JPWO2011013728A1 - 経粘膜吸収性を付与したモチリン類似ペプチド化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、モチリンの消化管運動刺激活性を維持し、かつ経粘膜投与において高い吸収性が付与されたモチリン類似ペプチド化合物を提供することを目的とする。本発明者らは、モチリンの経粘膜吸収部位での分解経路およびモチリンの生理活性の維持を考慮して誘導体のデザインおよび合成を行い、天然型モチリンの21位のアミノ酸置換を特徴とする化合物が、経粘膜投与における高い吸収性を示し、且つモチリン同様の活性を維持することを確認し、本発明を完成させるに至った。

Description

本発明は、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞等の消化管機能異常を特徴とする症状の治療に有用な消化管運動刺激活性および経粘膜投与時における高い吸収性を有するようなモチリン類似ペプチド化合物に関する。
モチリンは、腸部平滑筋より単離された、22アミノ酸からなる生理活性ペプチドであり、その構造は、1973年に初めてブタモチリンの単離により明らかにされた(非特許文献1、2)。1995年にヒトモチリンが単離・同定され、ブタモチリンと同じ構造であることが明らかとなった(非特許文献3)。
モチリンの生理機能としては、空腹期に見られる空腹期肛側伝播性強収縮帯(Interdigestive Migrating Complex, 以下、IMCと略す)との関連が知られている。IMCとは、消化管からはがれ落ちた上皮や粘膜、分泌液等の消化管内容物を消化管下部に押し流し、消化管内の掃除の役割を果たしている生理機能の一種である。健常人ではモチリンが空腹期に十二指腸や空腸から約100分間隔で分泌されており、血漿中モチリン濃度の上昇に伴いIMCが発生すること(非特許文献4)、イヌ、サルまたはヒトにモチリンを投与するとIMC が惹起されること(非特許文献5、6、7)、抗モチリン血清を投与することにより生理的なIMC発生が抑えられることなどから、モチリンの分泌によってIMCが惹起され、消化管内残渣が除去されることで、食物の消化や消化液分泌などの消化管機能が正常に維持されていると考えられている(非特許文献8)。
IMCの異常と疾患との関連については、IMCが低下すると消化管内残渣が腸管内に蓄積して腸内細菌の異常増殖を引起し、その結果として腸内細菌によって産生される内毒素によってガスの過剰発生、腹部膨満、下痢、腹痛などの消化器症状を誘発するとの報告(非特許文献9)がある。特に機能性ディスペプシア、術後性腸閉塞や慢性特発性偽性腸閉塞などの消化管機能異常を伴う疾患においては、IMCの発生が低下または認められないとの報告(非特許文献13)や、生体内での内因性モチリンの分泌量の低下やモチリン作用の低下と消化管運動機能の異常・低下が関連しているとの報告(非特許文献14)がある。過敏性腸症候群は炎症や腫瘍などの基礎的疾患が存在しないにもかかわらず、大腸を中心とした下部消化管機能異常により腹痛・腹部膨満感などの慢性の腹部不快感、便秘・下痢などの便通異状をきたす慢性の腸障害である。過敏性腸症候群を発症した患者の少なくとも一部では腸内細菌叢が変化し、菌種の変化や異常増殖などを引き起こしていると報告(非特許文献9)されており、IMCの発生低下による消化管内残渣の腸管内蓄積が腸内細菌叢変化などの原因の一つと考えられる。
これらの消化管機能異常を伴う疾患に対する、現在の第一選択薬はドーパミン受容体拮抗薬、選択的セロトニン5−HT4作動薬、副交感神経刺激薬などの消化管運動機能改善内服薬である。しかし、これらの治療薬による治療は、症状の一時的な改善を示す症例はあるものの、治療効果が認められない症例も多く、現在の消化管運動機能改善内服薬に対する医師および患者の満足度は低いのが現状である。したがって、新たな作用機序に基づく治療薬の提供が切望されており、消化管機能異常を伴う患者に、外部からモチリン受容体作動薬を投与することにより消化管機能を正常化させることが、症状の緩和または疾患の治癒につながると期待されている。
これまで、エリスロマイシンおよびその関連化合物にモチリン作動薬としての活性があることが報告されて以来、消化管機能異常を伴う患者を対象とした低分子モチリン作動薬の臨床試験が実施され(非特許文献19、20)、経口剤として臨床試験に供されたものも複数存在する(非特許文献21、22)。しかしながら、それらの多くはモチリン作動薬としての作用とは無関係な副作用(HERG阻害や精子形成不全、発ガン性)の発現、または反復投与による薬効の減弱などの理由により、医薬品としての開発が中断されており、現在、消化管機能改善薬として上市されたものはない。
またペプチド性の化合物として消化管機能異常を伴う患者を対象に、天然型モチリン、あるいはペプチド性モチリン作動薬を用いた臨床試験が実施されてきた(非特許文献15、16)。しかしながら、これらのペプチド化合物による臨床試験および動物実験に関しては投与経路として静脈内投与しか報告がないのが現状であり、患者への長期間の反復投与が難しく治療効果の確認はできていない。
例えばモチリン類似ペプチド化合物としてバクスター社によりアチルモチンが(特許文献1)、三和化学によりSK-896が(特許文献2)それぞれ、開発されてきた。前者は生体内半減期の向上を目的として創製された化合物であり、モチリンの主な代謝臓器と考えられている腎臓(非特許文献17)のホモジネート上清を用いた代謝実験により代謝安定性の向上が確認されており(特許文献1)、血漿中半減期は約10分でありモチリンの約3倍長い(非特許文献18)。後者は製造の効率化を目的としてデザインされた化合物である。また両者ともにモチリン同等の消化管運動亢進活性を維持している。しかしながら、いずれの化合物においても投与経路が静脈内投与に限定されている点ではモチリンと同様であり、医療施設内での治療に限定され、長期間の使用ができないという問題点がある。そのため、モチリンが本来もっている消化管内残渣の除去による消化管機能を正常に維持するという作用に基づく創薬には至らず、その治療効果を確認できていないのが現状である。
また、モチリンの13位アミノ酸であるメチオニンについては 製造効率を高めるためロイシンに置換したペプチドが開発されてきた(特許文献3)。しかしながら、生物学的活性はモチリンと同等であり、投与経路が静脈内投与に限定されることから長期間の使用ができないという問題点は解決されていない。
以上のことから、モチリン本来の作用に基づいた新規な治療薬を開発するためには、ペプチド性モチリン作動薬を、長期間の投与が可能な非侵襲的投与経路を用いた医薬品として提供することが望まれている。
特開平7-70178 特公平7-42319 特開昭52-46068
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本発明は、天然型モチリンの消化管運動刺激活性を維持し、かつ経粘膜投与において高い吸収性が付与されたモチリン類似ペプチド化合物を提供することを目的とする。
本発明者らはこのような課題を解決するために、まず非浸襲的な経粘膜投与においてモチリンが分解されるのではないかと推測し、肺ホモジネート上清を用いてモチリンの分解実験を行った。その結果、モチリンが分解されることが明らかになり、その分解物を同定することにより、モチリンの分解経路として、C末端がジカルボキシペプチダーゼによる分解を受けることが推定された。
これらの結果に基づいて、本発明者らは、21位のグリシンをプロリンに置換することにより、C末端のジカルボキシペプチダーゼによる分解を阻害し、経粘膜投与における高い吸収性を示すモチリン類似ペプチド化合物を得ることができ、本発明を完成させるに至った。またN末端のフェニルアラニンが分解を受けることが明らかとなったことから、N末端の第1番目のアミノ酸と第2番目のアミノ酸との間のアミド結合を後述する非ペプチド結合である-psi[CH2NH]-結合にすることも更なる代謝安定性の向上に寄与することが示された。
