JPWO2008133000A1 - 鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置 - Google Patents

鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置 Download PDF

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Abstract

鋳物の生産条件として、上鋳型を下鋳型に重ね合わせる際に、プレス工程における上鋳型のプレス速度を制御して高い品質の鋳物製品を得ることができる鋳物製品の鋳造方法を提供する。鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせるようにしてプレスすることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する上鋳型とからなる鋳型を用いて鋳物製品を鋳造する鋳造方法であって、上下鋳型の形状データに基づいて、鋳型内の溶湯の圧力推定手段を用いて、プレス工程における溶融金属に加わる圧力を推定してプレス速度を制御する。【選択図】図9

Description

本発明は鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置に関する。さらに詳しくは、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される下鋳型に上鋳型を重ね合わせるようにしてプレスすることにより、鋳物製品を鋳造する鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置に関する。
従来より、鋳物の歩留まりを上げる方法として、下鋳型に湯道なしで直接注湯を行った後、迅速に上・下鋳型をプレスして鋳造する方法が取り入れられている。 このような鋳物の製造方法では、以下のようなプロセスが採用されている。 即ち、各種の鋳型造型法によって造型された主型でありかつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティ(湯道等)を有せず鋳物製品鋳造用として必要なキャビティだけを有する下鋳型と、各種の鋳型造型法によって造型された主型でありかつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティ(湯道等)を有せず前記下鋳型のキャビティとで鋳物製品鋳造用のキャビティを画成可能な突起部分を有する上鋳型とを用いて鋳造を行う方法であって、前記鋳物製品だけを鋳造するのに必要な量の溶融金属を前記下鋳型のキャビティ内に注入した後、前記上鋳型の突起部分を溶湯注入の前記キャビティ内に進入させて前記鋳物製品だけを鋳造するのに必要なキャビティを画成するようにして前記上鋳型を前記下鋳型に重ね合わせるようにしてプレスする鋳造方法(砂型プレスキャスティングプロセス)が提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−52871号公報
しかしながら、前記鋳造方法では、下鋳型へ溶湯を供給した後、上鋳型を重ね合わせてプレスすることで製品形状を成形する方法であるため、プレス工程において、プレス速度が速い場合では、溶湯が砂型表面の砂粒の隙間に入り込み、そのまま凝固した結果、鋳肌が粗くザラザラとした状態となる。これは差込み欠陥と呼ばれており、速いプレス速度に対して溶湯の流速が遅く、鋳型内の溶湯が高圧化することによって発生する。また、プレス速度が遅い場合では、酸化皮膜の発生による内部欠陥が発生したり、鋳型内で溶湯が凝固し、このままプレスすると鋳型形状が崩壊することがある。これらより、従来では、プレス工程において、プレス速度に起因する製品欠陥の発生が問題となっているため、溶湯に過大な圧力を加えず、かつ、迅速なプレス工程を実現するためのプレス速度の制御の確立が望まれている。
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、鋳物の生産条件として、上鋳型を下鋳型に重ね合わせてプレスする際に、プレス工程における上鋳型のプレス速度を制御して高い品質の鋳物製品を得ることができる鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置を提供することを目的とする。
本発明の鋳物製品の鋳造方法は、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせるようにしてプレスすることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する上鋳型とからなる鋳型を用いて鋳物製品を鋳造する鋳造方法であって、上下鋳型の形状データに基づいて、鋳型内の溶湯の圧力推定手段を用いて、プレス工程における溶融金属に加わる圧力を推定してプレス速度を制御することを特徴としている。
