JPWO2009145243A1 - 光線力学的治療に利用可能な脂質膜およびその利用 - Google Patents

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Abstract

本発明の課題は、光線力学的治療において好ましい波長範囲において利用し得なかった物質を同波長範囲にて利用可能にするための新たな技術を開発することである。本発明は、ドナー分子としての光感受性物質およびアクセプター分子としての光活性化物質を含有している脂質膜を提供する。また、この脂質膜を含んでいる細胞増殖抑制剤および光線力学的治療剤を提供する。

Description

本発明は、光線力学的治療に利用可能な脂質膜およびその利用に関するものであり、より詳細には、異なる波長範囲に吸収極大を有する光感受性物質および光活性化物質を含有する脂質膜およびその利用に関するものである。
近年、医療分野において光線力学的治療(photodynamic therapy;以下「PDT」とも称する。)が注目されている。PDTは、癌等の治療に用いられる治療法であり、光感受性の物質に光を照射することにより、発生する活性酸素を用いて、癌細胞等を殺傷する治療法である。より具体的には、PDTでは、光で活性化する物質を投与した患部に光を照射することによって、水および/または酸素の光化学反応により生成する活性酸素(一重項酸素、ヒドロキシラジカル等)を患部にて生成する。生成した活性酸素が、患部の癌細胞の活動および/または増殖を阻害することにより、癌細胞を破壊して死滅させる。
炭素原子のみからなる閉殻構造を有するフラーレン類は、以下のような独特な性質に基づいて、光の照射により一重項酸素等の活性酸素を効率よく発生する:(1)特異的にπ電子雲が非局在化している、(2)電子親和力が大きい、(3)イオン化エネルギーが比較的小さい、(4)電子受容能が高い、(5)可視光で光励起される。また、フラーレン類は極性溶媒に不溶であるが、フラーレンをポリマー鎖で被覆することによりフラーレンを可溶化する方法、C60−シクロデキストリン錯体からリポソーム内へC60を移動させること(交換反応)によりC60含有リポソームを得る方法のような、フラーレン類を水性溶媒に溶解させるための技術がこれまでに開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。また、光増感性化合物を含むリポソームを用いて、光照射によって癌組織を治療する技術もまた開示されている(例えば、特許文献3および4参照)。
日本国公開特許公報「特開2005−225772号公報(平成17年8月25日公開)」 日本国公開特許公報「特開2006−69812号公報(平成18年3月16日公開)」 日本国公開特許公報「特開2006−56807号公報(平成18年3月2日公開)」 日本国公開特許公報「特開2007−277218号公報(平成19年10月25日公開)」 日本国公開特許公報「特開2006−80346号公報(平成18年3月23日公開)」 日本国公開特許公報「特開2003−31832号公報(平成15年1月31日公開)」 日本国公開特許公報「特開2004−22424号公報(平成16年1月22日公開)」 日本国公開特許公報「特開2002−88354号公報(平成14年3月27日公開)」 国際公開WO2007/132923(2007(平成19)年11月22日公開)
波長600nm未満の光は細胞内にて吸収されやすいので、適用部位まで光が透過しにくい。皮膚透過性を考慮すると、PDTに用いる光線は長波長であることが好ましい。しかし、波長700nmを超える光は水に吸収されやすい。よって、PDTに用いる光線は、その波長範囲が600〜700nmであることがより好ましい。特許文献3および4に記載の技術においても、同様の波長範囲が用いられている。しかし、C60フラーレンは、その吸収極大が500〜800nmの範囲外であり、波長範囲が600〜700nmの光照射に基づいて活性酸素を生成し得ない。また、すでにPDTに適用されている光源として500〜800nmのレーザ光が用いられているので、C60フラーレンを用いたPDTを実施するためには、新たな設備が必要となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、波長範囲が500〜800nmではPDTに利用し得なかった物質を同波長範囲にて利用可能にするための新たな技術を提供することにある。
電子移動/エネルギー移動を首尾よく行い得る二分子(ドナー分子およびアクセプター分子)が光電変換等に用いられている。本発明者らは、C60フラーレンを活性化し得ない波長範囲の光であっても、アクセプター分子としてのC60フラーレンに対して適切なドナー分子を共存させれば、C60フラーレンを活性化することができることを期待した。そこで、生体に悪影響を及ぼすことが少ないカロテン(アスタキサンチン)を、C60フラーレンとともに含有させたリポソームを用いて、細胞毒性を観察した。しかし、カロテンの存在は、C60フラーレンの活性化を導かなかった。この結果により、リポソームは、ドナー分子からアクセプター分子への電子/エネルギー移動を生じさせるに適した環境を提供し得ない(これら二分子は、リポソーム中で電子/エネルギー移動が生じる程度に近接し得ない)ことが示唆された。
太陽電池の研究分野において、ポルフィリンおよびC60フラーレンが非常に良好なドナー/アクセプターの関係にあることは、以前からよく知られている。例えば、特許文献5には、ポルフィリンとフラーレンの自己組織化を利用した、エネルギー変換効率の高い有機太陽電池が記載されている。本発明者らもまた、このことを利用した光電変換素子用材料を開発している(特許文献6および7参照)。また、特許文献8には、ポルフィリンとフラーレンとが電荷移動状態を形成している二分子固体フィルムからなる近赤外発光材料が記載されている。そこで、本発明者らは、ポルフィリンをC60フラーレンとともに含有させたリポソームを用いて、細胞毒性を観察した。しかし、カロテンの場合と同様に、ポルフィリンをリポソームに共存させてもC60フラーレンが活性化されなかった。また、C60フラーレンと共存させることによって、ポルフィリンが元来有している細胞毒性まで低下させてしまった。
これらの結果を導いた機序は不明である。しかし、非常に良好なドナー/アクセプターの関係にあるポルフィリンとC60フラーレンとの組合せを用いた場合であっても、C60フラーレンに基づく細胞毒性が観察されない以上、ドナー/アクセプターの関係を利用した光線力学的治療剤の開発は非常に困難であると考えられた。
