本発明は、次世代3GPPシステムにおける基地局装置、アクセスゲートウェイ装置、通信制御システム及び通信制御方法に関する。
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、既存の3GPPシステム、インターネット(Inter Net)及びWLAN(Wireless Local Area Network)等のシステムと接続される次世代3GPPシステムが検討されている。図1は、次世代3GPPシステム(Evolved 3GPP System)のネットワーク構成を示す図である(非特許文献1)。
図1に示す次世代3GPPシステム10は、他の3GPPシステム(既存の3GPP System等)、Non−3GPPシステム(WLANシステム等)及びインターネットと接続され、複数のアクセスゲートウェイ(Access Gateway、以下、ACGWという)20−1〜20−nと、このアクセスゲートウェイが収容する複数のenhanced Node B(以下、eNodeBという)30−1〜30−nと、から構成される。
現在3GPPで議論中ではあるが、基本的にはeNodeB30は、無線端末装置(User Equipment、以下、UEという)を直接収容して、UEとの無線アクセス機能を提供する。ACGW20は、複数のeNodeB30−1〜30−nを収容し、このeNodeB30−1〜30−nと他のACGW間のパケットの送受信を行い、自局が収容するeNodeB間をUEが移動する場合のMobility機能などを提供する。例えば、ACGW20は、自局が収容するeNodeB30−1から30−2にUEが移動した場合、UEの移動元のeNodeB30−1からUEの移動先のeNodeB30−2へのパスの切り替えを行う。そして、ACGW20は、他のACGWから受信するデータパケットを、パスを設定したeNodeB30−2に送信し、このeNodeB30−2から送信されるデータパケットを、当該データパケットの送信先UEを収容するeNodeBと接続する他のACGWに送信する。なお、一時的に、eNodeB30−1から直接eNodeB30−2へパスが設定され、UE宛てのデータがeNodeB30−1から直接eNodeB30−2へ転送される場合もあるが、最終的にはACGW20が、パスの切り替えを行う。
次に、上述した次世代3GPPシステムの前提技術であるeNodeB間を移動する無線端末装置のMobility制御方式について説明する。図2は、eNodeB間を無線端末装置が移動する場合のMobility制御を模式的に示した図である。なお、ここでは説明を簡単にするために、eNodeBを2つ用いて説明する。
eNodeB30−1に収容されていたUE40がeNodeB30−2が収容するエリアに移動した場合、UE40は、eNodeB30−2を介して移動要求をACGW20へ送信する。具体的には、UE40は、eNodeB30から受信する電波強度に基づいて、eNodeB30−1より電波強度の強いeNodeB30−2間と無線リンクを確立して無線通信を行うために、eNodeB30−2を介してACGW20にパスを切り替えるための移動要求を送信する。ACGW20は、eNodeB30−2から移動要求を受信し、パス1を利用して送信していたUE40宛のデータを、パス2を用いて送信するようにパス切り替えを行う。そして、ACGW20は、移動応答をUE40へ送信する。このように、システムでは、eNodeB間を移動するUEの移動制御が行われる。
次に、図2に示したMobility制御技術について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、Mobility制御方式を具体的に説明するための図である。
この次世代3GPPシステム10では、ProxyMIPを用いて、eNodeB30にProxy MA(Proxy Mobile Agent)を、ACGW20にLocal HA(Local Home Agent)を搭載し、各々のモバイルIP(Mobile Internet Protocol、以下MIPという)関連処理が行われる。ここで、モバイルIPは、自動的に無線端末装置のネットワーク間の移動を検出し、移動後のネットワークにおいても、移動前のネットワークと同様に通信を行えるようにするプロトコルである。
図3に示すように、最初は、UE40はeNodeB30−1に収容されているので、eNodeB30−1とACGW20間のIPトンネル1が構築され、ACGW20とeNodeB30−1はUE40宛のデータを、このIPトンネル1を利用して送受信している。
ここで、UE40がeNodeB30−2へ移動しようとした場合、UE40は、電波強度情報(Measurement Report)をeNodeB30−1に送信して移動要求を通知する(ステップS1)。この電波強度情報には、UE40及びeNodeB30−1の電波強度情報と、UE40及びeNodeB30−2の電波強度情報と、が含まれる。そして、eNodeB30−1はUE40からの電波強度情報を受信すると、移動先のeNodeB30−2とリソース確保(Resource Reservation)などの情報交換(Exchange Information)を行い、eNodeB30−2がUE40を受け入れ可能かどうか確認する(ステップS2)。この情報交換は、通常ACGW20を介して行われるが、例えば、eNodeB間が物理回線で接続されている場合には直接行うことも可能である。そして、eNodeB30−2がUE40を受け入れ可能な場合、eNodeB30−1は、UE40に対してハンドオーバ要求メッセージ(Handover Request)を送信する(ステップS3)。ハンドオーバ要求メッセージ、つまり、eNodeB30−2への移動要求を受信したUE40は、移動先eNodeB30−2との無線リンクの確立(Radio Bearer Setup)を行い(ステップS4)、無線リンクの確立後、eNodeB30−2に移動完了メッセージ(HO Complete)を送信する(ステップS5)。
そして、eNodeB30−2は位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信し(ステップS6)、この位置登録要求メッセージを受信したACGW20は内部で持つルーティングテーブル(Routing Table)を変更する。つまり、ACGW20は、ルーティングテーブルでIPパケットの送信先IPアドレスがUE40のIPアドレスと一致した場合は、CoA(Care of Address)をeNodeB30−1からeNodeB30−2に変更し、データパケットのIPカプセリングを行ってUE40側に送信する。
そして、ACGW20は、位置登録取消メッセージ(MIP Registration Revocation)をeNodeB30−1に送信して(ステップS7)、移動元であるeNodeB30−1のリソースを開放する。そして、eNodeB30−1は位置登録取消応答メッセージ(MIP Registration Revocation Acknowledgement)をACGW20に送信する(ステップS8)。また、ACGW20は、位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)をeNodeB30−2に送信する(ステップS9)。以上の処理によって、他のACGWから送信される移動後UE40宛パケットは、ACGW20によってeNodeB30−2へ転送されることになる。
次に、上述したMobility技術を前提としてIETF RFC3154に開示されている制御を適用した場合の方式を、従来の着信制御(Paging)技術として、図4に示す(非特許文献2)。
まず、UE40はIdle状態であり、ネットワーク側はそのUE40のトラッキングエリア(Tracking Area)を把握している。ここで、トラッキングエリアは、ACGWがeNodeBを収容するエリアのことである。ACGW20は、このトラッキングエリア内のeNodeBが収容する無線端末装置の情報を把握している。ここでは、ACGW20は、例えば、図4で示すようにeNodeB30−1,eNodeB30−2,・・・eNodeB30−nのどこかにUE40が存在することを把握している。
UE40宛データのIPパケットを受信したACGW等のエンティティ(図示せず)は、そのパケットの宛先UE40のトラッキングエリアを収容するACGW20に着呼要求メッセージ(Paging Request)を送信する(ステップS11)。ここで、IPパケットを一旦終端するエンティティは、例えば、ACGW20とインターネット等で接続される別の装置でもよい。すなわち、データパケットを受信したACGW20は、コアネットワーク(例えば、通信システム間で構成されるネットワーク)のデータベースを参照して、受信したデータパケットのIPアドレスから宛先UE40を収容するeNodeBを収容する装置(ここでは、ACGW20)を見つけ出し、当該装置に対してUE40宛てのデータを受信したことを通知する着呼要求メッセージを送信する。
そして、着呼要求メッセージを受信したACGW20は、自身のページング(Paging)処理を行い、着呼要求メッセージをUE40のトラッキングエリア内にある全てのeNodeB30に送信する(ステップS12)。UE40を実際に収容しているeNodeB(ここではeNodeB30−2)は、UE40との無線リンクが確立した後(ステップS13)、着呼応答メッセージ(Paging Reply)をACGW20に送信する(ステップS14)。ACGW20は、その着呼応答メッセージを受信し、IPパケットの終端エンティティ、つまり、IPパケットの発信元の装置に送信する(ステップS15)。