また、本発明の鋳造用プレス装置は、前記鋳物製品の鋳造方法に用いられるプレス装置であって、可動フレームと、該可動フレームに設けられる昇降手段と、該昇降手段の昇降をガイドするガイドロッドと、前記上鋳型の状態を検出する検出手段と、前記溶湯の圧力推定手段を記憶し、前記可動フレーム、昇降手段および固定手段の動作を制御するとともに、該検出手段の検出データに基づいて前記昇降手段の動作を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明によれば、溶湯の圧力推定手段を用いてプレス工程においてプレス時に溶融金属に加わる鋳型内の溶湯圧力が過大圧力になる前にプレス速度を切り替えて溶湯圧力の過度の上昇を抑えることができるため、鋳物製品に発生する欠陥を抑え、高品質な鋳物製品を得ることができる。
また、下鋳型内へ注湯された溶湯の液面位置高さにバラツキが生じたとしても鋳型内の溶湯の圧力変動を予め推定し、所望の溶湯圧力になるようにプレス速度を変更して高品質な鋳物製品を得ることができる。
さらに、検出手段によって計測される上鋳型に生じる反力値から上鋳型が下鋳型内の溶湯に接触したことを検出し,上鋳型の降下速度を低速パターンへ切り替えるタイミングを決定することで,その注湯量の変動が生じ注湯された溶湯の液面高さにバラツキが生じた場合でも,高速に上鋳型を降下させるプレス工程を実施することができる。
プレス中の、上鋳型に生じる溶湯からの反力値を検出する手段がない場合に、あらかじめ最大注湯量を見積もることで、圧力上昇を抑制するためのプレス速度切替え位置が決定できる。上記の最大注湯量とは、注湯精度に依存した製品部キャビティに対する正の誤差体積分を、製品部体積に加えた体積である。
この出願は、日本国で2007年4月25日に出願された特願2007−115456号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明により更に完全に理解できるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、当業者にとって明らかだからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本明細書あるいは請求の範囲の記載において、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数および複数の両方を含むものと解釈すべきである。本明細書中で提供されたいずれの例示または例示的な用語(例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説明し易くするという意図であるに過ぎず、特に請求の範囲に記載しない。
本発明は、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される、たとえば製品輪郭形状の一部を呈する凹部を有する下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する、たとえば製品輪郭形状の一部を呈する膨出部を有する上鋳型とからなる鋳型を用いることができる。また、本発明は、上下鋳型の形状情報に基づいた溶湯の圧力推定手段を用いて、プレス工程においてプレス時に溶融金属に加わる鋳型内の圧力を推定する。そして、プレス工程においてプレス時に溶融金属に加わる鋳型内の圧力が過大にならないようにするために、所定の設定圧力に到達するようになる上鋳型位置(速度切替位置)を予測し、当該速度切替位置において上鋳型によるプレス速度を切り替えるようにしている。前記上鋳型として、所定の部位、たとえば膨出部の外周近傍に位置する嵌合部に溶融金属の揚がり部(空洞)を有する上鋳型を用いることができる。
前記下鋳型および上鋳型は、生型、シェル型、コールドボックス法鋳型または自硬性鋳型などの各種の鋳型造型法を用いて適宜造型することができる。また、本発明は上鋳型または下鋳型に中子を配置することがある。また、本発明の鋳型には多孔性金型も含まれる。さらに、鋳型造型法は、スクイズ、ブロースクイズ、流気加圧造型法またはこれらの複合に限らず、切削、流し込み方法などの造型方法とすることができる。なお、前記鋳物製品とは、たとえば解枠後の鋳型から取り出された一般の鋳物素材から、湯口、湯道および堰などの湯口系、押湯、揚りおよびガス抜きなどの鋳造方案を取り除いたものであって、機械に最終部品として取り付けられたり、単独で販売される状態のものをいい、たとえば円形のブレーキドラムや四角いケースなどである。また、前記溶融金属とは、鉄や非鉄金属が溶解していて下鋳型に注入可能なものをいう。
実施の形態1
以下、添付図面に基づいて本発明の鋳物製品の鋳造方法および該鋳造方法に用いられるプレス装置を説明する。図1に示されるように、本発明の実施の形態1に用いられる鋳造用プレス装置1は、造型ラインに沿って取鍋傾動方式の注湯機2に対向して配置されている。このプレス装置1は、横方向(図1の紙面左右方向)Yに往復移動する走行台車(図示せず)に連結される可動フレーム3と、該可動フレーム3に設けられる昇降手段4と、該昇降手段4のロッド5の先端部5aに連結される鋳型加圧板6と、該鋳型加圧板6に立設されるガイドロッド7と、上鋳型F1を前記鋳型加圧板6の4辺のうち対向する2辺から支持する、たとえば4個の固定手段8と、溶融金属9の圧力によって上鋳型に加わる反力値を検出する検出手段10と、制御手段11とを備えている。
前記上鋳型F1の膨出部12の外周近傍に位置する嵌合部13に溶融金属9の揚がり部14が形成されている。前記揚がり部14の本数は、溶融金属の余剰分の量や、揚がり部の形状により決定され、少なくとも1個以上であれば良いが、本実施の形態1では、嵌合部13の周方向に等間隔にて12個形成されている。