(i)本発明は具体的には、21位のアミノ酸がプロリン置換を特徴とする以下の式(1):
X1 Val X2 Ile Phe Thr Tyr Gly X3 Leu Gln Arg X4 Gln Glu Lys Glu Arg X5 Lys Pro Gln (式1)(SEQ ID NO: 2)
〔式中、各アミノ酸間の結合は、X1-Val間の結合以外は全てアミド結合であり;
X1は芳香族アミノ酸または複素芳香族アミノ酸であり;
X1-Val間の結合はアミド結合または以下の式2
で示される結合であり;
X2はプロリンまたはサルコシンであり;
X3はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり;
X4はメチオニンまたはロイシンであり;
X5はアスパラギンまたはプロリンである〕
により示される配列を含む化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であり、天然型モチリンと同等の消化管運動刺激活性と経粘膜投与における高い吸収性をあわせ持つペプチド化合物を作製することにより、上述した課題を解決することが出来ることを明らかにした。
さらに、本発明は、以下の発明をも包含する。
(ii)(式1)のX1がフェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、およびトリプトファン(Trp)等のα-アミノ酸の他、β-ホモフェニルグリシン(Phg(C#CH2))、アセチルナフチルアラニン(Ac-Nal)である、(i)に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(iii)(式1)のX1がフェニルアラニンまたはβ-ホモフェニルグリシンである、(ii)に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(iv)SEQ ID NO: 3〜15から成る群から選択される配列で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(v)SEQ ID NO: 4で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(vi)SEQ ID NO: 6で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(vii)SEQ ID NO: 8で示される化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
(viii) (i)〜(vii)のいずれか1項に記載のペプチド化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、消化管機能異常を伴う疾患の治療用医薬組成物。
(ix)消化管機能異常を伴う疾患が消化管運動活性の基礎レベルの低下を伴うものである(viii)に記載の医薬組成物。
(x)消化管機能異常を伴う疾患が機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞または術後性腸閉塞である(viii)に記載の医薬組成物。
(xi)医薬組成物が経粘膜投与用である(viii)〜(x)のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(xii)経粘膜投与が経肺投与または経鼻投与である(xi)に記載の医薬組成物。
(xiii)経粘膜投与が経鼻投与である(xii)に記載の医薬組成物。
(xiv) (viii)に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞等の消化管運動活性の基礎レベルの低下を特徴とする症状の治療方法。
本発明による新規なモチリン類似ペプチド化合物は、モチリン様の消化管運動刺激活性を有し、かつ経粘膜投与において高い吸収効率を示す。従って本発明の化合物は、消化管機能異常を伴う疾患(例えば、消化管機能運動活性の基礎レベルの低下を特徴とする症状)を治療するために使用することができる。消化管機能異常を伴う疾患としては、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞等の症状を挙げることができる。また、天然型モチリンよりも経粘膜投与による吸収効率が高く、患者への治療に有効な血漿中濃度をより低い投与量で達成することができる。
図1は、天然型モチリン、化合物4および化合物6を静脈内投与したときの空腹期IMC惹起活性を示すグラフである。 図2は、ラットに天然型モチリンを静脈内投与した後の血漿中濃度推移を示すグラフである。 図3は、天然型モチリン、化合物2(MT114)および化合物6(MT140)の経肺投与後の血漿中濃度推移を示すグラフである。 図4は、サルに天然型モチリンおよび化合物2(MT114)を静脈内投与した後の血漿中濃度推移を示すグラフである。 図5は、サルに天然型モチリンおよび化合物2(MT114)を経鼻投与した後の血漿中濃度推移を示すグラフである。
天然型モチリンはN末端部分が活性発現に必須であること、そして天然型モチリンは6位トレオニン付近よりC末端側にかけてαヘリックス構造を溶液中で形成するが[Andersson A. & Maler L.,J. Biomol. NMR, 24, 103-112(2002)]、活性中心外であるαヘリックス構造に変異を導入した誘導体では受容体活性化能が低下することも知られている[Miller P et al., Peptides, 16, 11-18 (1995)]。これらの文献により示された知見により本発明者らは、αヘリックス構造がN末端の活性中心の安定化に寄与していると推定した。すなわち、αへリックス構造が存在することによりN末端の活性中心構造が保護されると考えた。
したがって、モチリンの分解経路を遮断するような構造改変の際はαヘリックス構造の不安定化に伴う活性低下に影響のない部位を選択した。
モチリンのN末端1位のアミノ酸(X1と称す)は、受容体活性化に必須であるため分解を防ぐことが望ましい。分解酵素への耐性を付与するために、N末端アミノ基からX1-Val間のペプチド結合までの距離を延長もしくは、X1-Val間のペプチド結合を非アミド結合へ置換することは分解耐性の獲得に有用であると考えた。
また、X2は天然型モチリンではプロリンであり、化合物の立体構造を規定しているため、自由度を高めることで受容体活性化能を制御できる可能性があると考えた。X3は天然型モチリンではグルタミン酸であり、6位トレオニンと側鎖間で水素結合を形成し6位からC末端側にかけてのαヘリックス構造形成に寄与していると考えられる[Andersson A. & Maler L.,J. Biomol. NMR, 24, 103-112(2002)]。X3をアラニンやD型グルタミン酸に置換した場合では受容体活性化能は大きく低下することが知られているため[Miller P. et al., Peptides, 16, 11-18 (1995);Peeters T.L., et al., Peptides, 13, 1103-1107 (1992)]、X3についてはL型酸性アミノ酸から選択されるのが望ましい。X4については天然型モチリンではメチオニンであり、側鎖の酸化により受容体活性化能が低下する。そのためメチオニンと側鎖の大きさがほぼ同等であるロイシンへの置換が望ましい。
モチリンはC末端側からジカルボキシペプチダーゼによる分解を受ける。天然型モチリンのC末端側のアミノ酸をプロリンに置換することはペプチド結合の二面角を固定し、ジカルボキシペプチダーゼの基質結合部位や活性中心に配位する際の立体構造障害により分解耐性を獲得すると考えた。