しかし、本発明者らは、独自の着眼点に基づく創意工夫の結果、特定の構造を有する化合物を用いれば、C60フラーレンを活性化し得ない波長範囲の光照射下にてC60フラーレンによる細胞毒性を導き得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る脂質膜は、波長範囲500〜800nmの光照射によって活性酸素を生成し得、500〜800nmの範囲内の光を吸収し得る光感受性物質、および500〜800nmの範囲内の光を吸収し得ないかまたは500〜800nmの範囲内の光の吸収が非常に弱い光活性化物質を含有し、該光活性化物質は、該光照射によって該光感受性物質が生成する第1の光エネルギーを受容して、酸素に供与される第2の光エネルギーを生成し、該光感受性物質は、炭素数8〜20の炭化水素基を2個含んでいることを特徴としている。
本発明に係る脂質膜は、上記構成の光感受性物質を光活性化物質とともに含有していることにより、波長範囲500〜800nmの光照射であっても、光感受性物質から光活性化物質への電子/エネルギー移動に基づいて光活性化物質を首尾よく活性化し、細胞毒性を示す活性酸素を生成し得る。本発明における長鎖炭化水素基の炭素数は、12〜18であることがより好ましく、12〜16であることがさらに好ましい。
本発明に係る脂質膜において、上記炭化水素基は直鎖であることが好ましいが、1または数個の分岐があってもよく、1または数個の二重結合があってもよい。
本発明に係る脂質膜において、上記光活性化物質は、フラーレン、ポルフィリン、オリゴチオフェン、カロテノイドおよびピレンからなる群より選択されることが好ましい。また、本発明に係る脂質膜において、上記光感受性物質は、
として示される化合物であることが好ましい(式中、nは1〜3であり、Rは、C12−18のアルキル基、(CHCH=CH(CHCH、または(CHCH=CHCH=CH(CHCHである。)。
本発明に係る脂質膜は、人工の脂質膜であることが好ましく、膜構造の安定性の観点から脂質二重膜であることがより好ましく、リポソーム形態またはミセル形態であることがさらに好ましい。
本発明に係る細胞増殖抑制剤は、上記脂質膜を含んでいることを特徴としている。また、本発明に係る光線力学的治療剤は、上記脂質膜を含んでいることを特徴としている。
本発明を用いれば、PDTに好ましい波長範囲(600〜700nm)において活性化し得ない物質であっても、その波長範囲内で活性化させることができる。よって、本発明は、光照射によって活性酸素を生成し、細胞の活動および/または増殖を阻害し得る。そして、このような性質に基づいて、本発明は、PDTに利用可能である。
光線力学的治療剤は、毒性を有する活性酸素を用いている。公知の光増感性化合物をPDTに用いる場合、その毒性が光照射によって制御されているとはいえ、この化合物が分解/代謝されるまで時間を要する。よって、被験者は治療後約一週間にわたって暗所に留まる必要がある。本発明は、可視光領域下で毒性を有していない二化合物から構成されているので、リポソームの分解に伴って両者の近接状態が解かれる。これにより、毒性が体内に残存する可能性が大いに低下し得、光線過敏症を低減し得る。
本発明の一実施形態に係るリポソームが、光照射により細胞死を誘導することを示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るリポソームが、光照射により細胞死を誘導することを示すグラフである。 本発明の一実施形態に係るリポソームが、光照射により細胞死を誘導することを示す図である。 本発明の一実施形態に係るリポソームが、光照射により細胞死を誘導することを示すグラフである。 本発明の別の一実施形態に係るリポソームが、光照射により細胞死を誘導することを示すグラフである。
〔1:脂質膜〕
本発明は、光活性化物質および光感受性物質を含有している脂質膜を提供する。本発明において、光感受性物質は光活性化物質に光エネルギーを供与するドナー分子であり、光活性化物質はドナー分子からの光エネルギーを受容するアクセプター分子である。本明細書中で使用される場合、「光エネルギーの供与/受容」は、光の受容に直接的または間接的に起因して生成されるエネルギーおよび電子の少なくとも一方の移動が意図される。また、「光エネルギー」は、光の受容に起因して生成されるエネルギーおよび電子の少なくとも一方だけでなく、光エネルギーの供与/受容に起因して生成されるさらなるエネルギーおよび電子の少なくとも一方が意図される。本発明に係る脂質膜は、人工の脂質膜であることが好ましく、膜構造の安定性の観点から脂質二重膜であることがより好ましい。脂質二重膜は、極性脂質(特にリン脂質)が二層となった膜状の構造(脂質二重層)である。脂質二重層構造が二次元構造として安定化するのは球状であるが、末端を水分子から隔離すれば平面構造になり得る。本明細書中で使用される場合、人工的に作製される脂質二重層のうち球状のものをリポソーム、平面状のものを脂質平面膜という。なお、脂質一重層からなるミセルは一般に不安定であるが、特許文献9に記載されているような、ブロック共重合分子(ブロックコポリマー)が形成するミセルであれば安定性がよいことを、当業者は十分認識している。このようなミセルは薬物送達(DDS)の手段の一つとして研究されている。
リポソームは、ベシクルとも称される脂質人工膜であり、脂質(例えば、リン脂質)の懸濁液を分散させた後に超音波処理を施す等によって作製され得る。リポソームを用いた研究は広く行われており、細胞膜モデルとして、または薬物送達(DDS)の手段の一つとして利用されている。なお、本発明に係るリポソーム組成物は、光活性化物質および光感受性物質が内包されていてもよいが、光活性化物質および光感受性物質の両方が脂質膜中に埋め込まれていることが好ましい。本明細書中で使用される場合、「埋め込まれている」状態は、対象となる物質の一部または全部が脂質部分に存在する状態が意図され、「(脂質部分に)取り込まれている」状態、「(脂質部分に)刺さっている」状態、または「(脂質部分に)安定に取り込まれている」状態と交換可能に用いられる。
脂質平面膜は、膜タンパク質(例えば、チャネルタンパク質)の活性をインビトロで測定する際に使用されており、その作製方法も当該分野において周知である。なお、本発明に係る脂質平面膜は、光活性化物質および光感受性物質の両方が脂質膜中に埋め込まれていればよい。
