JPWO2011096092A1 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼制御装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、気筒内のガスを加熱するグロープラグ23を有する内燃機関に適用される燃焼制御装置であって、前記気筒内で往復動するピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの温度である圧縮端温度Ttを推定する圧縮端温度推定手段と、前記グロープラグが作動されているときに前記圧縮端温度推定手段によって推定される圧縮端温度Ttが所定の圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、前記圧縮端温度Ttを前記所定の圧縮端参照温度Ttref以上にする圧縮端温度上昇運転を前記内燃機関に行わせる圧縮端温度調整手段と、を備えた内燃機関の燃焼制御装置を提供する。

Description

本発明は、気筒内のガスを加熱するグロープラグを有する内燃機関(ディーゼル機関)に適用される燃焼制御装置に関する。
従来から、内燃機関の温度が低い状態で内燃機関が始動される冷間始動時において、内燃機関の気筒内の燃料の着火を促進することを目的として、電圧を印加されることによって発熱する抵抗発熱部を有するグロープラグを備えた内燃機関が提案されている。より具体的に述べると、グロープラグは、一般に、その抵抗発熱部が内燃機関の気筒内に突出するように内燃機関に設けられる。そして、例えば、冷間始動時に、グロープラグに電圧が印加されて抵抗発熱部が発熱し、その抵抗発熱部から放出される熱によって気筒内のガスの温度が上昇せしめられる。これにより、冷間始動時において、内燃機関の気筒内の燃料の着火が促進されるようになっている。
一方、内燃機関の運転中、気筒内は高温でかつ高圧となり、グロープラグの抵抗発熱部はこの気筒内に突出している。したがって、グロープラグが長期間に亘って使用されると、その抵抗発熱部が焼損する等の障害が生じる場合がある(以下、このような障害が生じることを「グロープラグが劣化する」とも称呼する。)。グロープラグが劣化した場合、例えば、抵抗発熱部の通電可能断面積が減少するので、その抵抗値が増大する。したがって、この場合、所定の電圧が抵抗発熱部に印加されたとしても、抵抗発熱部を通過する電流の大きさが減少することから、抵抗発熱部において生じる発熱量が減少する。このため、グロープラグから気筒内のガスに単位時間当たりに与えられる熱量も減少し、気筒内のガスの温度が十分には上昇されない。その結果、グロープラグが劣化した場合、グロープラグが正常である場合に比べて、燃料が十分に着火しない可能性がある。
そこで、内燃機関(特に、ディーゼル機関)に適用される従来の燃焼制御装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、グロープラグが劣化したとき、気筒内に燃料を噴射する時期(以下、「燃料噴射時期」と称呼する。)を、グロープラグが正常であるときの燃料噴射時期よりも進角された時期に変更する(即ち、燃料噴射時期を早める)ようになっている。ここで、気筒内に噴射された燃料は、気筒内のガスによって加熱されて気化した後、気筒内のガスと混合されながら、分解および低温酸化反応等を含む自着火前反応を行う。この自着火前反応により、燃料は、燃料自身の温度を更に上昇させる。そして、燃料の温度が自着火可能温度に到達すると、燃料は着火する。即ち、燃料の着火は、「気筒内のガスの温度」および「燃料が自着火前反応を行うことができる期間の長さ」の影響を受ける。
上記従来装置は、グロープラグが劣化した場合、燃料噴射時期を早めることにより、「燃料が自着火前反応を行うことができる期間の長さ」を増大させる。これにより、グロープラグが劣化して気筒内のガスの温度が十分に上昇されない場合であっても、燃料自身の自着火前反応によって燃料の温度が上昇せしめられる期間が十分に確保される。したがって、従来装置は、グロープラグが劣化した場合であっても、冷間始動時等における燃料の着火を促進することができる(例えば、特開2009−62835号公報を参照)。
ところで、上述したように、上記従来装置は、グロープラグが劣化しているとき、燃料噴射時期を早めることによって気筒内の燃料の着火性を向上させようとしている。確かに、グロープラグの劣化は気筒内のガスの温度に影響を及ぼす要因ではあるが、吸気温度、気筒自身の温度、および、気筒内のガスの圧縮比等の他の要因も気筒内のガスの温度に影響を及ぼす。即ち、グロープラグの劣化は、気筒内の燃料の着火に影響を及ぼす一つの要因に過ぎない。したがって、グロープラグが劣化したとき、気筒内の燃料の着火を確実なものとするためには、「気筒内のガスの温度」そのものが考慮されるべきである。
しかしながら、上記従来装置では、この気筒内のガスの温度が何ら考慮されずに、燃料噴射時期が早められている。したがって、上記従来装置において、グロープラグが劣化した場合に燃料噴射時期が早められたとしても、その燃料噴射時期が気筒内の燃料の着火を確実なものとするのに最適な時期であるとは限らない。その結果、上記従来装置には、気筒内の燃料の着火を確実なものとすることができない虞があるという問題がある。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、気筒内のガスを加熱するグロープラグを有する内燃機関に適用される燃焼制御装置であって、気筒内の燃料の着火を確実なものとすることができる内燃機関の燃焼制御装置を提供することにある。
上記課題を達成するための本発明による内燃機関の燃焼制御装置は、
気筒内のガスを加熱するグロープラグを有する内燃機関に適用される。
前記グロープラグの構成は、特に制限されない。例えば、前記グロープラグは、電圧が印加されることによって発熱する抵抗発熱部を備えるように構成され得る。更に、前記グロープラグは、その抵抗発熱部の少なくとも一部が機関の気筒内(燃焼室内)に突出するように同機関に配設され得る。
前記機関に適用される本発明の燃焼制御装置は、圧縮端温度推定手段と、圧縮端温度調整手段と、を備える。
より具体的に述べると、圧縮端温度推定手段は、
前記気筒内で往復動するピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの温度である「圧縮端温度」を推定するようになっている。
更に、圧縮端温度調整手段は、
前記グロープラグが作動されているときに「前記圧縮端温度推定手段によって推定される圧縮端温度が所定の圧縮端参照温度よりも低い」場合、前記圧縮端温度を前記所定の圧縮端参照温度以上にする「圧縮端温度上昇運転」を前記内燃機関に行わせるようになっている。
内燃機関(ディーゼル機関)においては、一般に、ピストンの位置が圧縮上死点を含む圧縮上死点近傍にあるときに気筒内に燃料が噴射される。したがって、上記圧縮端温度は、上述した「気筒内のガスの温度」に実質的に相当する。本発明の燃焼制御装置においては、この「圧縮端温度」が推定されるとともに、この圧縮端温度が所定の「圧縮端参照温度」よりも低い場合に「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
上記圧縮端参照温度は、圧縮端温度がその圧縮端参照温度よりも低い場合に燃料が十分に着火することができない適値とし得る。
このように、本発明の燃焼制御装置は、グロープラグが作動されているとき、燃料の燃焼に影響する「圧縮端温度」そのものを推定するとともに、必要に応じてこの圧縮端温度を上昇させる圧縮端温度上昇運転を実行する。これにより、本発明の燃焼制御装置は、圧縮端温度そのものを制御することができるので、グロープラグが劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
本発明の燃焼制御装置の一の態様として、
上記燃焼制御装置は、
前記気筒内のガスの量である「気筒内ガス量」を取得する気筒内ガス量取得手段と、
前記ピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの圧力である「圧縮端気筒内圧力」を取得する圧縮端気筒内圧力取得手段と、
前記ピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの体積である「圧縮端気筒内ガス体積」を取得する圧縮端気筒内ガス体積取得手段と、
を備えるように構成され得る。
上記態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度推定手段は、
前記気筒内ガス量推定手段によって取得される「前記気筒内ガス量」と、前記圧縮端気筒内圧力取得手段によって取得される「前記圧縮端気筒内圧力」と、前記圧縮端気筒内ガス体積取得手段によって取得される「前記圧縮端気筒内ガス体積」と、前記気筒内のガスの「気体定数」と、を気体の状態方程式に適用することによって前記圧縮端温度を推定するように構成され得る。
内燃機関(ディーゼル機関)の気筒内のガスの温度は、ピストンによる同ガスの圧縮および気筒内に噴射される燃料の燃焼等によって激しく変化する。即ち、気筒内のガスの温度の変化速度および変化幅は非常に大きい。そのため、気筒内のガスの温度を測定するセンサ等を用いても、「圧縮端温度のみ」を簡便に測定することは困難である。
そこで、上記態様の燃焼制御装置は、「気筒内ガス量」、「圧縮端気筒内圧力」、「圧縮端気筒内ガス体積」および「気筒内のガスの気体定数」を気体の状態方程式に適用することにより、上記圧縮端温度を推定する。この「気筒内ガス量」は、例えば、機関に吸入される空気の量等に基づき、容易に取得し得る。更に、「圧縮端気筒内圧力」は、例えば、気筒内に設けられた圧力測定装置等を用いることにより、容易に取得し得る。加えて、「圧縮端気筒内ガス体積」としては、例えば、予め取得されているピストンの位置が圧縮上死点であるときの気筒内の容積を採用し得る。更に加えて、「気筒内のガスの気体定数」としては、例えば、周知の理想気体の気体定数等を採用し得る。したがって、上記態様の燃焼制御装置は、「圧縮端温度のみ」を容易に推定することができる。
本態様においては、圧縮端温度を容易に推定する観点から、気体の状態方程式として「理想気体の状態方程式」が適用されることが好適である。ただし、気体の状態方程式は理想気体の状態方程式に限定されず、気体の状態方程式として、ペン・ロビンソンの状態方程式、ファンデルワールスの状態方程式、および、ビリヤルの式等の実在気体に対応した周知の状態方程式が適用されてもよい。
さらに、本態様においては、圧縮端温度を容易に推定する観点から、気筒内のガスの気体定数として「理想気体の気体定数」が適用されることが好適である。ただし、気筒内のガスの気体定数は理想気体の気体定数に限定されず、気筒内のガスの気体定数として、実際に気筒内に存在する気体(例えば、空気、排ガスおよび未燃焼物質等)を考慮した適値が適用されてもよい。
更に、本発明の燃焼制御装置の他の態様として、
前記内燃機関は、「複数」の気筒を有するように構成され得る。
本態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、前記所定の「圧縮端参照温度」として、
(1)各気筒における前記圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度、
(2)前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒における前記圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度、
(3)前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒のうちの一の気筒における前記圧縮端温度よりも所定温度だけ低い温度、
(4)各気筒における前記圧縮端温度の平均値、
(5)前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒における前記圧縮端温度の平均値、および、
(6)前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒のうちの一の気筒における前記圧縮端温度、
のうちのいずれか一つを採用するように構成され得る。
このように、本態様の燃焼制御装置は、「圧縮端温度が推定される対象となっている気筒(即ち、グロープラグが劣化しているか否かが確認される気筒)とは異なる他の気筒」の圧縮端温度を考慮して圧縮端参照温度を定める。この圧縮端参照温度に準じて圧縮端温度上昇運転が行われることにより、グロープラグが劣化した場合であっても、各気筒における燃焼のばらつきが抑制される。その結果、各気筒において発生するトルクがばらつくことが防がれるとともに、劣化したグロープラグを備える気筒におけるエミッションが悪化することが防がれる。したがって、本態様の燃焼制御装置は、複数の気筒のうちの一または二以上の気筒におけるグロープラグが劣化した場合であっても、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
更に、本態様の燃焼制御装置により、例えば、複数の気筒のうちの一の気筒に備えられているグロープラグが製造上のばらつき(製造の際に生じる同一種の部材間における寸法および性能等の差)を有していた場合においても、各気筒における圧縮端温度がばらつくことが防がれる。
加えて、本発明の燃焼制御装置の更に他の態様として、
前記燃焼制御装置は、
前記気筒内のガスが前記ピストンによって圧縮される前の時点における同ガスの温度である「圧縮前温度」を取得する圧縮前温度取得手段を備えるように構成され得る。
本態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、
前記ピストンによる前記気筒内のガスの圧縮に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同圧縮に起因する同ガスの温度の変化量である「圧縮起因温度変化量」と、
前記グロープラグによる前記気筒内のガスの加熱に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同加熱に起因する同ガスの温度の変化量である「加熱起因温度変化量」と、
前記気筒内のガスの熱損失に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同熱損失に起因する同ガスの温度の変化量である「熱損失起因温度変化量」と、
を推定するとともに、
前記所定の「圧縮端参照温度」として、
(7)前記圧縮前温度と、前記圧縮起因温度変化量と、前記加熱起因温度変化量と、前記熱損失起因温度変化量と、の和よりも所定温度だけ低い温度、および、
(8)前記圧縮前温度と、前記圧縮起因温度変化量と、前記加熱起因温度変化量と、前記熱損失起因温度変化量と、の和、
のうちの一方を採用するように構成され得る。
本態様においては、上述した「圧縮端温度が推定される対象となっている気筒とは異なる他の気筒の圧縮端温度を考慮して圧縮端参照温度を定める態様(上記(1)ないし(6)に示される温度を圧縮端参照温度として採用する態様)」とは異なり、所定の一の気筒内のガスが圧縮される際の熱収支を考慮することにより、圧縮端参照温度が定められる。
具体的に述べると、ピストンの位置が吸気下死点から圧縮上死点に向けて変化すると、気筒内のガスはそのピストンによって圧縮される。そこで、本態様において、圧縮端温度調整手段は、この圧縮を断熱圧縮であると仮定するとともに、気筒内のガスが圧縮されることに起因して生じる温度変化量(圧縮起因温度変化量)を推定する。この圧縮に関与する運転パラメータとして、例えば、圧縮される前の時点における気筒内のガスの体積、ピストンの位置が圧縮上死点であるときの気筒内のガスの体積、および、気筒内のガスの比熱比等が挙げられる。なお、圧縮起因温度変化量は、一般に、正の値となる。
更に、気筒内のガスは、上述したように圧縮されながらグロープラグによって加熱される。そこで、本態様において、圧縮端温度調整手段は、気筒内のガスがグロープラグによって加熱されることに起因して生じる温度変化量(加熱起因温度変化量)を推定する。この加熱に関与する運転パラメータとして、例えば、グロープラグに印加される電圧の大きさ、機関回転速度、機関の吸気弁が閉弁する時期、気筒内のガスの量、および、気筒内のガスの比熱等が挙げられる。なお、加熱起因温度変化量は、一般に、正の値となる。
加えて、気筒内のガスが上述したように圧縮されている期間、気筒内のガスの有する熱量の一部は、気筒の内壁面およびピストンの上面等を介してそのガスの外部に放出される。即ち、熱損失が生じる。そこで、本態様において、圧縮端温度調整手段は、この熱損失に起因して生じる温度変化量(熱損失起因温度変化量)を推定する。この熱損失に関与する運転パラメータとして、例えば、機関の冷却水の温度、機関回転速度、機関の吸気弁が閉弁する時期、気筒内のガスの量、および、気筒内のガスの比熱等が挙げられる。なお、熱損失起因温度変化量は、一般に、負の値となる。
そして、圧縮端温度調整手段は、圧縮前の気筒内のガスの温度(圧縮前温度)、上記「圧縮起因温度変化量」、上記「加熱起因温度変化量」および上記「熱損失起因温度変化量」に基づいて圧縮端参照温度を定める。
この圧縮端参照温度は、一の気筒における熱収支に基づく画一的な温度(即ち、グロープラグが劣化していない場合に得られるべき圧縮端温度)である。この圧縮端参照温度に準じて圧縮端温度上昇運転が行われることにより、グロープラグが劣化した場合であっても、圧縮端温度がグロープラグが劣化していない場合と同様の温度に維持される。したがって、グロープラグが劣化した場合であっても、燃料の着火を確実なものとすることができる。
上述した各態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、前記圧縮端温度上昇運転として、
前記グロープラグが電圧を印加されることによって発熱する場合において前記グロープラグに印加される電圧を所定の補正電圧値だけ増大するグロープラグ印加電圧増大運転、
吸気弁の閉弁時期を所定の第1補正量だけ吸気下死点に近づける吸気弁閉弁時期補正運転、
排気弁の閉弁時期を所定の第2補正量だけ排気上死点から遠ざける排気弁閉弁時期補正運転、
吸気弁の開弁時期を排気上死点よりも所定の第3補正量だけ進角させる吸気弁開弁時期進角運転、
気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する「主噴射」と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射する「パイロット噴射」とが行われる場合において前記パイロット噴射において噴射される燃料の量を所定の第1補正燃料量だけ増大させるパイロット噴射量増大運転、および、
気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する「主噴射」と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射する「パイロット噴射」とが行われる場合において前記主噴射において噴射される燃料の量を所定の第2補正燃料量だけ増大する主噴射量増大運転、
のうちの少なくとも一つの運転を行うように構成され得る。
上記「前記グロープラグが電圧を印加されることによって発熱する場合において前記グロープラグに印加される電圧を所定の補正電圧値だけ増大するグロープラグ印加電圧増大運転」が行われると、グロープラグに印加される電圧が増大されるので、グロープラグから放出される熱量が増大される。これにより、圧縮端温度が上昇せしめられる。この際の補正電圧値は、例えば、グロープラグに印加される電圧値、および、その電圧値がグロープラグに印加された際の通過電流値等に応じて決定し得る。
更に、上記「吸気弁の閉弁時期を所定の第1補正量だけ吸気下死点に近づける吸気弁閉弁時期補正運転」が行われると、気筒内に吸入される空気の量が増大されるので、圧縮比が増大する。これにより、圧縮端温度が上昇せしめられる。この際の第1補正量は、例えば、圧縮端温度と圧縮端参照温度との差、および、吸気弁の閉弁時期等に応じて決定し得る。
加えて、上記「排気弁の閉弁時期を所定の第2補正量だけ排気上死点から遠ざける排気弁閉弁時期補正運転」が行われると、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量(いわゆる、内部EGR量)が増大される。これにより、圧縮端温度が上昇せしめられる。この際の第2補正量は、例えば、上記同様、圧縮端温度と圧縮端参照温度との差、および、吸気弁の閉弁時期等に応じて決定し得る。
更に、上記「吸気弁の開弁時期を排気上死点よりも所定の第3補正量だけ進角させる吸気弁開弁時期進角運転」が行われると、上記同様、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量が増大される。これにより、圧縮端温度が上昇せしめられる。この際の第3補正量は、例えば、上記同様、圧縮端温度と圧縮端参照温度との差、および、吸気弁の閉弁時期等に応じて決定し得る。
更に、上記「気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する「主噴射」と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射する「パイロット噴射」とが行われる場合において前記パイロット噴射において噴射される燃料の量を所定の第1補正燃料量だけ増大させるパイロット噴射量増大運転」が行われると、パイロット噴射された燃料が自着火前反応することによって発生する熱量が増大する。これにより、圧縮端温度が上昇せしめられる。この際の第1補正燃料量は、例えば、圧縮端温度と圧縮端参照温度との差に応じて決定し得る。
更に、上記「気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する「主噴射」と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射する「パイロット噴射」とが行われる場合において前記主噴射において噴射される燃料の量を所定の第2補正燃料量だけ増大する主噴射量増大運転」が行われると、主噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大する。このため、気筒を形成している壁面の温度が上昇する。これにより、圧縮端温度Ttが上昇される。この際の第2補正燃料量は、例えば、上記同様、圧縮端温度と圧縮端参照温度との差に応じて決定し得る。
圧縮端温度調整手段は、圧縮端温度上昇運転として、上述した複数の運転のうちの少なくとも一つの運転を実行する。上述した複数の運転から選ばれる少なくとも一つの運転は、本発明の燃焼制御装置に要求される性能等に応じて決定され得る。
加えて、本発明の燃焼制御装置の更に他の態様として、
前記燃焼制御装置は、
前記主噴射量増大運転が行われるときに前記排気弁閉弁時期補正運転または前記吸気弁開弁時期進角運転が行われるように構成され得る。
本態様において、主噴射量増大運転が行われるときに排気弁閉弁時期補正運転が行われると、主噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大するので、排ガスの温度が上昇するとともに、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量(いわゆる、内部EGR量)が増大される。即ち、温度がさらに上昇せしめられた排ガスが気筒内に多く残留することになる。これにより、圧縮端温度がより確実に上昇せしめられる。
また、本態様において、主噴射量増大運転が行われるときに吸気弁開弁時期進角運転が行われると、主噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大するので、排ガスの温度が上昇するとともに、上記同様、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量が増大される。即ち、温度がさらに上昇せしめられた排ガスが気筒内に多く残留することになる。これにより、圧縮端温度がより確実に上昇せしめられる。
更に、上述した各態様の燃焼制御装置において、
前記燃焼制御装置は、
前記グロープラグ印加電圧増大運転における前記補正電圧値が所定の補正電圧閾値よりも大きいこと、
前記吸気弁閉弁時期補正運転における前記第1補正量が所定の第1補正閾値量よりも大きいこと、
前記排気弁閉弁時期補正運転における前記第2補正量が所定の第2補正閾値量よりも大きいこと、
前記吸気弁開弁時期進角運転における前記第3補正量が所定の第3補正閾値量よりも大きいこと、
前記パイロット噴射量増大運転における前記第1補正燃料量が所定の第1補正燃料閾値量よりも大きいこと、および、
前記主噴射量増大運転における前記第2補正燃料量が所定の第2補正燃料閾値量よりも大きいこと、
のうちの少なくとも一つが成立するとき、前記グロープラグが異常であることを表示する異常表示手段を備えるように構成され得る。
上述した複数の圧縮端温度上昇運転のうちの少なくとも一つの運転を実行することにより、圧縮端温度は上昇せしめられる。ところが、各圧縮端温度上昇運転における補正量(補正電圧閾値、第1補正閾値量、第2補正閾値量、第3補正閾値量、第1補正燃料閾値量、および、第2補正燃料閾値量)が過大であると、機関のドライバビリティおよびエミッション等が悪化する可能性がある。そこで、上述した各補正量が所定の閾値よりも大きくなったとき、グロープラグが異常である旨を所定の表示手段に表示することにより、機関のドライバビリティおよびエミッション等が過剰に悪化することを防ぐことができる。この際の各補正量の閾値は、例えば、各補正量がその閾値よりも大きくなったとき、機関のドライバビリティおよびエミッション等が悪化する虞がある適値とし得る。
これにより、グロープラグが過度に劣化する前の時点においてグロープラグを修理または交換すべきであることを機関の操作者等に通知することができるので、機関のドライバビリティおよびエミッション等を良好に維持することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置が適用される内燃機関の概略図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置が適用される内燃機関の一の気筒の概略断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図4は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図5は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図6は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図7は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8は、本発明の第1実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図9は、本発明の第2実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10は、本発明の第2実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11は、本発明の第2実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12は、本発明の第3実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図13は、本発明の第3実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図14は、本発明の第4実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図15は、本発明の第4実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図16は、本発明の第5実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図17は、本発明の第5実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図18は、本発明の第6実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図19は、本発明の第6実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図20は、本発明の第7実施形態に係る燃焼制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明による内燃機関の燃焼制御装置の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第1装置」とも称呼する。)を内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。機関10は、第1気筒ないし第4気筒の4つの気筒を有する4気筒ディーゼル機関である。更に、図2は、第1装置が適用された機関10の一の気筒の概略構成を示す断面図である。なお、図2に示されている一の気筒とは異なる他の気筒も、この一の気筒と同様の構成を有している。