一方で、モチリンのαヘリックス構造は受容体活性化能に対して重要であるため、αヘリックス構造を形成することが困難なプロリンへの置換部位は限定的であると考えられる。以上の観点より、X5および、または21位のプロリン置換を着想した。
このような観点から、本発明者らは誘導体をデザイン・合成し、肺ホモジネート上清を用いた分解実験、および摘出腸管を用いた収縮実験を行った。そして、天然型モチリンの21位のグリシンをプロリンに置換した一連の本発明のモチリン類似ペプチド化合物は、in vivoでの経粘膜投与実験により、天然型モチリンに比して高い吸収性を示し、且つ天然型モチリン同様のIMC惹起活性が維持されることを確認し、本発明を完成させるに至った。
本発明のペプチド化合物は、21位のアミノ酸がプロリン置換を特徴とする以下の一般式(1):
X1 Val X2 Ile Phe Thr Tyr Gly X3 Leu Gln Arg X4 Gln Glu Lys Glu Arg X5 Lys Pro Gln (式1)(SEQ ID NO: 2)
〔式中、各アミノ酸間の結合はX1-Val間の結合以外は全てアミド結合であり;
X1-Val間の結合はアミド結合または以下の式2
で示される結合であり;
X1は芳香族アミノ酸または複素芳香族アミノ酸であり;
X2はプロリンまたはサルコシンであり;
X3はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり;
X4はメチオニンまたはロイシンであり;
X5はアスパラギンまたはプロリンである〕
により示される配列を含む化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であり、天然型モチリンと同様の消化管運動刺激活性と経粘膜投与における高い吸収性をあわせ持つ特徴を有する。
上記式1において、X1は芳香族アミノ酸または複素芳香族アミノ酸である。これらの芳香族アミノ酸または複素芳香族アミノ酸は、芳香環を内部に含むアミノ酸のいずれかのことをいい、例えば、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、およびトリプトファン(Trp)等のα-アミノ酸の他、β-ホモフェニルグリシン(Phg(C#CH2))、アセチルナフチルアラニン(Ac-Nal)などが含まれる。本発明においては、フェニルアラニン、β-ホモフェニルグリシン(Phg(C#CH2))、アセチルナフチルアラニン(Ac-Nal)を、より好ましいX1位アミノ酸の例としてあげることができる。
上記式1において、X1として使用されるものは、L型アミノ酸であってもD型アミノ酸であってもよい。従来技術において、モチリンの第1番目アミノ酸に関して、L型アミノ酸をD型アミノ酸に置換させた変異体がこれまでに作製されており(Miller P. et al., Peptides, 16, 11-18 (1995))、そしてその活性が維持されていることが示されている。
上記式1において、X2は、プロリン(Pro)またはサルコシン(Sar、N-メチルグリシン、MeGlyとも呼ばれる)であり;X3は、グルタミン酸(Glu)またはアスパラギン酸(Asp)であり; X4は、メチオニン(Met)またはロイシン(Leu)であり;そしてX5は、アスパラギン(Asn)またはプロリン(Pro)である。これらのX1〜X5として示されたアミノ酸は、どのような組合せで使用してもよい。
上記式1のペプチド化合物において、第1番目アミノ酸(X1)と第2番目アミノ酸(Val)とのあいだの結合はアミド結合または以下の式2
の結合である。式2の結合は、-psi[CH2NH]-結合とも呼ばれる結合である。X1-Val間の結合は、X1を構成するアミノ酸の種類にかかわらず、アミド結合または-psi[CH2NH]-結合のいずれの結合であってもよい。
本発明の上述した式1の化合物には、例えば以下の配列で示される化合物、またはその医薬的に許容可能な塩が含まれる:
Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 3);
Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 4);
Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Asp Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 5);
Phg(C#CH2) Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 6);
Phg(C#CH2) Val Sar Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 7);
Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 8);
Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 9);
PheValProIlePheThrTyrGlyGluLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 10);
PheValProIlePheThrTyrGlyGluLeuGlnArgLeuGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 11);
Phg(C#CH2)ValSarIlePheThrTyrGlyGluLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 12);
Ac-NalValProIlePheThrTyrGlyGluLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgAsnLysProGln(SEQ ID NO: 13);
Phe ValProIlePheThrTyrGlyAspLeuGlnArgLeuGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 14);
Phe ValProIlePheThrTyrGlyAspLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 15)。
本発明に係る化合物は常法により得ることができる。例えば、化学合成、L型天然アミノ酸のみによるペプチドの場合は組換えDNA技術、またはそれらを組合せることで製造することができる。
ペプチドの化学合成法は既に種々の方法が確立されており、本発明の化合物も公知の方法によって容易に製造できる。例えば、古典的なペプチド合成法や固相法によることができる。具体的には、保護基の付いたアミノ酸を液相法および/または固相法により縮合し、ペプチド鎖を延長させ、必要に応じN末端保護基をピペラジン等の塩基で切断後、酸で全保護基・樹脂を除去し、得られた粗生成物をゲルろ過、限外ろ過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を用いて精製することによって、本発明のペプチドを得ることもできる。例えば、「生化学実験講座1タンパク質の化学」第4巻の第2章、第3章(東京化学同人)、または「続医薬品の開発14 ペプチド合成」(廣川書店)等の成書に記載されている方法によって製造することができる。