eNodeB30−2は、自身の位置登録処理、つまり、着呼要求元のACGW20に設定されるIPアドレスを登録し、ACGW20とのIPトンネルを確立するために、位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信する(ステップS16)。位置登録要求メッセージを受信したACGW20は、ルーティングテーブル(Routing Table)を変更する。ここで、宛先IPアドレスがUE40のIPアドレスであるIPパケットは、CoAがeNodeB30−2のIPアドレスのIPトンネルへ送信するように変更される。そして、ACGW20は、位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)をeNodeB30−2へ送信する(ステップS17)。
以上の処理により、Paging処理と位置登録処理が完了し、UE40宛の着信IPパケットがUE40まで届けられるようになる(ステップS18〜S20)。
図5に、上述した着信制御を行うACGW20及びeNodeB30の機能構成を示す。まず、ACGW20の機能構成について説明する。ACGW20は、IPレイヤ(Layer)処理部21と、ページング処理(Paging Process)部22と、Proxy MIP Home Agent(MIP HA)処理部23と、データベース24と、から構成される。
ACGW20のIPレイヤ処理部21は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、パケットを受信する。特に、IPレイヤ処理部21は、他のACGWからの自局が収容するeNodeB30内の無線端末装置への着呼要求メッセージ及びeNodeB30からの着呼応答メッセージを受信して、ページング処理部22に出力する。また、IPレイヤ処理部21は、eNodeB30からの位置登録要求メッセージを受信して、MIP HA処理部23に出力する。
また、IPレイヤ処理部21は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、パケットを送信する。特に、IPレイヤ処理部21は、ページング処理部22から入力される着呼要求メッセージ(PR)及びMIP HA処理部23から入力される位置登録応答メッセージ(MRRly)を、eNodeB30に送信する。
ページング処理部22は、IPレイヤ処理部21から入力される他のACGWからの着呼要求メッセージに基づいて、ページング処理、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶する。そして、ページング処理部22は、着呼要求の宛先の無線端末装置を収容するeNodeBに転送するために、この着呼要求メッセージをIPレイヤ処理部21に出力する。
MIP HA処理部23は、IPレイヤ処理部21から入力される位置登録要求メッセージを受信し、自身の位置登録処理を行う。つまり、MIP HA処理部23は、位置登録要求元とのパスを確立させるために、位置登録要求メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスが着呼要求先の宛先の無線端末装置のIPアドレスと一致する場合に、宛先の無線端末装置のIPアドレスをホームアドレス(Home Address)に、位置登録要求元のeNodeB30に設定されるIPアドレスをCoAとして、データベース24に出力する。そして、MIP HA処理部23は、eNodeB30に送信する位置登録応答メッセージを生成し、IPレイヤ処理部21に出力する。
データベース24は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特にMIP HA処理部23で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、eNodeB30の機能構成について説明する。eNodeB30は、IPレイヤ処理部31と、ページング処理部32と、Proxy MIP Mobile Agent(MIP MA)処理部33と、データベース34と、から構成される。
eNodeB30のIPレイヤ処理部31は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、パケットを受信する。特に、IPレイヤ処理部31は、ACGW20のページング処理部22から着呼要求メッセージを受信し、ページング処理部32に出力する。
また、IPレイヤ処理部31は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、パケットを送信する。特に、IPレイヤ処理部31は、ページング処理部32から入力される着呼応答メッセージ(PRly)及びMIP HA処理部33から入力される位置登録要求メッセージ(MRReq)を受信し、ACGW20に送信する。
ページング処理部32は、IPレイヤ処理部31から入力される着呼要求メッセージを受信し、ページング処理、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶する。そして、ページング処理部32は、この着呼要求に応答する着呼応答メッセージを生成してIPレイヤ処理部31に出力するとともに、MIP MA処理部33に対して、トリガー(Trigger)をかける。
MIP MA処理部33は、ページング処理部32からのトリガーに従い、自身の位置登録処理、つまり、位置登録要求先とのパスを確立させるために、着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスと、CoAとして着呼要求元のACGW20に設定されるIPアドレスをMIP関連データベース34に登録する。そして、MIP HA処理部33は、自局に設定されるIPアドレスの登録を要求する位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をIPレイヤ処理部31に出力する。
データベース34は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特にMIP HA処理部33で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
3GPP RAN#49 Contribution R2-052900
IETF RFC3154 「Requirements and Functional Architecture for an IP Host Alerting Protocol」
IETF RFC3344 「IP Mobility Support for IPv4」
IETF RFC3775 「Mobility Support in IPv6」
一般的に、位置登録処理の負荷を低減すること、すなわち、位置登録トラヒックを削減することは重要な課題である。
しかしながら、従来技術では、eNodeB30−2は、着呼応答メッセージ(Paging Reply)を送信し、その後に、位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信している。つまり、この着呼応答メッセージと位置登録要求メッセージは、互いに重複する情報を含んでいるのにも関わらず、ほぼ同じ送信タイミングで同じ宛先に別々に送信されているので、トラヒック処理の負荷を大きくしている。また、重複する情報を別々のパケットで送信するので、システムを構成する装置のCPUにとって無駄な負荷をかけてしまっている。また、着呼応答メッセージと位置登録要求メッセージを別々に送信することにより、回線の使用帯域を増大させてしまう。
さらに、ページング処理完了後すぐにユーザデータが送信されるのにも関わらず、ACGW20は、着呼応答とは別に位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)を返信しているため、位置登録処理の負荷を大きくしている問題もある。
本発明の目的は、位置登録処理に係るトラヒック量、CPUの処理負荷および回線の使用帯域を低減させる通信制御システム、アクセスゲートウェイ装置、基地局装置及び通信制御方法を提供することである。
本発明の基地局装置は、アクセスゲートウェイ装置から送信される無線端末装置への着呼要求メッセージを受信する受信手段と、当該着呼要求メッセージの着呼対象である前記無線端末装置と無線リンクが確立できるか否かを判断する位置登録判断手段と、前記無線リンクが確立した場合、前記着呼要求メッセージの前記アクセスゲートウェイ装置を示すIPアドレスを登録する位置登録手段と、前記着呼要求メッセージに対して前記無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成する着呼応答手段と、前記着呼応答メッセージを前記アクセスゲートウェイ装置に送信する送信手段と、を有する構成を採る。
