JPWO2012147249A1 - バイオセンサデバイス - Google Patents

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Abstract

小型化およびポータブル化が可能で、液流出の問題がなく、正確かつ安定的に検出可能なバイオセンサデバイスを実現する。人工脂質膜を有するバイオセンサデバイス(30)において、互いに反対側に位置する第1および第2の膜表面(1a、1b)を有する人工脂質膜(1)と、第1電解液(2a)を人工脂質膜の第1の膜表面(1a)と接触した状態で封入する第1チャンバー(11a)と、第2電解液(2b)を人工脂質膜の第2の膜表面(1b)と接触した状態で封入する第2チャンバー(11b)と、第1チャンバー(11a)内で第1電解液(2a)と接触する第1電極(3a、3a’)と、第2チャンバー内(11b)で第2電解液(2b)と接触する第2電極(3b、3b’)とを設け、第2チャンバー(11b)は、第2電解液(2b)を封入する壁部(10)において、少なくとも壁厚方向に亘って通気性を有するものとする。

Description

本発明は、バイオセンサデバイスに関し、より詳細には、人工脂質膜を有するバイオセンサデバイスに関する。
受容体の優れた分子認識機能を利用して、受容体を人工脂質膜に組み込んだバイオセンサが知られている(例えば特許文献1および2を参照のこと)。
従来のバイオセンサは、図12(a)に示すように、概略的には、センサチップ300を試料液302に浸漬して、センサチップ300に形成した人工脂質膜301の膜電位を測定するバイオセンサシステム350として構成されている。より詳細には、センサチップ300においては、図12(b)に示すように、複数のウェル308を有するシート310が基材311上に配設され、これらウェル308の各々に基準液313が充填され、基準液313の上に人工脂質膜301が形成されている。人工脂質膜301には、受容体として、例えば膜タンパク質312が組み込まれる。ウェル308の底部には、基準液313と接触するように電極314が形成され、電極314には、基材311の裏面側からリード線306が接続されている。そして、図12(a)に示すように、被検出液として試料液302を試験槽303に満たし、この試料液302に、上記のようなセンサチップ300を参照電極304と共に浸漬し、センサチップ300のリード線306(絶縁体で被覆したもの)および参照電極304に接続された電位差測定器307を用いて、試料液302と基準液313との間の人工脂質膜301の膜電位として、電極314と参照電極304との間の電位差が測定される。かかるバイオセンサシステム350を用いれば、試料液302との接触による人工脂質膜301の膜電位の変化を調べることにより、試料液302に含まれる物質(分子)を検知し、その量を測定することができる。
特開2005−37207号公報 特開平4−215052号公報
従来のバイオセンサシステムは、図12(a)を参照して上述したように、試験槽303に試料液302を満たし、これにセンサチップ300および参照電極304を浸漬する構成としているため、比較的大きな装置とならざるを得ず、小型化およびポータブル化することは困難であった。そして、かかる構成では、試験槽303内に配置されるセンサチップ300と参照電極304との距離が比較的遠くなること、センサチップ300と参照電極304の設置位置がばらつき易いこと、試験槽303内の試料液302の液面レベルが変化し易い(例えば、溶媒蒸発等により低下し易い)ことなどから、膜電位を正確に安定して測定することができず、一般的に微小オーダーである膜電位の変化を検出するには十分ではなかった。更に、検出する度に、試料液302を試験槽303に満たす必要があるため、バイオセンサに係る装置を、センサチップ300を試験槽303および参照電極304などと共同して用いるシステムの形態でしか提供できず、各構成要素が予め一体的に組み立てられたデバイスの形態では提供されていなかった。また、上記の構成をとるため、試験槽303の上面を開放しておく必要があることから、試験槽303に振動を与えたり、試験槽303を傾斜させたりすると、試料液302が試験槽303から流出し得るという問題もあった。
本発明は、従来のバイオセンサシステムの有する課題を解決すべくなされたものであり、小型化およびポータブル化が可能で、液流出の問題がなく、正確かつ安定的に検出可能なバイオセンサデバイスを実現することを目的とする。
本発明によれば、人工脂質膜を有するバイオセンサデバイスであって、
互いに反対側に位置する第1および第2の膜表面を有する人工脂質膜と、
第1電解液を人工脂質膜の第1の膜表面と接触した状態で封入する第1チャンバーと、
第2電解液を人工脂質膜の第2の膜表面と接触した状態で封入する第2チャンバーと、
第1チャンバー内で第1電解液と接触する第1電極と、
第2チャンバー内で第2電解液と接触する第2電極と
を含み、第2チャンバーは、第2電解液を封入する壁部において、少なくとも壁厚方向に亘って通気性を有する、バイオセンサデバイスが提供される。
