JPWO2011111263A1 - 表示素子、及びこれを用いた電気機器 - Google Patents

表示素子、及びこれを用いた電気機器 Download PDF

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Abstract

上部基板(第1の基板)(6)と、下部基板(第2の基板)(7)と、上部基板(6)及び下部基板(7)の間に形成された表示用空間(K)に対し、設定された有効表示領域(P1)及び非有効表示領域(P2)と、表示用空間(K)の内部に移動可能に封入された極性液体(12)とを具備した表示素子(2)において、共通電極(第1の電極)(9)と、画素電極(第2の電極)(8)を設ける。さらに、表示用空間(K)では、極性液体(12)が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域(P1)及び非有効表示領域(P2)を設定する。

Description

本発明は、極性液体を移動させることにより、画像や文字などの情報を表示する表示素子、及びこれを用いた電気機器に関する。
近年、表示素子では、エレクトロウェッティング方式の表示素子に代表されるように、外部電界による極性液体の移動現象を利用して、情報の表示を行うものが開発され、実用化されている。
具体的にいえば、上記のような従来の表示素子では、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1及び第2の電極と、第1及び第2の基板と、これら基板間に形成された表示用空間の内部に封入されるとともに、所定の色に着色された極性液体としての着色液滴とが設けられている。そして、この従来の表示素子では、着色液滴に対し第1及び第2の電極を介在させて電界印加を行うことにより、着色液滴の形状を変化させて表示面側の表示色を変更するようになっていた。
また、この従来の表示素子では、第1の基板上に、着色液滴に対して電気的に絶縁された状態で、第1及び第2の電極を並設するとともに、これらの第1及び第2の電極と対向するように、第2の基板側に第3の電極を設ける。さらに、第1の電極の上方に遮光用のシェードを設置することにより、第1の電極側及び第2の電極側をそれぞれ非有効表示領域側及び有効表示領域側に設定して、第1及び第3の電極間または第2及び第3の電極間に電位差が生じるように電圧印加を行うことが提案されている。そして、この従来の表示素子では、着色液滴の形状を変化させる場合に比べ、着色液滴を第1の電極側または第2の電極側に高速に移動させて、表示面側の表示色も高速に変更可能とされていた。
特開2004−252444号公報
ところで、上記のような従来の表示素子では、第1〜第3の各電極に対する印加電圧を調整することによって、遮光用のシェード(遮光膜)に対する着色液滴(極性液体)の位置(すなわち、有効表示領域内に移動した着色液滴の位置)をも調整して、中間調の表示を実施可能とされていた。
ところが、上記のような従来の表示素子では、着色液体自体によってユーザなどの観察者側に出射される光出射量が大きく変化して、表示品位が低下するという問題点を生じることがあった。特に、従来の表示素子では、中間調の表示を行った場合、着色液滴の位置や大きさ、あるいは観察者の視認方向などによっては、当該表示素子の非表示面側に設けられたバックライトからの光が着色液体によって遮られる量が異なるため、観察者側に出射される光出射量が大きく低減したり、逆に光漏れが発生したりする場合があり、その結果、表示素子を観視する方位角方向によっては所望の中間調の表示を行うことができずに、表示品位が低下することがあった。
上記の課題を鑑み、本発明は、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても所望の中間調表示を行うことができるようにし、表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で少なくとも前記有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体とを具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記極性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置された第1の電極、及び
前記極性液体及び前記第1の電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた第2の電極を備え、
前記表示用空間では、前記極性液体が天地方向に沿って移動するように、前記有効表示領域及び前記非有効表示領域が設定されていることを特徴とするものである。
上記のように構成された表示素子では、表示用空間において、極性液体が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域及び非有効表示領域が設定されている。これにより、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても中間調の表示を行う際に、極性液体自体によってユーザなどの観察者側に出射される光出射量が大きく変化するのを抑えることが可能となる。この結果、上記従来例と異なり、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても所望の中間調表示を行うことができるようにし、表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子を構成することができる。
なお、ここでいう、天地方向とは、鉛直方向(重力の作用方向)に対して、重力の反作用方向に向かう方向で0度以上90度未満の角度範囲内の所定の角度を有する方向をいう。すなわち、天地方向とは、表示素子の表示面が鉛直方向に対して、上記の角度範囲内の角度に設置された場合における、当該表示面の上下方向に一致するものである。
また、上記表示素子において、前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の他方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されていることが好ましい。
この場合、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域を適切に、かつ、確実に設定することができる。
また、上記表示素子において、前記有効表示領域及び前記非有効表示領域は、鉛直方向と概ね平行になるように、設定されてもよい。
この場合、優れた表示品位を有する表示素子を容易に構成することができる。
また、上記表示素子において、前記第1及び第2の基板の一方側には、データ配線及びゲート配線がマトリクス状に設けられ、
前記第1及び第2の基板の他方側には、前記第1の電極としての平面状の透明電極が設けられ、
複数の各画素領域が、前記データ配線と前記ゲート配線との交差部単位に設けられ、
前記各画素領域には、前記データ配線及び前記ゲート配線に接続されたスイッチング素子、前記スイッチング素子に接続された前記第2の電極としての画素電極、及び前記画素電極に供給された電荷を保持するキャパシタが設けられてもよい。
この場合、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、前記画素電極として、反射電極が用いられてもよい。
この場合、表示素子の外部からの光を用いて、情報を表示することが可能となり、消費電力の少ないコンパクトな表示素子を容易に構成することができる。
また、上記表示素子において、前記キャパシタとして、前記画素電極を覆うように、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた誘電体層が用いられていることが好ましい。
この場合、ディスクリート部品からなるキャパシタの設置を省略することができ、構造簡単な表示素子を容易に構成することができる。
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
この場合、複数の各画素において対応する極性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
また、上記表示素子において、前記第1の電極として、前記表示用空間の内部に設置された信号電極が用いられ、
前記第2の電極として、前記有効表示領域及び前記非有効表示領域の一方側に設置されるように、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた参照電極、及び
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた走査電極が用いられてもよい。
この場合、スイッチング素子を設けることなく、表示面側の表示色を変更することができ、構造簡単な表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、複数の前記信号電極が、所定の配列方向に沿って設けられ、
複数の前記参照電極及び複数の前記走査電極が、互いに交互に、かつ、前記複数の信号電極と交差するように設けられ、
前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部と、
前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部とを備えていることが好ましい。
この場合、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子を容易に構成することができる。
また、上記表示素子において、複数の各画素領域が、前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられていることが好ましい。
この場合、表示面側の複数の各画素において極性液体を移動させることにより、表示面側での表示色を画素単位に変更することができる。
また、上記表示素子において、前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されていることが好ましい。
この場合、誘電体層が極性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該極性液体の移動速度をより容易に向上することができる。
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
この場合、複数の各画素において対応する極性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
また、上記表示素子において、前記表示用空間の内部には、前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されていることが好ましい。
この場合、極性液体の移動速度の高速化を容易に図ることができる。
また、本発明の電気機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示素子を用いたことを特徴とするものである。
上記のように構成された電気機器では、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても所望の中間調表示を行うことができるようにし、表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子が表示部に用いられているので、優れた表示性能を有する電気機器を容易に構成することができる。
本発明によれば、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても所望の中間調表示を行うことができるようにし、表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子、及びこれを用いた電気機器を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。 図2は、図1に示した表示素子の画素領域での主要部の具体的な構成を説明する図である。 図3は、表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図4は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図5(a)及び図5(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図6は、図1に示した表示素子での視野角特性を説明する図であり、図6(a)は具体的な視認箇所を説明する図であり、図6(b)は天地方向の異なる角度での視野角特性を説明する図である。 図7(a)及び図7(b)は、それぞれ図6(a)に示した視認箇所における、天地方向及び左右方向での透過率の角度依存性を説明するグラフである。 図8(a)及び図8(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す断面図である。 図9は、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。 図10は、表示面側から見た場合での図9に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図11は、非表示面側から見た場合での図9に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図12(a)及び図12(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、図9に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図13は、図9に示した画像表示装置の動作例を説明する図である。 図14は、図9に示した表示素子での視野角特性を説明する図であり、図14(a)は具体的な視認箇所を説明する図であり、図14(b)は天地方向の異なる角度での視野角特性を説明する図である。 図15(a)及び図15(b)は、それぞれ図14(a)に示した視認箇所における、天地方向及び左右方向での透過率の角度依存性を説明するグラフである。 図16は、本発明の第4の実施形態にかかる表示素子における、表示面側から見た場合での上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図17(a)及び図17(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図16に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図18は、図16に示した表示素子を用いた画像表示装置の動作例を説明する図である。