本発明の化合物のうち、アミノ酸間の結合として(式2)で表された-psi[CH2NH]-結合を有する化合物についても、化学合成により得ることができる。例えば(式1)においてX1-Val間の結合が-psi[CH2NH]-結合である化合物を合成する場合は、C末端より2位アミノ酸(式1においてはVal)まで上記方法によりペプチド鎖を伸長させた後、2位アミノ酸のαアミノ基の保護基を化学的に切断した後に、BocもしくはFmoc-アミノ酸アルデヒドをシアノトリヒドロホウ酸ナトリウム/1%酢酸による還元アルキル化反応で導入し、上記と同様に酸による脱樹脂・保護を行ない粗生成物を得て、ゲルろ過、限外ろ過、透析、SDS-PAGE、各種クロマトグラフィーなどの分離精製方法を用いて精製することによって、目的とするペプチド類縁体を得ることができる。
L型天然アミノ酸のみによるペプチドについては、組換えDNA技術によって製造することができる。具体的には、本発明に係るペプチドの配列をコードするDNAを有する発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養し、当該培養物から目的のペプチドを採取することができる。
遺伝子を組み込むベクターとしては、例えば大腸菌のベクター(pBR322、pUC18、pUC19等)、枯草菌のベクター(pUB110、pTP5、pC194等)、酵母のベクター(YEp型、YRp型、YIp型)、または動物細胞のベクター(レトロウイルス、ワクシニアウイルス等)等が挙げられるが、その他のものであっても、宿主細胞内で安定に目的遺伝子を保持できるものであれば、いずれをも用いることができる。当該ベクターは、適当な宿主細胞に導入される。目的の遺伝子をプラスミドに組み込む方法や宿主細胞への導入方法としては、例えば、Molecular Cloning(Sambrook et al., 1989)に記載された方法が利用できる。
上記プラスミドにおいて目的のペプチド遺伝子を発現させるために、当該遺伝子の上流にはプロモーターを機能するように接続させる。本発明において用いられるプロモーターとしては、目的遺伝子の発現に用いる宿主細胞に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、形質転換する宿主細胞がEscherichia属の場合はlacプロモーター、trpプロモーター、lppプロモーター、λPLプロモーター、recAプロモーター等を用いることができ、Bacillus属の場合はSPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター等を用いることができ、酵母の場合はGAPプロモーター、PHO5プロモーター、ADHプロモーター等を用いることができ、動物細胞の場合はSV40プロモーター、CMVプロモーター、レトロウイルス由来プロモーター等を用いることができる。
上記のようにして得られた目的遺伝子を含有するベクターを用いて宿主細胞を形質転換する場合、宿主細胞としては細菌(例えば、Escherichia属、Bacillus属等)、酵母(Saccharomyces属、Pichia属、Candida属等)、動物細胞(CHO細胞、COS細胞等)等を用いることができる。培養時の培地としては液体培地が適当であり、当該培地中には培養する形質転換細胞の成育に必要な炭素源、窒素源等が含まれることが特に好ましい。所望によりビタミン類、成長促進因子、血清などを添加することもができる。ここで、本発明のペプチド誘導体を含む培養液から本発明の化合物を精製するには、化学合成によりペプチド化合物を取得する場合と同様の分離精製方法を用いることができる。
本発明の化合物は、消化管機能異常を伴う疾患(例えば、消化管運動活性の基礎レベルの低下を特徴とする症状)を治療するために使用することができる。消化管機能異常とは、内視鏡や血液検査などでも炎症や潰瘍などのあきらかな器質的異常が認められないにも関わらず、消化管の不快な症状を示す状態であり、国際的な診断基準であるROMEIII基準(Gastroenterology 130 : 1377-1556, 2006)により機能性消化管障害として総称される疾患群が、その症状によって細かく分類・定義されている。消化管機能異常を伴う疾患としては、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞等の症状を挙げることができる。
なお、消化管機能異常は、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘、胸焼け、腹部膨満感、食欲不振などの自覚症状の他、消化管内圧測定、胃液検査、胃内pHモニタリング、胃排出能検査、消化管X線検査、内視鏡検査などにより診断される。
本発明の化合物またはその薬学的に許容しうる塩は、目的の消化管運動刺激活性を与えるのに十分な量において、そのままもしくは公知の薬学的に許容しうる担体、賦形剤、増量剤などと混合してヒトを含む動物に対し使用することができる。
本発明において、薬学的に許容しうる塩としては、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩などが挙げられるが、一般的に用いられている塩であれば、上記に限定されるものではない。
本発明に係るペプチド化合物は皮下注射、筋肉内注射、静脈注射などの注射による投与経路も用いることができる。また、本発明に係るペプチド化合物は経粘膜投与において高い吸収量を与えることから、投与経路としては粘膜を介した投与経路、すなわち経口、経鼻、経肺、経口腔粘膜、経膣、点眼などの非注射による経路を用いることができる。望ましくは経口、経鼻および経肺投与であり、最も望ましくは経肺及び経鼻投与である。
上記疾患の治療に本化合物を用いる場合の投与量は、患者の状態、目的とする治療効果の程度、投与経路、投与回数等によって異なり、ヒトへの投与量は0.01μg/kgという低用量から変化させることができる。好ましい投与量は0.01〜500μg/kgであり、より好ましくは0.05〜100μg/kgである。この量を1日あたり1〜3回投与するのが望ましい。
本発明のペプチド化合物またはその薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される担体と組み合わせて使用することができる。薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤などとして配合される。賦形剤の代表的な例としては乳糖があり、滑沢剤の代表的な例としてはタルク、コロイドシリカがある。溶剤の代表的な例としては注射用水、プロピレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油があり、懸濁化剤としてはステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤があるが、一般に用いられている製剤素材であれば、これら以外でもよい。
以下、本発明を実施例、比較例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例における主な略号の意味を以下に示す。
Phg(C#CH2):L-β-ホモフェニルグリシン
Ac-Nal:アセチルナフチルアラニン
Sar:L-サルコシン
CH2-NH:-psi[CH2NH]-結合(シュード結合ともいう)
Fmoc:フルオレニルメチルオキシカルボニル
Boc:t-ブチルオキシカルボニル
TFA:トリフルオロ酢酸
Trt:トリチル
HBTU:N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DCC:N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
TIPS:トリイソプロピルシラン。
化合物の合成