この機関10は、図1に示すように、燃料供給系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20に空気を導入するための吸気系統30、エンジン本体20からの排ガスを外部に放出するための排気系統40、排ガスを吸気系統30側に還流させるためのEGR装置50、および、排ガスのエネルギによって駆動されてエンジン本体20に導入される空気を圧縮する過給装置60、を備えている。
エンジン本体20は、吸気系統30および排気系統40が連結されたシリンダヘッド21を有している。このシリンダヘッド21は、各気筒に対応するように各気筒の上部に設けられた複数の燃料噴射装置22を有している。各燃料噴射装置22は、図示しない燃料タンクと接続されており、電気制御装置80からの指示信号に応じて各気筒の燃焼室内に燃料を噴射するようになっている。
更に、シリンダヘッド21は、各燃料噴射装置22に隣接するように各気筒の上部に設けられたグロープラグ23を有している。各グロープラグ23は、電気制御装置80からの指示信号に応じて電圧を印加されることによって発熱し、各気筒の燃焼室内のガスを加熱するようになっている。
加えて、シリンダヘッド21は、図2に示すように、燃焼室24に連通した吸気ポート25、吸気ポート25を開閉する吸気弁26、吸気弁26に接続された周知の可変吸気タイミング制御装置26a、燃焼室24に連通した排気ポート27、排気ポート27を開閉する排気弁28、および、排気弁28に接続された周知の可変排気タイミング制御装置28a、を有している。エンジン本体20に吸入された空気Inは吸気ポート25を通過して燃焼室24に導入され、排ガスExは排気ポート27を通過してエンジン本体20の外部に排出される。
更に、この気筒内には、所定の圧縮上死点と所定の吸気下死点との間を往復動可能なピストン29が設けられている。加えて、この気筒を構成する壁部の内部には、冷却水が通流される冷却水通路29aが設けられている。
可変吸気タイミング制御装置(可変バルブタイミング機構)26aは、電気制御装置80からの指示信号に応じて、吸気弁26の開弁時期および閉弁時期を所望の大きさだけ進角または遅角させるようになっている(例えば、特開2007−303423号公報および特開2004−150397号公報等を参照。)。更に、可変排気タイミング制御装置(可変バルブタイミング機構)28aは、可変吸気タイミング制御装置26aと同様、電気制御装置80からの指示信号に応じて、排気弁28の開弁時期および閉弁時期を所望の大きさだけ進角または遅角させるようになっている。
再び図1を参照すると、吸気系統30は、シリンダヘッド21の吸気ポート25を介して各気筒に連通されたインテークマニホールド31、インテークマニホールド31の上流側集合部に接続された吸気管32、吸気管32内の吸気通路の開口断面積を可変とするスロットル弁(吸気絞り弁)33、電気制御装置80からの指示信号に応じてスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流において吸気管32に介装されたインタークーラ34、および、インタークーラ34の上流に設けられた過給装置60の上流側であって吸気管32の端部に配設されたエアクリーナ35、を有している。インテークマニホールド31および吸気管32は、吸気通路を構成している。
排気系統40は、シリンダヘッド21の排気ポート27を介して各気筒に連通されたエキゾーストマニホールド41、エキゾーストマニホールド41の下流側集合部に接続された排気管42、および、排気管42に設けられた過給装置60の下流側であって排気管42に介装された周知の排ガス浄化用触媒(DPNR)43、を有している。エキゾーストマニホールド41および排気管42は、排気通路を構成している。
EGR装置50は、排ガスをエキゾーストマニホールド41からインテークマニホールド31へと還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51、排気還流管51に介装されたEGRガス冷却装置(EGRクーラ)52、および、排気還流管51に介装されたEGR制御弁53、を有している。EGR制御弁53は、電気制御装置80からの指示信号に応じてエキゾーストマニホールド41からインテークマニホールド31へと還流させる排ガス量を変更するようになっている。
過給装置60は、コンプレッサ61およびタービン62を有している。コンプレッサ61は吸気通路(吸気管32)に配設され、タービン62は排気通路(排気管42)に配設されている。コンプレッサ61とタービン62とは、図示しないローターシャフトによって同軸回転可能に連結されている。これにより、タービン62が排ガスによって回転せしめられると、コンプレッサ61が回転するとともに、コンプレッサ61に供給される空気が圧縮される(過給が行われる)。
この第1装置は、図1に示すように、熱線式エアフローメータ71、吸気温度センサ72、吸気圧センサ73、クランクポジションセンサ74、および、アクセル開度センサ75、を備えている。更に、第1装置は、図2に示すように、筒内圧センサ76、および、冷却水温度センサ77、を備えている。
図1を参照すると、熱線式エアフローメータ71は、吸気通路(吸気管32)に配設されている。熱線式エアフローメータ71は、この吸気管32内を流れる吸入空気の質量流量(機関10に単位時間あたりに吸入される空気の質量)に応じた信号を出力するようになっている。
吸気温度センサ72は、吸気通路(吸気管32)に配設されている。吸気温度センサ72は、この吸気管32内を流れる吸入空気の温度(吸気温度)に応じた信号を出力するようになっている。
吸気圧センサ73は、吸気管32のスロットル弁33の下流側に配設されている。吸気圧センサ74は、それが配設されている部位の排気管42内の空気の圧力、即ち、機関10の燃焼室に供給される空気の圧力(過給装置60によってもたらされる過給圧)を表す信号を出力するようになっている。
クランクポジションセンサ74は、図示しないクランクシャフト近傍に配設されている。クランクポジションセンサ74は、このクランクシャフトが10°回転する毎に幅狭のパルスを有するとともに同クランクシャフトが360°回転する毎に幅広のパルスを有する信号を出力するようになっている。本信号に基づき、クランクシャフトの単位時間あたりの回転数(機関回転速度)が算出される。
アクセル開度センサ75は、機関10の操作者によって操作されるアクセルペダルAPに配設されている。アクセル開度センサ75は、このアクセルペダルAPの開度に応じた信号を出力するようになっている。
図2を参照すると、筒内圧センサ76は、燃料噴射装置22に隣接するように気筒の上部に配設されている。筒内圧センサ76は、気筒内のガスの圧力を表す信号を出力するようになっている。
冷却水温度センサ77は、機関10の冷却水通路29aに配設されている。冷却水温度センサ77は、この冷却水通路29a内を流れる冷却水の温度(冷却水温度)を表す信号を出力するようになっている。
再び図1を参照すると、電気制御装置80は、互いにバスで接続されたCPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数等を予め記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納するとともに格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85、等を有するマイクロコンピュータである。
インターフェース85は、上記各センサ等と接続され、CPU81に上記各センサ等からの信号を供給するようになっている。更に、インターフェース85は、CPU81の指示に応じて、燃料噴射装置22、グロープラグ23、可変吸気タイミング制御装置26a、可変排気タイミング制御装置28a、および、スロットル弁アクチュエータ33a等に駆動信号(指示信号)を送出するようになっている。
<装置の作動の概要>
次いで、上述したように構成された第1装置の作動の概要について説明する。
第1装置は、機関10の運転状態に基づき、各気筒の燃焼室24内に噴射する燃料の噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)、その燃料の噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)、吸気弁26の開閉時期(目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vinc)、ならびに、排気弁28の開閉時期(目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexc)、を取得する。そして、第1装置は、上記取得された開閉時期において吸気弁26を開閉し、吸気通路から燃焼室24内に空気を吸入する。次いで、第1装置は、上記取得された噴射時期において上記取得された量の燃料を、燃料噴射装置22から燃焼室24内に噴射する。その後、第1装置は、取得された開閉時期において排気弁28を開閉し、燃焼後のガス(排ガス)を燃焼室24内から排気通路へ排出する。
更に、第1装置は、所定のグロープラグ作動条件が成立しているとき、グロープラグ23に機関10の運転状態に基づいて定められる印加電圧値Eglの電圧を印加する。これにより、グロープラグ23が作動され、燃料の着火が促進される。第1装置は、グロープラグ23が作動されているとき、ピストン29が圧縮上死点にあるときの気筒内のガスの温度である圧縮端温度Ttを、各気筒(第1気筒、第2気筒、第3気筒および第4気筒)において推定する。加えて、第1装置は、推定された各気筒における圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)の平均値を算出するとともに、この平均値よりも所定温度ΔTtth1だけ低い温度を圧縮端参照温度Ttrefとして取得する。
加えて、第1装置は、グロープラグ23の劣化度が確認される対象となる気筒(以下、「確認対象気筒」と称呼する。)の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であるとき、「確認対象気筒のグロープラグ23は、劣化していない、または、燃料の着火に影響を与えない程度に劣化している」と確認する。以下、「グロープラグが劣化していないまたは燃料の着火に影響を与えない程度に劣化している」ことを、便宜上、「グロープラグの劣化度は第1段階である」とも称呼する。
一方、第1装置は、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いとき、「確認対象気筒のグロープラグ23は、燃料を適切に着火させることができない程度に劣化している」と確認する。以下、「グロープラグが燃料を適切に着火させることができない程度に劣化している」ことを、便宜上、「グロープラグの劣化度は第2段階である」とも称呼する。
第1装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、上記定められた印加電圧値Eglの電圧をそのグロープラグ23に印加する。一方、第1装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた印加電圧値Eglに「グロープラグ23の劣化度に応じて定められる印加電圧補正量Eglcom」を加えた電圧(Egl+Eglcom)を、そのグロープラグ23に印加する。即ち、印加電圧値Eglは印加電圧補正量Eglcomだけ増大される。
ここで、第1装置は、この印加電圧補正量Eglcomが所定の印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きい場合、「確認対象気筒のグロープラグ23は、修理または交換される必要がある程度に劣化している」と確認する。以下、「グロープラグが修理または交換される必要がある程度に劣化している」ことを、便宜上、「グロープラグの劣化度は第3段階である」とも称呼する。
第1装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた印加電圧値Eglに上記印加電圧上限補正量Eglcommaxを加えた電圧(Egl+Eglcommax)をそのグロープラグ23に印加する。即ち、印加電圧値Eglは印加電圧上限補正量Eglcommaxだけ増大される。更に、このとき、第1装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第1装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第1装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第1装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、グロープラグ23から気筒内のガスに対して単位時間当たりに与えられる熱量が減少するので、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第1装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、グロープラグ23に印加される印加電圧値Eglを印加電圧補正量Eglcomだけ増大させる。この印加電圧補正量Eglcomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
グロープラグ23に印加される印加電圧値Eglが増大されると、グロープラグ23を通過する通過電流値Iglも増大される。そのため、グロープラグ23において消費される電力が増大され、グロープラグ23の発熱量が増大される。したがって、グロープラグ23から気筒内のガスに単位時間当たりに与えられる熱量が増大される。更に、印加電圧補正量Eglcomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけ印加電圧値Eglが増大される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで、過不足なく上昇せしめられる。
更に、第1装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、印加電圧補正量Eglcomを印加電圧上限補正量Eglcommaxに変更する。即ち、このとき、印加電圧値Eglは、印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、グロープラグ23に過大な電圧が印加されることが回避されるので、グロープラグ23が破損等することが防がれる。以上が第1装置に採用されている燃焼制御方法である。
以下、上述したように確認対象気筒における圧縮端温度Ttを上昇させる運転は、便宜上、「圧縮端温度上昇運転」とも称呼される。
<実際の作動>
以下、第1装置の実際の作動について説明する。
第1装置において、CPU81は、図3ないし図8にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、グロープラグ作動フラグXGLO、および、異常発生フラグXEMGを用いる。
グロープラグ作動フラグXGLOは、その値が「0」であるとき、グロープラグ23が作動されていないこと(グロープラグ23に電圧が印加されていないこと)を表す。一方、グロープラグ作動フラグXGLOは、その値が「1」であるとき、グロープラグ23が作動されていること(グロープラグ23に電圧が印加されていること)を表す。
異常発生フラグXEMGは、その値が「0」であるとき、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であることを表す。一方、異常発生フラグXEMGは、その値が「1」であるとき、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であることを表す。
グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGの値は、バックアップRAM84に格納される。更に、グロープラグ作動フラグXGLOの値は、図示しないイグニッション・キー・スイッチがオフからオンに変更されたときに実行されるイニシャルルーチンにおいて「0」に設定されるようになっている。加えて、異常発生フラグXEMGの値は、機関10を搭載した車両の工場出荷時およびサービス点検実施時等においてグロープラグ23に異常がないことが確認された際に電気制御装置80に対して所定の操作がなされたとき、「0」に設定されるようになっている。
以下、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、機関10が始動されると、各気筒(第1気筒ないし第4気筒のそれぞれ)において、所定時間が経過する毎に図3にフローチャートによって示した「第1筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「グロープラグ23への印加電圧値Egl」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じてグロープラグ23を作動させるか否かを判定する。更に、CPU81は、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「グロープラグ23への印加電圧値Egl」を増大させる。
より具体的に述べると、CPU81は、各気筒において、所定のタイミングにて図3のステップ300から処理を開始してステップ305に進み、「グロープラグ23を作動させる条件(グロープラグ作動条件)」が成立しているか否かを判定する。より具体的に述べると、CPU81は、ステップ305にて、以下の条件1および条件2の双方が成立したとき、グロープラグ作動条件が成立したと判定する。換言すると、CPU81は、条件1および条件2のうちの少なくとも1つが成立しないとき、グロープラグ作動条件が成立しないと判定する。
(条件1)冷却水温度THWが所定の閾値水温THWthよりも低い。
(条件2)吸気温度Tinが所定の閾値吸気温度Tinthよりも低い。
上述したように、燃料の着火は、「気筒内のガスの温度」および「燃料が自着火前反応を行うことができる期間の長さ」の影響を受ける。上記条件1に挙げられる冷却水温度THWおよび上記条件2に挙げられる吸気温度Tinは、この「気筒内のガスの温度」に影響を与える。そこで、CPU81は、上記条件1および上記条件2の双方が成立するとき、気筒内のガスの温度(圧縮端温度Tt)が燃料を適切に着火させることができない程度に低いと判断し、グロープラグ23を作動させる。
以下、「グロープラグ作動条件が成立している場合」と「グロープラグ作動条件が成立していない場合」とに場合を分け、より詳細に説明する。
(場合1−1)グロープラグ作動条件が成立している場合
この場合、CPU81は、ステップ305にて「Yes」と判定してステップ310に進み、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「1」を格納する。なお、例えば、機関10が冷間始動されると、グロープラグ作動条件が成立する可能性が大きい。
次いで、CPU81は、ステップ315に進み、「冷却水温度THWと、吸気温度Tinと、グロープラグ23への印加電圧値Eglと、の関係」を予め定めたグロープラグ印加電圧テーブルMapEgl(THW,Tin)に、現時点における冷却水温度THWと吸気温度Tinとを適用することにより、印加電圧値Eglを決定・取得する。このグロープラグ印加電圧テーブルMapEgl(THW,Tin)において、印加電圧値Eglは、冷却水温度THWが低くなるにつれて大きくなり、かつ、吸気温度Tinが低くなるにつれて大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ320に進み、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されていなければ、CPU81は、ステップ320にて「No」と判定してステップ325に進む。なお、現時点は機関10が始動された直後であるので、圧縮端参照温度Ttrefが取得されていない可能性が大きい。
CPU81は、ステップ325にて、印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加させる。その後、CPU81は、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立したときに圧縮端参照温度Ttrefが取得されていなければ、機関10の運転状態に応じて決定された印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加される。これにより、グロープラグ23が発熱され、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、各気筒において、所定時間が経過する毎に図4にフローチャートによって示した「バルブタイミング制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて吸気弁26の目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincを決定するとともに、吸気弁26の実際の開弁時期が目標開弁時期Vinoに一致し、かつ、吸気弁26の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vincに一致するように可変吸気タイミング制御装置26aを制御する。加えて、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて排気弁28の目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcを決定するとともに、排気弁28の実際の開弁時期が目標開弁時期Vexoに一致し、かつ、排気弁28の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vexcに一致するように可変排気タイミング制御装置28aを制御する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始してステップ410に進み、クランクポジションセンサ74の出力値に基づいて機関回転速度NEを取得し、アクセルペダル開度センサ75の出力値に基づいてアクセルペダル開度Accpを取得する。そして、CPU81は、取得したそれらのパラメータを「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、吸気弁26の目標開閉時期VinoおよびVincと、の関係」を予め定めた吸気弁目標開閉時期テーブルMapVin(NE,Accp)に適用することにより、吸気弁目標開弁時期Vinoおよび吸気弁目標閉弁時期Vincを決定・取得する。この吸気弁目標開閉時期テーブルMapVin(NE,Accp)において、吸気弁目標開弁時期Vinoおよび吸気弁目標閉弁時期Vincは、機関10のエミッションおよび出力等を考慮した適切な時期となるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ420に進み、上記ステップ410にて取得された機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、排気弁28の目標開閉時期VexoおよびVexcと、の関係」を予め定めた排気弁目標開閉時期テーブルMapVex(NE,Accp)に適用することにより、排気弁目標開弁時期Vexoおよび排気弁目標閉弁時期Vexcを決定・取得する。この排気弁目標開閉時期テーブルMapVex(NE,Accp)において、排気弁目標開弁時期Vexoおよび排気弁目標閉弁時期Vexcは、機関10のエミッションおよび出力等を考慮した適切な時期となるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ430に進み、吸気弁26の実際の開弁時期が目標開弁時期Vinoに一致し、かつ、吸気弁26の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vincに一致するように可変吸気タイミング制御装置26aを制御する。
次いで、CPU81は、ステップ440に進み、排気弁28の実際の開弁時期が目標開弁時期Vexoに一致し、かつ、排気弁28の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vexcに一致するように可変排気タイミング制御装置28aを制御する。その後、CPU81は、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、各気筒において、機関10の運転状態(機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accp)に応じて吸気弁26および排気弁28の開閉時期を調整する。
更に、CPU81は、各気筒において、所定時間が経過する毎に図5にフローチャートによって示した「圧縮端温度推定ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、圧縮端温度Tt(即ち、ピストン29の位置が圧縮上死点であるときの気筒内のガスの温度)を推定する。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図5のステップ500から処理を開始してステップ510に進み、グロープラグ作動フラグXGLOの値が「1」であるか否かを判定する。現時点におけるグロープラグ作動フラグXGLOの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ510にて「Yes」と判定してステップ520に進む。
CPU81は、ステップ520にて、一の気筒における現時点のクランク角度CAと、吸気弁26の目標閉弁時期Vincと、が一致するか否かを判定する。現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに一致しない場合、CPU81は、ステップ520にて「No」と判定してステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに一致する場合、CPU81は、ステップ520にて「Yes」と判定してステップ530に進む。以下、現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに「一致する」と仮定して、説明を続ける。
上記仮定に従えば、CPU81は、ステップ530に進み、吸気温度センサ72の出力値に基づいて吸気温度Tinを取得するとともに、その吸気温度Tinを吸気弁閉弁時筒内ガス温度TcとしてRAM83内に格納する。更に、CPU81は、ステップ530にて、吸気圧センサ73の出力値に基づいて吸気圧Pinを取得し、その吸気圧Pinを吸気弁閉弁時筒内ガス圧力PcとしてRAM83内に格納する。
