JPWO2013077440A1 - スピロスタン型トリテルペンを生産するための植物 - Google Patents
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Abstract
加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を蓄積し得るジャガイモ等のナス科植物(Solanaceae)の提供。
グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が抑制されたナス科植物の植物体であって、植物体中に加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を蓄積し得る植物体。
グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が抑制されたナス科植物の植物体であって、植物体中に加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を蓄積し得る植物体。
Description
本発明は、ジャガイモ等ナス科植物において加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を生産する方法、該トリテルペン配糖体の加水分解によりヤモゲニンやネオチゴゲニン等のスピロスタン型トリテルペンを生産する方法、該トリテルペン配糖体を蓄積する新規なジャガイモ等ナス科植物の作出方法、ならびにスピロスタン型トリテルペンを生産するためのジャガイモ等ナス科植物に関する。
スピロスタン型トリテルペンは副腎皮質ホルモンや性ホルモンに代表されるステロイド医薬品の半合成における出発物質として重要である。ジオスゲニンはその代表例であり、全ステロイド医薬品の約6割がジオスゲニンから作られている計算となることが知られている(非特許文献1)。ジオスゲニンを作る材料としてはメキシコヤムイモの野性種が主に利用されている。しかし、環境破壊や資源枯渇の問題から商業的な栽培も行われているが、ヤムイモの単位収量は一般に1.5〜2t/10a(非特許文献2)とされており、栽培期間が4〜5年かかることから期間換算の収量は低い。ジャガイモは実質4〜5ヶ月程度の栽培期間で4t/10a(平成15年北海道じゃがいもの統計データ 農林水産省生産局生産流通振興課)という大きい単位収量が得られ、期間換算の収量が極めて多い作物である。トマトは栽培期間は長いが、単位収量は9t/10aと多いので(平成17年度農林水産省「野菜生産出荷統計」)、期間換算の収量は高い。従って、ジャガイモやトマトでスピロスタン型トリテルペンを生産できるようになれば効果は計り知れない。
非特許文献3ではジャガイモ(Solanum tuberosum)やトマト(Solanum lycopersicum)でスピロスタン型トリテルペンが検出されたという報告を総説しているが、その元になるのは非特許文献4の総説であり、さらに引用されている文献は1966年以前のものであり検出されたことだけが報告され、その後、分析技術が発展した後にも定量的な報告はなされていない。非特許文献5では塊茎を形成するジャガイモのサブセクションに属する野生種で検出される物質を報告している。しかし、ここでは検出されたスピロスタン型トリテルペンはジオスゲニンとチゴゲニンであり、ヤモゲニンとネオチゴゲニンとは、それぞれ構造異性体であり異なる物質である。ここでも定量値については報告されておらず、野生種であり栽培性・単位収量はきわめて低いことが予想される。
ジャガイモは塊茎の芽(萌芽)や花組織に、また光を照射された塊茎に、多くのチャコニンやソラニン等の糖を有するグリコアルカロイドを蓄積する。チャコニンやソラニンの非糖部であるサポゲニンはソラニジンであるが、これはステロイド医薬品の半合成における出発物質にはならないことが知られている(非特許文献1)。トマトも未熟果実や全草にトマチンを物質とするグリコアルカロイドを蓄積する。しかし、ジャガイモやトマトのグリコアルカロイドをスピロスタン型トリテルペン蓄積に変更することを試みた報告はない。
スピロスタン型サポニンは自体の健康機能性については不明な点が多い。粉末化したヤムイモ塊茎やその抽出物は、ホルモン補充療法の代替品として市販されている。体内でのプロゲステロンへの変換は否定的であるが、別の何らかのメカニズムの可能性が報告されている(非特許文献1)。また、滋養強壮に効果があるとされており、近年、抗疲労効果(非特許文献6)や脂肪燃焼促進作用(非特許文献7)の報告もある。ジャガイモ等ナス科植物でこのような滋養強壮に効果のあるものは知られていない。スピロスタン型トリテルペンには大腸癌予防の効果(非特許文献8)、発毛効果(特許文献1)も報告されている。
海老塚豊監訳 「医薬品天然物化学 原書第2版」, 南江堂(2004)p.234-237
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Eich, Soloanaceae and Convolvulaceae: Secondary Metabolite (2008), Springer, p.373-4のTable 7.1
Schreiber, Steroid alkaroids: the Solanum group (1968) 10: 1-192, Acdemic press, p.118-9のTable VII
Petersenら、Biochemical Systematics and Ecology (1993) 21: 629-644
上杉亜由美ら、日本栄養・食糧学会大会講演要旨集 (2007) 61:211
廣田有花ら、日本食品科学工学会大会講演集 (2008) 55:144
三好ら、Cancer Prev. Res. (2011) 4: 924-34
本発明は、ジャガイモ等ナス科植物において加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を生産する方法、該トリテルペン配糖体の加水分解によりヤモゲニンやネオチゴゲニン等のスピロスタン型トリテルペンを生産する方法、該トリテルペン配糖体を蓄積する新規なジャガイモ等ナス科植物の作出方法、ならびにスピロスタン型トリテルペンを生産するためのジャガイモ等ナス科植物の提供を課題とする。
本発明者は、グリコアルカロイドの生合成遺伝子とスピロスタン型トリテルペンの関連について解明すべく鋭意研究を重ねた。その結果、該生合成遺伝子を抑制することによって、ジャガイモ等ナス科植物が加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペンの配糖体を蓄積することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が抑制されたナス科植物の植物体であって、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積し得る植物体。
[2] ナス科植物がジャガイモであり、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかのDNAからなる遺伝子および/または以下の(e)〜(h)のいずれかのDNAからなる遺伝子であり、前記トリテルペン配糖体が加水分解によりヤモゲニンを生成するものである、[1]の植物体:
(a) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c) 配列番号2に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(d) 配列番号2に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(e) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNA;
(f) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(g) 配列番号21に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(h) 配列番号21に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。
(a) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c) 配列番号2に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(d) 配列番号2に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(e) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNA;
(f) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(g) 配列番号21に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(h) 配列番号21に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。
[3] ナス科植物がトマトであり、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が以下の(i)〜(l)のいずれかのDNAからなる遺伝子および/または以下の(m)〜(p)のいずれかのDNAからなる遺伝子であり、前記トリテルペン配糖体が加水分解によりネオチゴゲニンを生成するものである、[1]の植物体:
(i) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNA;
(j) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(k) 配列番号4に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(l) 配列番号4に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(m) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNA;
(n) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(o) 配列番号23に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(p) 配列番号23に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。
(i) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNA;
(j) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(k) 配列番号4に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(l) 配列番号4に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(m) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNA;
(n) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(o) 配列番号23に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(p) 配列番号23に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。
[4] [1]〜[3]のいずれかの植物体を栽培することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させる方法。
[5] [1]〜[3]のいずれかの植物体を栽培することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させ、
蓄積した該配糖体を単離し、
得られた該配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。
蓄積した該配糖体を単離し、
得られた該配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。
[6] (i) ゲノムDNAまたはRNAである核酸をナス科植物から単離する工程、
(ii) (i)の核酸がRNAである場合に逆転写しcDNAを合成する工程、
(iii) (i)または(ii)の工程で得られたDNAから配列番号2、配列番号4、配列番号21または配列番号23に示す塩基配列を含有する遺伝子断片を増幅する工程、ならびに
(iv) DNA中に突然変異および/または多型の存在を決定する工程、
とを含む、ナス科植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の突然変異および/または多型の存在する植物体を選抜する方法。
(ii) (i)の核酸がRNAである場合に逆転写しcDNAを合成する工程、
(iii) (i)または(ii)の工程で得られたDNAから配列番号2、配列番号4、配列番号21または配列番号23に示す塩基配列を含有する遺伝子断片を増幅する工程、ならびに
(iv) DNA中に突然変異および/または多型の存在を決定する工程、
とを含む、ナス科植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の突然変異および/または多型の存在する植物体を選抜する方法。
