JPWO2013047372A1 - Ncl法に適した、ポリペプチド断片の効率的な製造方法 - Google Patents

Ncl法に適した、ポリペプチド断片の効率的な製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 NCL法に適した、ポリペプチド断片を効率的に製造方法の提供を目的とする。【解決手段】 −Cys−W−(His)n−Z−Met−の介在配列により連結しているN末端がシステインである第1のポリペプチド断片および第2のポリペプチド断片からなるポリペプチドにCNBrを反応させ、N末端がシステインである第1のポリペプチド断片と第3のポリペプチド断片を得るステップと、第3のポリペプチド断片に下記式(I)で表わされる化合物および下記式(II)で表わされる化合物を順次反応させ、C末端が修飾された第2のポリペプチド断片とを得るステップを含む製造方法。【化1】【化2】【選択図】 なし

Description

本発明は、NCL法に適した、ポリペプチド断片の効率的な製造方法に関する。
タンパク質の合成には、生合成、化学合成、無細胞合成など種々の方法が知られている。生合成方法では、大腸菌等の細胞内を利用して、合成を目的とするタンパク質をコードするDNAを細胞内に導入し発現させることにより、タンパク質を得る。化学合成は、アミノ酸を有機化学的に順番に結合させることにより、目的のタンパク質を合成する。また、無細胞合成は、大腸菌などの各種細胞内に存在する酵素等を利用して、無細胞的にタンパク質を合成する。これらの方法は、タンパク質の使用目的や、サイズ、付加する性質等によって適宜、使い分けたり、組み合わせたりすることができる。
アミノ酸配列の中間部分に、糖鎖や脂質などの特定の修飾を均一に有するタンパク質を合成するためには、糖鎖を含むペプチド断片と、糖鎖を含まないペプチド断片とをそれぞれ合成し、ライゲーション法により最終的なタンパク質を合成する方法が用いられている。糖鎖を含むペプチド断片の合成は、あらかじめ糖鎖や脂質などで修飾されたアミノ酸を用いて化学合成することができる。また、糖鎖を含まない部分のペプチド断片の合成は、化学合成や生合成により製造することができる。
ペプチド鎖を化学合成する方法としては、主に固相合成法が用いられる。しかし固相合成法によって得られるペプチド鎖は、一般的に短鎖であり、長くとも50残基程度である。このため長鎖のペプチド鎖を合成するためには、生合成を用いることが好ましい。
ペプチド鎖連結手法としては様々な手法が報告されているが、広く用いられている方法の一つが天然型化学的ライゲーション法(Native Chemical Ligation、NCL法)である。NCL法は、無保護のペプチド鎖同士でも行うことができ、連結部位(ライゲーション部位)に天然アミド結合(ペプチド結合)を生成するための有用な方法であることが知られている(例えば、特許文献1)。NCL法は、C末端にαカルボキシチオエステル部分を有するようにした第1のペプチドとN末端にシステイン残基を有する第2のペプチドとの化学選択反応であり、システインの側鎖のチオール基(SH基、スルフヒドリル基ともいう)がチオエステル基のカルボニル炭素に選択的に反応し、チオール交換反応により、チオエステル結合初期中間体が生成する。この中間体は、自発的に分子内転位して、連結部位に天然アミド結合を与え、一方、システイン側鎖チオールを再生させる。
この方法は、無保護のペプチドを用い緩衝溶液中で混合するのみで、ペプチド結合を介して二つのペプチド鎖を連結することのできる手法である。NCL法はペプチドのように数多くの官能基を有した化合物同士の反応であっても、選択的に一方のペプチドC末端と他方のペプチドN末端を連結することができる。このような点から、タンパク質を化学合成するためにはいかにNCL法を利用するかが重要になる。
しかしNCL法の利用における問題点として、原料として必要な、C末端にαカルボキシチオエステル部分を有するペプチドチオエステル体の調製が挙げられる。ペプチドチオエステルの調製法は、様々な方法が報告されているが(例えば、非特許文献1および特許文献2)、いずれの手法も、固相合成法を基盤としてものであり、固相合成の制限に束縛されるため、合成できるペプチドチオエステル体のサイズが制限されてしまう。さらに、リンカーを用いる手法では非天然型のアミノ酸誘導体や、特別な誘導体を別途化学合成しなければならず、必ずしもその手順は簡便であるとはいえない。
一方、細胞により生合成されたポリペプチドフラグメントをチオエステル体として得る方法(Intein法)も報告されているが(非特許文献2)、この方法を用いる場合は、ポリペプチドを発現させるのみではなく、タンパク質スプライシングを機能させるために、標的となるペプチド配列が必要であり、また必ず発現したインテイン複合タンパク質がフォールディングし、固有の三次元構造をとらなければならない。このため、発現させるポリペプチド配列によっては、必ずしもペプチドチオエステルが得られず、常に十分な条件の最適化が伴い、作業的な煩雑さが付随する。
また、Intein法とは別に、生合成したポリペプチドに適用可能な、チオエステル体の製造方法も報告されている(特許文献3)。この方法は、合成したポリペプチドに含まれるシステインを活性化させることにより、活性化したシステインの位置をチオエステル体として切り出す方法である。すなわち、活性化させたシステインよりN末側のペプチド断片をチオエステル体として得ることができる。しかしながら、この方法では、活性化されたシステインよりC末側に切り出されたポリペプチドは、切り出された際にそのN末端が化学的に安定な環状構造を形成し、これ以降のタンパク合成に使用することができなかった。このため、N末側のペプチド断片はライゲーション可能なペプチド断片として別途製造する必要があった。
また、生合成においては、全長のタンパク質は正常に発現されても、ペプチドフラグメントの場合は細胞中でミスであると認識され、分解されるなど正常に発現されないことがある。そこで、全長タンパク質を生合成した後に、上記方法で必要なペプチド断片をチオエステル体として切り出すような場合、切り出したペプチド断片よりC末側の長鎖のポリペプチドを利用することができなかった。
国際公開第96/34878号パンフレット 国際公開第2007/114454号パンフレット 国際公開第2010/150730号パンフレット
Ingenito et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 11369−11374 Schwartz et al., CHEM. COMMUN., 2003 2087−2090
本発明は、NCL法に適した、N末側がシステインである第1のポリペプチド断片とC末側が修飾された第2のポリペプチド断片とを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、
第1のポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片とを特定の配列を介在させて、1つのポリペプチドとして作製することにより、NCL法に適した、N末端がシステインである第1のポリペプチド断片とC末側が修飾された第2のポリペプチド断片とを効率的に製造できることを見出した。
即ち、本発明は、
(1)以下の構造を有するポリペプチド:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
[ここでnは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
にCNBrを反応させ、以下のポリペプチド断片を得るステップ;
(A)N末端がシステインである第1のポリペプチド断片
(B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)
[ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。]
(2)前記第3のポリペプチド断片に、下記式(I)で表わされる化合物:
[式中、
Xは硫黄原子または酸素原子であり、
及びRは、脱離基である。]
を反応させ、続いて、有機溶媒中で、下記式(II)で表わされる化合物:
[式中、
Yは、酸素原子、硫黄原子、または、=NHであり、
は、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。]
を反応させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−NH−C(=Y)NHR (C末側)
を得るステップ、を含む、NCL法に適した、N末端がシステインである第1のポリペプチド断片とC末側が修飾された第2のポリペプチド断片とを効率的に製造する方法に関する。
ここで、本発明の製造方法の一実施態様においては、
前記(2)のステップにおいて得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片に、さらに下記式で表されるチオール
−SH
[式中、Rは、置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のアリール基、および、置換もしくは非置換のアルキル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。]
を反応させ、C末側の−NH−C(=Y)NHR基とチオール基とを交換させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−SR (C末側)
を得るステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物におけるXが硫黄原子であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物中におけるRが、−O−Cアリール基であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物におけるRが、ハロゲン原子、または、置換もしくは非置換の−S−C6−10アリール基であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記式(II)で表わされる化合物におけるYが=NHであることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記式(II)で表わされる化合物におけるRが、アセチル基であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記、以下の構造を有するポリペプチド:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
が、細胞によって発現された組換えポリペプチド断片であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、前記細胞が大腸菌であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、Wが1個のアミノ酸であり、かつ、Val、Ile、Leu、Trpからなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸であることを特徴とする。
また、本発明の製造方法の一実施態様においては、nが6〜10であることを特徴とする。
また、本発明の別の態様は、NCL法に適した、N末側がシステインである第1のポリペプチド断片を製造する方法であって、
以下の構造を有するポリペプチド:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−P−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
[ここでPは、任意の0〜10個のアミノ酸であり、Metはメチオニンを意味し、第1のポリペプチド断片のN末側はシステインである。]