本発明に係る脂質膜は、500〜800nmの範囲内の光を吸収し得る光感受性物質、および500〜800nmの範囲内の光を吸収し得ない光活性化物質を含有していることにより、光照射によって光感受性物質が励起されて第1の光エネルギーを生成し、第1の光エネルギーを光活性化物質が受容して、光活性化物質が励起されて第2の光エネルギーを生成する。そして、第2のエネルギーが酸素に供与されることにより、活性酸素が生成される。このような光エネルギーの供与/受容が首尾よく行われるために、光感受性物質は、長鎖炭化水素基を2個含んでいる。このような構成に基づいて、本発明は、光活性化物質を活性化し得ない波長範囲(500〜800nm)の光照射であっても、光活性化物質を活性化することができ、その結果、活性酸素を生成し得る。
本明細書中で使用される場合、「活性酸素」は、特に限定されないが、例えば、一重項酸素およびヒドロキシラジカルが意図される。
本明細書中で使用される場合、特定の波長範囲の「光を吸収し得る」は、その波長範囲の「光に対する光活性を有する」、「光によって活性化し得る」と交換可能に用いられる。また、特定の波長範囲の「光を吸収し得ない」は、その波長範囲の「光に対する光活性を有さない」、「光によって活性化し得ない」と交換可能に用いられる。なお、本明細書中で使用される場合、「光活性」は、照射光によって励起されて照射光とは別の光エネルギーを生成する活性が意図され、好ましくは、光の照射により他の物質(例えばアクセプター分子)へ光エネルギーを供与し得る活性が意図される。光感受性物質については、光照射に基づいて光活性化物質に光エネルギーを供与し得る(すなわち光活性化物質を励起し得る)ことが意図され、光活性化物質については、光エネルギーの受容に基づいて酸素に光エネルギーを供与し得る(すなわち活性酸素を生成し得る)ことが意図される。
本明細書中で使用される場合、「光活性化物質」は、500〜800nmの範囲内の光を吸収し得ないが、励起された「光感受性物質」からの光エネルギーを受容して、酸素に光エネルギーを供与し得る化合物(すなわち、励起された「光感受性物質」からの光エネルギーに対する光活性を有する化合物)であればよい。
本発明に係る脂質膜において、上記光活性化物質は、フラーレン、ポルフィリン、オリゴチオフェン、カロテノイドおよびピレンからなる群より選択されることが好ましく、フラーレンおよびポルフィリンがより好ましく、C60フラーレン、C70フラーレンが特に好ましい。一実施形態において、本発明に係る脂質膜は、光活性化物質としてのC60フラーレン(以下、「C60」とも称する。)を含有する脂質膜である。本実施形態において、C60は表面が修飾されることなく、脂質膜内に存在している。よって、C60が本来有している物性を保持した状態で、C60を水性溶媒に可溶化し得、水溶性のC60を用いることが望まれる技術分野に広く用いることができる。また、C60は、光の照射により活性酸素を生成することが知られている。本実施形態において、活性酸素の生成効率の観点からは、C60が互いに相互作用することなく単独分子で存在していることが好ましいが、複数の分子が会合した状態で存在しても、C60の一部の分子のみが会合した状態で存在してもよい。なお、フラーレンをリポソーム中に含有させるには、特許文献2記載の手順に従ってフラーレン・γ−シクロデキストリン錯体を作製し、リポソームと混合した後に、加熱(例えば80℃で2時間)、マイクロウェーブ照射(例えば5〜10秒間)、または光照射(例えば、NADH存在下で5〜10時間)を行うことにより、フラーレンを錯体からリポソームへ首尾よく移動させることができる。また、光感受性物質をリポソーム中に含有させるには、リポソームの調製時に光感受性物質を共存させればよい。
本明細書中で使用される場合、「光感受性物質」は、500〜800nmの範囲内の光を吸収し得かつ脂質部分に安定に取り込まれる化合物であればよい。本発明において「光感受性物質」が所望の作用を生じる程度に「脂質部分に安定に取り込まれる」ためには、長鎖炭化水素基を2個含んでいる化合物であることが好ましい。また、「光感受性物質」は、好ましくは400〜800nm、より好ましくは500〜800nm、さらに好ましくは550〜750nmの範囲内に吸収極大を有する化合物である。なお、光感受性物質は、500〜800nmの範囲内の光に対する光活性を有していれば、上述した波長範囲外にさらなる吸収極大を有していてもよい。
光感受性物質の長鎖炭化水素基の炭素数は、8〜20であることが好ましく、12〜18であることがより好ましく、12〜16であることがさらに好ましい。また、光感受性物質の長鎖炭化水素基は、直鎖であっても、1または数個の分岐があってもよく、さらに1または数個の二重結合があってもよい。当業者は、このような長鎖炭化水素基を適宜合成し得るので、市販の蛍光色素に長鎖炭化水素基を2個付加した光感受性物質を容易に合成し得る。例えば、色素とスクシンイミドとのエステルを、長鎖炭化水素基を2個有するアミンと反応させることによって、本発明に用いる光感受性物質を容易に合成し得る。当業者は上記エステルおよび上記アミンを容易に調製し得、あるいは市販品として容易に入手し得る。Alexa Fluor(登録商標)488スクシンイミジルエステル(Invitrogen社)を用いる場合、このエステルとその1.1当量の3−アミノ−N,N−ジドデシルプロパンアミドを窒素雰囲気下にて室温で乾燥DMSO中に溶解し、その溶液を24時間窒素雰囲気下にて室温で撹拌した後、減圧下溶媒を取り除き、塩化メチレンを加え、その有機相を1MHCl水溶液で3回、10%NaHCO溶液で3回、そして飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下にて乾燥し、クロロホルム:メタノールを展開溶媒としてカラムクロマトグラフィーによって精製することによって目的物を得ることができる。反応スキームを以下に示す。
また、上記目的物と同様の構造を有するローダミン誘導体であるrhodamine DHPE(Invitrogen社)
を光感受性物質として用いてもよい。なお、合成した光感受性物質の励起波長および発光波長を測定すれば、所望の光活性化物質のドナー分子として利用可能であるか否かを容易に知ることができる。
本発明に用いる光感受性物質としては、
として示される化合物(式中、nは1〜3であり、Rは、C12−18のアルキル基、(CHCH=CH(CHCH、または(CHCH=CHCH=CH(CHCHである。)であることが好ましく、カルボシアニン色素またはローダミン誘導体がより好ましく、
からなる群より選択されることがさらに好ましい。
また、本発明に用いる光感受性物質としては、
