NaOを10〜16%、KOを0〜1.5%、MgOを5〜13%及びCaOを4〜10%を含むガラス
(ii)モル%で表示した組成が、SiOを50〜74%、Alを1〜10%、NaOを6〜14%、KOを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス
(iii)モル%で表示した組成が、SiOを68〜80%、Alを4〜10%、NaOを5〜15%、KOを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrOを0〜1%含有するガラス
(iv)モル%で表示した組成が、SiOを67〜75%、Alを0〜4%、NaOを7〜15%、KOを1〜9%、MgOを6〜14%およびZrOを0〜1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71〜75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12〜20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス
(v)モル%で表示した組成が、SiOを62〜72%、Alを1〜7%、NaOを13〜19%、KOを0〜4%、MgOを8〜16%、CaOを0〜6%およびZrOを0〜3%含有し、CaO/MgOが0.5以下であるガラス
本発明のガラス板の製造方法では、ガラス板またはガラスリボンの少なくとも一面に対して、フッ素含有流体を接触させて表面処理する。ガラスリボンの少なくとも一面に対してフッ素含有流体を接触させて表面処理する場合、ガラスリボンの温度は650℃以上であることが好ましい。650℃以上とすることにより後述する凹部の発生を抑制しつつ、化学強化後のガラスの反り量を低減することができる。
フッ素含有流体としては、例えば、フッ化水素(HF)、フロン(例えば、クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロン)、フッ化水素酸、フッ素単体、トリフルオロ酢酸、四フッ化炭素、四フッ化ケイ素、五フッ化リン、三フッ化リン、三フッ化ホウ素、三フッ化窒素、三フッ化塩素などが挙げられるが、これらの気体または液体に限定されるものではない。
これらの中でも、フッ化水素、フロンまたはフッ化水素酸がガラス板表面との反応性が高い点で好ましい。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用してもよい。また、フロートバス内では酸化力が強すぎるので、フッ素単体を使用しないことが好ましい。
また液体を使用する場合は、液体のまま、例えば、スプレー塗布でガラス板表面に供給しても、液体を気化してからガラス板表面に供給してもよい。また必要に応じて他の液体または気体で希釈してもよい。
フッ素含有流体としては、それらの液体や気体以外の液体または気体を含んでいてもよく、常温でフッ素原子が存在する分子と反応しない液体または気体であることが好ましい。
前記液体または気体としては、例えば、N、空気、H、O、Ne、Xe、CO、Ar、HeおよびKrなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用することもできる。
その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体のキャリアガスとしては、N、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。また、その構造中にフッ素原子が存在する分子を含有する気体には、更にSOを含んでもよい。SOはフロート法などで連続的にガラス板を生産する際に使用されており、徐冷域において搬送ローラーがガラス板と接触して、ガラスに疵を発生させることを防ぐ働きがある。また、高温で分解するガスを含んでいてもよい。
更に、フッ素含有流体には、水蒸気または水を含んでもよい。水蒸気は加熱した水に窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスをバブリングさせて取り出すことができる。大量の水蒸気が必要な場合は、気化器に水を送り込んで直接気化させる方法をとることも可能である。以下の説明では、フッ素含有流体としてHFガスを用いた場合を例として述べる。
本発明のガラス板の製造方法の具体例としては、フロート法に代表されるガラス板を製造する方法が挙げられる。フロート法では、ガラスの原料を溶解する溶融炉と、溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボンを成形するフロートバスと、該ガラスリボンを徐冷する徐冷炉とを有するガラス製造装置を用いてガラス板が製造される。
