JPWO2010032487A1 - 携帯電子機器 - Google Patents

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Abstract

本発明の携帯電子機器は、筐体と、電子機器本体と、二次電池を嵌合するための電池嵌合部を含む電池収納部と、電池収納部の表面に設けられる発泡剤含有層と、電池嵌合部に嵌合される二次電池とを備える。発泡剤含有層は、通常は層厚が小さく、電池が万が一発熱した場合には、層厚の大きい発泡層になり、優れた断熱性能を示す。これにより、小型化及び薄肉化の設計自由度と、安全性及び信頼性とを高水準で両立させた携帯電子機器が得られる。

Description

本発明は、携帯電子機器に関する。さらに詳しくは、本発明は、電源である二次電池を収納する筐体構造の改良に関する。
携帯電話、携帯情報端末、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機等の携帯電子機器は、高機能化すればするほど、基板上に実装される発熱部品の数が増える。携帯電子機器の使用時に、発熱部品の放熱により筐体表面が局所的に高温になることがある。
特許文献1は、携帯電子機器の筐体内部に収納される発熱部品の周囲に、放熱性に優れた熱伝導部材を配置することにより、発熱部品からの熱を有利に放散する構造を開示している。熱伝導部材としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス鋼、普通鋼等の金属材料が挙げられている。
特許文献2は、芳香族ポリカーボネートにリン系難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を、電子機器の筐体や部品の材料に用いることを開示している。
特許文献3は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の吸熱材を含有する樹脂組成物を開示している。水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムは、吸熱反応を起こして燃焼熱を低減させる。この吸熱反応は水を放出する反応である。この吸熱反応は、難燃効果を発揮する。
特許文献4は、複数のナトリウム−硫黄単電池を含む電池モジュールを収容するために用いられる真空断熱容器を開示している。この真空断熱容器は、上部に開口を有する箱型の容器本体と、容器本体の開口に装着される容器上蓋とを備え、容器上蓋の天井部分の内部に粒状防火材が充填されている。粒状防火材としては、充填砂、軽量骨材、粉砕ガラス、発泡ガラス等が挙げられている。
国際公開第2008/062879号パンフレット 特許第3682148号公報 特許第3408676号明細書 特開2000−30739号公報
二次電池は、たとえば、極めて大きな衝撃を受けた場合に、発熱することが想定される。そして、リチウムイオン二次電池は、多くのエネルギーを蓄えることが可能であるため、衝撃を受けた場合の発熱量が多くなり、急激な温度上昇が起ると想定される。
二次電池が発熱した場合に、携帯電子機器の表面が高温になるのを抑制するために、二次電池の周囲に断熱層を設けることが行われている。リチウムイオン二次電池は発熱量が多いと想定されるので、厚みの大きな断熱層が必要になる。しかしながら、断熱層の厚みを大きくすると、携帯電子機器の小型化及び薄肉化のための設計の自由度が低下する。
本発明の目的は、電池が発熱していない場合は層厚が小さく、電池が万が一発熱した場合には層厚が大きく、優れた断熱性能を示す発泡層になる発泡剤含有層を備え、安全性に優れる携帯電子機器を提供することである。
本発明の携帯電子機器は、二次電池を電源とする携帯電子機器であって、筐体と、前記筐体内に収納される電子機器本体と、前記筐体内に収納され、所定の外形を有する前記二次電池を嵌合するための電池嵌合部を有する成形体である電池収納部と、前記電池収納部の二次電池を嵌合する側の表面に設けられ、加熱により発泡する発泡剤含有層と、を備えている。
本発明の携帯電子機器によれば、加熱によって発泡する発泡剤含有層を備えることにより、電池の発熱がない通常時には、小型化及び薄肉化のための設計の自由度が向上する。また、電池の発熱時には、発泡剤含有層が発泡して優れた断熱性能を示す発泡層になる。したがって、本発明の携帯電子機器は、電池が万が一発熱しても、表面温度の急激な上昇が抑制されるので、安全性が高い。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本願の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
第1実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機の外観を模式的に示した上面図である。 図1に示した携帯電話機のII−II線の断面図である。 電子機器本体を模式的に示した斜視図である。 電池収納部を模式的に示した斜視図である。 二次電池を収納した電池収納部の断面形状を模式的に示した縦断面図である。 第2実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機の構成を模式的に示した縦断面図である。 二次電池を収納した電池収納部の断面形状を模式的に示した縦断面図である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機1の外観を模式的に示した上面図である。図2は、図1に示した携帯電話機1のII−II線の断面図である。図3は、電子機器本体11及び電池収納部12の斜視図である。図4は、二次電池13を収納する様子を示す電池収納部12の斜視図である。図5は、二次電池13を収納した電池収納部12の断面形状を模式的に示した縦断面図である。
はじめに、携帯電話機1の構成について説明する。
携帯電話機1は、図1及び図2に示すように、筐体10と、筐体10内に収納された電子機器本体11と、電池収納部12と、電池収納部12に収納された二次電池13とを備える。電子機器本体11は、スピーカー18と、マイクロフォン19と、画像表示部20と、入力操作部21と、回路部22と、回路基板23とを備える。
スピーカー18、マイクロフォン19、画像表示部20、入力操作部21、及び回路部22は所定の回路が形成された回路基板23上に実装されている。電池収納部12は、正極端子及び負極端子を備え、回路基板上の回路の所定の位置にそれぞれ実装されている。
図2に示すように、スピーカー18は、筐体10の所定の位置に設けられた受話孔118に対向するように配設されている。また、マイクロフォン19は、筐体10の所定の位置に設けられた送話孔119に対向するように配設されている。画像表示部20は、外部から表示を認識できるように、筐体10に設けられた表示孔120に嵌合されて配設されている。
入力操作部21は、操作者が情報入力できるように、筐体10に設けられた複数の入力ボタンを組み合わせた文字盤からなる入力部121に嵌合されて配設されている。なお、回路基板23の表面には、さらに、必要に応じて、カードコネクターや、小型カメラ装置が実装されていてもよい。
スピーカー18は、着信通知音を報知し、また受話音声を出力する。マイクロフォン19から通話音声が入力される。画像表示部20は、画像、文字、図形または動画を表示する。画像表示部20には、液晶モニター等を使用できる。入力操作部21は、入力部121を用いて入力される操作を受け付ける。画像表示部20がタッチパネルである場合には、画像表示部20が入力操作部21を兼ねる。
回路部22は、回路制御部22a及び記憶部22bを備えている。回路制御部22aは操作者が入力操作部21から入力した、入力情報に応じて各種の動作制御を実行する。記憶部22bは操作者が入力した入力情報等を記憶する。回路制御部22aとしては、複数のICチップや中央集積装置(CPU)が用いられる。記憶部22bとしては、RAMやROM等のメモリが用いられる。