にCNBrを反応させることを特徴とする方法に関する。
また、本発明の別の態様は、
(1)製造しようとする所望の糖鎖付加ポリペプチドのペプチド配列を、少なくとも、
・糖鎖が付加されたアミノ酸を含むポリペプチドからなる糖鎖含有ポリペプチド断片、
・糖鎖含有ポリペプチド断片よりもN末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのN末側を含むポリペプチドからなる第2のポリペプチド断片、
・糖鎖含有ポリペプチド断片よりもC末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのC末側を含むポリペプチドからなる第1のポリペプチド断片、
・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間のポリペプチド断片、
・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第1のポリペプチド断片との間のポリペプチド断片、
に分類して設計するステップ;
ここで、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインであるように設計されており、
(2)以下の構造を有するポリペプチド:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
[ここでnは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて、大腸菌によって発現させ、前記構造を有するポリペプチドを取得するステップ;
(3)ステップ(2)で得られたポリペプチドにCNBrを反応させ、以下のポリペプチド断片を得るステップ;
(A)N末端がシステインである第1のポリペプチド断片
(B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)
(ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。)
(4)前記第3のポリペプチド断片に、下記式(I)で表わされる化合物:
[式中、Xは硫黄原子または酸素原子であり、R及びRは、脱離基である。]
を反応させ、続いて、有機溶媒中で、下記式(II)で表わされる化合物:
[式中、
Yは酸素原子、硫黄原子、または、NH基であり、
は、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。]
を反応させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−NH−C(=Y)NHR (C末側)
を得るステップ;
(5)任意に、前記(4)のステップにおいて得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片に、さらに下記式で表されるチオール
−SH
[式中、Rは、置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のアリール基、および、置換もしくは非置換のアルキル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。]
を反応させ、C末側の−NH−C(=Y)NHR基とチオール基とを交換させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−SR (C末側)
を得るステップ;
(6)化学的に合成することにより別に調製された、
・前記糖鎖含有ポリペプチド断片、
・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間の前記ポリペプチド断片、
・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第1のポリペプチド断片との間の前記ポリペプチド断片、
と、
ステップ(3)によって得られたN末端がシステインである第1のポリペプチド断片
ステップ(4)又は(5)によって得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片
とを、所望の糖鎖付加ポリペプチドが得られるような順序により、ライゲーション法により結合するステップ、を含む、糖鎖付加ポリペプチドの製造方法に関する。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物におけるXが硫黄原子であることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物中におけるRが、−O−Cアリール基であることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、前記式(I)で表わされる化合物におけるRが、ハロゲン原子、または、置換もしくは非置換の−S−C6−10アリール基であることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、前記式(II)で表わされる化合物におけるYが=NHであることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、前記式(II)で表わされる化合物におけるRが、アセチル基であることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、Wが1個のアミノ酸であり、かつ、Val、Ile、Leu、Trpからなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸であることを特徴とする。
また、本発明の糖鎖付加ポリペプチドの製造方法の一実施態様においては、nが6〜10であることを特徴とする。
本発明により、ポリペプチド鎖から、NCL法に適したN末端がシステインである第1のポリペプチド断片と、C末側が修飾された第2のポリペプチド断片とを効率的に製造する方法が提供された。
また、本発明は、ペプチドフラグメントとして正常に発現できないものであっても、ペプチド断片を他のペプチド断片と連結された状態で、ライゲーションに使用可能に発現させることができ、複数のペプチド断片を効率的に作製することが可能となる。
また、本発明の方法を従来のペプチド合成法と併用することにより、これまで合成が困難であったペプチドの一部分に修飾を有する長鎖ペプチドであっても、例えば、本発明の方法を使用して、修飾を有さない部分は比較的長鎖を合成しやすい生合成法によりフラグメントを作成し、修飾を有する部分は固相合成法を用いてフラグメントを作成し、これらを連結することによって簡便に製造することが可能である。
より具体的には、修飾が糖鎖であれば天然結合型の糖鎖を付加したアミノ酸を含む断片のみを化学合成し、その他の部分を生合成により調製して、本願の方法でライゲーションに適したペプチドフラグメントを作製、連結することで、より長鎖の糖鎖ペプチドを簡便に製造可能である。
また、リンカーを介してペプチド鎖に糖鎖等を後付けする方法が公知であり、これは生合成した長鎖ペプチドにも糖鎖の後付けが可能である。しかし、このリンカーを介した糖鎖結合方法は、特定のアミノ酸や構造を利用して糖鎖等を結合させるものである。したがって、例えば、糖鎖が結合可能な部位がペプチド中に複数存在する場合には、生合成により長鎖ペプチドを得た後に、所望の結合部位のみを含むペプチドフラグメントを、本願の方法を用いて長鎖ペプチドから切り出して糖鎖を付加し、残りの部分と連結し直すことで、従来と比較してより簡便に部位選択的に糖鎖を付加することもできる。
以上のように、本発明のペプチドチオエステル化方法は、タンパク質の合成全般において有用である。
図1は、本発明の一実施の形態において、ポリペプチドの発現に使用するpET32aベクターの配列情報を示す図である。 図2は、本発明の一実施の形態において、大腸菌を用いた本発明の介在配列を有するポリペプチド断片の生合成を示す摸式図である。 図3は、発現したタンパクをNiカラムで精製した際の写真を示す。図3中、M=分子量マーカー、E=発現した混合物、P=カラムをスルーした画分、1〜8は、250mM イミダゾールでの溶出フラクション番号、B=ブランクを示す。 図4は、本発明の一実施の形態において、大腸菌により発現させた介在配列を有するポリペプチド断片を、CNBrを用いて2つのポリペプチド断片に切り離す工程を示すフローチャートである。なお、大腸菌より発現させたポリペプチド断片のN末端には、メチオニンを介してチオレドキシンが付加されており、CNBrの処理の際に、チオレドキシンも切り離している。 図5a)は、CNBr処理後の分解物をHPLCにより分析した結果を示す。図5b)は、インターロイキン−13誘導体の1〜27番目のアミノ酸を有するペプチド断片Aの質量分析結果を示す。図5c)は、インターロイキン−13誘導体の56〜112番目のアミノ酸を有するペプチド断片Dの質量分析結果を示す。 図6は、本発明のNCL法に適したポリペプチド断片の製造方法を利用した一実施の形態であって、インターロイキンー13誘導体を4つのポリペプチド断片に分け、フラグメントAとフラグメントDとを介在配列を有する融合タンパク質として、生合成するフローを示す摸式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明は、以下の構造を有するポリペプチド(i)
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)・・・・(i)
[ここでnは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
にCNBrを反応させ、以下のポリペプチド断片を得るステップを含む。
(A)N末端がシステインである第1のポリペプチド断片
(B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片(ii):
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)・・・・(ii)
[ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。]
本明細書において、「ペプチド」とは、2以上のアミノ酸がアミド結合により結合しているものであれば特に限定されず、公知ペプチド及び新規ペプチド並びにペプチド改変体を含む。一般にタンパク質と呼ばれるものも、本発明においてはペプチド中に含むものとする。また、本発明においては「ポリペプチド」も、同様にペプチド中に含むものとする。本発明の方法に用いられるペプチド鎖は、天然のタンパク質であってもよいし、生合成、化学合成または無細胞合成等の方法によって得られたペプチド鎖であってもよい。
本明細書において、「ペプチド改変体」とは、ペプチドの自然変異体、翻訳後修飾体、又は人工的に改変した化合物を含む。そのような改変としては、例えば、ペプチドの1又は複数のアミノ酸残基の、アルキル化、アシル化(例えばアセチル化)、アミド化(例えば、ペプチドのC末端のアミド化)、カルボキシル化、エステル形成、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、水酸化、標識成分の結合等が挙げられる。
本明細書において、「アミノ酸」とは、その最も広い意味で用いられ、天然のアミノ酸、例えばセリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)のみならず、アミノ酸変異体及び誘導体といったような非天然アミノ酸を含む。当業者であれば、この広い定義を考慮して、本発明におけるアミノ酸として、例えばL−アミノ酸;D−アミノ酸;アミノ酸変異体及び誘導体等の化学修飾されたアミノ酸;ノルロイシン、β−アラニン、オルニチン等生体内でタンパク質の構成材料とならないアミノ酸;及び当業者に公知のアミノ酸の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられることを理解するであろう。