溶融金属(錫)浴上でガラスが成形される際に、溶融金属浴上を搬送されるガラス板に対して、金属面に触れていない側からHFガスを供給して当該ガラス板表面を処理してもよい。溶融金属(錫)浴に続く徐冷領域では、ガラス板はローラーにより搬送される。
図4(a)にフロート法によるガラス板の製造において、HFガスを供給してガラス表面を処理する方法の概略説明図を示す。
溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボン101を成形するフロートバスにおいて、フロートバス内に挿入したビーム102により、HFガスを、該ガラスリボン101に吹き付ける。図4(a)に示すように、HFガスは、ガラスリボン101が溶融金属面に触れていない側からガラスリボン101に吹き付けることが好ましい。矢印Yaは、フロートバスにおいてガラスリボン101が流れる方向を示す。
ビーム102によりガラスリボン101にHFガスを吹き付ける位置は、ガラス転移点が550℃以上の場合には、ガラスリボン101が好ましくは650〜970℃の位置であることが好ましい。また、ビーム102の位置は、ラジエーションゲート103の上流であってもよいし、下流であってもよい。ガラスリボン101に吹きつけるHFガスの量は、1×10−6〜5×10−3mol/ガラスリボン1cmであることが好ましい。
図4(b)に図4(a)のA−A断面図を示す。ビーム102によりY1の方向からガラスリボン101に吹き付けられたHFガスは、「IN」から流入して、「OUT」の方向から流出する。すなわち、矢印Y4およびY5の方向に移動して、ガラスリボン101に曝露する。また、矢印Y4の方向に移動したHFガスは矢印Y2の方向から流出し、矢印Y5の方向に移動したHFガスは矢印Y3の方向から流出する。
ガラスリボン101の幅方向の位置によって化学強化後におけるガラス板の反り量が変化する場合もあり、そのような場合は、HFガスの量を調整することが好ましい。すなわち、反り量が大きい位置にはHFガスを吹きつける量を多くし、反り量が少ない位置にはHFガスを吹きつける量を少なくすることが好ましい。
ガラスリボン101の位置によって化学強化後におけるガラス板の反り量が変化する場合には、ビーム102の構造を、ガラスリボン101の幅方向でHFガスを調整可能な構造とすることにより、ガラスリボン101の幅方向で反り量を調整してもよい。
具体例として、HFガスの量をガラスリボン101の幅方向110でI〜IIIに3分割して調整するビーム102の断面図を図5(a)に示す。ガス系統111〜113は、隔壁114,115によって分割されており、それぞれガス吹き穴116からHFガスを流出させて、ガラスに吹き付ける。
図5(a)における矢印はHFガスの流れを示す。図5(b)における矢印は、ガス系統111におけるHFガスの流れを示す。図5(c)における矢印は、ガス系統112におけるHFガスの流れを示す。図5(d)における矢印は、ガス系統113におけるHFガスの流れを示す。
HFガスのようなフッ素含有流体をガラス表面に供給する方法としては、例えば、インジェクタを用いる方法、および導入チューブを用いる方法等が挙げられる。
本発明で用いることのできるガラス板の表面処理に用いるインジェクタの模式図を図1および図2に示す。図1は、本発明で用いることのできる両流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。図2は、本発明で用いることのできる片流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。
HFガスは、中央スリット1及び外スリット2からガラス板20に向かって吐出され、ガラス板20上を流路4を通じて流れ、排気スリット5から排気される。なお、図1及び図2中の符号21は、ガラス板20が流れる方向であり、流路4と平行である。
インジェクタより供給されるフッ素含有流体が気体である場合、インジェクタの気体吐出口とガラス板との距離は50mm以下であることが好ましい。
前記距離を50mm以下とすることにより、気体が大気中に拡散するのを抑制し、所望するガス量に対して、ガラス板に十分量のガスを到達させることができる。逆にガラス板との距離が短すぎると、例えばフロート法で生産されるガラス板にオンラインで処理をする際に、ガラスリボンの変動により、ガラス板とインジェクタが接触する恐れがある。
またインジェクタより供給されるフッ素含有流体が液体である場合、インジェクタの液体吐出口とガラス板との距離には特段の制限がなく、ガラス板が均一に処理できるような配置であればよい。
インジェクタは、両流しまたは片流しなど、いずれの態様で用いてもよく、ガラス板の流れ方向に直列に2個以上並べて、ガラス板表面を処理してもよい。両流しインジェクタとは、図1に示す通り、吐出から排気へのガスの流れがガラス板の移動方向に対して、順方向と逆方向に均等に分かれるインジェクタである。
