JPWO2012090909A1 - 脂溶性の測定方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、幅広い物質の脂溶性を迅速かつ正確に測定する方法を提供することである。疎水性溶媒と親水性溶媒の比を変えた複数の溶媒を用いて脂溶性を測定することにより、幅広い範囲の物質の脂溶性を正確かつ迅速に測定できる。

Description

本発明は、薬物の脂溶性を測定する技術に関する。特に本発明は、ハイスループットな薬物の脂溶性の測定技術に関する。
近年、コンビナトリアルケミストリーや誘導体合成の効率化によって膨大な数の化合物を短時間で合成することが可能になっている。それにつれて、探索段階における膨大な数の試験化合物についてその物性を迅速かつ正確に評価し、薬剤候補化合物を戦略的に選定することが、迅速かつ効率的な新薬開発を実現する上で極めて重要になっている。薬理活性の増大のみに着目して化合物を探索すると化合物の溶解度が低くなることがあるが、医薬品として実際に機能するためにはある程度の経口吸収性が必要であり、脂溶性を始めとする薬として具備すべき特性(druglikeness)を開発の早い段階から正確に把握し、戦略的に創薬を進めることが重要である。
化合物の物性の中でも脂溶性は、経口吸収性、膜透過性、溶解度、分布容積、代謝安定性などに影響する重要な分子特性である。脂溶性を示すパラメータとしては、logP(partition coefficient)やlogD(distribution coefficient)などの分配係数が広く用いられており、その実測法としてはフラスコ振盪法が一般的である。フラスコ振盪法は、被験物質と2種類の溶媒をフラスコに入れて振盪してから、有機相と水相に含まれる被験物質の量を定量して分配係数を求める方法であり、オクタノール/水の分配係数の測定法はJIS規格などにも定められている(JIS Z7260-107、OECD Test Guideline 107)。一方、より簡便な系として,HPLC法が存在する。HPLC法は、逆相クロマトグラフィーの保持時間と分配係数との間に相関があることを利用して被験物質の分配係数を間接的に測定する方法であり、分配係数が既知の物質で保持時間と分配係数の相関関係をあらかじめ調べておき、その相関関係を利用して被験物質の分配係数を決定する。
しかし、フラスコ振盪法は、脂溶性を正確に評価できるものの、操作が煩雑であり、多検体処理には適さない。また、HPLC法は、フラスコ振盪法に比べて多検体処理が可能であるが、水への溶解度が低い化合物やカラム担体と反応してしまう化合物には適用できず、また、分配係数が既知の物質と被験物質の化学構造が大きく異なる場合には分配係数を正確に測定することができない。
そこで、脂溶性を実際に測定せずに、計算により算出する技術が開発されている。計算によって求められた分配係数はClogPなどと表記され、近年、その精度が向上しつつあるが、フラスコ振盪法で実測した分配係数と乖離することも多く、計算により脂溶性を推定する技術の精度は十分とはいえない。
被験物質の脂溶性を迅速かつ大量に実測する方法として、特許文献1、非特許文献1、2などには、マルチウェルプレートを用いて脂溶性を測定する方法が提案されている。また、非特許文献3には、有機相に含まれる被験物質と水相に含まれる被験物質について、有機相のみ、水相のみ、両相ともの3種を定量することによって脂溶性を測定し、いずれかの値を採用する方法が記載されている。
特開2006−267105号公報
Yun W. Alelyunas et al., Journal of Chromatography A, 1217 (2010), 1950-1955 Y. Dohta et al., Analytical Chemistry, vol. 79, no. 21, 8312-8315, 2007 溝口亮他「23-P8 High Throughput LogD 測定システムの構築」(日本薬剤学会第24年会ポスターセッション資料、2009年5月23日)
上述したように、フラスコ振盪法は、脂溶性を比較的正確に評価できるものの、操作が煩雑で、サンプルを分配させた後、層分離操作により2相を別々に取り出してHPLCなどで定量するといった多段階のマニュアル操作が必要となるため、測定に時間がかかり、多検体同時処理には適さない。
このような状況の中、上記文献に記載されているように、溶媒の量を少なくし、96ウェルなどのマルチウェルプレートを利用して工程を自動化することによって、フラスコ振盪法による脂溶性の測定をハイスループットで行うことが提案されている。しかしながら、溶媒の量を少なくすると脂溶性の測定精度が低下しやすく、logDが1未満の低脂溶性物質やlogDが3を超えるような高脂溶性物質についてはハイスループットな脂溶性測定が困難であった。
このような状況に鑑み、本発明は、幅広い物質の脂溶性を迅速かつ正確に測定する方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、疎水性溶媒と親水性溶媒の比を変えた2種類以上の溶媒系を用いて脂溶性を測定することにより、被験物質の脂溶性を正確かつ迅速に測定できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、以下に限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