本発明の上記バイオセンサデバイスを用いれば、被検出物質を第2電解液中に、第2チャンバーの通気性を有する壁部を通じて供給することができる。これにより、第1電解液および第2電解液の双方をデバイス内に(より詳細には、それぞれ第1チャンバーおよび第2チャンバー内に)予め封入しておくことが可能となる。このような本発明の装置構成は、従来のバイオセンサシステムのように、試験槽に試料液を満たし、これにセンサチップおよび参照電極を浸漬する構成とは根本的に異なるものである。本発明によれば、バイオセンサに係る装置をデバイスの形態で実現することができ、かかるバイオセンサデバイスは小型化およびポータブル化することが可能である。そして、本発明のバイオセンサデバイスによれば、第1電極および第2電極の双方をデバイス内に固定して設けて人工脂質膜の近傍に配置できること、および、第1電解液および第2電解液の双方をデバイス内に予め封入して液量の変化を防止できることから、人工脂質膜の膜電位を正確に安定して測定することができる。また、本発明のバイオセンサデバイスによれば、第1電解液および第2電解液の双方がデバイス内に予め封入されているので、液流出の問題もない。
本発明のバイオセンサデバイスでは、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバー、第2チャンバーおよび人工脂質膜の各外形寸法が種々異なっていても、同じであってもよい。なお、本発明において、第1チャンバー、第2チャンバーおよび人工脂質膜の各部材に関し、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向における外形寸法とは、各部材を人工脂質膜の膜厚方向から見た場合の各部材の投影寸法を言い、代表的には、各部材の投影領域の面積として理解される。
本発明のバイオセンサデバイスの1つの態様では、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より小さい。より詳細には、第1チャンバーの上記投影領域の面積が、第2チャンバーの上記投影領域の面積より小さく、好ましくは、第1チャンバーの上記投影領域が、第2チャンバーの上記投影領域内に含まれる。
本発明の上記態様によれば、バイオセンサデバイスの製造過程において、第1チャンバー内に供給された第1電解液の様子(第1電解液の供給状態)を、第2チャンバーを通じて容易に観察することができる。
本発明のバイオセンサデバイスのもう1つの態様では、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法と(実質的に)同じである。より詳細には、第1チャンバーの上記投影領域の面積が、第2チャンバーの上記投影領域の面積と実質的に同じであり、好ましくは、第1チャンバーの上記投影領域と、第2チャンバーの上記投影領域とは、互いに輪郭が実質的に一致する。
本発明の上記態様によれば、第1チャンバーと第2チャンバーとの間で圧力をバランスさせることができて、人工脂質膜をより安定して保持することができる。
本発明のバイオセンサデバイスの更にもう1つの態様では、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より大きい。より詳細には、第1チャンバーの上記投影領域の面積が、第2チャンバーの上記投影領域の面積より大きく、好ましくは、第1チャンバーの上記投影領域内に、第2チャンバーの上記投影領域が含まれる。
本発明の上記態様によれば、第2電解液に含まれるイオンが、人工脂質膜を介して第1電解液へ移動する際に、第1電解液に含まれるイオン濃度の急速な変動を抑制することができる。その結果、第2電解液に十分な量のイオンが存在すれば、イオンは、第2電解液から第1電解液へ安定的に移動するので、電流検出特性を向上させることができる。
本発明のバイオセンサデバイスの好ましい態様では、人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、人工脂質膜の外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より小さい。より詳細には、人工脂質膜の上記投影領域の面積が、第2チャンバーの上記投影領域の面積より小さく、好ましくは、人工脂質膜の上記投影領域が、第2チャンバーの上記投影領域内に含まれる。
本発明の上記態様によれば、バイオセンサデバイスの製造過程において、人工脂質膜の様子(脂質液の供給状態)を、第2チャンバーを通じて容易に観察することができる。
本発明のバイオセンサデバイスの好ましい態様では、第1チャンバーと第2チャンバーとの間で人工脂質膜の端部を保持する保持部材を更に含み、保持部材の少なくとも表面が撥水性を有する。
本発明の上記態様によれば、少なくとも表面が撥水性の保持部材を用いることによって、人工脂質膜をより安定して保持することができる。
本発明の上記態様では、保持部材は1つまたは2つ以上の貫通孔を有し、貫通孔に接着剤が充填されていることがより好ましい。これにより、少なくとも表面が撥水性の保持部材を用いても、かかる保持部材を、第1チャンバーおよび第2チャンバーを規定するための部材(より詳細には、第1電解液および第2電解液をそれぞれ封入する壁部を提供するための部材)に十分に接着することができる。
本発明によれば、人工脂質膜を有するバイオセンサデバイスを、第1電解液および第2電解液ならびに第1電極および第2電極を適切に組み込んで構成しているので、小型化およびポータブル化が可能で、液流出の問題がなく、正確かつ安定的に検出可能なバイオセンサデバイスが提供される。