この両流しインジェクタは一般的なものであり、低反射ガラスを製造するために使用するものとしても知られている。例えば、600℃まで再加熱した厚さ1.8mmの旭硝子製ソーダライムシリケートガラス(ガラス転移点560℃)に、中央スリット1からHFガスを1.12SLM(標準状態での気体で毎分リットル)と窒素(N)ガス9SLMを混合したガスを150℃に加熱し流速64cm/sで、外スリット2からNガスを45.5SLM吹き付けるように、使用することがある。このようにしてHFガスが吹き付けられたガラス表面の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは30.6nmであり、上述のxの値は2.5μmである。
片流しインジェクタとは、図2に示す通り、吐出から排気へのガスの流れがガラス板の移動方向に対して順方向もしくは逆方向のいずれかに固定されるインジェクタである。片流しインジェクタを使用するときは、気流安定性の点でガラス板上のガスの流れとガラス板の移動方向が同じである方が好ましい。
また、フッ素含有流体の供給口と、未反応のフッ素含有流体ならびにガラス板と反応して生成する気体、またはフッ素含有流体のうち2種以上のガスが反応して生成する気体の排気口とが、ガラス板の同じ側の面に存在することが好ましい。
本発明においては、フッ素含有流体を搬送中のガラス板の表面に供給して該表面を処理する際のガラス板の表面温度は、該ガラス板のガラス転移温度をTgとした場合に、(Tg+50℃)〜(Tg+460℃)であることが好ましく、(Tg+150℃)〜(Tg+460℃)であることがより好ましく、(Tg+230℃)〜(Tg+460℃)であることがさらに好ましい。
フロートバス内における成形では、通常ガラスリボンが流れる方向の上流側ほど温度が高い。またガラス内のフッ素の拡散は温度が高いほど、すなわち粘度が低いほど活発である。したがって、フロートバス内での当該フッ素処理は、フッ素の侵入深さを増大させる為に、上流で実施すると効果的である。あるいは処理位置のガラスリボンの温度を上昇させることでも同様の効果を得ることができる。
ただし、上流側で処理を行う際、処理後にフロートバス内でガラスリボンが薄くなっていく過程を経ることがある。その場合、フッ素の侵入深さもガラスリボンとともに浅くなる為に、最終的に得られるガラス板のフッ素の侵入深さが、より下流で同じ処理をしたガラス板のフッ素の侵入深さよりも浅くなる場合がある。よって、フロートバス内で当該フッ素処理を実施する場合、フッ素侵入深さを増大するために処理位置を著しく上流側に設けることは、必ずしも効果的ではない。
ガラス板における凹部の発生を抑制し、且つ化学強化後の反りの改善効果を得るためには、フッ素処理を行う際のガラス板の表面温度が(Tg+90)℃以上であることが好ましい。なお、上記にかかわらずガラス板の表面温度は、650℃超であることが好ましい。ガラス板の表面温度が650℃以下でフッ素処理すると凹部が発生しやすくなる。本明細書において、凹部とはSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により視認できるガラス板の表面に発生する微小穴である。ガラス板に凹部が発生することにより、ガラス板の強度が低下する。
凹部は典型的には、表面から深さ方向に縮径した後、略球状の袋状に広がった形状を示す。このような凹部の直径は、縮径部と袋状部の間のくびれ部分の直径を表し、SEM等により観察することができる。凹部の深さは、ガラス表面から袋状部の最深部までの深さを表わし、断面SEM観察等により測定することができる。
本発明における凹部は、大きさまたは直径が10nm以上であるものをいい、通常は20nm以上であり、また典型的には直径が40nm以下である。凹部の深さは通常10nm以上であり、また典型的には150nm以下である。
フッ素濃度が大きい方の表面に凹部が7個/μm超の密度で存在すると、化学強化されたガラス板の強度が低下するおそれがある。したがって、凹部が存在するとしてもその密度は6個/μm以下であることが好ましく、より好ましくは4個/μm以下であり、最も好ましくは0個/μmである。なお、凹部密度が6個/μmのときの凹部平均間隔は460nmである。
図11にHF処理による凹部発生のメカニズムの説明図を示す。ガラスをHF処理することによりフッ化物の生成と揮散が生じ[図11(a)]、HFとガラスの反応によるフッ化物の生成速度が、生成したフッ化物の揮散速度よりも早い場合に、生成したフッ化物が処理面に残存し[図11(b)]、溶融したフッ化物がエッチングしながら結晶成長するとともに溶融塩が減少し[図11(c)]、その結果最終生成物が凹部として観察される[図11(d)]と考えられる。
ガス流量について、フッ素含有流体としてHFを用いた場合を例として述べる。HFでガラス板を処理するにあたっては、HF流量が多いほど化学強化処理時の反り改善効果が大きいため好ましく、全ガス流量が同じ場合は、HF濃度が高いほど、化学強化処理時の反り改善効果が大きくなる。