以下、本発明の表示素子及び電気機器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、情報を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図1において、本実施形態の画像表示装置1では、本実施形態の表示素子2を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。表示素子2には、表示制御部3と、この表示制御部3に接続されたソースドライバ4及びゲートドライバ5が設けられている。表示制御部3には、外部から映像信号が入力されるようになっており、表示制御部3は、入力された映像信号に基づいて、ソースドライバ4及びゲートドライバ5への各指示信号を作成して出力するよう構成されている。これにより、表示素子2では、映像信号に応じて、文字及び画像を含んだ情報が表示されるようになっている。
また、表示素子2は、図1の紙面に垂直な方向で互いに重ね合うように配置された上部基板6及び下部基板7を備えており、これらの上部基板6と下部基板7との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
また、表示素子2では、データ配線としての複数のソース配線Sが互いに所定の間隔をおいて、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子2では、複数のゲート配線Gが互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。これらのソース配線Sと、ゲート配線Gとは、例えば下部基板6上で互いに交差するようにマトリクス状に設けられており、表示素子2では、ソース配線Sとゲート配線Gとの交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
また、これら複数のソース配線S及び複数のゲート配線Gは、それぞれソースドライバ4及びゲートドライバ5に接続されており、各ソース配線S及び各ゲート配線Gには、表示制御部3に入力された映像信号に応じたソース信号(電圧信号)及びゲート信号がソースドライバ4及びゲートドライバ5からそれぞれ供給されるようになっている。
さらに、表示素子2では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて区切られている。そして、表示素子2では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の極性液体を変形(移動)させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
ここで、図2〜図5も参照して、表示素子2の画素構造について具体的に説明する。
図2は、図1に示した表示素子の画素領域での主要部の具体的な構成を説明する図である。図3は、表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図4は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。なお、図3及び図4では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の左上端部に配設された9個の画素を図示している。また、図4では、図面の簡略化のために、上記ソース配線S及びゲート配線Gの図示は省略している。
図2に示すように、表示素子2では、複数の各画素領域がソース配線Sとゲート配線Gとの交差部単位に設定されており、この交差部の近傍には、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)SW、第2の電極としての画素電極8、及びキャパシタCが設けられている。すなわち、表示素子2では、各画素領域において、薄膜トランジスタSWのソース電極及びゲート電極がそれぞれソース配線S及びゲート配線Gに接続されている。また、この薄膜トランジスタSWのドレイン電極は、画素電極8に接続され、画素電極8は、当該画素電極8を覆うように下部基板7側に設けられた後述の誘電体層14によって構成されたキャパシタCに接続されている。そして、各画素領域では、薄膜トランジスタSWがゲート信号によってオン状態とされているときに、映像信号に応じた電圧がソース信号としてソース配線S及び薄膜トランジスタSWを介して画素電極8に供給されて、その電圧に応じた電荷がキャパシタC(誘電体層14)にて保持されるようになっている。このように、表示素子2は、画素毎にスイッチング素子(アクティブ素子)を有するアクティブマトリクス駆動方式の上記表示部を構成している。
また、図2〜図5において、表示素子2は、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板6と、上部基板2の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板7とを備えている。また、表示素子2では、上部基板6と下部基板7が互いに所定の間隔をおいて配置されることにより、これら上部基板6及び下部基板7の間に所定の表示用空間Kが形成されている。また、この表示用空間Kの内部には、上記極性液体12及びこの極性液体12と混じり合わない絶縁性の着色されたオイル13が当該表示用空間Kの内部で上記Y方向(図4の上下方向)に移動可能に封入されており、極性液体12は後述の非有効表示領域P2側から有効表示領域P1側に移動できるようになっている。
極性液体12には、例えば溶媒としての水と、溶質としての所定の電解質を含んだ水溶液が用いられている。具体的には、例えば1mmol/Lの塩化カリウム(KCl)の水溶液が極性液体12に用いられている。また、本実施形態では極性液体12は、上記以外に何も加えられていないため無色透明となっている。しかし、この極性液体12には、その密度や粘度、融点・沸点を調節するために低級アルコールやエチレングリコールなどの水溶性の液体が混入されていても良いし、また、赤や緑、青などに着色するために自己分散型顔料や水溶性染料などが混入されていても良い。
また、オイル13には、例えば側鎖高級アルコール、側鎖高級脂肪酸、アルカン炭化水素、シリコーンオイル、マッチングオイルから選択された1種または複数種からなる無極性な溶媒に、例えば顔料や染料によって着色されたオイルが用いられている。また、このオイル13は、極性液体12のスライド移動に伴って、表示用空間Kの内部を移動するようになっている。
また、オイル13は着色されているので、当該オイル13は、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。つまり、表示素子2の各画素では、後に詳述するように、オイル13が表示用空間Kの内部で有効表示領域P1に位置する面積を変調することによって表示が光吸収状態と光透過状態とを切り替え得るように構成されている。
さらに、オイル13は、例えばディスペンサー装置、またはインクジェット装置によって下部基板6上に塗布されることにより、画素領域単位に表示用空間Kの内部に封入される。
上部基板6には、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、上部基板6の非表示面側の表面には、遮光層10及び第1の電極としての共通電極9が順次形成されている。
また、下部基板7には、上部基板6と同様に、無アルカリガラス基板などの透明なガラス材またはアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂等の透明な透明シート材が用いられている。また、下部基板7の表示面側の表面には、上記画素電極8及び上記薄膜トランジスタSWが設けられており、さらには、これらの画素電極8及び薄膜トランジスタSWを覆うように、上記誘電体層14が形成されている。また、この誘電体層14の表示面側の表面には、Y方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられた第1のリブ部材11a及び第2のリブ部材11bを有するリブ11が設けられている。さらに、下部基板7では、誘電体層14及びリブ11を覆うように、撥水膜15が設けられている。なお、上記の説明以外に、薄膜トランジスタSWが誘電体層14によって覆われていない構成でもよい。
また、下部基板7の背面側(非表示面側)には、例えば白色の照明光を発光するバックライト16が一体的に組み付けられており、透過型の表示素子2が構成されている。尚、バックライト16には、冷陰極蛍光管やLEDなどの光源が用いられている。
画素電極8には、ITO等の透明電極材料からなる透明電極が用いられている。また、この画素電極8は、有効表示領域P1の下方に設置されるように、下部基板7上に設けられている。また、薄膜トランジスタSWは、非有効表示領域P2の下方に設置されるように、下部基板7上に設けられている。
共通電極9には、画素電極8と同様に、ITO等の透明電極材料からなる透明電極が用いられている。また、この共通電極9には、平面状の透明電極が用いられており、共通電極9は、表示面に設けられた全ての画素を覆うようになっている。
遮光層10には、遮光膜としてのブラックマトリクス部10sと、所定の形状を有するように構成された開口部10aとが設けられている。
また、表示素子2では、図3に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所に開口部10aが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部10sが設けられている。つまり、表示素子2では、上記表示用空間Sに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)10sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部10sに形成された開口部10aによって有効表示領域P1が設定されている。
さらに、表示素子2では、表示用空間Kにおいて、極性液体12が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されている。具体的にいえば、表示面での上下方向(Y方向)が鉛直方向に概ね平行となるように、画像表示装置1が設置された場合に、表示素子2では、その有効表示領域P1及び非有効表示領域P2もまた、鉛直方向と概ね平行になるように、設定されている。
また、表示素子2では、開口部10aの面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部10sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。尚、図3では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部10s間の境界線を点線にて示しているが、実際の遮光層10では、ブラックマトリクス部10s間の境界線は存在しない。
また、表示素子2では、上記仕切壁としてのリブ11により表示用空間Kが画素領域P単位に区切られている。すなわち、表示素子2では、各画素の表示用空間Kは、図4に例示するように、互いに対向する適当な高さの2つの第1のリブ部材11aと、互いに対向する適当な高さの2つの第2のリブ部材11bとによって区画されている。さらに、表示素子2では、第1及び第2のリブ部材11a、11bによって極性液体12が隣接する画素領域Pの表示用空間Kの内部に容易に流入するのが防がれている。すなわち、第1及び第2のリブ部材11a、11bには、例えばネガタイプの光硬化性樹脂が用いられており、第1及び第2のリブ部材11a、11bは光透過性を有している。また、これらの第1及び第2のリブ部材11a、11bでは、隣接する画素間で極性液体12の流入出が防止されるように、誘電体層14からの突出高さが決定されている。