1. 被験物質の脂溶性を測定する方法であって、(1)疎水性溶媒と親水性溶媒を第1の比率で含んでなる第1の溶媒系に所定量の被験物質を混合する工程と、(2)第1の溶媒系と同じ疎水性溶媒と親水性溶媒を第2の比率で含んでなる第2の溶媒系に所定量の被験物質を混合する工程と、(3)第1の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系の疎水相または親水相に含まれる被験物質を測定する工程と、(4)第2の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系について測定した相とは別の相に含まれる被験物質を測定する工程と、(5)第3および第4の工程で得られた二つの値に基づいて被験物質の脂溶性を算出する工程と、を含む上記方法。
2. 疎水性溶媒と親水性溶媒との第1の比率が50:50〜1:99(容積比)である、上記1に記載の方法。
3. 疎水性溶媒と親水性溶媒との第2の比率が80:20〜20:80(容積比)である、上記1または2に記載の方法。
4. 疎水性溶媒が1−オクタノールであり、親水性溶媒が緩衝液である、上記1〜3のいずれかに記載の方法。
5. 第1から第5の工程を自動で行う、上記1〜4のいずれかに記載の方法。
6. logD測定値が−2〜6の被験物質に用いるための、上記1〜5のいずれかに記載の方法。
7. 以下の式:
(a×C×D+b×C)/X=(c×C+d×C/D)/Y (式I)
式中、D=分配比、
X=第1の溶媒系に添加した被験物質の量
Y=第2の溶媒系に添加した被験物質の量
=第1の溶媒系における親水相中の被験物質の濃度
=第2の溶媒系における疎水相中の被験物質の濃度
a=第1の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
b=第1の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
c=第2の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
d=第2の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
に基づいて被験物質の脂溶性を算出する、上記1〜6のいずれかに記載の方法。
8. 被験物質の脂溶性を測定するための装置であって、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率および第2の比率で容器に分注するための分注機と、被験物質を分注するための分注機と、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率で含む第1の溶媒系から疎水相または親水相をサンプリングし、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第2の比率で含む第2の溶媒系から第1の溶媒系でサンプリングした相とは別の相をサンプリングするための分注機と、被験物質を測定するための分析機と、疎水性溶媒と親水性溶媒の比率および被験物質の測定結果から被験物質の脂溶性を算出するため計算機とを含む、上記装置。
9. 以下の式:
(a×C×D+b×C)/X=(c×C+d×C/D)/Y (式I)
式中、D=分配比、
X=第1の溶媒系に添加した被験物質の量
Y=第2の溶媒系に添加した被験物質の量
=第1の溶媒系における親水相中の被験物質の濃度
=第2の溶媒系における疎水相中の被験物質の濃度
a=第1の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
b=第1の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
c=第2の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
d=第2の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
に基づいて被験物質の脂溶性を算出する、上記8に記載の装置。
本発明によれば、物質の脂溶性を迅速かつ正確に測定することができる。
図1は、本発明によって測定したlogD(実施例)と、フラスコ振盪法によって測定したlogD(比較例)とを比較したグラフである。 図2は、市販の14化合物について、本発明によって測定したlogD(実施例)と、フラスコ振盪法によって測定したlogD(比較例)とを比較したグラフである。
本発明は、被験物質の脂溶性を測定する方法であって、(1)疎水性溶媒と親水性溶媒を第1の比率で含んでなる第1の溶媒系に所定量の被験物質を混合する第1の工程と、(2)疎水性溶媒と親水性溶媒を第2の比率で含んでなる第2の溶媒系に所定量の被験物質を混合する工程と、(3)第1の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系の疎水相または親水相に含まれる被験物質を測定する工程と、(4)第2の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系について測定した相とは別の相に含まれる被験物質を測定する工程と、(5)第3および第4の工程で得られた結果に基づいて被験物質の脂溶性を算出する工程と、を含む。
