JPWO2008068842A1 - 光海底ケーブルシステムの光中継器および該光中継器を備える光海底ケーブルシステム - Google Patents

光海底ケーブルシステムの光中継器および該光中継器を備える光海底ケーブルシステム Download PDF

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Abstract

給電電流が低下した場合でも、通信が全断される可能性の低い光中継器、および該光中継器を備えることにより通信が全断される可能性の低い光海底ケーブルシステムを提供する。光中継器内に複数設けられている光増幅器の一部および/または、光増幅器内に複数設けられているポンプレーザの一部への電力供給を停止することで、給電電流が低下した場合でも、一部又は全部の通信を途絶させることのない光中継器および、該光中継器を備えた光海底ケーブルシステムを実現する。

Description

本発明は、光海底ケーブルシステムの光中継器および該光中継器を備える光海底ケーブルシステムに関する。より詳細には、光海底ケーブルシステムの光中継器および該光中継器を備える光海底ケーブルシステムの給電方式に関する。
光海底ケーブルシステムは、データを搬送する光信号を伝播させる光ファイバと、この光信号を中継する光中継器と、光中継器を駆動するための給電電流を通電させる内部導体を内装する光海底ケーブルとを用い、陸上の伝送装置から送信された光信号を、光中継器を用いて中継し、対向の陸上の伝送装置にて受信することでデジタルデータを伝送する。
光海底ケーブルシステムで用いられている光中継器の給電方式では、一般に、対向する陸上局から正負の極性の直流電圧をそれぞれ光海底ケーブルに印加する。これにより直流電流が光海底ケーブルシステムに供給される。光中継器内では、電源回路内の抵抗の両端に生ずる直流電圧を利用して、光中継器内の光増幅器を駆動している。
図1は光海底ケーブルシステムの概念図である。対向する陸上局にはそれぞれ給電装置3が設置され、複数の光中継器2を含む光海底ケーブルシステムに直流電流を印加している。電流は光海底ケーブルの内部導体と海水とで閉じた回路を循環する。ここで、給電される直流電流は、双方の給電装置3の電位差によって制御される。
図2は光中継器2の構成概略図である。内部には光海底ケーブルに印加される電流から直流電圧を得る電源回路5と、光ファイバの信号を増幅・中継する一つまたは複数の光増幅器4が装填されている。
光増幅器4は光海底ケーブルシステム内を伝送される信号光の直接増幅を行うエルビウムドープファイバ8と、それをポンプ光によって励起し光増幅作用を発生させる複数のポンプレーザ7と、ポンプレーザを駆動するためのLD(Laser Diode)駆動回路6と、信号光とポンプ光やポンプ光どうしを合波したり不必要な波長の光を遮断する機能を持つ複数の光部品等(図示せず)と、から構成される。ここでポンプレーザ7が複数の冗長構成となっているのは、レーザ素子の信頼性が比較的低く、レーザ素子の一部が故障しても、信号光伝送品質への影響がシステムの設計上許容できる範囲内とするためである。
さて、通常の給電状態では図3(a)のように、双方の給電装置3の給電電圧がバランスし、仮想的電位ゼロとなる点は光海底ケーブルシステムのほぼ中間点付近にある。ここで、縦軸は電位を示し、横軸は陸上局間の距離を示している。ここで図3(b)のようにケーブル接地障害、すなわちケーブルの被覆が損傷し、内部導体が海水と接触し電気的に導通した状態となると、図3(c)のように給電装置3は自動的にそれぞれの給電電圧を調整し、グラフの傾きすなわち電流値を一定に保つ(非特許文献1および2を参照)。
大山昇/桑原守二"光海底ケーブル通信"、KDDIエンジニアリングアンドコンサルティング(1991) Akiba/Nishi"Submarine Cable Networks Systems"、エヌ・ティ・ティ・クオリス(2001)
しかしながら、上述した従来のシステムでは、図4のようにケーブル接地障害が中心から離れた場所で発生すると、両局の給電電圧を調整して電流を一定に保とうとしても、障害点から離れた側の給電装置の出力電圧が頭打ちとなり、給電電流が不足して光中継器を駆動できないことになる。
一般に光海底ケーブルシステムでは、光海底ケーブル、光中継器または接続部の耐電圧の制限及び給電装置の設計上の都合により、その陸上局からの給電電圧には上限がある。特に長距離の光海底ケーブルシステムの場合や、径の細く耐電圧の低い光海底ケーブルを採用した光海底ケーブルシステムの場合には、片側からの給電電圧だけでは、光中継器に必要な給電電流を供給できないことがある。この場合、光ファイバに損傷が無くとも、ケーブル接地障害の場所により、光中継器に電流が供給されないことで通信が全断となってしまう。通常光海底ケーブルの海中部分の修理には1週間以上の期間が必要であり、その間通信途絶となり、深刻な被害が発生するという問題があった。
本発明は、ケーブル接地障害等により給電電流が低下した場合でも、通信が全断される可能性の低い光中継器、および該光中継器を備えることにより通信が全断される可能性の低い光海底ケーブルシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明による光海底ケーブルシステムの光中継器は、陸上の伝送装置から送信された信号光を増幅するための複数のポンプレーザと、陸上の局から印加される直流の給電電流を電源として、ポンプレーザに電流を供給するための電源回路と、給電電流の低下に応じて、一部のポンプレーザに電流の供給を停止するポンプレーザ節電手段と、を含む。