電子機器本体11は、二次電池13から供給される電力により駆動される。
操作者は、入力操作部21からの入力操作により、回路制御部22aに対して命令信号を送る。そして、送られた命令信号により、所定の動作を起こす。また、必要に応じて、入力情報を記憶部22bに記憶させる。
また、操作者は、マイクロフォン19に向けて発話する。発話された音声は回路部22内の回路により無線信号に変換されて、無線信号として他の受信機に向けて送信される。また、他の受信機から発せられた無線信号は、アンテナ回路により受信される。受信された無線信号は回路部22内の回路により音声信号に変換され、音声信号としてスピーカー18から出力される。
次に、携帯電話機1を構成する筐体10について説明する。筐体10は、その内部に電子機器本体11及び電池収納部12を収納する。筐体10は、たとえば、金属材料または樹脂材料から作製される。
次に、携帯電話機1を構成する電池収納部12について詳しく説明する。
電池収納部12は、図2に示すように、二次電池13を嵌合するための電池嵌合部14と、電池嵌合部14に嵌合された二次電池13を覆う蓋部15とを備える。
電池嵌合部14は、二次電池13の形状に対応する内部空間を有する凹部状の部材である。凹部の開口は、電池交換を可能にするために、筐体10の外方に面するように配設されている。電池嵌合部14には、嵌合される二次電池13の正極端子(不図示)に当接する正極端子部(不図示)及び、二次電池13の負極端子(不図示)に当接する負極端子部(不図示)が設けられている。
蓋部15は、筐体10の電池嵌合部14に対して脱着可能に設けられる部材である。蓋部15は、凹部に嵌合された二次電池13を覆い、凹部の開口を塞ぐように装着される。凹部に二次電池13を嵌合することにより、二次電池13が支持される。
電池収納部12に収納される二次電池13は、単電池であっても、複数の単電池を直列または並列に組み合わせてなる電池パックの形態であってもよい。単電池の表面は、樹脂製ラベル等で被覆されていてもよい。前記単電池としては、従来から携帯電子機器に用いられている、高容量及び高エネルギー密度を有し、小型化が可能なリチウムイオン二次電池を好ましく使用できる。
リチウムイオン二次電池の中でも、負極活物質として珪素系活物質または錫系活物質を含むリチウムイオン二次電池が好ましい。珪素系活物質及び錫系活物質は、リチウムイオン二次電池のさらなる高容量化及び高エネルギー密度化を達成できる。珪素系活物質としては、珪素を含有する活物質であれば特に限定されないが、珪素、珪素酸化物、珪素合金等が好ましい。錫系活物質としては、錫を含有する活物質であれば特に限定されないが、錫、錫酸化物、錫合金等が好ましい。これらの中でも、珪素系活物質が好ましい。
電池嵌合部14及び蓋部15は、好ましくは、樹脂材料または金属材料により作製される。樹脂材料には、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のマトリックス樹脂に難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を用いることが好ましい。難燃性樹脂組成物は、UL−94規格の燃焼試験でV−0以上の難燃性を有するものが好ましい。金属材料は特に制限されないが、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム合金等が好ましく用いられる。
そして、図2及び図5に示すように、電池嵌合部14の二次電池13と対向する側の表面(以下、「電池嵌合側表面」とも呼ぶ)及び、蓋部15の二次電池13と対向する側の表面(以下「対向側表面」とも呼ぶ)には、発泡剤含有層16が設けられている。このようにして、電池収納部12の二次電池13が収納される側の表面に発泡剤含有層16が形成されている。
このような構成によれば、電池収納部12に収納された二次電池13は、その周囲が発泡剤含有層16により覆われる。発泡剤含有層16は、携帯電話機1の小型化及び薄肉化の設計自由度を損なわない厚みに形成できる。また、発泡剤含有層16は未発泡の発泡剤を含有し、前記発泡剤が二次電池13から発せられる熱で発泡することにより、厚みが大きく、断熱性の高い発泡層になる。
このように、二次電池13の周囲に発泡剤含有層16を形成することにより、二次電池13が発熱していない場合は、携帯電話機1の小型化及び薄肉化の設計自由度が損なわれることがない。一方、大きな衝撃等を受けて二次電池13が発熱した場合には、発泡剤含有層16が発泡層になることにより、携帯電話機1の表面が高温になるのが抑制される。したがって、小型化及び薄肉化の設計自由度が高く、且つ、安全性及び信頼性に優れた携帯電話機1が得られる。
発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩を主成分として含有する。
アルカリ金属のケイ酸塩は比較的多くの結晶水を有し、約110℃又はそれ以上の温度に加熱されると、結晶水を放出することにより発泡する。発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩の発泡と共に、その内部に多数の発泡セルが生成し、厚みが大きくなって、発泡層になる。発泡層は、高い断熱性能を示す。
また、アルカリ金属のケイ酸塩は、結晶水を放出する際の潜熱により、その周囲を冷却する。また、アルカリ金属のケイ酸塩は、発火点及び引火点を有しない、不燃の無機材料である。したがって、アルカリ金属のケイ酸塩は、携帯電話機1の安全性及び信頼性を高める上で、有利な材料である。
アルカリ金属のケイ酸塩としては、Naのケイ酸塩、Kのケイ酸塩及びLiのケイ酸塩から選ばれる少なくとも1つのケイ酸塩を好ましく使用できる。これらのアルカリ金属のケイ酸塩の中でも、発泡剤含有層16の結着力を向上させるという観点からは、Liのケイ酸塩よりもKのケイ酸塩が好ましく、Kのケイ酸塩よりもNaのケイ酸塩が好ましい。また、発泡剤含有層16の耐水性を向上させるという観点からは、Naのケイ酸塩よりもKのケイ酸塩が好ましく、Kのケイ酸塩よりもLiのケイ酸塩が好ましい。
したがって、Na、K及びLiのケイ酸塩を、発泡剤含有層16に要求される特性に応じて、適宜選択して使用すればよい。このとき、1種のケイ酸塩を単独で用いてもよく、2種以上のケイ酸塩を組み合わせて用いても良い。
発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩と共に、発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
発泡促進剤としては、高温下で気体を発生する発泡促進剤を好ましく使用でき、アルカリ金属のケイ酸塩が結晶水を放出して発泡する温度よりもさらに高い温度で気体を発生する発泡促進剤をさらに好ましく使用できる。このような発泡促進剤を用いることにより、アルカリ金属のケイ酸塩の発泡が促進されると共に、生成する発泡層中の発泡セルの数が増加し、発泡層の厚みを増大させることができる。その結果、発泡層の断熱性能がさらに向上する。
このような発泡促進剤の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、明礬、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。発泡促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの発泡促進剤中でも、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましい。水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムは、Naのケイ酸塩と併用することが特に好ましい。Naのケイ酸塩は、130〜150℃程度の温度領域で結晶水を放出して発泡する。これに対し、水酸化アルミニウムは約200〜300℃程度の温度領域で気体を放出し、水酸化マグネシウムは約400℃以上の温度領域で気体を放出する。