本発明の1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスを示す概略断面図である。 図1の実施形態におけるバイオセンサデバイスの第2電極およびその周囲の部分拡大概略断面図である。 (a)および(b)は、図1の実施形態におけるバイオセンサデバイスの製造過程を示す概略断面図である。 本発明のもう1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスを示す概略断面図である。 本発明の更にもう1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスを示す概略断面図である。 本発明の更にもう1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスを示す概略断面図である。 (a)は、図6の実施形態におけるバイオセンサデバイスの撥水性の保持部材(撥水性基材)およびその上下の基材の部分拡大概略断面図であり、(b)は、(a)のA−A’面に沿って見たときの、撥水性の保持部材(接着剤は図示せず)の上面図である。 (a)および(b)は、図7(b)の撥水性の保持部材(接着剤は図示せず)の上面図に対応する図であって、撥水性の保持部材の改変例を示す図である。 本発明の実施例のバイオセンサデバイスの製造過程における基材(および熱硬化性接着シート)積層体を示す概略断面図である。 本発明の実施例のバイオセンサデバイスの製造過程における基材(および熱硬化性接着シート)積層体への液供給工程を示す図であって、(a)は、第1電解液の供給工程、(b)は、脂質液の供給工程、(c)は、第2電解液の供給工程、(d)は、完成したバイオセンサデバイスを示す図である。 (a)は、本発明の実施例のバイオセンサデバイスの電流応答波形を示し、(b)は比較例のデバイスの電流応答波形を示す。 従来のバイオセンサシステムを示す図であって、(a)は、バイオセンサシステムの全体概略斜視図を示し、(b)は、センサチップの拡大概略断面図を示す。
本発明の様々な実施形態について、図面を参照して以下に詳述する。
本発明の1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスは、図1に示すように、互いに反対側に位置する第1の膜表面1aおよび第2の膜表面1bを有する人工脂質膜1と、第1電解液2aを人工脂質膜1の第1の膜表面1aと接触した状態で封入する第1チャンバー11aと、第2電解液2bを人工脂質膜1の第2の膜表面1bと接触した状態で封入する第2チャンバー11bと、第1チャンバー11a内で第1電解液2aと接触する第1電極3a、3a’と、第2チャンバー11b内で第2電解液2bと接触する第2電極3b、3b’とを含んで構成される。
人工脂質膜1は、脂質を溶媒に分散または溶解させた脂質液を用いて形成できる。
脂質には、任意の適切な脂質を用いてよく、特に、分子中にリン酸や糖を含む複合脂質、具体的にはリン脂質、糖脂質、リポタンパク質、スルホ脂質などが好ましく、リン脂質が最も好ましい。リン脂質としては、グリセロリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジフィタノイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンなど)およびスフィンゴリン脂質(例えばスフィンゴミエリンなど)が挙げられる。また、脂質は、単純脂質(例えば、グリセロルモノオレエート)または誘導脂質であってもよい。天然由来の脂質、例えばアゾレクチン(ダイズリン脂質)であっても、合成脂質であってもよい。合成脂質は高純度で化学的に安定なものが得やすいのでより好ましい。脂質の脂肪酸部分は、炭素数10〜20の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸であることが好ましい。このような脂質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒は、脂質に応じて適宜選択され得、一般的には有機溶媒、好ましくは飽和炭化水素が用いられる。例えばデカン、ヘキサデカン、ヘキサン、クロロホルムなどが挙げられる。このような溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒に対する脂質の濃度は、溶媒1mLに対して、脂質1〜50mgが好ましく、脂質4〜40mgがより好ましい。
人工脂質膜1は、脂質二分子膜であることが好ましい。人工脂質膜1の膜厚は、例えば約2〜10nmであり得る。人工脂質膜1には、被検出物質に応じて、膜タンパク質やイオンチャンネルなどの受容体(図示せず)が組み込まれ得る。
第1電解液2aおよび第2電解液2bは、同じ電解液であっても、異なる電解液であってもよい。電解液は、イオン性物質を極性溶媒に溶解させたものであればよく、人工脂質膜1の組成などに応じて適宜選択され得る。
イオン性物質には、例えば塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、リン酸一水素ナトリウム(NaHPO)などを単独または組み合わせて用いることができる。