で示されるBODIPY誘導体である、BODIPY FL DHPE(正式名:N-(4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionyl)-1,2-dihexadecanoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine, triethylammonium salt、Invitrogen社)も好ましい。
本発明に係る脂質膜を構成する脂質の具体的な組成は、特に限定されず、カチオン性脂質、アニオン性脂質、および双極性脂質のいずれか1つまたは任意の組合せであり得る。なお、C60を含有している脂質膜は、カチオン性脂質を含有することが好ましく、カチオン性コレステロールを含有することがさらに好ましい。上記構成によれば、光照射により活性酸素を生成するとともに、活性酸素により分解されることのない安定した脂質膜を形成することができる。また、カチオン性脂質を含有させることにより、細胞透過性に優れた脂質膜を提供することができる。活性酸素を生成し、かつ細胞透過性に優れる脂質膜は、PDTに好適に用いることができる。
本発明に係る脂質膜を構成するカチオン性脂質として、例えば、1、2−ジオレオイルオキシ−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、N、N−ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、3β[N−(N7,N’−ジメチルアミノ−エタン)−カルバモイル]コレステロール、ステアリルアミン、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)ドデシル−D−グルタメートクロリド、N−[1−(2,3−オレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、2,3−ジオレオイルオキシ−N−[2−(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアンモニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、N−[1−(2、3−ジミリスチルオキシ)プロピル]−N、N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド(DMRIE)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウムプロパンジオール(DODAP)等のカチオン性脂質を挙げることができる。さらに、ホスファチジン酸とアミノアルコールとのエステル、例えばジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)もしくはジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)とヒドロキシエチレンジアミンとのエステル等のカチオン性リン脂質を用いることもできる。また、本発明には、下記式(1)
で表される脂質をカチオン性脂質として好適に用いることができる。このようなカチオン性脂質を用いれば、本発明に係る脂質膜として50nm〜200nmの平均粒径を有するリポソームを作製することができる。このような平均粒径を有するリポソームは、EPR(Enhanced permeability and retention)効果により癌細胞に選択的にターゲティングさせることができる。このようなリポソームにカチオン性脂質を含有させる場合、その含有量は、全脂質量に対し90モル%以下であることが好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る脂質膜を構成するアニオン性脂質として、例えば、ジミリストイルフォスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、卵黄、または大豆のような天然物質由来のホスファチジルグリセロール、完全水素添加ホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファジルグリセロール等の炭素数10〜30程度の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を有するアニオン性リン脂質を挙げることができる。また、本発明には、下記式(2)
で表される脂質をアニオン性脂質として好適に用いることができる。
本発明に係る脂質膜がリポソーム形態である場合、上記例示したような脂質のうち、単一の脂質を含むものであってもよいし、複数の脂質を組み合わせて含むものであってもよい。また、複数の荷電脂質(アニオン性脂質またはカチオン性脂質)を組み合わせて含有する場合、負電荷の脂質同士または正電荷の脂質同士を組み合わせて含有することが好ましい。これにより、リポソーム同士が結合し、凝集するのを低減することができる。また、双極性脂質と荷電脂質とを組み合わせて含有する場合、双極性脂質:荷電脂質(モル比)は、200:1〜1:9であることが好ましく、100:1〜1:1であることがより好ましく、40:1〜5:1であることがさらに好ましい。
本発明に係る脂質膜を構成する双極性脂質としては、例えば、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DOPE)、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストリルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン、並びにこれらを定法により水素添加したもの(例えば水素添加大豆レシチン等)および水酸化物等のリン脂質を挙げることができる。また、本発明には、下記式(3)
で表される脂質を双極性脂質として好適に用いることができる。
カチオン性脂質は、細胞透過性を有することが知られている。そのため、本発明に係る脂質膜を、細胞増殖抑制または光線力学的治療の用途に用いる場合、脂質膜を構成する脂質にカチオン性脂質が含有されていることが好ましい。ただし、カチオン性脂質は、毒性を有することが一般的に知られている。したがって、カチオン性脂質の含有量は、細胞透過性と毒性による副作用とを考慮して決定されるものである。このとき、カチオン性脂質の含有量は、双極性脂質とカチオン性脂質とを組み合わせて用いることによって、調製されることが好ましい。このように、双極性脂質とカチオン性脂質とを組み合わせて用い、カチオン性脂質の含有量を上述した範囲内で適宜変更することにより、良好な細胞透過性を有し、かつ毒性による副作用が低減された脂質膜を製造することができる。