本明細書において、「ポリペプチド断片」とは、目的とするタンパク質を合成する際に製造される、目的タンパク質のアミノ酸配列の一部を含むポリペプチドである。
ここで、「第1のポリペプチド断片」および「第2のポリペプチド断片」とは、目的とするタンパク質のアミノ酸配列の一部をそれぞれ含む断片である。本発明において、「第1のポリペプチド断片」および「第2のポリペプチド断片」は、介在配列を介して連結された状態で合成される。また、本発明の方法において、「第1のポリペプチド断片」および「第2のポリペプチド断片」は、最終的にそれぞれライゲーションに適した形でポリペプチド断片として得ることができる。
なお、第1のポリペプチドは、そのN末端にシステインを含むように設計されるポリペプチドである。これにより、最終的に、第1のポリペプチド断片として切り出された際に、N末側で他のペプチド断片とライゲーションをすることが可能となる。また、第2のポリペプチド断片は、最終的に第2のポリペプチドとして切り出された際に、C末側がライゲーションに適した形に修飾されており、C末側において他のポリペプチド断片とライゲーションをすることが可能となる。
また、本発明のポリペプチド(i)は、第1のポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間に、「(N末側) −Cys−W−(His)n−Z−Met− (C末側)」の介在配列を有する。
ここで、nは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。
また、ポリペプチド(i)は、そのN末側および/またはC末側において、上記介在配列を介して、さらに別のポリペプチド断片と連結していてもよい。
介在配列において、Wで示されるアミノ酸としては、Val、Ile、Leu、Trpからなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸を含む事が好ましく、特に、N末側のCysに直接隣接するアミノ酸がこれらのアミノ酸から選択されることが好ましい。このように、嵩高いアミノ酸をCysに隣接させることにより、後述する式(II)で表わされる化合物を用いる反応(b)において、副反応の発生率が抑制することができ、目的とするC末側が修飾された第2のポリペプチドの収率を向上させることができる。
また、介在配列において、(His)nは、ヒスタグを示し、生合成したポリペプチドの精製を容易にするものである。ヒスタグが付加されたポリペプチドの精製は、当業者に周知の方法により行うことができ、例えば、市販のNi−NTAアガロースゲルを用いることにより容易に精製することができる。
なお、上記介在配列においてヒスタグを有さない場合(n=0の場合)に、ヒスタグを、ポリペプチド(i)のN末側またはC末側に付加させて、発現させることも可能である。介在配列がヒスタグを有する場合、nは、好ましくは、6〜10の整数である。
また、介在配列において、Metは、MetよりC末側に存在する第1のポリペプチドを切り離す際に使用されるアミノ酸である。
生合成したポリペプチド(i)をMetの位置にて、切り離す際には、例えば、CnBr、70%HCOOH水溶液を用いて、室温にて処理することができる。なお、処理するペプチド配列中において、側鎖にOH基を有するSerやThrが多く含まれる場合、側鎖のギ酸エステルが問題となる。このような場合には、エステル化を避けるために、反応溶液のギ酸の含有量を下げる、無機酸を使用する、容易に除去可能なトリフルオロ酢酸エステルを生じさせるためにTFAを使用する等の対応をすることが好ましい。
上記反応において使用される好ましい酸としては、例えば、ギ酸、リン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリブロモ酢酸、メタンスルホン酸を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの酸は、0.1%〜50%の濃度で加えることが好ましく、より好ましくは1%〜20%、さらに好ましくは1%〜5%である。
また上記反応において水混和性溶剤を使用することもできる。水混和性溶剤は、水混和性を有する溶剤である限り特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、トリフルオロエタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン等を挙げることができ、中でも、アセトニトリル、トリフルオロエタノール、ジメチルホルムアミドが好ましい。このような溶剤は、1%〜70%の濃度で加えることが好ましく、より好ましくは20%〜60%、さらに好ましくは、35%〜50%である。
このように、酸と水混和性溶剤の存在下で切断することにより、目的ポリペプチドの産生率を上昇させることが可能である。
なお、上記反応により、Metの位置でポリペプチド(i)を切り離した際には、N末側の第2ポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片と、C末側の第1ポリペプチド断片を得ることができる。
なお、Met’は、Metの誘導体を意味し、上記のような切断反応により生成されるMetの誘導体を示す。
本発明のポリペプチド(i)に含まれる「第1のポリペプチド断片」および「第2のポリペプチド断片」は、アミノ酸配列の長さやアミノ酸の種類に基づき、適宜好ましい断片を設計することができる。本発明において、ポリペプチド断片を設計する際は、特に第1のポリペプチド断片として生合成されるポリペプチド断片が、そのN末端にシステインを有するように設計される。
本発明のポリペプチド(i)は、天然のタンパク質であってもよいし、生合成、化学合成または無細胞合成等の方法によって得られたペプチド鎖であってもよいが、好ましくは菌体もしくは細胞内で発現された組換えタンパク質である。組換えタンパク質は人為的に菌体内もしくは細胞内で発現させる限り、天然のタンパク質と同じペプチド配列を有するものであってもよいし、変異や精製用のタグなどの修飾を有するペプチド配列を有するものであってもよい。
本発明ポリペプチド(i)は、当業者に公知の方法によって調製が可能である。例えば、組換えベクターに目的の遺伝子を導入して発現させることができる。本発明で用いる組換えベクターとしては、宿主細胞を形質転換し得るものであればよく、宿主細胞に応じて大腸菌用のプラスミド、枯草菌用のプラスミド、酵母用のプラスミド、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスベクターなどが用いられる。これらには、その宿主細胞にてタンパク質を適切に発現させ得るプロモーター等の制御配列を有しているものが好ましい。また、宿主細胞としては、組換えベクターにて外来性遺伝子を発現できる物であればよく、一般的には、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。
宿主細胞に組換えベクターを移入する方法としては、一般的に常用されている方法を用いればよく、例えば、大腸菌の場合は、ヒートショック法、塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法、酵母の場合は塩化リチウム法やエレクトロポレーション法が利用できる。また、動物細胞の形質転換は、エレクトロポレーション等の物理的方法、あるいは、リポソーム法やリン酸カルシウム法等の化学的方法、あるいはレトロウイルス等のウイルスベクターを用いて行なうことができる。また、ベクター導入後は、当業者に周知の方法により、目的のDNA配列が正しく組込まれていることを確認することが好ましい。形質転換体である宿主細胞の培養形態は、宿主の栄養生理学的性質を考慮して培養条件を選択すればよい。
本発明で使用されるペプチドは、精製されていることが好ましい。ペプチドの精製方法は通常の一般的な精製により行うことができる。たとえば、組換えタンパク質であれば、本発明で使用される組換えタンパク質を発現する菌体あるいは細胞を培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりペプチドの粗抽出液を調製する。緩衝液中には、尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。このようにして得られた抽出液、あるいは培養上清中に含まれるペプチドの精製は、公知の精製方法によって行うことができる。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、フィルター、限外ろ過、ゲルろ過、電気泳動、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、ペプチドの分離、精製を行うことが可能である。
また、組換えタンパク質の精製を容易にするために、発現ベクターに種々のタグを組み込んでおくこともできる。タグの例としては、発現効率を向上させるタグや、精製効率を向上させるタグ等、当業者に周知のタグを使用することができ、例えば、チオレドキシン、GSTタグ、Mycタグ、FLAGタグ、マルトース結合タンパク(MBP)などが挙げられる。
また、これらのタグは、ポリペプチド(i)とMet(メチオニン)を介して連結させておくこともできる。このようにメチオニンを介してタグをポリペプチド(i)に連結させて作製することにより、第1のポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片とをメチオニンを標的として切り離す際に、同時にタグを切り離すことができる。
また、ポリペプチド(i)として作製されない、その他のタンパク質合成に必要なポリペプチド断片の合成には、当該技術分野で既知の任意の化学合成法を用いることができる。特に、糖鎖結合部分のポリペプチド鎖の合成は均一の糖鎖構造を有するペプチド断片を製造するために化学合成することが好ましく、かかる手法としては、限定されることなく、例えば、液相合成法、固相合成法、Boc法、Fmoc法などが挙げられる。より具体的には、糖鎖が付加したアミノ酸として糖鎖付加Asnを使用し、通常のペプチドフラグメントの合成と同様に、固相合成、液相合成等の公知のペプチド合成方法を適用することにより糖鎖付加ペプチドフラグメントを製造する方法を用いることができる。このような方法は、国際公開第2004/005330号パンフレット(US2005222382(A1))に記載されており、その開示は全体として本明細書に参照により組み込まれる。
なお、目的とするタンパク質のアミノ酸配列において、N末側およびC末側にライゲーションを必要とするペプチド断片を製造する際には、ライゲーションの副生成物を避けるため、N末側のシステインは、チアゾリジン型のシステインやAcm基等で保護されたシステインを連結させておく。すなわち、ライゲーション工程は、目的とするタンパク質のC末側のペプチド断片より連結させていき、連結が終わったペプチド断片のN末端のシステインをライゲーション可能な状態に戻すことで、順番にタンパク質におけるN末側へペプチド断片を連結させていく。例えば、チアゾリジン型のシステインを導入する際は、固相合成時に導入することもできるし、当業者に周知の方法でポリペプチド断片の合成後に選択的にシステインをチアゾリジン化させることもできる。
また、合成したポリペプチド鎖へ結合基を介して糖鎖を付加させることもできる。このような糖鎖の結合は、当該技術分野で既知の任意の手法を用いることができる。かかる手法としては、限定されることなく、例えば、還元末端に−NH−(CO)−CHX、−NH−(CO)−(CH−CHX、イソチオシアネート基、−NH−(CO)−(CH−COHおよび−NH−(CO)−(CH−CHO(式中、Xはハロゲン原子、aは0または1であり、bは1〜4の整数を示す)からなる群から選択される基を有する糖鎖誘導体をシステインのスルフヒドリル基と縮合させる方法(WO2005/010053参照)や、WO2005/095331に記載の結合剤を用いる方法などが挙げられる。