全ガス流量とHFガス流量とが一定の場合は、ガラス板を処理する時間が長いほど、化学強化処理時の反り改善効果が大きくなる。例えばガラス板を加熱した後に、HFガスを用いてガラス板表面を処理する場合、ガラス板の搬送速度が低いほど化学強化後の反りが改善する。全ガス流量やHF流量をうまくコントロールできない設備でも、ガラス板の搬送速度を適宜コントロールすることによって、化学強化後の反りを改善することができる。
3.化学強化
化学強化は、ガラス転移点以下の温度で、イオン交換により、ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、LiイオンまたはNaイオン)を、イオン半径のより大きなアルカリ金属イオン(典型的には、Kイオン)に交換することで、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理である。化学強化処理は従来公知の方法によって行うことができる。
本発明では、フッ素を導入したガラス板を化学強化することにより、化学強化後の反りが改善されたガラス板を得ることができる。化学強化前のガラス板に対する化学強化後のガラス板の反りの変化量(反り変化量)は、三次元形状測定機(例えば、三鷹光器株式会社製)、または、表面粗さ・輪郭形状測定機(例えば、株式会社東京精密製)で測定することができる。
本発明において、化学強化後の反りの改善は、フッ素含有流体により表面処理する以外は全て同じ条件の実験において、以下に示す式により求める反り変位量により評価する。
反り変位量=ΔX−ΔY
ΔX:未処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ΔY:処理ガラス板の化学強化による反り変化量
ここで、反り変化量は、化学強化後のガラス板の反り量から、化学強化前のガラス板の反り量を減じた値である。反り変化量は、ΔX>0とする。ΔYはΔXと同方向に反る場合にΔY>0、ΔXと逆方向に反る場合はΔY<0とする。
未処理ガラス板の化学強化による反り変化量は、種々の条件に依存しばらつきが大きい。反り変位量が所定値より大きいということは、上記ばらつきにかかわらず反りを制御できることを意味する。したがって、反り変位量が所定値、具体的には10μm以上であるガラス板は、反り問題を低減することができる。
ガラス板のCS(表面圧縮応力)およびDOL(圧縮応力層の深さ)は、表面応力計により測定することができる。化学強化ガラスの表面圧縮応力は600MPa以上であることが好ましく、圧縮応力層の深さは15μm以上であることが好ましい。化学強化ガラスの表面圧縮応力および圧縮応力層の深さを当該範囲とすることにより、優れた強度と耐傷性が得られる。
4.フラットパネルディスプレイ装置
以下、本発明のガラス板を化学強化した後、当該化学強化ガラスをフラットパネルディスプレイ装置のカバーガラスとして用いた例について説明する。図3は、カバーガラスが配置されたディスプレイ装置の断面図である。なお、以下の説明において、前後左右は図中の矢印の向きを基準とする。
ディスプレイ装置40は、図3に示すように、筐体15内に設けられた表示パネル45と、表示パネル45の全面を覆い筐体15の前方を囲うように設けられるカバーガラス30とを備える。
カバーガラス30は、主として、ディスプレイ装置40の美観や強度の向上、衝撃破損防止などを目的として設置されるものであり、全体形状が略平面形状の一枚の板状ガラスから形成される。カバーガラス30は、図3に示すように、表示パネル45の表示側(前側)から離間するように(空気層を有するように)設置されていてもよく、透光性を有する接着膜(図示せず)を介して表示パネル45の表示側に貼り付けられてもよい。
カバーガラス30の表示パネル45からの光を出射する前面には機能膜41が設けられ、表示パネル45からの光が入射する背面には、表示パネル45と対応する位置に機能膜42が設けられている。なお、機能膜41、42は、図3では両面に設けたが、これに限らず前面または背面に設けてもよく、省略してもよい。
機能膜41、42は、例えば、周囲光の反射防止、衝撃破損防止、電磁波遮蔽、近赤外線遮蔽、色調補正、および/または耐傷性向上などの機能を有し、厚さおよび形状などは用途に応じて適宜選択される。機能膜41、42は、例えば、樹脂製の膜をカバーガラス30に貼り付けることにより形成される。あるいは、蒸着法、スパッタ法またはCVD法などの薄膜形成法により形成されてもよい。
符号44は、黒色層であり、例えば、顔料粒子を含むインクをカバーガラス30に塗布し、これを紫外線照射、または加熱焼成した後、冷却することによって形成された被膜であり、筐体15の外側からは表示パネル等が見えなくなり、外観の審美性を向上させる。