次いで、CPU81は、ステップ540に進み、上記ステップ530にて取得された吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tcおよび吸気弁閉弁時筒内ガス圧力Pc、ROM82に予め記憶されている理想気体の気体定数R、ならびに、ROM82に予め記憶されている「クランク角度CAと筒内容積Vとの関係」に吸気弁26の目標閉弁時期Vincを適用することによって得られる吸気弁閉弁時筒内容積Vcを、下記(1)式に適用することにより、筒内ガス量n(モル数)を取得する。
n=(Pc・Vc)/(R・Tc) ・・・(1)
なお、上記(1)式は、下記(2)式に示す周知の「気体の圧力P、気体が占める体積V、気体の物質量n(モル数)、気体定数R、および、気体の温度T、の関係を記述する理想気体の状態方程式」から導出される。
PV=nRT ・・・(2)
次いで、CPU81は、ステップ550に進み、同気筒における現時点のクランク角度CAが圧縮上死点(以下、「ATDC」とも称呼する。)と一致するか否かを判定する。現時点におけるクランク角度CAがATDCに一致しない場合、CPU81は、ステップ550にて「No」と判定してステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、現時点におけるクランク角度CAがATDCに一致する場合、CPU81は、ステップ550にて「Yes」と判定してステップ560に進む。以下、現時点におけるクランク角度CAがATDCに一致すると仮定して、説明を続ける。
上記仮定に従えば、CPU81は、ステップ560に進み、筒内圧センサ76の出力値に基づいて筒内圧力Pcylを取得するとともに、その筒内圧力Pcylを圧縮上死点時筒内ガス圧力PtとしてRAM83に格納する。
次いで、CPU81は、ステップ570に進み、上記ステップ540にて取得された筒内ガス量n、上記ステップ560にて取得された圧縮上死点時筒内ガス圧力Pt、ROM82に予め記憶されている気体定数R、および、ROM82に予め記憶されている「クランク角度CAと筒内容積との関係」にATDCを適用することによって得られる圧縮上死点時筒内容積Vtを下記(3)式に適用することにより、圧縮端温度Ttを取得する。
Tt=(Pt・Vt)/(n・R) ・・・(3)
このように取得される圧縮端温度Ttは、「グロープラグ23の発熱による気筒内のガスの温度の上昇量」を含んでいる。具体的に述べると、この「グロープラグ23による気筒内のガスの温度の上昇量」は、上記圧縮上死点時筒内ガス圧力Ptに反映されている。これは、周知の通り、気体が所定の領域内に存在するとき、気体を構成する分子の運動速度は気体の温度に依存するとともに、気体の圧力はその分子が上記領域の境界面に衝突する際にその境界面に与える運動量によって生じているからである。即ち、「グロープラグ23による気筒内のガスの温度の上昇量」が大きいほど、気筒内のガスを構成する分子の運動速度が大きくなるので、圧縮上死点時筒内ガス圧力Ptは大きくなる。
なお、上記(3)式は、上記(1)式と同様、上記(2)式に示す周知の理想気体の状態方程式から導出される。CPU81は、ステップ570にて圧縮端温度Ttを取得した後、ステップ595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しているとき、クランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincである場合(即ち、吸気弁26が閉弁する時点)において取得される運転パラメータ(吸気弁閉弁時筒内容積Vc、吸気弁閉弁時筒内ガス圧力Pc、および、吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tc)に基づき、一の気筒における筒内ガス量nが算出される。更に、その算出された筒内ガス量n、および、クランク角度CAがATDC(圧縮上死点)である場合において取得される運転パラメータ(圧縮上死点時筒内容積Vt、および、圧縮上死点時筒内ガス圧力Pt)に基づき、同気筒における圧縮端温度Ttが推定される。
CPU81は、上述した図5に示すルーチンを、各気筒(第1気筒ないし第4気筒のそれぞれ)において実行する。以下、このようにして推定される、第1気筒における圧縮端温度を「第1気筒圧縮端温度Tt1」と、第2気筒における圧縮端温度を「第2気筒圧縮端温度Tt2」と、第3気筒における圧縮端温度を「第3気筒圧縮端温度Tt3」と、第4気筒における圧縮端温度を「第4気筒圧縮端温度Tt4」と、称呼する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図6にフローチャートによって示した「第1圧縮端参照温度取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認する指標となる圧縮端参照温度Ttrefを取得する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図6のステップ600から処理を開始すると、ステップ610に進んでグロープラグ作動フラグXGLOの値が「1」であるか否かを判定する。現時点におけるグロープラグ作動フラグXGLOの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ610にて「Yes」と判定してステップ620に進む。
CPU81は、ステップ620にて、第1気筒圧縮端温度Tt1、第2気筒圧縮端温度Tt2、第3気筒圧縮端温度Tt3および第4気筒圧縮端温度Tt4を下記(4)式に適用することにより、圧縮端参照温度Ttrefを取得する。下記(4)式において、ΔTtth1は所定の閾値を示す。この閾値ΔTtth1は、機関10が許容することができるグロープラグ23の劣化度等を考慮した適値とし得る。
Ttref=(Tt1+Tt2+Tt3+Tt4)/4−ΔTtth1 ・・・(4)
上記(4)式に示すように、第1装置は、圧縮端参照温度Ttrefとして、「各気筒における圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)の平均値よりも所定温度(上記閾値ΔTtth1)だけ低い温度」を採用している。CPU81は、ステップ620にて圧縮端参照温度Ttrefを取得した後、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、グロープラグ作動条件が成立しているとき、第1気筒ないし第4気筒のそれぞれにおける圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。
更に、CPU81は、任意の気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角度(例えば、圧縮上死点前90度クランク角)θfに一致する毎に、図7にフローチャートによって示した「燃料噴射制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の算出および燃料噴射の指示を行う。本ルーチンは、グロープラグ作動条件が成立しているか否かに関わらず、実行される。以下、便宜上、このクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角θfに一致する圧縮行程中の気筒を「燃料噴射気筒」とも称呼する。
具体的に述べると、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角が上記クランク角度θfに一致すると、図7のステップ700から処理を開始してステップ710に進み、クランクポジションセンサ74の出力値に基づいて機関回転速度NEを取得し、アクセルペダル開度センサ75の出力値に基づいてアクセルペダル開度Accpを取得する。そして、CPU81は、取得したそれらのパラメータを「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、燃料噴射量Q(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)と、の関係」を予め定めた燃料噴射量テーブルMapQ(NE,Accp)に適用することにより、パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qmを決定・取得する。この燃料噴射量テーブルMapQ(NE,Accp)において、パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qmは、機関10のエミッションおよび出力等を考慮した適切な量となるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ720に進み、上記ステップ710にて取得された機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを「アクセルペダル開度Accpと、機関回転速度NEと、燃料噴射時期finj(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)と、の関係」を予め定めた燃料噴射時期テーブルMapfinj(NE,Accp)に適用することにより、パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjmを決定・取得する。この燃料噴射時期テーブルMapfinj(NE,Accp)において、パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjmは、機関10のエミッションおよび出力等を考慮した適切な時期となるように、設計されている。
なお、この燃料噴射時期テーブルMapfinj(NE,Accp)において、所定の機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpにおけるパイロット噴射時期finjpは、その所定の機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpにおけるメイン噴射時期finjmよりも進角された(早い)時期となるように定められている。
次いで、CPU81は、ステップ730に進み、現時点におけるクランク角度CAと、上述したパイロット噴射時期finjpと、が一致するか否かを判定する。ここで、現時点は「クランク角度CAがパイロット噴射時期finjpに到達する前の時点」であると仮定すると、CPU81は、ステップ730にて「No」と判定してステップ740に進む。更に、本仮定に従えば、CPU81は、ステップ740においても「No」と判定し、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
したがって、「クランク角度CAがパイロット噴射時期finjpに到達する前の時点」においては、パイロット噴射およびメイン噴射の双方が実行されない。CPU81は、クランク角度CAがパイロット噴射時期finjpに到達するまで、ステップ710、ステップ720、ステップ730、ステップ740およびステップ795の処理を繰り返し実行する。そして、クランク角度CAが「パイロット噴射時期finjp」に到達すると、CPU81は、ステップ730にて「Yes」と判定してステップ750に進む。
CPU81は、ステップ750にて、パイロット噴射量Qpの燃料を燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ22から噴射するように、そのインジェクタ22に指示を与える。即ち、このとき、パイロット噴射量Qpの燃料が燃料噴射気筒に供給(噴射)される。その後、CPU81は、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
その後、CPU81は、クランク角度CAがパイロット噴射時期finjpを超えてからメイン噴射時期finjmに到達するまで、ステップ710、ステップ720、ステップ730、ステップ740、および、ステップ795の処理を繰り返し実行する。そして、クランク角度CAが「メイン噴射時期finjm」に到達すると、CPU81は、ステップ740にて「Yes」と判定してステップ760に進む。
CPU81は、ステップ760にて、メイン噴射量Qmの燃料を燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ22から噴射するように、そのインジェクタ22に指示を与える。即ち、このとき、メイン噴射量Qmの燃料が燃料噴射気筒に供給(噴射)される。その後、CPU81は、ステップ795に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、グロープラグ作動条件が成立しているか否かに関わらず、機関10の運転状態に応じて決定される燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の燃料を、燃料噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)において、燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ22から噴射させる。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図8にフローチャートによって示した「異常通知ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度が所定の度合いよりも大きいとき、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始してステップ810に進み、異常発生フラグXEMGの値が「0」であるか否かを判定する。現時点における異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて設定された「0」であるので、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しているときに「圧縮端参照温度Ttrefが取得されていない」場合、各気筒においてグロープラグ23が作動されるとともに、各気筒における圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)が推定される。更に、この推定された各気筒における圧縮端温度に基づき、圧縮端参照温度Ttrefが取得される。一方、グロープラグ作動条件が成立しているか否かに関わらず、機関10の運転状態に応じて定められた燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に噴射される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立しているときに「圧縮端参照温度Ttrefが取得されている」場合、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、グロープラグ23の劣化度を確認する(以下、この劣化度の確認を、単に「劣化確認」とも称呼する。)。CPU81は、この劣化確認において「グロープラグ23の劣化度が第2段階である」と確認すると、そのグロープラグ23に印加される印加電圧値Eglをグロープラグ23の劣化度に応じて増大させる運転である「圧縮端温度上昇運転」を行う。これにより、グロープラグ23の発熱量が増大されるので、グロープラグ23が劣化していても、燃料を適切に着火させることができる温度にまで圧縮端温度Ttを上昇させることができる。
具体的に述べると、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図3のステップ300から処理を開始すると、ステップ305、ステップ310およびステップ315を経由してステップ320に進む。現時点において圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ320にて「Yes」と判定し、ステップ330に進む。
CPU81は、ステップ330にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、そのグロープラグ23に印加される印加電圧値Eglを増大させる。更に、CPU81は、この印加電圧値Eglの増大量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、そのグロープラグ23に印加される印加電圧値Eglを増大させない。
以下、場合を分けてより詳細に説明する。
(場合1−1−1)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合
この場合、CPU81は、ステップ330にて「Yes」と判定してステップ335に進む。CPU81は、ステップ335にて、「印加電圧値Eglと、通過電流値Iglと、印加電圧補正量Eglcomと、の関係」を予め定めた印加電圧補正量テーブルMapEglcom(Egl,Igl)に現時点における印加電圧値Egl、および、図示しない電流測定装置によって取得される通過電流値Iglを適用することにより、印加電圧補正量Eglcomを決定・取得する。この印加電圧補正量テーブルMapEglcom(Egl,Igl)において、印加電圧補正量Eglcomは、ある印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加されたときにそのグロープラグ23が全く劣化していなければ得られるべき通過電流値(理想値)と、その印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加されたときの実際の通過電流値Igl(実測値)と、の差が大きくなるにつれて大きくなるように、設計されている。換言すると、この印加電圧補正量テーブルMapEglcom(Egl,Igl)において、印加電圧補正量Eglcomは、グロープラグ23の劣化の程度が大きくなるほど大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ340に進み、印加電圧補正量Eglcomが印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きいか否かを判定する。
印加電圧補正量Eglcomが印加電圧上限補正量Eglcommax以下である場合、CPU81は、ステップ340にて「No」と判定してステップ345に進み、印加電圧値Eglに印加電圧補正量Eglcomを加算して得られる値を印加電圧値EglとしてRAM83に格納(更新)する。これにより、印加電圧値Eglが印加電圧補正量Eglcomだけ増大される。
一方、印加電圧補正量Eglcomが印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ340にて「Yes」と判定し、ステップ350に進む。CPU81は、ステップ350にて、印加電圧補正量Eglcomの値に印加電圧上限補正量Eglcommaxを格納する。即ち、印加電圧補正量Eglcomの値が印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きい場合、印加電圧補正量Eglcomの値は印加電圧上限補正量Eglcommaxに変更される。即ち、第1装置において、印加電圧補正量Eglcomの上限値は印加電圧上限補正量Eglcommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ355に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ355に続くステップ345にて、印加電圧値Eglに印加電圧補正量Eglcom(実際には、印加電圧上限補正量Eglcommax)を加算して得られる値を印加電圧値EglとしてRAM83に格納(更新)する。
(場合1−1−2)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合
この場合、CPU81は、ステップ330にて「No」と判定してステップ360に進む。CPU81は、ステップ360にて、印加電圧補正量Eglcomの値にゼロを格納してステップ345に進む。
CPU81は、ステップ345にて、印加電圧値Eglに印加電圧補正量Eglcomを加算して得られる値を印加電圧値EglとしてRAM83に格納(更新)する。ところが、現時点における印加電圧補正量Eglcomはゼロであるので、印加電圧値Eglは増大されない。即ち、印加電圧値Eglは補正されない。
以上、「場合1−1−1」と「場合1−1−2」とに場合を分けて説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、印加電圧値Eglは、印加電圧値Eglおよび通過電流値Iglに応じて補正される。ただし、この場合、印加電圧補正量Eglcomが印加電圧上限補正量Eglcommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、印加電圧補正量Eglcomは印加電圧上限補正量Eglcommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、印加電圧値Eglは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、上述したように印加電圧値Eglが決定されると、CPU81は、ステップ325に進み、その印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加する。その後、CPU81は、ステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、グロープラグ23に印加される印加電圧値Eglが増大される圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図3のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図3のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。以上がグロープラグ作動条件が成立している場合(即ち、場合1−1)における第1装置の作動である。
(場合1−2)グロープラグ作動条件が成立していない場合
これに対し、上記グロープラグ作動条件が成立していない場合について、以下に説明する。この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図3のステップ300から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。
CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ395に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始すると、上述したようにステップ410ないしステップ440を経由し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、グロープラグ作動条件が成立していない場合においても、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様、吸気弁26および排気弁28の開閉時期が制御される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図5のステップ500から処理を開始してステップ510に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ510にて「No」と判定する。その後、CPU81は、ステップ595に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、グロープラグ作動条件が成立していないとき、圧縮端温度Ttは推定されない。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図6のステップ600から処理を開始してステップ610に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ610にて「No」と判定する。その後、CPU81は、ステップ695に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、グロープラグ作動条件が成立していないとき、圧縮端参照温度Ttrefは取得されない。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始し、ステップ710ないしステップ760の処理を実行する。したがって、グロープラグ作動条件が成立していない場合においても、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様、所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始してステップ810に進むと、異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて設定された「0」であるので、ステップ810にて「Yes」と判定する。その後、CPU81は、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、グロープラグ作動条件が成立していないとき、グロープラグ23の異常通知はなされない。以上がグロープラグ作動条件が成立していない場合(即ち、場合1−2)における第1装置の作動である。
以上、「場合1−1」と「場合1−2」とに場合を分けて説明したように、グロープラグ作動条件が成立していると、機関10の運転状態に応じて定められた印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加されることにより、グロープラグ23が作動される。更に、グロープラグ23が作動されているとき、各気筒における圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)が推定されるとともに、推定された各気筒における圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度が圧縮端参照温度Ttrefとして取得される。加えて、この圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、上記印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加され続ける。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、上記印加電圧値Eglがグロープラグ23の劣化度に応じて決定される印加電圧補正量Eglcomだけ増大される「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、印加電圧値Eglは所定の印加電圧上限補正量Eglcommaxだけ増大されるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していないと、グロープラグ23は作動されない。しかし、グロープラグ23が作動されなくとも、吸気弁26および排気弁28は機関10の運転状態に応じた時期に開閉せしめられ、インジェクタ22は機関10の運転状態に応じた量の燃料を同運転状態に応じた時期に噴射せしめられる。ただし、グロープラグ23が作動されていないと圧縮端温度Ttおよび圧縮端参照温度Ttrefは取得されないので、グロープラグ23の劣化確認は行われない。
<装置の作用および効果>
第1装置は、グロープラグ23が作動されているとき、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒の圧縮端温度Ttとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。更に、第1装置は、その劣化度に応じた量(印加電圧補正量Eglcom)だけグロープラグ23への印加電圧値Eglを増大させる圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第1装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第1装置は、各気筒における圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度を圧縮端参照温度Ttrefとして採用しているので、上述した圧縮端温度上昇運転を行うことにより、全ての気筒の圧縮端温度を略同一の温度に維持することができる。これにより、第1装置は、グロープラグが劣化した場合であっても各気筒の燃焼のばらつきを抑制することができる。その結果、第1装置は、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
