JPWO2012165575A1 - 画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置

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浩 今井
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Abstract

画像表示装置は、光源からの光ビームを集光する可変焦点光学素子を備え、この可変焦点光学素子からの集光ビームを走査することで画像を表示する。可変焦点光学素子は、互いの光軸が平行であり、各光軸に直交する方向に並べて配置されたレンズ40、41と、レンズ40からのビームをレンズ41に向けて折り返す直交平面ミラー42と、直交平面ミラー42をレンズ40、41の各光軸に沿って平行移動させるアクチュエータ43と、を有する。走査角に応じて、アクチュエータ43の変位量が制御される。

Description

本発明は、光ビームを走査して被投射面上に画像を表示する画像表示装置に関する。
レーザー光を水平方向および垂直方向に走査して被投射面上に画像を表示する画像表示装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
図1に、画像表示装置の走査系に関わる構成を示す。
図1を参照すると、画像表示装置は、光源121と、光源121から出射したレーザービームを被投射面124上に集光する集光レンズ122と、集光レンズ122によって集光されたレーザービームを走査する走査ミラー123とを有する。
通常、表示画像の画素の大きさは、被投射面124上のビームスポット径(直径)で決まる。したがって、集光されたレーザービームのビームウェストが被投射面124の位置に形成されるように、集光レンズ122と被投射面124を設定すれば、ビームスポット径を小さくすることができ、高解像度の画像を得ることができる。
しかし、走査ミラー123から被投射面124までの間におけるレーザービームの光路長は、走査ミラー123の走査角に応じて変化するため、被投射面124の面内位置によっては、ビームウェストを被投射面124の位置に形成することができない。この場合は、画面の一部の解像度が低下する。
以下、解像度が低下する理由について詳細に説明する。
図2に、走査角θに対する光路長およびビームウェストの変化を模式的に示す。
走査ミラー123の有効径(半径)をω、伝播距離をz、振幅値が最大値に対し1/eまで落ちる距離において形成されるビームウェスト半径をω0とすると、以下の式1および式2の関係が成り立つ。ここで、λはレーザービームの波長、πは円周率である。ビーム開口数はω/zで与えられる。
Figure 2012165575
Figure 2012165575
走査角θが0で、光路長L(0)にビームウェストを配置した場合の被投射面124におけるビーム径(半径)をω0と仮定する。光路長L(0)は、レーザービームの中心光線の光路における、走査ミラー123の面から被投射面124までの距離である。投射距離fは、集光レンズ122から被投射面124までの距離であり、集光レンズ122の焦点距離により決まる。集光レンズ122の主点から走査ミラー123の面までの距離をdとすると、光路長L(0)は、投射距離fから距離dを差し引いた値で与えられる。
走査角θを0より大きくした場合の、レーザービームの中心光線の光路における、走査ミラー123の面から被投射面124までの距離を光路長L(θ)とすると、光路長L(θ)は以下の式3により与えられる。
Figure 2012165575
走査角θを0より大きくすると、光路長L(θ)は光路長L(0)より大きくなるため、式1における伝搬距離zが増大し、その結果、ビーム径(直径)の値は、2ω0から2ω(L(θ))に増大する。走査角θの増大に伴って被投射面124上でのビーム径が大きくなると、画素が大きくなり、その結果、画面の周辺部における解像度が低下する。
上述した画像表示装置において、集光レンズ122として可変焦点レンズを用い、ビームウェストが被投射面124の位置に形成されるように、走査角θに応じて可変焦点レンズの焦点距離を制御することで、画面全体にわたって高解像度を維持することができる。
可変焦点レンズは、例えば、集光レンズと、発散レンズと、集光レンズを光軸方向に移動するアクチュエータとからなる。アクチュエータが集光レンズを移動することで、集光レンズと発散レンズとの間隔が変化し、それに伴って、焦点距離が変化する。
図3Aに、長焦点時の可変焦点レンズの状態を模式的に示し、図3Bに、短焦点時の可変焦点レンズの状態を模式的に示す。
図3Aに示すように、集光レンズ130と発散レンズ131との間隔dが小さくなると、バックフォーカスBFが長くなる。一方、図3Bに示すように、集光レンズ130と発散レンズ131との間隔dが大きくなると、バックフォーカスBFが短くなる。
バックフォーカスBFは、以下の式4により与えられる。
Figure 2012165575
ここで、f1は集光レンズ130の焦点距離を示し、f2は発散レンズ131の焦点距離を示す。
上記の可変焦点レンズに関連する技術として、特許文献1には、集光レンズと発散レンズの組み合わせからなる集光光学系が記載されており、特許文献2には、アクチュエータを用いて集光レンズをその光軸方向に移動する構成が記載されている。
特開2007−121538号公報 特開2008−268645号公報
画像表示装置の小型化および省電力化の観点から、小型で、駆動電力の小さな可変焦点レンズが必要とされている。
アクチュエータは、可変焦点レンズの他の部材(集光レンズや発散レンズなど)に比較して格段に大きいため、可変焦点レンズの小型化を図るためには、アクチュエータ自体を小型化する必要がある。
アクチュエータには、圧電素子(ピエゾ素子とも呼ばれる)を用いたものや可動コイルを用いたものがあるが、いずれの場合も、変位量が大きいものほど、駆動電力が大きく、大型なものとなる。言い換えると、変位量の小さなアクチュエータは、駆動電力が小さく、小型である。