また、本発明のアクセスゲートウェイ装置は、基地局装置から送信される当該基地局装置が無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを受信する受信手段と、前記着呼応答メッセージに基づいて当該着呼応答メッセージの前記基地局装置を示すIPアドレスを登録する位置登録手段と、を有する構成を採る。
本発明によれば、着呼要求先の無線端末装置と無線リンクが確立できるか否かを判断し、位置登録処理を行うことにより、位置登録処理に係るトラヒック量、装置のCPU負荷および回線の使用帯域を低減させることができる。
次世代3GPPシステムのネットワーク構成を示す図
Mobility制御を説明するための模式図
図2で説明したMobility制御を具体的に説明するための図
Mobility制御における従来の着信制御方式を説明するための図
従来のeNodeB及びACGWの構成を示す図
本発明の実施の形態に係る通信制御システムにおける着信制御方式を模式的に説明する図
本発明の実施の形態に係るアクセスゲートウェイ装置の一構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態に係る基地局装置の一構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態に係る通信制御システムの動作を説明するシーケンス図
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明の一実施の形態に係る通信制御システム100における着信制御方式を模式的に示す図である。図6に示す通信制御システム100は、アクセスゲートウェイ(AGCW)装置200と、このアクセスゲートウェイ装置200が収容する複数のeNodeB300−1〜300−nと、このeNodeBが収容する無線端末装置(UE)400と、で構成される。なお、本実施の形態では、説明を簡単にするために、eNodeBを2つ用いて説明する。
図6で示すUE400はIdle状態であり、ネットワーク側はそのUE400のトラッキングエリア(Tracking Area)を把握している。ここで、トラッキングエリア(または、ロケーションエリアと呼ぶ場合もある)は、アクセスゲートウェイ装置がeNodeBを収容するエリアを指している。そして、アクセスゲートウェイ装置は、このトラッキングエリア内のeNodeBが収容する無線端末装置に関する情報を把握することができる。例えば、図6に示す場合であれば、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300−1及び300−2のどこかにUE400が存在することを把握している。
そして、UE400宛データのIPパケットを一端終端した、例えば、アクセスゲートウェイ装置等のエンティティは、そのパケットの宛先UE400のトラッキングエリアを収容するアクセスゲートウェイ装置200に着呼要求メッセージ(Paging Request)を送信する(ステップS101)。ここで、エンティティは、例えば、インターネット等で接続する別の装置でもよいが、本実施の形態ではアクセスゲートウェイ装置200と接続するアクセスゲートウェイ装置として説明する。すなわち、データパケットを受信した他のアクセスゲートウェイ装置は、コアネットワーク(例えば、通信システム間で構成されるネットワーク)のデータベースを参照して、受信したデータパケットの送信先IPアドレスから宛先UE400を収容するeNodeBを収容する装置(ここでは、アクセスゲートウェイ装置200)を見つけ出し、当該アクセスゲートウェイ装置200に対してUE400宛てのデータを受信したことを通知する着呼要求メッセージを送信する。
そして、着呼要求メッセージを受信したアクセスゲートウェイ装置200は、自身に必要なページング(Paging)処理を行ない、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、着呼要求メッセージをUE400のトラッキングエリア内にある全てのeNodeB300に送信する(ステップS102)。
UE400を実際に収容しているeNodeB(ここではeNodeB300−2)は、着呼要求メッセージの着呼対象であるUE400との無線リンクが確立できるか否かを判断する。無線リンクが確立した場合(ステップS103)、eNodeB300−2は、ページング(Paging)処理を行い、自局がUE400を収容することを示す着呼応答メッセージ(Paging Reply)を生成してアクセスゲートウェイ装置200に送信するとともに、自身の位置登録処理を行う(ステップS104)。すなわち、eNodeB300−2は、着呼要求対象の無線端末装置との無線リンクが確立できた場合、着呼要求メッセージに基づく位置登録処理が可能なタイミングであると判断し、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスをeNodeB内のMIP関連データベースに登録する。
そして、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300−2からの着呼応答メッセージを受信して、ページング処理と位置登録処理を行う。すなわち、アクセスゲートウェイ装置200は、着呼応答メッセージ内の無線端末装置のIPアドレスを確認して、着呼応答メッセージの送信元(eNodeB300−2)に設定されるIPアドレスを、自局に保持するMIP関連データベースに登録する。これにより、UE400宛のIPパケットがeNodeB300−2へ転送されるようにアクセスゲートウェイ装置内のルーティングテーブルが変更される。ここでは、ホームアドレスが宛先UE400のIPアドレスに、CoAがUE400を収容するeNodeB300−2のIPアドレスになるように変更される。
そして、アクセスゲートウェイ装置200は、着呼応答メッセージ(Paging Reply)をIPパケット終端エンティティ(つまり、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置)に送信する(ステップS105)。その後、UE400宛のIPパケット(User Data)がアクセスゲートウェイ装置200に到着すると(ステップS106)、アクセスゲートウェイ装置200はこのIPパケットをeNodeB300−2へ転送する(ステップS107)。
そして、eNodeB300−2は、UE400宛のIPパケットを受信することにより、アクセスゲートウェイ装置200の位置登録処理が完了し、IPトンネルが確立したことを確認し、位置登録完了処理を行う。
以上の処理により、ページング処理と位置登録処理が完了し、UE400宛の着信IPパケットがUE400まで届けられるようになる(ステップS108)。
すなわち、eNodeB(基地局装置)300は、着呼要求メッセージに基づいて、着呼要求先の無線端末装置を自局が収容し、無線リンクが確立できるか否かを判断する。無線リングが確立できた場合、eNodeB300は、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを位置登録し、着呼要求に対して無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成し、着呼要求元に送信する。アクセスゲートウェイ装置200は、受信した着呼応答メッセージに基づいて、この着呼応答メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録する。つまり、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300からの着呼応答メッセージを、従来のeNodeB300からの位置登録要求(MIP Registration Requirement)とみなして位置登録処理を行い、eNodeB300は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される実際のユーザデータを、従来のアクセスゲートウェイ装置200からの位置登録応答(MIP Registration Reply)とみなしてIPトンネルが確立したことを判断する。従って、従来のように着呼要求及び着呼応答と別に位置登録要求及び位置登録応答を行う必要は無い(図6に×印で示す)ため、位置登録処理に係るトラフィック処理の負荷を低減させるとともに位置登録処理に係る時間を短縮することができる。
次に、上述したネットワークを構成するアクセスゲートウェイ装置200及びeNodeB300の構成を説明する。まず、アクセスゲートウェイ装置200の構成について説明する。
図7は、アクセスゲートウェイ装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。図7に示すアクセスゲートウェイ装置200は、送受信部201と、IPレイヤ処理部202と、ページング処理(Paging Process)部203と、モバイルIPホームエージェント(MIP HA)管理部204と、データベース205と、から主に構成される。ページング処理部203は、位置登録部206を有する。
送受信部201は、他のアクセスゲートウェイ装置等から送信されるIPパケットを受信して、IPレイヤ処理部202に出力する。また、送受信部201は、IPレイヤ処理部202から入力されるIPパケットを、自局の収容する基地局装置等に送信する。