本発明において、脂溶性を測定する物質は、任意の化学的または生物学的物質であり、例えば、有機化合物、タンパク質、ペプチドまたは核酸であってもよい。本発明によって脂溶性を測定する物質としては、例えば、多環式芳香族または脂肪族炭化水素、ハロゲン含有芳香族または脂肪族炭化水素、窒素および酸素含有芳香族または脂肪族炭化水素、及び脂溶性ビタミンなどが挙げられ、それらの中でも、医薬品の有効成分として許容されうる化合物、特には、低分子化合物が好ましく、分子量が1000以下の化合物がより好ましく、窒素および酸素含有芳香族または脂肪族炭化水素であって分子量が1000以下の化合物がさらに好ましい。
脂溶性を測定する物質は、固体または液体であってよく、例えば、DMSO(ジメチルスルホキシド)などの適当な溶媒に溶解してもよい。本発明によって測定する物質の脂溶性は特に制限されず、本発明によれば、logDが−1以下のような低脂溶性物質から、logDが5以上の高脂溶性物質まで測定することができる。特に本発明によれば、logDが3を超えるような脂溶性の高い物質やlogDが1未満の脂溶性の低い物質であっても、正確に脂溶性を測定することができる。本発明方法を使用する場合の被験物質の態様としてはlogDが−2〜6の化合物であり、別の態様としては−2〜5の化合物であり、さらに別の態様としては−1〜5の化合物である。
本発明において脂溶性とは物質の疎水性を示すパラメータであり、具体的には、logDやlogPなどの分配係数が挙げられる。一般に、互いに溶解しない親水性溶媒と疎水性溶媒を同じ容器に入れ、それに被験物質を加えると、親水相と疎水相に分配される物質の濃度比は被験物質の量にかかわらず一定となる。すなわち、親水相中の被験物質の濃度をCw、疎水相中の被験物質の濃度をCoとすると、両者の比(Co/Cw)は一定となり、その常用対数を分配係数という。ここで、logP(partition coefficient)は被験物質の電離を考慮しない分配係数であり、電気的に中性の物質の脂溶性の評価に用いられることが多い。その一方、logD(distribution coefficient)は、異なったpH環境における分子の解離による脂溶性の変化を考慮に入れたパラメータであり、特に解離性官能基を有する物質の場合、logDにより脂溶性を評価することが一般的である。中でもpH7.4に調整された緩衝液を用いて測定したlogDはlogD7.4と呼ばれ、物質の脂溶性評価に広く用いられている。
本発明においては、疎水性溶媒と親水性溶媒を使用して物質の脂溶性を測定する。ここで、疎水性溶媒と親水性溶媒は互いに混和しないか、ほとんど混和しない。本発明における疎水性溶媒は、いわゆる非極性溶媒であり、水などの極性溶媒と混和しないか、ほとんど混和しない。一般に、疎水性溶媒の誘電率は、水などの親水性溶媒の誘電率より低い。疎水性溶媒の例として、1−オクタノール(オクタン−1−オール)や脂肪族炭化水素(シクロヘキサン、ドデカン、ヘキサデカンまたはハロゲン化炭化水素)などの有機溶媒を挙げることができ、特に1−オクタノールを疎水性溶媒として用いることが好ましい。
一方、本発明における親水性溶媒は、いわゆる極性溶媒であり、電子的に荷電している分子を有する溶媒をいい、疎水性溶媒と混和しないか、ほとんど混和しない。親水性溶媒は、例えば、一定のpH範囲内で高い緩衝能力を有する緩衝塩の水溶液(すなわち、緩衝液であり、具体的には、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液や、3−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝液等が挙げられる)であってもよい。上記pH範囲としては0〜14の範囲であってよく、pHが約7.4であるように調整された緩衝液、特にはpH7.4で緩衝化したリン酸緩衝液を親水性溶媒として用いることが好ましい。また、緩衝液の濃度は、緩衝能や、疎水性溶媒との混合による塩の析出等の面で測定に影響のない範囲で適宜選択できるが、例えば、pH7.4で緩衝化したリン酸緩衝液の濃度(リン酸換算)は、0.5〜20mMが好ましく、1〜10mMがより好ましく、5〜10mMがさらに好ましい。
なお、本明細書中の「疎水性溶媒と親水性溶媒の比率」とは、「疎水性溶媒と親水性溶媒を混合により形成される疎水相と親水相の容積比」を意味し、例えば、「疎水性溶媒と親水性溶媒を第1の比率で含んでなる第1の溶媒系」とは、「疎水性溶媒と親水性溶媒を混合により形成される疎水相と親水相の容積比が第1の比率である第1の溶媒系」であることを意味する。従って、疎水性溶媒と親水性溶媒の混合による全容積の変化や、分配平衡に達するまでに必要な時間を考慮すると、疎水性溶媒と親水性溶媒は、予め十分に混合して、互いに飽和させた混合液を調製し、その疎水相を疎水性溶媒として、その親水相を親水性溶媒として使用するのが好ましい。