モチリンの分解酵素による分解経路、13位メチオニンの安定性、またモチリン生理活性の維持などを考え、以下に示すモチリン類似ペプチド化合物を合成した。また比較対象として、天然型モチリンの合成も実施した。比較化合物1および2、化合物1〜13のアミノ酸配列は以下の通りである。
天然型モチリン:Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Gly Gln(SEQ ID NO: 1);
比較化合物1(13Leu-モチリン):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Gly Gln(SEQ ID NO: 16);
比較化合物2(MT139):Phe*Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Gly Gln(SEQ ID NO: 17);
化合物1(MT095):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 3);
化合物2(MT114):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 4);
化合物3(MT116):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Asp Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 5);
化合物4(MT124):Phg(C#CH2) Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 6);
化合物5(MT126):Phg(C#CH2) Val Sar Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 7);
化合物6(MT140):Phe*Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 8);
化合物7(MT141):Phe*Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 9);
化合物8(MT107):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 10);
化合物9(MT115):Phe Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 11);
化合物10(MT125):Phg(C#CH2)ValSarIlePheThrTyrGlyGluLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 12);
化合物11(MT128):Ac-Nal Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Glu Leu Gln Arg Met Gln Glu Lys Glu Arg Asn Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 13);
化合物12(MT154):Phe*Val Pro Ile Phe Thr Tyr Gly Asp Leu Gln Arg Leu Gln Glu Lys Glu Arg Pro Lys Pro Gln(SEQ ID NO: 14);
化合物13(MT155):Phe*ValProIlePheThrTyrGlyAspLeuGlnArgMetGlnGluLysGluArgProLysProGln(SEQ ID NO: 15)。
これらの化合物において、第1番目アミノ酸(すなわちX1に相当)とValとの間の結合として-psi[CH2NH]-結合が使用されている場合、その結合を「*」で示す。
ペプチド鎖の延長は主にペプチド合成機(433A、アプライドバイオシステムズ社製)を使用し、Fmoc法にて保護ペプチド誘導体-樹脂を構築し、最後にN末端にBoc-アミノ酸を導入した。得られた保護ペプチド樹脂はトリフルオロ酢酸(TFA)、あるいは種々のスカベンジャーを含む希釈TFAで脱保護し、遊離したペプチドを精製に供した。C18カラムを用いた逆相HPLCにて精製すると共に純度を確認し、質量分析にて構造を確認した。
本発明のペプチド化合物は通常のペプチド合成法にて合成することができ、代表的な合成例として、化合物1(MT095)および化合物6(MT140)の合成の例を以下に示す。
実施例1:化合物1(MT095)の合成
本実施例は、化合物1(MT095、SEQ ID NO: 3)を化学的に合成することを目的として行った。
Fmoc-Gln(Trt)-Alko樹脂(渡辺化学社製、47.6 mg、0.03 mmol)を20%ピペラジンで20分間処理したのち、SEQ ID NO: 3のC末端側から順次、HBTU/HOBtによるFmoc-アミノ酸導入とピペラジンによる脱Fmocを繰り返し、Fmoc-ペプチド-樹脂を構築した。最後にDCC/HOBtにてBoc-Phe-OHを導入した後、得られた保護ペプチド樹脂を90%トリフルオロ酢酸、その他フェノール、水、TIPSを含む脱保護試薬(5.0 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。樹脂をろ去し、ろ液を濃縮後、残渣にエーテルを加え沈殿とした。沈殿をろ取、乾燥し、粗ペプチド約30 mgを得た。
本品を1.0 mLの1 N酢酸に溶解してInertsil PREP ODSカラム(φ20 mm×250 mm、ジーエルサイエンス社製)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル0%〜50%までの50分間直線グラジエント(流速:10 mL/min)で溶出させた。UV(220 nm)でモニタリングし目的画分を分取後、凍結乾燥し、約5.0 mgの目的物を得た。
得られた目的物をInertsil PREP ODSカラム(φ4.6 mm×250 mm、ジーエルサイエンス社製)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル5%〜65%までの30分間直線グラジエント(流速:1.5 mL/min)で溶出させ、UV(220 nm)でモニタリングすることにより目的物の純度を測定した。
得られた目的物はMALDI TOF-MS (Daltonics BIFLEX III、Bruker社製)により分子量を確認するとともに、アミノ酸分析(6 N-HCl中110℃にて24時間処理することによりアミノ酸に加水分解し、HPLCにて各アミノ酸を定量)によりペプチド含量を確認した。MALDI-TOF MS測定値:2738.718(理論値2739.2)、分析HPLC純度 96.0%、アミノ酸分析によるペプチド含量:643μg/mg。
実施例2:化合物6(MT140)の合成
本実施例は、化合物6(MT140、SEQ ID NO: 8)を化学的に合成することを目的として行った。
Fmoc-Gln(Trt)-Alko樹脂(渡辺化学社製、47.6 mg、0.03 mmol)を20%ピペラジンで20分間処理したのち、SEQ ID NO: 8のC末端側から順次、HBTU/HOBtによるFmoc-アミノ酸導入とピペラジンによる脱Fmocを繰り返し、Fmoc-ペプチド-樹脂を構築した。最後にシアノトリヒドロホウ酸ナトリウム/1%酢酸にてBoc-Pheアルデヒドを導入した後、得られた保護ペプチド樹脂を90%トリフルオロ酢酸、その他フェノール、水、TIPSを含む脱保護試薬(5.0 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。樹脂をろ去し、ろ液を濃縮後、残さにエーテルを加え沈殿とした。沈殿をろ取、乾燥し、粗ペプチド約30 mgを得た。