また、本発明に係る脂質膜は、糖脂質を含有していてもよい。上記糖脂質としては、例えば、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等のグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4等のスフィンゴ糖脂質等を挙げることができる。
本発明に係る脂質膜は、光感受性物質、光活性化物質および脂質以外の成分を含有していてもよい。具体的には、例えば、膜安定化剤として作用するステロール類を含有していてもよい。上記ステロール類としては、例えば、コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、またはラノステロール等が挙げられる。また、安定剤として、1−O−ステロールグルコシド,1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドといったステロール誘導体を含有していてもよい。本発明に係る脂質膜がステロール類を含有する場合、その含有量は、脂質全分子に対して0.05〜70モル%であることが好ましく、0.1〜60モル%であることがより好ましく、0.5〜40モル%であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、リポソームの形成を阻害することなく、リポソーム形態の脂質膜を安定化させることができる。また、脂質膜がコレステロールを含有する場合、コレステロールは、ポリアルキレンオキシド導入用のアンカーにもなり得る。ポリオキシアルキレン鎖の先端には、種々の機能性物質を共有結合により固定化することができる。
また、本発明に係る脂質膜は、グリコール類を含有していてもよい。上記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール等を挙げることができる。また、その含有量は、本発明に係る脂質膜の全脂質に対して0.01〜20モル%であることが好ましく、0.5〜10モル%であることがより好ましい。上記構成によれば、リポソーム形態の脂質膜の内側に、水溶性の物質を効率よく保持させることができる。また、本発明に係る脂質膜は、負荷電物質であるジセチルホスフェートといったリン酸ジアルキルエステルや、正電荷を与える化合物としてステアリルアミン等の脂肪族アミン等を含有していてもよい。
さらに、本発明に係る脂質膜は、その粒子表面に、特定の機能を付与するための置換基を有していたり、特定の機能を付与するための分子が付加もしくは挿入されたりしていてもよい。上記置換基および分子としては、例えば、本発明に係る脂質膜を生体に投与した場合に、特定の臓器や組織にターゲティングさせるための置換基および分子、並びに本発明に係る脂質膜の安定性を向上させるための置換基および分子等を挙げることができる。より具体的には、リポソーム形態の脂質膜の安定性を向上させるための分子として、例えば、高分子鎖であるポリアルキレンオキシド(PAO)基(ポリオキシアルキレン鎖)または類似の基を有するリン脂質または化合物を挙げることができる。PAO基またはポリエチレングリコール(PEG)鎖をリポソーム表面に付けることにより、リポソームの安定性を向上させることができる。また、−(CH2CH2O)n−HであらわされるPEG基のオキシエチレン単位の長さと導入する割合を適宜変えることにより、その機能を調節することができる。PEG基としては、オキシエチレン単位が10〜3500のPEG基であることが好ましく、オキシエチレン単位が100〜2000のPEGであることがより好ましい。本発明に係る脂質膜がPEGを含有する場合、その含有量は、本発明に係る脂質膜の全脂質に対して0.01〜30モル%であることが好ましく、0.1〜15モル%であることがより好ましい。なお、本発明に係る脂質膜のPEG化には、従来公知のリポソームのPEG化技術を用いることができる。
また、本発明に係る脂質膜が−(AO)n−Y(式中、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、Yは、水素原子、アルキル基または機能性官能基を表す。)で表されるPAO基を有する場合、上記式中、nは、1〜2000であることが好ましく、10〜500であることがより好ましく、20〜200であることがさらに好ましい。上記炭素数2〜4のオキシアルキレン基としては、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシトリメチレン基、オキシ−1−エチルエチレン基、オキシ−1,2−ジメチルエチレン基等を挙げることができる。
また、上記式のnが2以上の場合、オキシアルキレン基は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。異なるものである場合、ランダム状に付加されても、ブロック状に付加されてもよい。また、PAO基に親水性が付与される場合、オキシアルキレン基としてはエチレンオキシドが単独で付加されていることが好ましく、さらに、上記式のnが10以上であることがより好ましい。また種類の異なるアルキレンオキシドが付加される場合、エチレンオキシドが20モル%以上付加されることが好ましく、50モル%以上付加されることがより好ましい。PAO基に親油性が付与される場合、エチレンオキシド以外のオキシアルキレン基の付加モル数が多いことが好ましい。例えば、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのブロック共重合物であることが好ましい。
また、上記式のYのアルキル基としては、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基(分岐していてもよい)を挙げることができる。上記「機能性官能基」とは、PAO基の先端に糖、糖タンパク質、抗体、レクチン、細胞接着因子といった「機能性物質」を付加するための置換基が意図される。具体的には、例えば、アミノ基、オキシカルボニルイミダゾール基、N−ヒドロキシコハク酸イミド基といった反応性に富む置換基が挙げられる。先端に上記機能性物質が結合したPAO基が固定化された脂質膜は、PAO基の効果に加えて、上記機能性物質の機能、例えば癌組織指向性または癌細胞認識性といった「認識素子」としての効果を有する。また、本発明に係る脂質膜がPAO基を有するリン脂質または化合物を含有する場合、リン脂質または化合物は、単一種であっても、複数種の組合せであってもよい。また、その含有量は、本発明に係る脂質膜の全構成成分の0.001〜50モル%であることが好ましく、0.01〜25モル%であることがより好ましく、0.1〜10モル%であることがさらに好ましい。また、本発明に係る脂質膜へのPAO基の導入は、従来公知の技術を用いて行うことができる。