したがって、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとNaのケイ酸塩とを使用した場合には、Naのケイ酸塩が結晶水を放出する温度を超えても、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが気体を放出する。これにより、発泡が130℃程度から400℃を超える温度まで持続する。その結果、温度の上昇に伴って、発泡層の断熱性能がさらに向上するので、二次電池13の温度が上昇しても、携帯電話機1の表面温度の上昇を抑制できる。
発泡剤含有層16における発泡促進剤の含有割合は、アルカリ金属のケイ酸塩100質量部に対して5〜95質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがさらに好ましい。発泡促進剤の含有割合が少なすぎると、発泡促進剤の効果が十分に発揮されない傾向がある。発泡促進剤の含有割合が多すぎると、発泡剤含有層16の結着力が低下する傾向がある。その結果、発泡剤含有層16の部分的な剥落等が生じる傾向がある。
充填材としては、発泡剤含有層16の形状を保持する効果を有する充填材を好ましく使用できる。このような充填材の具体例としては、例えば、珪酸アルミニウム、珪フッ化ナトリウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、ムライト、珪藻土、アルミナ、シリカ、雲母、酸化チタン、バーミキュライト、パーライト、マグライト、セピオライト、タルク、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、セメント等が挙げられる。充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤含有層16における充填材の含有割合は、アルカリ金属のケイ酸塩100質量部に対して5〜70質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがさらに好ましい。充填材の含有割合が少なすぎると、発泡剤含有層16の発泡時に、発泡剤含有層16の厚みが局所的に不均一になり、得られる発泡層の断熱性能が低下する傾向がある。充填材の含有割合が多すぎると、十分な断熱性能を有する発泡層が形成されない傾向がある。
発泡剤含有層16は、例えば、発泡剤含有層16を形成しようとする表面に、アルカリ金属のケイ酸塩を含有し、必要に応じて発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを含有する発泡剤含有層形成用組成物を塗布して塗膜を形成することにより得られる。
発泡剤含有層形成用組成物は、例えば、アルカリ金属のケイ酸塩を、有機溶媒または水に溶解または分散させることにより調製することができる。このとき、アルカリ金属のケイ酸塩と共に、発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを有機溶媒または水に溶解または分散させてもよい。そして、発泡剤含有層16は、このように調製された発泡剤含有層形成用組成物を電池収納部12の電池嵌合側表面、及び蓋部15の対向側表面に塗布して塗膜を形成することにより得られる。
発泡剤含有層形成用組成物の塗布には、浸漬塗布法、ローラ塗布法、スプレー塗布法、ドクターブレード塗布法等の、従来から公知の塗布方法がとくに限定なく利用できる。そして、塗布した後、乾燥により溶媒を除去する等により発泡剤含有層16となる塗膜が形成される。
なお、本実施形態では、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面の両方に発泡剤含有層16を設けているが、いずれか一方のみに発泡剤含有層16を設けてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の携帯電話機について説明する。第2実施形態の携帯電話機は、発泡剤含有層と共にブロック層が設けられている構成が異なる以外は、第1実施形態の携帯電話機1と同じ構成である。説明の重複を避けるために、ブロック層の構成を詳しく説明し、それ以外の部分の説明は省略する。
図6は、第2実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機2の構成を模式的に示した縦断面図である。図7は、二次電池13aを収納した電池収納部12aの断面形状を模式的に示した縦断面図である。第2実施形態の携帯電話機2の電池収納部12aには、第1実施形態の携帯電話機1の電池収納部12に形成された発泡剤含有層16の表面に、以下に説明するようなブロック層17が形成されている。
すなわち、図6及び図7に示すように、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び、蓋部15の対向側表面には、発泡剤含有層16が形成され、発泡剤含有層16の表面には、過熱状態の二次電池13aから内容物が流出するのを抑制するブロック層17が形成されている。このようにして、電池収納部12aの二次電池13aが収納される側の表面に発泡剤含有層16及びブロック層17が順次形成されている。
二次電池13aは、負極活物質として、珪素系活物質及び錫系活物質から選ばれる少なくとも1つを含むリチウムイオン二次電池である。このようなリチウムイオン二次電池の発熱温度は、負極活物質として黒鉛を含む従来のリチウムイオン二次電池よりも高いと想定される。そして、このようなリチウムイオン二次電池に、例えば、極めて高い衝撃が付加されると、発熱が起り、オルトケイ酸リチウムのような反応性の高いアルカリ塩が生成して溶融する場合がある。アルカリ塩の溶融液は、電池の外部に漏出することが想定される。
これに対し、本実施形態の構成によれば、電池収納部12aに収納された二次電池13aは、その周囲がブロック層17により覆われ、ブロック層17は、その周囲が発泡剤含有層16により覆われる。このように、発泡剤含有層16の内側にブロック層17を形成することにより、発泡剤含有層16が、大きな衝撃等を受けて過熱状態になった二次電池13aから流出するアルカリ塩の高温の熔融液と直接接触することがない。このため、アルカリ塩の熔融液との接触による発泡剤含有層16の機能喪失を抑制することができる。
その結果、二次電池13aから漏出するアルカリ塩の熔融液が、携帯電話機2の外部に流出するのを確実に防止できる。また、二次電池13aから発生した熱が携帯電話機2の表面に局所的に伝わることを抑制できる。これにより、携帯電話機2の表面が局所的に高温になることが抑制される。そして、携帯電話機2に備わる筐体10の熱による損傷が抑制される。
したがって、発泡剤含有層16の効果を十分に発揮させるためには、発泡剤含有層16の内側にブロック層17を形成することが好ましい。
なお、本実施形態の構成は、負極活物質として黒鉛等の炭素材料を含む従来のリチウムイオン二次電池にも有効である。このような従来のリチウムイオン二次電池が発熱した場合は、温度の上昇と火炎の発生とが想定される。これに対し、二次電池13aの周囲にブロック層17を設け、ブロック層17の周囲に発泡剤含有層16を設けることにより、ブロック層17が発泡剤含有層16と火炎との接触を防止する。これにより、発泡剤含有層16から生成する発泡層の断熱性能が十分に発揮される。その結果、携帯電話機2の表面が高温になるのを抑制できる。