上記のことから、小型で、駆動電力の小さな可変焦点レンズを実現するためには、焦点距離の変化の範囲はそのままで、アクチュエータに要求される変位量を小さくする必要がある。
上述した可変焦点レンズを備えた画像表示装置において、走査角の変化範囲に対するアクチュエータに要求される変位量は、例えば80μmと大きいため、小型で、駆動電力の小さな可変焦点レンズを実現することは困難である。
なお、集光レンズおよび発散レンズとして焦点距離の小さなレンズを用いることで、焦点距離の変化の範囲はそのままで、アクチュエータに要求される変位量を小さくすることができる。しかし、この場合は、以下のような問題が生じる。
焦点距離を小さくすると、レンズの収差(球面収差等)が増大する。収差は、被投射面上のビームスポットの形状を変化させる要因であり、それが増大すると、ビームスポットの形状が変化して画質が低下する。
また、焦点距離を小さくすると、収差の影響を鑑みて、レンズ径(より具体的には開口数NA=レンズ半径÷焦点距離)を減少させる必要があるため、開口数の減少により、回折限界の観点から光ビームを小さく絞ることが困難となり、被投射面124上のビームスポット径が増大する。
例えば、焦点距離が10mmの集光レンズと焦点距離が−5mmの発散レンズとの組み合わせよりなる可変焦点レンズにおいて、集光レンズに入射する平行ビームのビーム直径を4mm、バックフォーカスを100mmとした場合のビームスポット径は40μmである。
これに対して、焦点距離が5mmの集光レンズと焦点距離が−2.5mmの発散レンズとの組み合わせよりなる可変焦点レンズにおいて、収差の影響を鑑みて、集光レンズに入射する平行ビームのビーム直径を2mmとして、バックフォーカスを100mmとした場合のビームスポット径は80μmである。このように、焦点距離を小さくすると、ビームスポット径が回折限界の影響により2倍に増大する。
表示画像の画素の大きさは、ビームスポット径に依存するため、ビームスポット径が増大すると、解像度が低下する。
本発明の目的は、画面全体にわって高解像度で高画質の画像を得ることができ、かつ、小型化および省電力化を図ることができる画像表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
光源と、
前記光源から出射された光ビームを集光する、焦点距離が可変の可変焦点光学素子と、
前記可変焦点光学素子によって集光された光ビームで被投射面上を走査する走査手段と、
入力映像信号に基づいて前記走査手段を制御して前記被投射面上に画像を表示させるとともに、前記走査手段の走査角に応じて前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御する制御部と、を有し、
前記可変焦点光学素子は、
互いの光軸が平行であり、各光軸に直交する方向に並べて配置された第1および第2のレンズと、
前記光源からの前記光ビームが前記第1のレンズを介して入射され、該入射した光ビームを前記第2のレンズに向けて折り返す反射素子と、
前記第1および第2のレンズと前記反射素子の一方もしくは両方を前記第1および第2のレンズの各光軸に沿って平行移動させるアクチュエータ部と、を有し、
前記制御部は、前記アクチュエータ部を制御して前記可変焦点光学素子の焦点距離を変化させる、画像表示装置が提供される。
画像表示装置の走査系に関わる一般的な構成を示す模式図である。 図1に示す画像表示装置における走査角に対する光路長およびビームウェストの変化を説明するための模式図である。 長焦点時の可変焦点レンズの状態を示す模式図である。 短焦点時の可変焦点レンズの状態を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態である走査型画像表示装置の構成を示すブロック図である。 図4に示す走査型画像表示装置の可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。 図4に示す走査型画像表示装置の水平おうよび垂直の走査を説明するための模式図である。 図4に示す走査型画像表示装置における、水平走査ミラーの駆動信号、垂直走査ミラーの駆動信号、投射距離の変化、および直交平面ミラーの変位量を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態である走査型画像表示装置にて用いられる可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態である走査型画像表示装置にて用いられる可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。 本発明の第4の実施形態である走査型画像表示装置にて用いられる可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。 本発明の第5の実施形態である走査型画像表示装置にて用いられる可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。 本発明の第6の実施形態である走査型画像表示装置にて用いられる可変焦点光学素子の構成を示す模式図である。
1 光源
2 コリメータレンズ
3 ミラー
4 可変焦点光学素子
5 水平走査ミラー
6 垂直走査ミラー
7 被投射面
8 制御部
9 映像信号制御部
10 走査ミラー制御部
40、41 レンズ
42 直交平面ミラー
42a、42b 平面ミラー
43 アクチュエータ
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図4は、本発明の第1の実施形態の走査型画像表示装置の構成を示すブロック図である。
図4を参照すると、走査型画像表示装置は、リアプロジェクションタイプのものであって、光源1、コリメータレンズ2、ミラー3、可変焦点光学素子4、水平走査ミラー5、垂直走査ミラー6、被投射面7および制御部8を有する。垂直走査ミラー6から被投射面7までの距離は固定である。
光源1は、半導体レーザーに代表される固体光源である。光源1からのレーザービームの進行方向に、コリメータレンズ2、ミラー3がこの順番で配置されている。コリメータレンズ2は、光源1からのレーザービームを平行光束化する。ミラー3は、コリメータレンズ2からのレーザービームを略90度の角度で反射する。