尚、上記の説明以外に、例えば画素領域Pの四隅部に隙間が生じるように、第1及び第2のリブ部材11a、11bを互いに分離させた構成でもよい。また、隣接する画素領域Pどうしが気密に区切られるように、上記枠状に構成されたリブ11の先端部を上部基板2側に密接させてもよい。
誘電体層14は、例えば窒化シリコン、酸化ハフニウム、二酸化チタン、あるいはチタン酸バリウムを含有した透明な誘電体膜によって構成されている。また、撥水膜15には、透明な合成樹脂、好ましくは電圧印加時に極性液体12に対し親水層となる、例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子2では、下部基板7の表示用空間K側の表面側での極性液体12との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、極性液体12の移動(変形)速度の高速化を図ることができる。
上記のように構成された表示素子2の各画素では、図5(a)に例示するように、オイル13が開口部10aの下方で保持されると、バックライト16からの光がオイル13により遮光されて、黒色表示が行われる。一方、図5(b)に例示するように、オイル13がブラックマトリクス部10sの下方で保持されると、バックライト16からの光はオイル13に遮光されることなく、開口部10aを通過することにより、当該バックライト16の光による白色表示が行われる。
ここで、上記のように構成された本実施形態の画像表示装置1の表示動作について、具体的に説明する。
図1において、表示制御部3は、例えば同図の上側から下側に向かう所定の走査方向で、ゲートドライバ5からゲート配線Gに対して、薄膜トランジスタSWをオン状態とするゲート信号を順次出力させる。そして、薄膜トランジスタSWがオン状態となると、表示制御部3は、映像信号に応じたソース信号(電圧信号)を、ソースドライバ4から対応するソース配線Sに出力させる。これにより、対応する画素では、ソース配線Sからの電圧が画素電極8にかかり、キャパシタC(誘電体層14)には電荷が蓄積される。また、この蓄積された電荷は、次にゲート配線Gが選択されるまでの1フレーム分の時間、キャパシタCにて維持される。
また、表示素子2では、図5(a)に示した黒色表示が行われるときには、画素電極8と共通電極9との間の電位差が0Vとなるように、ソース信号がソースドライバ4からソース配線Sを介して画素電極8に出力される。このような電圧印加が画素電極8に行われると、その画素領域P内の極性液体12は、図5(a)に示したように、比較的撥水膜と親和性の高いオイル13が開口部10aの下方に位置するような状態となり、当該開口部10aを完全に覆った状態となる。この結果、表示素子2では、バックライト16からの光は、オイル13によって遮光されて黒色表示が行われる。
また、表示素子2では、図5(b)に示した白色表示が行われるときには、画素電極8と共通電極9との間の電位差が所定の電圧値(例えば、16V)となるように、ソース信号がソースドライバ4からソース配線Sを介して画素電極8に出力される。このような電圧印加が画素電極8に行われると、撥水膜15の表面に電荷が蓄積され、親水性が高くなるため、その画素領域P内の極性液体12は、図5(b)に示したように、開口部10a側の下方に位置する状態で保持される。この結果、表示素子2では、バックライト16からの光は、オイル13によって遮光されずに、ユーザなどの観察者側に出射されるのが許容されて、白色表示が行われる。
また、表示素子2では、画素電極8と共通電極9との間の電位差が0Vと上記所定の電圧値との間の電圧値となるように、ソース信号がソースドライバ4からソース配線Sを介して画素電極8に出力されると、その電圧値に応じた中間調の表示を行うことができる。すなわち、画素電極8に印加された電圧に応じて、オイル13は、開口部10aの下方側に移動することにより、開口部10aに対する、オイル13による遮蔽率が変化し、観察者側に出射されるバックライト16からの光の出射量も変化することで中間調の表示を行うことができる。
以上のように構成された本実施形態の表示素子2では、表示用空間Kにおいて、極性液体12が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されている。これにより、中間調の表示を行うときでも、極性液体12自体によって観察者側に出射される光出射量が表示素子2の方位角方向に対して大きく変化するのを抑えることが可能となる。この結果、本実施形態では、上記従来例と異なり、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても中間調の表示を行う際に表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子2を構成することができる。
特に、本実施形態の表示素子2では、駅構内や斎場あるいは街の一角などで広告表示に用いられるとともに、表示面が鉛直方向(重力の作用方向)に沿って設置されるカラーコルトン等の画像表示装置(電気機器)1に適用した場合において、表示品位が低下するのを極力抑制することができる。
ここで、図6及び図7を参照して、本実施形態の表示素子2での効果について具体的に説明する。
図6は、図1に示した表示素子での視野角特性を説明する図であり、図6(a)は具体的な視認箇所を説明する図であり、図6(b)は天地方向の異なる角度での視野角特性を説明する図である。図7(a)及び図7(b)は、それぞれ図6(a)に示した視認箇所における、天地方向及び左右方向での透過率の角度依存性を説明するグラフである。
本願の発明者は、本実施形態の表示素子2での上述の効果を検証するために、図6(a)の点Aにおいて、視認方向を変化させた場合での光出射量の変化について、シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、表示面が鉛直方向に沿って設置された場合において、図6(b)に示すように、極性液体12の先端が点Aのほぼ下方に位置している状態(すなわち、完全な黒色表示とさせずに、若干の中間調の表示を行わせている状態)において、視認方向を変化させた場合での光出射量として、光の透過率を求めた。さらに、このシミュレーションでは、オイル13の顔料の濃度を4wt%とし、上部基板6と下部基板7との間の寸法(セルギャップ寸法)を20μmとした。
図6(b)に矢印L1にて例示するように、点Aにおいて、天地方向の天側(重力の作用方向とは反対側)から表示素子2を視認した場合、バックライト16からの光はオイル13に遮光されずに、観察者側に出射されてその光に応じた輝度を有する表示が認められる。
また、図6(b)に矢印L2にて示すように、点Aにおいて、天地方向と直交する方向(表示面に対して垂直な方向)から表示素子2を視認した場合、バックライト16からの光はオイル13に遮光されずに、観察者側に出射されてその光に応じた輝度を有する表示が認められる。
一方、図6(b)に矢印L3にて例示するように、点Aにおいて、天地方向の地側(重力の作用方向側)から表示素子2を視認した場合、バックライト16からの光はオイル13に遮光されて、観察者側に出射されない。この結果、輝度を有する表示が認められずに、黒色表示として認識されてしまう。
さらに、点Aにおいて、天地方向と直交する方向(表示面に対して垂直な方向)から表示素子2を視認した場合(つまり、図6(b)に矢印L2にて示した場合)を0度とし、天地方向の天側及び地側をそれぞれ“+”側及び“−側“としたときに、点Aにおいて、視認方向を変化させた場合での透過率の角度依存性のシミュレーションの結果を図7(a)に示す。図7(a)の曲線60にて示すように、天地方向の天側では、視認方向を変化させたときでも、バックライト16からの光はオイル13に遮光されず、透過率は、上記0度としたときと同じ値(曲線60にて”1“にて示す)をとる。一方、曲線60にて示すように、天地方向の地側に視認方向を変化させるにつれて、バックライト16からの光はオイル13に遮光されて、透過率は、小さい値となる。
以上のように、本実施形態の表示素子2では、表示用空間Kにおいて、極性液体12及びオイル13が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されているので、天地方向では、透過率の角度依存性が存在する。
これに対して、表示面の左右方向(すなわち、図6(b)の紙面に垂直な方向)では、点Aに対する視認方向を変化させても、バックライト16からの光がオイル13によって遮光されることはない。具体的には、図7(b)に直線70にて示すシミュレーションの結果から明らかなように、表示面の左右方向に視認方向を変化させても、バックライト16からの光はオイル13に遮光されず、透過率は全て同じ値となる。すなわち、本実施形態の表示素子2では、上記左右方向においては、透過率の角度依存性が存在しない。この結果、本実施形態の表示素子2では、上記カラーコルトン等の画像表示装置(電気機器)1に適用された場合において、観察者の視認方向によって、観察者側に出射される光出射量が大きく変化するのを抑えることができ、表示品位が低下するのを極力抑制することができることが確認された。
また、本実施形態の表示素子2では、非有効表示領域P2は上部基板6に設けられたブラックマトリクス部(遮光膜)10sによって設定され、有効表示領域P1は開口部10aによって設定されているので、表示用空間Kに対し、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2を適切に、かつ、確実に設定することができる。
また、本実施形態の表示素子2では、ソース配線(データ配線)S及びゲート配線Gが下部基板7上でマトリクス状に設けられ、平面状の共通電極(透明電極)9が上部基板6に設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、複数の各画素領域Pが、ソース配線Sとゲート配線Gとの交差部単位に設けられるとともに、各画素領域Pでは、表示用空間Kが適当な高さのリブ(仕切壁)11にて区切られている。さらに、本実施形態の表示素子2では、各画素領域Pには、薄膜トランジスタ(スイッチング素子)SW、画素電極(第2の電極)8、及び誘電体層(キャパシタ)14が設けられている。これにより、本実施形態では、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子2を構成することができる。
また、本実施形態の画像表示装置(電気機器)1では、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても中間調の表示を行う際に表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子2が表示部に用いられているので、優れた表示性能を有する画像表示装置1を容易に構成することができる。
[第2の実施形態]
図8(a)及び図8(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す断面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、画素電極(第2の電極)として、反射電極を用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図8(a)及び図8(b)に示すように、本実施形態の表示素子2では、第2の電極として、反射電極17が画素領域P毎に下部基板7上に設けられている。また、本実施形態の表示素子2では、第1の実施形態のものと異なり、バックライトの設置は省略されている。
そして、本実施形態の表示素子2では、図8(a)に例示するように、オイル13が開口部10aの下方で保持されると、上部基板6側から入射された外部からの光がオイル13により遮光されて、黒色表示が行われる。一方、図8(b)に例示するように、オイル13がブラックマトリクス部10sの下方で保持されると、上記外部からの光はオイル13に遮光されることなく、開口部10aを通過し、さらに反射電極17によって外部側に反射されることにより、当該外部からの光による白色表示が行われる。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、画素電極(第2の電極)として、反射電極17が用いられているので、表示素子2の外部からの光を用いて、情報を表示することが可能となる。この結果、バックライトの設置を省略することができ、消費電力の少ないコンパクトな表示素子2を容易に構成することができる。
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、第1の電極としての信号電極と、第2の電極としての参照電極及び走査電極とを用いた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図9に示すように、本実施形態の画像表示装置1では、本実施形態の表示素子2’を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。また、本実施形態の表示素子2’は、第1の実施形態のものと同様に、上部基板6と下部基板7との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