本発明に係る脂質膜がリポソーム形態にて提供される場合、リポソームの大きさは、本発明に係る脂質膜の用途に応じて、適した大きさに設計されればよく、特に限定されない。例えば、本発明に係る脂質膜を向腫瘍性治療薬として用いて、EPR効果によって癌組織へ選択的にリポソーム形態にて本発明に係る脂質膜をターゲティングさせる場合、リポソームの平均粒径は、50nm〜200nmであることが好ましく、60nm〜200nmであることがより好ましく、特に70nm〜150nmであることがさらに好ましい。また、局所化学療法として、癌病巣近傍の血管までカテーテルを介してリポソームを直接適用する場合、リポソームの平均粒径は、500nm〜1.0μmであることが好ましく、700nm〜900nmであることがより好ましく、750nm〜850nmであることがさらに好ましく、800nm前後であることが特に好ましい。上記平均粒径であれば、カテーテルから透過性が増した栄養動脈中に放出されても、癌組織に通じるその血管の壁孔から漏出することなく、標的の癌組織に、リポソームを直接到達させることができる。
本発明に係る脂質膜に含有される光活性化物質の含有量は、特に限定されず、当業者は本発明に係る脂質膜における光活性化物質の含有量を適宜変更し得る。光活性化物質の含有量を変更することで、脂質膜の性質を変化させることができる。より具体的に説明すると、脂質膜にて光活性化物質が会合している場合、光活性化物質の含有量を変更することにより、脂質膜での光活性化物質の会合状態が変化する。そのため、単に光活性化物質の含有量が変化したことによる性質の変化に加えて、会合状態の変化による性質の変化が期待される。したがって、脂質膜における光活性化物質の含有量は、脂質膜の用途によって、適宜変更することが好ましい。例えば、脂質膜がPDT用途に用いられる場合、全脂質に対して0.1〜20モル%の光活性化物質が含有されることが好ましく、0.5〜15モル%の光活性化物質が含有されることがより好ましい。このような構成とすれば、脂質膜1分子当たりの光照射による活性酸素生成量を増加させることができる。それゆえ、少量の脂質膜で、PDTの効果を得ることができる。
本発明に係る脂質膜は、上述したような構成を備えているため、水性溶媒に対して可溶である。また、平均粒径、光感受性物質および光活性化物質の含有量、脂質の組成、ならびにその他の成分の添加により、脂質膜の物性を制御することができる。それゆえ、本発明に係る脂質膜は、その物性に応じて、様々な用途に用いることができる。具体的には、本発明に係る脂質膜は、波長が500〜800nmの光による励起によっても、多くの活性酸素を生成することができる。それゆえ、このような脂質膜は、PDT、殺菌、滅菌等の用途に好適に用いることができる。また、DNAを切断するための用途、例えば、研究用試薬としても用いることができる。
〔2:脂質膜を含む組成物〕
本発明はまた、本発明に係る脂質膜を含んでいる組成物を提供する。本発明に係る組成物は、上述した脂質膜を含んでいればよく、その他の具体的な構成は特に限定されず、例えば、脂質膜が水性溶媒に溶解した溶液もまた本発明に係る組成物に含まれる。以下、本発明に係る組成物の一実施形態として、光線力学的治療剤および細胞増殖抑制剤について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(A)光線力学的治療剤
本実施形態に係る組成物は、光照射、好ましくは、波長範囲が500〜800nmの光照射、より好ましくは、波長範囲が600〜700nmの光照射により、活性酸素を生成する脂質膜を含んでいる。具体的には、上述した光活性化物質および光感受性物質を含有し、カチオン性脂質を含む脂質膜であることが好ましい。好ましいカチオン性脂質としては、例えば、上述したカチオン性脂質が挙げられるが、特に、上記式(1)で表される脂質が好ましい。また、その含有量は、全脂質量の1〜50モル%であることが好ましく、10モル%であることがより好ましい。
また、本実施形態に係る組成物において、脂質膜は、カチオン性脂質に加えて双極性脂質を含むことが好ましい。好ましい双極性脂質としては、例えば、上述した双極性脂質が挙げられるが、特に、上記式(3)で表される脂質が好ましい。その含有量は、全脂質量の50〜99モル%であることが好ましく、90モル%であることがより好ましい。1つの局面において、本実施形態に係る組成物に含まれる脂質膜は、全脂質量に対して、上記式(1)で表される脂質を10モル%、上記式(3)で表される脂質を90モル%含み得る。
本実施形態に係る組成物における脂質膜の含有量は、特に限定されないが、2〜20モル%であることが好ましく、5〜15モル%であることがより好ましい。また、本実施形態に係る組成物では、脂質膜以外に、薬学的に受容可能な成分をさらに含んでいてよい。薬学的に受容可能な成分としては、例えば、緩衝剤、キレート化剤、薬理的活性物質(例えば血管拡張剤、凝固抑制剤等)、さらには浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤(例えばα‐トコフェロール、アスコルビン酸)、粘度調節剤、保存剤等が挙げられる。浸透圧調節剤としては、例えば、生理食塩水(0.9%食塩水)が挙げられる。また、pH緩衝剤としては、アミン系緩衝剤および炭酸塩系緩衝剤が挙げられる。
本実施形態に係る組成物は、光線力学的治療剤として用いることができる。その場合、本実施形態に係る組成物を投与する方法は特に限定されるものではなく、例えば、治療すべき患部に対して皮下注射、静脈注射、外科的手段等によって投与することができる。また、本実施形態に係る組成物を光線力学的治療剤として用いる場合、組成物を投与した後、患部を一定時間、光に曝露しない環境に置いたのちに、患部に対して一定時間の光を照射する。この際、光の波長は特に限定されるものではないが、500〜800nmであることが好ましく、600〜700nmであることがより好ましい。このような波長の光は皮膚透過性が優れているので、患部に効率よく光を照射することができる。また、光を照射する方法は特に限定されず、例えば、人工拡散光源、レーザ等各種の光源が用いられ得る。好ましい光源としては、より具体的には、ハロゲン灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が挙げられる。特に、可視光に強い放射強度スペクトルを持つ光源としてメタルハライド灯が好ましい。また、光源としてLEDや有機EL素子等の発光素子も利用可能である。