このように、ディスプレイ装置のカバーガラスとして本発明のガラス板を用いる場合、表面粗さ(算術平均粗さ)Raが2.5nm以下であることが好ましく、1.5nm以下であることがさらに好ましい。これにより、カバーガラスによってディスプレイ装置の表示像の鮮明さを損なうことを防止できる。ガラス板の表面粗さRaは、JIS B0601(2001年)に準拠して、次のように測定できる。測定装置として、AFM(Atomic Force Microscope:原子間力顕微鏡)、例えばPark Systems社製、XE−HDM用いて、スキャンサイズ1μm×1μmにて3か所測定し、3か所の平均値をガラス板のRa値とする。
以下に本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(ガラス板の組成)
本実施例では、以下の組成を有する硝材A〜Cのガラス板を用いた。
(硝材A)モル%表示で、SiOを64.3%、Alを8.0%、NaOを12.5%、KOを4.0%、MgOを10.5%、CaOを0.1%、SrOを0.1%、BaOを0.1%およびZrOを0.5%含有するガラス(ガラス転移温度604℃)
(硝材B)モル%表示で、SiOを68.0%、Alを10.0%、NaOを14.0%およびMgOを8.0%含有するガラス(ガラス転移温度662℃)
(硝材C)モル%表示で、SiOを68.8%、Alを3.0%、NaOを14.2%、CaOを7.8%、MgOを6.2%およびKOを0.2%含有するガラス(ガラス転移温度552℃)
(硝材D)モル%表示で、SiOを66.5%、Alを4.0%、NaOを15.5%、MgOを11.8%およびCaOを2.1%含有するガラス(ガラス転移温度578℃)
(硝材E)モル%表示で、SiOを66.9%、Alを3.4%、NaOを15.4%、MgOを13.2%およびCaOを1.1%含有するガラス(ガラス転移温度580℃)
(反り量の測定)
化学強化前にサーフコム表面粗さ・輪郭形状測定機(株式会社東京精密製)で反り量を測定した後、各ガラスを化学強化し、化学強化後の反り量も同様に測定し、上述の手順に基づいて反り変位量を算出した。
(表層フッ素割合、ΔF/ΔHO、x)
上述の二次イオン質量分析を用いて、実施例および比較例の化学強化前のガラス板を対象に、フッ素濃度及びHO濃度の厚み方向分布を測定した。この測定結果に基づいて、上述の表層フッ素割合、ΔF/ΔHO、xを得た。
(凹部の有無)
ガラスのHF処理面をSEM観察し、観察視野内(倍率5万〜20万倍)において、凹部が一か所以上観察された場合、凹部有りとした。
(CSおよびDOL)
CSおよびDOLは、折原製作所社製表面応力計(FSM−6000LE)を用いて測定した。
[実施例1]
硝材A(実施例1−1〜1−16、比較例1−1)のガラスリボンが流れるフロートバスにおいてHF処理を実施した。得られたガラスを上述の手順で測定し、表層フッ素割合、ΔF/ΔHO、xを算出した。
得られた板厚0.7mmのガラスを100mm角3枚に切断し、その基板の90mm角部に相当する部分の対角線2本の反りを測定し、その平均値を強化前の反り量とした。その後、450℃に加熱されたKNO熔融塩中にガラスを2時間浸漬し化学強化を行った。次に、基板の90mm角部に相当する部分の対角線2本の反りを測定し、その平均値を強化後の反り量とし、反り変位量を算出した。
尚、比較例1−1はHF処理をしていないリファレンスである。
結果を表1〜2に示す。表1中のHF総接触量(mol/cm)は、下式で求められる。同式中の処理時間とは、HFガスがガラスリボンの表面と接触している時間である。
[HF総接触量(mol/cm)]=[HFガス濃度(体積%)]/100×[ガス流量(mol/s/cm)]×[処理時間(s)]…(b)
また、横軸にΔF/ΔHOを、縦軸に反り変位量(μm)をプロットしたグラフを図9に示す。
Figure 0006428630
Figure 0006428630
表1〜2に示すように、表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つF0−3が0.02より大きい実施例1−1〜1−16は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。なお、実施例1−1〜1−16および比較例1−1について凹部の発生は観察されなかった。
図9に示すように、ΔF/ΔHOと反り変位量とは相関関係(y=26.03x)を示した。化学強化後の反りを改善するためには、反り変位量は10μm以上であることが好ましく、図9に示すグラフから、ΔF/ΔHOを0.38以上とすることにより、化学強化後の反りを効果的に改善できることがわかった。表1〜2に示すように、ΔF/ΔHOが0.38以上である実施例1−1〜1−16は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。また、表1〜2に示すように、x(μm)が5以上である実施例1−1〜1−16は、化学強化後の反りが効果的に改善された。