ミラー3で反射されたレーザービームの進行方向に、可変焦点光学素子4が配置されている。可変焦点光学素子4は、ミラー3からのレーザービームを集光するものであって、その焦点距離は可変である。
図5に、可変焦点光学素子4の構成を示す。
図5を参照すると、可変焦点光学素子4は、屈折力が正のレンズ40と、屈折力が負のレンズ41と、直交平面ミラー42と、アクチュエータ43とを有する。
レンズ40、41は、互いの光軸が平行であり、各光軸に直交する方向に並べて配置されている。
直交平面ミラー42は、レンズ40から入射したレーザービームをレンズ41に向けて折り返す反射素子であって、互いの面が直交するように一体的に形成された2つの平面ミラー42a、42bよりなる。
レンズ40からのレーザービームの中心光線(レンズ40の光軸)は、略45°の入射角度で平面ミラー42aに入射する。平面ミラー42aで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー42bに入射する。平面ミラー42bで反射されたレーザービームの中心光線はレンズ41の光軸に一致する。
アクチュエータ43は、直交平面ミラー42をレンズ40、41の光軸方向に平行移動する。アクチュエータ43として、例えば圧電素子や可動コイルを用いたものを適用することが可能である。ここでは、アクチュエータ43は、積層圧電アクチュエータであり、その長さは40mmである。150Vを印加した場合のアクチュエータ43の変位量は、40μmである。アクチュエータ43の駆動周波数は、例えば12kHzである。
再び、図4を参照する。可変焦点光学素子4から出射されたレーザービームの進行方向に、水平走査ミラー5および垂直走査ミラー6からなる走査手段が配置されている。水平走査ミラー5および垂直走査ミラー6として、マイクロメカニカルミラー(MEMS)に代表される共振型走査ミラーや、ガルバノミラー等を用いることができる。図4に示した例では、水平走査ミラー5および垂直走査ミラー6が別々に設けられているが、これに代えて、2次元走査が可能な共振型走査ミラーを用いることもできる。
ここで、水平走査ミラー5の走査周波数は6kHzであり、アクチュエータ43の駆動周波数の1/2である。また、垂直走査ミラー6の走査周波数は60Hzであり、水平走査線数は200本である。
制御部8は、走査型画像表示装置全体の動作を制御するものであって、映像信号制御部9および走査ミラー制御部10を有する。
映像信号S1が、外部装置から映像信号制御部9に供給されている。外部装置は、例えばパーソナルコンピュータ等の映像供給装置である。
映像信号制御部9は、映像信号S1に基づく画像の表示における垂直同期および水平同期をそれぞれ示す同期信号S2(垂直同期信号および水平同期信号)を走査ミラー制御部10に供給する。
また、映像信号制御部9は、水平方向および垂直方向の走査角とアクチュエータ43の変位量(具体的には印加電圧値)との関係を示す特性データ(ルックアップテーブル)を保持しており、同期信号S2(垂直同期信号および水平同期信号)に基づいて画素毎の走査角を決定し、その走査角に応じた変位量(印加電圧値)を特性データから取得する。そして、映像信号制御部9は、取得した変位量(印加電圧値)に基づく制御信号S3を可変焦点光学素子4に供給する。可変焦点光学素子4では、アクチュエータ43が制御信号S3に従って動作することで焦点距離が変化する。
例えば、特性データは、走査角θが0°〜最大角度θmaxまでの範囲において、走査角θを段階的に変化させた場合の、アクチュエータ43の変位量(具体的には印加電圧値)を示すデータをテーブル化したものである。走査角のステップ幅は例えば0.5°であるが、これに限定されない。走査角のステップ幅は適宜に設定可能である。
また、映像信号制御部9は、垂直走査期間の開始タイミングから水平同期信号のパルス、及び画素クロックをカウントし、そのカウント値に基づいて、レーザービームによって照射されている位置がどの画素であるかを決定することができる。画面全体の画素数および各画素における水平方向および垂直方向の走査角は予め決まっているので、映像信号制御部9は、カウント値に基づいて、レーザービームの現在の照射位置を決定し、その決定した位置に基づいて走査角を決定することができる。
さらに、映像信号制御部9は、映像信号S1に基づいて強度変調信号S4を生成し、その生成した強度変調信号S4を光源1に供給する。例えば、光源1が半導体レーザーである場合、強度変調信号S4に基づいて半導体レーザーへの電流供給(電流供給量および電流供給時間)が制御される。
なお、光源1からのレーザービームの光路上に変調器を設け、光源1への供給電力量を一定として、強度変調信号S4に基づいてその変調器の透過率を制御してもよい。
走査ミラー制御部10は、同期信号S2の水平同期信号に基づいて水平走査ミラー5を制御するとともに、同期信号S2の垂直同期信号に基づいて垂直走査ミラー6を制御する。
図6Aに、最上段、中段、最下段の3つの水平走査線の、左端、中央、右端の各画素を示す。図6Bに、水平走査ミラー5の駆動信号、垂直走査ミラー6の駆動信号、投射距離の変化、および直交平面ミラー42の変位量を示す。
画素P1、P2、P3は、最上段の水平走査線の左端、中央、右端の各画素を示す。画素P1は、被投射面7の左上に位置し、画素P3は、被投射面7の右上に位置する。
画素P4、P5、P6は、中段の水平走査線の左端、中央、右端の各画素を示す。画素P5は、被投射面7の略中央に位置する。
画素P7、P8、P9は、最下段の水平走査線の左端、中央、右端の各画素を示す。画素P7は、被投射面7の左下に位置し、画素P9は、被投射面7の右下に位置する。
走査ミラー制御部10は、正弦波状の駆動信号を水平走査ミラー5に供給し、鋸波状の駆動信号を垂直走査ミラー6に供給する。正弦波状の駆動信号において、最初の正負の波の部分が最上段の走査線に対応し、正側の波のピーク、0との交点、および負側の波のピークがそれぞれ画素P1、P2、P3に対応する。このような正負の波が、1垂直走査期間において、走査線の数だけ存在する。