[7] [6]の方法により選抜された、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子に突然変異および/または多型を有し、グリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制されたナス科植物体。
[8] [6]の方法により選抜された、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の発現能が既存品種に対して抑制されているか、またはグリコアルカロイド生合成酵素の活性が既存品種に対して抑制されており、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積し得るナス科植物体。
[9] [8]の植物体を育種することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させる方法。
[10] [8]の植物体を育種することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させ、
蓄積したスピロスタン型トリテルペンの配糖体を単離し、
得られたスピロスタン型トリテルペンの配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。
蓄積したスピロスタン型トリテルペンの配糖体を単離し、
得られたスピロスタン型トリテルペンの配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2011-258288号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明によれば、ジャガイモ等ナス科植物において、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を蓄積させることができ、該トリテルペン配糖体が蓄積されたジャガイモ等ナス科植物が提供される。本発明により該トリテルペン配糖体を含有していることを特徴とするジャガイモ等ナス科植物の作出が可能になる。これらの植物により生産されたトリテルペン配糖体を加水分解し糖を除去することによりスピロスタン型トリテルペンを得ることができる。スピロスタン型トリテルペンはステロイド化合物の製造原料として用いることができ、本発明のジャガイモ等ナス科植物を用いることにより、様々な有用な生理活性を示すステロイド化合物を大量かつ安価に生産できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスピロスタン型トリテルペンの配糖体(トリテルペンサポニン)を生産するジャガイモ等ナス科植物はグリコアルカロイド生合成酵素をコードするグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子E(以下、遺伝子E)および/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Y(以下、遺伝子Y)、好ましくは遺伝子Eが抑制されており、遺伝子Eによりコードされるグリコルカロイド生合成酵素および/または遺伝子Yによりコードされるグリコルカロイド生合成酵素が発現されず、これらの酵素を欠失している。ここで、ジャガイモ等ナス科には、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、トウガラシ(Capsium annum)等が含まれる。
ここで、遺伝子Eおよび/または遺伝子Yが抑制されているとは、遺伝子Eおよび/または遺伝子Yが発現しないか、発現が低下しているか、あるいは発現してもその発現タンパク質が遺伝子E又は遺伝子Yの発現産物の正常な機能を保持していない、すなわち酵素活性が低下しているか失われていることをいう。遺伝子の抑制は、遺伝子の全部の欠失、一部の欠失、遺伝子の塩基配列の塩基の欠失、置換、付加、挿入等により生じ得る。また、siRNA等によるRNA干渉による抑制によっても生じ得る。本発明の遺伝子Eおよび/または遺伝子Yが抑制されている変異体は、これらの遺伝子が人為的に抑制されたものも、自然界で天然に生じた変異により遺伝子が抑制されたものも含む。
加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体とは、ジャガイモの中では3位に糖修飾されているスピロスタン型トリテルペン、3位か26位、もしくは両方に糖修飾されているフロスタン型トリテルペン、16位、22位、26位が酸化され、3位を含め、そのいずれか、もしくは複数が糖修飾されているコレスタン型トリテルペンである糖鎖の存在を特徴とする。
加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を酸等により加水分解することにより糖鎖が加水分解により除去され、非糖部(アグリコン)が得られる。該非糖部であるスピロスタン型トリテルペンはステロイド医薬品の原料として利用することができる。
ナス科植物に蓄積し得るスピロスタン型トリテルペンの配糖体の非糖部(アグリコン)であるスピロスタン型トリテルペン(サポゲニン)として、ヤモゲニン(yamagenin)、チゴゲニン(tigogenin)、ネオチゴゲニン(neotigogenin)、ソラスピゲニン(solaspigenin)、ネオソラスピゲニン(neosolaspigenin)等が挙げられる。ヤモゲニンはジャガイモにおいて蓄積し、ネオチゴゲニンはトマトにおいて蓄積し、チゴゲニンはCestrum diurnumにおいて蓄積し、ソラスピゲニンおよびネオソラスピゲニンは、Solanum hispidumにおいて蓄積する。
1.グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子EおよびYがコードするグリコアルカロイド生合成酵素
本発明の遺伝子EおよびYがコードするグリコアルカロイド生合成酵素は、ジャガイモ等ナス科植物(Solanaceae)に含まれるグリコアルカロイド生合成酵素である。ジャガイモ等ナス科には、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、トウガラシ(Capsium annum)等が含まれる。また、該酵素は、膜結合型のチトクロームP450モノオキシダーゼ(遺伝子E)とアミノトランスフェラーゼ(遺伝子Y)である。前記酵素により得られるグリコアルカロイドは、ジャガイモ等のナス科植物に合成されるグリコアルカロイドが含まれ、例えばジャガイモのチャコニン及びソラニン等のグリコアルカロイド、トマトのトマチン等のグリコアルカロイドが挙げられる。
本発明の遺伝子EおよびYがコードするグリコアルカロイド生合成酵素は、ジャガイモ等ナス科植物(Solanaceae)に含まれるグリコアルカロイド生合成酵素である。ジャガイモ等ナス科には、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、トマト(Solanum lycopersicum)、ナス(Solanum melongena)、トウガラシ(Capsium annum)等が含まれる。また、該酵素は、膜結合型のチトクロームP450モノオキシダーゼ(遺伝子E)とアミノトランスフェラーゼ(遺伝子Y)である。前記酵素により得られるグリコアルカロイドは、ジャガイモ等のナス科植物に合成されるグリコアルカロイドが含まれ、例えばジャガイモのチャコニン及びソラニン等のグリコアルカロイド、トマトのトマチン等のグリコアルカロイドが挙げられる。
前記グリコアルカロイド生合成酵素の基質となる好ましいステロイド化合物としては、C−26−OH体もしくはC−26−oxo体であるコレステロール類が挙げられる。コレステロール類としては、コレステロール、シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロールなどが挙げられる。前記グリコアルカロイド生合成酵素はこれらに水酸基を転移する水酸化酵素である。
遺伝子Eがコードする酵素の全長アミノ酸配列は、配列番号1または3に示される。配列番号1はジャガイモ(Solanum tuberosum)由来の酵素のアミノ酸配列を示し、配列番号3はトマト(Solanum lycopersicum)由来の酵素のアミノ酸配列を示す。また、遺伝子Yがコードする酵素の全長アミノ酸配列は、配列番号20または22に示される。配列番号20はジャガイモ(Solanum tuberosum)由来の酵素のアミノ酸配列を示し、配列番号22はトマト(Solanum lycopersicum)由来の酵素のアミノ酸配列を示す。さらに、該酵素には、配列番号1に示されるアミノ酸配列、配列番号3に示されるアミノ酸配列、配列番号20に示されるアミノ酸配列または配列番号22に示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質からなる酵素を包含する。ここで、実質的に同一のアミノ酸配列としては、当該アミノ酸配列に対して1または数個(1〜10個、好ましくは1〜7個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個もしくは2個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列、または当該アミノ酸配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータ)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の配列同一性を有しているアミノ酸配列が挙げられる。
本発明のグリコアルカロイド生合成酵素は、植物体から単離された天然のグリコアルカロイド生合成酵素および遺伝子工学の手法により製造されたリコンビナントのグリコアルカロイド生合成酵素を含む。
2.グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子EおよびY
グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子EおよびYは、ステロイド化合物に水酸基を結合する活性(遺伝子E)またはアミノ基を転移する活性(遺伝子Y)を持つグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子である。
グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子EおよびYは、ステロイド化合物に水酸基を結合する活性(遺伝子E)またはアミノ基を転移する活性(遺伝子Y)を持つグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子である。
グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子EのDNAの塩基配列は、配列番号2または4に示される。また、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子YのDNAの塩基配列は、配列番号21または23に示される。図1−1〜図1−3に、ジャガイモとトマトの遺伝子Eの相同性をDNA解析ソフトGENETYX(ゼネティックス社)で解析した結果を示し、図7−1〜図7−3にジャガイモとトマトの遺伝子Yの相同性をDNA解析ソフトGENETYX(ゼネティックス社)で解析した結果を示す。さらに、配列番号2、4、21または23に示される塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA、配列番号2、4、21または23に示される塩基配列と、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool at the National Center for Biological Information(米国国立生物学情報センターの基本ローカルアラインメント検索ツール))等(例えば、デフォルトすなわち初期設定のパラメータを用いて)を用いて計算したときに、少なくとも85%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上の配列同一性を有しているDNA、または前記DNAによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列に対して1または数個(1〜10個、好ましくは1〜7個、さらに好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個もしくは2個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAであって、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質を有するタンパクをコードするDNAを包含する。ここで、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、「1XSSC、0.1% SDS、37℃」程度の条件であり、より厳しい条件としては「0.5XSSC、0.1% SDS、42℃」程度の条件であり、さらに厳しい条件としては「0.2XSSC、0.1% SDS、65℃」程度の条件である。さらに、本発明の遺伝子は、配列番号2、4、21または23に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNAを包含する。
3.グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの抑制