また、本実施形態に係る組成物を光線力学的治療剤として用いる場合、その治療対象は特に限定されない。例えば、本実施形態に係る組成物は、癌細胞、加齢黄斑変性症、粥状動脈硬化病変、関節リウマチ病変、難治性疣贅、尋常性座瘡、およびパピロマーウイルスに対する治療に適用可能である。特に、癌細胞、および加齢黄斑変性症の治療に好適に用いられる。癌細胞の種類は特に限定されず、本実施形態に係る組成物は、各種の癌細胞に対して用いられる。また、加齢黄斑変性症は、色を識別する細胞を持つ網膜の黄斑と呼ばれる部分が加齢に伴い変化する疾患であるが、本実施形態に係る組成物は、加齢黄斑変性症の中でも、脈絡新生血管を伴う「滲出型」の加齢黄斑変性症の治療に好適に用いられ得る。
(B)細胞増殖抑制剤
本実施形態に係る組成物は、光照射、好ましくは、波長範囲が500〜800nmの光照射、より好ましくは、波長範囲が600〜700nmの光照射により、活性酸素を生成する脂質膜を含んでいる。本実施形態に係る組成物における脂質膜の含有量は、特に限定されないが、光照射により脂質膜が生成する活性酸素により細胞の増殖を抑制することができる程度の量であればよい。適用対象の細胞としては特に限定されないが、微生物等であってもよく、この場合、本実施形態に係る組成物は、抗菌剤または殺菌剤であり得る。また、本実施形態に係る組成物の具体的な使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、本実施形態に係る組成物を散布し、散布した領域を自然太陽光に曝すか、もしくは人工光源によって一定時間光照射する。人工光源によって照射する場合は、紫外光をフィルター等でカットした光を照射することが好ましい。
また、本実施形態に係る組成物を用いて殺菌を行う場合、殺菌対象となる微生物は特に限定されず、本実施形態に係る組成物を、例えば、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌等の細菌に対する殺菌あるいは抗菌に用いることができる。
なお、本実施形態に係る組成物の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、バルク状、ペースト状、溶液状、分散液状、膜状、あるいはゲル状等であり得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔実施例1〕
〔1〕C60・γ−シクロデキストリン(γCD)錯体水溶液の調製
5.0mgのC60と35.8mgのγCDを、高速振動粉砕法(30Hz,20分間)によって混合した後、0.9%NaCl水溶液1.5mlを加えて抽出した。不溶なフラーレンを遠心分離(18000×g,20分間)により沈降させ、上清を回収した後、メンブランフィルタ(0.2μm)を用いて濾過した。濃度を、紫外−可視光吸収スペクトルにより決定し、0.2mMとなるように希釈した(ε332nm=4.27×10cm−1mol−1dm)。
〔2〕カルボシアニン色素を含有するカチオン性リポソームの調製
双極性脂質(DMPC)/CHCl 3.6μmol、カチオン性脂質(NAla2C16)/CHCl 0.4μmol、カルボシアニン色素(1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニンパークロレート(「DiI」;DiIC18(3))、1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニンパークロレート(「DiD」 oil;DiIC18(5) oil)、または1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドトリカルボシアニンアイオダイド(「DiR」;DiIC18(7))(いずれもInvitrogen社))/EtOH 0.1μmol(2.5%)を混合し、Nガスで薄膜を形成した。この薄膜を、35℃で1時間減圧乾燥した後、0.9%NaCl水溶液 1mlを加え、ボルテックスミキサーで撹拌した。エクストルーダーを用いて、孔径50nmのメンブレンフィルターに11回通すことで、リポソーム溶液(脂質濃度4mM)を調製した。また、カルボシアニン色素を混合せずに、カチオン性リポソームを同様に調製した。なお、用いたカチオン性脂質は
で示され、双極性脂質は
で示され、カルボシアニン色素は、
で示される化合物である。
〔3〕C60フラーレンのリポソームへの交換反応
上述したリポソーム溶液(カルボシアニン色素あり/なし)を、脂質濃度2mMとなるように希釈し、上述した0.2mM γCD−C60錯体水溶液とを等量ずつ混合し、80℃で1時間加熱攪拌することによって、C60フラーレンの交換反応を行った。
〔4〕細胞のリポソーム処理および光照射実験
HeLa細胞を2.13×10cells/cmの細胞密度で播種し、37℃、5%CO条件下で一晩培養した。培養後の細胞に、各リポソーム溶液を、脂質の最終濃度が50μMとなるように添加し、24時間インキュベートして細胞にリポソームを取り込ませた。24時間後、PBSで細胞を3回洗浄し、培地を再度加えた後に25℃のインキュベータに細胞を移し、光照射(照射波長:500〜740nm)を行なった。光照射24時間後に顕微鏡下で観察し、位相差像を撮影した。細胞生存率は、シャーレ中の細胞をトリプシン処理により回収し、0.25%(W/V)トリパンブルーにより死細胞を染色した後、生存細胞数を血球計算盤上で算出する手法、またはCell Counting Kit−8を用いて算出した。
結果を図1に示す。図1の左側は、光照射なしの状態での細胞生存率を示すグラフであり、光照射がない場合は各リポソーム溶液に細胞毒性がないことを示している。図1の右側は、15分間光照射した場合の細胞生存率を示すグラフであり、C60とDiIまたはDiDとの組合せにおいて細胞毒性を観察した。特に、C60とDiIとの組合せにおいて顕著な細胞毒性を観察した。
光照射の時間をさらに延長した場合の、DiDおよびDiRの効果を調べた結果を、図2に示す。15分間の光照射ではC60とDiRとの組合せにおいて細胞毒性が観察されなかったが、照射時間を延長することにより、DiRもまた、DiIおよびDiDと同様の効果を示すことがわかった。