また、上記方法により、目的とするペプチドの一部の断片として製造されたペプチド断片は、連結工程に用いるために、N末側に位置するポリペプチドのC末端をチオエステル化する工程が、連結工程に先立って必要となる。かかるチオエステル化は、当業者に周知の方法で実施することができ、例えば、C末端のカルボン酸をPyBOPおよびDIPEAを用いて活性化させ、過剰のアルキルチオールを加えることで達成することができる。この手法を用いる場合、フラグメント末端のアミノ酸のα炭素の立体配置を抑制するため、アルキルチオールの添加は低温にて行うのが好ましく、より好ましくは10℃〜−80℃、より好ましくは0℃〜−40℃の温度で行う。また、上記チオエステル化は、Yamamoto et al., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130 (2), 501 −510に記載のFmoc法やBoc法などによっても行うことができる。
本発明において、「ペプチドチオエステル体」(以下、単にチオエステル体と記載することもある)とはC末端にカルボキシチオエステル部分(−C=O−SR)を有するペプチドをいう。本発明で用いられるペプチドチオエステル体は、他のチオール基と交換反応を起こすことのできるチオエステル体であれば、特に限定されない。R基としては、例えば、下記のRに例示される基が挙げられる。
このように合成された本発明のポリペプチド(i)は、介在配列におけるMetの位置で切り離されることにより、以下のポリペプチド断片を得ることができる。
(A)N末側がシステインである第1のポリペプチド断片
(B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片(ii)
(N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)・・・・(ii)
[ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。]
なお、ポリペプチド(i)のN末側および/またはC末側において、上記介在配列を介して、さらに別のポリペプチド断片が連結している場合には、例えば、さらに下記ポリペプチド断片を得ることができる。
(B’)(N末側) ポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)
上記のようにして得られた(A)N末側がシステインである第1のポリペプチド断片は、C末端にチオエステルを有するペプチドとライゲーションすることができる。したがって、本発明は、本発明の方法により得られたN末端がシステインである第1のポリペプチド断片と、C末端にチオエステルを有するペプチドとをライゲーション法により結合する工程を含む、ポリペプチドの製造方法もまた、提供する。
ここで、本発明の方法は、
ポリペプチド(i)を切り離すことにより得られた第3のポリペプチド断片(ii)に、下記式(I)で表わされる化合物:
[式中、Xは硫黄原子または酸素原子であり、R及びRは、脱離基である。]
を反応させ、続いて、有機溶媒中で、下記式(II)で表わされる化合物:
[式中、Yは、酸素原子、硫黄原子、または、=NHであり、Rは、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。]を反応させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
(N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−NH−C(=Y)NHR (C末側)
を得るステップを含む。
上記のステップは、まず、システイン残基を有する第3のポリペプチド断片(ii)において、前記システイン残基のチオール基に式(I)で表わされる化合物を反応させることにより(反応a)、第1中間体を作製する工程を行う。
反応(a)において、使用される化合物は以下の式(I)で示される。
式中、Xは硫黄原子または酸素原子であるが、好ましくは硫黄原子である。
及びRは、脱離基として、反応(a)の条件下において、置換される原子又は原子団よりも求核性が低く、脱離される機能を有するものであれば特に限定されないが、R及びRはそれぞれ異なる脱離基であることが好ましい。R及びRとして具体的には、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の−O−アルキル基、置換もしくは非置換の−O−アルケニル基、置換もしくは非置換の−O−アルキニル基、置換もしくは非置換の−O−アリール基、置換もしくは非置換の−O−ヘテロアリール基、置換もしくは非置換の−S−アルキル基、置換もしくは非置換の−S−アルケニル基、置換もしくは非置換の−S−アルキニル基、置換もしくは非置換の−S−アリール基、または、置換もしくは非置換の−S−ヘテロアリール基が挙げられる。R及びRとしてより好ましくは、Rが置換もしくは非置換の−O−C6−10アリール基、および、置換もしくは非置換の−S−C1−8アルキル基からなる群より選ばれる脱離基、および、Rが、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の−S−C1−8アルキル基、置換もしくは非置換の−S−C6−10アリール基からなる群より選ばれる脱離基、である組み合わせが挙げられる。
本発明において、「アルキル基」とは、脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される一価の基であり、水素および炭素原子を含有するヒドロカルビルまたは炭化水素の部分集合を有する。アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状の構造を含む。本発明のアルキル基として好ましくは、炭素原子数が1から8のアルキル基が挙げられる。なお、「C1−8アルキル基」とは、炭素原子数が1から8のアルキル基を示し、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
本発明において、「アルケニル基」とは、少なくとも1個の二重結合を有する1価の基である。二重結合および置換基の配置によって、二重結合の幾何学的形態は、エントゲーゲン(E)またはツザンメン(Z)、シスまたはトランス配置をとることができる。アルケニル基は、直鎖状または分岐鎖状を含む。本発明のアルケニル基として好ましくは、炭素原子数が2から8のアルケニル基が挙げられる。「C2−8アルケニル基」とは、炭素原子数が2から8のアルケニル基を示し、具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
本発明において、「アルキニル基」とは、少なくとも1個の三重結合を有する、1価の基である。アルキニル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキニル基を含む。本発明のアルキニル基として好ましくは、炭素原子数が2から8のアルキニル基が挙げられる。「C2−8アルキニル基」とは、炭素原子数が2から8のアルキニル基を示し、具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基等が挙げられる。
本発明において、「アリール基」とは、芳香族性の炭化水素環式基を意味する。本発明のアリール基として好ましくは、炭素原子数が6から10のアリール基が挙げられる。「C6−10アリール基」とは、炭素原子数が6から10のアリール基を示し、具体的には、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
本発明において、「ヘテロアリール基」とは、ヘテロアリール環から任意の位置の水素原子を1または2個のぞいて誘導される1価または2価の基を意味する。本発明において、「ヘテロアリール環」とは、環を構成する原子中に1または複数個のヘテロ原子を含有する芳香族性の環を意味し、好ましくは5−9員環である。環は単環であってもよいし、ベンゼン環または単環ヘテロアリール環と縮合した2環式ヘテロアリール基であってもよい。具体例としては、フラニル基、チオフェニル基、ピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ピリジル基、キノリニル基などが挙げられる。
上述の脱離基が有する置換基の種類、個数、置換位置は特に限定されないが、置換基として、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、ホルミル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルキルカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン、スルホニル基、または、ニトロ基などが挙げられる。
本発明の式(I)で表わされる化合物として、より具体的には、
などを挙げることができる。
また、上記の、
にMPAA((4−カルボキシメチル)チオフェノール)を反応させた下記のチオノフォルメート化試薬、
を用いることも可能である。
式(I)で表わされる化合物を第3のポリペプチド断片(ii)のシステイン残基に反応させることによって、下記図のようにシステイン残基中のSH基に−C(=X)−R基が結合した、第1中間体を得ることができる。
本発明において、反応(a)は、酸性条件下が好ましく、特にpH3〜5で行うことが好ましい。反応は、緩衝液とアセトニトリルの混合溶媒中、0〜50℃、好ましくは15〜25℃で、約0.1〜3時間、好ましくは10分〜1時間行うのが好ましいが、これに限定されない。
次いで、本発明の方法では、有機溶媒中で、前記第1中間体に式(II)で表わされる化合物を反応させ、前記システイン残基のN末側に隣接するアミノ酸との間のペプチド結合を形成するカルボキシル基に−NH−C(=Y)NHR基を付加し、前記ペプチド結合を切断することにより、切断された前記ペプチド結合よりもN末側のペプチド断片を第2中間体として得る工程を行う(反応(b))。
上記反応(b)において使用する化合物は以下の式(II)で示される。
式中、Yは酸素原子、NH基、または、硫黄原子であり、Rは、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。
本発明において、「アシル基」とは、カルボン酸のカルボキシル基からOH基を除いた原子団を意味する。本発明のアシル基として、好ましくは炭素原子数が1−5のアシル基が挙げられる。具体的には、例えば、アセチル基、ピバロイル基、プロピオニル基、ブチロイル基等が挙げられる。
本発明において、「アルコキシ基」とは、「アルキル基」が結合したオキシ基であることを意味する。本発明のアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。本発明のアルコキシ基として、好ましくは炭素原子数が1から14の直鎖状アルコキシ基または炭素原子数が3から14個の分岐鎖状アルコキシ基が挙げられる。具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチル−2−プロピルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−へキシルオキシ基等を挙げることができる。
また、「C2−nアルコキシカルボニル基」とは、C1−(n−1)のアルコキシ基を有するカルボニル基であることを意味する。本発明のアルコキシカルボニル基として、好ましくは炭素原子数が2から15のアルコキシカルボニル基を挙げることができる。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチル−2−プロピルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−へキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