ナス科植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yは種々の方法を用いて人為的に抑制することができる。例えば、RNAiを利用することにより遺伝子の発現を抑制することができる。RNAiは植物体内で発現を抑制しようとする遺伝子に相補的なRNA断片を発現させることにより行うことができる。例えば、RNA断片を発現し得る組換えベクターを植物体に導入すればよい。RNAiに用いられるRNAは、その長さは限定されない。本発明のオリゴRNAの長さとしては、例えば、10〜100塩基であり、好ましくは15〜25塩基であり、さらに好ましくは19〜23塩基である。
ナス科植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yは種々の方法を用いて人為的に抑制することができる。例えば、RNAiを利用することにより遺伝子の発現を抑制することができる。RNAiは植物体内で発現を抑制しようとする遺伝子に相補的なRNA断片を発現させることにより行うことができる。例えば、RNA断片を発現し得る組換えベクターを植物体に導入すればよい。RNAiに用いられるRNAは、その長さは限定されない。本発明のオリゴRNAの長さとしては、例えば、10〜100塩基であり、好ましくは15〜25塩基であり、さらに好ましくは19〜23塩基である。
また、公知の相同組換え法により、遺伝子を欠失させてもよい。相同組換え法は、染色体上の遺伝子と外来DNAとの間で相同的遺伝子組換えによって目的の遺伝子だけを任意に改変する方法をいい、タンパク質をコードする配列を分断する目的で、その遺伝子のエクソンに別のDNA配列を挿入する。遺伝子の配列情報を基にターゲティングベクターを設計・作製し、該ターゲティングベクターを用いて抑制しようとする遺伝子を相同組換えすればよい。
該ベクターには、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー等の遺伝子の発現や抑制に関する構成要素が組込まれ、必要に応じて、選択マーカー(例えば、薬物耐性遺伝子、抗生物質耐性遺伝子、レポーター遺伝子)を含有する。遺伝子の発現や抑制に関する構成要素は、その性質に応じて、それぞれが機能し得る形で組換えベクターに組み込まれることが好ましい。そのような操作は、当業者であれば適切に行うことができる。
その他、アンチセンス法、リボザイム法、レトロウイルスを用いた方法、トランスポゾンを用いた方法等により遺伝子を抑制することができる。上記の遺伝子の抑制に用いる組換えベクターを植物に導入することにより遺伝子が抑制された植物体を得ることができる。組換えベクターの導入方法は、微生物にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohenら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 69:2110(1972)]、エレクトロポレーション法、トリペアレンタルメイティング(tri-parental mating)法等が挙げられる。また、形質転換植物体を作製する方法として、ウイルス、アグロバクテリウムのTiプラスミド、Riプラスミド等をベクターとして用いる方法が挙げられる。形質転換植物体は、本発明の遺伝子で形質転換した植物細胞を再生させることにより得ることができる。植物細胞からの植物体の再生は公知の方法により行うことができる。
上記の方法により得られた植物を栽培することにより加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を生産することができる。
4.遺伝子変異、多型個体、遺伝子発現変異の選抜
本発明は、植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの突然変異、一塩基多型(SNP)等の多型、遺伝子発現変異の存在を検出し、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yが抑制された個体を選抜するための方法を提供する。変異個体は放射線によるもの、化学処理によるもの、UV照射によるもの、自然突然変異によるものであっても構わない。
本発明は、植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの突然変異、一塩基多型(SNP)等の多型、遺伝子発現変異の存在を検出し、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yが抑制された個体を選抜するための方法を提供する。変異個体は放射線によるもの、化学処理によるもの、UV照射によるもの、自然突然変異によるものであっても構わない。
この方法には、ゲノムDNAやRNAを変異個体や様々な品種や育成個体の植物から単離し、後者は逆転写しcDNAを合成する工程と、DNA増幅技術の使用によりDNAからグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yを含有する遺伝子断片を増幅する工程と、このDNA中に突然変異の存在を決定する工程が含まれる。DNAやRNAを抽出する方法には市販のキット(例えばDNeasyやRNeasy(キアゲン社)など)が使用できる。cDNAを合成する方法も市販キット(例えばスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)など)を使うことができる。DNA増幅技術の使用により遺伝子断片を増幅する方法としては、いわゆるPCR法やLAMP法などの技術を用いることができる。これらは継続的なポリメラーゼ反応により特異的なDNA配列の増幅(つまり、コピー数を増やすこと)を達成するためにポリメラーゼを使用することを基にした、一群の技術を意味する。この反応は、クローニングの代わりに使用することができるが、必要であるのは、核酸配列に関する情報のみである。DNAの増幅を行うために、増幅しようとするDNAの配列に相補的なプライマーを設計する。次にそのプライマーを自動DNA合成により作成する。DNA増幅方法は、当技術分野で周知であり、本明細書中で与えられる教示及び指示に基づき、当業者であれば容易に行うことができる。いくつかのPCR法(ならびに関連技術)は、例えば、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、およびInnisら編、PCR Protocols:A guide to method and applicationsで述べられている。
DNA中に突然変異や多型の存在を決定する工程では塩基配列の決定(アプライドバイオシステムズ社)やミスマッチペアの片側を切断する酵素を用いて突然変異体を検出するTILLING法(Tillら, 2003, Genome Res 13:524-530)など変異遺伝子と正常遺伝子の相同性を利用し検出する方法を用いればよい。これらは該技術から得られた配列データを遺伝子部分に関する配列番号2、配列番号4、配列番号21または配列番号23に表される塩基配列と比較することで行うことができる。
mRNA量の違いを決定する工程では上記cDNAに対し、配列番号2、配列番号4、配列番号21または配列番号23に表される塩基配列に基づいて作製したプライマーを利用してリアルタイムPCR法(ロシュ・ダイアグノスティックス社ライトサイクラーなど)等の定量的PCRを採用すればよい。その後、例えば、品種「サッシー」から得られたcDNAの量と比較することでmRNA量の違いを決定することができる。
特に好ましい実施形態において、上記で定義したグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの変異の存在の決定方法を、ナス科植物(Solanaceae)のジャガイモ(Solanum tuberosum)またはトマト(Solanum lycopersicum)から得られた材料に適用する。
上記の突然変異および/または多型を決定する方法により、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の突然変異や多型を塩基レベルで同定することができ、さらにグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yに突然変異および/または多型を有する植物体を選抜することができる。本発明はこのようにして得られたグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yに突然変異や多型を有する植物体を包含する。
また、突然変異や多型の決定やmRNA量の違いの決定、さらに方法について後述するグリコアルカロイド含量やスピロスタン型トリテルペンの配糖体含量の分析により、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの発現能またはこれらの遺伝子がコードするグリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制されている植物を選抜することが可能になる。
ここで、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの発現能またはこれらの遺伝子をコードするグリコアルカロイド生合成酵素の活性の抑制とは、人為的突然変異等の突然変異による遺伝子の発現能またはグリコアルカロイド生合成酵素の活性の抑制ならびに多型による遺伝子の発現能またはグリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制されていることを含む。
ある植物のグリコアルカロイド生合成酵素活性の突然変異による抑制は、その植物の種に含まれる既存品種に対する抑制をいい、既存品種には野生型も含まれるが、自然状態で出現した野生種であっても、すでに産業上利用されている品種でなければ既存品種には含めない。既存の品種は、グリコアルカロイド生合成酵素活性が抑制された植物が得られたときに存在するすべての品種をいい、交配、遺伝子操作等の人為的操作により作出された品種を含む。また、活性の抑制において、すべての既存品種に対して、活性が抑制されている必要はなく、特定の既存品種に対して抑制されていれば、「グリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制された植物」に含まれる。「グリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制された植物」は、人為的操作を受けず自然状態で突然変異により活性が抑制された植物も含み、本発明の方法により、自然状態で活性が抑制された植物を選抜することができ、新たな品種として確立することもできる。また、ある既存品種に変異誘発処理を行い、グリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制された植物を作出した場合、比較対象は変異誘発処理を行った品種と同じ既存品種でもよいし、それ以外の他の既存品種でもよい。また、自然界からの選抜あるいは変異誘発処理により作出された、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子に突然変異や多型を有する植物を交配することにより、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の変異が固定されグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子の発現能またはグリコアルカロイド生合成酵素活性が抑制された植物新品種として得ることもできる。
例えば、植物がジャガイモ(Solanum tuberosum)の場合、既存品種として、「シンシア」、「サッシー」、「シェリー」、「男爵」、「メークイーン」、「さやか(農林登録番号:農林36号)」等がある。ここで、グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの発現能またはこれらの遺伝子がコードするグリコアルカロイド生合成酵素の活性が既存品種に対して抑制された植物とは、既存品種に対してグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yの発現能が低下しているか失われた植物を含む。
このような植物体は、グリコアルカロイド生合成酵素の合成量が低いか、又は合成できず、植物体中のグリコアルカロイド生合成酵素の含量が低いか、又はグリコアルカロイド合成酵素が存在せず、あるいはグリコアルカロイド合成酵素の活性が低いか又は喪失している。その結果、植物体内においてグリコアルカロイドが生産されず、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体が蓄積する。ナス科植物がジャガイモの場合は加水分解するとヤモゲニンになる配糖体がジャガイモの塊茎を含む植物体に蓄積し、トマトの場合は加水分解するとネオチゴゲニンになる配糖体が実を含む植物体に蓄積する。従って、このような植物を育種・栽培することにより加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を生産することができる。植物体に蓄積した加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体は公知の方法で単離することができる。すなわち、有機溶媒を用いて抽出単離することができる。植物体から得られた加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を酸等により加水分解することにより糖鎖が切断され、非糖部であるスピロスタン型トリテルペンが得られる。該スピロスタン型トリテルペンはステロイド化合物の製造原料として用いることができ、ステロイド医薬品等を製造することができる。