前記昇降手段4は、電動式、油圧式または空気圧式によりロッド5が昇降可能であれば、本発明において、とくに限定されるものではなく、本実施の形態1では、ロッド5の位置および速度を高精度に制御できる電動サーボシリンダが用いられている。この電動サーボシリンダには、ねじ機構、駆動モータおよび位置検出器としてのロータリーエンコ−ダなどが内蔵されている。なお、このロッド5の位置および速度を制御できる電動サーボシリンダに代えて、速度のみを制御できる電動サーボシリンダと上鋳型の位置を検出して位置決めを制御するために、リニアスケールを組み合わせて用いることもできる。
また、前記固定手段8は、前記上鋳型F1を鋳型加圧板6に支持することができる構成であれば、とくに限定されるものではないが、たとえばエアシリンダなどの駆動機構と該駆動機構の作動により回動または伸縮するクランプ部材とから構成することができる。または、電磁力を用いた支持構造や、吸引力を用いた支持構造とすることもできる。
また、前記検出手段10は、プレス時に溶融金属9の圧力によって上鋳型に加わる反力値を検出する機能を有していれば、とくに限定されるものではなく、前記昇降手段4の種類により適宜選定することができる。本実施の形態1では、昇降手段4として電動サーボシリンダが用いられているので、前記昇降手段4のロッド先端部5aに設けられるロードセルが選定されている。
また、前記制御手段11は、前記走行台車の往復移動の駆動回路、昇降手段4の昇降動作である上昇速度や降下速度、停止を制御する駆動回路、固定手段8の駆動回路、これらの駆動回路を連動して制御する回路、あらかじめ入力される溶湯の圧力推定手段などを記憶させるメモリなどから構成されている。
なお、溶湯の圧力推定手段は、上下鋳型の形状データ、たとえば内径寸法および高さ寸法を含んでおり、上鋳型が溶融金属の液面位置に接触する位置情報に基づいて溶融金属の圧力の変化を予測し、当該圧力が所定の上限圧力を超えないように上鋳型の降下速度を切り替える速度切替位置を算出するようになっている。そして、この所定の上限圧力は、鋳造製品に欠陥、たとえば差込み欠陥が発生しないレベルの、あらかじめ設定された圧力を意味するものである。
鋳造方法における迅速なプレス工程を実現するために、プレス速度の高速化が求められているが、高速プレスは鋳型内に急激な圧力変化を生じさせ、過大な圧力を発生させる原因になり、差込み欠陥を招くおそれがある。そこで、本実施の形態では、溶湯の圧力推定手段によって、過大圧力の抑制を考慮したプレス速度の制御を行うようにしている。ここで、実際の鋳型内の溶湯圧力を計測することが必要となるが、1400℃程度の高温溶湯に対し、接触式圧力センサを用いることは困難であることから、ロードセルによって上鋳型に作用する反力値(プレス時の溶湯反力値)を計測することによって、素早く降下するプレス速度パターンを設定するようになっている。図2にプレス装置における上鋳型の降下速度を制御するシステムの構成を示す。電動サーボシリンダに取り付けたエンコーダにより逐次計測される上鋳型の降下位置(上下方向位置)データは、演算処理装置であるプログラマブルシーケンサで処理され、上鋳型の位置指令が送信される。この上鋳型の位置指令に基づいて、電動サーボシリンダを駆動させ、上鋳型の位置を制御するために、PIDコントローラによる位置フィードバック制御が構成されている。
まず、本実施の形態1では、Computational Fluid Dynamics:CFD(計算流体力学)モデルを用いて、上・下鋳型をプレスする際の鋳型内の溶湯圧力を解析する。計算流体力学ソフトとして、FLOW―3D(フローサイエンス社製)を用いる。このソフトは、ダムの設計における放流時の流動解析や、連続鋳造における動特性解析など、幅広い分野で使用されている。FLOW―3Dは、流体に対する移動障害物を再現する機能を持つことから、プレス動作時の充填挙動解析が可能である。
また、実機による溶湯のプレス実験を行い、その際のロードセルからの反力値に対して、CFD解析による鋳型内の溶湯圧力を検証する。検証にあたり、プレス工程の概略を図3に示す。図3において、
:上鋳型の質量
:ガイドロッドの質量
:溶湯の重量(kg)
ρ:溶湯の密度(kg/m
γ:溶湯の粘度(Pa・s)
A:上鋳型の下面の表面積(m
Z(t):上鋳型の位置(距離)(m)
h(t):溶湯の液面位置(上鋳型の下端面と溶融金属の表面との偏差)(m)
である。
また、検証実験の条件を表1に示す。
Figure 2008133000
そして、検証例として、表1の条件における、プレス実験でのロードセルの反力データと、CFD解析での圧力値を比較する。ここで、CFD解析による数値計算のサンプリング周期は0.01(s)であり、CFD解析における分割メッシュブロックは2(mm)幅の立方体としている。CFD解析で得られた圧力P(Pa)とロードセルで計測される反力値F(N)との関係は、つぎの式(1)で示される。
Figure 2008133000