アシル基として、好ましくは、アセチル基が挙げられる。また、アルコキシカルボニル基として好ましくはtert−ブトキシカルボニル基(Boc基)が挙げられる。
本発明の式(II)で表わされれる化合物として、より具体的には、
などを挙げることができる。
本発明において、反応(b)は、有機溶媒の存在下において行うのが好ましい。有機溶媒は溶解性が高く、かつ、求核性が低いものが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、DMSO、DMF、ジオキサン等を挙げることができる。反応は、0〜50℃、好ましくは15〜25℃で、約1〜24時間、好ましくは5〜10時間行うのが好ましいが、これに限定されない。
システイン残基のN末側に隣接するアミノ酸との間のペプチド結合を形成するカルボキシル基に−NH−C(=Y)NHR基を付加することにより、下記図のように、システイン残基のN末側でペプチド鎖が切断される。
なお、ペプチドの側鎖にアミノ基を有する場合には、本発明の反応(b)を行う前に、側鎖のアミノ基に脂溶性の保護基を導入してもよい。脂溶性保護基としては、例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基等のカルボニル含有基、アセチル(Ac)基等のアシル基、アリル基、ベンジル基等の保護基を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
脂溶性保護基を導入するには、例えばFmoc基を導入する場合には9−フルオレニルメチル−N−スクシニミジルカーボネートと炭酸水素ナトリウムを加えて反応を行うことにより導入できる。反応は0〜50℃、好ましくは室温で、約1〜5時間程度行うのが良いが、これに限定されない。
反応(b)においては、切断されたペプチド鎖の切断部よりもN末側のペプチド断片を下記式(III)の第2中間体として得ることができる。
本発明のペプチドチオエステル体の製造方法は、さらに、前記第2中間体にチオールを反応させて、C末端の−NH−C(=Y)NHR基とチオール基とを交換させることにより、第2中間体のC末端をチオエステル化する工程を含む(反応(c))。
反応(c)に用いる第2中間体は、反応(b)の後に単離されていても、単離されていなくてもよい。
好ましい態様において、前記反応(c)には、以下の式(IV)で表わされるチオールが用いられる。
−SH (式IV)
は、チオール交換反応を阻害せず、カルボニル炭素上での置換反応において脱離基となる基であれば特に限定されない。好ましくは、Rは、置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のアリール基および置換もしくは非置換のアルキル基から選択されるいずれか一つの基であり、より好ましくは置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のC6−10アリール基、および、置換もしくは非置換のC1−8アルキル基から選択されるいずれか一つの基である。より具体的には、ベンジルメルカプタン等のベンジル型の脱離基、チオフェノール、4−(カルボキシメチル)−チオフェノール等のアリール型の脱離基、2−メルカプトエタンスルホン酸基、3−メルカプトプロピオン酸アミド等のアルキル型の脱離基等から選択することができる。これらの脱離基が有する置換基の種類、個数、置換位置は特に限定されない。
反応(c)を行うことにより、第2中間体は、下記図のように完全にチオエステル体へと変換される。
上述のようにして得られたペプチドチオエステル体は、ペプチド又は被修飾ペプチドのうち、−SH基を有するアミノ酸残基をN末端に含むペプチド(又は被修飾ペプチド)と、ライゲーション法を用いて連結することができる。したがって、本発明は、本発明の方法により得られたペプチドチオエステル体と、N末端にシステインを有するペプチド鎖をライゲーション法により結合する工程を含む、ポリペプチドの製造方法もまた、提供する。
また、上記ペプチドチオエステル体の代わりに、前記工程(b)で得られた第2中間体を、そのままライゲーション法に使用することも可能である。この場合、チオエステル体への変換工程を省略できる点において好ましい。
本発明において、「ライゲーション法」とは、特許文献1に記載の天然型化学的ライゲーション法(Native Chemical Ligation、NCL法)のみならず、非天然アミノ酸、アミノ酸誘導体(例えば、トレオニン誘導体A、保護メチオニン、糖鎖付加アミノ酸等)を含むペプチドについて、上記天然型化学的ライゲーション法を応用する場合をも含む。ライゲーション法により、連結部位に天然アミド結合(ペプチド結合)を有するペプチドを製造することができる。
ライゲーション法を用いた連結は、ペプチド−ペプチド間、ペプチド−被修飾ペプチド間、被修飾ペプチド−被修飾ペプチド間の、いずれにおいても行うことができる。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
第一の、第二のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第一の要素を第二の要素と記し、同様に、第二の要素は第一の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
下記実施例において、本発明の方法を使用したインターロイキン−13(IL13)の誘導体(配列番号1)(糖鎖が天然のIL13とは異なるため、「誘導体」と称する。)の合成方法を示す。
具体的には、製造しようとする所望の糖鎖付加ポリペプチドである、インターロイキン13誘導体を以下に分類して設計した。
・IL13における1〜27番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片A(これは、「糖鎖含有ポリペプチド断片よりもN末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのN末側を含むポリペプチドからなる第2のポリペプチド断片」に相当する。)
・IL13における28〜43番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片B(これは、「糖鎖含有ポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間のポリペプチド断片」に相当する。)
・IL13における44〜55番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片C(この断片には、糖鎖が付加されたアミノ酸が含まれている。したがって、この断片は、「糖鎖が付加されたアミノ酸を含むポリペプチドからなる糖鎖含有ポリペプチド断片」に相当する。)
・IL13における56〜112番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片D(これは、「糖鎖含有ポリペプチド断片よりもC末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのC末側を含むポリペプチドからなる第1のポリペプチド断片」に相当する。)
図6は、かかる設計(デザイン)を示す模式図である。
後述するとおり、上記ポリペプチド断片Aと上記ポリペプチド断片Dは、大腸菌発現法により発現させ、所定のステップを経ることにより調製する。
また、上記ポリペプチド断片Bと上記ポリペプチド断片Cは、化学合成により調製する。
そしてこれら調製された4つのポリペプチド断片をライゲーションにより連結させてIL−13誘導体を製造する。
なお、例えば、ポリペプチド断片C・Dと記載する場合、ポリペプチド断片Cとポリペプチド断片Dが連結したものを意味する。
1.ポリペプチド断片A(1〜27番目のアミノ酸)およびポリペプチド断片D(56-112番目のアミノ酸配列)の調製
2つの糖鎖非結合部分(ポリペプチド断片A(化合物1)(配列番号2)およびポリペプチド断片D(化合物4)(配列番号3)は、大腸菌発現系を用いて融合タンパク質(化合物6)(配列番号4)として作製した。
1−1.糖鎖非結合部分をコードする核酸分子の大腸菌への導入
(1)LB培地A(HO 1l中、バクトトリプトン 10g、酵母エキス 5g、NaCl 10g、寒天 15gを含む)を5ml入れた試験管に、大腸菌(BL21)懸濁液を100μl加え、ボルテックス処理後一晩37℃でインキュベートした。
(2)LB培地Aが5ml入った試験管に、(1)の培養液を200μl加えたものを2本作製し、37℃でインキュベートした。濁度(OD600)を測定し、50分後にOD600=0.4になった時点で試験管を氷中に入れた。
(3)(2)の試験管内容物をコニカルチューブに移し、0℃、2,000rpmで20分遠心した。
(4)デカントで上清を捨て沈殿物を砕き、0.1M CaClを3ml加え、氷中で20分放置した。
(5)(4)のチューブを0℃、2,000rpmで20分遠心した。
(6)デカントで上清を捨て沈殿物を砕き、0.1M CaClを0.5ml加え、ボルテックス処理後、別途用意したチューブに移した。
(7)(6)のチューブに、IL13の1〜27番目のアミノ酸配列、介在配列(Cys−Val−His−His−His−His−His−His−Met)、および、56〜112番目のアミノ酸配列が連結された配列をコードする核酸分子(配列番号5)を含むpET32aベクターを2ml加え、軽く混ぜた後、氷中で1時間静置した。なお、当該ベクターはその発明者らより、第三者に自由に配布されている。前記核酸分子は、pET32aベクター(Novagen社)のチオレドキシンの下流のNcoI/BamHI部位に挿入されている(図1参照)。
(8)(7)のサンプルを42℃の水浴に3分浮かべ(ヒートショック法)、続いて氷中で1分間冷却した。
(9)(8)に、LB培地Aを5ml加え、37℃で45分インキュベートした後、室温、3,000rpmで10分遠心した。
(10)上清(濾液)を捨て、沈殿物を砕いた後、沈殿物に対しLB培地Aを1ml加え、ボルテックス処理後全量を100μl、900μlの2つに分けてそれぞれをLB培地B(HO 1l中、バクトトリプトン 10g、酵母エキス 5g、NaCl 5gおよびブドウ糖 5gを混合し、これに1.5%の寒天(15g/l)を加え、20分間オートクレーブ処理し、50〜60℃に放冷して100mgのアンピシリンを加えたもの)を30mlプレーティングしたシャーレーにコンラージを用いて散布した。
(11)(10)のシャーレーを37℃で10時間静置した。
(12)(11)によって形成されたコロニーを、試験管(LB培地Aに10%アンピシリンを1000:1の比で含むLBamp培地を3ml入れたもの)に滅菌済みの爪楊枝を用いてピックアップし、ボルテックス処理後37℃で一晩インキュベートした。
2.遺伝子の確認
2−1.プラスミドDNA取り出し
(1)上記1−1.(12)のサンプルの1.5mlをエッペンドルフチューブに移した。
(2)室温にて7,000rpmで3分遠心後、上清を除去し沈殿物を砕いた。
(3)沈殿物に対し、100mlのGTE(50mM ブドウ糖、25mM Tris・HCl、10mM EDTA)を加え、ボルテックス処理後、シェーカーを使用して5分懸濁し、さらにアルカリSDS溶液(0.2N NaOH、1%SDS)を200ml加えて転倒混和した後、氷中で5分冷却した。
(4)5M酢酸カリウム溶液を150ml加え転倒混和した後、氷中で5分冷却した。
(5)クロロホルムを15ml加えてボルテックス処理し、4℃、13,000rpmで15分遠心した後、上清を別のエッペンドルフチューブに移し、この上清に対して10mg/ml RNaseを3ml加え、37℃で1時間放置した。