更に、第1装置は、上記印加電圧値Eglの増大量(印加電圧補正量Eglcom)が所定の閾値(印加電圧上限補正量Eglcommax)を超えないように印加電圧値Eglを制御する。これにより、グロープラグ23に過大な電圧が印加されることが防がれるので、グロープラグ23が破損することを回避することができる。
第1装置においては、圧縮端参照温度Ttrefとして、「各気筒における圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度」が採用されている。しかし、圧縮端参照温度Ttrefはこの温度に限定されない。例えば、第1装置は、圧縮端参照温度Ttrefとして、「確認対象気筒以外の気筒における圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度」、「確認対象気筒以外の気筒のうちの一の気筒における圧縮端温度よりも所定温度だけ低い温度」、「各気筒における圧縮端温度の平均値」、「確認対象気筒以外の気筒における圧縮端温度の平均値」、および、「確認対象気筒以外の気筒のうちの一の気筒における圧縮端温度」のうちのいずれか一つを採用し得る。
さらに、第1装置においては、気筒内のガスの気体定数として「理想気体の気体定数R」が採用されている。しかし、気筒内のガスの気体定数は理想気体の気体定数に限定されず、気筒内のガスの気体定数として、実際に気筒内に存在する気体(例えば、空気、排ガスおよび未燃焼物質等)を考慮した適値が採用されてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第2装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第2装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第2装置は、第1装置と同様、各気筒における圧縮端温度(Tt1ないしTt4)を取得するとともに、それらの圧縮端温度に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。更に、第2装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第2装置は、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、「吸気弁26の開閉時期」を調整する。より具体的に述べると、第2装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる目標開弁時期Vinoにて確認対象気筒の吸気弁26を開弁させるとともに、同様に定められる目標閉弁時期Vincにて同吸気弁26を閉弁させる。
一方、第2装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた「吸気弁26の目標閉弁時期Vinc」を、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる吸気弁閉弁時期補正量Vinccomだけ吸気下死点に近づける。
ここで、第2装置は、この吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが所定の吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた「吸気弁26の目標閉弁時期Vinc」を、吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxだけ吸気下死点に近づける。更に、このとき、第2装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第2装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第2装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第2装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、「確認対象気筒における吸気弁26の目標閉弁時期Vincを吸気弁閉弁時期補正量Vinccomだけ吸気下死点に近づける」ように変更する。この吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
目標閉弁時期Vincが吸気下死点に近づけるように変更されると、確認対象気筒に吸入される空気の量が増大するので、確認対象気筒における圧縮比が増大する。圧縮端温度Ttは圧縮比が大きくなるほど高くなる。更に、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけ目標閉弁時期Vincが変更される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで過不足なく上昇せしめられる。
更に、第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomを吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxに変更する。即ち、このとき、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは、吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、確認対象気筒における圧縮比が過剰に増大されることが防がれる。第2装置は、上述したように「吸気弁26の目標閉弁時期Vincを吸気下死点に近づける圧縮端温度上昇運転」を行う。以上が第2装置に採用されている燃焼制御方法である。
<実際の作動>
以下、第2装置の実際の作動について説明する。
第2装置は、第1装置において図3にフローチャートによって示した処理に代えて「図9にフローチャートによって示した処理」を実行する点、および、第1装置において図4にフローチャートによって示した処理に代えて「図10および図11にフローチャートによって示した一連の処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図5ないし図11にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。したがって、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図9に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、図5および図6に示すルーチンによって圧縮端参照温度Ttrefが既に取得されている」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、所定時間が経過する毎に図9にフローチャートによって示した「グロープラグ制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じてグロープラグ23を作動させるか否かを決定する。更に、CPU81は、グロープラグ23を作動させる場合、機関10の運転状態に応じて決定される印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加させる。
この図9に示したルーチンは、ステップ320ないしステップ360が除かれている点においてのみ図3に示したルーチンと相違している。そこで、このルーチンにおいて図3に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図3のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進み、第1装置と同様の「グロープラグ作動条件」が成立しているか否かを判定する。上記仮定に従えば、現時点にてグロープラグ作動条件は成立しているので、CPU81は、ステップ305にて「Yes」と判定してステップ310に進む。
CPU81は、ステップ310にてグロープラグ作動フラグXGLOの値に「1」を格納してステップ315に進み、第1装置と同様のグロープラグ印加電圧テーブルMapEgl(THW,Tin)に現時点における冷却水温度THWおよび吸気温度Tinを適用することにより、印加電圧値Eglを決定・取得する。
次いで、CPU81は、ステップ325に進み、印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加させる。その後、CPU81は、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第2装置においては、グロープラグ作動条件が成立していれば、機関10の運転状態に応じて決定された印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加される。これにより、グロープラグ23が発熱し、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図10および図11に一連のフローチャートによって示した「第2筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「吸気弁26の閉弁時期」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて吸気弁26の目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincを決定するとともに、吸気弁26の実際の開弁時期が目標開弁時期Vinoに一致し、かつ、吸気弁26の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vincに一致するように可変吸気タイミング制御装置26aを制御する。加えて、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて排気弁28の目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcを決定するとともに、排気弁28の実際の開弁時期が目標開弁時期Vexoに一致し、かつ、排気弁28の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vexcに一致するように可変排気タイミング制御装置28aを制御する。更に、CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「吸気弁26の閉弁時期」を吸気下死点に近づける。
この図10および図11に示した一連のルーチンは、ステップ1010ないしステップ1080が追加されている点においてのみ図4に示したルーチンと相違している。そこで、この一連のルーチンにおいて図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図10のステップ1000から処理を開始すると、ステップ410にて吸気弁目標開弁時期Vinoおよび吸気弁目標閉弁時期Vincを取得するとともに、ステップ420にて排気弁目標開弁時期Vexoおよび排気弁目標閉弁時期Vexcを取得し、ステップ1010に進む。
次いで、CPU81は、ステップ1010にて、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。上記仮定に従えば、圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ1010にて「Yes」と判定し、ステップ1020に進む。
CPU81は、ステップ1020にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における吸気弁26の目標閉弁時期Vincを吸気下死点に近づけるように変更する。更に、CPU81は、この目標閉弁時期Vincの変更量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における吸気弁26の目標閉弁時期Vincを変更しない。
以下、場合を分けてより詳細に説明する。
(場合2−1)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合
この場合、CPU81は、ステップ1020にて「Yes」と判定してステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、「圧縮端参照温度Ttrefと圧縮端温度Ttとの差である温度差ΔTと、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomと、の関係」を予め定めた吸気弁閉弁時期補正量テーブルMapVinccom(ΔT)に、現時点における温度差ΔTを適用することにより、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomを決定・取得する。この吸気弁閉弁時期補正量テーブルMapVinccom(ΔT)において、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは、温度差ΔTが大きくなるほど大きくなるように、設計されている。換言すると、この吸気弁閉弁時期補正量テーブルMapVinccom(ΔT)において、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは、グロープラグ23の劣化の程度が大きくなるほど大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ1040に進み、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxよりも大きいか否かを判定する。
吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommax以下である場合、CPU81は、ステップ1040にて「No」と判定してステップ1050に進み、目標閉弁時期Vincが吸気弁閉弁時期補正量Vinccomだけ吸気下死点に近づくように目標閉弁時期Vincを変更する。
一方、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ1040にて「Yes」と判定し、ステップ1060に進む。CPU81は、ステップ1060にて、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの値に吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxを格納する。即ち、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの値が吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxよりも大きい場合、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの値は吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxに変更される。即ち、第2装置において、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの上限値は吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ1070に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ1070に続くステップ1050にて、目標閉弁時期Vincが吸気弁閉弁時期補正量Vinccom(実際には、吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommax)だけ吸気下死点に近づくように目標閉弁時期Vincを変更する。
(場合2−2)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合
この場合、CPU81は、ステップ1020にて「No」と判定してステップ1080に進む。CPU81は、ステップ1080にて、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの値にゼロを格納してステップ1050に進む。
CPU81は、ステップ1050にて、目標閉弁時期Vincが吸気弁閉弁時期補正量Vinccom(実際には、ゼロ)だけ吸気下死点に近づくように目標閉弁時期Vincを変更する。ところが、現時点における吸気弁閉弁時期補正量Vinccomはゼロであるので、目標閉弁時期Vincは吸気下死点に近づけられない。即ち、目標閉弁時期Vincは補正されない。
以上、「場合2−1」と「場合2−2」とに場合を分けて説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、目標閉弁時期Vincは、温度差ΔTに応じて補正される。ただし、この場合、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、目標閉弁時期Vincは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、CPU81は、図11のステップ430に進んで吸気弁26を目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincにて開閉させ、ステップ440に進んで排気弁28を目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcにて開閉させ、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、吸気弁26の閉弁時期が吸気下死点に近づけられる圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始し、ステップ710ないしステップ760の処理を実行する。これにより、第1装置と同様、所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図10および図11に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図10および図11に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、吸気弁26は、上記目標閉弁時期Vincにて閉弁させられる。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、吸気弁26の目標閉弁時期Vincをグロープラグ23の劣化度に応じて決定される吸気弁閉弁時期補正量Vinccomだけ吸気下死点に近づける「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、吸気弁26の目標閉弁時期Vincが所定の吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxだけ吸気下死点に近づけられるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していない場合、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、グロープラグ23は作動されない。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図10のステップ1000から処理を開始し、ステップ410およびステップ420を経由してステップ1010に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ1010にて「No」と判定する。そして、CPU81は、ステップ1080に進んで吸気弁閉弁時期補正量Vinccomの値にゼロを格納し、ステップ1050に進む。その後、CPU81は、図11のステップ430およびステップ440を経由してステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、目標閉弁時期Vincは変更されない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第2装置は、第1装置と同様にグロープラグ23の劣化度を確認する。そして、第2装置は、グロープラグ23の劣化度に応じた量(吸気弁閉弁時期補正量Vinccom)だけ吸気弁26の目標閉弁時期Vincを吸気下死点に近づける圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第2装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第2装置は、上記吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが所定の閾値(吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommax)を超えないように目標閉弁時期Vincを制御する。これにより、吸気弁26の目標閉弁時期Vincが吸気下死点に近づき過ぎることが防がれるので、圧縮比が過剰に増大することを回避することができる。
更に、第2装置は、第1装置と同様、グロープラグが劣化した場合であっても気筒毎の燃焼のばらつきを抑制することができる。その結果、第2装置は、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
第2装置においては、圧縮端温度上昇運転として「グロープラグ23の劣化度に応じた量(吸気弁閉弁時期補正量Vinccom)だけ吸気弁26の目標閉弁時期Vincを吸気下死点に近づける運転」が行われている。この運転は、目標開弁時期Vinoが吸気下死点よりも進角した時期である場合にその目標開弁時期Vinoを遅角させる運転、および、目標開弁時期Vinoが吸気下死点よりも遅角した時期である場合にその目標開弁時期Vinoを進角させる運転、を含む。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第3装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第3装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第3装置は、第1装置と同様、各気筒における圧縮端温度(Tt1ないしTt4)を取得するとともに、それらの圧縮端温度に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。更に、第3装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第3装置は、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、「排気弁28の開閉時期」を調整する。より具体的に述べると、第3装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第3装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる目標開弁時期Vexoにて確認対象気筒の排気弁28を開弁させ、同様に定められる目標閉弁時期Vexcにて同排気弁28を閉弁させる。
一方、第3装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた「排気弁28の目標開弁時期Vexo」を、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる排気弁閉弁時期補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざける。
ここで、第3装置は、この排気弁閉弁時期補正量Vexccomが所定の排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第3装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた「排気弁28の目標閉弁時期Vexc」を、排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxだけ排気上死点から遠ざける。更に、このとき、第3装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第3装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第3装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第3装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第3装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、「確認対象気筒における排気弁28の目標閉弁時期Vexcを排気弁閉弁時期補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざける」ように変更する。この排気弁閉弁時期補正量Vexccomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
目標閉弁時期Vexcが排気上死点から遠ざかるように変更されると、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量(いわゆる、内部EGR量)が増大する。更に、排気弁閉弁時期補正量Vexccomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけ目標閉弁時期Vexcが変更される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで過不足なく上昇せしめられる。
更に、第3装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、排気弁閉弁時期補正量Vexccomを排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxに変更する。即ち、このとき、排気弁閉弁時期補正量Vexccomは、排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、確認対象気筒における内部EGR量が過剰に増大されることが防がれる。第3装置は、上述したように「排気弁28の目標閉弁時期Vexcを排気上死点から遠ざける圧縮端温度上昇運転」を行う。以上が第3装置に採用されている燃焼制御方法である。
<実際の作動>
以下、第3装置の実際の作動について説明する。