1水平走査期間において、投射距離は、左端および右端の画素で最大となり、中央の画素で最小となる。1水平走査期間における投射距離の変化量は、最上段および最下段の走査線において最大となり、中央の走査線において最小となる。
1水平走査期間における投射距離の平均値は、最上段側から中央の方向に走査が進むにつれて徐々に減少し、中央において最小値となり、その後は、中央から最下段側の方向に走査が進むにつれて徐々に増大する。なお、図6Bの投射距離の図において、投射距離の平均値の変化は破線で示されている。
1水平走査期間において、直交平面ミラー42の平行移動(変位)量dは、左端および右端の画素で最小となり、中央の画素で最大となる。1水平走査期間における平行移動(変位)の範囲は、最上段および最下段の走査線において最小となり、中央の走査線において最大となる。
1垂直走査期間における平行移動(変位)量dの平均値は、最上段側から中央の方向に走査が進むにつれて段階的に増大し、中央において最大値となり、その後は、中央から最下段側の方向に走査が進むにつれて段階的に減少する。なお、図6Bの直交平面ミラーの変位dの図において、平行移動(変位)量dの平均値の変化は破線で示されている。
映像信号制御部9は、図6Bの直交平面ミラーの変位dを得られるような制御信号S3をアクチュエータ43に供給する。直交平面ミラーの変位dの変化の周期は、水平走査角の変化の周期の半分である。1水平走査期間において、走査線の端部側ほど直交平面ミラーの変位dが小さくなっている。また、1垂直期間において、中央部の水平走査線に対する直交平面ミラーの変位dの範囲が最も大きく、上下方向に行くに従って、水平走査線に対する直交平面ミラーの変位dの範囲が減少する。
上述した本実施形態の走査型画像表示装置においては、制御部8が、入力映像信号S1に基づいて走査手段(水平走査ミラー5および垂直走査ミラー6)の走査角を制御するとともに、該走査角に応じて可変焦点光学素子4の焦点距離を制御する。これにより、走査角によらず、ビームウェストを被投射面上に形成することができるので、画面全体にわって高解像度で高画質の画像を得ることができる。
また、可変焦点光学素子4は、変位量の小さなアクチュエータ43により構成されているので、小型化および省電力化を図ることができる。以下に、その理由を詳細に説明する。
図5に示した可変焦点光学素子4によれば、アクチュエータ43が、レンズ40、41側の方向に距離dだけ直交平面ミラー42を平行移動した場合、レンズ40からレンズ41までの光路長は、平行移動前と比較して、2dだけ短くなる。この光路長の変化に応じて、可変焦点光学素子4の焦点距離は長くなる。
また、アクチュエータ43が、レンズ40、41側とは反対の方向に距離dだけ直交平面ミラー42を平行移動した場合、レンズ40からレンズ41までの光路長は、平行移動前と比較して、2dだけ長くなる。この光路長の変化に応じて、可変焦点光学素子4の焦点距離は短くなる。
ここで、可変焦点光学素子4の焦点距離は、前述した式4により求められる。ただし、式4において、dは、レンズ40からレンズ41までの光路長を示す。
上記のように、アクチュエータ43による平行移動量dに対して、その2倍の光路長の変化量2dを得ることができる。すなわち、アクチュエータ43の変位量は、光路長の変化量の半分である。
一方、図3Aおよび図3Bに示したように、集光レンズ130と発散レンズ131を直線上に並べて配置し、アクチュエータによって集光レンズ130を光軸方向に平行移動させる構成(比較例)では、アクチュエータによる平行移動量dに対して、光路長の変化量はdである。すなわち、アクチュエータの変位量は、光路長の変化量と同じである。
上述のように、可変焦点光学素子4によれば、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量は半分でよいので、より小型で、駆動電力の小さなアクチュエータを用いることができる。
また、アクチュエータの変位量が小さいことから、以下のような作用効果を得ることができる。
通常、アクチュエータの変位量が大きいほど、アクチュエータの最大駆動周波数が低下する。このため、アクチュエータの変位量が大きいと、その応答性能が低下する。可変焦点光学素子4によれば、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量が小さいので、アクチュエータの最大駆動周波数をより高いものとすることができ、より高い応答性能を実現することができる。応答性能の向上により、走査角に応じた焦点距離の制御をより細かく行うことができ、その結果、画面全体にわって、ビームウェストを被投射面7の位置に確実かつ高精度に形成することができる。
なお、本実施形態の走査型画像表示装置は、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。例えば、直交平面ミラー42に代えて、直角プリズム(例えば、コーナーキューブ)を用いてもよい。この場合、直角プリズムの直交する2つの平面が反射面とされる。
また、光源1として赤色、緑色、青色の各色のレーザー光源をそれぞれ設け、各々のレーザー光源にコリメータ2を適用してもよい。この場合、各レーザー光源からのレーザービームを、ダイクロイックミラーやファイバカプラ等の色合成光学系を用いて、1本のレーザービームとしてもよい。この場合、映像信号制御部9は、映像信号S1に含まれる赤色、緑色、青色、各色に対応する映像の輝度信号に対応した強度変調信号S4で各色に対応した光源1を変調する。
なお、図5において、レンズ40、41は光軸方向に直交する方向に沿って並んでいるが、それらの位置がずれていても構わない。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態の走査型画像表示装置は、可変焦点光学素子4の一部が異なる以外は、第1の実施形態のものと基本的に同じものである。
図7に、本実施形態の走査型画像表示装置に用いられる可変焦点光学素子4の構成を示す。
図7を参照すると、可変焦点光学素子4は、図5に示した構成に、レンズホルダー44およびアクチュエータ45を加えたものである。