本発明においては、疎水性溶媒と親水性溶媒を第1の比率で含んでなる第1の溶媒系に所定量の物質を混合し、さらに、第1の溶媒系と同じ疎水性溶媒と親水性溶媒を第2の比率で含んでなる第2の溶媒系に所定量の物質を混合する。このように疎水性溶媒と親水性溶媒の相比を変えた複数の系において被験物質を分配させることにより、脂溶性の高い物質から低い物質まで幅広い範囲の物質の脂溶性を正確に測定することができ、また、後述するように疎水性溶媒と親水性溶媒の相比を適宜選択することで、疎水相を分離除去せずに親水相をサンプリングして、脂溶性が測定できるため、煩雑な層分離操作を回避することができる。本発明において、第1の溶媒系に混合する被験物質の量と第2の溶媒系に混合する被験物質の量は、既知であればよく、両者が同じでも異なっていてもよい。
本発明において、疎水性溶媒と親水性溶媒の第1の比率と第2の比率は、両者が異なっていれば特に制限されない。本発明のある態様においては、例えば、疎水性溶媒と親水性溶媒の第1の比率(容積比)を50:50〜1:99とすることができ、20:80〜1:99とすることが好ましく、10:90〜1:99とすることがより好ましく、1:14〜1:49とすることがさらに好ましい。親水性溶媒の比率を高くすることによって、比較的脂溶性の高い物質を測定する場合に親水相に含まれる被験物質の濃度を向上させて測定精度を高めることができるとともに、疎水相である上層が薄くなるため分注機などで上層の疎水相を分離除去せずに下層の親水相をサンプリングする際の上層の疎水相のコンタミネーションを抑制することができ、好適である。また、疎水性溶媒の量が少ない溶媒系を用いる場合、親水相をサンプリングすることが好適である。
一方、第2の溶媒系においては、第1の溶媒系よりも疎水性溶媒の比率を高くすることができる。好ましい態様において、疎水性溶媒と親水性溶媒の第2の比率(容積比)は90:10〜1:99、より好ましくは80:20〜20:80である。また、極めて脂溶性の低い物質を測定する場合などは、疎水性溶媒と親水性溶媒の第2の比率(容積比)を99:1〜50:50として、疎水性溶媒を多くしてもよい。また、第2の比率(容積比)を80:20〜20:80、特に55:45〜45:55にするとlogD=0付近の測定精度が向上するため好ましい。
本発明において疎水性溶媒と親水性溶媒の合計量は特に制限されないが、ハイスループットな分析を行う観点から、50μL〜10mLが好ましく、100μL〜5mLがより好ましく、500μL〜2mLがさらに好ましく、500μL〜1.5mLがより一層好ましく、800μL〜1.2mLが最も好ましい。また、各相のサンプルを質量分析機(MS)などで測定する観点からは、被験物質のlogDが−2〜5程度の場合、第1の比率を10:90〜1:99(より好ましくは1:14〜1:49)、第2の比率を80:20〜20:80(より好ましくは55:45〜45:55)として、第1の溶媒系および第2の溶媒系での振盪時の被験物質の濃度を2.5〜20μMとするのが好適である。
本発明においては、第1の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系の疎水相または親水相に含まれる被験物質を測定し、さらに、第2の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系について測定した相とは別の相に含まれる被験物質を測定する。第1の溶媒系と第2の溶媒系とで、被験物質を測定する相を異ならせることにより、測定精度を向上させることができる。好ましい態様において、第1の溶媒系については親水相中の被験物質を測定し、第2の溶媒系については疎水相中の被験物質を測定する。
本発明の好ましい態様において、LogDが−2〜5程度の化合物を被験物質とする場合、第1の比率を10:90〜1:99(より好ましくは1:14〜1:49)、第2の比率を80:20〜20:80(より好ましくは55:45〜45:55)として、親水性溶媒と疎水性溶媒の合計量は500μL〜2mLとすると、ハイスループットかつ高精度な分析を行う上で好適である。
本発明では分配平衡に達してから、疎水相及び/又は親水相の被験物質を測定する。一般に、被験物質を添加してから一定時間経過後に分配平衡に達するが、撹拌・振盪させることにより分配平衡に達する時間を短縮させてもよい。分配平衡に達する時間は溶媒の量などにも依存するが、例えば、1分間〜24時間であり、好ましくは10分間〜12時間、より好ましくは30分間〜3時間である。
本発明においては、溶媒や被験物質を公知の方法によって容器に入れ、容器から取り出することができる。すなわち、公知の分注機(ディスペンサー)や試料採取機(サンプラー)などを使用することができ、これらの作業を自動化することも可能である。また、マルチウェルプレートなどを用いて本発明を複数の被験物質に対して行うことにより、ハイスループットな分析を少ない量のサンプルで行うことができるため、好ましい。本発明の方法は、標準的な装置を用いて容易に自動化することができるため、ハイスループット分析に特に適している。