(6)(5)のサンプルに対し、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)を500ml加え、室温、13,000rpmで10分遠心した。
(7)上清を別のエッペンドルフチューブに移し、3M NaOAc 40ml、EtOH 1mlを加えて転倒混和し、ボルテックス処理後−80℃で30分静置した。
(8)(7)のエッペンドルフチューブを4℃、13,000rpmで30分遠心した。
(9)上清を除去し、沈殿物に対して70%EtOH 1mlを加えてボルテックス処理後、室温、13,000rpmで5分遠心した。
(10)上清を除去し、デシケーターで乾燥させた。
(11)オートクレーブ処理した純水(aHO)を15ml加え、シェーカーで10分攪拌した。
2−2. プラスミドDNAの制限酵素処理および電気泳動
(1)上記2−1.(11)のサンプルの5mlをとり、BamHIおよびNcoIを含む制限酵素処理液A(10×Kバッファー(Tris・HCl pH8.5 200mM、MgCl 100mM、DTT 10mM、KCl 1M)2.25ml、0.1%BSA 2.25ml、NcoI 0.85ml、BamHI 0.85ml、aHO 10.76ml)を15ml添加混合し、37℃で2時間放置した。
(2)室温に戻し、反応停止液(HO中の、50%グリセロール、0.5%SDS、2mM EDTA、0.25%キシレンシアノール、0.25%ブロモフェノールブルー)を5ml加えた。
(3)4%ポリアクリルアミドゲル(30%アクリル溶液1.995ml、10×TBE(HO1l中、Trisma base 108g、ホウ酸55g、0.25M EDTA 80ml)1.5ml、10%APS(HO 1l中、過硫酸アンモニウム0.1g)75ml、TEMED 10ml、aHO 15ml)に(2)のサンプルをロードし、50V(定電圧)で泳動した。(ランニングバッファーは、1×TBE(10×TBEを10倍希釈したもの)を、分子量マーカーはΦ×174を用いた。)
(4)エチジウムブロマイドで15分染色し、300nmで試料を評価したところ、759bp程度のバンドを認めた。発現させるタンパク質は253アミノ酸長であるため、これに相当する長さのDNAが切り出されたことが確認された。
3.タンパク質の発現
(1)試験管2本にそれぞれ2×YTamp(aHO 1l中、バクトトリプトン16g、バクト酵母エキス10g、NaCl 5g、アンピシリン100mg)を5ml入れ、そこに上記1−1.(12)の液(4℃で2週間保存していたサンプル)の30mlをそれぞれ加えた後、37℃で一晩インキュベートした。
(2)2×YTamp 1lに(1)で作製した溶液10mlを加え、37℃でインキュベーションを開始した。
(3)濁度(OD600)を測定して、2時間後にOD=0.6になったところで1M イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1ml加え、3時間誘導を行った。
(4)(3)のサンプルを氷につけ、4℃、3,500rpmで10分遠心した。
(5)上清を捨て、集菌した。
(6)−20℃で保存した。
4.発現したタンパクの精製
(1)上記3.(6)で得たサンプルを室温で解凍後、100mlのバッファーA(100mM NaHPO、10mM Tris・HCl、6M 塩酸グアニジン、5mM イミダゾール、pH8.0)に溶かし、氷中でソニケーションし、細胞壁を破砕した。
(2)Ni−NTAアガロース(50%EtOH)を10mlとり、固相合成チューブ(カラム)に充填した後バッファーAで置換し、(1)のサンプルをロードしてNi−NTAアガロースと十分混和した後に溶出した。
(3)溶出液を回収し、再度カラムにロードした。この操作を10回繰り返し、最終的な溶出液を回収した。(透過液(1))
(4)(3)のNi−NTAアガロースを、バッファーB(100mM NaHPO、10mM Tris・HCl、6M 塩酸グアニジン、250mM イミダゾール、pH8.0)100mlで洗浄し、洗液を回収した。(透過液(2))
(5)バッファーC(100mM NaHPO、10mM Tris・HCl、6M 塩酸グアニジン、400mM イミダゾール、pH8.0)10mlを用いて溶出した(溶出液)。CBBG液(Coomassie Brilliant Blue G250)を用いて、タンパクの溶出を確認した。
(6)透析チューブに(5)の溶出液を入れ、純水が入った5lビーカーに透析チューブを浮かべ、4℃で一晩攪拌し、透析を行った。
(7)透析チューブの内容物を遠沈管に回収し、4℃、3,500rpmで10分遠心後、上清を捨て、チオレドキシンタンパク質が結合したポリペプチド断片A−Cys−Val−Hisタグ−Met−ポリペプチド断片D融合ポリペプチド(化合物6)を約25mg得た(図2および図3参照)。
(6)
(なお、CはCysを示し、VはValを示し、HはHisを示し、MはMetを示す。以下、同じ。)
5.CNBr処理
(1)4.(7)で得られた融合ポリぺプチド(化合物6)をHPLCで精製した後凍結乾燥したサンプル100mgに対し、アルゴン下にて20mlの2%TFA及び40%アセトニトリル含有水溶液を加え、さらに76mgのCNBrを加え遮光して一晩攪拌した。この処理により、融合タンパク質であるチオレドキシン部及びHisタグと糖鎖非結合部分であるポリペプチド断片Dとの間のメチオニンのC末側のアミド結合が加水分解され、ポリペプチド断片Aに介在配列が付加したものと、ポリペプチド断片Dとを分離することができる。
(2)HPLCを用いて分析し、保持時間12分に所望のポリペプチド断片A−C−Val−His−His−His−His−His−His−Met誘導体(化合物10)(配列番号6)2.3mg、およびポリぺプチド断片D(化合物4)4.2mgを得たことを質量分析により確認した(図4および図5参照)。
(10)
(4)
6.チオエステル化
上記5.で得られたポリペプチド断片A−C−Val−His−His−His−His−His−His−Met誘導体(化合物10)6mgを、ジメチルホルムアミド(DMF)680μLに溶解させた後、溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEtN)2.6μL(10eq)、及びBoc−OSu3.2mg(10eq)を加え約1時間反応させ、ポリペプチド断片A−C−Val−His−His−His−His−His−His−Met誘導体(化合物10)のN末端のアミノ基および配列中のLys残基の側鎖のアミノ基の計2か所がBoc化された37残基の部分保護されたポリペプチド断片(化合物100)(配列番号7)を得た。この37残基ペプチドを、リン酸緩衝溶液(pH=5.0、100nM)に溶かし、クロロチオノフォルメート(5等量)を加え、システインのチオール基をチオ炭酸型として修飾し、そのままHPLCを用いて精製した。得られたポリペプチド断片(化合物101)(配列番号8)を凍結乾燥することで1.7mg獲得した。この全量をDMSOに溶かし、アセチルグアニンジン(0.5M in DMSO)を加え、常温で8時間反応させた。生成物をHPLCで精製し、IL−13の1〜27番目のアミノ酸配列を有するポリペプチド断片AのC末端のカルボキシル基がグアニジノ基で修飾されたポリペプチド断片(化合物102)(配列番号9)0.3mgを得た。
このペプチド−グアニンジン誘導体は、メルカプトエチル硫酸等のアルキルチオールで処理してチオエステル誘導体に変換することもできるが、グアニジノ基のまま、ネイティブケミカルライゲーションに用いることもできる。
(100)
(なお、M’はMetの誘導体を示す。以下、同じ。)
(101)
(102)
7.ポリペプチド断片B(28〜43番目のアミノ酸)の合成
ポリペプチド断片B(化合物2)の伸張は一般的なFmoc法あるいはBoc法による固相合成法を用い合成した。
固相合成チューブにBoc−Leu−PAM樹脂94.34mg(50μmol)を入れ、蒸留DMFおよび蒸留DCMで十分に洗浄後に乾燥させたものを用いた。縮合に用いるアミノ酸のアミノ基はBoc基によって保護されているものを用いた。また、反応は特に記載が無い限り固相合成チューブ内で行った。
DMF、DCMでよく洗浄し、その後、10%硫酸/dioxane溶液(1.0ml)を樹脂に加え30分撹拌することによりBoc基を脱保護し、DCM,DMFで樹脂を洗浄した。
その後、リンカーとしてS−trityol−3−mercaptopropionic acid 5等量(87.1mg、250μmol)、DIPEA 10等量(87.3μl、500μmol)、およびHBTU5等量(94.8mg、250μmol)をDMF(1.0ml)に溶解し、前記で調製した樹脂が充填された固相合成用チューブに入れ、室温で0.5時間攪拌した。攪拌後、樹脂をDCM及びDMFで数回洗い、続いてDCM、DMFでよく洗浄した。その後、TFAを樹脂に加え30分撹拌することによりtrityl基を脱保護し、DCM、DMFで樹脂を洗浄した。
次に、樹脂をDMFで洗浄後、1残基目のBoc−Tyr(Br−Z)−COOH 5等量(123.6mg、250μmol)、HBTU 5等量(94.8mg、50μmol)、DIPEA 10等量(87.3μl、500μmol)をDMF溶媒(1.0ml)中で混合し、これを樹脂に加え室温で0.5時間攪拌し中間体(化合物14)を得た。
(14)
縮合後は樹脂をDMFで洗浄後、カイザー試験で樹脂上にアミノ酸が縮合されていることを確認し、順次Boc−Leu−PAM−Resinと同様にBoc基を脱保護した。2残基目以降も同様に縮合を行った。16残基目までは、全て各1回の縮合(single coupling)で終えた。
なお、IL−13のアミノ酸配列における28番目のアミノ酸に相当するCysはチアゾリジン型で保護されたものを縮合させた。
縮合が終了した樹脂をDMFおよびDCMでよく洗浄し、TFA:DMS:m−cresol:EDT:TfOH=5:3:0.8:0.2:1のカクテル1mlを樹脂に加え氷上で1時間攪拌し、樹脂から側鎖の脱保護をおこなった。これを、ジエチルエーテルでしっかりと洗い乾燥させた。
8.樹脂からの切り出し
上記7.で調製したペプチドを樹脂から切り出すために、TFA:Thioanisol:EDT:TfOH=8:0.8:0.2:0.8のカクテル1mlを氷上で加えて、1時間撹拌した。ジエチルエーテルで沈殿させた後、室温で乾燥させた後サンプルをHPLC(カラム:Synmetory300(TM) C4、3.5μm、4.6×150mm、流速:1.0ml/分、18%〜54%CHCNを含む0.09%TFAの18分のリニアグラジエント)で分析し、保持時間13分に、リンカーが付加することでチオエステル体の状態で切り出された、IL13のアミノ酸配列における28〜43番目のアミノ酸配列を有するペプチドチオエステル体(化合物103)を得た。このペプチドチオエステル(化合物103)(配列番号10)をHPLCを用いて精製し、分取した溶液を凍結乾燥し5mgを得た。
IL13(28〜43)チオエステル体(化合物103);ESI−MS:m/z C851302025についての計算値:[M+H] 1959.8, [M+2H]2+ 980.4、実測値:1960.8, 981.0
9.糖鎖結合部分のポリペプチド断片C(44〜55番目のアミノ酸)の合成
ポリペプチド断片C(化合物3)の伸張は一般的なFmoc法による固相合成法を用いた。
固相合成チューブに4−(4−hydroxymethyl−3−methoxyphenoxy)−butyric acid(HMPB)−poly(ethylene glycol)−poly(dimethylacrylamide)copolymer(PEGA)樹脂1.67mg(50μmol)を入れ、蒸留DMFおよび蒸留DCMで十分に洗浄後に乾燥させたものを用いた。縮合に用いるアミノ酸のアミノ基はFmoc基によって保護されているものを用いた。また、反応は特に記載が無い限り固相合成チューブ内で行った。