本品を1.0 mLの1 N酢酸に溶解してInertsil PREP ODSカラム(φ20 mm×250 mm、ジーエルサイエンス社製)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル0%〜50%までの50分間直線グラジエント(流速:10 mL/min)で溶出させた。UV(220 nm)でモニタリングし目的画分を分取後、凍結乾燥し、約5.0 mgの目的物を得た。
得られた目的物をInertsil PREP ODSカラム(φ4.6 mm×250 mm、ジーエルサイエンス社製)に添加し、0.1%トリフルオロ酢酸中、アセトニトリル5%〜65%までの30分間直線グラジエント(流速:1.5 mL/min)で溶出させ、UV(220 nm)でモニタリングすることにより目的物の純度を測定した。
得られた目的物はMALDI TOF-MS (Daltonics BIFLEX III、Bruker社製)により分子量を確認した。MALDI-TOF MS測定値:2725.040(理論値2725.2)、分析HPLC純度98.7%、アミノ酸分析によるペプチド含量:707μg/mg。
以下、同様の手法で天然型モチリン、ならびに化合物1〜13(それぞれSEQ ID NO: 3〜15)、そして比較化合物1および2(それぞれSEQ ID NO: 16および17)を製造した。それらのMS値、またアミノ酸分析によるペプチド含量をそれぞれ表1にまとめた。
注:化合物8〜13については、アミノ酸含量を測定していない。また、比較化合物2、化合物6、7、12および13における「*」はアミノ酸間の結合が-psi[CH2NH]-結合であることを示す。
実施例3:空腹期IMC惹起活性の測定
本実施例は、実施例1および2に記載された方法により作製された化合物を用いて、イヌの体内における空腹期の肛側伝播性強収縮帯(IMC)惹起活性を測定することを目的として行った。
化合物の空腹期IMC惹起活性は、ITOHらの方法(Zen Itoh et al, Gastroenterologia Japonica 12; 275-283, 1977)に従い、イヌの消化管にフォーストランスデューサーを縫着し、覚醒下で消化管収縮運動を測定することにより実施した。すなわち、麻酔下でイヌの胃前庭部、十二指腸、空腸、回腸の漿膜面に輪状筋に沿ってフォーストランスデューサーを逢着する手術を施した後に、トランスデューサーのひずみを増幅器を介して記録計に出力した。
覚醒下において、空腹期の自然発生のIMCが終了した約10分後(胃の強収縮10分後)に、天然型モチリンまたはモチリン誘導体化合物の0.1 μg/kgを急速に静脈内投与し、消化管収縮運動を観察した。被験物質投与により胃の強収縮が惹起され、これが十二指腸まで伝播したものをIMCと定義し、0.1μg/kgでIMCを惹起した化合物をIMC惹起活性ありと判定した。
図1に、それぞれ0.1μg/kgの天然型モチリン、化合物4(MT124)および化合物6(MT140)を静脈内投与したときの空腹期IMC惹起活性についての図を、表2に天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の空腹期IMC惹起活性の有無を示した。図1において、矢印は、天然型モチリン、化合物4および6の投与時期を示す。図1において示されるように、天然型モチリンを投与した場合(図中、「↑」で示された時点)に胃前底部での収縮が開始し、その収縮は10分程度継続される。胃前底部の収縮が開始した直後に、その収縮が十二指腸に伝播し、胃前底部の場合と同様にその収縮が10分程度継続される。化合物4(MT124)および化合物6(MT140)を静脈内投与した場合においても、上述したような天然型モチリンを投与した場合の収縮パターンと同様の収縮パターンが見られた。また、図1および表2に示したとおり、天然型モチリン、化合物4(MT124)および化合物6(MT140)だけでなくいずれのモチリン誘導体化合物も自然発生のIMCと同様の空腹期IMCを惹起し、その強度は天然型モチリンとほぼ同程度であった。
これらの結果から、実施例1および2において作製された全ての化合物が、天然型モチリンと同様の空腹期IMC惹起活性を有することが明らかになった。
比較例1:ラットを用いた静脈内投与による天然型モチリンの薬物動態実験
天然型モチリンをラットに静脈内投与し、血漿中濃度を測定した。
静脈内投与は、予め大腿動脈にポリエチレンチューブ(PE-50、クレイ・アダムス社製)を挿入したラットを用いて実施した。試験系として、7週齢の雄性SD系ラット(日本チャールズ・リバー社製)1群に3匹を実験に供した。天然型モチリンを5%マンニトール溶液に溶解して100μg/mLの溶液を調製し、この溶液を1 mL/kgの投与容量で、尾静脈より注射筒および26Gの注射針(ともにテルモ社製)を用いて投与した。投与前、および投与後1、3、5、10、20、30および60分後に大腿動脈に挿入したポリエチレンチューブより血液を採取した。
採取した血液には直ちに1/100容量の10%EDTA・2Na・2H2O溶液を添加後、遠心して血漿を分離した。血漿にはただちに1/10容量の5,000 IU/mLアプロチニン溶液を添加、混合し、測定に供するまで-80℃で保管した。
天然型モチリンの血漿中濃度測定は、抗モチリン抗体を用いたラジオイムノアッセイ(RIA)法により実施した。すなわち、血漿試料に抗モチリン抗体を加えたのち、[125I-Tyr7]モチリンを加えて競合反応させた。これに二次抗体を加えて抗モチリン抗体に結合したモチリンを沈殿させ、上清分離後に沈殿画分中の放射能をγ-カウンター(パーキンエルマー社製)で測定した。
得られた血漿中天然型モチリン濃度推移を図2に示した。また得られた血漿中天然型モチリン濃度推移から、薬物速度論的パラメータとして時間0における血漿中濃度(C0)および血漿中濃度曲線下面積(AUC)を算出した。C0は外挿法にて、AUCは台形法にて求めた。その結果、天然型モチリンを100μg/kgの用量で静脈内投与したときのC0は1797 ng/mL、AUCは3598 ng・分/mLと算出された。
実施例4:ラットを用いた経肺投与による天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の薬物動態実験
本実施例においては、天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物をラットに経肺投与し、その後の血漿中濃度の変化をRIA法を用いて測定することを目的とした。なおRIA法を用いた場合、抗モチリン抗体と抗原抗体反応を示す物質が全て検出されるため、未変化体のほかに抗体に反応する代謝物をも検出する可能性がある。そこで天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物をラットに経肺投与し、得られた血漿をHPLC分画して各画分中の免疫活性を測定することにより、抗体に反応する物質が未変化体であることを明らかにし、血漿中濃度の変化を測定方法としてRIA法が適していることを確認した。
すなわち7週齢の雄性SD系ラット(日本チャールズ・リバー社製)の気管にポリエチレンチューブ(PE-240、クレイ・アダムス社製)を挿入し、天然型モチリンあるいは化合物2(MT114)を0.1 N酢酸水溶液に溶解して1 mg/mLの溶液を調製し、この溶液25μLを、気管内液体噴霧装置(MicroSprayer:Penn Century社製)を用いて気管のポリエチレンチューブ内に投与した。投与5分後に腹大動脈より血液を採取し、採取した血液を比較例1と同様に処理して血漿を分離した。採取した血漿をSep-Pak C18カートリッジ(Waters社製)を用いて前処理し、次いでCosmosil 5C18カラム(ナカライテスク社製)を装着したHPLC(LC-10A, 島津製作所製)に試料を注入して分画を実施した。各試料について、試料注入直後から40分まで1分毎に溶出液を採取し、各画分中の免疫活性をRIA法により測定した。その結果、いずれの血漿試料においても、投与した化合物(未変化体)に対応する溶出位置にのみ免疫活性ピークが検出され、他のピークは観察されなかった。以上の結果から、経肺投与後の血漿中に検出された化合物は未変化体の化合物であり、代謝物が存在する可能性は非常に小さいことが示唆されたことから、本実施例の測定法としてRIA法が適していることが示された。