第3装置は、第2装置と同様に第1装置において図3にフローチャートによって示した処理に代えて「図9にフローチャートによって示した処理」を実行する点、および、第1装置において図4にフローチャートによって示した処理に代えて「図12および図13にフローチャートによって示した一連の処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図5ないし図9、および、図12および図13にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。したがって、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図9に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、図5および図6に示すルーチンによって圧縮端参照温度Ttrefが既に取得されている」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、第2装置と同様、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始すると、上記仮定に従って現時点にてグロープラグ作動条件は成立しているので、本ルーチンによって印加電圧値Eglを決定・取得するとともに、その印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加する。これにより、グロープラグ23が発熱し、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図12および図13に一連のフローチャートによって示した「第3筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「排気弁28の閉弁時期」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて吸気弁26の目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincを決定するとともに、吸気弁26の実際の開弁時期が目標開弁時期Vinoに一致し、かつ、吸気弁26の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vincに一致するように可変吸気タイミング制御装置26aを制御する。加えて、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて排気弁28の目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcを決定するとともに、排気弁28の実際の開弁時期が目標開弁時期Vexoに一致し、かつ、排気弁28の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vexcに一致するように可変排気タイミング制御装置28aを制御する。更に、CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「排気弁28の閉弁時期」を排気上死点から遠ざける。
この図12および図13に示した一連のルーチンは、ステップ1210ないしステップ1280が追加されている点においてのみ図4に示したルーチンと相違している。そこで、この一連のルーチンにおいて図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図12のステップ1200から処理を開始すると、ステップ410にて吸気弁目標開弁時期Vinoおよび吸気弁目標閉弁時期Vincを取得するとともに、ステップ420にて排気弁目標開弁時期Vexoおよび排気弁目標閉弁時期Vexcを取得し、ステップ1210に進む。
次いで、CPU81は、ステップ1210にて、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。上記仮定に従えば、圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ1210にて「Yes」と判定し、ステップ1220に進む。
CPU81は、ステップ1220にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における排気弁28の目標閉弁時期Vexcを排気上死点から遠ざけるように変更する。更に、CPU81は、この目標閉弁時期Vexcの変更量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における排気弁28の目標閉弁時期Vexcを変更しない。
以下、場合を分けてより詳細に説明する。
(場合3−1)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合
この場合、CPU81は、ステップ1220にて「Yes」と判定してステップ1230に進む。CPU81は、ステップ1230にて、「圧縮端参照温度Ttrefと圧縮端温度Ttとの差である温度差ΔTと、排気弁閉弁時期補正量Vexccomと、の関係」を予め定めた排気弁閉弁時期補正量テーブルMapVexccom(ΔT)に、現時点における温度差ΔTを適用することにより、排気弁閉弁時期補正量Vexccomを決定・取得する。この排気弁閉弁時期補正量テーブルMapVexccom(ΔT)において、排気弁閉弁時期補正量Vexccomは、温度差ΔTが大きくなるにつれて大きくなるように、設計されている。換言すると、この排気弁閉弁時期補正量テーブルMapVexccom(ΔT)において、排気弁閉弁時期補正量Vexccomは、グロープラグ23の劣化の程度が大きくなるほど大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ1240に進み、排気弁閉弁時期補正量Vexccomが排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きいか否かを判定する。
排気弁閉弁時期補正量Vexccomが排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommax以下である場合、CPU81は、ステップ1240にて「No」と判定してステップ1250に進み、目標閉弁時期Vexcを排気弁閉弁時期補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざけるように目標閉弁時期Vexcを変更する。
一方、排気弁閉弁時期補正量Vexccomが排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ1240にて「Yes」と判定し、ステップ1260に進む。CPU81は、ステップ1260にて、排気弁閉弁時期補正量Vexccomの値に排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxを格納する。即ち、排気弁閉弁時期補正量Vexccomの値が排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きい場合、排気弁閉弁時期補正量Vexccomの値は排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxに変更される。即ち、第3装置において、排気弁閉弁時期補正量Vexccomの上限値は排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ1270に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ1270に続くステップ1250にて、目標閉弁時期Vexcを排気弁閉弁時期補正量Vexccom(実際には、排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommax)だけ排気上死点から遠ざけるように目標閉弁時期Vexcを変更する。
(場合3−2)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合
この場合、CPU81は、ステップ1220にて「No」と判定してステップ1280に進む。CPU81は、ステップ1280にて、排気弁閉弁時期補正量Vexccomの値にゼロを格納してステップ1250に進む。
CPU81は、ステップ1250にて、目標閉弁時期Vexcを排気弁閉弁時期補正量Vexccom(実際には、ゼロ)だけ排気上死点から遠ざけるように目標閉弁時期Vexcを変更する。ところが、現時点における排気弁閉弁時期補正量Vexccomはゼロであるので、目標閉弁時期Vexcは排気上死点から遠ざけられない。即ち、目標閉弁時期Vexcは変更されない。
以上、「場合3−1」と「場合3−2」とに場合を分けて説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、目標閉弁時期Vexcは、温度差ΔTに応じて補正される。ただし、この場合、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomが吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、吸気弁閉弁時期補正量Vinccomは吸気弁閉弁時期上限補正量Vinccommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、目標閉弁時期Vexcは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、CPU81は、図13のステップ430に進んで吸気弁26を目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincにて開閉させ、ステップ440に進んで排気弁28を目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcにて開閉させ、ステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、排気弁28の閉弁時期が排気上死点から遠ざけられる圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始し、ステップ710ないしステップ760の処理を実行する。これにより、第1装置と同様、所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図12および図13に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図12および図13に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、排気弁28は、上記目標閉弁時期Vexcにて閉弁させられる。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、排気弁28の目標閉弁時期Vexcをグロープラグ23の劣化度に応じて決定される排気弁閉弁時期補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざける「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、排気弁28の目標閉弁時期Vexcは所定の排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxだけ排気上死点から遠ざけられるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していない場合、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、グロープラグ23は作動されない。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図12のステップ1200から処理を開始し、ステップ410およびステップ420を経由してステップ1210に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ1210にて「No」と判定する。そして、CPU81は、ステップ1280に進んで排気弁閉弁時期補正量Vexccomの値にゼロを格納し、ステップ1250に進む。その後、CPU81は、図13のステップ430およびステップ440を経由してステップ1295に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、目標閉弁時期Vexcは変更されない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第3装置は、第1装置と同様にグロープラグ23の劣化度を確認する。そして、第3装置は、グロープラグ23の劣化度に応じた量(排気弁閉弁時期補正量Vexccom)だけ排気弁28の目標閉弁時期Vexcを排気上死点から遠ざける圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第3装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第3装置は、上記排気弁閉弁時期補正量Vexccomが所定の閾値(排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommax)を超えないように目標閉弁時期Vexcを制御する。これにより、排気弁28の目標閉弁時期Vexcが排気上死点から離れ過ぎることが防がれるので、内部EGR量が過剰に増大することを回避することができる。
更に、第3装置は、第1装置と同様、グロープラグが劣化した場合であっても気筒毎の燃焼のばらつきを抑制することができる。その結果、第3装置は、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
第3装置においては、圧縮端温度上昇運転として「グロープラグ23の劣化度に応じた量(排気弁閉弁時期補正量Vexccom)だけ排気弁28の目標閉弁時期Vexcを排気上死点から遠ざける運転」が行われている。この運転は、目標閉弁時期Vexcが排気上死点よりも進角した時期である場合に目標閉弁時期Vexcを進角させる運転、目標閉弁時期Vexcが排気上死点よりも遅角した時期である場合に目標閉弁時期Vexcを遅角させる運転、目標閉弁時期Vexcが排気上死点よりも進角した時期である場合に目標閉弁時期Vexcを排気上死点を超えて遅角させる運転、および、目標閉弁時期Vexcが排気上死点よりも遅角した時期である場合に目標閉弁時期Vexcを排気上死点を超えて進角させる運転、を含む。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第4装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第4装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第4装置は、第1装置と同様、各気筒における圧縮端温度(Tt1ないしTt4)を取得するとともに、それらの圧縮端温度に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。更に、第4装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第4装置は、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、「吸気弁26の開閉時期」を調整する。より具体的に述べると、第4装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第4装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる目標開弁時期Vinoにて確認対象気筒の吸気弁26を開弁させるとともに、同様に定められる目標閉弁時期Vincにて同吸気弁26を閉弁させる。
一方、第4装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第4装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた「吸気弁26の目標開弁時期Vino」を、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる吸気弁開弁時期補正量Vinocomだけ排気上死点よりも進角させる。
ここで、第4装置は、この吸気弁開弁時期補正量Vinocomが所定の吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第4装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた吸気弁26の目標開弁時期Vinoを、吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxだけ排気上死点よりも進角させる。更に、このとき、第4装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第4装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第4装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第4装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第4装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、「確認対象気筒における排気弁28の目標開弁時期Vinoを吸気弁開弁時期補正量Vinocomだけ排気上死点よりも進角させる」ように変更する。この吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも進角されるように変更されると、吸気弁26が開弁してから気筒内のピストンが排気上死点に到達するまでの期間(即ち、排気行程)において、燃焼後の高温のガス(排ガス)が吸気通路に向けて押し出される。この吸気通路に押し出される排ガスの量は、吸気弁26の開弁時期が排気上死点よりも進角される量が大きくなるほど大きくなる。吸気通路に押し出された排ガスは、吸気行程において、空気(新気)とともに気筒内に吸入される。その結果、上記第3装置と同様、高温の排ガスの一部が気筒内に残留させられる。更に、吸気弁開弁時期補正量Vinocomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけ目標開弁時期Vinoが変更される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで過不足なく上昇せしめられる。
更に、第4装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、吸気弁開弁時期補正量Vinocomを吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxに変更する。即ち、このとき、吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、確認対象気筒内に残留させられる排ガスの量が過剰に増大されることが防がれる。第4装置は、上述したように「吸気弁26の目標開弁時期Vinoを排気上死点よりも進角させる圧縮端温度上昇運転」を行う。以上が第4装置に採用されている燃焼制御方法である。
<実際の作動>
以下、第4装置の実際の作動について説明する。
第4装置は、第2装置と同様に第1装置において図3にフローチャートによって示した処理に代えて「図9にフローチャートによって示した処理」を実行する点、および、第1装置において図4にフローチャートによって示した処理に代えて「図14および図15にフローチャートによって示した一連の処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図5ないし図9、および、図14および図15にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。したがって、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図9に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、図5および図6に示すルーチンによって圧縮端参照温度Ttrefが既に取得されている」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、第2装置と同様、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始すると、上記仮定に従って現時点にてグロープラグ作動条件は成立しているので、本ルーチンによって印加電圧値Eglを決定・取得するとともに、その印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加する。これにより、グロープラグ23が発熱し、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図14および図15に一連のフローチャートによって示した「第4筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「吸気弁26の開弁時期」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて吸気弁26の目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincを決定するとともに、吸気弁26の実際の開弁時期が目標開弁時期Vinoに一致し、かつ、吸気弁26の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vincに一致するように可変吸気タイミング制御装置26aを制御する。加えて、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて排気弁28の目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcを決定するとともに、排気弁28の実際の開弁時期が目標開弁時期Vexoに一致し、かつ、排気弁28の実際の閉弁時期が目標閉弁時期Vexcに一致するように可変排気タイミング制御装置28aを制御する。更に、CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「吸気弁26の開弁時期」を排気上死点よりも進角させる。
この図14および図15に示した一連のルーチンは、ステップ1410ないしステップ1470が追加されている点においてのみ図4に示したルーチンと相違している。そこで、この一連のルーチンにおいて図4に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図4のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図14のステップ1400から処理を開始すると、ステップ410にて吸気弁目標開弁時期Vinoおよび吸気弁目標閉弁時期Vincを取得するとともに、ステップ420にて排気弁目標開弁時期Vexoおよび排気弁目標閉弁時期Vexcを取得し、ステップ1410に進む。
次いで、CPU81は、ステップ1410にて、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。上記仮定に従えば、既に圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ1410にて「Yes」と判定し、ステップ1420に進む。
CPU81は、ステップ1420にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における吸気弁26の目標開弁時期Vinoを排気上死点よりも進角させるように変更する。更に、CPU81は、この目標開弁時期Vinoの変更量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、確認対象気筒における吸気弁26の目標開弁時期Vinoを変更しない。
確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、CPU81は、ステップ1420にて「Yes」と判定してステップ1430に進む。CPU81は、ステップ1430にて、「圧縮端参照温度Ttrefと圧縮端温度Ttとの差である温度差ΔTと、目標開弁時期Vinoと、吸気弁開弁時期補正量Vinocomと、の関係」を予め定めた吸気弁開弁時期補正量テーブルMapVinocom(ΔT,Vino)に、現時点における温度差ΔTおよび目標開弁時期Vinoを適用することにより、吸気弁開弁時期補正量Vinocomを決定・取得する。この吸気弁開弁時期補正量テーブルMapVinocom(ΔT,Vino)において、吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、以下の要件4−1ないし要件4−3を満たすように、設計されている。
(要件4−1)吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、温度差ΔTが大きくなるにつれて大きくなる。
(要件4−2)目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも進角された時期である場合、吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、その目標開弁時期Vinoよりも進角された時期であって上記要件1を満たす時期となる。
(要件4−3)目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも遅角された時期である場合、吸気弁開弁時期補正量Vinocomは、排気上死点よりも進角された時期であって上記要件1を満たす時期となる。
次いで、CPU81は、ステップ1440に進み、吸気弁開弁時期補正量Vinocomが吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きいか否かを判定する。
吸気弁開弁時期補正量Vinocomが吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommax以下である場合、CPU81は、ステップ1440にて「No」と判定してステップ1450に進み、目標開弁時期Vinoを吸気弁開弁時期補正量Vinocomだけ排気上死点よりも進角させるように目標開弁時期Vinoを変更する。
一方、吸気弁開弁時期補正量Vinocomが吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ1440にて「Yes」と判定し、ステップ1460に進む。CPU81は、ステップ1460にて、吸気弁開弁時期補正量Vinocomの値に吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxを格納する。即ち、吸気弁開弁時期補正量Vinocomの値が吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きい場合、吸気弁開弁時期補正量Vinocomの値は吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxに変更される。即ち、第4装置において、吸気弁開弁時期補正量Vinocomの上限値は吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ1470に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ1470に続くステップ1450にて、目標開弁時期Vinoを吸気弁開弁時期補正量Vinocom(実際には、吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommax)だけ排気上死点よりも進角させるように目標開弁時期Vinoを変更する。その後、CPU81は、図15のステップ430に進む。
一方、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、CPU81は、ステップ1420にて「No」と判定し、図15のステップ430に直接進む。