本発明において被験物質の測定方法は特に制限されず、公知の方法を利用することができる。具体的には、UV等の吸光度検出器による測定や、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)又はキャピラリー電気泳動(CE)等と、これらに好ましい検出器を組み合わせた機器による測定が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。液体クロマトグラフィー(LC)の検出器としては、UV等の吸光度検出器、質量分析機(MS)及び/又は導電率検出器等が挙げられる。ハイスループットかつ高精度な分析を行う上で、LC/MSでの測定が好ましい場合がある。
本発明においては、相比の異なる複数の溶媒系における親水相の被験物質と疎水相の被験物質を測定し、その結果に基づいて被験物質の脂溶性を以下の式Iを用いて算出する。
(a×C×D+b×C)/X=(c×C+d×C/D)/Y (式I)
式中、D=分配比、
X=第1の溶媒系に添加した被験物質の量
Y=第2の溶媒系に添加した被験物質の量
=第1の溶媒系における親水相中の被験物質の濃度
=第2の溶媒系における疎水相中の被験物質の濃度
a=第1の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
b=第1の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
c=第2の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
d=第2の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
上記式中の濃度C及びCとして、濃度と相関する値を代わりに用いてもよい。具体的には液体クロマトグラフィーやLC/MSのピーク面積値などである。
本発明においては、上記等式を利用して分配比Dを計算し、必要に応じて常用対数を算出してlogDやlogPを得る。
また別の態様において、本発明は被験物質の脂溶性を測定するための装置に関する。すなわち、本発明は、被験物質の脂溶性を測定するための装置であって、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率および第2の比率で容器に分注するための分注機と、被験物質を分注するための分注機と、容器中の疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率で含む第1の溶媒系から疎水相または親水相をサンプリングし、適当な溶媒で希釈するための分注機と、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第2の比率で含む第2の溶媒系から第1の溶媒系でサンプリングした相とは別の相をサンプリングし、適当な溶媒で希釈するための分注機と、容器中の疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率で含む第1の溶媒系から疎水相または親水相を適当な溶媒で希釈した試料と、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第2の比率で含む第2の溶媒系から第1の溶媒系でサンプリングした相とは別の相を適当な溶媒で希釈した試料をサンプリングするための分注機と、被験物質を測定するための分析機と、疎水性溶媒と親水性溶媒の比率および被験物質の測定結果から被験物質の脂溶性を算出するため計算機とを備える。本発明の装置は、容器を一定温度に保持するための恒温槽をさらに備えていてもよく、被験物質が分配平衡に達することを促進するため、容器を振盪するための振盪機や、容器中で疎水相と親水相とを層分離させるための遠心分離機をさらに備えていることが好ましい。本発明の装置を構成する各部分は、一連の分析を自動で行うように自動化することが好ましい。
ハイスループット分析を行うため容器としてマルチウェルプレートなどのウェルプレートを用いることが好ましい。上述したように上層である有機相が薄いと、下層の親水相のサンプリングの際に上層である有機相のコンタミネーションが生じにくく望ましいため、溶媒系の比率と容器容量(面積)を選択して、ウェル中での液面の面積1mm当たりの有機相量を0.5〜2μLとするのが好ましく、1μLとするのがより好ましい。また、ハイスループット分析や被験物質の使用量などの観点から、ウェルの容積は、50μL〜10mLが好ましく、100μL〜5mLがより好ましく、液面におけるウェルの断面積は、10mm〜500mmが好ましく、20mm〜100mmがより好ましい。プレートなどの容器の材質としては、ポリプロピレンやガラスが好適である。
以下、実施例を挙げて本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に記載がない場合、本明細書において、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
(実施例)
A.本発明による脂溶性の測定