比較結果を図4に示す。図4において、破線がプレス実験の結果であり、実線がCFD解析によるシミュレーション結果である。プレス実験での応答とCFD解析での応答について、勾配が急激に上昇するタイミング、すなわち、揚がり部に溶湯が進入する時刻(2.02(s))がほとんど一致している。しかし、1.9(s)付近から、解析値に対してロードセル値が50〜80(N)程度大きい。原因として、上下鋳型を正確に位置合わせするために設けているはめ合いピン21が、嵌合部22に接触することに因ると考えられる。また、終盤での反力値の増加量は大きく異なっている。これは、上鋳型が下鋳型に接触することによって上鋳型の重量分の負荷が軽減されるからである。
これらのことから、CFD解析から得られた反力値は、プレス実験の結果とほぼ一致していることがわかる。したがって、CFD解析による溶湯の圧力値が実際の鋳型内の溶湯圧力を再現していることがわかる。
前記CFD解析での溶湯の圧力値は、プレス実験の結果により信頼し得るものであることを確認したが、CFD解析はオフライン計算のため、実際での注湯量の初期液面位置のバラツキに起因する溶湯圧力の挙動変化を予測することはできない。しかし、プレス工程において、ロードセルの反力値データを用いて、溶湯の圧力変動を推定することは可能である。
すなわち、ロードセルの反力値のデータから、上鋳型の先端が溶湯に接触した時刻を特定することができ、この時刻とエンコーダによるプレス位置データを用いて、注湯された溶湯の初期液面位置の推定が可能となることから、この推定した注湯の初期液面位置から、プレス速度に対する溶湯の圧力変動を推定することができる。
かかるプレス速度に対する圧力変動を推定することにより、差込み欠陥が発生する過大圧力を抑制するためのプレス速度を制御することができる。
そこで、これらのことから、プレス速度を決定するために溶湯の圧力推定手段を構築する。まず、使用している鋳型の上鋳型形状は、図3に示したように、表面積Aの凸の先端に小さな凸を持つ形状となっている。差込み欠陥は、表面積Aの凸部の下面外側で発生することがわかっている。本来の鋳型形状における曲線部、傾斜部および抜き勾配部を排除した簡易鋳型を用いて、欠陥発生部分の圧力変化を検討する。この圧力推定手段において使用した簡易鋳型の形状を図5に示す。図5において、b〜b、d〜dはそれぞれの鋳型の高さおよび直径の形状情報を示している。また、P(j=1、2)は、欠陥の発生しやすい箇所である。z(t)は、降下する上鋳型の最下部が、注湯後の液体表面と接触した瞬間の位置からの上鋳型の降下変位である。hは初期の溶湯高さ(液面位置)である。また、h(t)は、上鋳型の最下部から液体の最大高さを示し、これはPj点に加わるヘッド圧を直接的に表現する。プレス速度の増加とともに、流れ難さを表現する動圧が加わる。
つぎに、鋳型形状の寸法情報に基づいた非圧縮および非粘性を想定した理想流体に基づいて溶湯圧力モデルを考え、プレス時の溶湯の圧力変動を予測する。まず、上方に流動する溶湯の先端、すなわち最大液面位置高さ部分での流速による動圧が、P点にも加わることが考えられることから、P点での圧力Pは、静圧に動圧を加えたものとなり、つぎの式(2)で現される。
Figure 2008133000
ここで、g(m/s)は重力加速度を示す。図5より、溶湯の上昇液面位置は流動路が異なる、case1:d−d間、case2:d−d間、およびcase3:dの3つの流動パターンを持つことがわかる。それぞれの液面位置の変化について、溶湯が非圧縮性流体であると仮定すると、容易につぎの式(4)を得ることができる。ここで、揚がり部の本数nが12本であるため、揚がり部の数nは12である。
Figure 2008133000
また、hswl、bは、h(t)によるcase1→case2、case2→case3の切り替え条件であり、hswlはつぎの式(5)のようになる。
Figure 2008133000
前記液面位置h(t)がhswlと等しくなったとき、式(4)はcase1からcase2に切替えられる。液面位置h(t)がbに達したとき、式(4)はcase2からcase3へ切り替えられる。以上のように、プレス速度に起因する溶湯の圧力応答は、初期溶湯高さ(充填量)と鋳型形状によって決定されることになる。
つぎに、CFD解析ソフトのFLOW―3Dによるプレス時の流体挙動解析に対し、鋳型内の溶湯の圧力推定手段の検証を行う。
簡易鋳型に基づいて、溶湯を理想流体と仮定して求めた流体液面位置h(t)とCFD解析の結果での流体液面位置h(t)を比較したグラフを図6に示す。なお、図6において、破線は溶湯の圧力推定手段に基づく流体液面位置の推定結果であり、実線はCFD解析の結果を示している。CFD解析の結果は、図5における測定点Mh(t)iを計測している。揚がり部4箇所についての液面位置を計測し、h(t)を算出している。ここで、プレス速度は5(mm/s)に設定している。CFD解析による応答では重力の影響により溶湯が圧縮されており、プロセスの終了段階において流体液面位置が低くなっている。
つぎに、差込み欠陥の発生部における溶湯の圧力値の変動について比較評価する。なお、ここでの解析においても、先に説明した簡易鋳型を使用している。
CFD解析では、図5におけるP部分での圧力変動のみを示す。ここで、PとPでの変動に差がないことを確認している。プレス速度を5(mm/s)と30(mm/s)にした場合の、P部分での溶湯の圧力変動を図7および図8に示す。なお、図7および図8において、破線は式(2)を使用した溶湯の圧力推定手段による計算結果であり、実線はCFD解析の結果を示している。溶湯を理想流体として仮定し、溶湯の圧力推定手段により計算した圧力応答と、CFD解析の結果得られた圧力応答とがよく一致していることがわかる。これより、式(2)を使用した溶湯の圧力推定手段で計算された圧力値が妥当であることがわかる。