極性溶媒には、例えば水、グリセリン、糖、糖アルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、マルチトール、マンニトール、グルコースなどを単独または組み合わせて用いることができる。
第1電解液2aおよび第2電解液2bは、浸透圧が280〜330mOsm/kg−HOの範囲以内となることがより好ましいが、これに限定されるものではない。あるいは、第1電解液2aおよび第2電解液2bとして、電気生理実験で用いられる一般的な溶液を用いることが好ましい。また、有機化合物や高分子を添加することにより、第1電解液2aおよび第2電解液2bの粘度を調整することも好ましい。
第1電解液2および第2電解液3は、濃度、粘度および浸透圧のいずれか1つ以上において相違があってもよいし、同一であってもよい。
第1チャンバー11aおよび第2チャンバー11bは、それぞれ第1電解液2aおよび第2電解液2bをそれらの内部に液密的に(但し、第1電解液2aおよび第2電解液2bが人工脂質膜1の第1の膜表面1aおよび第2の膜表面1bと接触している部分を除く)封入し得る限り、任意の適切な構成を有し得る。
図示する態様では、基材4の上に、穴(またはウェル)が各々形成された基材5、6、7が積層され、人工脂質膜1が基材5の上面および基材6の下方内壁面に接触して(保持されて)形成されている。かかる態様では、第1チャンバー11aは、基材4の上面および基材5の内壁面によって規定される(または囲まれる)領域であり、第2チャンバー11bは、基材6の上方内壁面、基材7の内壁面および蓋10の下面によって規定される領域である。換言すれば、基材4、5は、第1チャンバー11aを規定するための部材であり、基材6、7および蓋10は、第2チャンバー11bを規定するための部材である。基材5、6は、人工脂質膜1の端部を保持するための保持部材でもある。
第2チャンバー11bを規定するため部材の1つである蓋10は、第2電解液2bを第2チャンバー11b内に封入する壁部として理解される。本実施形態においては、この蓋10が、少なくとも壁厚方向に亘って(換言すれば、第2電解液2bと蓋10の外部との間で)通気性を有する。蓋10は、液密性を有し(液体、より詳細には第2電解液を透過せず)、かつ、少なくとも壁厚方向に亘って、一般的には全方向的に、通気性を有する(気体、例えば被検出物質の匂い分子を透過する)材料から構成される。例えば、蓋10には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)、ポリオレフィン、ポリエチレンなどの材料からなるものを使用できる。
他方、基材4、5、6、7は、液密性を有する任意の適切な材料から構成され得る。例えば、基材4、5、6、7には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA))、環状ポリオレフィン、ポリカルボナート(通称ポリカーボネート)などの有機系材料から構成される。しかしながら、これらに限定されず、例えばガラス、シリコン、酸化アルミニウム、酸化シリコン、窒化シリコンなどの無機系材料で構成されていてよい。これら基材4、5、6、7の間は、接着剤層(例えば熱硬化性フィルムなど、図示せず)により接着されていてよい。
基材5、6、7の高さ、これらに各々形成される穴の(膜厚方向から見た)形状および大きさは、所望する第1チャンバー11aおよび第2チャンバー11bの寸法および配置などに応じて適宜決定してよい。
図示する態様では、人工脂質膜1の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバー11aの外形寸法(基材5の穴面積)は、第2チャンバー11bの外形寸法(基材7の穴面積)より小さくなっている。より詳細には、基材5の穴面積は、基材6の穴面積より小さく、基材6の穴面積は、基材7の穴面積より小さくなっている。また、人工脂質膜1の膜厚方向から見たとき、基材5の穴の投影領域は、基材6の穴の投影領域内に含まれ、基材6の穴の投影領域は、基材7の穴の投影領域内に含まれるようになっている。これにより、バイオセンサデバイスの製造過程において、第1チャンバー11a内に供給された第1電解液2aの様子(第1電解液2aの供給状態)を、更に、人工脂質膜1の様子(脂質液の供給状態)を、第2チャンバー11bを通じて容易に観察することができる。
人工脂質膜1の膜電位を測定するために、第1電極および第2電極が、それぞれ第1電解液2aおよび第2電解液2bに(少なくとも部分的に)接触するように、デバイス内に配設される。より詳細には、第1電極は、第1チャンバー11a内で第1電解液2aと接触して配設される。例えば、図示するように、2つの第1電極3a、3a’を互いに離間して、基材4の上面に形成し得る。第2電極は、第2チャンバー11b内で第2電解液2bと接触して配設される。例えば、図示するように、2つの第2電極3b、3b’を互いに離間して、基材6の上面に形成し得る。これにより、第2電極3b、3b’を、図2に第2電極3bおよびその周囲を拡大して示すように、人工脂質膜1の近傍に配設することができる。
基材7の上面には、端子9a、9a’、9b、9b’が形成され、それぞれ、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’を通じて、第1電極3a、3a’、第2電極3b、3b’に電気的に接続され得る。端子9aおよび9bは電源(図中、記号「V」にて模式的に示す)への接続用端子であり、端子9a’および9b’は電流計(図中、記号「A」にて模式的に示す)への接続用端子である。