IPレイヤ処理部202は、送受信部201から入力されるIPパケットを、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、ページング処理部203及びモバイルIP管理部204に出力する。特に、IPレイヤ処理部202は、他のACGWからの自局が収容する基地局装置300内の無線端末装置への着呼要求メッセージを含むパケットを受信した場合には、この着呼要求メッセージをページング処理部203に出力する。
また、IPレイヤ処理部202は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、カプセル化したパケットを送受信部201に出力する。特に、IPレイヤ処理部202は、ページング処理部203から入力される着呼要求メッセージおよび着呼応答メッセージを送受信部201に出力する。
ページング処理部203は、IPレイヤ処理部202から入力される他のアクセスゲートウェイ装置等からの着呼要求メッセージに基づいて、自身のページング(Paging)処理を行う。すなわち、ページング処理部203は、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、宛先の無線端末装置を収容する基地局装置に送信する着呼要求メッセージをIPレイヤ処理部202に出力する。
また、ページング処理部203は、基地局装置300から着呼要求先の宛先の無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージがIPレイヤ処理部202から入力された場合には、IPトンネルを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、ページング処理部203の位置登録部206は、IPレイヤ処理部202から入力される着呼応答メッセージを受信し、この着呼応答メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスと、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスとが一致するかを確認する。IPアドレスが一致した場合には、位置登録部206は、着呼応答メッセージの送信元、つまり、IPアドレスの一致した無線端末装置を収容する基地局装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース205に登録する。
これにより、UE400宛のIPパケットを基地局装置300へ転送するようにルーティングテーブルが変更され、アクセスゲートウェイ装置200と基地局装置300間のパス、つまり、IPトンネルが確立される。
また、ページング処理部203は、着呼応答メッセージに基づいてページング処理を行い、UE400宛のIPパケットを一端終端したエンティティ、つまり、アクセスゲートウェイ装置200に接続する他のアクセスゲートウェイ装置に送信するための着呼応答メッセージをIPレイヤ処理部202に出力する。
MIP管理部204は、Proxy MIP Home Agent(MIP HA)機能を有し、MIP関連処理を行う。例えば、MIP管理部204は、Paging処理による位置登録の後、無線端末装置が移動した場合に位置登録を行う。
データベース205は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特に位置登録部206で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、eNodeBの構成について説明する。図8は、eNodeB300の一構成例を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、eNodeB300の一例として、基地局装置を例に説明する。
図8に示す基地局装置300は、送受信部301と、IPレイヤ処理部302と、ページング処理部303と、モバイルIP(MIP MA)管理部304と、データベース305と、から主に構成される。また、ページング処理部303は、位置登録判断部306および位置登録部307を有する。
送受信部301は、アクセスゲートウェイ装置200から送信されるIPパケットを受信して、IPレイヤ処理部302に出力する。また、送受信部301は、IPレイヤ処理部302から入力されるIPパケットを、アクセスゲートウェイ装置200に送信する。
IPレイヤ処理部302は、送受信部301から入力されるIPパケットを、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、ページング処理部303及びMIP管理部304に出力する。特に、IPレイヤ処理部302は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される着呼要求メッセージを含むパケットを受信した場合には、この着呼要求メッセージをページング処理部303に出力する。
また、IPレイヤ処理部302は、着呼応答後に無線端末装置宛のIPパケットを受信した場合には、位置登録判断部306に、UE400宛の最初のIPパケットの受信を示す通知情報を出力する。なお、IPレイヤ処理部302は、2つめ以降のUE400宛IPパケットを受信した場合、ページング処理部303に通知情報を通知しない。
また、IPレイヤ処理部302は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、カプセル化したパケットを送受信部301に出力する。特に、IPレイヤ処理部302は、ページング処理部303で生成される着呼要求に応答する着呼応答メッセージをパケット化し、このパケットを送受信部301に出力する。
ページング処理部303は、IPレイヤ処理部302から入力されるアクセスゲートウェイ装置200からの着呼要求メッセージに基づいて、自身のページング処理を行い、着呼応答メッセージ(Paging Reply)を生成する。すなわち、ページング処理部303は、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、宛先の無線端末装置との無線リンクの確立後に、自局が当該宛先の無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージをIPレイヤ処理部302に出力する。
また、ページング処理部303は、アクセスゲートウェイ装置200から無線端末装置への着呼要求メッセージがIPレイヤ処理部302から入力された場合には、IPトンネルを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、IPレイヤ処理部302から着呼要求メッセージが入力されると、ページング処理部303の位置登録判断部306は、着呼要求対象の無線端末装置との無線リンクが確立できるか否かを判断し、判断結果を位置登録部307に出力する。
位置登録部307は、位置登録判断部306から入力される判断結果が無線リンクの確立できたことを示す場合、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスをデータベース305に出力する。具体的には、位置登録部307は、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求対象の宛先の無線端末装置に設定されるIPアドレスと、無線リンクを確立した無線端末装置のIPアドレスとが一致するか確認する。そして、IPアドレスが一致した場合には、位置登録部307は、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース305に登録する。これにより、ルーティングテーブルのCoAがアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスに変更される。
また、位置登録部307は、IPレイヤ処理部302から無線端末装置400宛の最初のパケットの受信を示す通知情報を受信すると、アクセスゲートウェイ装置200で位置登録処理が完了してIPトンネルが確立したことを確認し、位置登録完了処理を実施してデータベース305を更新する。なお、位置登録完了処理としては、例えば、IPトンネルの確立を意味するフラグを立てるなどの処理が挙げられる。
MIP MA管理部304は、Proxy MIP Mobile Agent機能を有し、MIP関連処理を行う。例えば、MIP MA管理部304は、無線端末装置が移動した場合に位置登録を行う。
データベース305は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特に位置登録部307で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、他のアクセスゲートウェイ装置等からのアクセスゲートウェイ装置200のトラッキングエリア内の無線端末装置が宛先となる着呼要求を受けた場合のアクセスゲートウェイ装置200及び基地局装置300の動作について、図9のシーケンス図を用いて説明する。
まず、ステップS1001では、アクセスゲートウェイ装置200の送受信部201が他のアクセスゲートウェイ装置から着呼要求メッセージを含むパケットを受信し、IPレイヤ処理部302が、自身に設定されるIPアドレスを用いてカプセル化を解いて、ページング処理部203に着呼要求メッセージを出力する。