ブロック層17は、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる。この金属材料は、アルカリ塩の熔融液の中でもオルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液に対して耐性を有することが好ましい。ここでの耐性とは、金属材料からなる厚み50μmの金属箔が、オルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液との接触により熔融しないことである。より好ましくは、ここでの耐性とは、金属材料からなる厚み50μmの金属箔が、オルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液との接触により熔融せず、孔が開かないことである。
このような金属材料の具体例としては、鉄、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、窒化チタン及びステンレス鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または金属窒化物である。
ブロック層17の厚みは特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、30〜300μmであることがさらに好ましい。ブロック層17の厚みが小さすぎると、アルカリ塩の熔融液との接触により、ブロック層17に孔が開くおそれがある。また、ブロック層17の厚みが大きすぎると、携帯電話機2の小型化のための設計の自由度が低下するおそれがある。
ブロック層17は、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる成形物を、発泡剤含有層16の表面に敷設することにより形成することができる。また、単に敷設するだけでなく、前記成形物を発泡剤含有層16の表面に接着することにより、ブロック層17が形成できる。また、接着する代わりに、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面に、予め、前記成形物を固定するための係合部を設けておき、その係合部により、前記成形物を固定してもよい。このような係合部は、発泡剤含有層16の表面から突出するように設けられる。
前記成形物としては、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる箔、板、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料に絞り加工または溶接加工を施した成形物等が挙げられる。
なお、本実施形態では、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面の両方に発泡剤含有層16及びブロック層17を設けているが、いずれか一方のみに発泡剤含有層16及びブロック層17を設けてもよい。
第1及び第2実施形態では、電池嵌合部と蓋部とを備える電池収納部を有する携帯電話機について説明したが、それに限定されない。例えば、携帯電話機の筐体に対して、電池収納部が着脱可能に設けられる携帯電話機、二次電池内蔵式の携帯電話機等にも、本発明の構成を適用できる。
本発明の携帯電子機器を、第1及び第2実施形態の携帯電話機を例にして詳しく説明したが、本発明の構成は、携帯電話機以外の携帯電子機器にも当然適用できる。具体的には、例えば、PDA、ゲーム機、デジタルスチルカメラ(DSC)、ポータブル音楽機器、複数の二次電池を組み合わせた電池パックを電源とするノートブック型パーソナルコンピュータ、ポータブルビデオカメラ等の携帯電子機器に本発明の構成を適用できる。また、本発明の構成は、電気自動車等の電源として用いられる大型二次電池の外装材にも利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更し実施することができる。
(実施例1)
珪酸ナトリウム(商品名:3号珪酸ソーダ、大阪硅曹(株)製)80質量部を水20質量部に溶解し、珪酸ナトリウムの水溶液である発泡剤含有層形成用組成物を調製した。この発泡剤含有層形成用組成物を、難燃性規格UL94 V−0グレードのポリカーボネートからなる樹脂板(厚み0.9mm、10mm×100mm)の一方の表面に塗布し、一昼夜自然乾燥させ、膜厚0.2mmの発泡剤含有層を形成した。
発泡剤含有層の表面に、セラミックヒーター(商品名:MS−M5、坂口電熱(株)製)を配設し、携帯電話機の筐体内に収納した。セラミックヒーターに6Vの電圧を印加し、セラミックヒーター温度を700℃に設定した。樹脂板の表面温度及びセラミックヒーター温度を熱電対で測定した。
セラミックヒーター温度が115℃になると、発泡剤含有層中の珪酸ナトリウムが発泡し、発泡剤含有層が膨張し始めた。セラミックヒーター温度が700℃に到達した際に、発泡剤含有層は発泡層になり、その厚みは12mmであった。このとき、樹脂板の発泡剤含有層が形成されていない側の表面の温度は90℃であり、樹脂板の発火及び変形は観察されなかった。
この結果から、厚み0.2mmの発泡剤含有層が、加熱により、厚み12mmの発泡層になること、及びこの発泡層が十分な断熱性能を示すことが明らかである。
(比較例1)
樹脂板の片方の表面に発泡剤含有層を形成しない以外は、実施例1と同様の試験を行った。その結果、セラミックヒーター温度が150℃を超えたところで、樹脂板が軟化し始め、樹脂板が著しく変形した。
(実施例2)
珪酸ナトリウム(3号珪酸ソーダ)10質量部と、市販の無機発泡断熱組成物(商品名:アクセラコートF、充填材としてシリカを含有、(株)アクセス製)90質量部とを混合し、発泡剤含有層形成用組成物を調製した。この組成物は、珪酸ナトリウム100質量部に対して、シリカ30質量部を含んでいた。この組成物を使用し、実施例1と同様にして、ポリカーボネート製樹脂板の一方の表面に、厚み0.5mmの発泡剤含有層を形成した。
厚み0.5mmの発泡剤含有層が形成されたポリカーボネート製樹脂板を用い、実施例1と同様の試験を行った。セラミックヒーター温度が約130℃になると、発泡剤含有層中の珪酸ナトリウムが発泡し、発泡剤含有層が膨張し始めた。セラミックヒーター温度が700℃に到達した際に、厚み1.8mmの発泡層が生成していた。このとき、樹脂板の発泡剤含有層が形成されていない側の表面の温度は250℃であり、樹脂板の著しい変形は観察されなかった。
この結果から、厚み0.5mmの発泡剤含有層が、加熱により、厚み1.8mmの発泡層になること、及びこの発泡層が十分な断熱性能を示すことが明らかである。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
本発明の携帯電子機器は、二次電池が万が一発熱し、内容物が溶融し、溶融液が二次電池から漏出しても、表面温度の急激な上昇が抑制されかつ溶融液の携帯電子機器外部への流出が抑制されるという利点を有し、従来の携帯電子機器と同じ用途に使用できる。
また、本発明の携帯電子機器における、発泡剤含有層は、電気自動車等の駆動源として用いられる大型二次電池の安全性を高めるための外装材にも適用できる。
本発明は、携帯電子機器に関する。さらに詳しくは、本発明は、電源である二次電池を収納する筐体構造の改良に関する。
携帯電話、携帯情報端末、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯ゲーム機等の携帯電子機器は、高機能化すればするほど、基板上に実装される発熱部品の数が増える。携帯電子機器の使用時に、発熱部品の放熱により筐体表面が局所的に高温になることがある。