30分間の光照射の24時間後における細胞について、位相差顕微鏡による全細胞の観察(図3)および細胞生存率の算出(図4)を行ったところ、Cell Counting Kit−8による結果と同様に、DiI、DiDおよびDiRのいずれもC60と組み合わせることにより細胞死を誘導することがわかった。また、カルボシアニン色素の代わりにrhodamine DHPE(Invitrogen社)やBODIPY FL DHPE(Invitrogen社)を用いた場合にも、同様の結果が観察された(結果は示さず)。
なお、上述した色素の代わりに、
で示されるアスタキサンチン(A9335-250MG; Aldrich)を脂質分子の2.5モル%含有させて、同様の実験を行ったところ、C60およびアスタキサンチンを単独または組み合わせて用いた場合、いずれの場合においても細胞死が全く観察されなかった(結果は示さず)。また、上述した色素の代わりに、
で示されるプロトポルフィリンIX(P8293-1G; Aldrich)を脂質分子の2.5モル%含有させて、同様の実験を行ったところ、プロトポルフィリンIX単独で用いても細胞に対して毒性を示すが、C60と組み合わせて用いた場合には、その毒性がほとんど消滅した(結果は示さず)。このように、アスタキサンチンおよびプロトポルフィリンIXは、本発明における光感受性物質として機能し得ないことがわかった。
〔実施例2〕
〔1〕C70・γ−シクロデキストリン(γCD)錯体水溶液の調製
5.0mgのC70と60mgのγCDを、高速振動粉砕法(30Hz,20分間)によって混合した後、0.9%NaCl水溶液1.5mlを加えて抽出した。不溶なフラーレンを遠心分離(18000×g,20分間)により沈降させ、上清を回収した後、メンブランフィルタ(0.2μm)を用いて濾過した。濃度を、紫外−可視光吸収スペクトルにより決定し、0.2mMとなるように希釈した(ε380nm=3.80×10cm−1mol−1dm)。
〔2〕カルボシアニン色素を含有するカチオン性リポソームの調製
双極性脂質(DMPC)/CHCl 3.6μmol、カチオン性脂質(NAla2C16)/CHCl 0.4μmol、カルボシアニン色素(1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニンパークロレート(「DiD」 oil;DiIC18(5) oil)、Invitrogen社)/EtOH 0.1μmol(2.5%)を混合し、Nガスで薄膜を形成した。この薄膜を、35℃で1時間減圧乾燥した後、0.9%NaCl水溶液 1mlを加え、ボルテックスミキサーで撹拌した。エクストルーダーを用いて、孔径50nmのメンブレンフィルターに11回通すことで、リポソーム溶液(脂質濃度4mM)を調製した。
〔3〕C70フラーレンのリポソームへの交換反応
上述したリポソーム溶液を、脂質濃度2mMとなるように希釈し、上述した0.2mM γCD−C70錯体水溶液とを等量ずつ混合することで、C70フラーレンの交換反応を行った。
〔4〕細胞のリポソーム処理および光照射実験
HeLa細胞を2.13×10cells/cmの細胞密度で48 well plateに播種し、37℃、5%CO条件下で一晩培養した。培養後の細胞に、各リポソーム溶液を、
70の濃度が0.5〜20μM(DiD=0.125〜5μM)となるように添加し、24時間インキュベートして細胞にリポソームを取り込ませた。24時間後、PBSで細胞を洗浄し、培地を再度加えた後に25℃のインキュベータに細胞を移し、光照射(照射波長:610〜740nm、17mWcm−2、30分)を行なった。光照射24時間後、Cell Counting Kit−8を用いて細胞の生存率を算出した。結果を図5に示す(DiD−C70」参照)。
なお、〔実施例1〕の〔1〕−〔3〕の方法と同様の操作により得られた、C60を含むリポソーム溶液を用いて〔実施例2〕の〔4〕と同様の操作を行い、細胞の生存率を算出した(図5中、「DiD−C60」参照)。また、上述と同様の操作を行い、DiDのみをリポソームに含むリポソーム溶液を作製し、細胞の生存率を算出した(図5中、「DiD」参照)。更には、上述と同様の操作を行い、C70のみをリポソームに含むリポソーム溶液を作製し、細胞の生存率を算出した(図5中、「C70」参照)。
図5に示すように、DiDおよびC70を含むリポソームと、DiDおよびC60を含むリポソームとは、低い濃度から光照射により細胞死を誘起できることが確認できた。特に、DiDおよびC70を含むリポソームは、DiDおよびC60を含むリポソームに比べより低い濃度から光照射により細胞死を誘起できることが確認できた。
本発明は、医療分野において注目されている光線力学的治療に関する新たな技術を提供するので、医薬関連分野および研究ツールの開発に大いに寄与する。

Claims (7)

  1. 波長範囲500〜800nmの光照射によって活性酸素を生成し得る脂質膜であって、
    500〜800nmの範囲内の光を吸収し得る光感受性物質、および500〜800nmの範囲内の光を吸収し得ないかまたは500〜800nmの範囲内の光の吸収が非常に弱い光活性化物質を含有し、
    該光活性化物質は、光照射によって該光感受性物質が生成する第1の光エネルギーを受容して、酸素に供与される第2の光エネルギーを生成し、
    該光感受性物質は、炭素数8〜20の炭化水素基を2個含んでいることを特徴とする脂質膜。
  2. 上記炭化水素基が、直鎖であることを特徴とする請求項1に記載の脂質膜。
  3. 上記光活性化物質が、フラーレン、ポルフィリン、オリゴチオフェン、カロテノイドおよびピレンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の脂質膜。
  4. 上記光感受性物質が、
    (式中、nは1〜3であり、Rは、C12−18のアルキル基、(CHCH=CH(CHCH、または(CHCH=CHCH=CH(CHCHである。)
    として示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の脂質膜。
  5. リポソーム形態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂質膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質膜を含んでいることを特徴とする細胞増殖抑制剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂質膜を含んでいることを特徴とする光線力学的治療剤。
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