ステップS1002では、ページング処理部203が、着呼要求メッセージに基づいてページング処理を行う。ここで、着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスが、一旦記憶される。
次いで、ステップS1003では、送受信部201が、着呼要求メッセージを基地局装置(eNodeB)300に送信し、基地局装置300の送受信部301が、この着呼要求メッセージを受信する。IPレイヤ処理部302は、自身に設定されるパケットを用いてカプセル化を解き、ページング処理部303に着呼要求メッセージを出力する。
次いで、ステップS1004では、ページング処理部303が、自身のページング処理を行うとともにパスを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、位置登録判断部306は、着呼要求メッセージの着呼対象である無線端末装置400との無線リンクが確立できるか否かを判断する。ここでは、無線端末装置400との無線リンクが確立できるので(ステップS1005)、位置登録判断部306は、着呼要求元の位置登録が可能であると判断し、判断結果を位置登録部307に出力する。
次いで、ステップS1006では、位置登録部307が、位置登録判断部306の判断結果に従い、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求対象の宛先の無線端末装置に設定されるIPアドレスと、無線リンクを確立した無線端末装置のIPアドレスとが一致するか確認する。一致した場合、位置登録部307は、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース305に登録する。これにより、ルーティングテーブルのCoAがアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスに変更される。
次いで、ステップS1007では、ページング処理部303が、着呼応答メッセージを生成する。
次いで、ステップS1008では、IPレイヤ処理部302が、ページング処理部303で生成された着呼応答メッセージをパケット化し、送受信部301は、このパケットをアクセスゲートウェイ装置200に送信する。
そして、アクセスゲートウェイ装置200の送受信部201が、基地局装置300から送信されるパケットを受信し、IPレイヤ処理部202が、カプセル化を解いて、着呼応答メッセージをページング処理部203の位置登録部206に出力する。
次いで、ステップS1009では、位置登録部206が、着呼応答メッセージに基づいて、この着呼応答メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスと、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスとが一致するかを確認する。そして、IPアドレスが一致した場合には、位置登録部206は、着呼応答メッセージの送信元、つまり、IPアドレスの一致した無線端末装置を収容する基地局装置に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース205に登録する。
ステップS1010では、ページング処理部203が、着呼応答メッセージを生成して、IPレイヤ処理部202及び送受信部201を介して、他のアクセスゲートウェイ装置に送信する。これにより、アクセスゲートウェイ装置200と基地局装置300とのIPトンネルが確立される。そして、基地局装置300は、最初に受信するUE400宛のIPパケットを、アクセスゲートウェイ装置200の位置登録完了通知とみなす。これにより、従来での位置登録応答メッセージに係るトラフィック量が削減される。
このように、本実施の形態によれば、基地局装置300は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される無線端末装置の着呼要求メッセージを受信し、当該着呼要求メッセージの着呼対象である無線端末装置と無線リンクを確立できるか否かを判断する。無線リンクが確立した場合、基地局装置300は、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録し、着呼要求メッセージに対して無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成し、アクセスゲートウェイ装置200に送信する。アクセスゲートウェイ装置200は、基地局装置300から送信される着呼応答メッセージを受信し、着呼応答メッセージに基づいてこの着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録する。これにより、位置登録処理に係るトラヒック量を低減させるとともに、CPUの処理負荷を低減させ、かつ、回線の使用帯域を低減させることができる。
なお、MIPの動作は、上記実施の形態で説明した動作に限定されず、本発明は、例えば、MIPv4、MIPv6、HMIPなどでも適用可能である。また、ページング(Paging)動作及び位置登録動作は、上記実施の形態で説明した動作に限定されない。また、本発明は、MIPを使用することに限定されず、MIPと同様な機能を持つプロトコルであれば適用可能である。
本発明のアクセスゲートウェイ装置、基地局装置、通信制御システム及び通信制御方法は、位置登録処理に係るトラヒック量、CPUの処理負荷および回線の使用帯域を低減させる効果を有し、次世代3GPPシステムにおける通信制御システムとして有用である。
本発明は、次世代3GPPシステムにおける基地局装置、アクセスゲートウェイ装置、通信制御システム及び通信制御方法に関する。
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、既存の3GPPシステム、インターネット(Inter Net)及びWLAN(Wireless Local Area Network)等のシステムと接続される次世代3GPPシステムが検討されている。図1は、次世代3GPPシステム(Evolved 3GPP System)のネットワーク構成を示す図である(非特許文献1)。
図1に示す次世代3GPPシステム10は、他の3GPPシステム(既存の3GPP System等)、Non−3GPPシステム(WLANシステム等)及びインターネットと接続され、複数のアクセスゲートウェイ(Access Gateway、以下、ACGWという)20−1〜20−nと、このアクセスゲートウェイが収容する複数のenhanced Node B(以下、eNodeBという)30−1〜30−nと、から構成される。
現在3GPPで議論中ではあるが、基本的にはeNodeB30は、無線端末装置(User Equipment、以下、UEという)を直接収容して、UEとの無線アクセス機能を提供する。ACGW20は、複数のeNodeB30−1〜30−nを収容し、このeNodeB30−1〜30−nと他のACGW間のパケットの送受信を行い、自局が収容するeNodeB間をUEが移動する場合のMobility機能などを提供する。例えば、ACGW20は、自局が収容するeNodeB30−1から30−2にUEが移動した場合、UEの移動元のeNodeB30−1からUEの移動先のeNodeB30−2へのパスの切り替えを行う。そして、ACGW20は、他のACGWから受信するデータパケットを、パスを設定したeNodeB30−2に送信し、このeNodeB30−2から送信されるデータパケットを、当該データパケットの送信先UEを収容するeNodeBと接続する他のACGWに送信する。なお、一時的に、eNodeB30−1から直接eNodeB30−2へパスが設定され、UE宛てのデータがeNodeB30−1から直接eNodeB30−2へ転送される場合もあるが、最終的にはACGW20が、パスの切り替えを行う。
次に、上述した次世代3GPPシステムの前提技術であるeNodeB間を移動する無線端末装置のMobility制御方式について説明する。図2は、eNodeB間を無線端末装置が移動する場合のMobility制御を模式的に示した図である。なお、ここでは説明を簡単にするために、eNodeBを2つ用いて説明する。
eNodeB30−1に収容されていたUE40がeNodeB30−2が収容するエリアに移動した場合、UE40は、eNodeB30−2を介して移動要求をACGW20へ送信する。具体的には、UE40は、eNodeB30から受信する電波強度に基づいて、eNodeB30−1より電波強度の強いeNodeB30−2間と無線リンクを確立して無線通信を行うために、eNodeB30−2を介してACGW20にパスを切り替えるための移動要求を送信する。ACGW20は、eNodeB30−2から移動要求を受信し、パス1を利用して送信していたUE40宛のデータを、パス2を用いて送信するようにパス切り替えを行う。そして、ACGW20は、移動応答をUE40へ送信する。このように、システムでは、eNodeB間を移動するUEの移動制御が行われる。
次に、図2に示したMobility制御技術について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、Mobility制御方式を具体的に説明するための図である。