かかる本実施形態のバイオセンサデバイス30は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、基材4、5、6、7を準備する。基材5、6、7には穴を形成する。穴の形状は特に限定されず、例えば円形、楕円形、矩形、多角形などであってよく、基材間で同じ(相似形)であっても、異なっていてもよい。本実施形態においては、これら穴の寸法(例えば円形の穴の場合、穴の直径で代表される)は、基材5、6、7の順に大きくなるように選択される。基材4の上面に第1電極3a、3a’を形成し、基材6の上面に第2電極3b、3b’を形成する。
基材5、6、7には、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’用のビアホールを形成する。そして、このビアホールに、導電性フィラー、例えばAgやCuなどの金属フィラーを含む導電性ペーストを充填して、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’を形成する。あるいは、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’は、ビアホールの内壁面をAu、Cu、Agなどでメッキ処理することにより形成してもよい。その後、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’の上(基材7の上面)に、端子9a、9a’、9b、9b’を形成する。なお、層間接続ビアおよび端子を形成するタイミングは、特に限定されず、より後の工程で形成してもよい。
これにより得られた基材4、5、6、7を位置合わせして積層し、互いに接着する。例えば、これら基材間に熱硬化性フィルム(図示せず)を介在させて積層し、得られた積層体を熱処理(例えば熱圧着)に付すことによって、基材間で熱硬化性フィルムを硬化させて接着してよい。また例えば、これら基材が有機系材料(有機系フィルム)から構成される場合には、これら基材を積層し、得られた積層体を熱処理に付すことによって、基材同士を熱融着させて接着してもよい。
以上により、図3(a)に示すように、基材4、5、6、7が積層および接着されて、階段状の空間が内側に形成される。この空間の下方部分、中央部分および上方部分(図中、点線にて分割して示す)は、第1チャンバー11a、人工脂質膜1、第2チャンバー11bに対応する。
次に、この階段状の空間に、第1電解液2a、脂質液、第2電解液2bを順次供給する。これら第1電解液2a、脂質液、第2電解液2bの供給は、第1チャンバー11a、人工脂質膜1、第2チャンバー11bが占めるべき容積に応じて定量的に行うことが好ましい。これら第1電解液2a、脂質液、第2電解液2bの定量的供給は、例えば、インクジェット方式、ディスペンス方式、転写方式などによって行い得る。
上記のようにして供給された脂質液は、図3(b)に示すように、第1電解液2aおよび第2電解液2bの間で人工脂質膜1を形成し、第1の膜表面1aが第1電解液2aに接触し、第2の膜表面1bが第2電解液2bに接触する。人工脂質膜1は、階段状の空間の内壁面と接触し、人工脂質膜1の表面張力などにより、この内壁面で保持することができる。本実施形態では、人工脂質膜1は、基材5の上面および基材6の下方内壁面と接触するようにして形成されるので、人工脂質膜1をより安定的に保持することができる。
その後、第2電解液2bを覆うように蓋10を被せ、蓋10の周縁部を基材7の上面に接着する。接着は常温で行い、例えば、蓋10の自己吸着性を利用したり、あるいは、常温硬化型の接着剤を用いたりして行い得る。
以上のようにして、図1に示す本実施形態のバイオセンサデバイス30を製造することができる。
本実施形態のバイオセンサデバイス30は、次のようにして使用することができる。
まず、被検出物質の不存在下にて、電源に接続した端子9a、9bより電極3a、3bに電圧を印加することにより、人工脂質膜1の第1の膜表面1aと第2の膜表面1bとの間に電圧を印加し、この状態で、人工脂質膜1の膜厚方向に流れる電流を、電極3a’、3b’間に流れる電流として、端子9a’、9b’に接続した電流計にて測定する。人工脂質膜1が、第1電解液2aおよび第2電解液2bを互いに隔てるようにして適切に形成されていれば、被検出物質の不存在下では一般的に絶縁性を示すので、電流は実質的に流れない。
次に、第2電解液2bに所定量の被検出物質を溶解または分散させ、上記と同様にして人工脂質膜1の膜厚方向に流れる電流を測定する。このとき、被検出物質は通気性の蓋10を通じて第2電解液中に供給してもよく、あるいは、被検出物質を予め分散または溶解させた第2電解液を用いてバイオセンサデバイス30を作製してもよい。被検出物質の存在下では、人工脂質膜1に組み込まれた受容体に被検出物質が作用することにより、被検出物質の量に応じて電流が流れる。よって、第2電解液2bに溶解または分散させる被検出物質の量を種々異ならせ、複数の電流測定値を採取することにより、検量データを得ることができる。