特許文献1は、携帯電子機器の筐体内部に収納される発熱部品の周囲に、放熱性に優れた熱伝導部材を配置することにより、発熱部品からの熱を有利に放散する構造を開示している。熱伝導部材としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ステンレス鋼、普通鋼等の金属材料が挙げられている。
特許文献2は、芳香族ポリカーボネートにリン系難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を、電子機器の筐体や部品の材料に用いることを開示している。
特許文献3は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の吸熱材を含有する樹脂組成物を開示している。水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムは、吸熱反応を起こして燃焼熱を低減させる。この吸熱反応は水を放出する反応である。この吸熱反応は、難燃効果を発揮する。
特許文献4は、複数のナトリウム−硫黄単電池を含む電池モジュールを収容するために用いられる真空断熱容器を開示している。この真空断熱容器は、上部に開口を有する箱型の容器本体と、容器本体の開口に装着される容器上蓋とを備え、容器上蓋の天井部分の内部に粒状防火材が充填されている。粒状防火材としては、充填砂、軽量骨材、粉砕ガラス、発泡ガラス等が挙げられている。
国際公開第2008/062879号パンフレット 特許第3682148号公報 特許第3408676号明細書 特開2000−30739号公報
二次電池は、たとえば、極めて大きな衝撃を受けた場合に、発熱することが想定される。そして、リチウムイオン二次電池は、多くのエネルギーを蓄えることが可能であるため、衝撃を受けた場合の発熱量が多くなり、急激な温度上昇が起ると想定される。
二次電池が発熱した場合に、携帯電子機器の表面が高温になるのを抑制するために、二次電池の周囲に断熱層を設けることが行われている。リチウムイオン二次電池は発熱量が多いと想定されるので、厚みの大きな断熱層が必要になる。しかしながら、断熱層の厚みを大きくすると、携帯電子機器の小型化及び薄肉化のための設計の自由度が低下する。
本発明の目的は、電池が発熱していない場合は層厚が小さく、電池が万が一発熱した場合には層厚が大きく、優れた断熱性能を示す発泡層になる発泡剤含有層を備え、安全性に優れる携帯電子機器を提供することである。
本発明の携帯電子機器は、二次電池を電源とする携帯電子機器であって、筐体と、前記筐体内に収納される電子機器本体と、前記筐体内に収納され、所定の外形を有する前記二次電池を嵌合するための電池嵌合部を有する成形体である電池収納部と、前記電池収納部の二次電池を嵌合する側の表面に設けられ、加熱により発泡する発泡剤含有層と、を備えている。
本発明の携帯電子機器によれば、加熱によって発泡する発泡剤含有層を備えることにより、電池の発熱がない通常時には、小型化及び薄肉化のための設計の自由度が向上する。また、電池の発熱時には、発泡剤含有層が発泡して優れた断熱性能を示す発泡層になる。したがって、本発明の携帯電子機器は、電池が万が一発熱しても、表面温度の急激な上昇が抑制されるので、安全性が高い。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成及び内容の両方に関し、本発明の他の目的及び特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
第1実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機の外観を模式的に示した上面図である。 図1に示した携帯電話機のII−II線の断面図である。 電子機器本体を模式的に示した斜視図である。 電池収納部を模式的に示した斜視図である。 二次電池を収納した電池収納部の断面形状を模式的に示した縦断面図である。 第2実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機の構成を模式的に示した縦断面図である。 二次電池を収納した電池収納部の断面形状を模式的に示した縦断面図である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機1の外観を模式的に示した上面図である。図2は、図1に示した携帯電話機1のII−II線の断面図である。図3は、電子機器本体11及び電池収納部12の斜視図である。図4は、二次電池13を収納する様子を示す電池収納部12の斜視図である。図5は、二次電池13を収納した電池収納部12の断面形状を模式的に示した縦断面図である。
はじめに、携帯電話機1の構成について説明する。
携帯電話機1は、図1及び図2に示すように、筐体10と、筐体10内に収納された電子機器本体11と、電池収納部12と、電池収納部12に収納された二次電池13とを備える。電子機器本体11は、スピーカー18と、マイクロフォン19と、画像表示部20と、入力操作部21と、回路部22と、回路基板23とを備える。
スピーカー18、マイクロフォン19、画像表示部20、入力操作部21、及び回路部22は所定の回路が形成された回路基板23上に実装されている。電池収納部12は、正極端子及び負極端子を備え、回路基板上の回路の所定の位置にそれぞれ実装されている。
図2に示すように、スピーカー18は、筐体10の所定の位置に設けられた受話孔118に対向するように配設されている。また、マイクロフォン19は、筐体10の所定の位置に設けられた送話孔119に対向するように配設されている。画像表示部20は、外部から表示を認識できるように、筐体10に設けられた表示孔120に嵌合されて配設されている。
入力操作部21は、操作者が情報入力できるように、筐体10に設けられた複数の入力ボタンを組み合わせた文字盤からなる入力部121に嵌合されて配設されている。なお、回路基板23の表面には、さらに、必要に応じて、カードコネクターや、小型カメラ装置が実装されていてもよい。
スピーカー18は、着信通知音を報知し、また受話音声を出力する。マイクロフォン19から通話音声が入力される。画像表示部20は、画像、文字、図形または動画を表示する。画像表示部20には、液晶モニター等を使用できる。入力操作部21は、入力部121を用いて入力される操作を受け付ける。画像表示部20がタッチパネルである場合には、画像表示部20が入力操作部21を兼ねる。
回路部22は、回路制御部22a及び記憶部22bを備えている。回路制御部22aは操作者が入力操作部21から入力した、入力情報に応じて各種の動作制御を実行する。記憶部22bは操作者が入力した入力情報等を記憶する。回路制御部22aとしては、複数のICチップや中央集積装置(CPU)が用いられる。記憶部22bとしては、RAMやROM等のメモリが用いられる。
電子機器本体11は、二次電池13から供給される電力により駆動される。
操作者は、入力操作部21からの入力操作により、回路制御部22aに対して命令信号を送る。そして、送られた命令信号により、所定の動作を起こす。また、必要に応じて、入力情報を記憶部22bに記憶させる。
また、操作者は、マイクロフォン19に向けて発話する。発話された音声は回路部22内の回路により無線信号に変換されて、無線信号として他の受信機に向けて送信される。また、他の受信機から発せられた無線信号は、アンテナ回路により受信される。受信された無線信号は回路部22内の回路により音声信号に変換され、音声信号としてスピーカー18から出力される。
次に、携帯電話機1を構成する筐体10について説明する。筐体10は、その内部に電子機器本体11及び電池収納部12を収納する。筐体10は、たとえば、金属材料または樹脂材料から作製される。
次に、携帯電話機1を構成する電池収納部12について詳しく説明する。
電池収納部12は、図2に示すように、二次電池13を嵌合するための電池嵌合部14と、電池嵌合部14に嵌合された二次電池13を覆う蓋部15とを備える。