[実施例2]
硝材Aを硝材Bに変更し、化学強化処理の時間を1.5時間とした以外は実施例1と同様の方法で、硝材B(実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−2)のガラスリボンが流れるフロートバスにおいてHF処理を実施した。得られたガラスを、実施例1と同様の手順で測定し、表層フッ素割合、ΔF/ΔHO、x、強化前の反り量、強化後の反り量、反り変位量等を算出した。尚、実施例2においては、実施例1と比べて、HF処理時のガラスリボンの温度が高く設定される。
比較例2−1〜2−2はHF処理をしていないリファレンスである。
結果を表3〜4に示す。
Figure 0006428630
Figure 0006428630
表3〜4に示すように、表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つF0−3が0.02より大きい実施例2−1〜2−6は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。なお、実施例2−1〜2−6および比較例2−1〜2−2について凹部の発生は観察されなかった。
また、ΔF/ΔHOを0.38以上とすることにより、反り変位量が10μm以上となり、化学強化後の反りを効果的に改善できることがわかった。また、ΔF/ΔHOが0.38以上である実施例2−1〜2−6は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。また、x(μm)が5以上である実施例2−1〜2−6は、化学強化後の反りが効果的に改善された。
[実施例3]
硝材Aを硝材Cに変更し、化学強化処理の温度を420℃、時間を2.5時間とした以外は実施例1と同様の方法で、硝材A(実施例3−1〜3−4、比較例3−1)のガラスリボンが流れるフロートバスにおいてHF処理を実施した。得られたガラスを、実施例1と同様の手順で測定し、表層フッ素割合、ΔF/ΔHO、x、強化前の反り量、強化後の反り量、反り変位量等を算出した。
比較例3−1はHF処理をしていないリファレンスである。
結果を表5〜6に示す。
Figure 0006428630
Figure 0006428630
表5〜6に示すように、表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つF0−3が0.02より大きい実施例3−1〜3−4は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。なお、実施例3−1〜3−4および比較例3−1について凹部の発生は観察されなかった。
また、ΔF/ΔHOを0.38以上とすることにより、反り変位量が10μm以上となり、化学強化後の反りを効果的に改善できることがわかった。また、ΔF/ΔHOが0.38以上である実施例3−1〜3−4は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。また、x(μm)が5以上である実施例3−1〜3−4は、化学強化後の反りが効果的に改善された。
[実施例4]
硝材D(実施例4−1、比較例4−1)のガラス組成となるように原料を調合し、るつぼを用いて溶解後、大きさ50mm×50mm、厚さ0.7mmに加工しガラス板を作製した。図12に示す模式図のように、ガラス板を電気炉内に配置し、雰囲気ガスをN90%およびH10%の雰囲気に置換した後、ガラス板を880℃まで加熱し、表7に示す条件でHF処理を行った。このようにして得られたガラス板を、420℃に加熱されたKNO熔融塩中に2.5時間浸漬し化学強化を行った。
硝材Dを硝材E(実施例4−2、比較例4−2)に変更した以外は、実施例4−1と同様の方法でガラス板の作製、HF処理および化学強化処理を行った。
得られたガラス板を実施例1と同様の手順で測定し、表層フッ素割合、x、強化前の反り量、強化後の反り量、反り変位量等を算出した結果を表7に示す。
比較例4−1〜4−2はHF処理をしていないリファレンスである。
Figure 0006428630
表7に示すように、表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つF0−3が0.02より大きい実施例4−1〜4−2は、化学強化後の反りが効果的に改善されていることがわかった。なお、実施例4−1〜4−2および比較例4−1〜4−2について凹部の発生は観察されなかった。また、x(μm)が5以上である実施例4−1〜4−2は、化学強化後の反りが効果的に改善された。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2013年9月25日付けで出願された日本特許出願(特願2013−198477)及び2013年12月13日付けで出願された日本特許出願(特願2013−258466)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 中央スリット