この次世代3GPPシステム10では、ProxyMIPを用いて、eNodeB30にProxy MA(Proxy Mobile Agent)を、ACGW20にLocal HA(Local Home Agent)を搭載し、各々のモバイルIP(Mobile Internet Protocol、以下MIPという)関連処理が行われる。ここで、モバイルIPは、自動的に無線端末装置のネットワーク間の移動を検出し、移動後のネットワークにおいても、移動前のネットワークと同様に通信を行えるようにするプロトコルである。
図3に示すように、最初は、UE40はeNodeB30−1に収容されているので、eNodeB30−1とACGW20間のIPトンネル1が構築され、ACGW20とeNodeB30−1はUE40宛のデータを、このIPトンネル1を利用して送受信している。
ここで、UE40がeNodeB30−2へ移動しようとした場合、UE40は、電波強度情報(Measurement Report)をeNodeB30−1に送信して移動要求を通知する(ステップS1)。この電波強度情報には、UE40及びeNodeB30−1の電波強度情報と、UE40及びeNodeB30−2の電波強度情報と、が含まれる。そして、eNodeB30−1はUE40からの電波強度情報を受信すると、移動先のeNodeB30−2とリソース確保(Resource Reservation)などの情報交換(Exchange Information)を行い、eNodeB30−2がUE40を受け入れ可能かどうか確認する(ステップS2)。この情報交換は、通常ACGW20を介して行われるが、例えば、eNodeB間が物理回線で接続されている場合には直接行うことも可能である。そして、eNodeB30−2がUE40を受け入れ可能な場合、eNodeB30−1は、UE40に対してハンドオーバ要求メッセージ(Handover Request)を送信する(ステップS3)。ハンドオーバ要求メッセージ、つまり、eNodeB30−2への移動要求を受信したUE40は、移動先eNodeB30−2との無線リンクの確立(Radio Bearer Setup)を行い(ステップS4)、無線リンクの確立後、eNodeB30−2に移動完了メッセージ(HO Complete)を送信する(ステップS5)。
そして、eNodeB30−2は位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信し(ステップS6)、この位置登録要求メッセージを受信したACGW20は内部で持つルーティングテーブル(Routing Table)を変更する。つまり、ACGW20は、ルーティングテーブルでIPパケットの送信先IPアドレスがUE40のIPアドレスと一致した場合は、CoA(Care of Address)をeNodeB30−1からeNodeB30−2に変更し、データパケットのIPカプセリングを行ってUE40側に送信する。
そして、ACGW20は、位置登録取消メッセージ(MIP Registration Revocation)をeNodeB30−1に送信して(ステップS7)、移動元であるeNodeB30−1のリソースを開放する。そして、eNodeB30−1は位置登録取消応答メッセージ(MIP Registration Revocation Acknowledgement)をACGW20に送信する(ステップS8)。また、ACGW20は、位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)をeNodeB30−2に送信する(ステップS9)。以上の処理によって、他のACGWから送信される移動後UE40宛パケットは、ACGW20によってeNodeB30−2へ転送されることになる。
次に、上述したMobility技術を前提としてIETF RFC3154に開示されている
制御を適用した場合の方式を、従来の着信制御(Paging)技術として、図4に示す(非特許文献2)。
まず、UE40はIdle状態であり、ネットワーク側はそのUE40のトラッキングエリア(Tracking Area)を把握している。ここで、トラッキングエリアは、ACGWがeNodeBを収容するエリアのことである。ACGW20は、このトラッキングエリア内のeNodeBが収容する無線端末装置の情報を把握している。ここでは、ACGW20は、例えば、図4で示すようにeNodeB30−1,eNodeB30−2,・・・eNodeB30−nのどこかにUE40が存在することを把握している。
UE40宛データのIPパケットを受信したACGW等のエンティティ(図示せず)は、そのパケットの宛先UE40のトラッキングエリアを収容するACGW20に着呼要求メッセージ(Paging Request)を送信する(ステップS11)。ここで、IPパケットを一旦終端するエンティティは、例えば、ACGW20とインターネット等で接続される別の装置でもよい。すなわち、データパケットを受信したACGW20は、コアネットワーク(例えば、通信システム間で構成されるネットワーク)のデータベースを参照して、受信したデータパケットのIPアドレスから宛先UE40を収容するeNodeBを収容する装置(ここでは、ACGW20)を見つけ出し、当該装置に対してUE40宛てのデータを受信したことを通知する着呼要求メッセージを送信する。
そして、着呼要求メッセージを受信したACGW20は、自身のページング(Paging)処理を行い、着呼要求メッセージをUE40のトラッキングエリア内にある全てのeNodeB30に送信する(ステップS12)。UE40を実際に収容しているeNodeB(ここではeNodeB30−2)は、UE40との無線リンクが確立した後(ステップS13)、着呼応答メッセージ(Paging Reply)をACGW20に送信する(ステップS14)。ACGW20は、その着呼応答メッセージを受信し、IPパケットの終端エンティティ、つまり、IPパケットの発信元の装置に送信する(ステップS15)。
eNodeB30−2は、自身の位置登録処理、つまり、着呼要求元のACGW20に設定されるIPアドレスを登録し、ACGW20とのIPトンネルを確立するために、位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信する(ステップS16)。位置登録要求メッセージを受信したACGW20は、ルーティングテーブル(Routing Table)を変更する。ここで、宛先IPアドレスがUE40のIPアドレスであるIPパケットは、CoAがeNodeB30−2のIPアドレスのIPトンネルへ送信するように変更される。そして、ACGW20は、位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)をeNodeB30−2へ送信する(ステップS17)。
以上の処理により、Paging処理と位置登録処理が完了し、UE40宛の着信IPパケットがUE40まで届けられるようになる(ステップS18〜S20)。
図5に、上述した着信制御を行うACGW20及びeNodeB30の機能構成を示す。まず、ACGW20の機能構成について説明する。ACGW20は、IPレイヤ(Layer)処理部21と、ページング処理(Paging Process)部22と、Proxy MIP Home Agent(MIP HA)処理部23と、データベース24と、から構成される。
ACGW20のIPレイヤ処理部21は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、パケットを受信する。特に、IPレイヤ処理部21は、他のACGWからの自局が収容するeNodeB30内の無線端末装置への着呼要求メッセージ及びeNodeB30からの着呼応答メッセージを受信して、ページング処理部22に出
力する。また、IPレイヤ処理部21は、eNodeB30からの位置登録要求メッセージを受信して、MIP HA処理部23に出力する。
また、IPレイヤ処理部21は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、パケットを送信する。特に、IPレイヤ処理部21は、ページング処理部22から入力される着呼要求メッセージ(PR)及びMIP HA処理部23から入力される位置登録応答メッセージ(MRRly)を、eNodeB30に送信する。
ページング処理部22は、IPレイヤ処理部21から入力される他のACGWからの着呼要求メッセージに基づいて、ページング処理、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶する。そして、ページング処理部22は、着呼要求の宛先の無線端末装置を収容するeNodeBに転送するために、この着呼要求メッセージをIPレイヤ処理部21に出力する。
MIP HA処理部23は、IPレイヤ処理部21から入力される位置登録要求メッセージを受信し、自身の位置登録処理を行う。つまり、MIP HA処理部23は、位置登録要求元とのパスを確立させるために、位置登録要求メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスが着呼要求先の宛先の無線端末装置のIPアドレスと一致する場合に、宛先の無線端末装置のIPアドレスをホームアドレス(Home Address)に、位置登録要求元のeNodeB30に設定されるIPアドレスをCoAとして、データベース24に出力する。そして、MIP HA処理部23は、eNodeB30に送信する位置登録応答メッセージを生成し、IPレイヤ処理部21に出力する。