また、表示素子2’では、複数の信号電極18が互いに所定の間隔をおいて、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子2’では、複数の参照電極19及び複数の走査電極20が、互いに交互に、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。これら複数の信号電極18と、複数の参照電極19及び複数の走査電極20とは、互いに交差するように設けられており、表示素子2’では、信号電極18と走査電極20との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
また、これら複数の信号電極18、複数の参照電極19、及び複数の走査電極20は、互いに独立して、第1の電圧としてのHigh電圧(以下、“H電圧”という。)と、第2の電圧としてのLow電圧(以下、“L電圧”という。)との間の所定の電圧範囲内の電圧が印加可能に構成されている(詳細は後述。)。
さらに、表示素子2’では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて区切られている。そして、表示素子2’では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の極性液体12’を移動させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
また、複数の信号電極18、複数の参照電極19、及び複数の走査電極20では、各々一端部側が表示面の有効表示領域の外側に引き出されて、端子部18a、19a、及び20aが形成されている。
複数の信号電極18の各端子部18aには、配線21aを介して信号ドライバ21が接続されている。信号ドライバ21は、信号電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各信号電極18に対して、情報に応じた信号電圧Vdを印加するように構成されている。
また、複数の参照電極19の各端子部19aには、配線22aを介して参照ドライバ22が接続されている。参照ドライバ22は、参照電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各参照電極19に対して、参照電圧Vrを印加するように構成されている。
また、複数の走査電極20の各端子部20aには、配線23aを介して走査ドライバ23が接続されている。走査ドライバ23は、走査電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各走査電極20に対して、走査電圧Vsを印加するように構成されている。
また、走査ドライバ23では、複数の各走査電極20に対して、上記極性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、極性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を走査電圧Vsとして印加するようになっている。また、参照ドライバ22は、走査ドライバ23の動作を参照して動作するように構成されており、参照ドライバ22は、複数の各参照電極19に対して、上記極性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、極性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を参照電圧Vrとして印加するようになっている。
そして、画像表示装置1では、走査ドライバ23が例えば図9の上側から下側の各走査電極20に対し、選択電圧を順次印加し、かつ、参照ドライバ22が走査ドライバ23の動作に同期して図9の上側から下側の各参照電極19に対し、選択電圧を順次印加することにより、ライン毎の走査動作が行われるように構成されている(詳細は後述。)。
また、信号ドライバ21、参照ドライバ22、及び走査ドライバ23には、直流電源または交流電源が含まれており、対応する信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを供給するようになっている。
また、参照ドライバ22は、参照電圧Vrの極性を所定の時間(例えば、1フレーム)毎に切り替えるように構成されている。さらに、走査ドライバ23は、参照電圧Vrの極性の切り替えに対応して、走査電圧Vsの各極性を切り替えるように構成されている。このように、参照電圧Vr及び走査電圧Vsの各極性が所定の時間毎に切り替えられるので、参照電極19及び走査電極20に対して常時同じ極性の電圧を印加するときに比べて、これらの参照電極19及び走査電極20での電荷の局在化を防ぐことができる。さらに、電荷の局在化に起因する表示不良(残像現象)や信頼性(寿命低下)の悪影響を防止することができる。
ここで、図10〜図12も参照して、表示素子2’の画素構造について具体的に説明する。
図10は、表示面側から見た場合での図9に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図11は、非表示面側から見た場合での図9に示した下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図12(a)及び図12(b)は、それぞれ黒色表示時及び白色表示時における、図9に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。なお、図10及び図11では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図9の左上端部に配設された9個の画素を図示している(後掲の図14においても、同様。)。
図10〜図12において、表示素子2’は、第1の実施形態のものと同様に、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板6と、上部基板6の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板7とを備えている。また、表示素子2’では、上部基板6及び下部基板7の間に所定の表示用空間Kが形成されている。また、この表示用空間Kの内部には、極性液体12’及びオイル13’が当該表示用空間Kの内部で上記Y方向(図10の上下左右方向)に移動可能に封入されており、極性液体12’は有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動できるようになっている。
また、本実施形態の表示素子2’では、第1の実施形態と異なり、極性液体12’として、例えば自己分散型顔料によって黒色に着色されたものが使用され、オイル13’として、無色透明なオイルが用いられている。つまり、本実施形態の表示素子2’では、極性液体12’が、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。
また、本実施形態の表示素子2’の各画素では、後に詳述するように、極性液体12’が表示用空間Kの内部を参照電極19側(有効表示領域P1側)または走査電極20側(非有効表示領域P2側)にスライド移動することによって表示色が黒色または白色に変更されるよう構成されている。
また、上部基板6の非表示面側の表面には、遮光層10、第1の電極としての信号電極18、及び撥水膜24が順次形成されている。
また、下部基板7の表示面側の表面には、第2の電極としての上記参照電極19及び上記走査電極20が設けられており、さらに、これらの参照電極19及び走査電極20を覆うように、上記誘電体層14が形成されている。また、この誘電体層14の表示面側の表面には、第1の実施形態のものと同様に、Y方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられた第1のリブ部材11a及び第2のリブ部材11bを有するリブ11が設けられている。さらに、下部基板7では、誘電体層14及びリブ11を覆うように、撥水膜15が設けられている。
遮光層10には、第1の実施形態のものと同様に、遮光膜としてのブラックマトリクス部10sと、所定の形状を有するように構成された開口部10aとが設けられている。
また、表示素子2’では、図10に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所に開口部10aが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部10sが設けられている。つまり、表示素子2’では、第1の実施形態のものと同様に、上記表示用空間Kに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)10sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部10sに形成された開口部10aによって有効表示領域P1が設定されている。
さらに、表示素子2’では、表示用空間Kにおいて、極性液体12’が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されている。具体的にいえば、表示面での上下方向(Y方向)が鉛直方向に概ね平行となるように、画像表示装置1が設置された場合に、表示素子2’では、その有効表示領域P1及び非有効表示領域P2もまた、鉛直方向と概ね平行になるように、設定されている。
また、表示素子2’では、第1の実施形態のものと同様に、開口部10aの面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部10sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。尚、図10では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部10s間の境界線を点線にて示しているが、実際の遮光層10では、ブラックマトリクス部10s間の境界線は存在しない。
また、表示素子2’では、第1の実施形態のものと同様に、上記仕切壁としてのリブ11により表示用空間Kが画素領域P単位に区切られている。すなわち、表示素子2’では、各画素の表示用空間Kは、図11に例示するように、互いに対向する適当な高さの2つの第1のリブ部材11aと、互いに対向する適当な高さの2つの第2のリブ部材11bとによって区画されている。さらに、表示素子2’では、第1の実施形態のものと同様に、第1及び第2のリブ部材11a、11bによって極性液体12’が隣接する画素領域Pの表示用空間Kの内部に容易に流入するのが防がれている。すなわち、第1及び第2のリブ部材11a、11bには、例えばネガタイプの光硬化性樹脂が用いられており、第1及び第2のリブ部材11a、11bは光透過性を有している。また、これらの第1及び第2のリブ部材11a、11bでは、隣接する画素間で極性液体12’の流入出が防止されるように、誘電体層14からの突出高さが決定されている。
参照電極19及び走査電極20には、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。これらの各参照電極19及び各走査電極20は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、下部基板7上に帯状に形成されている。
信号電極18には、Y方向に平行となるように配置された線状配線が用いられている。また、この信号電極18には、ITO等の透明電極材料が用いられている。さらに、信号電極18は、遮光層10上で、各画素領域PのX方向でのほぼ中心部を通るように設置されており、撥水膜24を介して極性液体12’に電気的に接触するように構成されている。これにより、表示素子2’では、表示動作時での極性液体12’の応答性の向上が図られている。
また、撥水膜24には、透明な合成樹脂、好ましくは電圧印加時に極性液体12’に対し親水層となる、例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子2’では、上部基板6の表示用空間K側の表面側での極性液体12’との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、極性液体12’の移動(変形)速度の高速化を図ることができる。
上記のように構成された表示素子2’の各画素では、図12(a)に例示するように、極性液体12’がブラックマトリクス部10sと参照電極19との間で保持されると、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されることなく、開口部10aを通過することにより、当該バックライト16の光による白色表示が行われる。一方、図12(b)に例示するように、極性液体12’が開口部10aと走査電極20との間で保持されると、バックライト16からの光は極性液体12’により遮光されて、黒色表示が行われる。
ここで、上記のように構成された本実施形態の画像表示装置1の表示動作について、図13も参照して具体的に説明する。
図13は、図9に示した画像表示装置の動作例を説明する図である。