レンズホルダー44は、レンズ40、41を保持するものである。アクチュエータ45は、レンズホルダー44をレンズ40、41の光軸方向に平行移動する。
アクチュエータ43と同様、アクチュエータ45として、例えば圧電素子や可動コイルを用いたものを適用することが可能である。ここでは、アクチュエータ43、45はともに、積層圧電アクチュエータであり、その長さは20mmである。150Vを印加した場合のアクチュエータ43、45の変位量は、20μmである。アクチュエータ43、45の駆動周波数はそれぞれ、例えば12kHzである。
本実施形態の走査型画像表示装置においては、映像信号制御部9は、走査角に応じて可変焦点光学素子4の焦点距離を変化させるが、直交平面ミラー42とレンズホルダー44とが互いに反対の方向に平行移動するようにアクチュエータ43、45を制御する。
具体的には、焦点距離を長くする場合は、映像信号制御部9は、直交平面ミラー42とレンズホルダー44との間隔が小さくなるように、アクチュエータ43、45を制御する。反対に、焦点距離を短くする場合は、映像信号制御部9は、直交平面ミラー42とレンズホルダー44との間隔が大きくなるように、アクチュエータ43、45を制御する。
レンズ40からレンズ41までの光路長の変化量は、アクチュエータ43による直交平面ミラー42の変位量とアクチュエータ45によるレンズホルダー44の変位量との合計値によって決まる。
例えば、直交平面ミラー42の変位量とレンズホルダー44の変位量がそれぞれdである場合、レンズ40からレンズ41までの光路長の変化量は4dとなる。この場合、アクチュエータ43、45の変位量は、光路長の変化量の1/4である。
一方、図3Aおよび図3Bに示したように、集光レンズ130と発散レンズ131を直線上に並べて配置し、集光レンズ130と発散レンズ131をそれぞれ別々のアクチュエータによって光軸方向に平行移動させる構成(比較例)では、各アクチュエータによる平行移動量dに対して、光路長の変化量は2dである。すなわち、アクチュエータの変位量は、光路長の変化量の半分である。
上述のように、本実施形態の走査型画像表示装置においても、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量は半分でよいので、より小型で、駆動電力の小さなアクチュエータを用いることができる。その理由は、積層圧電アクチュエータの長さは変位量に比例するためである。また、アクチュエータの変位量が小さいため、より高い駆動周波数でアクチュエータを駆動でき、水平走査線数を増やすことができる。
加えて、第1の実施形態で説明したような他の作用および効果も得ることができる。
なお、本実施形態の走査型画像表示装置は、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。
例えば、レンズホルダー44と直交平面ミラー42の一方を固定とし、他方を光軸方向に平行移動するようにしてもよい。
さらに、レンズ41に代えて屈折力が正のレンズを用いてもよい。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態の走査型画像表示装置は、可変焦点光学素子4の一部が異なる以外は、第1の実施形態のものと基本的に同じものである。
図8に、本実施形態の走査型画像表示装置に用いられる可変焦点光学素子4の構成を示す。
図8を参照すると、可変焦点光学素子4は、図5に示した構成において、レンズ41に代えて屈折力が正のレンズ46を設けたものである。レンズ40からのレーザービームの中心光線に関し、平面ミラー42bで反射されたレーザービームの中心光線は、レンズ46の光軸に一致する。
レンズ41の焦点距離をf1とし、レンズ46の焦点距離をf2とすると、レンズ41からレンズ46までの光路長(レンズ41、46間の距離)は、概ね「f1+f2」の値に一致する。
屈折力が正の2つのレンズ41、46を用いることで、第1の実施形態のような、屈折力が正のレンズ40と屈折力が負のレンズ41とを組み合わせた構成に比較して、レンズ間の距離をより長くすることができるので、直交平面ミラー42を配置する上での自由度が向上する。
本実施形態の走査型表示装置においても、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態の走査型画像表示装置は、可変焦点光学素子4の一部が異なる以外は、第1の実施形態のものと基本的に同じものである。
図9に、本実施形態の走査型画像表示装置に用いられる可変焦点光学素子4の構成を示す。
図9を参照すると、可変焦点光学素子4は、図5に示した構成において、直交平面ミラー47およびアクチュエータ48を追加し、さらに、レンズ41に代えて屈折力が正のレンズ46を設けたものである。
直交平面ミラー42、47は、レンズ40から入射したレーザービームを、その入射方向に折り返してレンズ46に入射させる反射手段である。
直交平面ミラー47は、互いの面が直交するように一体的に形成された2つの平面ミラー47a、47bよりなる。平面ミラー47aは、直交平面ミラー42の平面ミラー42aと対向するように配置されている。平面ミラー47bは、直交平面ミラー42の平面ミラー42bと対向するように配置されている。
レンズ40からのレーザービームの中心光線(レンズ40の光軸)は、略45°の入射角度で平面ミラー42aに入射する。平面ミラー42aで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー47aに入射する。
平面ミラー47aで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー42aに入射する。平面ミラー42aで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー42bに入射する。
平面ミラー42bで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー47bに入射する。平面ミラー47bで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で平面ミラー42bに入射する。