本発明のグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が抑制されたナス科植物の植物体であって、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積し得る植物体においては、例えば植物がジャガイモの場合、得られたトリテルペン配糖体を加水分解した場合に得られるヤモゲニン量は、塊茎では5μg/100 mg 乾重量以上、好ましくは10μg/100 mg 乾重量以上、さらに好ましくは20μg/100 mg 乾重量以上、さらに好ましくは30μg/100 mg 乾重量以上、特に好ましくは40μg/100 mg 乾重量以上である。また、萌芽では10μg/100 mg 乾重量以上、好ましくは20μg/100 mg 乾重量以上、さらに好ましくは30μg/100 mg 乾重量以上、特に好ましくは40μg/100 mg 乾重量以上である。さらに、植物がトマトの場合、得られたトリテルペン配糖体を加水分解した場合に得られるネオチゴゲニン量はヤモゲニン当量で、8μg/100 mg 乾重量以上、好ましくは10μg/100 mg 乾重量以上、さらに好ましくは15μg/100 mg 乾重量以上、特に好ましくは20μg/100 mg 乾重量以上である。
また、植物を育種・栽培する際に、光を照射することにより、植物体に加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体がより多量に蓄積し得、その結果多量のスピロスタン型トリテルペンを得ることが期待できる。
以下、本発明を、実施例を示してより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Eの全長配列の取得
ジャガイモ(Solanum tuberosum)の品種「サッシー」の萌芽からmRNAの抽出をRNeasy(キアゲン社)で行った。全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。グリコアルカロイドのアグリコンはコレステロールからできるといわれているが確証はない(非特許文献1)。しかし、近縁の化合物から作られると仮定しても幾つかの水酸化の過程が必要になる。水酸化の過程には少なくともチトクロームP450型モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、NADPH-flavin リダクターゼの3種の可能性が考えられる。この中からP450型を標的に考え、ジャガイモの発現する遺伝子は公開されている情報のDFCI Potato Gene Index (http://compbio.dfci.harvard.edu/tgi/plant.html) Release 11.0から萌芽で多くのESTクローンが単離されている遺伝子TC155233に注目した。
ジャガイモ(Solanum tuberosum)の品種「サッシー」の萌芽からmRNAの抽出をRNeasy(キアゲン社)で行った。全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。グリコアルカロイドのアグリコンはコレステロールからできるといわれているが確証はない(非特許文献1)。しかし、近縁の化合物から作られると仮定しても幾つかの水酸化の過程が必要になる。水酸化の過程には少なくともチトクロームP450型モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、NADPH-flavin リダクターゼの3種の可能性が考えられる。この中からP450型を標的に考え、ジャガイモの発現する遺伝子は公開されている情報のDFCI Potato Gene Index (http://compbio.dfci.harvard.edu/tgi/plant.html) Release 11.0から萌芽で多くのESTクローンが単離されている遺伝子TC155233に注目した。
この配列を元にプライマー[U890: GAGGCTAAGAAAAAGAGAGAGAGA (配列番号6)、U889:CGTTCTACAAAAACATCCAATTT (配列番号7)]を用いてPCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃3分)を30回、72℃10分)を行った。増幅産物をTOPOTAクローニングキットシークエンシング用(インビトロジェン社)を用いてクローニングした。さらにABI310(アプライドバイオシステムズ社)を用いて塩基配列を決定した。ORFを含む部分を配列番号2に、cDNA配列からコードされる酵素のアミノ酸配列を配列番号1に示す。
なお、トマトの相同遺伝子は、ナス科ゲノムネットワーク(http://solgenomics.net/index.pl)の、SGN-U583521に相当する。ORFを含む部分を配列番号4に、cDNA配列からコードされる酵素のアミノ酸配列を配列番号3に示す。これらの遺伝子の塩基配列を比較したところ相同性は95%であった。このトマトの相同遺伝子のゲノム配列は同じくナス科ゲノムネットワークのSL1.00sc03540としてゲノム構造が掲載され7つのイントロンを含むことが報告されている。しかし、同ホームページには、なんら機能に関する報告はない(図1−1〜1−3)。
(実施例2)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Eのゲノム遺伝子の単離
ゲノムDNAをRNeasy(キアゲン社)で「サッシー」から抽出した。実施例1と同じプライマー並びに(U904: TGATAAGGAAATCCTGGGAGA(配列番号8)、U901: AGAGAAGCCATGAAGGATGG(配列番号9))を用いて、さらに第2イントロンは酵素をPrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)とプライマー(U898: GAAATACGCTACTACGGAAGAACC(配列番号10)とU899: CGTCATTTGCCTAATCTCATC(配列番号11))を用いてPCRを行い、全長ゲノムDNAの塩基配列を決定した(配列番号5)。イントロンは7箇所あることが明らかになった。
ゲノムDNAをRNeasy(キアゲン社)で「サッシー」から抽出した。実施例1と同じプライマー並びに(U904: TGATAAGGAAATCCTGGGAGA(配列番号8)、U901: AGAGAAGCCATGAAGGATGG(配列番号9))を用いて、さらに第2イントロンは酵素をPrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)とプライマー(U898: GAAATACGCTACTACGGAAGAACC(配列番号10)とU899: CGTCATTTGCCTAATCTCATC(配列番号11))を用いてPCRを行い、全長ゲノムDNAの塩基配列を決定した(配列番号5)。イントロンは7箇所あることが明らかになった。
(実施例3)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Eの抑制形質転換体を作成するためのベクター構築
遺伝子を形質転換によって抑制する方法としては、強力なプロモーターで駆動する構成を持つ逆方向の相補鎖遺伝子断片の発現(植物で一般的にRNAi法と呼ばれる)で行った[Chuangと Meyerowitz Proc Natl Acad Sci U S A., 97, 4985-90 (2000)、WesleyらPlant J., 27, 581-90 (2001)]。実施例1で取得した全長cDNAに対し、プライマー[U675: GAGCTCTAGAGGTTTGGGACAGGAGGAAT (配列番号12)、U676: GGATCCATATGCAAGCCTGTGCATCTTAT (配列番号13)]を用いてPCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒)を30回、72℃10分)を行い、遺伝子断片を取得した。バイナリーベクターpKT11(特開2001-161373号公報)を基本として、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーター、当該遺伝子断片を順方向、シロイヌナズナのフィトエンデサチュラーゼ遺伝子(AT4g14210)の第3イントロン、当該遺伝子断片を逆方向、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターの順に連結を行い、植物形質転換用ベクターpKT230を作成した(図2)。
遺伝子を形質転換によって抑制する方法としては、強力なプロモーターで駆動する構成を持つ逆方向の相補鎖遺伝子断片の発現(植物で一般的にRNAi法と呼ばれる)で行った[Chuangと Meyerowitz Proc Natl Acad Sci U S A., 97, 4985-90 (2000)、WesleyらPlant J., 27, 581-90 (2001)]。実施例1で取得した全長cDNAに対し、プライマー[U675: GAGCTCTAGAGGTTTGGGACAGGAGGAAT (配列番号12)、U676: GGATCCATATGCAAGCCTGTGCATCTTAT (配列番号13)]を用いてPCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒)を30回、72℃10分)を行い、遺伝子断片を取得した。バイナリーベクターpKT11(特開2001-161373号公報)を基本として、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーター、当該遺伝子断片を順方向、シロイヌナズナのフィトエンデサチュラーゼ遺伝子(AT4g14210)の第3イントロン、当該遺伝子断片を逆方向、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターの順に連結を行い、植物形質転換用ベクターpKT230を作成した(図2)。
(実施例4)ジャガイモ形質転換植物体の作出
実施例3で作製したベクターをエレクトロポレーション法(GelvinとSchilperoor編, Plant Molecular Biology Manual, C2, 1-32 (1994), Kluwer Academic Publishers)により、アグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株に導入した。ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株を、50ppmのカナマイシンを含むYEB液体培地[5g/lビ−フエキス、1g/l酵母エキス、5g/lペプトン、5g/lスクロ−ス、2mM硫酸マグネシウム(pH7.2)]にて28℃、12時間振とう培養した。培養液1.5 mlを10,000rpm、3分間遠心して集菌後、カナマイシンを除くために1mlのLB培地で洗浄した。更に10,000rpm、3分間遠心して集菌後、1.5 mlの3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]に再懸濁し、感染用菌液とした。
実施例3で作製したベクターをエレクトロポレーション法(GelvinとSchilperoor編, Plant Molecular Biology Manual, C2, 1-32 (1994), Kluwer Academic Publishers)により、アグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株に導入した。ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株を、50ppmのカナマイシンを含むYEB液体培地[5g/lビ−フエキス、1g/l酵母エキス、5g/lペプトン、5g/lスクロ−ス、2mM硫酸マグネシウム(pH7.2)]にて28℃、12時間振とう培養した。培養液1.5 mlを10,000rpm、3分間遠心して集菌後、カナマイシンを除くために1mlのLB培地で洗浄した。更に10,000rpm、3分間遠心して集菌後、1.5 mlの3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]に再懸濁し、感染用菌液とした。
ジャガイモの形質転換は[門馬(1990)植物組織培養7:57-63]に従い実施した。ジャガイモ品種「サッシー」(キリンアグリバイオ社)から得られたマイクロチューバーを2〜3mmにスライスし、アグロバクテリウム感染用の材料とした。これを上記のアグロバクテリウムの菌液に浸した後、滅菌済みの濾紙上に置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内のMS培地(Zeatin 1ppm, IAA 0.1ppm, アセトシリンゴン100μM、及び寒天0.8%を含む)上に置き、培養は3日間25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で行った。ついで、アセトシリンゴンの代わりにカルベニシリン250ppmを含んだ培地で1週間培養した。その後、さらにカナマイシン50 ppmを含む培地上に移し、2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。伸張したシュートをカルベニシン250 ppm及びカナマイシン100 ppmを含み、植物生長調節物質を含まないMS培地に置床した。発根したシュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ここで、カナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、TAAAGCACGAGGAAGCGGT(配列番号14)、及びGCACAACAGACAATCGGCT(配列番号15)を用いた。以上から、ベクターpKT230が導入されたジャガイモの形質転換植物体30系統を取得した。