試験対象の38化合物について本発明によりlogD7.4を測定した。1ウェルあたりの溶液量を1mLとし、疎水性溶媒として1−オクタノール、親水性溶媒としてpH7.4で緩衝化したリン酸緩衝液を用いた。また、第1の溶媒系および第2の溶媒系に添加する被験物質の量は同じとした(式IのX=Y)。第1の溶媒系は、1−オクタノール:リン酸緩衝液=5:95(容積比)とし、リン酸緩衝液相(以下、水相)に分配された被験物質を液体クロマトグラフィーおよび質量分析(LC/MS)によって測定した。第2の溶媒系は、1−オクタノール:リン酸緩衝液=50:50(容積比)とし、1−オクタノール相(疎水相)に分配された被験物質を同様に測定した。
上記条件に従って、X=Y、a=5、b=95、c=d=50を式(I)に代入することにより以下の二次方程式(式II)が得られる。後述するように被験物質を測定すると、そのピーク面積値と希釈率からC/Cが得られるため、その値を式(II)に代入することにより分配比Dを求め、その常用対数をとってlogD7.4を算出した。
5×C×D+95×C=50×C+50×C/D
+(19−10C/C)D−10C/C=0 (式II)
測定は、96ディープウェルプレート(グライナー社、型番780270:ウェル上部の内寸は、縦8.2mm、横8.2mm、ウェル下部の内寸は縦・横ともに7.37mm、ウェル深さは41mm、容量2mL、ポリプロピレン製)を用いて行った。分注、振盪、希釈などの操作は分注ロボット(Hamilton社製、MicroLabSTARlet)により自動化し、装置から装置へのプレートの移動などは手動にて行った。具体的な実験手順は以下のとおりである。
1.溶液の調製
(1) リン酸緩衝液(pH7.4)の調製
ダルベッコ試薬(SIGMA製PBS溶液1L用:塩化ナトリウム8g、無水リン酸一水素ナトリウム1.15g、塩化カリウム0.2g、無水リン酸二水素カリウム0.2gを含む)を1Lにメスアップし、その後、撹拌し、不要物をろ別した。溶液のpHを測定し、1N HClでpH7.4に調整した。
(2) 飽和1−オクタノールと飽和リン酸緩衝液の調製
1−オクタノール(関東化学:分配係数測定用)と(1)で調製したリン酸緩衝液とをそれぞれ十分な量ずつ分液漏斗に加え、十分に混合した後、室温で一晩静置した。上層と下層を取り分けて、リン酸緩衝液飽和1−オクタノール(以下、飽和1−オクタノール)と1−オクタノール飽和リン酸緩衝液(以下、飽和リン酸緩衝液)を得た。それぞれの溶液は室温で保存した。
(3) 測定化合物のDMSO溶液
測定化合物をDMSOに添加し、10mMの溶液を調製した。
2.測定化合物の分配
(1) 測定化合物の10mM DMSO溶液を96ディープウェルプレートに10μL分注し、飽和1−オクタノール490μLをさらに分注した。吸引吐出による撹拌を10回行い、測定化合物のオクタノール標準液を調製した。
(2) オクタノール標準液50μLを2つのウェルに分注し、1つ目のウェルには、飽和リン酸緩衝液950μLを分注し(疎水性溶媒:親水性溶媒=5:95)、2つ目のウェルには、飽和リン酸緩衝液500μLと飽和1−オクタノール450μLを分注した(疎水性溶媒:親水性溶媒=50:50)。
(3) マルチウェルプレートに圧力硬化シールを接着後、振盪器にて25℃で3時間振盪した。振盪後、3000rpmで5分間遠心処理した。
(4) 1つ目のウェルから下相(水相)を抜き取り、メタノールで10倍希釈したサンプルを調製した。2つ目のウェルから上相(1−オクタノール相)を抜き取り、メタノールで10倍希釈したサンプルと、50倍希釈したサンプルを調製した。1つ目のウェルの下相(希釈なし)と下相の10倍希釈サンプル、2つ目のウェルの上相の10倍希釈サンプルと50倍希釈サンプルの計4サンプルについて、LC/MSにより測定化合物を測定した。
3.測定化合物の測定
上記4サンプルをLC/MSのオートサンプラーにセットし、自動的に測定した。
(1) 2Lのメスフラスコに適当量の超純水(ミリポア社の超純水製造装置により調製)を加えた後、ホールピペットを用いてギ酸(関東化学)2mLを滴下した。その後、超純水でメスアップし、転倒混和を行った。移動相用の瓶に移し、超音波処理を10分間行い脱気して、0.1%ギ酸水溶液を調製した。
(2) 1Lのメスフラスコに適当量のアセトニトリル(和光純薬製)を加えた後、ホールピペットを用いてギ酸(関東化学)1mLを滴下した。その後、アセトニトリルでメスアップし、転倒混和を行った。移動相用の瓶に移し、超音波処理を10分間行い脱気して、0.1%ギ酸アセトニトリル溶液を調製した。
(3) HPLCの移動相として、0.1%ギ酸水溶液(A液)および0.1%ギ酸アセトニトリル溶液(B液)を用いた。グラジエント条件は、0〜0.3分:B液10%、0.3〜1.5分:B液10〜95%、1.5〜2.25分:B液95%、2.25〜3.0分:B液10%とした。流速は0.6mL/分とした。
(4) HPLCは、バイナリーポンプを有するWaters社製Acquityを使用した。カラム固定相として、オクタデシル基を有する逆相カラム(Acquity BEH C18、1.7μm、2.0×30mm)を用いた。カラム温度は50℃で実施した。
(5) MSはWaters社製ZQ又はSQDを使用した。検出モードはESIで,検出イオンは[M+H]でデータを取得した。コーン電圧は25Vで測定した。コーンガスとして窒素ガスを用い,流量は50L/hで測定し,脱溶媒ガスの流量は750L/hで測定した。またソース温度は130℃に,脱溶媒温度は350℃に設定した。キャピラリー電圧は3.5kVに設定した。