平面ミラー42bで反射されたレーザービームの中心光線は、レンズ46の光軸に一致する。
アクチュエータ43は、直交平面ミラー42をレンズ40、46の光軸方向に平行移動する。アクチュエータ48は、直交平面ミラー47をレンズ40、46の光軸方向に平行移動する。これらアクチュエータ43、48として、例えば圧電素子や可動コイルを用いたものを適用することが可能である。ここでは、アクチュエータ43、48は、積層圧電アクチュエータであり、その長さは例えば7mmである。150Vを印加した場合のアクチュエータ43、48の変位量は、例えば7μmである。アクチュエータ43、48の駆動周波数は、例えば12kHzである。
レンズ41の焦点距離をf1とし、レンズ46の焦点距離をf2とすると、レンズ41からレンズ46までの光路長(レンズ41、46間の距離)は、概ね「f1+f2」の値に一致する。
屈折力が正の2つのレンズ41、46を用いることで、第1の実施形態のような、屈折力が正のレンズ40と屈折力が負のレンズ41とを組み合わせた構成に比較して、レンズ間の距離をより長くすることができるので、直交平面ミラー42、47を配置する上での自由度を向上することができる。
本実施形態の走査型画像表示装置においては、映像信号制御部9は、走査角に応じて可変焦点光学素子4の焦点距離を変化させるが、直交平面ミラー42と直交平面ミラー47とが互いに反対の方向に変位するようにアクチュエータ43、48を制御する。
具体的には、焦点距離を長くする場合は、映像信号制御部9は、直交平面ミラー42と直交平面ミラー47との間隔が小さくなるように、アクチュエータ43、48を制御する。反対に、焦点距離を短くする場合は、映像信号制御部9は、直交平面ミラー42と直交平面ミラー47との間隔が大きくなるように、アクチュエータ43、48を制御する。
レンズ40からレンズ46までの光路長の変化量は、アクチュエータ43による直交平面ミラー42の変位量とアクチュエータ48による直交平面ミラー47の変位量との合計値によって決まる。
例えば、直交平面ミラー42の変位量とレンズホルダー44の変位量がそれぞれdである場合、レンズ40からレンズ46までの光路長の変化量は6dとなる。この場合、アクチュエータ43、48の変位量は、光路長の変化量の1/6である。
一方、図3Aおよび図3Bに示したように、集光レンズ130と発散レンズ131を直線上に並べて配置し、集光レンズ130と発散レンズ131をそれぞれ別々のアクチュエータによって光軸方向に平行移動させる構成(比較例)では、各アクチュエータによる平行移動量dに対して、光路長の変化量は2dである。すなわち、アクチュエータの変位量は、光路長の変化量の半分である。
上述のように、本実施形態の走査型画像表示装置においては、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量は1/3でよいので、より小型で、駆動電力の小さなアクチュエータを用いることができる。
加えて、第1および第2の実施形態で説明したような他の作用および効果も得ることができる。
なお、本実施形態の走査型画像表示装置は、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。
例えば、直交平面ミラー42、47の一方を固定とし、他方を光軸方向に平行移動するようにしてもよい。
さらに、レンズ46に代えて屈折力が負のレンズを用いてもよい。
さらに、平面ミラー42a、42bの少なくとも1つを曲面(凹面または凸面)の反射面としてもよい。同様に、平面ミラー47a、47bの少なくとも1つを曲面(凹面または凸面)の反射面としてもよい。
また、アクチュエータ43の変位量が、アクチュエータ48の変位量と異なっていてもよい。例えば、直交平面ミラー42の質量は直交平面ミラー47の質量より大きなため、アクチュエータ43の変位量をアクチュエータ48の変位量より小さくすれば、アクチュエータ43への負担を軽減することができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態の走査型画像表示装置は、可変焦点光学素子4の一部が異なる以外は、第1の実施形態のものと基本的に同じものである。
図10に、本実施形態の走査型画像表示装置に用いられる可変焦点光学素子4の構成を示す。
図10を参照すると、可変焦点光学素子4は、屈折力が正のレンズ80、86、偏光ビームスプリッタ(PBS)81、85、1/4波長板82、ミラー83およびアクチュエータ84を有する。
レンズ80、86は、図7および図9に示したレンズ40、46と同様のものであり、互いの光軸が平行で、各光軸に垂直な方向に並べて配置されている。レンズ80の焦点距離をf1とし、レンズ86の焦点距離をf2とすると、レンズ80とレンズ86の間の距離(レンズ80からレンズ86までの光路長)は、概ね「f1+f2」の値に一致する。
ミラー83は、レンズ80、86と対向するように配置されている。1/4波長板82は、レンズ80、86とミラー83の間に配置されている。
PBS81は、レンズ80と1/4波長板82の間に配置され、PBS85は、レンズ86と1/4波長板82の間に配置されている。
PBS81は、レンズ80からのレーザービームの進行方向に配置されている。PBS81は、2つの直角プリズムの互いの斜面側の面を貼り合わせた直方体形状のものであって、貼り合わせ面に、P偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する偏光反射面を有する。レンズ80の光軸とPBS81の偏光反射面とのなす角度は略45°である。
PBS85も、PBS81と同様の構成のものである。レンズ86の光軸とPBS85の偏光反射面とのなす角度は略45°である。PBS81の偏光反射面とPBS85の偏光反射面とのなす角度は略45°である。
アクチュエータ84は、ミラー83をレンズ80、86の光軸方向に平行移動するものであって、例えば圧電素子や可動コイルを用いたものを適用することが可能である。ここでは、アクチュエータ84は積層圧電アクチュエータであり、その長さは10mmである。150Vを印加した場合のアクチュエータ84の変位量は、10μmである。アクチュエータ84の駆動周波数は、例えば12kHzである。