以上、説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、目標開弁時期Vinoは、温度差ΔTおよび目標開弁時期Vinoに応じて補正される。ただし、この場合、吸気弁開弁時期補正量Vinocomが吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、吸気弁開弁時期補正量Vinocomは吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、目標開弁時期Vinoは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、CPU81は、図15のステップ430にて吸気弁26を目標開弁時期Vinoおよび目標閉弁時期Vincにて開閉させ、ステップ440に進んで排気弁28を目標開弁時期Vexoおよび目標閉弁時期Vexcにて開閉させ、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、吸気弁26の開弁時期が排気上死点よりも進角される圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始し、ステップ710ないしステップ760の処理を実行する。これにより、第1装置と同様、所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図14および図15に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図14および図15に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、吸気弁26は、上記目標開弁時期Vinoにて閉弁させられる。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、吸気弁26の開弁時期をグロープラグ23の劣化度に応じて決定される吸気弁開弁時期補正量Vinocomだけ排気上死点よりも進角させる「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、吸気弁26の開弁時期は、所定の吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxだけ排気上死点よりも進角されるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していない場合、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、グロープラグ23は作動されない。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図14のステップ1200から処理を開始し、ステップ410およびステップ420を経由してステップ1410に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ1410にて「No」と判定する。そして、CPU81は、図15のステップ430およびステップ440を経由してステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、目標開弁時期Vinoは変更されない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第4装置は、第1装置と同様にグロープラグ23の劣化度を確認する。そして、第4装置は、グロープラグ23の劣化度に応じた量(吸気弁開弁時期補正量Vinocom)だけ吸気弁26の目標開弁時期Vinoを排気上死点よりも進角させる圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第4装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第4装置は、上記吸気弁開弁時期補正量Vinocomが所定の閾値(吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommax)を超えないように目標開弁時期Vinoを制御する。これにより、吸気弁26の目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも進角され過ぎることが防がれるので、気筒内に残留する排ガスの量が過剰に増大することを回避することができる。
更に、第4装置は、第1装置と同様、グロープラグが劣化した場合であっても気筒毎の燃焼のばらつきを抑制することができる。その結果、第4装置は、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
第4装置においては、圧縮端温度上昇運転として「グロープラグ23の劣化度に応じた量(吸気弁開弁時期補正量Vinocom)だけ吸気弁26の目標開弁時期Vinoを排気上死点よりも進角させる運転」
第4装置においては、圧縮端温度上昇運転として「グロープラグ23の劣化度に応じた量(吸気弁開弁時期補正量Vinocom)だけ吸気弁26の目標開弁時期Vinoを排気上死点よりも進角させる運転」が行われている。この運転は、目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも進角した時期である場合にその目標開弁時期Vinoを進角させる運転、および、目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも遅角した時期である場合にその目標開弁時期Vinoを進角させる運転、を含む。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第5装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第5装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第5装置は、第1装置と同様、各気筒における圧縮端温度(Tt1ないしTt4)を取得するとともに、それらの圧縮端温度に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。更に、第5装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第5装置は、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、「パイロット噴射量Qp」を調整する。より具体的に述べると、第5装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第5装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の燃料を、同様に定められる噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)にて確認対象気筒内に噴射させる。
一方、第5装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた「パイロット噴射量Qp」を、グロープラグ23の劣化度に応じて定められるパイロット噴射補正量Qpcomだけ増大させる。
ここで、第5装置は、このパイロット噴射補正量Qpcomが所定のパイロット噴射上限補正量Qpcommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第5装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた「パイロット噴射量Qp」を、パイロット噴射上限補正量Qpcommaxだけ増大させる。更に、このとき、第5装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第5装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第5装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第5装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第5装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、「確認対象気筒におけるパイロット噴射量Qpをパイロット噴射補正量Qpcomだけ増大する」ように変更する。このパイロット噴射補正量Qpcomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
パイロット噴射された燃料は、自着火前反応によって混合気の温度を上昇させる。そのため、パイロット噴射量Qpが増大されるように変更されると、自着火前反応による気筒内のガスの温度の上昇量を増大させることができる。更に、パイロット噴射補正量Qpcomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけパイロット噴射量Qpが変更される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで過不足なく上昇せしめられる。
更に、第5装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、パイロット噴射補正量Qpcomをパイロット噴射上限補正量Qpcommaxに変更する。即ち、このとき、パイロット噴射補正量Qpcomは、パイロット噴射上限補正量Qpcommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、パイロット噴射量Qpが過剰に増大されることが防がれるので、燃費が悪化することが回避される。第5装置は、このようにパイロット噴射量Qpを増大させる圧縮端温度上昇運転を行う。以上が第5装置に採用されている燃焼制御方法である。
<実際の作動>
以下、第5装置の実際の作動について説明する。
第5装置は、第2装置と同様に第1装置において図3にフローチャートによって示した処理に代えて「図9にフローチャートによって示した処理」を実行する点、および、第1装置において図7にフローチャートによって示した処理に代えて「図16および図17にフローチャートによって示した一連の処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図4ないし図6、図8および図9、ならびに、図16および図17にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。したがって、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図9に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、図5および図6に示すルーチンによって圧縮端参照温度Ttrefが既に取得されている」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始すると、吸気弁26および排気弁28の目標開閉時期を決定・取得するとともに、その目標開閉時期にて吸気弁26および排気弁28が開閉するように、可変吸気タイミング装置26aおよび可変排気タイミング装置28aを制御する。
更に、CPU81は、第2装置と同様、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始すると、上記仮定に従って現時点にてグロープラグ作動条件は成立しているので、本ルーチンによって印加電圧値Eglを決定・取得するとともに、その印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加する。これにより、グロープラグ23が発熱し、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図16および図17に一連のフローチャートによって示した「第5筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「パイロット噴射量Qp」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)ならびに燃料噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)を決定するとともに、パイロット噴射量Qpの燃料をパイロット噴射時期finjpにてインジェクタ22から噴射し、かつ、メイン噴射量Qmの燃料をメイン噴射時期finjmにてインジェクタ22から噴射させる。更に、CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「パイロット噴射量Qp」を増大する。
この図16および図17に示した一連のルーチンは、ステップ1610ないしステップ1680が追加されている点においてのみ図7に示したルーチンと相違している。そこで、この一連のルーチンにおいて図7に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図7のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図16のステップ1600から処理を開始すると、ステップ710にてパイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qmを取得するとともに、ステップ720にてパイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjmを取得し、ステップ1610に進む。
次いで、CPU81は、ステップ1610にて、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。上記仮定に従えば、既に圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ1610にて「Yes」と判定し、ステップ1620に進む。
CPU81は、ステップ1620にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、確認対象気筒におけるパイロット噴射量Qpを増大するように変更する。更に、CPU81は、このパイロット噴射量Qpの変更量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、確認対象気筒におけるパイロット噴射量Qpを変更しない。
以下、場合を分けてより詳細に説明する。
(場合5−1)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合
この場合、CPU81は、ステップ1620にて「Yes」と判定してステップ1630に進む。CPU81は、ステップ1630にて、「圧縮端参照温度Ttrefと圧縮端温度Ttとの差である温度差ΔTと、パイロット噴射補正量Qpcomと、の関係」を予め定めたパイロット噴射補正量テーブルMapQpcom(ΔT)に、現時点における温度差ΔTを適用することにより、パイロット噴射補正量Qpcomを決定・取得する。このパイロット噴射補正量テーブルMapQpcom(ΔT)において、パイロット噴射補正量Qpcomは、温度差ΔTが大きくなるにつれて大きくなるように、設計されている。換言すると、このパイロット噴射補正量テーブルMapQpcom(ΔT)において、パイロット噴射補正量Qpcomは、グロープラグ23の劣化の程度が大きくなるほど大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ1640に進み、パイロット噴射補正量Qpcomがパイロット噴射上限補正量Qpcommaxよりも大きいか否かを判定する。
パイロット噴射補正量Qpcomがパイロット噴射上限補正量Qpcommax以下である場合、CPU81は、ステップ1640にて「No」と判定してステップ1650に進み、パイロット噴射量Qpをパイロット噴射補正量Qpcomだけ増大するようにパイロット噴射量Qpを変更する。
一方、パイロット噴射補正量Qpcomがパイロット噴射上限補正量Qpcommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ1640にて「Yes」と判定し、ステップ1660に進む。CPU81は、ステップ1660にて、パイロット噴射補正量Qpcomの値にパイロット噴射上限補正量Qpcommaxを格納する。即ち、パイロット噴射補正量Qpcomの値がパイロット噴射上限補正量Qpcommaxよりも大きい場合、パイロット噴射補正量Qpcomの値はパイロット噴射上限補正量Qpcommaxに変更される。即ち、第5装置において、パイロット噴射補正量Qpcomの上限値はパイロット噴射上限補正量Qpcommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ1670に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ1670に続くステップ1650にて、パイロット噴射量Qpをパイロット噴射補正量Qpcom(実際には、パイロット噴射上限補正量Qpcommax)だけ増大するようにパイロット噴射量Qpを変更する。
(場合5−2)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合
この場合、CPU81は、ステップ1620にて「No」と判定してステップ1680に進む。CPU81は、ステップ1680にて、パイロット噴射補正量Qpcomの値にゼロを格納してステップ1650に進む。
CPU81は、ステップ1650にて、パイロット噴射量Qpをパイロット噴射補正量Qpcom(実際には、ゼロ)だけ増大するようにパイロット噴射量Qpを変更する。ところが、現時点におけるパイロット噴射補正量Qpcomはゼロであるので、パイロット噴射量Qpは増大されない。即ち、パイロット噴射量Qpは変更されない。
以上、「場合5−1」と「場合5−2」とに場合を分けて説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、パイロット噴射量Qpは、温度差ΔTに応じて補正される。ただし、この場合、パイロット噴射補正量Qpcomがパイロット噴射上限補正量Qpcommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、パイロット噴射補正量Qpcomはパイロット噴射上限補正量Qpcommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、パイロット噴射量Qpは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、CPU81は、図17のステップ730ないしステップ760の処理を第1装置と同様に実行し、燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の燃料を、燃料噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)において、燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ22から噴射させる。これにより、パイロット噴射量Qpが増大される圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図16および図17に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図16および図17に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、パイロット噴射量Qpは変更されない。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、パイロット噴射量Qpをグロープラグ23の劣化度に応じて決定されるパイロット噴射補正量Qpcomだけ増大する「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、パイロット噴射量Qpは所定のパイロット噴射上限補正量Qpcommaxだけ増大されるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していない場合、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、グロープラグ23は作動されない。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図16のステップ1600から処理を開始し、ステップ710およびステップ720を経由してステップ1610に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ1610にて「No」と判定する。そして、CPU81は、ステップ1680に進んでパイロット噴射補正量Qpcomの値にゼロを格納し、ステップ1650に進む。その後、CPU81は、図17のステップ730ないしステップ760の処理を実行し、ステップ1695に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、パイロット噴射量Qpは変更されない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に吸気弁26および排気弁28が開閉される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第5装置は、第1装置と同様にグロープラグ23の劣化度を確認する。そして、第5装置は、グロープラグ23の劣化度に応じた量(パイロット噴射補正量Qpcom)だけパイロット噴射量Qpを増大する圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第5装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第5装置は、上記パイロット噴射補正量Qpcomが所定の閾値(パイロット噴射上限補正量Qpcommax)を超えないようにパイロット噴射量Qpを制御する。これにより、パイロット噴射量Qpが増大され過ぎることが防がれるので、燃費が過剰に悪化することを回避することができる。
更に、第5装置は、第1装置と同様、グロープラグが劣化した場合であっても気筒毎の燃焼のばらつきを抑制することができるので、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第6装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第6装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第6装置は、第1装置と同様、各気筒における圧縮端温度(Tt1ないしTt4)を取得するとともに、それらの圧縮端温度に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。更に、第6装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第6装置は、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、「メイン噴射量Qm」を調整する。より具体的に述べると、第6装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の燃料を、同様に定められる噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)にて確認対象気筒内に噴射させる。
一方、第6装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第2装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた「メイン噴射量Qm」を、グロープラグ23の劣化度に応じて定められるメイン噴射補正量Qmcomだけ増大させる。
ここで、第6装置は、このメイン噴射補正量Qmcomが所定のメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた「メイン噴射量Qm」を、メイン噴射上限補正量Qmcommaxだけ増大させる。更に、このとき、第6装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第6装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
次いで、第6装置の具体的な作動についての説明を行う前に、第6装置に採用されている燃焼制御方法について説明する。
上述したように、グロープラグ23が劣化すると、圧縮端温度Ttは低下する。そこで、第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、確認対象気筒におけるメイン噴射量Qmをメイン噴射補正量Qmcomだけ増大するように変更する。このメイン噴射補正量Qmcomは、グロープラグ23の劣化度に応じて定められる。
メイン噴射量Qmが増大された場合、そのメイン噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大する。このため、気筒を形成している壁面の温度が上昇する。加えて、メイン噴射補正量Qmcomはグロープラグ23の劣化度に応じて定められるので、グロープラグ23の劣化による圧縮端温度Ttの低下を補うために必要かつ十分な量だけメイン噴射量Qmが変更される。その結果、確認対象気筒における圧縮端温度Ttは、燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度。圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで過不足なく上昇せしめられる。
更に、第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、メイン噴射補正量Qmcomをメイン噴射上限補正量Qmcommaxに変更する。即ち、このとき、メイン噴射補正量Qmcomは、メイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きくならないように調整される。これにより、メイン噴射量Qmが過剰に増大されることが防がれるので、燃費が悪化することが回避される。第6装置は、このようにメイン噴射量Qmを増大させる圧縮端温度上昇運転を行う。以上が第6装置に採用されている燃焼制御方法である。
<実際の作動>
以下、第6装置の実際の作動について説明する。
第6装置は、第2装置と同様に第1装置において図3にフローチャートによって示した処理に代えて「図9にフローチャートによって示した処理」を実行する点、および、第1装置において図7にフローチャートによって示した処理に代えて「図18および図19にフローチャートによって示した一連の処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図4ないし図6、図8および図9、ならびに、図18および図19にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。したがって、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図9に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、図5および図6に示すルーチンによって圧縮端参照温度Ttrefが既に取得されている」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始すると、吸気弁26および排気弁28の目標開閉時期を決定・取得するとともに、その目標開閉時期にて吸気弁26および排気弁28が開閉するように、可変吸気タイミング装置26aおよび可変排気タイミング装置28aを制御する。