プレス工程で問題となる差込み欠陥は、プレス速度80(mm/s)以上で発生することを既に確認している。これより速いプレス速度では、溶湯が揚がり部を流動する際に、欠陥を招く過大圧力が発生するため、溶湯が揚がり部へ進入するときにプレス速度の切替えを行なうようにプレス速度の制御を行う。プレス速度切替えのためのシーケンス速度制御のフローチャートを図9に示す。プレス速度の切替えを行う、速度切替位置は、前記式(4)と式(5)を用いて算出する。
つぎに、CFD解析による溶湯圧力の抑制シミュレーションにおける圧力抑制検証についての一例を示す。まず、第1速度としての初期プレス速度を100(mm/s)と設定し、揚がり部への進入位置において、プレス速度を第2速度としての低速の10(mm/s)に切り替える。このとき、初期液面位置(注湯量)を19.2(mm)とし、この場合での速度切替えは、上鋳型の先端部が溶湯の表面に接触してから上型プレス(上鋳型)が垂直方向下方へ29.90(mm)移動した位置で行うことになる。また、鋳型内の溶湯温度を1300度と想定している。
溶湯圧力の抑制シミュレーションの結果を図10に示す。図10中の上段は、上鋳型の降下速度(プレス速度)を示し、下段は鋳型内の溶湯圧力を示している。図10の下段の実線は、プレス速度の切替えを行なった場合の溶湯の圧力応答であり、破線は、プレス速度の切替えを行なわなかった場合の溶湯の圧力応答であり、プレス速度の切替えを行なった場合の方が、プレス速度の切替えを行なわなかった場合よりも圧力変動が非常に小さくなることがわかる。約1.17(s)の時刻(液面検出位置)においては、上鋳型と溶湯の表面と衝突することによって溶湯の圧力上昇が起きている。これより、プレス速度の切替えを行なわず、一定プレス速度100(mm/s)で加圧した場合では、溶湯が揚がり部を流動する際に生じる過大圧力は304080(Pa)まで上昇した。図10から、溶湯が揚がり部に進入する直前の位置において、プレス速度を切替えて小さくすることにより、溶湯圧力の急激な上昇を抑えることができることがわかる。なお、図10において、液面検出位置と記号Sの部分における溶湯圧力が設定圧力5(KPa)を超えているが、これは計算に起因する誤差である。
本実施の形態1におけるプレス速度制御のブロック線図を図11に示す。図11において、RFoutはロードセルの反力値である。ここで、Zinは上鋳型位置の目標値、Zoutは上鋳型の位置(エンコーダ値)、Mは上鋳型の質量とガイドロッドの質量の和である。W、Wは、つぎの式(6)によって表される変換を意味している。
Figure 2008133000
本実施の形態1では、鋳型内の溶湯の圧力推定手段を用いることにより、鋳型内の溶湯圧力が過大になる前の設定位置においてプレス速度を所定の第1速度から第2速度に切替えることが可能になり、高速でプレス工程を実施させることができると共に、差込み欠陥の発生を抑え、高品質な鋳物製品を得ることができる。
実施の形態2
つぎに、本発明にかかわる実施の形態2として、上鋳型の降下速度と鋳型内の溶湯圧力との関係を用いて上鋳型の降下速度を切替えるようにした溶湯の圧力推定手段について説明する。
図12に示される鋳型形状をプレス成形する場合を考える。ここで、図5におけるh(t)とZ(t)をe(t)とZ(t)に置き換えている。これにより、プレス成形時における上鋳型先端面付近P点の溶湯圧力P(t)は,上鋳型の下端面と液体表面との偏差e(t)を用いて、つぎの式(7)で表すことができる。
Figure 2008133000
(t)=f(Z(t),h)であることから、式(7)から、プレス成形前の溶湯高さhと上鋳型位置Z(t)から鋳型内の溶湯圧力を得ることができる。
また、ロードセルによる反力値Fと溶湯圧力Pの関係は、つぎの式(8)となる。
Figure 2008133000
ここで、Aは,溶湯中の上鋳型水平面積(m)を示す。mは上鋳型の段差数を示し、Aはi番目の段差における水平面積(m)、Pはi番目の段差付近の圧力(Pa)となる。図12において、段差数はm=2となり、面積Aと圧力Pはそれぞれ式(9)と式(10)となる。
Figure 2008133000
式1
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式2
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式3
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式4
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式5
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式6
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式7
Figure 2008133000
Figure 2008133000
式8
Figure 2008133000
Figure 2008133000