(実施例5)形質転換植物体のグリコアルカロイド含量と候補遺伝子Eの発現解析
アルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた以下の方法(特許公開2011−27429)によりグリコアルカロイド含量を測定した。
アルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた以下の方法(特許公開2011−27429)によりグリコアルカロイド含量を測定した。
実施例4で得られた30個体のin vitro茎を継代後一ヶ月伸張させ、その部分を2-4本をまとめて約100mgにし0.1%ギ酸 in 80%MeOH aq. 990μLおよび内部標準としてブラシノライド(ブラシノ社)10μg/10μLを添加し、ミキサーミルで破砕した(1/25 sec, 10 min, 4℃)。得られた破砕物を遠心分離(10,000 rpm, 5 min, 4℃)に供しアルコール沈殿を行った。上清25μLを分取し、0.1%ギ酸水で475μLを加え、マルチスクリーンソルビナート(ミリポア社)でフィルターろ過しLC-MS(島津製作社、LCMS-2010EV、またはウォーターズ社、Alliance e2795 Q-micro)を用い解析した。LCの条件はカラム(XBridgeTMShield RP18-5(φ2.1×150 mm, ウォーターズ社))で移動相(A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10):B:アセトニトリル=40:60)アイソクラティック(カラムオーブン:40℃)で分離し解析した。標準品(チャコニン、ソラニン(いずれもシグマ・アルドリッチ社))を用いて定量した。
30個体のうち5系統(#8, #17, #22, #27, #29)においてはグリコアルカロイドの蓄積が再現性よく低かったことから、低くなかった1系統(#2)と遺伝子を導入していない対照の個体2つを同じくin vitro茎を液体窒素で粉砕し、半分をグリコアルカロイド含量の測定、半分をmRNAの抽出をRNeasy(キアゲン社)で行い、全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。これらの個体はグリコアルカロイドの蓄積が非形質転換体(2個体)と比較して極めて低く(図3)、さらにプライマー [U887: TAAGGGACTCAAGGCTCGAA (配列番号16)、U886: TTCCTCTTTGGCTTTCTCCA (配列番号17)]を用いたRT-PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃3分)を25回、72℃5分)の結果、mRNAの発現はいずれの個体も極めて少ないか観察できなかった(図4)。このことから、候補遺伝子Eの遺伝子の発現を抑制することによってグリコアルカロイドの蓄積が極端に減少することが明らかとなり、候補遺伝子Eはグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子であることが明らかとなった。非形質転換体とともに、これら5系統のin vitro植物を増殖し、各3個体を市販されている野菜用の培養土に馴化しバイオハザード温室で定法に従い栽培し塊茎を収穫した。この5系統の各個体(#8, #17, #22, #27, #29)は非形質転換体と同等の生育を示し、同等の塊茎を収穫することができた(表1)。
さらに収穫した塊茎各3つの中央部表皮を約1mmで剥離し同様にグリコアルカロイド含量を解析した。その結果、驚くべきことに、塊茎でのグリコアルカロイドは極めて低く、同様な方法で測定した、グリコアルカロイドの低い品種として知られている「さやか」と比較しても、それ以下であることが確認できた(図5)。
(実施例6)トマト形質転換植物体の作出
トマトの形質転換は[Sunら (2006) Plant Cell Physiol. 47:426-431.]に従い実施した。(実施例3)で作製したベクターpKT230を含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL0株を培養し感染用菌液とした。トマト(Solanum lycopersicum)実験系統「マイクロトム」の無菌播種植物体の子葉の5mm以下の切片を、上記のアグロバクテリウム懸濁液に浸し、10分間感染した後、滅菌済みの濾紙上に葉を置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内の共存MS培地(ゼアチン1.5mg/l、アセトシリンゴン40μM及びゲルライト0.3%を含む)[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]上に葉を置き、シャーレを暗所で3日間25℃で培養した。切片は選択MS培地1(ゼアチン1.5mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。さらにシュートを伸張させるため、選択MS培地2(ゼアチン1.0mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)に移植し、伸張したシュートは選択1/2濃度MS培地(カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で発根させた。シュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ここで、カナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、TAAAGCACGAGGAAGCGGT(配列番号18)、及びGCACAACAGACAATCGGCT(配列番号19)を用いた。以上から、ベクターpKT230が導入されたトマトの形質転換植物体13系統を取得した。得られた13個体を温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉の3枚から各約100mg秤量し、ジャガイモと同様にアルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた実施例5の方法によりグリコアルカロイド含量を測定した。ただし、分析条件は、移動相には、移動相A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10)および移動相B:MeCNを、上記試料溶媒についてA:B=60:40の割合でアイソクラティック条件を用いた。13系統のうち4系統は対照の1/5である新鮮重100mgあたり280μg以下と顕著にトマチン含量が低かった(図6)。
トマトの形質転換は[Sunら (2006) Plant Cell Physiol. 47:426-431.]に従い実施した。(実施例3)で作製したベクターpKT230を含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL0株を培養し感染用菌液とした。トマト(Solanum lycopersicum)実験系統「マイクロトム」の無菌播種植物体の子葉の5mm以下の切片を、上記のアグロバクテリウム懸濁液に浸し、10分間感染した後、滅菌済みの濾紙上に葉を置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内の共存MS培地(ゼアチン1.5mg/l、アセトシリンゴン40μM及びゲルライト0.3%を含む)[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]上に葉を置き、シャーレを暗所で3日間25℃で培養した。切片は選択MS培地1(ゼアチン1.5mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。さらにシュートを伸張させるため、選択MS培地2(ゼアチン1.0mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)に移植し、伸張したシュートは選択1/2濃度MS培地(カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で発根させた。シュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ここで、カナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、TAAAGCACGAGGAAGCGGT(配列番号18)、及びGCACAACAGACAATCGGCT(配列番号19)を用いた。以上から、ベクターpKT230が導入されたトマトの形質転換植物体13系統を取得した。得られた13個体を温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉の3枚から各約100mg秤量し、ジャガイモと同様にアルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた実施例5の方法によりグリコアルカロイド含量を測定した。ただし、分析条件は、移動相には、移動相A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10)および移動相B:MeCNを、上記試料溶媒についてA:B=60:40の割合でアイソクラティック条件を用いた。13系統のうち4系統は対照の1/5である新鮮重100mgあたり280μg以下と顕著にトマチン含量が低かった(図6)。
(実施例7)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子E変異植物のスクリーニング
3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]などで継代したジャガイモのインビトロ植物体に量子ビーム照射(NIRS-HIMAC照射装置、アルゴンイオンビーム500MeV/核子を0.1から3Gyまたは、ネオンイオンビーム400Mev/核子を0.2から3Gy、または炭素イオンビーム290MeV/核子を0.5Gyから5Gy)で変異処理を行う。変異処理後、生育した植物体からそれぞれ葉を採取し常法によりゲノムDNAを採取する。当該ゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー[U890: GAGGCTAAGAAAAAGAGAGAGAGA (配列番号6)、U889:CGTTCTACAAAAACATCCAATTT (配列番号7)、U904: TGATAAGGAAATCCTGGGAGA(配列番号8)、U901: AGAGAAGCCATGAAGGATGG(配列番号9))、さらに第2イントロンは酵素をPrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)とプライマー(U898: GAAATACGCTACTACGGAAGAACC(配列番号10)とU899: CGTCATTTGCCTAATCTCATC(配列番号11)]を用いて構造遺伝子を、PCRを行い、E遺伝子の含まれる領域を取得し、さらに遺伝子クローニング用キットなどを用いてクローニングする。クローニングされた領域の塩基配列を決定し、E遺伝子に変異の生じた個体を選抜することができる。
3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]などで継代したジャガイモのインビトロ植物体に量子ビーム照射(NIRS-HIMAC照射装置、アルゴンイオンビーム500MeV/核子を0.1から3Gyまたは、ネオンイオンビーム400Mev/核子を0.2から3Gy、または炭素イオンビーム290MeV/核子を0.5Gyから5Gy)で変異処理を行う。変異処理後、生育した植物体からそれぞれ葉を採取し常法によりゲノムDNAを採取する。当該ゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー[U890: GAGGCTAAGAAAAAGAGAGAGAGA (配列番号6)、U889:CGTTCTACAAAAACATCCAATTT (配列番号7)、U904: TGATAAGGAAATCCTGGGAGA(配列番号8)、U901: AGAGAAGCCATGAAGGATGG(配列番号9))、さらに第2イントロンは酵素をPrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ社)とプライマー(U898: GAAATACGCTACTACGGAAGAACC(配列番号10)とU899: CGTCATTTGCCTAATCTCATC(配列番号11)]を用いて構造遺伝子を、PCRを行い、E遺伝子の含まれる領域を取得し、さらに遺伝子クローニング用キットなどを用いてクローニングする。クローニングされた領域の塩基配列を決定し、E遺伝子に変異の生じた個体を選抜することができる。
(実施例8)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Yの全長配列の取得
ジャガイモ(Solanum tuberosum)の品種「サッシー」の萌芽からmRNAの抽出をRNeasy(キアゲン社)で行った。全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。近年、大山らはグリコアルカロイドのアミノ基の導入は26位のアルデヒド体を経由することを示している(第28回日本植物細胞分子生物学会(仙台)大会 講演要旨集(2010)p.165 )。このアルデヒド体へのアミノ基転移反応にはアミノトランスフェラーゼが介在することが予想されるが、類似する反応は全く知られていない。そこで、同じナス科のトウガラシで、全く違う構造体であるバニリンからバニリルアミンを触媒する酵素をコードする遺伝子pAMTを参考とすることとした(Langら Plant J. (2009) 59: 953-961)。ナス科ゲノムネットワーク(http://solgenomics.net/index.pl)に登録されているunigeneをNCBI Blast法によって検索したところ、相同性の指標であるE valueが極めて低く、アライメントした際のアミノ酸の同一性が80%以上の遺伝子断片を6つ見出すことができた(SGN-U268561, SGN-U268558, SGN-U277939, SGN-U268560, SGN-U268559, SGN-U274756)。この中から萌芽で多くのESTクローンが単離されている遺伝子SGN-U268561に注目した。