電池嵌合部14は、二次電池13の形状に対応する内部空間を有する凹部状の部材である。凹部の開口は、電池交換を可能にするために、筐体10の外方に面するように配設されている。電池嵌合部14には、嵌合される二次電池13の正極端子(不図示)に当接する正極端子部(不図示)及び、二次電池13の負極端子(不図示)に当接する負極端子部(不図示)が設けられている。
蓋部15は、筐体10の電池嵌合部14に対して脱着可能に設けられる部材である。蓋部15は、凹部に嵌合された二次電池13を覆い、凹部の開口を塞ぐように装着される。凹部に二次電池13を嵌合することにより、二次電池13が支持される。
電池収納部12に収納される二次電池13は、単電池であっても、複数の単電池を直列または並列に組み合わせてなる電池パックの形態であってもよい。単電池の表面は、樹脂製ラベル等で被覆されていてもよい。前記単電池としては、従来から携帯電子機器に用いられている、高容量及び高エネルギー密度を有し、小型化が可能なリチウムイオン二次電池を好ましく使用できる。
リチウムイオン二次電池の中でも、負極活物質として珪素系活物質または錫系活物質を含むリチウムイオン二次電池が好ましい。珪素系活物質及び錫系活物質は、リチウムイオン二次電池のさらなる高容量化及び高エネルギー密度化を達成できる。珪素系活物質としては、珪素を含有する活物質であれば特に限定されないが、珪素、珪素酸化物、珪素合金等が好ましい。錫系活物質としては、錫を含有する活物質であれば特に限定されないが、錫、錫酸化物、錫合金等が好ましい。これらの中でも、珪素系活物質が好ましい。
電池嵌合部14及び蓋部15は、好ましくは、樹脂材料または金属材料により作製される。樹脂材料には、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のマトリックス樹脂に難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を用いることが好ましい。難燃性樹脂組成物は、UL−94規格の燃焼試験でV−0以上の難燃性を有するものが好ましい。金属材料は特に制限されないが、ステンレス鋼、マグネシウム合金、アルミニウム合金等が好ましく用いられる。
そして、図2及び図5に示すように、電池嵌合部14の二次電池13と対向する側の表面(以下、「電池嵌合側表面」とも呼ぶ)及び、蓋部15の二次電池13と対向する側の表面(以下「対向側表面」とも呼ぶ)には、発泡剤含有層16が設けられている。このようにして、電池収納部12の二次電池13が収納される側の表面に発泡剤含有層16が形成されている。
このような構成によれば、電池収納部12に収納された二次電池13は、その周囲が発泡剤含有層16により覆われる。発泡剤含有層16は、携帯電話機1の小型化及び薄肉化の設計自由度を損なわない厚みに形成できる。また、発泡剤含有層16は未発泡の発泡剤を含有し、前記発泡剤が二次電池13から発せられる熱で発泡することにより、厚みが大きく、断熱性の高い発泡層になる。
このように、二次電池13の周囲に発泡剤含有層16を形成することにより、二次電池13が発熱していない場合は、携帯電話機1の小型化及び薄肉化の設計自由度が損なわれることがない。一方、大きな衝撃等を受けて二次電池13が発熱した場合には、発泡剤含有層16が発泡層になることにより、携帯電話機1の表面が高温になるのが抑制される。したがって、小型化及び薄肉化の設計自由度が高く、且つ、安全性及び信頼性に優れた携帯電話機1が得られる。
発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩を主成分として含有する。
アルカリ金属のケイ酸塩は比較的多くの結晶水を有し、約110℃又はそれ以上の温度に加熱されると、結晶水を放出することにより発泡する。発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩の発泡と共に、その内部に多数の発泡セルが生成し、厚みが大きくなって、発泡層になる。発泡層は、高い断熱性能を示す。
また、アルカリ金属のケイ酸塩は、結晶水を放出する際の潜熱により、その周囲を冷却する。また、アルカリ金属のケイ酸塩は、発火点及び引火点を有しない、不燃の無機材料である。したがって、アルカリ金属のケイ酸塩は、携帯電話機1の安全性及び信頼性を高める上で、有利な材料である。
アルカリ金属のケイ酸塩としては、Naのケイ酸塩、Kのケイ酸塩及びLiのケイ酸塩から選ばれる少なくとも1つのケイ酸塩を好ましく使用できる。これらのアルカリ金属のケイ酸塩の中でも、発泡剤含有層16の結着力を向上させるという観点からは、Liのケイ酸塩よりもKのケイ酸塩が好ましく、Kのケイ酸塩よりもNaのケイ酸塩が好ましい。また、発泡剤含有層16の耐水性を向上させるという観点からは、Naのケイ酸塩よりもKのケイ酸塩が好ましく、Kのケイ酸塩よりもLiのケイ酸塩が好ましい。
したがって、Na、K及びLiのケイ酸塩を、発泡剤含有層16に要求される特性に応じて、適宜選択して使用すればよい。このとき、1種のケイ酸塩を単独で用いてもよく、2種以上のケイ酸塩を組み合わせて用いても良い。
発泡剤含有層16は、アルカリ金属のケイ酸塩と共に、発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
発泡促進剤としては、高温下で気体を発生する発泡促進剤を好ましく使用でき、アルカリ金属のケイ酸塩が結晶水を放出して発泡する温度よりもさらに高い温度で気体を発生する発泡促進剤をさらに好ましく使用できる。このような発泡促進剤を用いることにより、アルカリ金属のケイ酸塩の発泡が促進されると共に、生成する発泡層中の発泡セルの数が増加し、発泡層の厚みを増大させることができる。その結果、発泡層の断熱性能がさらに向上する。
このような発泡促進剤の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、明礬、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。発泡促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの発泡促進剤中でも、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが好ましい。水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムは、Naのケイ酸塩と併用することが特に好ましい。Naのケイ酸塩は、130〜150℃程度の温度領域で結晶水を放出して発泡する。これに対し、水酸化アルミニウムは約200〜300℃程度の温度領域で気体を放出し、水酸化マグネシウムは約400℃以上の温度領域で気体を放出する。
したがって、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとNaのケイ酸塩とを使用した場合には、Naのケイ酸塩が結晶水を放出する温度を超えても、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムが気体を放出する。これにより、発泡が130℃程度から400℃を超える温度まで持続する。その結果、温度の上昇に伴って、発泡層の断熱性能がさらに向上するので、二次電池13の温度が上昇しても、携帯電話機1の表面温度の上昇を抑制できる。
発泡剤含有層16における発泡促進剤の含有割合は、アルカリ金属のケイ酸塩100質量部に対して5〜95質量部であることが好ましく、20〜80質量部であることがさらに好ましい。発泡促進剤の含有割合が少なすぎると、発泡促進剤の効果が十分に発揮されない傾向がある。発泡促進剤の含有割合が多すぎると、発泡剤含有層16の結着力が低下する傾向がある。その結果、発泡剤含有層16の部分的な剥落等が生じる傾向がある。