図13において、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、例えば同図の上側から下側に向かう所定の走査方向で、参照電極19及び走査電極20に対して、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記選択電圧を順次印加する。具体的には、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、参照電極19及び走査電極20に対して、選択電圧としてH電圧(第1の電圧)及びL電圧(第2の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ21は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極18に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。これにより、選択ラインの各画素では、極性液体12’が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動されて、表示面側の表示色が変更される。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極19及び走査電極20に対しては、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記非選択電圧を印加する。具体的には、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、残り全ての参照電極19及び走査電極20に対して、非選択電圧として、例えば上記H電圧とL電圧の中間の電圧である中間電圧(Middle電圧、以下、“M電圧”という。)を印加する。これにより、非選択ラインの各画素では、極性液体12’が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側で不必要な変動を生じることなく静止され、表示面側の表示色が変更されない。
上記のような表示動作を行う場合、参照電極19、走査電極20、及び信号電極18への印加電圧の組み合わせは、表1に示されるものとなる。さらに、極性液体12’の挙動及び表示面側の表示色は、表1に示すように、印加電圧に応じたものとなる。なお、表1では、H電圧、L電圧、及びM電圧をそれぞれ“H”、“L”、及び“M”にて略記している(後掲の表2〜表4でも同様。)。また、H電圧、L電圧、及びM電圧の具体的な値は、それぞれ例えば+16V、0V、及び+8Vである。
Figure 2011111263
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極18に対して例えばH電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、共にH電圧が印加されているので、これらの参照電極19と信号電極18との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極18と走査電極20との間では、走査電極20に対して、L電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。このため、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている走査電極20側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図12(b)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、オイル13’を参照電極19側に移動させて、バックライト16からの照明光が開口部10aに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体12’による黒色表示の状態となる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極18に対してL電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、電位差が生じ、信号電極18と走査電極20との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている参照電極19側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図12(a)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、バックライト16からの照明光が開口部10aに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、上記照明光による白色表示の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極18に対して例えばH電圧が印加されているときでは、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示または白色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極18に対してL電圧が印加されているときでも、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、非選択ラインにおいては、信号電極18がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体12’は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極18への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体12’を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、画像表示装置1では、表1に示した印加電圧の組み合わせによって、選択ライン上の各画素での表示色は、例えば図13に示すように、各画素に対応する信号電極18への印加電圧に応じて、上記照明光による白色または極性液体12’による黒色となる。また、参照ドライバ22及び走査ドライバ23が、それぞれ参照電極19及び走査電極20の選択ラインを、例えば図13の上から下へ走査動作を行う場合、画像表示装置1の表示部での各画素の表示色もまた同図13の上から下に向かって順次変化することとなる。したがって、参照ドライバ22及び走査ドライバ23による選択ラインの走査動作を高速で行うことにより、画像表示装置1において、表示部での各画素の表示色も高速に変化させることが可能となる。さらに、選択ラインの走査動作に同期させて信号電極18への信号電圧Vdの印加を行うことにより、画像表示装置1では、外部からの画像入力信号に基づいて、動画像を含んだ種々の情報を表示することが可能となる。
また、参照電極19、走査電極20、及び信号電極18への印加電圧の組み合わせは、表1に限定されるものではなく、表2に示すものでもよい。
Figure 2011111263
すなわち、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、例えば同図の上側から下側に向かう所定の走査方向で、参照電極19及び走査電極20に対して、選択電圧としてL電圧(第2の電圧)及びH電圧(第1の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ21は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極18に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極19及び走査電極20に対しては、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、非選択電圧としてM電圧を印加する。
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極18に対して例えばL電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、共にL電圧が印加されているので、これらの参照電極19と信号電極18との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極18と走査電極20との間では、走査電極20に対して、H電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている走査電極20側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図12(b)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、オイル13’を参照電極19側に移動させて、バックライト16からの照明光が開口部10aに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体12’による黒色表示の状態となる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極18に対してH電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、電位差が生じ、信号電極18と走査電極20との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている参照電極19側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図12(a)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、バックライト16からの照明光が開口部10aに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、上記照明光による白色表示の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極18に対して例えばL電圧が印加されているときでは、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示または白色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極18に対してH電圧が印加されているときでも、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、表2に示した場合でも、表1に示した場合と同様に、非選択ラインにおいては、信号電極18がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体12’は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極18への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体12’を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、本実施形態の画像表示装置1では、表1及び表2に示した印加電圧の組み合わせ以外に、信号電極18への印加電圧を、H電圧またはL電圧の2値だけではなく、これらのH電圧とL電圧との間の電圧を、表示面側に表示される情報に応じて変化させることもできる。すなわち、画像表示装置1では、信号電圧Vdを制御することにより、階調表示が可能となる。これにより、表示性能に優れた表示素子2’を構成することができる。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。
すなわち、以上のように構成された本実施形態の表示素子2’では、表示用空間Kにおいて、極性液体12’が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されている。これにより、中間調の表示を行うときでも、極性液体12’自体によってユーザなどの観察者側に出射される光出射量が表示素子の方位角方向に対して大きく変化するのを抑えることが可能となる。この結果、本実施形態では従来例と異なり、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても中間調の表示を行う際に表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子2’を構成することができる。
特に、本実施形態の表示素子2’では、駅構内や斎場あるいは街の一角などで広告表示に用いられるとともに、表示面が鉛直方向(重力の作用方向)に沿って設置されるカラーコルトン等の画像表示装置(電気機器)1に適用した場合において、表示品位が低下するのを極力抑制することができる。
ここで、図14及び図15を参照して、本実施形態の表示素子2’での効果について具体的に説明する。
図14は、図9に示した表示素子での視野角特性を説明する図であり、図14(a)は具体的な視認箇所を説明する図であり、図14(b)は天地方向の異なる角度での視野角特性を説明する図である。図15(a)及び図15(b)は、それぞれ図14(a)に示した視認箇所における、天地方向及び左右方向での透過率の角度依存性を説明するグラフである。