また、本発明による光海底ケーブルシステムの光中継器は、複数の光増幅器をさらに含み、各ポンプレーザは、いずれかの光増幅器に属し、ポンプレーザ節電手段は、給電電流の低下に応じて、一部の光増幅器の全ポンプレーザに電流の供給を停止することが好ましい。
また、電源回路は、ポンプレーザに電流を供給するための電圧を両端に発生させる抵抗をさらに含み、各ポンプレーザは、前記抵抗の両端に接続され、ポンプレーザ節電手段は、一部のポンプレーザを抵抗から切断することが好ましい。
また、ポンプレーザ節電手段は、さらに電源回路内のポンプレーザに電流を供給するための電圧を両端に発生させる抵抗の抵抗値を下げることも好ましい。
上記目的を達成するため、本発明による光海底ケーブルシステムは上記に記載の光中継器を備える。
本発明によれば、光海底ケーブル用の光中継器は、陸上局より供給される直流電流が低下した場合に、光中継器内に複数設けられている光増幅器の一部への電力供給を停止する電源回路を備えている。または、さらに、同様の場合に、光増幅器内に複数設けられているポンプレーザの一部への電力供給を停止する電源回路を備えている。これにより、ケーブル接地障害等により光中継器への給電電流が低下した場合でも、一部又は全部の通信を途絶させる可能性の低い光海底ケーブルシステムを実現できる。
一部の光増幅器を停止した場合、残りの光増幅器により他のファイバペアの通信を維持し、そこに商用回線を移すことで通信サービスを維持することが可能になる。
また、一部のポンプレーザを停止した場合、残りのポンプレーザによる光出力で光増幅器の駆動を維持することも可能である。この場合光増幅器の出力低下による光海底ケーブルシステム全体の伝送品質劣化の度合いが、システム設計の余裕の範囲内であれば、通信サービスへの影響も回避できる。
特に長距離の光海底ケーブルシステムや絶縁電圧の比較的低い海中機材を用いた光海底ケーブルシステムにおいて、中心部から外れた位置のケーブル接地障害時でも通信継続の可能性を高めることができる。
さらに、本発明を採用することで、ケーブル接地障害への耐性を高めるために給電装置の供給電圧や海中設備の耐電圧をむやみに高める必要が無くなること、または通常必要となる陸上局に設置される給電装置の冗長構成を省略することで、従来より、安全でかつ安価な光海底ケーブルシステムの提供が可能になる。
光増幅方式海底ケーブルシステムの概念図である。 光中継器の構成概略図である。 光海底ケーブルシステムの給電方式の概念図であり、(a)は通常の給電状態であり、(b)はケーブル接地障害が発生した状態であり、(c)は給電装置が給電電圧を調整した状態である。 給電装置が給電電圧の調整をできなかった状態である。 本発明による一部のポンプレーザを停止する実施形態における光中継器の構成概要図である。 本発明による一部の光増幅器を停止する実施形態における光中継器の構成概要図である。 本発明による一部の光増幅器を停止し、かつ給電用抵抗を低減させる実施形態における光中継器の構成概要図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態における光中継器の構成概要図である。
本実施形態の光中継器2は、光増幅器4と電源回路5とから構成される。さらに、光増幅器4は信号光の直接増幅を行うエルビウムドープファイバ8と、それをポンプ光によって励起し光増幅作用を発生させる2つのポンプレーザ71、72と、ポンプレーザを駆動するためのLD駆動回路61、62と、から構成されている。また、電源回路5は、LD駆動回路61、62に直流電圧を供給するための抵抗92、93と、ポンプレーザ節電手段12と、から構成されている。また、ポンプレーザ節電手段12は、リレーのコイルのための抵抗91と、リレーのコイル10と、リレーSW11と、から構成されている。
通常時、つまり必要な給電電流が供給されている時、リレーSW11はa端子の方に接続されている。このため、LD駆動回路61は抵抗92の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ71を駆動し、LD駆動回路62は抵抗93の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ72を駆動し、光増幅器4は光増幅作用を発生させている。
ここで、ケーブル接地障害等により光中継器への給電電流が低下した時、以下のようにポンプレーザ節電手段12が動作する。まず、抵抗91の電圧が下がることより、リレーのコイル10が動作して、リレーSW11はa端子からb端子にスイッチし、b端子の方に接続されるようになる。これにより、LD駆動回路62は抵抗93から切り離され、LD駆動回路62への電源供給が停止する。一方、LD駆動回路61は抵抗92および抵抗93の両端に生ずる直流電圧を受けることとなり、LD駆動回路61への供給電圧が倍増する。
このように、本実施形態では、LD駆動回路62の電圧をLD駆動回路61に与えることにより、光中継器への給電電流が低下した時でも、LD駆動回路61によりポンプレーザ71を駆動することが可能になる。つまり、供給電圧の低下により、ポンプレーザ71およびポンプレーザ72の両方の駆動ができない場合、LD駆動回路62の電圧をLD駆動回路61に供給することにより、ポンプレーザ71の駆動の維持を図っている。この時、光増幅器の特性として、ポンプレーザからの入力合計が若干低下しても、光増幅器の光出力がある程度維持されるよう設計されているので、通信は維持されたままになる。
図6は、本発明の第2の実施形態における光中継器の構成概要図である。