ジャガイモ(Solanum tuberosum)の品種「サッシー」の萌芽からmRNAの抽出をRNeasy(キアゲン社)で行った。全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。近年、大山らはグリコアルカロイドのアミノ基の導入は26位のアルデヒド体を経由することを示している(第28回日本植物細胞分子生物学会(仙台)大会 講演要旨集(2010)p.165 )。このアルデヒド体へのアミノ基転移反応にはアミノトランスフェラーゼが介在することが予想されるが、類似する反応は全く知られていない。そこで、同じナス科のトウガラシで、全く違う構造体であるバニリンからバニリルアミンを触媒する酵素をコードする遺伝子pAMTを参考とすることとした(Langら Plant J. (2009) 59: 953-961)。ナス科ゲノムネットワーク(http://solgenomics.net/index.pl)に登録されているunigeneをNCBI Blast法によって検索したところ、相同性の指標であるE valueが極めて低く、アライメントした際のアミノ酸の同一性が80%以上の遺伝子断片を6つ見出すことができた(SGN-U268561, SGN-U268558, SGN-U277939, SGN-U268560, SGN-U268559, SGN-U274756)。この中から萌芽で多くのESTクローンが単離されている遺伝子SGN-U268561に注目した。
この配列を元にプライマー[U1008: caccATGGCCAAGACTACTAATGGATTT (配列番号24、このプライマーには、遺伝子をベクターにクローニングするため、5’末端に4塩基(cacc)が人工的に付加されている。)、U1007: CCATCAAGTTTTTGTCCATGAG (配列番号25)]を用いてアニール温度55℃でPCR(30サイクル、タカラバイオ社 PrimeSTAR HS DNA Polymeraseを使用)によって遺伝子を増幅した。これをpENTRTM/D-TOPOエントリーベクター(インビトロジェン社)へクローニングした。得られた8個の独立クローンについてABI310(アプライドバイオシステムズ社)を用いて塩基配列を決定した。これにより得られた配列は、配列番号20であり、それから推定されるアミノ酸配列は配列番号21である。酵素活性が異なるトウガラシpAMTのアミノ酸配列に対しては全長に渡って82.4%の同一性を有していた。
なお、トマトの相同遺伝子は、ナス科ゲノムネットワーク(http://solgenomics.net/index.pl)の、SGN-U570903に相当する。ORFを含む部分を配列番号23に、cDNA配列からコードされる酵素のアミノ酸配列を配列番号22に示す。トマトとジャガイモの遺伝子の塩基配列を比較したところ相同性は96.0%であった。驚くべきことに当該遺伝子はトマトのgamma-aminobutyrate transaminase subunit precursor isozyme 2(GABA-T2)として報告されている遺伝子のアミノ酸配列(Clarkら J. Exp. Bot. (2009) 60: 3255-3267, Akihiroら Plant Cell Physiol. (2009) 60: 3255-3267)と98.9%の同一性を有していたが(表2)、GABA-T2がグリコアルカロイドの生合成に関わることは知られていない。
(実施例9)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Yのゲノム遺伝子の同定
ジャガイモ遺伝子のゲノム配列は最近報告された(Xuら Nature (2011) 475: 189-197)。ゲノム配列はPotato Genome Sequencing Consortium Data ReleaseのHP(http://potatogenomics.plantbiology.msu.edu/index.html)で公開されている。この配列を元にYのゲノム遺伝子を決定することが可能である。
ジャガイモ遺伝子のゲノム配列は最近報告された(Xuら Nature (2011) 475: 189-197)。ゲノム配列はPotato Genome Sequencing Consortium Data ReleaseのHP(http://potatogenomics.plantbiology.msu.edu/index.html)で公開されている。この配列を元にYのゲノム遺伝子を決定することが可能である。
トマト遺伝子のゲノム配列は同じくナス科ゲノムネットワークのSL1.00sc03540、SL2.31ch12、SL2.40ch12として3つのゲノム構造が掲載され16のイントロンを含むことが報告されている。しかし、同ホームページには、なんら機能に関する報告はない。
(実施例10)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Yの抑制形質転換体を作成するためのベクター構築
遺伝子を形質転換によって抑制する方法としては、強力なプロモーターで駆動する構成を持つ逆方向の相補鎖遺伝子断片の発現(植物で一般的にRNAi法と呼ばれる)で行った[Chuangと Meyerowitz Proc Natl Acad Sci U S A., 97, 4985-90 (2000)、WesleyらPlant J., 27, 581-90 (2001)]。実施例8で取得した全長cDNAに対し、プライマー[U895: GAGCTCTAGATATTTGATTTGCCACCTCCAT (配列番号26)、U896: GGATCCATATGCTTACAAGCACAGCACCAA (配列番号27)]を用いてアニール温度55℃でPCR(30サイクル、タカラバイオ社 ExTaq DNA Polymeraseを使用)によって遺伝子を増幅した。これをpCR4-TOPOベクター(インビトロジェン社)へクローニングし、遺伝子断片を取得した。バイナリーベクターpKT11(特開2001-161373号公報)を基本として、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーター、当該遺伝子断片を順方向、シロイヌナズナのフィトエンデサチュラーゼ遺伝子(AT4g14210)の第3イントロン、当該遺伝子断片を逆方向、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAターミネーターの順に連結を行い、植物形質転換用ベクターpKT250を作成した(図8)。
遺伝子を形質転換によって抑制する方法としては、強力なプロモーターで駆動する構成を持つ逆方向の相補鎖遺伝子断片の発現(植物で一般的にRNAi法と呼ばれる)で行った[Chuangと Meyerowitz Proc Natl Acad Sci U S A., 97, 4985-90 (2000)、WesleyらPlant J., 27, 581-90 (2001)]。実施例8で取得した全長cDNAに対し、プライマー[U895: GAGCTCTAGATATTTGATTTGCCACCTCCAT (配列番号26)、U896: GGATCCATATGCTTACAAGCACAGCACCAA (配列番号27)]を用いてアニール温度55℃でPCR(30サイクル、タカラバイオ社 ExTaq DNA Polymeraseを使用)によって遺伝子を増幅した。これをpCR4-TOPOベクター(インビトロジェン社)へクローニングし、遺伝子断片を取得した。バイナリーベクターpKT11(特開2001-161373号公報)を基本として、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAプロモーター、当該遺伝子断片を順方向、シロイヌナズナのフィトエンデサチュラーゼ遺伝子(AT4g14210)の第3イントロン、当該遺伝子断片を逆方向、カルフラワーモザイクウイルスの35S RNAターミネーターの順に連結を行い、植物形質転換用ベクターpKT250を作成した(図8)。
(実施例11)ジャガイモ形質転換植物体の作出
実施例10で作製したベクターをエレクトロポレーション法(GelvinとSchilperoor編, Plant Molecular Biology Manual, C2, 1-32 (1994), Kluwer Academic Publishers)により、アグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株に導入した。ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株を、50ppmのカナマイシンを含むYEB液体培地[5g/lビ−フエキス、1g/l酵母エキス、5g/lペプトン、5g/lスクロ−ス、2mM硫酸マグネシウム(pH7.2)]にて28℃、12時間振とう培養した。培養液1.5 mlを10,000rpm、3分間遠心して集菌後、カナマイシンを除くために1mlのLB培地で洗浄した。更に10,000rpm、3分間遠心して集菌後、1.5 mlの3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]に再懸濁し、感染用菌液とした。
実施例10で作製したベクターをエレクトロポレーション法(GelvinとSchilperoor編, Plant Molecular Biology Manual, C2, 1-32 (1994), Kluwer Academic Publishers)により、アグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株に導入した。ベクターを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスGV3110株を、50ppmのカナマイシンを含むYEB液体培地[5g/lビ−フエキス、1g/l酵母エキス、5g/lペプトン、5g/lスクロ−ス、2mM硫酸マグネシウム(pH7.2)]にて28℃、12時間振とう培養した。培養液1.5 mlを10,000rpm、3分間遠心して集菌後、カナマイシンを除くために1mlのLB培地で洗浄した。更に10,000rpm、3分間遠心して集菌後、1.5 mlの3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]に再懸濁し、感染用菌液とした。
ジャガイモの形質転換は[門馬(1990)植物組織培養7:57-63]に従い実施した。ジャガイモ品種「サッシー」(ジャパンアグリバイオ社)から得られたマイクロチューバーを2〜3mmにスライスし、アグロバクテリウム感染用の材料とした。これを上記のアグロバクテリウムの菌液に浸した後、滅菌済みの濾紙上に置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内のMS培地(Zeatin 1ppm, IAA 0.1ppm, アセトシリンゴン100μM、及び寒天0.8%を含む)上に置き、培養は3日間25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で行った。ついで、アセトシリンゴンの代わりにカルベニシリン250ppmを含んだ培地で1週間培養した。その後、さらにカナマイシン50 ppmを含む培地上に移し、2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。伸張したシュートをカルベニシン250 ppm及びカナマイシン100 ppmを含み、植物生長調節物質を含まないMS培地に置床した。発根したシュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ここで、カナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、TAAAGCACGAGGAAGCGGT(配列番号28)、及びGCACAACAGACAATCGGCT(配列番号29)を用いた。以上から、ベクターpKT250が導入されたジャガイモの形質転換植物体25系統を取得した。
(実施例12)形質転換植物体のグリコアルカロイド含量と候補遺伝子Yの発現解析
実施例11で得られた30個体のin vitro茎を継代後一ヶ月伸張させ、その部分2〜4本をまとめて約100mgにしアルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた以下の方法(特許公開2011-27429)によりグリコアルカロイド含量を測定した。
実施例11で得られた30個体のin vitro茎を継代後一ヶ月伸張させ、その部分2〜4本をまとめて約100mgにしアルカリ耐性の逆相クロマトグラフィー用カラムを用いた液体クロマトグラフィーを用いた以下の方法(特許公開2011-27429)によりグリコアルカロイド含量を測定した。