充填材としては、発泡剤含有層16の形状を保持する効果を有する充填材を好ましく使用できる。このような充填材の具体例としては、例えば、珪酸アルミニウム、珪フッ化ナトリウム、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、ムライト、珪藻土、アルミナ、シリカ、雲母、酸化チタン、バーミキュライト、パーライト、マグライト、セピオライト、タルク、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、セメント等が挙げられる。充填材は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤含有層16における充填材の含有割合は、アルカリ金属のケイ酸塩100質量部に対して5〜70質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがさらに好ましい。充填材の含有割合が少なすぎると、発泡剤含有層16の発泡時に、発泡剤含有層16の厚みが局所的に不均一になり、得られる発泡層の断熱性能が低下する傾向がある。充填材の含有割合が多すぎると、十分な断熱性能を有する発泡層が形成されない傾向がある。
発泡剤含有層16は、例えば、発泡剤含有層16を形成しようとする表面に、アルカリ金属のケイ酸塩を含有し、必要に応じて発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを含有する発泡剤含有層形成用組成物を塗布して塗膜を形成することにより得られる。
発泡剤含有層形成用組成物は、例えば、アルカリ金属のケイ酸塩を、有機溶媒または水に溶解または分散させることにより調製することができる。このとき、アルカリ金属のケイ酸塩と共に、発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つを有機溶媒または水に溶解または分散させてもよい。そして、発泡剤含有層16は、このように調製された発泡剤含有層形成用組成物を電池収納部12の電池嵌合側表面、及び蓋部15の対向側表面に塗布して塗膜を形成することにより得られる。
発泡剤含有層形成用組成物の塗布には、浸漬塗布法、ローラ塗布法、スプレー塗布法、ドクターブレード塗布法等の、従来から公知の塗布方法がとくに限定なく利用できる。そして、塗布した後、乾燥により溶媒を除去する等により発泡剤含有層16となる塗膜が形成される。
なお、本実施形態では、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面の両方に発泡剤含有層16を設けているが、いずれか一方のみに発泡剤含有層16を設けてもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の携帯電話機について説明する。第2実施形態の携帯電話機は、発泡剤含有層と共にブロック層が設けられている構成が異なる以外は、第1実施形態の携帯電話機1と同じ構成である。説明の重複を避けるために、ブロック層の構成を詳しく説明し、それ以外の部分の説明は省略する。
図6は、第2実施形態の携帯電子機器である、携帯電話機2の構成を模式的に示した縦断面図である。図7は、二次電池13aを収納した電池収納部12aの断面形状を模式的に示した縦断面図である。第2実施形態の携帯電話機2の電池収納部12aには、第1実施形態の携帯電話機1の電池収納部12に形成された発泡剤含有層16の表面に、以下に説明するようなブロック層17が形成されている。
すなわち、図6及び図7に示すように、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び、蓋部15の対向側表面には、発泡剤含有層16が形成され、発泡剤含有層16の表面には、過熱状態の二次電池13aから内容物が流出するのを抑制するブロック層17が形成されている。このようにして、電池収納部12aの二次電池13aが収納される側の表面に発泡剤含有層16及びブロック層17が順次形成されている。
二次電池13aは、負極活物質として、珪素系活物質及び錫系活物質から選ばれる少なくとも1つを含むリチウムイオン二次電池である。このようなリチウムイオン二次電池の発熱温度は、負極活物質として黒鉛を含む従来のリチウムイオン二次電池よりも高いと想定される。そして、このようなリチウムイオン二次電池に、例えば、極めて高い衝撃が付加されると、発熱が起り、オルトケイ酸リチウムのような反応性の高いアルカリ塩が生成して溶融する場合がある。アルカリ塩の溶融液は、電池の外部に漏出することが想定される。
これに対し、本実施形態の構成によれば、電池収納部12aに収納された二次電池13aは、その周囲がブロック層17により覆われ、ブロック層17は、その周囲が発泡剤含有層16により覆われる。このように、発泡剤含有層16の内側にブロック層17を形成することにより、発泡剤含有層16が、大きな衝撃等を受けて過熱状態になった二次電池13aから流出するアルカリ塩の高温の熔融液と直接接触することがない。このため、アルカリ塩の熔融液との接触による発泡剤含有層16の機能喪失を抑制することができる。
その結果、二次電池13aから漏出するアルカリ塩の熔融液が、携帯電話機2の外部に流出するのを確実に防止できる。また、二次電池13aから発生した熱が携帯電話機2の表面に局所的に伝わることを抑制できる。これにより、携帯電話機2の表面が局所的に高温になることが抑制される。そして、携帯電話機2に備わる筐体10の熱による損傷が抑制される。
したがって、発泡剤含有層16の効果を十分に発揮させるためには、発泡剤含有層16の内側にブロック層17を形成することが好ましい。
なお、本実施形態の構成は、負極活物質として黒鉛等の炭素材料を含む従来のリチウムイオン二次電池にも有効である。このような従来のリチウムイオン二次電池が発熱した場合は、温度の上昇と火炎の発生とが想定される。これに対し、二次電池13aの周囲にブロック層17を設け、ブロック層17の周囲に発泡剤含有層16を設けることにより、ブロック層17が発泡剤含有層16と火炎との接触を防止する。これにより、発泡剤含有層16から生成する発泡層の断熱性能が十分に発揮される。その結果、携帯電話機2の表面が高温になるのを抑制できる。
ブロック層17は、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる。この金属材料は、アルカリ塩の熔融液の中でもオルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液に対して耐性を有することが好ましい。ここでの耐性とは、金属材料からなる厚み50μmの金属箔が、オルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液との接触により熔融しないことである。より好ましくは、ここでの耐性とは、金属材料からなる厚み50μmの金属箔が、オルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液との接触により熔融せず、孔が開かないことである。
このような金属材料の具体例としては、鉄、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、窒化チタン及びステンレス鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または金属窒化物である。
ブロック層17の厚みは特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、30〜300μmであることがさらに好ましい。ブロック層17の厚みが小さすぎると、アルカリ塩の熔融液との接触により、ブロック層17に孔が開くおそれがある。また、ブロック層17の厚みが大きすぎると、携帯電話機2の小型化のための設計の自由度が低下するおそれがある。