Fmoc−Gly−OH 5等量(74.3mg、250μmol)およびN−metylimidazole 3.75等量(14.9μl、187.5μmol)をDCM(1.0ml)に溶解し、前記で調製した樹脂が充填された固相合成用チューブに入れ、室温で2時間攪拌した。攪拌後、樹脂をDCM:MeOH:DIPEA=17:2:1で数回洗い、続いてDCM、DMFでよく洗浄した。その後、20%ピペリジン/DMF溶液(1.0ml)を樹脂に加え30分撹拌することによりFmoc基を脱保護し、DMFで樹脂を洗浄した。
次に、樹脂をDMFで洗浄後、2残基目のFmoc−Ser(tButyl)−COOH 5等量(95.9mg、50μmol)、HOBt・HO 5等量(33.8mg、50μmol)、DIPCDI 5等量(38.5μl、50μmol)をDMF溶媒(1.0ml)中で混合し、これを樹脂に加え室温で1時間攪拌した。縮合後は樹脂をDMFで洗浄後、カイザー試験で樹脂上にアミノ酸が縮合されていることを確認し、1残基目と同様にFmoc基を脱保護した。3残基目も同様に縮合を行った。次に、4残基目として、下記式(20)で表わされるFmoc−Asn−アシアロ糖鎖を結合させた。
(20)
すなわち、3残基目のバリンのFmoc基を脱保護後、DMFで樹脂を洗浄後、Fmoc−Asn−アシアロ糖鎖(大塚化学株式会社製、198mg、100μmol)、DEPBT 3等量(45mg、150μmol)、DIPEA 2等量(18.5μl、100μmol)をDMSO:DMF溶媒4:1(2.5ml)を加え、4残基目に糖鎖アスパラギンを導入した。その後、アミノ酸の縮合は、1−3残基目のアミノ酸と同様に行うが、用いるFmoc−保護アミノ酸の反応溶液中の濃度は、全て50mM程度になるようDMFの量を調製して行った。糖鎖アスパラギン付加後は、Fmoc保護アミノ酸は、各1回の縮合(single coupling)で終えた。
なお、N末端に位置するCys(IL−13のアミノ酸配列における45番目のアミノ酸に相当するCys)はチアゾリジン型で保護されたものを用いた。
縮合が終了した樹脂をDMFおよびDCMでよく洗浄し、AcOH:DCM:MeOH=5:4:1のカクテル2mlを樹脂に加え3時間攪拌した後、樹脂からアミノ酸側鎖が保護された糖鎖含有のポリペプチド断片(化合物104)(配列番号11)を切り出した。これを、室温で減圧濃縮して乾固させ、ベンゼンで酢酸を共沸した。一部、95%TFA、2.5%トリイソプロピルシラン(TIS)、2.5%HOを加えて、IL−13のアミノ酸配列における44番目に相当するCys以外のアミノ酸側鎖の保護基を除去し、室温で減圧濃縮後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて純度を確認したところ、保持時間11分に目的とする糖鎖含有のポリペプチド断片C(化合物105)(配列番号12)を質量分析の結果より確認した。
化合物105:ESI−MS:m/z C1121871763Sについての計算値:[M+2H]2+ 1406.1, [M+3H]3+ 937.7、実測値:1406.8 , 938.3
10.糖鎖含有ポリペプチド断片Cのチオエステル化
上記9.で得たアミノ酸側鎖が保護された糖鎖含有のポリペプチド断片(化合物104)をベンゼンを用いて共沸後、デシケーターで乾燥させた。このポリペプチド断片(化合物104)のうち、10.1mg(3.3μmol)をDMF 0.4mlに溶解させ、乾燥させたモレキュラーシーブス4Å(6mg)およびベンジルチオール30等量(11.6μl、99μmol)を加え、−20℃で1時間攪拌し、PyBOP 5等量(8.58mg、16.5μmol)、DIPEA 5等量(2.9μl、16.5μmol)を加え2時間反応させてC末端のチオエステル化を行った。反応終了後、ジエチルエーテル6ml中に反応溶液を滴下し、白色沈殿物を遠心分離法により回収した。数回ジエチルエーテルで沈殿物を洗浄し、乾燥させ白色固形物として糖鎖含有ポリペプチドチオエステル(化合物106)(配列番号13)を得た。この固形物に対し、TFA:HO:TIS:EDT=90:5:2.5:2.5のカクテル1mlを加え3時間攪拌させ、ペプチド側鎖の保護基を除去した。室温で減圧濃縮後サンプルをHPLC(カラム:Synmetory300(TM) C4、3.5μm、4.6×150mm、流速:1.0ml/分、18%〜54%CHCNを含む0.09%TFAの15分のリニアグラジエント)で分析し、保持時間9.5分にIL13のアミノ酸配列における44〜55番目のアミノ酸を有する糖鎖含有ポリペプチドチオエステル(化合物107)(配列番号14)を得た。この糖鎖含有ポリペプチドチオエステル(化合物107)をHPLCを用いて精製し、分取した溶液を凍結乾燥し7.2mgを得た。
IL13(44〜55)チオエステル体(化合物107);ESI−MS:m/z C1191931762についての計算値:[M+2H]2+ 1459.1, [M+3H]3+973.1、実測値:1459.7, 973.5
11.糖鎖含有ポリペプチド断片Cとポリペプチド断片Dの連結
上記10.で得たチオエステル化した糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物107)(1.2mg、425nmol)と、上記5.で得た糖鎖非結合部分であるポリペプチド断片D(化合物4)(2.3mg、355nmol)とを、緩衝溶液(6M 塩酸グアニジン、0.2M PBS、20mM TCEP(トリス(2−カルボシキシエチル)ホスフィン)、0.04M MPAA(4−メルカプトフェニル酢酸)、pH6.8)180μlに加え、室温で3時間反応させることにより、糖鎖含有ポリペプチド断片Cとポリペプチド断片Dとが連結された糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物108)(配列番号15)を得た。NCL終了後、そのまま、メトキシアミン塩酸塩(3.0mg、35.9μmol)を反応溶液に加え、pHを4.0に合わせN末端のチアゾリジンを分解し、システインへと変換した。12時間後、反応混合物をHPLCで分析したところ、相当するピークが観察された。また、このピークの化合物を精製し、質量分析により、糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物109)(配列番号16)を2.3mg得たことを確認した。
化合物109:ESI−MS:m/z C402654102141についての計算値:[M+4H]4+ 2316.7, [M+5H]5+ 1853.5, [M+6H]6+ 1544.8, [M+7H]7+ 1324.2, [M+8H]8+ 1158.8, [M+9H]9+ 1030.2、実測値:2317.7, 1854.5, 1545.7, 1325.2, 1030.9
12.ポリペプチド断片Bと糖鎖含有ポリペプチド断片C・Dとの連結
上記11.で得た糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物109)(1.3mg、140nmol)と、上記8.で得たチオエステル化したポリペプチド断片B(化合物103)(0.40mg、209nmol)とを、緩衝溶液(6M 塩酸グアニジン、0.2M PBS、40mM TCEP(トリス(2−カルボシキシエチル)ホスフィン)、0.02M MPAA(4−メルカプトフェニル酢酸)、pH7.1)70μlに加え、室温で8時間反応させることにより、ポリペプチド断片Bと糖鎖含有ポリペプチド断片C・Dとが連結した糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物110)(配列番号17)を得た。NCL終了後、そのまま、メトキシアミン塩酸塩(1.2mg、14μmol)を反応溶液に加え、pHを4.0に合わせN末端のチアゾリジンを分解し、システインへと変換した。12時間後、反応混合物をHPLCで分析したところ、相当するピークが観察された。また、このピークの化合物を精製し、質量分析により、糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物111)(配列番号18)を0.6mg得たことを確認した。
化合物111:ESI−MS:m/z C477767121163についての計算値:[M+5H]5+ 2199.1, [M+6H]6+ 1832.7, [M+7H]7+ 1571.1, [M+8H]8+ 1374.8, [M+9H]9+ 1222.2, [M+10H]10+ 1100.0, [M+11H]11+ 1000.1、実測値:2200.4, 1834.1, 1572.3, 1375.9, 1223.3, 1100.9, 1000.9
13.ポリペプチド断片Aと糖鎖含有ポリペプチド断片B・C・Dとの連結
上記12.で得た糖鎖含有ポリペプチド断片(化合物111)(0.6mg、54nmol)と、上記6.で得たグアニンジン誘導体化したポリペプチド断片(化合物102)(0.2mg、62nmol)とを、緩衝溶液(6M 塩酸グアニジン、0.2M PBS、20mM TCEP(トリス(2−カルボシキシエチル)ホスフィン)、0.1M MPAA(4−メルカプトフェニル酢酸)、pH7.2)50μlに加え、室温で24時間反応させた。24時間後、反応混合物をHPLCで分析したところ、相当するピークが観察された。このピークの化合物を精製し、質量分析により、糖鎖含有ポリペプチド(化合物112)(配列番号19)を0.1mg得たことを確認した。
化合物112:ESI−MS:m/z C6171000156207についての計算値:[M+8H]8+ 1763.4, [M+9H]9+ 1567.6, [M+10H]10+ 1410.9, [M+11H]11+ 1282.7, [M+12H]12+ 1175.9, [M+13H]13+ 1085.5, [M+14H]14+ 1008.1、実測値:1764.3, 1568.5, 1411.8, 1283.6, 1176.8, 1086.3, 1009.0
14.Boc基の除去
上記13.で得た112残基の糖鎖含有ポリペプチド(化合物112)0.1mgを、5%含水トリフルオロ酢酸200μLに溶解させ、室温下に1時間反応させた。反応後の溶液をアルゴンガスの吹き付けにより濃縮した後、緩衝溶液(6M 塩酸グアニジン、0.2M PBS)200μLにて希釈し、得られた溶液をHPLCにて精製した。メインピークを回収し目的とする均一な糖鎖を有するインターロイキン−13誘導体(化合物113)(配列番号1)を0.1mg得た。
15.介在配列の最適化
介在配列(−Cys−W−(His)n−Z−Met−)におけるWを最適化するために、C末端にヒスタグを有するペプチドチオノホルメートのグアニジド化において生成するグアニジド体(下記に反応式を示す)の単離収率を比較した。
X=G,V,I,P,F,W,L
(なお、DはAsp、VはVal、AはAla、FはPhe、CはCys、XはGly、Val、Ile、Pro、Phe、Trp、Leuのいずれか一つのアミノ酸を示す。)
グアニジド化反応には、Boc−Asp−Val−Ala−Asp−Phe−Cys(C(S)OPh)−Xaa−His−His−His−His−His−His−OH (Xaa=Gly,Val,Ile,Phe,Pro,Trp)(配列番号20)のXaaにおいてアミノ酸が異なる6つのペプチドチオノホルメートを使用した。各ペプチドチオノホルメートを含むペプチドチオノホルメート/DMSO溶液(2mM)へ同じ体積量の1−アセチルグアニジン/DMSO溶液(1M)を加え、ボルテックスミキサーで撹拌した。37℃の湯浴中にて1日間静置した後、ジエチルエーテルで沈殿、洗浄した。セミ分取HPLCにて精製し、目的化合物(配列番号21)を得た。それぞれのペプチドの単離収率を表1に記載する。ESI MS calcd [M+H] 748.3 found,748.3.