本実施形態の光中継器2は、光増幅器41、42と電源回路5とから構成される。さらに、光増幅器41、42は、それぞれ信号光の直接増幅を行うエルビウムドープファイバ(図示せず)と、それをポンプ光によって励起し光増幅作用を発生させる2つのポンプレーザ71、72と、ポンプレーザを駆動するためのLD駆動回路61、62と、から構成されている。本実施形態では、2つのポンプレーザが1つのLD駆動回路により駆動されている。また、電源回路5は、LD駆動回路61、62に直流電圧を供給するための抵抗92、93と、ポンプレーザ節電手段12と、から構成されている。また、ポンプレーザ節電手段12は、リレーのコイルのための抵抗91と、リレーのコイル10と、リレーSW11と、から構成されている。
通常時、つまり必要な給電電流が供給されている時、リレーSW11はa端子の方に接続されている。このため、LD駆動回路61は抵抗92の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ71を駆動し、LD駆動回路62は抵抗93の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ72を駆動し、光増幅器41、42は光増幅作用を発生させている。
ここで、ケーブル接地障害等により光中継器への給電電流が低下した時、以下のようにポンプレーザ節電手段12が動作する。まず、抵抗91の電圧が下がることより、リレーのコイル10が動作して、リレーSW11はa端子からb端子にスイッチし、b端子の方に接続されるようになる。これにより、LD駆動回路62は抵抗93から切り離され、LD駆動回路62への電源供給が停止する。一方、LD駆動回路61は抵抗92および抵抗93の両端に生ずる直流電圧を受けることとなり、LD駆動回路61への供給電圧が倍増する。
このように、本実施形態では、LD駆動回路62の電圧をLD駆動回路61に与えることにより、光中継器への給電電流が低下した時でも、LD駆動回路61によりポンプレーザ71を駆動することが可能になる。この時、光増幅器42はポンプレーザ72を駆動することができないため、光増幅作用を行うことができない。しかし、光増幅器41はポンプレーザ71を駆動することができ、光増幅作用を行うことができる。つまり、供給電圧の低下により、光増幅器41および光増幅器42の両方の機能が停止する場合、光増幅器42の電源を光増幅器41に供給することにより、光増幅器41の機能の維持を図っている。その結果、片側のファイバペアの通信を維持することが可能になる。
図7は、本発明の第3の実施形態における光中継器の構成概要図である。
本実施形態の光中継器2は光増幅器4と電源回路5とから構成される。さらに、光増幅器4は信号光の直接増幅を行うエルビウムドープファイバ8と、それをポンプ光によって励起し光増幅作用を発生させる2つのポンプレーザ71、72と、ポンプレーザを駆動するためのLD駆動回路61、62と、から構成されている。また、電源回路5は、LD駆動回路61、62に電源を供給するための抵抗92、93と、ポンプレーザ節電手段12と、から構成されている。また、ポンプレーザ節電手段12は、リレーのコイルのための抵抗91と、抵抗93に並列に接続された抵抗94と、リレーのコイル10と、リレーSW11と、から構成されている。
通常時、つまり必要な給電電流が供給されている時、リレーSW11はa端子およびc端子の方に接続されている。このため、抵抗94は回路から切り離されており、LD駆動回路61は抵抗92の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ71を駆動し、LD駆動回路62は抵抗93の両端に生ずる直流電圧によりポンプレーザ72を駆動し、光増幅器4は光増幅作用を発生させている。
ここで、ケーブル接地障害等により光中継器への給電電流が低下した時、以下のようにポンプレーザ節電手段12が動作する。まず、抵抗91の電圧が下がることより、リレーのコイル10が動作して、リレーSW11はa端子からb端子にスイッチし、またc端子からd端子にスイッチし、b端子およびd端子の方に接続されるようになる。これにより、LD駆動回路62は抵抗93から切り離され、電源供給が止まる。一方、LD駆動回路61は抵抗92、抵抗93および抵抗94の両端に生ずる直流電圧を受けることとなり、LD駆動回路61への供給電圧が増加する。
このように、本実施形態では、1番目の実施形態と同じく、LD駆動回路61によりポンプレーザ71を駆動することで、光増幅器の光出力を維持し、通信を維持することが可能になる。本実施形態の場合、さらに、リレーSW11がd端子の方に接続されることになり、給電路の抵抗93に抵抗94が並列に接続される。抵抗94と抵抗93が並列に接続されるため、給電路全体の抵抗値が減少する。これにより、給電路全体の電流が若干回復し、1番目の実施形態の場合よりも通信を維持し得る可能性が増加する。
なお、本実施形態における光中継器内の光増幅器の数、光増幅器内のポンプレーザおよびLD駆動回路の数はたんなる例示であり、本発明は、この例示に限定されない。例えば、光中継器内に光増幅器を4つ備える形態または光増幅器内にポンプレーザを4つ備える形態等も考えられる。
なお、本実施形態のそれぞれでは、ポンプレーザ節電手段は電源回路の内部に設けられているが、ポンプレーザ節電手段は電源回路の内部に設ける必要性はない。ポンプレーザ節電手段を光増幅器の内部に設けた実施形態、および電源回路並びに光増幅器の外部に設けた実施形態も考えられる。
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。