本願の発明者は、本実施形態の表示素子2’での上述の効果を検証するために、図14(a)の点A’において、視認方向を変化させた場合での光出射量の変化について、シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、表示面が鉛直方向に沿って設置された場合において、図14(b)に示すように、極性液体12’の先端が点A’のほぼ下方に位置している状態(すなわち、完全な黒色表示とさせずに、若干の中間調の表示を行わせている状態)において、視認方向を変化させた場合での光出射量として、光の透過率を求めた。さらに、このシミュレーションでは、極性液体12’の顔料の濃度を4wt%とし、上部基板6と下部基板7との間の寸法(セルギャップ寸法)を50μmとした。
図14(b)に矢印L1’にて例示するように、点A’において、天地方向の地側(重力の作用方向)から表示素子2’を視認した場合、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されずに、観察者側に出射されてその光に応じた輝度を有する表示が認められる。
また、図14(b)に矢印L2’にて示すように、点A’において、天地方向と直交する方向(表示面に対して垂直な方向)から表示素子2’を視認した場合、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されずに、観察者側に出射されてその光に応じた輝度を有する表示が認められる。
一方、図14(b)に矢印L3’にて例示するように、点A’において、天地方向の天側(重力の作用方向とは反対側)から表示素子2’を視認した場合、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されて、観察者側に出射されない。この結果、輝度を有する表示が認められずに、黒色表示として認識されてしまう。
さらに、点A’において、天地方向と直交する方向(表示面に対して垂直な方向)から表示素子2’を視認した場合(つまり、図14(b)に矢印L2’にて示した場合)を0度とし、天地方向の天側及び地側をそれぞれ“+”側及び“−側“としたときに、点A’において、視認方向を変化させた場合での透過率の角度依存性のシミュレーションの結果を図15(a)に示す。図15(a)の曲線80にて示すように、天地方向の地側では、視認方向を変化させたときでも、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されず、透過率は、上記0度としたときと同じ値(曲線80にて“1”にて示す)をとる。一方、曲線80にて示すように、天地方向の天側に視認方向を変化させるにつれて、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されて、透過率は小さい値となる。
以上のように、本実施形態の表示素子2’では、表示用空間Kにおいて、極性液体12’が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2が設定されているので、天地方向では、透過率の角度依存性が存在する。
これに対して、表示面の左右方向(すなわち、図14(b)の紙面に垂直な方向)では、点A’に対する視認方向を変化させても、バックライト16からの光が極性液体12’によって遮光されることはない。具体的には、図15(b)に直線90にて示すシミュレーションの結果から明らかなように、表示面の左右方向に視認方向を変化させても、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されず、透過率は全て同じ値となる。すなわち、本実施形態の表示素子2’では、上記左右方向においては、透過率の角度依存性が存在しない。この結果、本実施形態の表示素子2’では、上記カラーコルトン等の画像表示装置(電気機器)1に適用された場合において、観察者の視認方向によって、観察者側に出射される光出射量が大きく変化するのを抑えることができ、表示品位が低下するのを極力抑制することができることが確認された。
また、本実施形態の表示素子2’では、第1の電極として、表示用空間Kの内部に設置された信号電極18が用いられ、第2の電極として、有効表示領域P1及び非有効表示領域P2の一方側及び他方側にそれぞれ設置されるように、下部基板7に設けられた参照電極19及び走査電極20が用いられている。これにより、本実施形態では、第1の実施形態のものと異なり、スイッチング素子を設けることなく、表示面側の表示色を変更することができ、構造簡単な表示素子2’を構成することができる。しかも、本実施形態の表示素子2’では、3つの電極を設けて、極性液体12’をスライド移動させているので、極性液体12’の形状を変化させるものに比べて、表示面側の表示色の切換速度の高速化及び省力化を容易に図ることができる。
また、本実施形態の表示素子2’では、信号ドライバ(信号電圧印加部)21、参照ドライバ(参照電圧印加部)22、及び走査ドライバ(走査電圧印加部)23が信号電極18、参照電極19、及び走査電極20に対して、信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを印加するようになっている。これにより、本実施形態では、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子2’を容易に構成することができるとともに、各画素領域の表示色を適切に変更することができる。
[第4の実施形態]
図16は、本発明の第4の実施形態にかかる表示素子における、表示面側から見た場合での上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図17(a)及び図17(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図16に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。図において、本実施形態と上記第3の実施形態との主な相違点は、透明な開口部を有する遮光層に代えて、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部を有するカラーフィルタ層を用いた点である。なお、上記第3の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
すなわち、図16に示すように、本実施形態の表示素子2’では、カラーフィルタ層25が上部基板6の非表示面側の表面に形成されている。
カラーフィルタ(Color Filter)層25には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部25r、25g、及び25bと、遮光膜としてのブラックマトリクス部25sとが設けられており、RGBの各色の画素を構成するようになっている。つまり、カラーフィルタ層25では、図16に例示するように、RGBのカラーフィルタ部25r、25g、25bがX方向に沿って順次設けられるとともに、各々3つのカラーフィルタ部25r、25g、25bがY方向に沿って設けられており、X方向及びY方向にそれぞれ3個及び3個、合計9個の画素が配設されている。
また、表示素子2’では、図16に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所にRGBのいずれかのカラーフィルタ部25r、25g、及び25bが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部25sが設けられている。つまり、表示素子2’では、上記表示用空間Kに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)25sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部25sに形成された開口部(つまり、いずれかのカラーフィルタ部25r、25g、及び25b)によって有効表示領域P1が設定されている。
また、表示素子2’では、カラーフィルタ部25r、25g、25bの各面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部25sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。尚、図16では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部25s間の境界線を点線にて示しているが、実際のカラーフィルタ層25では、ブラックマトリクス部25s間の境界線は存在しない。
上記のように構成された表示素子2’の各画素では、図17(a)に例示するように、極性液体12’がブラックマトリクス部25sと参照電極19との間で保持されると、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されることなく、バックライト16からの光は極性液体12’に遮光されることなく、カラーフィルタ部25rを通過することにより、赤色表示(CF着色表示)が行われる。一方、図17(b)に例示するように、極性液体12’がカラーフィルタ部25rと走査電極20との間で保持されると、バックライト16からの光は極性液体12’により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。
ここで、上記のように構成された本実施形態の画像表示装置1の表示動作について、図18も参照して具体的に説明する。
図18は、図16に示した表示素子を用いた画像表示装置の動作例を説明する図である。
図18において、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、例えば同図の上側から下側に向かう所定の走査方向で、参照電極19及び走査電極20に対して、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記選択電圧を順次印加する。具体的には、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、参照電極19及び走査電極20に対して、選択電圧としてH電圧(第1の電圧)及びL電圧(第2の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ21は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極18に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。これにより、選択ラインの各画素では、極性液体12’が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動されて、表示面側の表示色が変更される。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極19及び走査電極20に対しては、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記非選択電圧を印加する。具体的には、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、残り全ての参照電極19及び走査電極20に対して、非選択電圧として、例えば上記H電圧とL電圧の中間の電圧である中間電圧(Middle電圧、以下、“M電圧”という。)を印加する。これにより、非選択ラインの各画素では、極性液体12’が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側で不必要な変動を生じることなく静止され、表示面側の表示色が変更されない。
上記のような表示動作を行う場合、参照電極19、走査電極20、及び信号電極18への印加電圧の組み合わせは、表3に示されるものとなる。さらに、極性液体12’の挙動及び表示面側の表示色は、表3に示すように、印加電圧に応じたものとなる。
Figure 2011111263