更に、CPU81は、第2装置と同様、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始すると、上記仮定に従って現時点にてグロープラグ作動条件は成立しているので、本ルーチンによって印加電圧値Eglを決定・取得するとともに、その印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加する。これにより、グロープラグ23が発熱し、気筒内のガスが加熱される。その結果、圧縮端温度Ttは上昇する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図18および図19に一連のフローチャートによって示した「第6筒内温度補正ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認するとともに、その劣化度に応じて「メイン噴射量Qm」を調整する。具体的に述べると、CPU81は、このルーチンにより、機関10の運転状態に応じて燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)ならびに燃料噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)を決定するとともに、パイロット噴射量Qpの燃料をパイロット噴射時期finjpにてインジェクタ22から噴射し、かつ、メイン噴射量Qmの燃料をメイン噴射時期finjmにてインジェクタ22から噴射させる。更に、CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23が作動されているとき、グロープラグ23の劣化度に応じて「メイン噴射量Qm」を増大する。
この図18および図19に示した一連のルーチンは、ステップ1810ないしステップ1880が追加されている点においてのみ図7に示したルーチンと相違している。そこで、この一連のルーチンにおいて図7に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図7のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は適宜省略される。
より具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図18のステップ1800から処理を開始すると、ステップ710にてパイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qmを取得するとともに、ステップ720にてパイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjmを取得し、ステップ1810に進む。
次いで、CPU81は、ステップ1810にて、現時点にて圧縮端参照温度Ttrefが取得されているか否かを判定する。上記仮定に従えば、既に圧縮端参照温度Ttrefは取得されているので、CPU81は、ステップ1810にて「Yes」と判定し、ステップ1820に進む。
CPU81は、ステップ1820にて、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いか否かを判定する。そして、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認するとともに、確認対象気筒におけるメイン噴射量Qmを増大するように変更する。更に、CPU81は、このメイン噴射量Qmの変更量が所定の閾値を超えると、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認するとともに、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置に表示させる。一方、CPU81は、確認対象気筒における圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合、その確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認するとともに、確認対象気筒におけるパイロット噴射量Qpを変更しない。
以下、場合を分けてより詳細に説明する。
(場合6−1)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合
この場合、CPU81は、ステップ1820にて「Yes」と判定してステップ1830に進む。CPU81は、ステップ1830にて、「圧縮端参照温度Ttrefと圧縮端温度Ttとの差である温度差ΔTと、メイン噴射補正量Qmcomと、の関係」を予め定めたメイン噴射補正量テーブルMapQmcom(ΔT)に、現時点における温度差ΔTを適用することにより、メイン噴射補正量Qmcomを取得する。このメイン噴射補正量テーブルMapQmcom(ΔT)において、メイン噴射補正量Qmcomは、温度差ΔTが大きくなるにつれて大きくなるように、設計されている。換言すると、このメイン噴射補正量テーブルMapQmcom(ΔT)において、メイン噴射補正量Qmcomは、グロープラグ23の劣化の程度が大きくなるほど大きくなるように、設計されている。
次いで、CPU81は、ステップ1840に進み、メイン噴射補正量Qmcomがメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きいか否かを判定する。
メイン噴射補正量Qmcomがメイン噴射上限補正量Qmcommax以下である場合、CPU81は、ステップ1840にて「No」と判定してステップ1850に進み、メイン噴射量Qmをメイン噴射補正量Qmcomだけ増大するようにメイン噴射量Qmを変更する。
一方、メイン噴射補正量Qmcomがメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きい場合、CPU81は、ステップ1840にて「Yes」と判定し、ステップ1860に進む。CPU81は、ステップ1860にて、メイン噴射補正量Qmcomの値にメイン噴射上限補正量Qmcommaxを格納する。即ち、メイン噴射補正量Qmcomの値がメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きい場合、メイン噴射補正量Qmcomの値はメイン噴射上限補正量Qmcommaxに変更される。即ち、第6装置において、メイン噴射補正量Qmcomの上限値はメイン噴射上限補正量Qmcommaxに設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ1870に進み、異常発生フラグXEMGの値に「1」を格納する。そして、CPU81は、ステップ1870に続くステップ1850にて、メイン噴射量Qmをメイン噴射補正量Qmcom(実際には、メイン噴射上限補正量Qmcommax)だけ増大するようにメイン噴射量Qmを変更する。
(場合6−2)確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合
この場合、CPU81は、ステップ1820にて「No」と判定してステップ1880に進む。CPU81は、ステップ1880にて、メイン噴射補正量Qmcomの値にゼロを格納してステップ1850に進む。
CPU81は、ステップ1850にて、メイン噴射量Qmをメイン噴射補正量Qmcom(実際には、ゼロ)だけ増大するようにメイン噴射量Qmを変更する。ところが、現時点におけるメイン噴射補正量Qmcomはゼロであるので、メイン噴射量Qmは増大されない。即ち、メイン噴射量Qmは変更されない。
以上、「場合6−1」と「場合6−2」とに場合を分けて説明したように、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第2段階」である場合)、メイン噴射量Qmは、温度差ΔTに応じて補正される。ただし、この場合、メイン噴射補正量Qmcomがメイン噴射上限補正量Qmcommaxを超えると(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると)、メイン噴射補正量Qmcomはメイン噴射上限補正量Qmcommaxに変更される。これに対し、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上である場合(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合)、メイン噴射量Qmは補正されない。更に、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であれば異常発生フラグXEMGの値はイニシャルルーチンにて格納される「0」に維持され、同劣化度が「第3段階」であれば異常発生フラグXEMGの値に「1」が格納される。
次いで、CPU81は、図19のステップ730ないしステップ760の処理を第1装置と同様に実行し、燃料噴射量(パイロット噴射量Qpおよびメイン噴射量Qm)の燃料を、燃料噴射時期(パイロット噴射時期finjpおよびメイン噴射時期finjm)において、燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ22から噴射させる。これにより、メイン噴射量Qmが増大される圧縮端温度上昇運転が実行される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図18および図19に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図18および図19に示す一連のルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、メイン噴射量Qmは変更されない。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、メイン噴射量Qmをグロープラグ23の劣化度に応じて決定されるメイン噴射補正量Qmcomだけ増大する「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、メイン噴射量Qmが所定のメイン噴射上限補正量Qmcommaxだけ増大されるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
これに対し、グロープラグ作動条件が成立していない場合、CPU81は、所定のタイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ305に進むと、ステップ305にて「No」と判定してステップ365に進む。CPU81は、ステップ365にて、グロープラグ作動フラグXGLOの値に「0」を格納する。その後、CPU81は、ステップ995に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、グロープラグ23は作動されない。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図18のステップ1800から処理を開始し、ステップ710およびステップ720を経由してステップ1810に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ1810にて「No」と判定する。そして、CPU81は、ステップ1880に進んでメイン噴射補正量Qmcomの値にゼロを格納し、ステップ1850に進む。その後、CPU81は、図19のステップ730ないしステップ760の処理を実行し、ステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、メイン噴射量Qmは変更されない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に吸気弁26および排気弁28が開閉される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第6装置は、第1装置と同様にグロープラグ23の劣化度を確認する。そして、第6装置は、グロープラグ23の劣化度に応じた量(メイン噴射補正量Qmcom)だけメイン噴射補正量Qmcomを増大する圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第6装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第6装置は、上記メイン噴射補正量Qmcomが所定の閾値(メイン噴射上限補正量Qmcommax)を超えないようにメイン噴射量Qmを制御する。これにより、メイン噴射量Qmが増大され過ぎることが防がれるので、燃費が過剰に悪化することを回避することができる。
更に、第6装置は、第1装置と同様、グロープラグが劣化した場合であっても気筒毎の燃焼のばらつきを抑制することができるので、機関のドライバビリティおよびエミッションを良好に維持することができる。
なお、上述したように、第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、即ち、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いとき、確認対象気筒におけるメイン噴射量Qmをメイン噴射補正量Qmcomだけ増大するように変更する。しかしながら、第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上述したようにメイン噴射量Qmを変更するのに加えて、第3装置のように排気弁28の目標開弁時期Vexoをグロープラグ23の劣化度に応じて定められる排気弁閉弁時期補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざけるように構成されてもよい。
これによれば、上述した第6装置において得られる効果に加えて、以下の効果が得られる。即ち、上述したように、メイン噴射量Qmが増大された場合、そのメイン噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大するので、排ガスの温度が上昇する。一方、排気弁28の目標開弁時期Vexoが排気上死点から遠ざけられた場合、燃焼後の高温のガス(排ガス)のうちの気筒内に残留するガスの量(いわゆる、内部EGR量)が増大する。したがって、メイン噴射量Qmが増大されるとともに、排気弁28の目標開弁時期Vexoが排気上死点から遠ざけられた場合、メイン噴射量Qmの増大によって温度を上昇せしめられた排ガスが気筒内に多く残留することになる。このため、確認対象気筒における圧縮端温度Ttがより確実に燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度であって圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで上昇せしめられるという効果が得られる。
なお、この場合において、メイン噴射補正量Qmcomが所定のメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きいとき(即ち、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき)には、メイン噴射量Qmがメイン噴射上限補正量Qmcommaxだけ増大されるとともに、グロープラグ23が異常であることが図示しない表示装置等に表示され、あるいは、排気弁閉弁時期補正量Vexccomが所定の排気弁閉弁時期上限補正量Vexccommaxよりも大きいとき(即ち、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき)には、排気弁28の目標開弁時期Vexoが排気弁閉弁時期上限補正量Vxccommaxだけ排気上死点から遠ざけられるとともに、グロープラグ23が異常であることが図示しない表示装置等に表示される。
また、第6装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、即ち、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低いとき、上述したようにメイン噴射量Qmを変更するのに加えて、第4装置のように吸気弁26の目標開弁時期Vinoをグロープラグ23の劣化度に応じて定められる吸気弁開弁時期補正量Vinocomだけ排気上死点よりも進角されるように構成されてもよい。
これによれば、上述した第6装置において得られる効果に加えて、以下の効果が得られる。即ち、上述したように、メイン噴射量Qmが増大された場合、そのメイン噴射された燃料が燃焼することによって発生する熱量が増大するので、排ガスの温度が上昇する。一方、吸気弁26の目標開弁時期Vinoが排気上死点よりも進角された場合、吸気弁26が開弁してから気筒内のピストンが排気上死点に到達するまでの期間(即ち、排気行程)において、燃焼後の高温のガス(排ガス)が吸気通路に向けて押し出される。この吸気通路に押し出される排ガスの量は、吸気弁26の開弁時期が排気上死点よりも進角される量が大きくなるほど大きくなる。そして、吸気通路に押し出された排ガスは、吸気行程において、空気(新気)とともに気筒内に吸入される。その結果、高温の排ガスの一部が気筒内に残留することになる。このため、確認対象気筒における圧縮端温度がより確実に燃料を適切に着火させることができる温度(即ち、グロープラグ23の劣化度が「第1段階」である場合と同様の温度であって圧縮端参照温度Ttrefよりも高い温度)にまで上昇せしめられるという効果が得られる。
なお、この場合において、メイン噴射補正量Qmcomが所定のメイン噴射上限補正量Qmcommaxよりも大きいとき(即ち、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき)には、メイン噴射量Qmがメイン噴射上限補正量Qmcommaxだけ増大されるとともに、グロープラグ23が異常であることが図示しない表示装置等に表示され、あるいは、吸気弁開弁時期補正量Vinocomが所定の吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxよりも大きいとき(即ち、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき)には、吸気弁26の目標開弁時期Vinoが吸気弁開弁時期上限補正量Vinocommaxだけ排気上死点よりも進角されるとともに、グロープラグ23が異常であることが図示しない表示装置等に表示される。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態に係る燃焼制御装置(以下、「第7装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第7装置は、第1装置が適用される内燃機関10と同様の内燃機関(図1および図2を参照。)に適用される。したがって、装置の概要についての詳細な説明は省略する。
<装置の作動の概要>
第7装置は、第1装置と同様、確認対象気筒における圧縮端温度Ttを推定する。更に、第1装置は、気筒内のガスが圧縮される前のそのガスの温度に、圧縮行程にて気筒内のガスが圧縮されることに起因して生じる温度変化量(圧縮起因温度変化量ΔTcomp)と、気筒内のガスがグロープラグ23によって加熱されることに起因して生じる温度変化量(加熱起因温度変化量ΔTgl)と、気筒の壁面等への熱損失に起因して生じる温度変化量(熱損失起因温度変化量ΔTloss)と、を加算した温度よりも所定温度ΔTtth2だけ低い温度を圧縮端参照温度Ttrefとして取得する。そして、第7装置は、第1装置と同様、確認対象気筒の圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度を確認する。
第7装置は、第1装置と同様、上記確認されたグロープラグ23の劣化度に応じて、グロープラグ23の印加電圧値Eglを調整する。具体的に述べると、第7装置は、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttref以上であれば、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第1段階」であると確認する。第7装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されたとき、機関10の運転状態に応じて定められる印加電圧値Eglの電圧をグロープラグ23に印加させる。
一方、第7装置は、確認対象気筒の圧縮端温度Ttが圧縮端参照温度Ttrefよりも低ければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第2段階」であると確認する。第7装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されたとき、上記定められた印加電圧値Eglを印加電圧補正量Eglcomだけ増大させる。
ここで、第7装置は、この印加電圧補正量Eglcomが所定の印加電圧上限補正量Eglcommaxよりも大きければ、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度は「第3段階」であると確認する。第7装置は、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されたとき、上記定められた印加電圧値Eglを印加電圧上限補正量Eglcommaxだけ増大させる。更に、このとき、第7装置は、「グロープラグが異常である」ことを図示しない表示装置等に表示する。以上が第7装置の作動の概要である。
<燃焼制御方法>
第7装置は、上述したように、第1装置と同様の燃焼制御方法を採用している。したがって、燃焼制御方法についての詳細な説明は省略する。
<実際の作動>
以下、第7装置の実際の作動について説明する。
第7装置は、第1装置において図6にフローチャートによって示した処理に代えて「図20にフローチャートによって示した処理」を実行する点においてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、これらの相違点を中心として説明する。
CPU81は、図3ないし図5、図7および図8、ならびに、図20にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様のグロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGを用いる。そこで、グロープラグ作動フラグXGLOおよび異常発生フラグXEMGについての詳細な説明は、省略する。
以下、「現時点において、図3に示すグロープラグ作動条件が成立しており、かつ、圧縮端参照温度Ttrefは未だ取得されていない」と仮定して、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図3のステップ300から処理を開始すると、上記仮定に従って、ステップ305、ステップ310、ステップ315、ステップ320、および、ステップ325を経由してステップ395に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、機関10の運転状態に応じて決定される印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加され、気筒内のガスが加熱される。なお、このとき、ステップ310の処理によってグロープラグ作動フラグXGLOの値は「1」に設定される。
更に、CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図4のステップ400から処理を開始すると、吸気弁26および排気弁28の目標開閉時期を決定・取得するとともに、その目標開閉時期にて吸気弁26および排気弁28が開閉するように、可変吸気タイミング装置26aおよび可変排気タイミング装置28aを制御する。
更に、CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図5のステップ500から処理を開始すると、確認対象気筒の圧縮端温度Ttを推定する。
更に、CPU81は、所定時間が経過する毎に図20にフローチャートによって示した「第2圧縮端参照温度取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、グロープラグ23の劣化度を確認する指標となる圧縮端参照温度Ttrefを取得する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図20のステップ2000から処理を開始すると、ステップ2010に進んでグロープラグ作動フラグXGLOの値が「1」であるか否かを判定する。上述したように現時点におけるグロープラグ作動フラグXGLOの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ2010にて「Yes」と判定してステップ2020に進む。
CPU81は、ステップ2020にて、確認対象気筒における現時点のクランク角度CAと、吸気弁26の目標閉弁時期Vincと、が一致するか否かを判定する。現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに一致しない場合、CPU81は、ステップ2020にて「No」と判定してステップ2095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これに対し、現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに一致する場合、CPU81は、ステップ2020にて「Yes」と判定してステップ2030に進む。以下、現時点におけるクランク角度CAが吸気弁26の目標閉弁時期Vincに「一致する」と仮定して、説明を続ける。
上記仮定に従えば、CPU81は、ステップ2030に進み、吸気温度センサ72の出力値に基づいて吸気温度Tinを取得するとともに、その吸気温度Tinを吸気弁閉弁時筒内ガス温度TcとしてRAM83内に格納する。更に、CPU81は、ステップ2030にて、吸気圧センサ73の出力値に基づいて吸気圧Pinを取得し、その吸気圧Pinを吸気弁閉弁時筒内ガス圧力PcとしてRAM83内に格納する。
次いで、CPU81は、ステップ2040に進み、上記ステップ2030にて取得された吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tcおよび吸気弁閉弁時筒内ガス圧力Pc、ROM82に予め記憶されている理想気体の気体定数R、ならびに、ROM82に予め記憶されている「クランク角度CAと筒内容積Vとの関係」に吸気弁26の目標閉弁時期Vincを適用することによって得られる吸気弁閉弁時筒内容積Vcを、図5のルーチンにおいて採用されている上記(1)式に適用することにより、筒内ガス量n(モル数)を取得する。
次いで、CPU81は、ステップ2050に進み、上記ステップ2030にて取得された吸気弁閉弁点時筒内ガス温度Tc、上記「クランク角度CAと筒内容積Vとの関係」に圧縮上死点を適用することによって得られる圧縮上死点時筒内容積Vt、上記ステップ2040と同様の吸気弁閉弁時筒内容積Vc、および、ROM82に予め記憶されている空気の比熱比κを下記(5)式に適用することにより、圧縮起因温度変化量ΔTcompを取得する。
ΔTcomp=Tc・{(Vt/Vc)κ−1−1} ・・・(5)
なお、上記(5)式は、下記(6)式に示す周知のポアソンの式、および、上記(2)式に示す理想気体の状態方程式から導出される。
P・Vκ=const. ・・・(6)
次いで、CPU81は、ステップ2060に進み、「グロープラグ23への印加電圧値Eglと、機関回転速度NEと、吸気弁26の目標閉弁時期Vincと、筒内ガス量nと、空気の定積比熱Cvと、加熱起因温度変化量ΔTglと、の関係」を予め定めた加熱起因温度変化量テーブルMapΔTgl(Egl,NE,Vinc,n,Cv)に、現時点における印加電圧値Egl、機関回転速度NEおよび目標閉弁時期Vinc、上記ステップ2040にて取得した筒内ガス量n、ならびに、ROM82に予め記憶されている空気の定積比熱Cvを適用することにより、加熱起因温度変化量ΔTglを決定・取得する。この加熱起因温度変化量テーブルMapΔTgl(Egl,NE,Vinc,n,Cv)において、加熱起因温度変化量ΔTglは、以下の要件7−1ないし要件7−3を満たすように、設計されている。
(要件7−1)機関回転速度NEと目標閉弁時期Vincとに基づき、「吸気弁26が閉弁されてからピストン29が圧縮上死点に到達するまでに要する時間(圧縮時間)」を算出する。
(要件7−2)上記要件7−1にて算出された圧縮時間と印加電圧値Eglとに基づき、「圧縮時間においてグロープラグ23から気筒内のガスに供給される熱量(供給熱量)」を算出する。