図10に示した可変焦点光学素子においては、レンズ80からのP偏光のレーザービームは、PBS81を透過する。PBS81を透過したP偏光のレーザービームは、1/4波長板82を通過した後、ミラー83で、PBS81側の方向に反射される。ミラー83からの反射光は、1/4波長板82を通過した後、PBS81に入射する。
PBS81からのP偏光のレーザービームは、ミラー83へ向かう過程と、ミラー83からPBS81に戻る過程とにおいて、2度、1/4波長板82を通過することになる。この結果、S偏光のレーザービームが、ミラー83側から1/4波長板82を介してPBS81に入射する。
PBS81は、1/4波長板82からのS偏光のレーザービームをPBS85に向けて反射する。PBS85は、PBS81からのS偏光のレーザービームを1/4波長板82に向けて反射する。
PBS85からのS偏光のレーザービームは、1/4波長板82を通過した後、ミラー83で、PBS85側の方向に反射される。ミラー83からの反射光は、1/4波長板82を通過した後、PBS85に入射する。
PBS85からのS偏光のレーザービームは、ミラー83へ向かう過程と、ミラー83からPBS85に戻る過程とにおいて、2度、1/4波長板82を通過することになる。この結果、P偏光のレーザービームが、ミラー83側から1/4波長板82を介してPBS85に入射する。
1/4波長板82からのP偏光のレーザービームは、PBS85をそのまま透過する。
本実施形態の走査型画像表示装置においては、映像信号制御部9は、走査角に応じて可変焦点光学素子の焦点距離を変化させる。
具体的には、焦点距離を長くする場合は、映像信号制御部9は、1/4波長板82とミラー83との間隔が小さくなるように、アクチュエータ84を制御する。反対に、焦点距離を短くする場合は、映像信号制御部9は、1/4波長板82とミラー83との間隔が大きくなるように、アクチュエータ84を制御する。
レンズ80からレンズ86までの光路長は、アクチュエータ84によるミラー83の変位量によって決まる。例えば、ミラー83の変位量がdである場合、レンズ80からレンズ86までの光路長の変化量は4dとなる。この場合、アクチュエータ84の変位量は、光路長の変化量の1/4である。
一方、図3Aおよび図3Bに示したように、集光レンズ130と発散レンズ131を直線上に並べて配置し、集光レンズ130をアクチュエータによって光軸方向に平行移動させる構成(比較例)では、アクチュエータによる平行移動量dに対して、光路長の変化量はdである。すなわち、アクチュエータの変位量は、光路長の変化量と同じである。
上述のように、本実施形態の走査型画像表示装置においては、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量は1/4でよいので、より小型で、駆動電力の小さなアクチュエータを用いることができる。
加えて、第1の実施形態で説明したような他の作用および効果も得ることができる。
なお、本実施形態の走査型画像表示装置は、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。例えば、PBS81、85は、P偏光の光を反射し、S偏光の光を透過するように構成されてもよい。
また、アクチュエータ84は、ミラー83および1/4波長板82を含む部分を平行移動させてもよい。
さらに、アクチュエータ84は、ミラー83、1/4波長板82およびPBS81、85を含む部分を平行移動させてもよい。
また、凸レンズ86に代えて、屈折力が負のレンズを用いてもよい。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態の走査型画像表示装置は、可変焦点光学素子4の一部が異なる以外は、第1の実施形態のものと基本的に同じものである。
図11に、本実施形態の走査型画像表示装置に用いられる可変焦点光学素子4の構成を示す。
図11を参照すると、可変焦点光学素子4は、図5に示した構成において、直交平面ミラー42に代えて凹凸面ミラー49を設けたものである。
凹凸面ミラー49は、凹面ミラー49aと凸面ミラー49bとを、断面形状がL字状となるように構成したものである。凹面ミラー49aの凹面側および凸面ミラー49bの凸面側がレンズ40、41側に向けられている。
レンズ40からのレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で凹面ミラー49aに入射する。凹面ミラー49aで反射されたレーザービームの中心光線は、略45°の入射角度で凸面ミラー49bに入射する。凸面ミラー49bで反射されたレーザービームの中心光線は、レンズ41の光軸に一致する。
アクチュエータ43は、凹凸面ミラー49をレンズ40、41の光軸方向に平行移動する。
本実施形態の走査型画像表示装置においても、映像信号制御部9が、走査角に応じて可変焦点光学素子4の焦点距離を変化させる。
具体的には、焦点距離を長くする場合は、映像信号制御部9は、凹凸面ミラー49がレンズ40、41側へ平行移動するようにアクチュエータ43を制御する。反対に、焦点距離を短くする場合は、映像信号制御部9は、凹凸面ミラー49がレンズ40、41側とは反対の側へ平行移動するように、アクチュエータ43を制御する。
レンズ40からレンズ41までの光路長は、アクチュエータ43による凹凸面ミラー49の変位量によって決まる。
例えば、凹凸面ミラー49の変位量がdである場合、レンズ40からレンズ41までの光路長は2dとなる。この場合、アクチュエータ43の変位量は、光路長の変化量の1/2である。
一方、図3Aおよび図3Bに示したように、集光レンズ130と発散レンズ131を直線上に並べて配置し、集光レンズ130をアクチュエータによって光軸方向に平行移動させる構成(比較例)では、アクチュエータによる平行移動量dに対して、光路長の変化量はdである。すなわち、アクチュエータの変位量は、光路長の変化量と同じである。