試料の経肺投与も上記と同様、予め大腿動脈にポリエチレンチューブを挿入したラットを用いて実施した。試験系として、7〜10週齢の雄性SD系ラット(日本チャールズ・リバー社製)1群につき3匹を実験に供した。天然型モチリンあるいはモチリン誘導体化合物を0.1 N酢酸水溶液に溶解して1 mg/mLの溶液を調製し、この溶液25μLを、気管内液体噴霧装置(MicroSprayer:Penn Century社製)を用いて気管のポリエチレンチューブ内に投与した。投与前、および投与後5、10、20、30および60分後に大腿動脈に挿入したポリエチレンチューブより血液を採取した。採取した血液を比較例1と同様に処理して血漿を分離し、血漿中天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物濃度をRIA法により測定した。なお、測定の際にはそれぞれの誘導体を標準物質として用いて検量線を作成し、血漿中濃度を求めた。
天然型モチリン、化合物2(MT114)および化合物6(MT140)を経肺投与した後のこれらの化合物の血漿中濃度推移を図3に示した。図3においても示されるように、天然型モチリンをラットに経肺投与した後の血漿中モチリン濃度の推移と比較して、化合物2(MT114)および化合物6(MT140)をラットに経肺投与した後の血漿中化合物濃度は、投与後のピーク血漿中濃度が高く、天然型モチリンと比較して、より長い時間、生体内で高い濃度を維持できることが示された。
これらの試験によって得られた血漿中の天然型モチリンあるいはモチリン誘導体化合物濃度推移から、薬物速度論的パラメータとして最高血漿中濃度(Cmax)および血漿中濃度曲線下面積(AUC)を算出した。Cmaxは実測値より、AUCは台形法にて求めた。これらの値を使用して、生物学的利用率(バイオアベイラビリティー:BA)(%)を以下の数式により算出した。
BA(%)=[(AUC/Dose)/(AUC(motilin_iv)/Dose(motilin_iv))]×100
AUC:経肺投与後のAUC(ng・分/mL)
Dose:経肺投与における投与量(μg/kg)
AUC(motilin_iv):天然型モチリン静脈内投与後のAUC(ng・分/mL)
Dose(motilin_iv):天然型モチリン静脈内投与における投与量(μg/kg)。
また天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の薬物速度論的パラメータを以下の表3に示した。
表3中に示した結果から示されるように、化合物1(天然型モチリンの21位アミノ酸のグリシンをプロリンに置換。21Pro-モチリン、SEQ ID NO: 3)をラットに経肺投与したときの生物学的利用率(以下、BAと略す)は5.3%であり、天然型モチリン経肺投与時のそれ(3.3%)と比較して高かった。また化合物2(天然型モチリンの13位アミノ酸であるメチオニンをロイシンに置換、さらに21位アミノ酸をプロリンに置換。13Leu-、21Pro-モチリン、SEQ ID NO: 4)をラットに経肺投与したときのBAは10.4%であり、比較化合物1(13Leu-モチリン、SEQ ID NO: 16)(2.8%)と比較して顕著にBAが向上した。さらに化合物6(-psi[CH2NH]-結合、21Pro-モチリン、SEQ ID NO: 8)を経肺投与したときのBAは11.5%であり、比較化合物2(-psi[CH2NH]-モチリン、SEQ ID NO: 17)(4.1%)と比較して顕著にBAが向上した。このように、21位をプロリン置換したモチリン誘導体である化合物1〜13のラット経肺投与におけるBAは5.3〜18.7%であり、いずれも天然型モチリンのBA(3.3%)と比較して向上していた。この結果から、天然型モチリンあるいはモチリン類似ペプチド化合物の21位をプロリン置換することにより、経肺投与時の吸収性向上が認められた。
以上のように、21位をプロリン置換したモチリン誘導体である化合物1〜13をラットに経肺投与した場合、粘膜から生体内への吸収効率が顕著に向上し(表3を参照)、その結果、天然型モチリンと比較して、吸収された化合物の生体内における濃度がより長い時間、高く維持されることが示された。
比較例2:サルを用いた静脈内投与による天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の薬物動態実験
本比較例では、天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物をサルに静脈内投与し、血漿中濃度を測定した。
試験系として、8〜9歳の雄性カニクイザル(N=各1〜2)を実験に供した。天然型モチリンおよび化合物2を5%マンニトール溶液に溶解して100μg/mLの溶液を調製し、この溶液を0.1 mL/kgの投与容量で、右橈側皮静脈より注射筒および注射針(ともにテルモ社製)を用いて投与した。投与前、および投与後5、10、15、20、30および60分後に左橈側皮静脈より血液を採取した。
採取した血液には直ちに1/100容量の10%EDTA・2Na・2H2O溶液を添加後、遠心して血漿を分離した。血漿にはただちに1/10容量の5,000 IU/mLアプロチニン溶液を添加、混合し、測定に供するまで-80℃で保管した。
天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の血漿中濃度測定は、抗モチリン抗体を用いたラジオイムノアッセイ(RIA)法により実施した。すなわち、血漿試料に抗モチリン抗体を加えたのち、[125I-Tyr7]モチリンを加えて競合反応させた。これに二次抗体を加えて抗モチリン抗体に結合したモチリンを沈殿させ、上清分離後に沈殿画分中の放射能をγ-カウンター(パーキンエルマー社製)で測定した。
得られた血漿中天然型モチリン濃度推移を図4に示した。また得られた天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の血漿中濃度推移から、薬物速度論的パラメータとして時間0における血漿中濃度(C0)および血漿中濃度曲線下面積(AUC)を算出した。C0は外挿法にて、AUCは台形法にて求めた。その結果、天然型モチリンおよび化合物2を10μg/kgの用量で静脈内投与したときのC0は233および273 ng/mLであり、AUCは786および926 ng・分/mLと算出された。
実施例5:サルを用いた経鼻投与による天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の薬物動態実験
本実施例においては、天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物をサルに経鼻投与し、その後の血漿中濃度の変化をRIA法により測定することを目的とした。
実験には10〜11歳の雄性カニクイザルを用いた。天然型モチリンあるいは化合物2と結晶セルロースを1:40の割合で混合して経鼻製剤を調製し、20 mgをゼラチンカプセルに充填した。1カプセルを経鼻投与用デバイス(日立オートモティブシステム社製)でカニクイザルの右鼻腔内に投与した。投与前、および投与後5、10、15、20、30、60、120および180分後に橈側皮静脈より血液を採取した。採取した血液を比較例2と同様に処理して血漿を分離し、血漿中天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物濃度をRIA法により測定した。なお、測定の際にはそれぞれの誘導体を標準物質として用いて検量線を作成し、血漿中濃度を求めた。