以上のようして予め検量データを得たバイオセンサデバイス30を用いて、試料ガスを、通気性の蓋10を通じて第2電解液2bに供給する。そして、上記と同様にして人工脂質膜1の膜厚方向に流れる電流を測定する。測定された電流値から、試料ガス中の被検出物質の有無、および存在する場合にはその量を調べることができる。かかるバイオセンサデバイス30は、使い捨て型で使用してもよいし、第2電解液2bを新たな電解液で置換してリサイクル使用してもよい。
本実施形態によれば、従来のバイオセンサシステムのように、試験槽に試料液を満たし、これにセンサチップおよび参照電極を浸漬する必要がないので、第1電解液および第2電解液ならびに第1電極および第2電極の全てを予めデバイスに組み込むことができ、小型化およびポータブル化に適したバイオセンサデバイス30が実現される。かかるバイオセンサデバイス30では、第1電極3a、3a’に加えて、第2電極3b、3b’も、人工脂質膜1の近傍に固定して配置され、かつ、第1電解液2aおよび第2電解液2bの各液量を第1チャンバー11aおよび第2チャンバー11bの容積設計に基づいて厳密に制御できるので、人工脂質膜1の膜電位を正確に安定して測定することができる。また、かかるバイオセンサデバイス30によれば、第1電解液および第2電解液の双方がデバイス内に予め封入されているので、液流出の問題もない。
なお、本実施形態においては、第1電極3a、3a’および第2電極3b、3b’をバイオセンサデバイス30に設けて、第1電極3aおよび第2電極3bを用いて、人工脂質膜1の第1の膜表面1aと第2の膜表面1bとの間に電圧を印加し、第1電極3a’および第2電極3b’を用いて、人工脂質膜1の膜厚方向に流れる電流を測定するものとした。かかる構成は、微小なイオン電流を高精度で測定するのに特に好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、人工脂質膜1の膜電位を測定し得る限り、第1電極および第2電極の数は、第1電解液および第2電解液につき1つずつであってもよく、電流および電圧のいずれを測定してもよい。
以上、本発明の1つの実施形態におけるバイオセンサデバイスについて詳述したが、これは種々改変が可能であり、他の様々な実施形態におけるバイオセンサデバイスも提供される。以下、他の実施形態におけるバイオセンサデバイスについて、改変点を中心に説明するものとし、特に断りのない限り、上記実施形態と同様の説明が当て嵌まる。
本発明のもう1つの実施形態として、図4に示すように、バイオセンサデバイス31では、人工脂質膜1の膜厚方向に対して垂直な方向において、人工脂質膜1の外形寸法(これは、基材6の穴面積と略同じと考えて差し支えない)は、第1チャンバー11aの外形寸法(基材5の穴面積)および第2チャンバー11bの外形寸法(基材7の穴面積)より小さくなっている。より詳細には、基材6の穴面積は、基材5の穴面積より小さく、かつ、基材7の穴面積より小さくなっている。また、人工脂質膜1の膜厚方向から見たとき、基材6の穴の投影領域は、基材5の穴の投影領域内に含まれ、かつ、基材7の穴の投影領域内に含まれるようになっている。これにより、バイオセンサデバイスの製造過程において、人工脂質膜1の様子(脂質液の供給状態)を、第2チャンバー11bを通じて容易に観察することができる。
更に、図4に示すバイオセンサデバイス31では、人工脂質膜1の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバー11aの外形寸法(基材5の穴面積)は、第2チャンバーの外形寸法(基材7の穴面積)と実質的に同じになっている。また、人工脂質膜1の膜厚方向から見たとき、基材5の穴の投影領域と、基材7の穴の投影領域とは、互いに輪郭が略一致するようになっている。これにより、第1チャンバー11aと第2チャンバー11bとの間で圧力をバランスさせることができて、人工脂質膜1をより安定して保持することができる。
本発明の更にもう1つの実施形態として、図5に示すように、バイオセンサデバイス32では、図4に示すバイオセンサデバイス31における基材6に代えて、別々の基材13および14を用いている。基材13は、第1チャンバー11aと第2チャンバー11bとの間で人工脂質膜1の端部を保持する保持部材である。基材14は、第2チャンバー11bを規定するための部材である。基材14の上面には、第2電極3b、3b’が形成される。より詳細には、基材13の穴面積は、基材14の穴面積より小さくなっている。かかる構成により、人工脂質膜1が、第2電極3b、3b’に対して接触しないことが確保される。なお、基材13および14は、基材6と同様の材料から構成され得る。
本発明の更にもう1つの実施形態として、図6に示すように、バイオセンサデバイス33では、図5に示すバイオセンサデバイス32における基材13に代えて、少なくとも表面が撥水性を有する基材(本明細書において単に撥水性基材とも言う)15を用いてよい。撥水性基材15は、第1チャンバー11aと第2チャンバー11bとの間で人工脂質膜1の端部を保持する保持部材である。これにより、人工脂質膜1を撥水性基材15で安定して保持することができる。撥水性は、水に対する接触角が、例えば60°以上(180°未満)、代表的には70°〜120°であることが好ましい。かかる撥水性基材(撥水性の保持部材)は、少なくともその表面が、例えばフッ化炭素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テフロン(登録商標)などの材料から構成され得る。