ブロック層17は、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる成形物を、発泡剤含有層16の表面に敷設することにより形成することができる。また、単に敷設するだけでなく、前記成形物を発泡剤含有層16の表面に接着することにより、ブロック層17が形成できる。また、接着する代わりに、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面に、予め、前記成形物を固定するための係合部を設けておき、その係合部により、前記成形物を固定してもよい。このような係合部は、発泡剤含有層16の表面から突出するように設けられる。
前記成形物としては、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料からなる箔、板、アルカリ塩の熔融液に対して耐性を有する金属材料に絞り加工または溶接加工を施した成形物等が挙げられる。
なお、本実施形態では、電池嵌合部14の電池嵌合側表面及び蓋部15の対向側表面の両方に発泡剤含有層16及びブロック層17を設けているが、いずれか一方のみに発泡剤含有層16及びブロック層17を設けてもよい。
第1及び第2実施形態では、電池嵌合部と蓋部とを備える電池収納部を有する携帯電話機について説明したが、それに限定されない。例えば、携帯電話機の筐体に対して、電池収納部が着脱可能に設けられる携帯電話機、二次電池内蔵式の携帯電話機等にも、本発明の構成を適用できる。
本発明の携帯電子機器を、第1及び第2実施形態の携帯電話機を例にして詳しく説明したが、本発明の構成は、携帯電話機以外の携帯電子機器にも当然適用できる。具体的には、例えば、PDA、ゲーム機、デジタルスチルカメラ(DSC)、ポータブル音楽機器、複数の二次電池を組み合わせた電池パックを電源とするノートブック型パーソナルコンピュータ、ポータブルビデオカメラ等の携帯電子機器に本発明の構成を適用できる。また、本発明の構成は、電気自動車等の電源として用いられる大型二次電池の外装材にも利用できる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更し実施することができる。
(実施例1)
珪酸ナトリウム(商品名:3号珪酸ソーダ、大阪硅曹(株)製)80質量部を水20質量部に溶解し、珪酸ナトリウムの水溶液である発泡剤含有層形成用組成物を調製した。この発泡剤含有層形成用組成物を、難燃性規格UL94 V−0グレードのポリカーボネートからなる樹脂板(厚み0.9mm、10mm×100mm)の一方の表面に塗布し、一昼夜自然乾燥させ、膜厚0.2mmの発泡剤含有層を形成した。
発泡剤含有層の表面に、セラミックヒーター(商品名:MS−M5、坂口電熱(株)製)を配設し、携帯電話機の筐体内に収納した。セラミックヒーターに6Vの電圧を印加し、セラミックヒーター温度を700℃に設定した。樹脂板の表面温度及びセラミックヒーター温度を熱電対で測定した。
セラミックヒーター温度が115℃になると、発泡剤含有層中の珪酸ナトリウムが発泡し、発泡剤含有層が膨張し始めた。セラミックヒーター温度が700℃に到達した際に、発泡剤含有層は発泡層になり、その厚みは12mmであった。このとき、樹脂板の発泡剤含有層が形成されていない側の表面の温度は90℃であり、樹脂板の発火及び変形は観察されなかった。
この結果から、厚み0.2mmの発泡剤含有層が、加熱により、厚み12mmの発泡層になること、及びこの発泡層が十分な断熱性能を示すことが明らかである。
(比較例1)
樹脂板の片方の表面に発泡剤含有層を形成しない以外は、実施例1と同様の試験を行った。その結果、セラミックヒーター温度が150℃を超えたところで、樹脂板が軟化し始め、樹脂板が著しく変形した。
(実施例2)
珪酸ナトリウム(3号珪酸ソーダ)10質量部と、市販の無機発泡断熱組成物(商品名:アクセラコートF、充填材としてシリカを含有、(株)アクセス製)90質量部とを混合し、発泡剤含有層形成用組成物を調製した。この組成物は、珪酸ナトリウム100質量部に対して、シリカ30質量部を含んでいた。この組成物を使用し、実施例1と同様にして、ポリカーボネート製樹脂板の一方の表面に、厚み0.5mmの発泡剤含有層を形成した。
厚み0.5mmの発泡剤含有層が形成されたポリカーボネート製樹脂板を用い、実施例1と同様の試験を行った。セラミックヒーター温度が約130℃になると、発泡剤含有層中の珪酸ナトリウムが発泡し、発泡剤含有層が膨張し始めた。セラミックヒーター温度が700℃に到達した際に、厚み1.8mmの発泡層が生成していた。このとき、樹脂板の発泡剤含有層が形成されていない側の表面の温度は250℃であり、樹脂板の著しい変形は観察されなかった。
この結果から、厚み0.5mmの発泡剤含有層が、加熱により、厚み1.8mmの発泡層になること、及びこの発泡層が十分な断熱性能を示すことが明らかである。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形及び改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく、すべての変形及び改変を包含する、と解釈されるべきものである。
本発明の携帯電子機器は、二次電池が万が一発熱し、内容物が溶融し、溶融液が二次電池から漏出しても、表面温度の急激な上昇が抑制されかつ溶融液の携帯電子機器外部への流出が抑制されるという利点を有し、従来の携帯電子機器と同じ用途に使用できる。
また、本発明の携帯電子機器における、発泡剤含有層は、電気自動車等の駆動源として用いられる大型二次電池の安全性を高めるための外装材にも適用できる。

Claims (9)

  1. 二次電池を電源とする携帯電子機器であって、
    筐体と、前記筐体内に収納される電子機器本体と、前記筐体内に収納され、所定の外形を有する前記二次電池を嵌合するための電池嵌合部を有する成形体である電池収納部と、前記電池収納部の二次電池を嵌合する側の表面に設けられ、加熱により発泡する発泡剤含有層と、を備える携帯電子機器。
  2. 前記発泡剤含有層の表面に設けられ、過熱状態の前記二次電池から内容物が流出するのを抑制するブロック層をさらに備える請求項1に記載の携帯電子機器。
  3. 前記二次電池は、負極活物質として、珪素系活物質及び錫系活物質よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含有するリチウムイオン二次電池である請求項1または2に記載の携帯電子機器。
  4. 前記発泡剤含有層が、発泡剤としてアルカリ金属のケイ酸塩を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
  5. 前記発泡剤含有層が、発泡促進剤及び充填材から選ばれる少なくとも1つをさらに含有する請求項4に記載の携帯電子機器。
  6. 前記ブロック層が、珪素または錫を含有するアルカリ塩の溶融液に対して耐性を有する金属材料からなる請求項2または3に記載の携帯電子機器。
  7. 前記金属材料は、厚み50μmの金属箔の状態で、オルト珪酸リチウムの液温1450℃の熔融液との接触により熔融しない耐性を有する請求項6に記載の携帯電子機器。
  8. 前記金属材料が、鉄、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、窒化チタン及びステンレス鋼よりなる群から選ばれる少なくとも1つの金属または金属窒化物である請求項7に記載の携帯電子機器。
  9. 前記二次電池が複数の単電池を組み合わせた電池パックの形態である請求項1〜8のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
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