(6) LogDの計算では、1つ目のウェルの下相(希釈なし)サンプルと1つ目のウェルの下相をメタノールで10倍希釈したサンプル、2つ目のウェルの上相をメタノールで10倍希釈したサンプルと50倍希釈したサンプルについて、LC/MS測定で得られた各サンプルのピーク面積が大きいサンプル(希釈率の低いサンプル)を、上相と下相でそれぞれ選択し、そのピーク面積値と希釈率からC/Cを算出し、それを式(II)に代入にしてlogDを自動算出した。ただし、希釈率の低いサンプルでのピーク面積が著しく大きく、LC/MSの定量性が低い範囲にあると考えられる場合(本試験条件においては、ピーク面積値が750000以上の場合)は、希釈率の大きいサンプルを選択して、そのピーク面積をLogD算出に用いた。
(比較例)
B.フラスコ振盪法による脂溶性の測定
以下の手順によりフラスコ振盪法により脂溶性を測定した。
1.溶液の調製
Aと同様にして、溶液を調製した。
2.測定化合物の分配
試料を適量(ミクロスパーテルに半分くらい)とり、10mLのネジ口遠沈管に入れ、ACD/Labs(富士通)に代表される物性値予測ソフトにより、LogD<0の場合は飽和リン酸緩衝液を約6mL加え、LogD≧0の場合は飽和1−オクタノールを約6mL加えた。超音波照射を数10秒実施し、試料を分散させ、混合液とした。
この混合液をAnotop社製シリンジフィルタでろ過したのち、約5mLを新しい10mLのネジ口遠沈管に投入し、2〜3回、転倒攪拌した。
ネジ口遠沈管に、物性予測ソフトでの値がLogD≧0の場合は飽和リン酸緩衝液、LogD<0の場合は飽和1−オクタノールを加え、遠沈管の目盛りで10mLとした。
ネジ口遠沈管を10分間激しく振とうした後、3000rpmで10分間遠心分離を行った。
上相(1−オクタノール相)1mLを取り、メタノールで10mLに希釈した。さらに以下メタノールで希釈し、10倍、100倍、1000倍、10000倍希釈の4サンプルを調製した。
次に上相を完全に取り除いた後、下相(水相)1mLと取り、メタノールで希釈し、1倍(希釈なし)、10倍、100倍、1000倍希釈の4サンプルを調製した。
3.各相サンプル測定
上記8サンプルをLC/MSのオートサンプラーにセットし、自動的に測定した。
(1) 2Lのメスフラスコに10mMとなるように酢酸アンモニウム(和光純薬製)約1.5gを秤量し、超純水(ミリポア社の超純水製造装置により調製)でメスアップし、転倒混和を行った。移動相用の瓶に移し、超音波処理を10分間行い脱気して、10mM酢酸アンモニウム水溶液を調製した。
(2) 2Lのメスフラスコに10mMとなるように酢酸アンモニウム(和光純薬製)約1.5gを秤量し、メタノール(和光純薬製)でメスアップし、転倒混和を行った。移動相用の瓶に移し、超音波処理を10分間行い脱気して、10mM酢酸アンモニウムアセトニトリル溶液を調製した。
(3) HPLCの移動相として、10mM酢酸アンモニウム水溶液(A液)および10mM酢酸アンモニウムメタノール溶液(B液)を用いた。グラジエント条件は、0―0.5分:B液10〜50%、0.5―5分:50〜100%、5―7分:100%とした。流速は0.3mL/分とした。
(4) HPLCは、バイナリーポンプを有するAgilent社製LC1100を使用した。カラム固定相として、オクタデシル基を有する逆相カラム(Imtakt Cadenza CD―C18 2.0ID×50mm)を用いた。カラム温度は40℃で実施した。
(5) MSはAgilent社製1946Dを使用した。Drying Gas Flowは12.0L/分、Drying Gas Tempを350℃、Capillary Voltageを3000Vに設定した。検出モードはESI+で、検出イオンはサンプルにより最適化を行いデータを取得した。代表的なイオンは[M+H]+や[M−H]+であった。フラグメンター電圧はサンプルにより最適化を行い測定した。40〜200Vの範囲で最適化を行い代表的には80Vや100Vで測定した。
(6) LogDの計算では、LC/MS測定で得られた各サンプルのピーク面積が大きいサンプル(希釈率の低いサンプル)を、上相と下相でそれぞれ選択し、そのピーク面積をLogD算出に用いた(1−オクタノール相の面積×希釈倍率/水相の面積値×希釈倍率=分配比、この分配比の常用対数をとることでLogDを算出)。ただし、希釈率の低いサンプルでのピーク面積が著しく大きく、LC/MSの定量性が低い範囲にあると考えられる場合は、希釈率の大きいサンプルを選択して、そのピーク面積をLogD算出に用いた。
C.測定結果
市販の14化合物の他、表1に化合物1〜24として示した24化合物についても測定を行った。表1に測定したlogDの値を示す。96ウェルのマルチウェルプレートを用いて上記測定を行うことにより、38化合物のlogD7.4を約13時間で測定することができ、本発明によって極めてハイスループットな分析が可能になった。