これより、プレス成形時における上鋳型の降下速度は式(14)、(15)および式(18)を用いて、つぎの式(19)に演算される。
Figure 2008133000
この式(19)を用いた上鋳型の降下速度を制御するフローチャートを図13に示す。
式9
Figure 2008133000
実施の形態3
つぎに、本発明にかかわる実施の形態3を説明する。図14は実施の形態3における上鋳型の降下速度切替えのフローチャートを示したものである。このフローチャートによれば、まず初期情報として、上鋳型の降下速度である第1速度(V1)、上鋳型の降下速度である第2速度(V2)、上下鋳型の形状データ、上鋳型の下面が溶湯の液面に接触する直前の上鋳型の位置(H)、差込みが発生しない溶湯の許容最大圧力(設定圧力)(P1)、プレス完了時点における上鋳型の位置、鋳型の型くずれを生じさせない上鋳型の位置、鋳型の型くずれを生じさせない上鋳型の加圧力(ロードセル反力値)(P2)などを入力する(ステップS1)。次に、プレス工程を開始したのち、第1速度V1により上鋳型を降下させる(ステップS2、S3)。そして、上鋳型が所定の位置(H)に到達したのを検知した後、速度を切り替えて第2速度V2により上鋳型を降下させる(ステップS4)。次に、上鋳型の先端が溶湯の液面に接触したことを検出する(ステップS5)と、溶湯の圧力推定手段を用いて上鋳型が液面に接触した位置のデータと上下鋳型の形状データより鋳型内の溶湯の圧力変動を推定する。このとき圧力変動の推定結果に基づき、設定圧力P1に達する上鋳型の位置Z1を算出する。次に、上鋳型が位置Z1に到達したのを検知した後、上鋳型の速度を切り替えて第3速度V3により上鋳型を降下させる(ステップS6)。そして、所定の加圧力P2(ロードセル反力値)を検出したのち、プレス完了位置で上鋳型の降下を停止し、一連のプレス工程を終了する(ステップS7〜S9)。なお、第2、3速度は前記実施の形態2における溶湯の圧力推定手段を用いて算出してもよい。
本実施の形態3では、前記本実施の形態2または実施の形態3における溶湯の圧力推定手段を用いて、前記下鋳型F2へ注湯された溶融金属9が凝固する前に、すばやく上鋳型F1を重ね合わせ、プレスして鋳造品形状を転写する必要があるため、前記昇降手段4のロッド5の降下速度が、以下のような3段階に設定される。
(1)下鋳型F2の凹部15に注湯された溶融金属9の表面に上鋳型が接触を開始する直前の位置まで上鋳型が降下する際の第1速度と、
(2)溶融金属9の表面に上鋳型が接触を開始する直前の位置から鋳型内の溶融金属9の圧力があらかじめ設定された圧力に到達する位置まで上鋳型F1を降下させる第2速度と、
(3)該あらかじめ設定された圧力に到達する位置以降速度を切り替えて、プレス完了位置まで該上鋳型を降下させる第3速度とに設定されている。
ここで、第3速度は、第2速度より遅く、第2速度は第1速度よりも遅く設定される。
前記検出手段10は、前記溶融金属9の圧力によって上鋳型に作用する反力値および上鋳型F1を下鋳型F2に重ね合わせた際に上鋳型F1が下鋳型F2から受ける反力値(上下鋳型の見切り面に掛かる力)を検出する。
また、本実施の形態3では、前記下鋳型F2に重ね合わされた該上鋳型F1が前記溶融金属9および該下鋳型F2から受ける反力値を前記検出手段10により検出し、該反力値を基に推定した溶湯の所定の加圧力P2に達したことを検出し、この検出信号に基づいて、該上鋳型F1の降下をプレス完了位置で停止するように前記昇降手段4の動作を制御している。
前記上鋳型F1の所定の位置(上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる位置)は、上鋳型F1の膨出部12の形状や上鋳型の降下速度の第1速度に依存して決定されるものである。たとえば膨出部12の表面が平坦であり、第1速度が速い場合には、上鋳型F1の降下よる風圧が大きくなり溶融金属9の表面が乱れ、上下鋳型F1、F2を重ね合わせるときに空気が鋳造製品内に巻き込まれる可能性があるため、上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる位置を上方に設定する必要がある。すなわち上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる上鋳型の位置と溶融金属9の表面との間隔を広げる必要がある。これに対し、第1速度が遅い場合には、溶融金属9がプレス工程の途中で凝固し、上鋳型F1がプレス完了位置まで到達しきれなくなることもあるため、上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる上鋳型の位置と溶融金属9の表面との間隔を小さくしなければならない。したがって、前記所定の位置(上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる位置)と上鋳型の最初の降下速度である第1速度は、あらかじめ鋳造品の形態や、溶融金属の注湯温度、溶融金属の材質を考慮して実験的に設定しておくことが望ましい。本実施の形態では、前記鋳造品の形態としての膨出部12がピラミッド形状であり、溶融金属の注湯温度が融点温度より100〜200℃以上の高い温度であることから、第1速度を昇降手段4である前記電動サーボシリンダの仕様上最高速度、たとえば約375mm/sに設定するとともに、所定の位置(上鋳型の降下速度が第1速度から第2速度に切替わる位置)を1〜100mmに設定している。