データベース24は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特にMIP HA処理部23で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、eNodeB30の機能構成について説明する。eNodeB30は、IPレイヤ処理部31と、ページング処理部32と、Proxy MIP Mobile Agent(MIP MA)処理部33と、データベース34と、から構成される。
eNodeB30のIPレイヤ処理部31は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、パケットを受信する。特に、IPレイヤ処理部31は、ACGW20のページング処理部22から着呼要求メッセージを受信し、ページング処理部32に出力する。
また、IPレイヤ処理部31は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、パケットを送信する。特に、IPレイヤ処理部31は、ページング処理部32から入力される着呼応答メッセージ(PRly)及びMIP HA処理部33から入力される位置登録要求メッセージ(MRReq)を受信し、ACGW20に送信する。
ページング処理部32は、IPレイヤ処理部31から入力される着呼要求メッセージを受信し、ページング処理、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶する。そして、ページング処理部32は、この着呼要求に応答する着呼応答メッセージを生成してIPレイヤ処理部31に出力するとともに、MIP MA処理部33に対して、トリガー(Trigger)をかける。
MIP MA処理部33は、ページング処理部32からのトリガーに従い、自身の位置登録処理、つまり、位置登録要求先とのパスを確立させるために、着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスと、CoAとして着呼要求元のACGW20
に設定されるIPアドレスをMIP関連データベース34に登録する。そして、MIP HA処理部33は、自局に設定されるIPアドレスの登録を要求する位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をIPレイヤ処理部31に出力する。
データベース34は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特にMIP HA処理部33で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
3GPP RAN#49 Contribution R2-052900
IETF RFC3154 「Requirements and Functional Architecture for an IP Host Alerting Protocol」
IETF RFC3344 「IP Mobility Support for IPv4」
IETF RFC3775 「Mobility Support in IPv6」
一般的に、位置登録処理の負荷を低減すること、すなわち、位置登録トラヒックを削減することは重要な課題である。
しかしながら、従来技術では、eNodeB30−2は、着呼応答メッセージ(Paging
Reply)を送信し、その後に、位置登録要求メッセージ(MIP Registration Request)をACGW20に送信している。つまり、この着呼応答メッセージと位置登録要求メッセージは、互いに重複する情報を含んでいるのにも関わらず、ほぼ同じ送信タイミングで同じ宛先に別々に送信されているので、トラヒック処理の負荷を大きくしている。また、重複する情報を別々のパケットで送信するので、システムを構成する装置のCPUにとって無駄な負荷をかけてしまっている。また、着呼応答メッセージと位置登録要求メッセージを別々に送信することにより、回線の使用帯域を増大させてしまう。
さらに、ページング処理完了後すぐにユーザデータが送信されるのにも関わらず、ACGW20は、着呼応答とは別に位置登録応答メッセージ(MIP Registration Reply)を返信しているため、位置登録処理の負荷を大きくしている問題もある。
本発明の目的は、位置登録処理に係るトラヒック量、CPUの処理負荷および回線の使用帯域を低減させる通信制御システム、アクセスゲートウェイ装置、基地局装置及び通信制御方法を提供することである。
本発明の基地局装置は、アクセスゲートウェイ装置から送信される無線端末装置への着呼要求メッセージを受信する受信手段と、当該着呼要求メッセージの着呼対象である前記無線端末装置と無線リンクが確立できるか否かを判断する位置登録判断手段と、前記無線リンクが確立した場合、前記着呼要求メッセージの前記アクセスゲートウェイ装置を示すIPアドレスを登録する位置登録手段と、前記着呼要求メッセージに対して前記無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成する着呼応答手段と、前記着呼応答メッセージを前記アクセスゲートウェイ装置に送信する送信手段と、を有する構成を採る。
また、本発明のアクセスゲートウェイ装置は、基地局装置から送信される当該基地局装置が無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを受信する受信手段と、前記着呼応答メッセージに基づいて当該着呼応答メッセージの前記基地局装置を示すIPアドレスを登録する位置登録手段と、を有する構成を採る。
本発明によれば、着呼要求先の無線端末装置と無線リンクが確立できるか否かを判断し、位置登録処理を行うことにより、位置登録処理に係るトラヒック量、装置のCPU負荷および回線の使用帯域を低減させることができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図6は、本発明の一実施の形態に係る通信制御システム100における着信制御方式を模式的に示す図である。図6に示す通信制御システム100は、アクセスゲートウェイ(AGCW)装置200と、このアクセスゲートウェイ装置200が収容する複数のeNodeB300−1〜300−nと、このeNodeBが収容する無線端末装置(UE)400と、で構成される。なお、本実施の形態では、説明を簡単にするために、eNodeBを2つ用いて説明する。
図6で示すUE400はIdle状態であり、ネットワーク側はそのUE400のトラッキングエリア(Tracking Area)を把握している。ここで、トラッキングエリア(または、ロケーションエリアと呼ぶ場合もある)は、アクセスゲートウェイ装置がeNodeBを収容するエリアを指している。そして、アクセスゲートウェイ装置は、このトラッキングエリア内のeNodeBが収容する無線端末装置に関する情報を把握することができる。例えば、図6に示す場合であれば、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300−1及び300−2のどこかにUE400が存在することを把握している。
そして、UE400宛データのIPパケットを一端終端した、例えば、アクセスゲートウェイ装置等のエンティティは、そのパケットの宛先UE400のトラッキングエリアを収容するアクセスゲートウェイ装置200に着呼要求メッセージ(Paging Request)を送信する(ステップS101)。ここで、エンティティは、例えば、インターネット等で接続する別の装置でもよいが、本実施の形態ではアクセスゲートウェイ装置200と接続するアクセスゲートウェイ装置として説明する。すなわち、データパケットを受信した他のアクセスゲートウェイ装置は、コアネットワーク(例えば、通信システム間で構成されるネットワーク)のデータベースを参照して、受信したデータパケットの送信先IPアドレスから宛先UE400を収容するeNodeBを収容する装置(ここでは、アクセスゲートウェイ装置200)を見つけ出し、当該アクセスゲートウェイ装置200に対してUE400宛てのデータを受信したことを通知する着呼要求メッセージを送信する。
そして、着呼要求メッセージを受信したアクセスゲートウェイ装置200は、自身に必要なページング(Paging)処理を行ない、つまり、着呼要求メッセージ内から宛先の無線
端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、着呼要求メッセージをUE400のトラッキングエリア内にある全てのeNodeB300に送信する(ステップS102)。
UE400を実際に収容しているeNodeB(ここではeNodeB300−2)は、着呼要求メッセージの着呼対象であるUE400との無線リンクが確立できるか否かを判断する。無線リンクが確立した場合(ステップS103)、eNodeB300−2は、ページング(Paging)処理を行い、自局がUE400を収容することを示す着呼応答メッセージ(Paging Reply)を生成してアクセスゲートウェイ装置200に送信するとともに、自身の位置登録処理を行う(ステップS104)。すなわち、eNodeB300−2は、着呼要求対象の無線端末装置との無線リンクが確立できた場合、着呼要求メッセージに基づく位置登録処理が可能なタイミングであると判断し、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスをeNodeB内のMIP関連データベースに登録する。