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極18に対して例えばH電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、共にH電圧が印加されているので、これらの参照電極19と信号電極18との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極18と走査電極20との間では、走査電極20に対して、L電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。このため、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている走査電極20側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図17(b)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、オイル13を参照電極19側に移動させて、バックライト16からの照明光がカラーフィルタ部25rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体12’による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極18に対してL電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、電位差が生じ、信号電極18と走査電極20との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている参照電極19側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図17(a)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、バックライト16からの照明光がカラーフィルタ部25rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部25rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、画像表示装置1では、隣接するRGBの3つの全画素において、それらの極性液体12’が非有効表示領域P2側に移動して、CF着色表示が行われたときに、当該RGBの画素からの赤色光、緑色光、及び青色光が白色光に混色して、白色表示が行われる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極18に対して例えばH電圧が印加されているときでは、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極18に対してL電圧が印加されているときでも、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、非選択ラインにおいては、信号電極18がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体12’は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極18への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体12’を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、画像表示装置1では、表1に示した印加電圧の組み合わせによって、選択ライン上の各画素での表示色は、例えば図18に示すように、各画素に対応する信号電極18への印加電圧に応じて、カラーフィルタ部25r、25g、25bによるCF着色(赤色、緑色、あるいは青色)または極性液体12’による非CF着色(黒色)となる。また、参照ドライバ22及び走査ドライバ23が、それぞれ参照電極19及び走査電極20の選択ラインを、例えば図18の上から下へ走査動作を行う場合、画像表示装置1の表示部での各画素の表示色もまた同図18の上から下に向かって順次変化することとなる。したがって、参照ドライバ22及び走査ドライバ23による選択ラインの走査動作を高速で行うことにより、画像表示装置1において、表示部での各画素の表示色も高速に変化させることが可能となる。さらに、選択ラインの走査動作に同期させて信号電極18への信号電圧Vdの印加を行うことにより、画像表示装置1では、外部からの画像入力信号に基づいて、動画像を含んだ種々の情報を表示することが可能となる。
また、参照電極19、走査電極20、及び信号電極18への印加電圧の組み合わせは、表3に限定されるものではなく、表4に示すものでもよい。
Figure 2011111263
すなわち、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、例えば同図の上側から下側に向かう所定の走査方向で、参照電極19及び走査電極20に対して、選択電圧としてL電圧(第2の電圧)及びH電圧(第1の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ21は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極18に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極19及び走査電極20に対しては、参照ドライバ22及び走査ドライバ23は、非選択電圧としてM電圧を印加する。
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極18に対して例えばL電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、共にL電圧が印加されているので、これらの参照電極19と信号電極18との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極18と走査電極20との間では、走査電極20に対して、H電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている走査電極20側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図17(b)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、オイル13を参照電極19側に移動させて、バックライト16からの照明光がカラーフィルタ部25rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体12’による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極18に対してH電圧が印加されているときでは、参照電極19と信号電極18との間では、電位差が生じ、信号電極18と走査電極20との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体12’は、信号電極18に対して、電位差が生じている参照電極19側に表示用空間Kの内部を移動する。この結果、極性液体12’は、図17(a)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、バックライト16からの照明光がカラーフィルタ部25rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部25rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、画像表示装置1では、隣接するRGBの3つの全画素において、それらの極性液体12’が非有効表示領域P2側に移動して、CF着色表示が行われたときに、当該RGBの画素からの赤色光、緑色光、及び青色光が白色光に混色して、白色表示が行われる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極18に対して例えばL電圧が印加されているときでは、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極18に対してH電圧が印加されているときでも、極性液体12’は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極19及び走査電極20の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極19と信号電極18との間の電位差及び走査電極20と信号電極18との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、表4に示した場合でも、表3に示した場合と同様に、非選択ラインにおいては、信号電極18がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体12’は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極18への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体12’を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、本実施形態の画像表示装置1では、表3及び表4に示した印加電圧の組み合わせ以外に、信号電極18への印加電圧を、H電圧またはL電圧の2値だけではなく、これらのH電圧とL電圧との間の電圧を、表示面側に表示される情報に応じて変化させることもできる。すなわち、画像表示装置1では、信号電圧Vdを制御することにより、階調表示が可能となる。これにより、表示性能に優れた表示素子2’を構成することができる。
以上の構成により、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。すなわち、本実施形態では、上記従来例と異なり、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても中間調の表示を行う際に、角度によって色味の変化が発生することを抑制することができるので、表示品位が低下するのを避けることができる。また、本実施形態では、カラーフィルタ層25が設けられているので、複数の画素領域Pが表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられることとなる。この結果、本実施形態では、複数の各画素において対応する極性液体12が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記の説明では、表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電気機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳等のPDAなどの携帯情報端末、パソコンやテレビなどに付随する表示装置、あるいは電子ペーパーその他、各種表示部を備えた電気機器に好適に用いることができる。
また、上記の説明では、極性液体への電界印加に応じて、当該極性液体を移動させるエレクトロウェッティング方式の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子は、これに限定されるものではなく、外部電界を利用して、表示用空間の内部で極性液体を動作させることにより、表示面側の表示色を変更可能な電界誘導型の表示素子であれば何等限定されるものではなく、電気浸透方式、電気泳動方式、誘電泳動方式などの他の方式の電界誘導型表示素子に適用することができる。
但し、上記各実施形態のように、エレクトロウェッティング方式の表示素子を構成する場合の方が、極性液体を低い駆動電圧で高速に移動させることが可能となる。また、エレクトロウェッティング方式の表示素子では、極性液体の移動に応じて表示色が変更されており、液晶層などの複屈折材料を用いた液晶表示装置等と異なり、情報表示に使用される、バックライトからの光や外光の光利用効率に優れた高輝度な表示素子を容易に構成できる点でも好ましい。
また、上記の説明では、有効表示領域及び非有効表示領域が鉛直方向と概ね平行になるように設定された場合について説明したが、本発明は、表示用空間において、極性液体が天地方向に沿って移動するように、有効表示領域及び非有効表示領域が設定されているものであれば何等限定されない。
但し、上記の各実施形態のように、有効表示領域及び非有効表示領域が鉛直方向と概ね平行になるように設定されている場合の方が、優れた表示品位を有する表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
また、上記の説明では、塩化カリウムの水溶液を極性液体に用いた場合について説明したが、本発明の極性液体はこれに限定されるものではない。具体的にいえば、極性液体には、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ金属水酸化物、酸化亜鉛、塩化ナトリウム、リチウム塩、リン酸、アルカリ金属炭酸塩、酸素イオン伝導性を有するセラミックスなどの電解質を含んだものを使用することができる。また、溶媒には、水以外に、アルコール、アセトン、ホルムアミド、エチレングリコールなどの有機溶媒を使用することもできる。さらに、本発明の極性液体には、ピリジン系、脂環族アミン系、または脂肪族アミン系などの陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等のフッ素系などの陰イオンとを含んだイオン液体(常温溶融塩)を使用することもできる。
また、本発明の極性液体には、導電性を有する導電性液体と、所定以上の比誘電率、好ましくは15以上の比誘電率を有する高誘電性を有する液体が含まれている。
但し、上記の各実施形態のように、所定の電解質を溶かした水溶液を極性液体に使用する場合の方が、取扱性に優れるとともに、製造が簡単な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
また、上記の説明では、無極性のオイルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、極性液体と混じり合わない絶縁性流体であればよく、例えばオイルに代えて、空気を使用してもよい。また、オイルとして、シリコーンオイル、脂肪系炭化水素などを使用することができる。また、本発明の絶縁性流体には、所定以下の比誘電率、好ましくは5以下の比誘電率を有する流体が含まれている。