人工脂質膜1の保持部材として撥水性基材15を用いる場合、撥水性基材15を他の基材(図6に示す態様では基材5および14)に接着することは、単にその接着面のみに接着剤を適用するだけでは困難であり得る。よって、図7(a)に示すように、撥水性基材15に1つまたは2つ以上、好ましくは複数の貫通孔16を設け、貫通孔16に接着剤17を充填することが好ましい。かかる構成によれば、貫通孔16に充填された接着剤17によって、撥水性基材15を、第1チャンバー11aを規定する基材5および第2チャンバー11bを規定する基材14に十分に接着することができる。
撥水性基材15に形成される貫通孔16の(膜厚方向から見た)形状は、特に限定されず、図7(b)に示す円形の貫通孔16のみならず、例えば、図8(a)に示す正方形の貫通孔18や、図8(b)に示す長方形(またはスロット状)の貫通孔19であってよい。貫通孔は、その他にも任意の形状を有し得、また、複数存在する場合には、2種以上の異なる形状の貫通孔が混在していてもよい。複数存在する場合、貫通孔の配置は特に限定されないが、好ましくは、接着面に対して均等に配置される。
本実施例では、図1〜3を参照して上述した実施形態におけるバイオセンサデバイス30を製造した。本実施例について、以下、図9および10を参照して説明するが、特に断りのない限り、図1〜3を参照して上述した実施形態と同様の説明が当て嵌まる。
まず、基材4、5、6、7を準備した。各基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)から成るシートを用い、基材4の厚みt1=100μm、基材5の厚みt2=100μm、、基材6の厚みt3=20μm、基材7の厚みt4=20μmとした(後述する図9を参照のこと)。これら基材5、6、7に、それぞれ円形の穴5a、6a、7aを形成し、穴5aの直径D1=200μm、穴6aの直径D2=400μm、穴7aの直径D3=500μmとした。これら穴は、パンチングマシンを用いて形成した。
そして、基材4の上面に電極3a、3a’を形成し、基材6の上面に電極3b、3b’を形成した。電極3a、3a’、3b、3b’は以下の手順で形成した。はじめに基材4および基材6上に、電極下地として、厚み12μmのCuから成るパターンを形成した。次に、このパターンの外周面をAgによりメッキした。最後に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(5重量%)を用いて、Agによりメッキした外周面を更にAgClによって被覆した。
基材5、6、7には、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’用に、直径150μmのビアホールを、パンチングマシンを用いて形成した。そして、このビアホールに、AgでコートされたCu粉を金属フィラーとして含む導電性ペーストを充填して、層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’を形成し、これらの上に、端子9a、9a’、9b、9b’をCuにより形成した。
これにより得られた基材4、5、6、7を以下の手順により、位置合わせして積層し、互いに接着した。基材4、5、6、7を接着するために、厚さ20μmの熱硬化性接着シート20を3枚用いた(図9を参照のこと)。これら熱硬化性接着シート20には、予め、基材5、6、7の各穴および層間接続ビア8a、8a’、8b、8b’のビアホールに対応する位置に貫通孔を形成しておき、図9に示すように、基材4、5、6、7および3枚の硬化性接着シート20を、基材4、5、6、7の間に熱硬化性接着シート20が1枚ずつ、各穴およびビアホールに対して位置合わせして介在するようにして積層した。これにより得られた積層体を150℃で熱圧着(加熱および加圧)することによって、基材4、5、6、7を互いに接着した。このようにして接着した積層体(ひいては最終的に得られるバイオセンサデバイス)の外形サイズLは、30mmとした。
次に、以上により得られた積層体に、図10(a)に示すように、定量的に液滴供給が可能なインクジェット装置41を用いて、第1電解液2aを3.7nL供給した。第1電解液2aの供給量は、第1チャンバー11aが占めるべき容積に対応する量とした。第1電解液2aには、100mmol/Lの塩化カリウム(KCl)水溶液およびグリセリンを体積比50%:50%で混合したものを用いた。
そして、同じくインクジェット装置41を用いて、図10(b)に示すように、上記で供給した第1電解液2aの上に、脂質液42を2.5nL供給した。脂質液42の供給量は、人工脂質膜1が占めるべき容積に対応する量とした。脂質液42には、デカン1mLにリン脂質(レシチン)10mgを溶解させた溶液を用いた。
更に、同じくインクジェット装置41を用いて、図10(c)に示すように、上記で供給した脂質液42の上に、第2電解液2bを8.0nL供給した。第2電解液2bの供給量は、第2チャンバー11bが占めるべき容積に対応する量とした。第2電解液2bには、第1電解液2aと同様に、100mmol/Lの塩化カリウム(KCl)水溶液およびグリセリンを体積比50%:50%で混合したものを用いた。