上述のように、本実施形態の走査型画像表示装置においても、上記の比較例と比較して、アクチュエータの変位量は半分でよいので、より小型で、駆動電力の小さなアクチュエータを用いることができる。
加えて、凹面ミラー49aが屈折力が正のレンズとして作用し、凸面ミラー49bが屈折力が負のレンズとして作用するので、図5に示した可変焦点光学素子と比較して、レンズ40、41として、曲率の小さなレンズを用いることができる。レンズの曲率が小さければ小さいほど収差の影響を受けずに、開口数NAを大きくすることができるので、ビームを小さく絞ることができる。
上記の他、第1の実施形態で説明したような他の作用および効果も得ることができる。
なお、本実施形態の走査型画像表示装置は、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。
例えば、図11に示した構成においては、第1の面として凹面ミラー49aを用い、第2の面として凸面ミラー49bを用いているが、これに限定されない。第1および第2の面の形状の組み合わせは様々である。
例えば、第1の面を平面により構成し、第2の面を凸面または凹面により構成してもよい。また、第1の面を凸面により構成し、第2の面を平面または凹面により構成してもよい。さらに、第1の面を凹面により構成し、第2の面を平面または凸面により構成してもよい。
また、レンズ41として、屈折力が正のレンズを用いてもよい。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成および動作については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
この出願は、2011年6月2日に出願された日本出願特願2011−124331を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (11)

  1. 光源と、
    前記光源から出射された光ビームを集光する、焦点距離が可変の可変焦点光学素子と、
    前記可変焦点光学素子によって集光された光ビームで被投射面上を走査する走査手段と、
    入力映像信号に基づいて前記走査手段を制御して前記被投射面上に画像を表示させるとともに、前記走査手段の走査角に応じて前記可変焦点光学素子の焦点距離を制御する制御部と、を有し、
    前記可変焦点光学素子は、
    互いの光軸が平行であり、各光軸に直交する方向に並べて配置された第1および第2のレンズと、
    前記光源からの前記光ビームが前記第1のレンズを介して入射され、該入射した光ビームを前記第2のレンズに向けて折り返す反射素子と、
    前記第1および第2のレンズと前記反射素子の一方もしくは両方を前記第1および第2のレンズの各光軸に沿って平行移動させるアクチュエータ部と、を有し、
    前記制御部は、前記アクチュエータ部を制御して前記可変焦点光学素子の焦点距離を変化させる、画像表示装置。
  2. 前記反射素子は、
    前記第1のレンズの光軸に平行な光線を90°の角度で偏向する第1の反射面と、
    前記第1の反射面で偏向した前記光線を前記第2のレンズへ向けて90°の角度で偏向する第2の反射面と、を有する、請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記第1および第2の反射面は、互いの反射面が直交するように配置された第1および第2の平面ミラーである、請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 前記第1および第2の反射面の少なくとも一方が曲面である、請求項2に記載の画像表示装置。
  5. 前記第1の反射面は凹面であり、前記第2の反射面は凸面または平面である、請求項4に記載の画像表示装置。
  6. 前記第1の反射面は平面であり、前記第2の反射面は凸面または凹面である、請求項4に記載の画像表示装置。
  7. 前記第1の反射面は凸面であり、前記第2の反射面は平面または凹面である、請求項4に記載の画像表示装置。
  8. 前記反射素子は、直角プリズムよりなり、前記第1および第2の反射面は前記直角プリズムの直角を成す2つの面よりなる、請求項2に記載の画像表示装置。
  9. 前記反射素子は、
    互いの反射面が直交する第1および第2の平面ミラーと、
    互いの反射面が直交する第3および第4の平面ミラーと、を有し、
    前記第1の平面ミラーは、前記第3の平面ミラーと対向して配置され、
    前記第2の平面ミラーは、前記第4の平面ミラーと対向して配置され、
    前記アクチュエータ部は、
    前記第1および第2の平面ミラーを平行移動させる第1のアクチュエータと、
    前記第3および第4の平面ミラーを平行移動させる第2のアクチュエータと、を有し、
    前記制御部は、前記第1および第2の平面ミラーの移動方向と前記第3および第4の平面ミラーの移動方向とが互いに反対方向となるように前記第1および第2のアクチュエータを制御する、請求項1に記載の画像表示装置。
  10. 前記反射素子は、
    前記第1のレンズの前記光軸上に配置された、第1の偏光の光を透過させ、偏光方向が前記第1の偏光とは異なる第2の偏光の光を反射する第1の偏光ビームスプリッタと、
    前記第2のレンズの前記光軸上に配置された、前記第1の偏光の光を透過させ、前記第2の偏光の光を反射する第2の偏光ビームスプリッタと、
    前記第1および第2のレンズと対向する位置に、前記第1および第2の偏光ビームスプリッタを挟んで配置された平面ミラーと、
    前記第1および第2の偏光ビームスプリッタと前記平面ミラーとの間に配置された1/4波長板と、を有し、
    前記アクチュエータ部は、前記平面ミラーを平行移動させるアクチュエータを有する、請求項1に記載の画像表示装置。
  11. 前記第1のレンズは、屈折率が正のレンズであり、前記第2のレンズは、屈折率が正または負のレンズである、請求項1から10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
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