実施例11で得られた25個体のin vitro茎を継代後一ヶ月伸張させ、その部分を2〜4本をまとめて約100mgにし0.1%ギ酸 in 80%MeOH aq. 990μLおよび内部標準としてブラシノライド(ブラシノ社)10μg/10μLを添加し、ミキサーミルで破砕した(1/25 sec, 10 min, 4℃)。得られた破砕物を遠心分離(10,000 rpm, 5 min, 4℃)に供しアルコール沈殿を行った。上清25μLを分取し、0.1%ギ酸水で475μLを加え、マルチスクリーンソルビナート(ミリポア社)でフィルターろ過しLC-MS(島津製作社、LCMS-2010EV、またはウォーターズ社、Alliance e2795 Q-micro)を用い解析した。LCの条件はカラム(XBridgeTMShield RP18-5(φ2.1×150 mm, ウォーターズ社))で移動相(A:10 mM炭酸水素アンモニウム水(pH 10):B:アセトニトリル=40:60)アイソクラティック(カラムオーブン:40℃)で分離し解析した。標準品(チャコニン、ソラニン(いずれもシグマ・アルドリッチ社))を用いて定量した。
得られた25個体のin vitro茎から2回の分析を繰り返すことで、5系統(#1, #9, #11, #15, #22)においてはグリコアルカロイドの蓄積が再現性よく低いことを確認した。これら低グリコアルカロイド5系統、低くなかった2系統(#8, #25)、遺伝子を導入していない対照の個体1つのin vitro茎を約200mg採取し、液体窒素で粉砕し、半分をグリコアルカロイド含量の測定、半分をmRNAの測定を行った。低グリコアルカロイド5系統はグリコアルカロイドの蓄積が非形質転換体(1個体)や低くはならなかった2系統と比較して極めて低いことが再確認できた(図9)。各系統から、全RNAの抽出はRNeasy(キアゲン社)で、全cDNAの合成はスーパースクリプト ファーストストランド システム(インビトロジェン社)を用いて行った。プライマー [U935: TGGGGTGTTGGTACATATTTTG (配列番号30)、U1007: TTCCTCTTTGGCTTTCTCCA (配列番号31)]を用いたRT-PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃3分)を25回、72℃5分)の結果、Y遺伝子のmRNAの発現は低グリコアルカロイド5系統では、極めて少ないか観察できなかった(図10)。このことから、候補遺伝子Yの遺伝子の発現を抑制することによってグリコアルカロイドの蓄積が極端に減少することが明らかとなり、候補遺伝子Yはグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子であることが明らかとなった。
(実施例13)低グリコアルカロイド系統の形質転換植物体から塊茎の作成
非形質転換体とともに、これら低グリコアルカロイド5系統のうち3系統のin vitro植物を増殖し、各3個体を市販されている野菜用の培養土に馴化しバイオハザード温室で定法に従い栽培し塊茎を収穫した。この3系統の各個体(#9, #11, #22)は非形質転換体と同等の生育を示し、同等の塊茎を収穫することができた(表2)。
非形質転換体とともに、これら低グリコアルカロイド5系統のうち3系統のin vitro植物を増殖し、各3個体を市販されている野菜用の培養土に馴化しバイオハザード温室で定法に従い栽培し塊茎を収穫した。この3系統の各個体(#9, #11, #22)は非形質転換体と同等の生育を示し、同等の塊茎を収穫することができた(表2)。
さらに収穫した塊茎各3つの中央部表皮を約1mmで剥離し同様にグリコアルカロイド含量を解析した。その結果、驚くべきことに、塊茎でのグリコアルカロイドは極めて低いことが確認できた(図11)。
(実施例14)トマト形質転換植物体の作出
トマトの形質転換は[Sunら (2006) Plant Cell Physiol. 47:426-431.]に従い実施した。実施例10で作製したベクターpKT230を含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL0株を培養し感染用菌液とした。トマト(Solanum lycopersicum)実験系統「マイクロトム」の無菌播種植物体の子葉を5mm以下の切片を、上記のアグロバクテリウム懸濁液に浸し、10分間感染した後、滅菌済みの濾紙上に葉を置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内の共存MS培地(ゼアチン1.5mg/l、アセトシリンゴン40μM及びゲルライト0.3%を含む)[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]上に葉を置き、シャーレを暗所で3日間25℃で培養した。切片は選択MS培地1(ゼアチン1.5mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。さらにシュートを伸張させるため、選択MS培地2(ゼアチン1.0mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)に移植し、伸張したシュートは選択1/2濃度MS培地(カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で発根させた。シュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、上述のカナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーによるPCRを行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ベクターpKT250が導入されたトマトの形質転換植物体30系統を取得した。得られた30系統を温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉の3枚から各約100mg秤量し、ジャガイモと同様に実施例5の方法によりグリコアルカロイド含量(αトマチン量、標品のαトマチンはシグマ・アルドリッチ社)を測定した。ただし、分析条件は移動相A:移動相B=60:40の割合を用いた。30系統のうち14系統は対照の平均である新鮮重100mgあたり266μgの1/5以下(< 53μg)と顕著にトマチン含量が低かった(図12)。
トマトの形質転換は[Sunら (2006) Plant Cell Physiol. 47:426-431.]に従い実施した。実施例10で作製したベクターpKT230を含むアグロバクテリウム・ツメファシエンスAGL0株を培養し感染用菌液とした。トマト(Solanum lycopersicum)実験系統「マイクロトム」の無菌播種植物体の子葉を5mm以下の切片を、上記のアグロバクテリウム懸濁液に浸し、10分間感染した後、滅菌済みの濾紙上に葉を置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内の共存MS培地(ゼアチン1.5mg/l、アセトシリンゴン40μM及びゲルライト0.3%を含む)[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]上に葉を置き、シャーレを暗所で3日間25℃で培養した。切片は選択MS培地1(ゼアチン1.5mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。さらにシュートを伸張させるため、選択MS培地2(ゼアチン1.0mg/l、カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)に移植し、伸張したシュートは選択1/2濃度MS培地(カナマイシン100mg/l、オーグメンチン375mg/l及びゲルライト0.3%を含む)で発根させた。シュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、上述のカナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーによるPCRを行うことで検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。ベクターpKT250が導入されたトマトの形質転換植物体30系統を取得した。得られた30系統を温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉の3枚から各約100mg秤量し、ジャガイモと同様に実施例5の方法によりグリコアルカロイド含量(αトマチン量、標品のαトマチンはシグマ・アルドリッチ社)を測定した。ただし、分析条件は移動相A:移動相B=60:40の割合を用いた。30系統のうち14系統は対照の平均である新鮮重100mgあたり266μgの1/5以下(< 53μg)と顕著にトマチン含量が低かった(図12)。
(実施例15)グリコアルカロイド生合成候補遺伝子Y変異植物のスクリーニング
3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]などで継代したジャガイモのインビトロ植物体に量子ビーム照射(NIRS-HIMAC照射装置、アルゴンイオンビーム500MeV/核子を0.1から3Gyまたは、ネオンイオンビーム400Mev/核子を0.2から3Gy、または炭素イオンビーム290MeV/核子を0.5Gyから5Gy)で変異処理を行う。変異処理後、生育した植物体からそれぞれ葉を採取し常法によりゲノムDNAを採取する。当該ゲノムDNAをテンプレートとして上述のプライマー[U1008: caccATGGCCAAGACTACTAATGGATTT (配列番号24)、U1007: CCATCAAGTTTTTGTCCATGAG (配列番号25)]を用いてPCRを行い、Y遺伝子の含まれる領域を取得し、さらに遺伝子クローニング用キットなどを用いてクローニングする。クローニングされた領域の塩基配列を決定し、Y遺伝子に変異の生じた個体を選抜することができる。
3%蔗糖を含むMS培地[Murashige & Skoog, Physiol. Plant., 15, 473-497 (1962)]などで継代したジャガイモのインビトロ植物体に量子ビーム照射(NIRS-HIMAC照射装置、アルゴンイオンビーム500MeV/核子を0.1から3Gyまたは、ネオンイオンビーム400Mev/核子を0.2から3Gy、または炭素イオンビーム290MeV/核子を0.5Gyから5Gy)で変異処理を行う。変異処理後、生育した植物体からそれぞれ葉を採取し常法によりゲノムDNAを採取する。当該ゲノムDNAをテンプレートとして上述のプライマー[U1008: caccATGGCCAAGACTACTAATGGATTT (配列番号24)、U1007: CCATCAAGTTTTTGTCCATGAG (配列番号25)]を用いてPCRを行い、Y遺伝子の含まれる領域を取得し、さらに遺伝子クローニング用キットなどを用いてクローニングする。クローニングされた領域の塩基配列を決定し、Y遺伝子に変異の生じた個体を選抜することができる。
(実施例16)ジャガイモの遺伝子抑制形質転換体からのスピロスタン型トリテルペンの生産
上記実施例で得たジャガイモ(非形質転換体、pKT230 #8とpKT250 #9, #22)のin vitro茎1gをサンプルとし以下の処理から抽出、分析を行った。pKT230 #8は実施例4で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Eの抑制形質転換体であり、pKT250 #9, #22は実施例11で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Yの抑制形質転換体である。
上記実施例で得たジャガイモ(非形質転換体、pKT230 #8とpKT250 #9, #22)のin vitro茎1gをサンプルとし以下の処理から抽出、分析を行った。pKT230 #8は実施例4で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Eの抑制形質転換体であり、pKT250 #9, #22は実施例11で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Yの抑制形質転換体である。
凍結乾燥した植物サンプル10 mgを2 mLのCHCl3-MeOH溶液 (1:1) で3回抽出した。窒素ガスを吹き付け溶媒を除去した残渣にMeOH 1 mLと4 MのHCl 1 mLを加えて、80℃ で1時間反応させ、加水分解した。反応混合物を2 mLのhexane-Ethyl acetate溶液 (1:2)で3回抽出し、得られた有機層に窒素ガスを吹き付け溶媒を除去した。得られた残渣にN-methyl-N-trimethylsilyltrifluoroacetamide (MSTFA, SIGMA) を加え、80℃で30分間処理した溶液をGC-MS分析の試料とした。
GC-MS分析の条件を以下に示す。EI (70eV)、イオン源温度 250℃、カラムはDB-1 (30 m×0.25 mm, 0.25-μm; J&W Scientific)、試料導入部温度250℃、カラム昇温プログラム:80℃、1分間保持、 11分間で300℃まで上昇させて23分間保持、 境界面温度 280℃、キャリアーガスはHe (1.0 mL/min (DB-1))、試料導入はスプリットレスで行った。蓄積産物の同定は標品をGCの保持時間ならびにMSスペクトルを比較することで決定した。ヤモゲニンについてはファイトラボ社から購入した標品を用いて定量した。