その後、図10(d)に示すように、第2電解液2bを覆うように、蓋10を被せ、蓋10の周縁部を、自己吸着的に基材7へ接着させた。蓋10には、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から成る、厚さ100μmのシートを用いた。
以上により、本実施例のバイオセンサデバイスを完成した。人工脂質膜1は、追加の工程を要することなく、脂質液42から第1電解液2aおよび第2電解液2bの間で自然と形成され得る。
完成したバイオセンサデバイスの機能評価を以下の通り行なった。
図10(d)に示すように、電源(図中、記号「V」にて模式的に示す)に接続した端子より人工脂質膜に20mVのパルス電圧(パルス幅10m秒)を印加し、この状態で、人工脂質膜1の膜厚方向に流れる電流応答を、端子に接続した電流計(図中、記号「A」にて模式的に示す)にて測定した。かかる電源および電流計として、パッチクランプアンプ(HEKA社製、型番 EPC−10)を用い、測定電流を経時的に記録した。
他方、比較例として、脂質液42を供給しなかった(よって、第1電解液=第2電解液により、デバイス内の空間全体を満たした)こと以外は、本実施例と同様にして、比較例のデバイスを作製し、このデバイスの機能評価を上記と同様にして行った。
図11(a)は、本実施例のバイオセンサデバイスの電流応答波形であり、図11(b)は比較例のデバイスの電流応答波形である。図11(b)を参照して、比較例のデバイスは、パルス電圧印加中、電流が常に流れた状態の波形が観測された。これは、比較例のデバイスにおいては人工脂質膜が存在していないためであると理解される。これに対して、本実施例のバイオセンサデバイスは、図11(a)を参照して、絶縁性を示す電流応答波形が観測された。これは、本実施例のバイオセンサデバイスにおいては、絶縁性の人工脂質膜1が第1電解液2aおよび第2電解液2bを互いに隔てて適切に形成されていることを示している。
よって、本実施例のバイオセンサデバイスにおいて、人工脂質膜に、目的の被検出物質に応じて受容体を組み込むことにより、被検出物質を検知することが可能となる。
本発明のバイオセンサデバイスは、生体分子分析装置、大気汚染物質分析装置など、環境、食品、住宅、自動車、警備分野等において広範に利用可能である。また、本発明のバイオセンサデバイスは、生活習慣病診断装置、尿診断装置、呼気診断装置、ストレス計測器などの医療分野、ヘルスケア分野等において広範に利用可能である。
1 人工脂質膜
1a 第1の膜表面
1b 第2の膜表面
2a 第1電解液
2b 第2電解液
3a、3a’ 第1電極
3b、3b’ 第2電極
4、5、6、7 基材
5a、6a、7a 穴
8a、8b、8a’、8b’ 層間接続ビア
9a、9b、9a’、9b’ 端子
10 蓋
11a 第1チャンバー
11b 第2チャンバー
13、14 基材
15 撥水性基材(撥水性の保持部材)
16、18、19 貫通孔
17 接着剤
30、31、32、33 バイオセンサデバイス
41 インクジェット装置
42 脂質液
300 センサチップ
301 人工脂質膜
302 試料液
303 試験槽
304 参照電極
306 リード線
307 電位差測定器
308 ウェル
310 シート
311 基材
312 膜タンパク質
313 基準液
314 電極
350 バイオセンサシステム

Claims (7)

  1. 人工脂質膜を有するバイオセンサデバイスであって、
    互いに反対側に位置する第1および第2の膜表面を有する人工脂質膜と、
    第1電解液を人工脂質膜の第1の膜表面と接触した状態で封入する第1チャンバーと、
    第2電解液を人工脂質膜の第2の膜表面と接触した状態で封入する第2チャンバーと、
    第1チャンバー内で第1電解液と接触する第1電極と、
    第2チャンバー内で第2電解液と接触する第2電極と
    を含み、第2チャンバーは、第2電解液を封入する壁部において、少なくとも壁厚方向に亘って通気性を有する、バイオセンサデバイス。
  2. 人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より小さい、請求項1に記載のバイオセンサデバイス。
  3. 人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法と同じである、請求項1に記載のバイオセンサデバイス。
  4. 人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、第1チャンバーの外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より大きい、請求項1に記載のバイオセンサデバイス。
  5. 人工脂質膜の膜厚方向に対して垂直な方向において、人工脂質膜の外形寸法は、第2チャンバーの外形寸法より小さい、請求項1〜4のいずれかに記載のバイオセンサデバイス。
  6. 第1チャンバーと第2チャンバーとの間で人工脂質膜の端部を保持する保持部材を更に含み、保持部材の少なくとも表面が撥水性を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のバイオセンサデバイス。
  7. 保持部材は1つまたは2つ以上の貫通孔を有し、貫通孔に接着剤が充填されている、請求項6に記載のバイオセンサデバイス。
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