表1に示す結果より、Val、Trp、IleをヒスタグのN末側へ挿入した場合、グアニジノ体を非常に多く得ることができた。特に、ValおよびIleは、副生成物の生成を抑えることができた。

Claims (20)

  1. NCL法に適した、N末端がシステインである第1のポリペプチド断片とC末側が修飾された第2のポリペプチド断片とを効率的に製造する方法であって、以下のステップを含む方法:
    (1)以下の構造を有するポリペプチド:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
    [ここでnは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
    にCNBrを反応させ、以下のポリペプチド断片を得るステップ;
    (A)N末端がシステインである第1のポリペプチド断片
    (B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)
    [ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。]
    (2)前記第3のポリペプチド断片に、下記式(I)で表わされる化合物:
    [式中、
    Xは硫黄原子または酸素原子であり、
    及びRは、脱離基である。]
    を反応させ、続いて、有機溶媒中で、下記式(II)で表わされる化合物:
    [式中、
    Yは、酸素原子、硫黄原子、または、=NHであり、
    は、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。]
    を反応させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−NH−C(=Y)NHR (C末側)
    を得るステップ。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記(2)のステップにおいて得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片に、さらに下記式で表されるチオール
    −SH
    [式中、Rは、置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のアリール基、および、置換もしくは非置換のアルキル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。]
    を反応させ、C末側の−NH−C(=Y)NHR基とチオール基とを交換させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−SR (C末側)
    を得るステップをさらに含む、製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法であって、
    前記式(I)で表わされる化合物におけるXが硫黄原子であることを特徴とする、
    製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法であって、前記式(I)で表わされる化合物中におけるRが、−O−Cアリール基であることを特徴とする、
    製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(I)で表わされる化合物におけるRが、ハロゲン原子、または、置換もしくは非置換の−S−C6−10アリール基であることを特徴とする、
    製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(II)で表わされる化合物におけるYが=NHであることを特徴とする、
    製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(II)で表わされる化合物におけるRが、アセチル基であることを特徴とする、
    製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載の製造方法であって、
    前記、以下の構造を有するポリペプチド:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
    が、細胞によって発現された組換えポリペプチド断片であることを特徴とする、
    製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法であって、
    前記細胞が大腸菌であることを特徴とする、
    製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    Wが1個のアミノ酸であり、かつ、Val、Ile、Leu、Trpからなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸であることを特徴とする、
    製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    nが6〜10の整数であることを特徴とする、
    製造方法。
  12. NCL法に適した、N末側がシステインである第1のポリペプチド断片を製造する方法であって、
    以下の構造を有するポリペプチド:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−P−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
    [ここでPは、任意の0〜10個のアミノ酸であり、Metはメチオニンを意味し、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
    にCNBrを反応させることを特徴とする方法。
  13. 糖鎖付加ポリペプチドの製造方法であって、以下のステップを有する製造方法:
    (1)製造しようとする所望の糖鎖付加ポリペプチドのペプチド配列を、少なくとも、
    ・糖鎖が付加されたアミノ酸を含むポリペプチドからなる糖鎖含有ポリペプチド断片、
    ・糖鎖含有ポリペプチド断片よりもN末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのN末側を含むポリペプチドからなる第2のポリペプチド断片、
    ・糖鎖含有ポリペプチド断片よりもC末側にあり所望の糖鎖付加ペプチドのC末側を含むポリペプチドからなる第1のポリペプチド断片、
    ・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間のポリペプチド断片、
    ・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第1のポリペプチド断片との間のポリペプチド断片、
    に分類して設計するステップ;
    ここで、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインであるように設計されており、
    (2)以下の構造を有するポリペプチド:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met−第1のポリペプチド断片 (C末側)
    [ここでnは、0〜10の整数を意味し、Cysはシステイン、Wは任意の1、2又は3個のアミノ酸を意味し、Zは、任意の0、1、又は2個のアミノ酸を意味し、Hisはヒスチジンを意味し、Metはメチオニンを意味する。また、第1のポリペプチド断片のN末端はシステインである。]
    をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを用いて、大腸菌によって発現させ、前記構造を有するポリペプチドを取得するステップ;
    (3)ステップ(2)で得られたポリペプチドにCNBrを反応させ、以下のポリペプチド断片を得るステップ;
    (A)N末端がシステインである第1のポリペプチド断片
    (B)以下の構造を有する第3のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−Cys−W−(His)n−Z−Met’ (C末側)
    (ここで、Met’は、Metの誘導体を意味する。)
    (4)前記第3のポリペプチド断片に、下記式(I)で表わされる化合物:
    [式中、Xは硫黄原子または酸素原子であり、R及びRは、脱離基である。]
    を反応させ、続いて、有機溶媒中で、下記式(II)で表わされる化合物:
    [式中、
    Yは酸素原子、硫黄原子、または、NH基であり、
    は、水素原子、アシル基、または、アルコキシカルボニル基である。]
    を反応させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−NH−C(=Y)NHR (C末側)
    を得るステップ;
    (5)任意に、前記(4)のステップにおいて得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片に、さらに下記式で表されるチオール
    −SH
    [式中、Rは、置換もしくは非置換のベンジル基、置換もしくは非置換のアリール基、および、置換もしくは非置換のアルキル基からなる群から選択されるいずれか一つの基である。]
    を反応させ、C末側の−NH−C(=Y)NHR基とチオール基とを交換させることにより、以下の構造を有するC末側が修飾された第2のポリペプチド断片:
    (N末側) 第2のポリペプチド断片−C(=O)−SR (C末側)
    を得るステップ;
    (6)化学的に合成することにより別に調製された、
    ・前記糖鎖含有ポリペプチド断片、
    ・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第2のポリペプチド断片との間の前記ポリペプチド断片、
    ・存在し得る場合には、糖鎖含有ポリペプチド断片と第1のポリペプチド断片との間の前記ポリペプチド断片、
    と、
    ステップ(3)によって得られたN末端がシステインである第1のポリペプチド断片
    ステップ(4)又は(5)によって得られたC末側が修飾された第2のポリペプチド断片
    とを、所望の糖鎖付加ポリペプチドが得られるような順序により、ライゲーション法により結合するステップ。
  14. 請求項13に記載の製造方法であって、
    前記式(I)で表わされる化合物におけるXが硫黄原子であることを特徴とする、
    製造方法。
  15. 請求項13または14に記載の製造方法であって、前記式(I)で表わされる化合物中におけるRが、−O−Cアリール基であることを特徴とする、
    製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(I)で表わされる化合物におけるRが、ハロゲン原子、または、置換もしくは非置換の−S−C6−10アリール基であることを特徴とする、
    製造方法。
  17. 請求項13〜16のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(II)で表わされる化合物におけるYが=NHであることを特徴とする、
    製造方法。
  18. 請求項13〜17のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    前記式(II)で表わされる化合物におけるRが、アセチル基であることを特徴とする、
    製造方法。
  19. 請求項13〜18のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    Wが1個のアミノ酸であり、かつ、Val、Ile、Leu、Trpからなる群より選択されるいずれか一つのアミノ酸であることを特徴とする、
    製造方法。
  20. 請求項13〜19のいずれか一項に記載の製造方法であって、
    nが6〜10の整数であることを特徴とする、
    製造方法。
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