また、図1に、本発明によって測定したlogD(実施例)を従来のフラスコ振盪法により測定したlogD(比較例)と比較したグラフを示す。図1によれば、logDが−2〜5の範囲において、本発明により測定したlogDはフラスコ振盪法により測定したlogDとほぼ同等の値となっており(R=0.9906)、本発明によれば正確に脂溶性を測定できることが示された。疎水性溶媒と親水性溶媒の比率が異なる2つの溶媒を用いて、一方の下層、他方の上層に含まれる被験物質を測定することによって、サンプリングの際の疎水相のコンタミネーションを抑制すると同時に、親水相に含まれる被験物質の濃度を向上させることができ、その結果、脂溶性を高精度で測定することができた。
Figure 2012090909
本発明によれば、物質の脂溶性を迅速かつ正確に測定することができる。

Claims (9)

  1. (1) 疎水性溶媒と親水性溶媒を第1の比率で含んでなる第1の溶媒系に所定量の被験物質を混合する工程と、
    (2) 第1の溶媒系と同じ疎水性溶媒と親水性溶媒を第2の比率で含んでなる第2の溶媒系に所定量の被験物質を混合する工程と、
    (3) 第1の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系の疎水相または親水相に含まれる被験物質を測定する工程と、
    (4) 第2の溶媒系が分配平衡に達した後、第1の溶媒系について測定した相とは別の相に含まれる被験物質を測定する工程と、
    (5) 第3および第4の工程で得られた二つの値に基づいて被験物質の脂溶性を算出する工程と、
    を含む、被験物質の脂溶性を測定する方法。
  2. 疎水性溶媒と親水性溶媒との第1の比率が50:50〜1:99(容積比)である、請求項1に記載の方法。
  3. 疎水性溶媒と親水性溶媒との第2の比率が80:20〜20:80(容積比)である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 疎水性溶媒が1−オクタノールであり、親水性溶媒が緩衝液である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 第1から第5の工程を自動で行う、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. logD測定値が−2〜6の被験物質に用いるための、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 以下の式:
    (a×C×D+b×C)/X=(c×C+d×C/D)/Y (式I)
    式中、D=分配比、
    X=第1の溶媒系に添加した被験物質の量
    Y=第2の溶媒系に添加した被験物質の量
    =第1の溶媒系における親水相中の被験物質の濃度
    =第2の溶媒系における疎水相中の被験物質の濃度
    a=第1の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
    b=第1の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
    c=第2の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
    d=第2の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
    に基づいて被験物質の脂溶性を算出する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率および第2の比率で容器に分注するための分注機と、
    被験物質を分注するための分注機と、
    疎水性溶媒と親水性溶媒とを第1の比率で含む第1の溶媒系から疎水性溶媒相または親水性溶媒相をサンプリングし、疎水性溶媒と親水性溶媒とを第2の比率で含む第2の溶媒系から第1の溶媒系でサンプリングした相とは別の相をサンプリングするための分注機と、
    被験物質を測定するための分析機と、
    疎水性溶媒と親水性溶媒の比率および被験物質の測定結果から被験物質の脂溶性を算出するため計算機と、
    を含む、被験物質の脂溶性を測定するための装置。
  9. 以下の式:
    (a×C×D+b×C)/X=(c×C+d×C/D)/Y (式I)
    式中、D=分配比、
    X=第1の溶媒系に添加した被験物質の量
    Y=第2の溶媒系に添加した被験物質の量
    =第1の溶媒系における親水相中の被験物質の濃度
    =第2の溶媒系における疎水相中の被験物質の濃度
    a=第1の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
    b=第1の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
    c=第2の溶媒系における疎水性溶媒の量(疎水相の容積)
    d=第2の溶媒系における親水性溶媒の量(親水相の容積)
    に基づいて被験物質の脂溶性を算出する、請求項8に記載の装置。
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