Claims (5)

  1. 陸上の伝送装置から送信された信号光を増幅するための複数のポンプレーザと、
    陸上の局から印加される直流の給電電流を電源として、ポンプレーザに電流を供給するための電源回路と、
    前記給電電流の低下に応じて、一部のポンプレーザに電流の供給を停止するポンプレーザ節電手段と、
    を含むことを特徴とする光海底ケーブルシステムの光中継器。
  2. 複数の光増幅器をさらに含み、
    各ポンプレーザは、いずれかの光増幅器に属し、
    前記ポンプレーザ節電手段は、前記給電電流の低下に応じて、一部の光増幅器の全ポンプレーザに電流の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の光海底ケーブルシステムの光中継器。
  3. 前記電源回路は、ポンプレーザに電流を供給するための電圧を両端に発生させる抵抗をさらに含み、
    各ポンプレーザは、前記抵抗の両端に接続され、
    前記ポンプレーザ節電手段は、一部のポンプレーザを抵抗から切断することを特徴とする請求項1又は2に記載の光海底ケーブルシステムの光中継器。
  4. 前記ポンプレーザ節電手段は、さらに電源回路内のポンプレーザに電流を供給するための電圧を両端に発生させる抵抗の抵抗値を下げることを特徴とする請求項3に記載の光海底ケーブルシステムの光中継器。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の光中継器を備えることを特徴とする光海底ケーブルシステム。
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