2 外スリット
4 流路
5 排気スリット
15 筐体
20 ガラス板
30 カバーガラス
40 ディスプレイ装置
41,42 機能膜
45 表示パネル
101 ガラスリボン
102 ビーム
103 ラジエーションゲート
110 ガラスリボンの幅方向
111,112,113 ガス系統
114,115 隔壁
116 ガス吹き穴

Claims (13)

  1. 厚み方向に対向する一方の面のフッ素濃度が他方の面のフッ素濃度より大きいガラス板であって、下式(I)で表される表層フッ素割合が0.1以上0.5未満であり、且つ下式(II)で表されるF0−3が0.02より大きいガラス板。
    表層フッ素割合=F0−3/F0−30…(I)
    式(I)中、F0−3は下式(II)により求める。
    0−3=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜3μmの二次イオン質量分析(SIMS)による平均フッ素濃度(mol%)]×3…(II)
    式(I)中、F0−30は下式(III)により求める。
    0−30=[フッ素濃度が大きい面における深さ0〜30μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)]×30…(III)
  2. 前記表層フッ素割合が0.15以上である請求項1に記載のガラス板。
  3. 前記表層フッ素割合が0.15以上0.4以下である請求項1又は2に記載のガラス板。
  4. 前記表層フッ素割合が0.3以下である請求項3に記載のガラス板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板であって、下式(1)を満たすガラス板。ここで、フッ素濃度は深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)である。
    0.38≦ΔF/ΔHO…(1)
    式(1)中、ΔFは、フッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)からフッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)を減じた値である。
    式(1)中、ΔHOは、フッ素濃度が小さい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)からフッ素濃度が大きい面における深さ1〜24μmのSIMSによる平均HO濃度(mol%)を減じた値の絶対値である。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス板であって、下式(2)を満たすガラス板。ここで、フッ素濃度は深さ1〜24μmのSIMSによる平均フッ素濃度(mol%)である。
    5≦x…(2)
    式(2)中、xはSIMSによるフッ素濃度プロファイルにおいて、任意の深さx(μm)における傾きが下式(3)を満たす最大の深さ(μm)である。
    [F(x+0.1)−F(x)]/0.1=−0.015…(3)
    式(3)中、F(x)は、深さx(μm)におけるSIMSによるフッ素濃度(mol%)を示す。
  7. フロート法により製造されたガラス板である請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス板。
  8. 厚みが1.5mm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板。
  9. 厚みが0.8mm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス板。
  10. 表面粗さRaが2.5nm以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス板。
  11. フッ素濃度が大きい方の表面に直径が10nm以上である凹部が存在しない、または同凹部が6個/μm以下の密度で存在する請求項1〜10のいずれか1項に記載のガラス板。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス板を化学強化して得られるガラス板。
  13. カバーガラスを備えたフラットパネルディスプレイ装置であって、該カバーガラスが請求項12に記載のガラス板であるフラットパネルディスプレイ装置。
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