前記所定の加圧力P2は、上下鋳型F1、F2が接触を開始し、かつ鋳型の型くずれを生じさせない位置で上鋳型F1を停止させるために、上鋳型の見切り面の面積や、上下鋳型の形態、プレス速度に基づいて、あらかじめ実験により設定しておくことが望ましい。
本実施の形態3では、溶融金属の温度(注湯温度)を変えて実験を行った。注湯温度が約1406℃の場合の加圧力曲線(上鋳型の降下距離を横軸にとり、その時の溶湯の加圧力を縦軸にとった線図であり、実験的に求めたもの)によれば、上鋳型を第2速度で降下させた後、上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から加圧力が緩やかに上昇し、上鋳型が所定の距離まで降下した位置からほぼ直線状態で加圧力が上昇し始める。この実験の加圧力曲線では、上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から鋳型の型くずれが生じない位置までの加圧力の差は0.010MPaであった。なお、実験条件は、上鋳型の見切り面の面積が88842mmであり、昇降手段4の降下速度として第2速度が30mm/sであった。
つぎに、実験条件を同じにして注湯温度が約1363℃の場合の実験を行った。この実験の加圧力曲線は、前記加圧力曲線と同様に上鋳型を第2速度で降下させて該上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から以降、加圧力が緩やかに上昇したのち、上鋳型が所定の距離まで降下した位置からほぼ直線状態で加圧力が上昇し始めている。この実験の加圧力曲線では、上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から鋳型の型くずれが生じない位置までの加圧力の差は0.011MPaであった。したがって、注湯温度が変わっても加圧力曲線はほぼ同様であり、上鋳型が下鋳型に接触を開始するまでの加圧力は上鋳型の膨出部が下鋳型内の溶湯に侵入したときの溶湯の粘性などにより影響を受け、上下鋳型の接触を開始する位置までの加圧力において多少差異があるものの、上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から鋳型の型くずれが生じない位置までの加圧力はほぼ同様な曲線を描いている。(即ち、注湯温度による差異はあまり見られない。)
このため、本発明においては、注湯温度が変わっても加圧力曲線は同様の特性を示していることから、前記上鋳型が下鋳型に接触を開始した位置から鋳型の型くずれが生じない位置までの範囲内において、上鋳型が降下した距離に基づいて上鋳型の降下を適切な位置で停止させることもできる。この場合、上鋳型の位置の検出手段として、前記ロータリーエンコーダやリニアスケールなどの位置検出器を用いることができる。
なお、本実施の形態3では、注湯温度が変わっても加圧力曲線は同様の特性を示していることから、上鋳型の降下距離によってプレス完了位置(上鋳型の停止位置)を設定することができると述べた。すなわち、上鋳型の降下距離は下鋳型に溶融金属(溶湯)が注湯されている状態で設定されている。しかし、この溶湯有りの状態における降下距離は、上鋳型へ溶湯の反力が掛かっているときの降下距離である。このため、実際の降下距離を正確に反映していないおそれがある。また、砂型は造型圧力や、砂性状、模型形状などの変化に伴い鋳型寸法、とくに鋳型の高さに違いが生じる。
そこで、さらに高精度の降下距離を設定するために、下鋳型に溶融金属がない状態で、上鋳型を下鋳型に重ね合わせる工程の上鋳型へ掛かる圧力(加圧力)を測定し、所定の加圧力が掛かったときに上鋳型の降下を停止するプレス完了位置としての上鋳型の降下距離を設定する。
なお、本実施の形態では、揚がり部を有する上鋳型について溶湯が進入する際に発生する鋳型内の圧力が過大圧力になる前の設定位置でプレス速度を切り替えているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえば揚がり部以外に鋳物製品の形態が複雑になり、プレス中の圧力変動が起こりやすい上下鋳型に対しても適用することができる。
この場合に、複雑な鋳型形状の場合に適用するためのプレス速度を設計する。鋳型の形状データからプレス中の圧力上昇区間を推定し、圧力変動を所望の圧力制約値以下に抑えるためのプレス速度を決定する。溶湯表面以下での溶湯の流路の変化に応じて、多段にプレス速度を切替える。プレス工程の高速化のために、上鋳型が溶湯に接する直前までは昇降装置の最大出力速度を用いる。その後に、圧力制約を満足させるために、多段切替によってプレス速度を低速側に順次切替える。
また、これまでの実施の形態では、枠付鋳型を用いているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、たとえばバックメタル方式の鋳型や造型後もしくは鋳型合わせ後に鋳枠から砂型を抜き出す抜枠鋳型を用いることができる。なお、この鋳型合わせ後に鋳枠から砂型を抜き出す抜枠鋳型を用いる場合、鋳枠と砂型を分離する抜枠手段をプレス装置に設けるため、前記昇降手段のロッドの先端部に連結される鋳型加圧板および前記上鋳型を支持する固定手段を省くとともに、ガイドロッドとして造型後の上鋳型と下鋳型を支持し、昇降手段の昇降をガイドする構成のプレス装置とすることができる。