形質転換体ジャガイモの抽出物のGC-MSのトータルイオンクロマトグラムを図13に示す。非形質転換体にはないピーク(実線矢印)が認められた。この部分をジオスゲニンとヤモゲニンの標品としてあわせたものが図14である。新たに出現したピークdはヤモゲニン標品のピークb(保持時間17分50秒)と保持時間とマススペクトルが一致した。ヤモゲニン標品に混在するピークaはヤモゲニンのスピロケタール環が巻きなおした22βO-スピロスタノール型(保持時間17分34秒)でジオスゲニン標品のピークb(保持時間17分37秒)とは異なっていた。ヤモゲニン標品に混在するピークcはマススペクトルから5位が還元されたネオチゴゲニンと予想された(保持時間18分02秒)。定量の結果、pKT230 #8、pKT250 #9, #22からは68.8 μg/100 mg 乾重量、55.5 μg/100 mg 乾重量、30.4 μg/100 mg 乾重量のヤモゲニンを得られることが明らかになった。一方、非形質転換体においても6.3μg/100mg 乾重量という微量のヤモゲニンが存在した。なお、この定量値は、スピロスタン型トリテルペンの蓄積に対して条件を変えて栽培したわけではないことから、物質蓄積に対する潜在性を示しているものであって、なんら限定されるものではない。
グリコアルカロイド生合成遺伝子であるC遺伝子やD遺伝子を抑制した形質転換体のジャガイモやトマト(特願2010-108445)を用いて同様な抽出、分析を実施したが、スピロスタン型トリテルペンは検出できなかった。このことは、グリコアルカロイド生合成遺伝子すべてに遺伝子を抑制すると蓄積するわけではなく、E遺伝子やY遺伝子を抑制することで、特異的に蓄積することを示している。
(実施例17)ジャガイモ組織の蓄積産物の推測
E遺伝子又はY遺伝子の発現が抑制されたジャガイモから加水分解することでヤモゲニンを得ることができることがわかったが、ジャガイモ中での物質は不明である。そこで、加水分解をせずに分析を行った。その結果、加水分解を行わない場合は、ほとんどヤモゲニンが得られないことがわかった(図15)。ジャガイモの中では3位に糖修飾されているヤモゲニン、3位か26位、もしくは両方に糖修飾されているフロスタン型トリテルペン、16位、22位、26位が酸化され、3位を含め、そのいずれか、もしくは複数が糖修飾されているコレスタン型トリテルペンが推定できる。
E遺伝子又はY遺伝子の発現が抑制されたジャガイモから加水分解することでヤモゲニンを得ることができることがわかったが、ジャガイモ中での物質は不明である。そこで、加水分解をせずに分析を行った。その結果、加水分解を行わない場合は、ほとんどヤモゲニンが得られないことがわかった(図15)。ジャガイモの中では3位に糖修飾されているヤモゲニン、3位か26位、もしくは両方に糖修飾されているフロスタン型トリテルペン、16位、22位、26位が酸化され、3位を含め、そのいずれか、もしくは複数が糖修飾されているコレスタン型トリテルペンが推定できる。
(実施例18)異なるジャガイモ組織からのスピロスタン型トリテルペンの生産
上記、実施例で作成したE遺伝子を抑制したジャガイモ(pKT230 #8, #17, #29)の塊茎と、そこから出た萌芽での、蓄積された配糖体を加水分解して得られたヤモゲニン量を定量した。その結果、塊茎の皮では、それぞれ49.7, 48.1, 24.6 μg/100 mg 乾重量、萌芽では95.6, 70.2, 102.5 μg/100 mg 乾重量(図16)であった。一方、非形質転換体でも塊茎の皮で2.8μg/100 mg 乾重量、萌芽で7.9μg/100 mg 乾重量という微量のヤモゲニンが存在した(図16)。この定量値は、スピロスタン型トリテルペンの蓄積に対して条件を変えて栽培したわけではないことから、物質蓄積に対する潜在性を示しているものであって、なんら限定されるものではない。一般に、光照射した場合にグリコアルカロイド量は上昇することが知られている。このことから、光照射した場合に、さらに多量のスピロスタン型トリテルペンを得ることが期待できる。
上記、実施例で作成したE遺伝子を抑制したジャガイモ(pKT230 #8, #17, #29)の塊茎と、そこから出た萌芽での、蓄積された配糖体を加水分解して得られたヤモゲニン量を定量した。その結果、塊茎の皮では、それぞれ49.7, 48.1, 24.6 μg/100 mg 乾重量、萌芽では95.6, 70.2, 102.5 μg/100 mg 乾重量(図16)であった。一方、非形質転換体でも塊茎の皮で2.8μg/100 mg 乾重量、萌芽で7.9μg/100 mg 乾重量という微量のヤモゲニンが存在した(図16)。この定量値は、スピロスタン型トリテルペンの蓄積に対して条件を変えて栽培したわけではないことから、物質蓄積に対する潜在性を示しているものであって、なんら限定されるものではない。一般に、光照射した場合にグリコアルカロイド量は上昇することが知られている。このことから、光照射した場合に、さらに多量のスピロスタン型トリテルペンを得ることが期待できる。
(実施例19)トマトの遺伝子抑制形質転換体からのスピロスタン型トリテルペンの生産
トマト(非形質転換体、pKT230 #13、pKT250 #75)は温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉1gをサンプルとし実施例16に従い実施した。pKT230 #13は実施例6で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Eの抑制形質転換体であり、pKT250 #9, #22は実施例14で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Yの抑制形質転換体である。蓄積された配糖体を加水分解して得られたネオチゴゲニンはヤモゲニン当量として定量した。その結果、ネオチゴゲニンがpKT230 #13、pKT250 #75からは86.8 μg/100 mg 乾重量、93.2 μg/100 mg 乾重量を得られることが明らかになった(図17)。一方、非形質転換体では5.7μg/100 mg 乾重量という微量のネオチゴゲニンが存在した(図17)。なお、この定量値は、スピロスタン型トリテルペンの蓄積に対して条件を変えて栽培したわけではないことから、物質蓄積に対する潜在性を示しているものである。
トマト(非形質転換体、pKT230 #13、pKT250 #75)は温室に馴化し約1ヶ月栽培し、新しく展開した若い葉1gをサンプルとし実施例16に従い実施した。pKT230 #13は実施例6で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Eの抑制形質転換体であり、pKT250 #9, #22は実施例14で得られたグリコアルカロイド生合成酵素Yの抑制形質転換体である。蓄積された配糖体を加水分解して得られたネオチゴゲニンはヤモゲニン当量として定量した。その結果、ネオチゴゲニンがpKT230 #13、pKT250 #75からは86.8 μg/100 mg 乾重量、93.2 μg/100 mg 乾重量を得られることが明らかになった(図17)。一方、非形質転換体では5.7μg/100 mg 乾重量という微量のネオチゴゲニンが存在した(図17)。なお、この定量値は、スピロスタン型トリテルペンの蓄積に対して条件を変えて栽培したわけではないことから、物質蓄積に対する潜在性を示しているものである。
本発明の加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体が蓄積されたジャガイモ等ナス科植物は、ステロイド医薬品の原料となるスピロスタン型トリテルペンを供給することができる。グリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Eおよび/またはグリコアルカロイド生合成酵素遺伝子Yを、機能性食品として可能性のある加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を蓄積させ得るジャガイモ等ナス科植物品種の選抜に利用することができる。
配列番号5〜19および24〜31 プライマー
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (10)
- グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が抑制されたナス科植物の植物体であって、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積し得る植物体。
- ナス科植物がジャガイモであり、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が以下の(a)〜(d)のいずれかのDNAからなる遺伝子および/または以下の(e)〜(h)のいずれかのDNAからなる遺伝子であり、前記トリテルペン配糖体が加水分解によりヤモゲニンを生成するものである、請求項1記載の植物体:
(a) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNA;
(b) 配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(c) 配列番号2に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(d) 配列番号2に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(e) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNA;
(f) 配列番号21に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(g) 配列番号21に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(h) 配列番号21に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。 - ナス科植物がトマトであり、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子が以下の(i)〜(l)のいずれかのDNAからなる遺伝子および/または以下の(m)〜(p)のいずれかのDNAからなる遺伝子であり、前記トリテルペン配糖体が加水分解によりネオチゴゲニンを生成するものである、請求項1記載の植物体:
(i) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNA;
(j) 配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(k) 配列番号4に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(l) 配列番号4に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA;
(m) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNA;
(n) 配列番号23に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;
(o) 配列番号23に示す塩基配列と80%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ、グリコアルカロイド生合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA;および
(p) 配列番号23に示す塩基配列の縮重異性体からなるDNA。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物体を栽培することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させる方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物体を栽培することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させ、
蓄積した該配糖体を単離し、
得られた該配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。 - (i) ゲノムDNAまたはRNAである核酸をナス科植物から単離する工程、
(ii) (i)の核酸がRNAである場合に逆転写しcDNAを合成する工程、
(iii) (i)または(ii)の工程で得られたDNAから配列番号2、配列番号4、配列番号21または配列番号23に示す塩基配列を含有する遺伝子断片を増幅する工程、ならびに
(iv) DNA中に突然変異および/または多型の存在を決定する工程、
とを含む、ナス科植物におけるグリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の突然変異および/または多型の存在する植物体を選抜する方法。 - 請求項6に記載の方法により選抜された、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子に突然変異および/または多型を有し、グリコアルカロイド生合成酵素の活性が抑制されたナス科植物体。
- 請求項6に記載の方法により選抜された、グリコアルカロイド生合成酵素をコードする遺伝子の発現能が既存品種に対して抑制されているか、またはグリコアルカロイド生合成酵素の活性が既存品種に対して抑制されており、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積し得るナス科植物体。
- 請求項8記載の植物体を育種することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させる方法。
- 請求項8記載の植物体を育種することにより、加水分解後にスピロスタン型トリテルペンを生じるトリテルペン配糖体を植物体中に蓄積させ、
蓄積したスピロスタン型トリテルペンの配糖体を単離し、
得られたスピロスタン型トリテルペンの配糖体を加水分解し、糖鎖を除去することを含む、植物体を用いてスピロスタン型トリテルペンを生産する方法。
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