但し、上記の各実施形態のように、極性液体と相溶性がない無極性のオイルを用いた場合の方が、空気と極性液体とを用いる場合よりは、無極性のオイル中で極性液体の液滴がより移動し易くなって、当該極性液体を高速移動させることが可能となり、表示色を高速に切り換えられる点で好ましい。
また、上記第1及び第2の各実施形態の説明では、スイッチング素子として薄膜トランジスタを用いた場合について説明したが、本発明のスイッチング素子はこれに限定されるものではなく、例えばMIM素子等の他のスイッチング素子を使用することもできる。
また、上記第1及び第2の各実施形態の説明では、キャパシタとして、画素電極を覆うように、下部基板(第1及び第2の基板の一方側)に設けられた誘電体層を用いた場合について説明したが、本発明のキャパシタは画素電極(第2の電極)に供給された電荷を保持することができるものであれば何等限定されない。具体的には、コンデンサ(ディスクリート部品)をキャパシタとして設置したり、第1及び第2の基板の一方側の内部に画素電極を埋設した場合には、当該基板をキャパシタとして使用したりすることもできる。また、下部基板の画素電極上に撥水膜をコートした基板を画素ごとにキャパシタが形成された状態とみなして使用することもできる。
但し、上記の各実施形態のように、誘電体層を用いる場合の方が、ディスクリート部品からなるキャパシタの設置を省略することができ、構造簡単な表示素子を容易に構成することができる。
また、上記の説明では、黒色に着色された極性液体、もしくはオイルを用いた場合について説明したが、本発明の極性液体、もしくはオイルはこれに限定されるものではなく、例えば複数の画素領域が、表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられるように、RGB、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のCMY、またはRGBYCなどに着色された複数色の極性液体、もしくはオイルを用いることもできる。このように着色された極性液体、もしくはオイルを用いた場合では、第4の実施形態において、そのカラーフィルタ層の設置を省略することができる。
また、上記第1、第3、及び第4の各実施形態の説明では、バックライトを備えた透過型の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、拡散反射板などの光反射部を有する反射型や、前記光反射部とバックライトとを併用した半透過型の表示素子にも適用することができる。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、信号電極を上部基板(第1の基板)側に設けるとともに、参照電極及び走査電極を下部基板(第2の基板)側に設けた場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、極性液体と接触するように、表示用空間の内部に信号電極を設置し、かつ、極性液体及び互いに電気的に絶縁された状態で、参照電極及び走査電極を第1及び第2の基板の一方側に設けるものであればよい。具体的にいえば、例えば信号電極を第2の基板側やリブ上に設けるとともに、参照電極及び走査電極を第1の基板側に設けてもよい。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、参照電極及び走査電極を有効表示領域側及び非有効表示領域側にそれぞれ設置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、参照電極及び走査電極を非有効表示領域側及び有効表示領域側にそれぞれ設置してもよい。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、参照電極及び走査電極を下部基板(第2の基板)の表示面側の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁材料からなる上記第2の基板の内部に埋設した参照電極及び走査電極を用いることもできる。このように構成した場合には、第2の基板を誘電体層として兼用させることができ、当該誘電体層の設置を省略することができる。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、透明な電極材料を用いて参照電極及び走査電極を構成した場合について説明したが、本発明は参照電極及び走査電極のうち、画素の有効表示領域に対向するように設置される一方の電極だけを透明な電極材料によって構成すればよく、有効表示領域に対向されない他方の電極には、アルミニウム、銀、クロム、その他の金属などの不透明な電極材料を使用することができる。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、帯状の参照電極及び走査電極を用いた場合について説明したが、本発明の参照電極及び走査電極の各形状はこれに何等限定されない。例えば透過型に比べて、情報表示に用いられる光の利用効率が低下する反射型の表示素子では、線状や網状などの光ロスが生じ難い形状としてもよい。
また、上記第3及び第4の各実施形態の説明では、信号電極に線状配線を用いた場合について説明したが、本発明の信号電極はこれに限定されるものではなく、網状配線などの他の形状に形成された配線も使用することができる。
また、上記第4の実施形態の説明では、カラーフィルタ層を上部基板(第1の基板)の非表示面側の表面に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1の基板の表示面側の表面や下部基板(第2の基板)側にカラーフィルタ層を設置することもできる。このように、カラーフィルタ層を用いる場合の方が、複数色の極性液体を用意する場合に比べて、製造簡単な表示素子を容易に構成できる点で好ましい。また、このカラーフィルタ層に含まれたカラーフィルタ部(開口部)及びブラックマトリクス部(遮光膜)により、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域をそれぞれ適切に、かつ、確実に設定することができる点でも好ましい。
本発明は、観察者がどの方位角方向から表示を観視する場合においても所望の中間調表示を行うことができるようにし、表示品位が低下するのを抑制することができる表示素子、及びこれを用いた電気機器に対して有用である。
1 画像表示装置(電気機器)
2、2’ 表示素子
6 上部基板(第1の基板)
7 下部基板(第2の基板)
8 画素電極(第2の電極)
9 共通電極(第1の電極)
10 遮光層
10a 開口部
10s ブラックマトリクス部(遮光膜)
11 リブ(仕切壁)
11a 第1のリブ部材
11b 第2のリブ部材
12、12’ 極性液体
13、13’ オイル(絶縁性流体)
14 誘電体層(キャパシタ)
17 反射電極(第2の電極、画素電極)
18 信号電極(第1の電極)
19 参照電極(第2の電極)
20 走査電極(第2の電極)
21 信号ドライバ(信号電圧印加部)
22 参照ドライバ(参照電圧印加部)
23 走査ドライバ(走査電圧印加部)
25 カラーフィルタ層
25r、25g、25b カラーフィルタ部(開口部)
25s ブラックマトリクス部(遮光膜)
S ソース配線(データ配線)
G ゲート配線
SW 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
K 表示用空間
P 画素領域
P1 有効表示領域
P2 非有効表示領域

Claims (14)

  1. 表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で少なくとも前記有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体とを具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
    前記極性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置された第1の電極、及び
    前記極性液体及び前記第1の電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた第2の電極を備え、
    前記表示用空間では、前記極性液体が天地方向に沿って移動するように、前記有効表示領域及び前記非有効表示領域が設定されている、
    ことを特徴とする表示素子。
  2. 前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の他方側に設けられた遮光膜によって設定され、
    前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されている請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記有効表示領域及び前記非有効表示領域は、鉛直方向と概ね平行になるように、設定されている請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記第1及び第2の基板の一方側には、データ配線及びゲート配線がマトリクス状に設けられ、
    前記第1及び第2の基板の他方側には、前記第1の電極としての平面状の透明電極が設けられ、
    複数の各画素領域が、前記データ配線と前記ゲート配線との交差部単位に設けられ、
    前記各画素領域には、前記データ配線及び前記ゲート配線に接続されたスイッチング素子、前記スイッチング素子に接続された前記第2の電極としての画素電極、及び前記画素電極に供給された電荷を保持するキャパシタが設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記画素電極として、反射電極が用いられている請求項4に記載の表示素子。
  6. 前記キャパシタとして、前記画素電極を覆うように、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた誘電体層が用いられている請求項4または5に記載の表示素子。
  7. 前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項4〜6のいずれか1項に記載の表示素子。
  8. 前記第1の電極として、前記表示用空間の内部に設置された信号電極が用いられ、
    前記第2の電極として、前記有効表示領域及び前記非有効表示領域の一方側に設置されるように、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた参照電極、及び
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記参照電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた走査電極が用いられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 複数の前記信号電極が、所定の配列方向に沿って設けられ、
    複数の前記参照電極及び複数の前記走査電極が、互いに交互に、かつ、前記複数の信号電極と交差するように設けられ、
    前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じて、所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
    前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部と、
    前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部とを備えている請求項8に記載の表示素子。
  10. 複数の各画素領域が、前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられている請求項9に記載の表示素子。
  11. 前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されている請求項8〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
  12. 前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項8〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
  13. 前記表示用空間の内部には、前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体が当該表示用空間の内部を移動可能に封入されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示素子。
  14. 文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
    前記表示部に、請求項1〜13のいずれか1項に記載の表示素子を用いたことを特徴とする電気機器。
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