天然型モチリンおよび化合物2(MT114)をサルに経鼻投与した後のこれらの化合物の血漿中濃度推移を図5に示した。図5においても示されるように、天然型モチリンをサルに経鼻投与した後の血漿中モチリン濃度の推移と比較して、化合物2(MT114)をサルに経鼻投与した後の血漿中化合物濃度は、投与後のピーク血漿中濃度が高く、天然型モチリンと比較して、より長い時間、生体内で高い濃度を維持できることが示された。
これらの試験によって得られた血漿中の天然型モチリンあるいはモチリン誘導体化合物濃度推移から、薬物速度論的パラメータとして最高血漿中濃度(Cmax)および血漿中濃度曲線下面積(AUC)を算出した。Cmaxは実測値より、AUCは台形法にて求めた。これらの値を使用して、生物学的利用率(バイオアベイラビリティー:BA)(%)を以下の数式により算出した。
BA(%)=〔(AUC/Dose)/(AUC(iv)/Dose(iv))〕×100
AUC:経鼻投与後のAUC(ng・分/mL)
Dose:経鼻投与における投与量(μg/kg)
AUC(iv):各化合物を静脈内投与後のAUC(ng・分/mL)
Dose(iv):各化合物を静脈内投与における投与量(μg/kg)。
また天然型モチリンおよびモチリン誘導体化合物の薬物速度論的パラメータを以下の表4に示した。
表4中に示した結果から示されるように、化合物2をサルに経鼻投与したときの生物学的利用率(以下、BAと略す)は5.1%であり、天然型モチリン経鼻投与時のそれ(3.6%)と比較して高かった。以上のように、21位をプロリン置換したモチリン誘導体である化合物2をサルに経鼻投与した場合、粘膜から生体内への吸収効率が向上し、その結果、天然型モチリンと比較して、吸収された化合物の生体内における濃度がより長い時間、高く維持されることが示された。
本発明は、新規なモチリン類似ペプチド化合物に関する。本発明のモチリン類似ペプチド化合物またはその薬学的に許容される塩は、有効な消化管運動刺激活性および経粘膜投与における高い吸収性を有するため、消化管機能異常に起因する疾患(例えば、消化管運動活性の基礎レベルの低下を特徴とする症状)を治療することができる。消化管機能異常に起因する疾患としては、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞等の症状を挙げることができる。天然型モチリンも含め従来のペプチド性モチリン作動薬は静脈内への直接注射のみであったが、本発明の化合物を提供することにより、経粘膜投与をはじめとする静脈内投与以外の投与が可能になり、患者の負担を大幅に軽減できる点で、産業上の有用性は多大なものである。
SEQ ID NO: 1は、ヒトモチリンのアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 2は、モチリン類似体のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 3は、化合物1(MT095)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 4は、化合物2(MT114)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 5は、化合物3(MT116)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 6は、化合物4(MT124)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 7は、化合物5(MT126)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 8は、化合物6(MT140)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 9は、化合物7(MT141)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 10は、化合物8(MT107)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 11は、化合物9(MT115)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 12は、化合物10(MT125)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 13は、化合物11(MT128)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 14は、化合物12(MT154)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 15は、化合物13(MT155)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 16は、比較化合物1(13Leu-モチリン)のアミノ酸配列である。
SEQ ID NO: 17は、比較化合物2(MT139)のアミノ酸配列である。

Claims (7)

  1. 次の一般式1:
    X1 Val X2 Ile Phe Thr Tyr Gly X3 Leu Gln Arg X4 Gln Glu Lys Glu Arg X5 Lys Pro Gln(式1)
    〔式中、各アミノ酸間の結合はX1-Val間の結合以外は全てアミド結合であり;
    X1-Val間の結合はアミド結合または以下の式2
    で示される結合であり;
    X1は芳香族アミノ酸または複素芳香族アミノ酸であり;
    X2はプロリンまたはサルコシンであり;
    X3はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり;
    X4はメチオニンまたはロイシンであり;
    X5はアスパラギンまたはプロリンである〕
    で表される配列で示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
  2. X1がフェニルアラニンまたはβ-ホモフェニルグリシンである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
  3. SEQ ID NO:3ないし15から成る群から選択される配列で示される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
  4. 請求項1ないし3のいずれかひとつに記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を含む、消化管機能異常を伴う疾患の治療用医薬組成物。
  5. 消化管機能異常を伴う疾患が、機能性ディスペプシア、糖尿病性胃不全麻痺、胃食道逆流症、過敏性腸症候群、小腸内細菌過剰増殖症、結腸偽性閉塞症、麻痺性腸閉塞、慢性特発性偽性腸閉塞、および術後性腸閉塞からなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 医薬組成物が経粘膜投与用医薬組成物である、請求項4または5に記載の医薬組成物。
  7. 経粘膜投与が経肺または経鼻である、請求項6に記載の医薬組成物。
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