本発明の実施の形態1にかかわる鋳造用プレス装置の概略構成図である。 上鋳型の降下速度を制御するシステムの構成を示す図である。 プレス工程の概略図である。 CFD解析で得られた上鋳型に作用する反力とロードセルで計測される反力値との関係を示す図である。 簡易鋳型(解析上の数学モデルを与えるためのもの)の形状を示す図である。 簡易鋳型(解析上の数学モデルを与えるためのもの)における流体液面位置の変化を示す図である。 プレス速度が5(mm/s)の場合における、圧力の変動を示す図である。 プレス速度が30(mm/s)の場合における、圧力の変動を示す図である。 上鋳型の降下速度切替えのためのシーケンス速度制御のフローチャートである。 上鋳型の降下速度切替えによる溶湯圧力の抑制効果を評価するためのシミュレーション解析の結果を示す図である。 プレス装置の制御ブロック線図を示したものである。 実施の形態2における簡易鋳型の形状を示す図である。 実施の形態2における上鋳型の降下速度を制御するフローチャートである。 実施の形態3における上鋳型の降下速度切替えのフローチャートである。

Claims (11)

  1. 鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせるようにしてプレスすることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する上鋳型とからなる鋳型を用いて鋳物製品を鋳造する鋳造方法であって、
    上下鋳型の形状データに基づいて、鋳型内の溶湯の圧力推定手段を用いて、プレス工程における溶融金属に加わる圧力を推定してプレス速度を制御する鋳物製品の鋳造方法。
  2. 前記溶湯の圧力推定手段が上鋳型の降下速度をパラメータとして鋳型内の溶湯の圧力を推定するようになっていることを特徴とする請求項1記載の鋳物製品の鋳造方法。
  3. 前記鋳型内の溶湯の圧力があらかじめ設定された圧力に到達した時にプレス速度を切り替える工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載の鋳物製品の鋳造方法。
  4. 前記上鋳型が所定の部位に溶融金属の揚がり部を有することを特徴とする請求項1または2記載の鋳物製品の鋳造方法。
  5. 前記上鋳型を前記下鋳型に重ね合わせてプレスする際に、前記上鋳型が溶融金属に接触し始めた時の前記上鋳型の位置を検出する工程と、
    該上鋳型が更に降下し、上鋳型の位置が所定の位置に達したことを検出したのち、該上鋳型の降下を停止する工程
    とを更に含むことを特徴とする請求項3記載の鋳物製品の鋳造方法。
  6. 前記上鋳型を前記下鋳型に重ね合わせてプレスする際に、前記上鋳型が溶融金属に接触し始めた時の上鋳型に作用する溶融金属からの反力を検出する工程と、
    該上鋳型が更に降下し、上鋳型に作用する溶融金属からの反力が所定の値に到達したことを検出したのち、該上鋳型の降下を停止する工程とを更に含むことを特徴とする請求項3に記載の鋳物製品の鋳造方法。
  7. 請求項1または2記載の鋳物製品の鋳造方法に用いられるプレス装置であって、
    可動フレームと、
    該可動フレームに設けられる昇降手段と、
    該昇降手段の昇降をガイドするガイドロッドと、
    前記上鋳型の状態を検出する検出手段と、
    前記溶湯の圧力推定手段を記憶し、前記可動フレーム、昇降手段および固定手段の動作を制御するとともに、該検出手段の検出データに基づいて前記昇降手段の動作を制御する制御手段
    とを備えることを特徴とする鋳造用プレス装置。
  8. 前記上鋳型が所定の部位に溶融金属の揚がり部を有することを特徴とする請求項7記載の鋳造用プレス装置。
  9. 前記昇降手段によって駆動される上鋳型の降下速度が、鋳型内の溶融金属の圧力があらかじめ設定された圧力に到達する位置まで該上鋳型を降下させるための第1速度と、該鋳型内の溶融金属の圧力があらかじめ設定された圧力に到達した位置より下の領域において該上鋳型を降下させるための第2速度とに設定され、該第2速度は該第1速度より低く設定されていることを特徴とする請求項7または8記載の鋳造用プレス装置。
  10. 前記検出手段が前記下鋳型に重ね合わされる該上鋳型に作用する外力または該上鋳型の位置を検出するとともに前記制御手段に該上鋳型に作用する外力データまたは該上鋳型の位置データが記憶されていることを特徴とする請求項7または8記載の鋳造用プレス装置。
  11. 前記昇降手段によって駆動される上鋳型の降下速度が、前記上鋳型が溶融金属の液面に接触を開始する位置まで該上鋳型を降下させる第1速度と、上鋳型に加わる鋳型内の溶融金属の圧力があらかじめ設定された圧力に到達するまで上鋳型を更に降下させる第2速度と、上鋳型に加わる鋳型内の溶融金属の圧力があらかじめ設定された圧力に到達した後、上鋳型を完了位置まで降下させる第3速度とに設定され、該第2速度は該第1速度より低く、該第3速度は該第2速度より低く設定されていることを特徴とする請求項10記載の鋳造用プレス装置。
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