(要件7−3)加熱起因温度変化量ΔTglは、上記要件要件7−2にて算出された供給熱量が大きいほど大きく、かつ、筒内ガス量nおよび定積比熱Cvが大きいほど小さくなる。
次いで、CPU81は、ステップ2070に進み、「冷却水温度THWと、機関回転速度NEと、吸気弁26の目標閉弁時期Vincと、筒内ガス量nと、空気の定積比熱Cvと、熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の関係」を予め定めた熱損失起因温度変化量テーブルMapΔTloss(THW,NE,Vinc,n,Cv)に、現時点における冷却水温度THW、機関回転速度NEおよび目標閉弁時期Vinc、上記ステップ2040にて取得した筒内ガス量n、ならびに、ROM82に予め記憶されている空気の定積比熱Cvを適用することにより、熱損失起因温度変化量ΔTlossを決定・取得する。この熱損失起因温度変化量テーブルMapΔTloss(THW,NE,Vinc,n,Cv)において、熱損失起因温度変化量ΔTlossは、以下の要件7−4ないし要件7−7を満たすように、設計されている。
(要件7−4)熱損失起因温度変化量ΔTlossは、負の数である。
(要件7−5)機関回転速度NEと目標閉弁時期Vincとに基づき、「吸気弁26が閉弁されてからピストン29が圧縮上死点に到達するまでに要する時間(圧縮時間)」を算出する。
(要件7−6)上記要件7−5にて算出された圧縮時間と冷却水温度THWとに基づき、「圧縮時間において気筒内のガスから気筒の壁面等に放出される熱量(損失熱量)」を算出する。
(要件7−7)熱損失起因温度変化量ΔTlossは、上記要件7−6にて算出された損失熱量が大きいほど小さく、かつ、筒内ガス量nおよび定積比熱Cvが大きいほど大きくなる。
次いで、CPU81は、ステップ2080に進み、上述したように取得された吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tc、圧縮起因温度変化量ΔTcomp、加熱起因温度変化量ΔTgl、および、熱損失起因温度変化量ΔTlossを下記(7)式に適用することにより、圧縮端参照温度Ttrefを取得する。下記(7)式において、ΔTtth2は所定の閾値である。ΔTtth2は、機関10が許容することができるグロープラグ23の劣化度等を考慮した適値とし得る。
Ttref=Tc+(ΔTcomp+ΔTgl+ΔTloss)−ΔTtth2 ・・・(7)
上記(7)式に示すように、第7装置は、圧縮端参照温度Ttrefとして、「確認対象気筒における吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tcと、圧縮起因温度変化量ΔTcompと、加熱起因温度変化量ΔTglと、熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の和よりも所定温度(ΔTtth2)だけ低い温度」を採用している。CPU81は、ステップ2080にて圧縮端参照温度Ttrefを取得した後、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、グロープラグ作動条件が成立しているとき、気筒内のガスにおける熱収支に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。
上述したように圧縮端参照温度Ttrefが取得された後、CPU81は、所定のタイミングにて図3のステップ300から処理を開始すると、第1装置と同様、確認対象気筒における圧縮端温度Ttと圧縮端参照温度Ttrefとを比較することにより、グロープラグ23の劣化度を確認する。更に、CPU81は、グロープラグ23の劣化度に応じて印加電圧値Eglを増大させる運転である圧縮端温度上昇運転を実行する。
更に、CPU81は、第1装置と同様、所定のタイミングにて図7のステップ700から処理を開始し、ステップ710ないしステップ760の処理を実行する。これにより、第1装置と同様、所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。
更に、CPU81は、所定のタイミングにて図8のステップ800から処理を開始すると、ステップ810に進む。ここで、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「0」であると(図3に示すルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第1段階」または「第2段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「Yes」と判定してステップ895に直接進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における異常発生フラグXEMGの値が「1」であると(図3に示すルーチンにて、確認対象気筒のグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されていると)、CPU81は、ステップ810にて「No」と判定してステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、「グロープラグ23が異常である」旨を図示しない表示装置上に警報ランプを点等すること等によって表示させる。その後、CPU81は、ステップ895に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、グロープラグ作動条件が成立しておりかつ圧縮端参照温度Ttrefが取得されている場合、圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒における圧縮端温度Ttとが比較されることにより、その確認対象気筒に備えられているグロープラグ23の劣化度が確認される。
この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第1段階」であると確認されると、印加電圧値Eglの電圧がグロープラグ23に印加される。一方、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第2段階」であると確認されると、印加電圧値Eglをグロープラグ23の劣化度に応じて決定される印加電圧補正量Eglcomだけ増大する「圧縮端温度上昇運転」が実行される。
更に、この劣化確認によってグロープラグ23の劣化度が「第3段階」であると確認されると、印加電圧値Eglは所定の印加電圧上限補正量Eglcommaxだけ増大させられるとともに、「グロープラグ23が異常である」旨が表示装置に表示される。
更に、この場合、CPU81は、所定のタイミングにて図20のステップ2000から処理を開始して2010に進むと、グロープラグ作動フラグXGLOの値は「0」であるので、ステップ2010にて「No」と判定してステップ2095に直接進んで本ルーチンを一旦終了する。したがって、この場合、圧縮端参照温度Ttrefは取得されない。加えて、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されない。そのため、グロープラグ23の劣化確認は行われない。
更に、この場合、第1装置と同様、圧縮端温度Ttは推定されず、圧縮端参照温度Ttrefは決定されない。加えて、第1装置と同様、グロープラグ作動条件が成立している場合と同様に所定の燃料噴射量(QpおよびQm)の燃料が所定の燃料噴射時期(finjpおよびfinjm)にて燃料噴射気筒に供給(噴射)される。更に、第1装置と同様、グロープラグ23は作動されず、グロープラグ23の異常通知はなされない。
<装置の作用および効果>
第7装置は、グロープラグ23が作動されているとき、気筒内のガスの熱収支に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得する。第7装置は、この圧縮端参照温度Ttrefと確認対象気筒の圧縮端温度Ttとを比較することによってグロープラグ23の劣化度を確認するとともに、第1装置と同様、その劣化度に応じた量(印加電圧補正量Eglcom)だけグロープラグ23への印加電圧値Eglを増大させる圧縮端温度上昇運転を行う。これにより、第1装置は、グロープラグ23の劣化度に応じて圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができるので、グロープラグ23が劣化した場合であっても燃料の着火を確実なものとすることができる。
更に、第7装置は、一の気筒内のガスにおける熱収支に基づいて圧縮端参照温度Ttrefを取得している。そのため、全ての気筒のグロープラグ23が同程度に劣化した場合であっても、各気筒毎に圧縮端温度Ttを適切に上昇させることができる。
更に、第7装置は、上記印加電圧値Eglの増大量(印加電圧補正量Eglcom)が所定の閾値(印加電圧上限補正量Eglcommax)を超えないように印加電圧値Eglを制御する。これにより、グロープラグ23に過大な電圧が印加されることが防がれるので、グロープラグ23の破損を回避することができる。
第7装置においては、圧縮端参照温度Ttrefとして、「確認対象気筒における吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tcと、圧縮起因温度変化量ΔTcompと、加熱起因温度変化量ΔTglと、熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の和よりも所定温度(ΔTtth2)だけ低い温度」が採用されている。しかし、圧縮端参照温度Ttrefはこの温度に限定されない。例えば、圧縮端参照温度Ttrefとして、「確認対象気筒における吸気弁閉弁時筒内ガス温度Tcと、圧縮起因温度変化量ΔTcompと、加熱起因温度変化量ΔTglと、熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の和」を採用し得る。
更に、第7装置においては、第1装置と同様の圧縮端温度上昇運転が行われている。しかし、第7装置は、第1装置と同様の圧縮端温度上昇運転以外の圧縮端温度上昇運転を採用し得る。即ち、第7装置は、第1装置と同様の圧縮端温度上昇運転に代えて、第2装置ないし第6装置のうちのいずれと同様の圧縮端温度上昇運転を採用し得る。
加えて、第7装置においては、加熱起因温度変化量ΔTglおよび熱損失起因温度変化量ΔTlossを取得する際に空気の定積比熱Cvが用いられている。しかし、加熱起因温度変化量ΔTglおよび熱損失起因温度変化量Δが取得される際に採用される比熱は、空気の定積比熱Cvに限られない。例えば、第7装置は、比熱として、気筒内に吸入される空気、パイロット噴射にて気筒内に供給される燃料、および、気筒内に残留する排ガスの量(EGR量)等を総合的に考慮した適値を採用し得る。
<実施形態の総括>
以上、第1実施形態ないし第7実施形態にて説明したように、本発明の燃焼制御装置は、
気筒内のガスを加熱するグロープラグ23を有する内燃機関10に適用される燃焼制御装置であって、
前記気筒内で往復動するピストン29の位置が圧縮上死点ATDCにあるときの前記気筒内のガスの温度である圧縮端温度Ttを推定する圧縮端温度推定手段(図5のルーチンを参照。)と、
前記グロープラグ23が作動されているときに前記圧縮端温度推定手段によって推定される圧縮端温度Ttが所定の圧縮端参照温度Ttrefよりも低い場合、前記圧縮端温度Ttを前記所定の圧縮端参照温度Ttref以上に高くする圧縮端温度上昇運転を前記内燃機関10に行わせる圧縮端温度調整手段(図3、図10および図11、図12および図13、図14および図15、図16および図17、ならびに、図18および図19のルーチンを参照。)と、
を備えている。
本発明の燃焼制御装置の一の態様において、
前記燃焼制御装置は、
前記気筒内のガスの量である気筒内ガス量nを取得する気筒内ガス量取得手段(図5のステップ530)と、
前記ピストン29の位置が圧縮上死点ATDCにあるときの前記気筒内のガスの圧力である圧縮端気筒内圧力Ptを取得する圧縮端気筒内圧力取得手段(図5のステップ560)と、
前記ピストン29の位置が圧縮上死点ATDCにあるときの前記気筒内のガスの体積である圧縮端気筒内ガス体積Vtを取得する圧縮端気筒内ガス体積取得手段(図5のステップ570)と、を更に備える。
この態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度推定手段は、
前記気筒内ガス量推定手段によって取得される前記気筒内ガス量nと、前記圧縮端気筒内圧力取得手段によって取得される前記圧縮端気筒内圧力Ptと、前記圧縮端気筒内ガス体積取得手段によって取得される前記圧縮端気筒内ガス体積Vtと、前記気筒内のガスの気体定数Rと、を気体の状態方程式(上記(1)式および上記(2)式を参照。)に適用することによって前記圧縮端温度Ttを推定するようになっている(図5のステップ570)。
更に、本発明の燃焼制御装置の他の態様において、
前記内燃機関10は複数の気筒(上記各実施形態においては、第1気筒ないし第4気筒の4気筒)を有する。
この態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、前記所定の圧縮端参照温度Ttrefとして、
各気筒における前記圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)の平均値よりも所定温度ΔTtth1だけ低い温度(図6のステップ620)、
前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒(例えば、第1気筒)以外の気筒(第2気筒ないし第4気筒)における前記圧縮端温度(Tt2、Tt3およびTt4)の平均値よりも所定温度だけ低い温度、
前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒(例えば、第1気筒)以外の気筒のうちの一の気筒(第2気筒ないし第4気筒のうちの1つ)における前記圧縮端温度(Tt2、Tt3およびTt4のいずれか)よりも所定温度だけ低い温度、
各気筒における前記圧縮端温度(Tt1、Tt2、Tt3およびTt4)の平均値、
前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒(例えば、第1気筒)以外の気筒における前記圧縮端温度(Tt2、Tt3およびTt4)の平均値、および、
前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒(例えば、第1気筒)以外の気筒のうちの一の気筒における前記圧縮端温度(Tt2、Tt3およびTt4のいずれか)、
のうちのいずれか一つを採用するようになっている。
更に、本発明の燃焼制御装置の更に他の態様において、
前記燃焼制御装置は、
前記気筒内のガスが前記ピストン29によって圧縮される前の時点における同ガスの温度である圧縮前温度Tcを取得する圧縮前温度取得手段(図20のステップ2030)を備える。
この態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、前記所定の圧縮端参照温度Ttrefとして、
前記ピストン29による前記気筒内のガスの圧縮に関与する内燃機関10の一または複数の運転パラメータ(Tc、Vt、Vcおよびκ)に基づいて同圧縮に起因する同ガスの温度の変化量である圧縮起因温度変化量ΔTcompと(図20のステップ2050)、
前記グロープラグ23による前記気筒内のガスの加熱に関与する内燃機関10の一または複数の運転パラメータ(Egl、NE、Vinc、nおよびCv)に基づいて同加熱に起因する同ガスの温度の変化量である加熱起因温度変化量ΔTglと(図20のステップ2060)、
前記気筒内のガスの熱損失に関与する内燃機関10の一または複数の運転パラメータ(THW、NE、Vinc、nおよびCv)に基づいて同熱損失に起因する同ガスの温度の変化量である熱損失起因温度変化量ΔTlossと(図20のステップ2070)、
を推定するとともに、
前記所定の圧縮端参照温度Ttrefとして、
前記圧縮前温度Tcと、前記圧縮起因温度変化量ΔTcompと、前記加熱起因温度変化量ΔTglと、前記熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の和よりも所定温度ΔTtth2だけ低い温度(Tc+ΔTcomp+ΔTgl+ΔTloss−ΔTtth2)、および、
前記圧縮前温度Tcと、前記圧縮起因温度変化量ΔTcompと、前記加熱起因温度変化量ΔTglと、前記熱損失起因温度変化量ΔTlossと、の和(Tc+ΔTcomp+ΔTgl+ΔTloss)、
のうちの一方を採用するようになっている(図20のステップ2080)。
更に、上述した各態様の燃焼制御装置において、
前記圧縮端温度調整手段は、前記圧縮端温度上昇運転として、
前記グロープラグ23が電圧Eglを印加されることによって発熱する場合において前記グロープラグ23に印加される電圧Eglを所定の補正電圧値Eglcomだけ増大するグロープラグ印加電圧増大運転(図3のルーチンを参照。)、
吸気弁26の閉弁時期Vincを所定の第1補正量Vinccomだけ吸気下死点に近づける吸気弁閉弁時期補正運転(図10および図11のルーチンを参照。)、
排気弁28の閉弁時期Vexcを所定の第2補正量Vexccomだけ排気上死点から遠ざける排気弁閉弁時期補正運転(図12および図13のルーチンを参照。)、
吸気弁26の開弁時期Vinoを排気上死点よりも所定の第3補正量Vinocomだけ進角させる吸気弁開弁時期進角運転(図14および図15のルーチンを参照。)、
気筒内に主となる燃料Qmを燃料噴射弁22から噴射する主噴射と同主噴射に先だって気筒内に予備的な燃料Qpを同燃料噴射弁22から噴射するパイロット噴射とが行われる場合において前記パイロット噴射において噴射される燃料の量Qpを所定の第1補正燃料量Qpcomだけ増大させるパイロット噴射量増大運転(図16および図17のルーチンを参照。)、
気筒内に主となる燃料Qmを燃料噴射弁22から噴射する主噴射と同主噴射に先だって気筒内に予備的な燃料Qpを同燃料噴射弁22から噴射するパイロット噴射とが行われる場合において前記主噴射において噴射される燃料の量Qmを所定の第2補正燃料量Qmcomだけ増大する主噴射量増大運転(図18および図19のルーチンを参照。)、
のうちの少なくとも一つの運転を行うようになっている。
本発明の燃焼制御装置は、機関10に要求される性能等を考慮して上述した複数の圧縮端温度上昇運転のうちの少なくとも一つの運転を採用し得る。例えば、燃費を良好に維持する観点からは、上記「前記グロープラグ23に印加される電圧Eglを所定の補正電圧値Eglcomだけ増大する運転」が採用されることが好適である。一方、例えば、圧縮端温度上昇運転が行われる際にトルクが変動することを避ける観点からは、上記「前記グロープラグ23に印加される電圧Eglを所定の補正電圧値Eglcomだけ増大する運転」および上記「前記パイロット噴射において噴射される燃料の量Qpを所定の第1補正燃料量Qpcomだけ増大させる運転」等が採用されることが好適である。更に、例えば、劣化したグロープラグ23への負担を軽減する観点からは、上記「前記グロープラグ23に印加される電圧Eglを所定の補正電圧値Eglcomだけ増大する運転」以外の運転が採用されることが好適である。
さらに、前記主噴射量増大運転が行われるとき、前記排気弁閉弁時期補正運転または前記吸気弁開弁時期進角運転(即ち、いわゆる内部EGRが行われる運転)が行われることが好適である。
更に、この燃焼制御装置は、
前記グロープラグ印加電圧増大運転における前記補正電圧値Eglcomが所定の補正電圧閾値Eglcommaxよりも大きいこと(図3のステップ340にて「Yes」と判定されること)、
前記吸気弁閉弁時期補正運転における前記第1補正量Vinccomが所定の第1補正閾値量Vinccommaxよりも大きいこと(図10のステップ1040にて「Yes」と判定されること)、
前記排気弁閉弁時期補正運転における前記第2補正量Vexccomが所定の第2補正閾値量Vexccommaxよりも大きいこと(図12のステップ1240にて「Yes」と判定されること)、
前記吸気弁開弁時期進角運転における前記第3補正量Vinocomが所定の第3補正閾値量Vinocommaxよりも大きいこと(図14のステップ1440にて「Yes」と判定されること)、
前記パイロット量増大運転における前記第1補正燃料量Qpcomが所定の第1補正燃料閾値量Qpcommaxよりも大きいこと(図16のステップ1640にて「Yes」と判定されること)、および、
前記主噴射量増大運転における前記第2補正燃料量Qmcomが所定の第2補正燃料閾値量Qmcommaxよりも大きいこと(図18のステップ1840にて「Yes」と判定されること)、
のうちの少なくとも一つが成立するとき、前記グロープラグ23が異常であることを表示する異常表示手段(図8のルーチンを参照。)を備えている。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
例えば、上記各実施形態において、圧縮端温度上昇運転が行われるとき、グロープラグ23は作動されている。しかし、上記第2実施形態ないし上記第7実施形態においては、圧縮端温度上昇運転が行われるとき、グロープラグ23は必ずしも作動されていなくてもよい。

Claims (7)

  1. 気筒内のガスを加熱するグロープラグを有する内燃機関に適用される燃焼制御装置であって、
    前記気筒内で往復動するピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの温度である圧縮端温度を推定する圧縮端温度推定手段と、
    前記グロープラグが作動されているときに前記圧縮端温度推定手段によって推定される圧縮端温度が所定の圧縮端参照温度よりも低い場合、前記圧縮端温度を前記所定の圧縮端参照温度以上にする圧縮端温度上昇運転を前記内燃機関に行わせる圧縮端温度調整手段と、
    を備えた内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 請求の範囲1に記載の燃焼制御装置であって、
    前記気筒内のガスの量である気筒内ガス量を取得する気筒内ガス量取得手段と、
    前記ピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの圧力である圧縮端気筒内圧力を取得する圧縮端気筒内圧力取得手段と、
    前記ピストンの位置が圧縮上死点にあるときの前記気筒内のガスの体積である圧縮端気筒内ガス体積を取得する圧縮端気筒内ガス体積取得手段と、を備え、
    前記圧縮端温度推定手段は、
    前記気筒内ガス量推定手段によって取得される前記気筒内ガス量と、前記圧縮端気筒内圧力取得手段によって取得される前記圧縮端気筒内圧力と、前記圧縮端気筒内ガス体積取得手段によって取得される前記圧縮端気筒内ガス体積と、前記気筒内のガスの気体定数と、を気体の状態方程式に適用することによって前記圧縮端温度を推定する燃焼制御装置。
  3. 請求の範囲1または請求の範囲2に記載の燃焼制御装置であって、
    前記内燃機関が複数の気筒を有し、
    前記圧縮端温度調整手段は、前記所定の圧縮端参照温度として、
    各気筒における前記圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度、
    前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒における前記圧縮端温度の平均値よりも所定温度だけ低い温度、
    前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒のうちの一の気筒における前記圧縮端温度よりも所定温度だけ低い温度、
    各気筒における前記圧縮端温度の平均値、
    前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒における前記圧縮端温度の平均値、および、
    前記圧縮端温度推定手段によって前記圧縮端温度が推定される対象となっている気筒以外の気筒のうちの一の気筒における前記圧縮端温度、
    のうちのいずれか一つを採用する燃焼制御装置。
  4. 請求の範囲1または請求の範囲2に記載の燃焼制御装置であって、
    前記気筒内のガスが前記ピストンによって圧縮される前の時点における同ガスの温度である圧縮前温度を取得する圧縮前温度取得手段を備え、
    前記圧縮端温度調整手段は、
    前記ピストンによる前記気筒内のガスの圧縮に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同圧縮に起因する同ガスの温度の変化量である圧縮起因温度変化量と、
    前記グロープラグによる前記気筒内のガスの加熱に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同加熱に起因する同ガスの温度の変化量である加熱起因温度変化量と、
    前記気筒内のガスの熱損失に関与する内燃機関の一または複数の運転パラメータに基づいて同熱損失に起因する同ガスの温度の変化量である熱損失起因温度変化量と、
    を推定するとともに、
    前記所定の圧縮端参照温度として、
    前記圧縮前温度と、前記圧縮起因温度変化量と、前記加熱起因温度変化量と、前記熱損失起因温度変化量と、の和よりも所定温度だけ低い温度、および、
    前記圧縮前温度と、前記圧縮起因温度変化量と、前記加熱起因温度変化量と、前記熱損失起因温度変化量と、の和、
    のうちの一方を採用する燃焼制御装置。
  5. 請求の範囲1ないし請求の範囲4のいずれか一項に記載の燃焼制御装置において、
    前記圧縮端温度調整手段は、前記圧縮端温度上昇運転として、
    前記グロープラグが電圧を印加されることによって発熱する場合において前記グロープラグに印加される電圧を所定の補正電圧値だけ増大するグロープラグ印加電圧増大運転、
    吸気弁の閉弁時期を所定の第1補正量だけ吸気下死点に近づける吸気弁閉弁時期補正運転、
    排気弁の閉弁時期を所定の第2補正量だけ排気上死点から遠ざける排気弁閉弁時期補正運転、
    吸気弁の開弁時期を排気上死点よりも所定の第3補正量だけ進角させる吸気弁開弁時期進角運転、
    気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する主噴射と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射するパイロット噴射とが行われる場合において前記パイロット噴射において噴射される燃料の量を所定の第1補正燃料量だけ増大させるパイロット噴射量増大運転、および、
    気筒内に主となる燃料を燃料噴射弁から噴射する主噴射と同主噴射に先立って気筒内に予備的な燃料を同燃料噴射弁から噴射するパイロット噴射とが行われる場合において前記主噴射において噴射される燃料の量を所定の第2補正燃料量だけ増大する主噴射量増大運転、
    のうちの少なくとも一つの運転を行う燃焼制御装置。
  6. 請求の範囲5に記載の燃焼制御装置であって、
    前記主噴射量増大運転が行われるときに前記排気弁閉弁時期補正運転または前記吸気弁開弁時期進角運転が行われる燃焼制御装置。
  7. 請求の範囲5ないし請求の範囲6のいずれか一項に記載の燃焼制御装置であって、
    前記グロープラグ印加電圧増大運転における前記補正電圧値が所定の補正電圧閾値よりも大きいこと、
    前記吸気弁閉弁時期補正運転における前記第1補正量が所定の第1補正閾値量よりも大きいこと、
    前記排気弁閉弁時期補正運転における前記第2補正量が所定の第2補正閾値量よりも大きいこと、
    前記吸気弁開弁時期進角運転における前記第3補正量が所定の第3補正閾値量よりも大きいこと、
    前記パイロット噴射量増大運転における前記第1補正燃料量が所定の第1補正燃料閾値量よりも大きいこと、および、
    前記主噴射量増大運転における前記第2補正燃料量が所定の第2補正燃料閾値量よりも大きいこと、
    のうちの少なくとも一つが成立するとき、前記グロープラグが異常であることを表示する異常表示手段を備えた燃焼制御装置。
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