そして、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300−2からの着呼応答メッセージを受信して、ページング処理と位置登録処理を行う。すなわち、アクセスゲートウェイ装置200は、着呼応答メッセージ内の無線端末装置のIPアドレスを確認して、着呼応答メッセージの送信元(eNodeB300−2)に設定されるIPアドレスを、自局に保持するMIP関連データベースに登録する。これにより、UE400宛のIPパケットがeNodeB300−2へ転送されるようにアクセスゲートウェイ装置内のルーティングテーブルが変更される。ここでは、ホームアドレスが宛先UE400のIPアドレスに、CoAがUE400を収容するeNodeB300−2のIPアドレスになるように変更される。
そして、アクセスゲートウェイ装置200は、着呼応答メッセージ(Paging Reply)をIPパケット終端エンティティ(つまり、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置)に送信する(ステップS105)。その後、UE400宛のIPパケット(User Data)がアクセスゲートウェイ装置200に到着すると(ステップS106)、アクセスゲートウェイ装置200はこのIPパケットをeNodeB300−2へ転送する(ステップS107)。
そして、eNodeB300−2は、UE400宛のIPパケットを受信することにより、アクセスゲートウェイ装置200の位置登録処理が完了し、IPトンネルが確立したことを確認し、位置登録完了処理を行う。
以上の処理により、ページング処理と位置登録処理が完了し、UE400宛の着信IPパケットがUE400まで届けられるようになる(ステップS108)。
すなわち、eNodeB(基地局装置)300は、着呼要求メッセージに基づいて、着呼要求先の無線端末装置を自局が収容し、無線リンクが確立できるか否かを判断する。無線リングが確立できた場合、eNodeB300は、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを位置登録し、着呼要求に対して無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成し、着呼要求元に送信する。アクセスゲートウェイ装置200は、受信した着呼応答メッセージに基づいて、この着呼応答メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録する。つまり、アクセスゲートウェイ装置200は、eNodeB300からの着呼応答メッセージを、従来のeNodeB300からの位置登録要求(MIP Registration Requirement)とみなして位置登録処理を行い、eNodeB300は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される実際のユーザデータを、従来のアクセスゲートウェイ装置200からの位置登録応答(MIP Registration Reply)とみなしてIPトンネルが確立したことを判断する。従って、従来のように着呼要求及び着呼応答と別
に位置登録要求及び位置登録応答を行う必要は無い(図6に×印で示す)ため、位置登録処理に係るトラフィック処理の負荷を低減させるとともに位置登録処理に係る時間を短縮することができる。
次に、上述したネットワークを構成するアクセスゲートウェイ装置200及びeNodeB300の構成を説明する。まず、アクセスゲートウェイ装置200の構成について説明する。
図7は、アクセスゲートウェイ装置200の一構成例を示す機能ブロック図である。図7に示すアクセスゲートウェイ装置200は、送受信部201と、IPレイヤ処理部202と、ページング処理(Paging Process)部203と、モバイルIPホームエージェント(MIP HA)管理部204と、データベース205と、から主に構成される。ページング処理部203は、位置登録部206を有する。
送受信部201は、他のアクセスゲートウェイ装置等から送信されるIPパケットを受信して、IPレイヤ処理部202に出力する。また、送受信部201は、IPレイヤ処理部202から入力されるIPパケットを、自局の収容する基地局装置等に送信する。
IPレイヤ処理部202は、送受信部201から入力されるIPパケットを、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、ページング処理部203及びモバイルIP管理部204に出力する。特に、IPレイヤ処理部202は、他のACGWからの自局が収容する基地局装置300内の無線端末装置への着呼要求メッセージを含むパケットを受信した場合には、この着呼要求メッセージをページング処理部203に出力する。
また、IPレイヤ処理部202は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、カプセル化したパケットを送受信部201に出力する。特に、IPレイヤ処理部202は、ページング処理部203から入力される着呼要求メッセージおよび着呼応答メッセージを送受信部201に出力する。
ページング処理部203は、IPレイヤ処理部202から入力される他のアクセスゲートウェイ装置等からの着呼要求メッセージに基づいて、自身のページング(Paging)処理を行う。すなわち、ページング処理部203は、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、宛先の無線端末装置を収容する基地局装置に送信する着呼要求メッセージをIPレイヤ処理部202に出力する。
また、ページング処理部203は、基地局装置300から着呼要求先の宛先の無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージがIPレイヤ処理部202から入力された場合には、IPトンネルを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、ページング処理部203の位置登録部206は、IPレイヤ処理部202から入力される着呼応答メッセージを受信し、この着呼応答メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスと、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスとが一致するかを確認する。IPアドレスが一致した場合には、位置登録部206は、着呼応答メッセージの送信元、つまり、IPアドレスの一致した無線端末装置を収容する基地局装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース205に登録する。
これにより、UE400宛のIPパケットを基地局装置300へ転送するようにルーティングテーブルが変更され、アクセスゲートウェイ装置200と基地局装置300間のパ
ス、つまり、IPトンネルが確立される。
また、ページング処理部203は、着呼応答メッセージに基づいてページング処理を行い、UE400宛のIPパケットを一端終端したエンティティ、つまり、アクセスゲートウェイ装置200に接続する他のアクセスゲートウェイ装置に送信するための着呼応答メッセージをIPレイヤ処理部202に出力する。
MIP管理部204は、Proxy MIP Home Agent(MIP HA)機能を有し、MIP関連処理を行う。例えば、MIP管理部204は、Paging処理による位置登録の後、無線端末装置が移動した場合に位置登録を行う。
データベース205は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特に位置登録部206で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、eNodeBの構成について説明する。図8は、eNodeB300の一構成例を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、eNodeB300の一例として、基地局装置を例に説明する。
図8に示す基地局装置300は、送受信部301と、IPレイヤ処理部302と、ページング処理部303と、モバイルIP(MIP MA)管理部304と、データベース305と、から主に構成される。また、ページング処理部303は、位置登録判断部306および位置登録部307を有する。
送受信部301は、アクセスゲートウェイ装置200から送信されるIPパケットを受信して、IPレイヤ処理部302に出力する。また、送受信部301は、IPレイヤ処理部302から入力されるIPパケットを、アクセスゲートウェイ装置200に送信する。
IPレイヤ処理部302は、送受信部301から入力されるIPパケットを、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットのカプセル化を解き、ページング処理部303及びMIP管理部304に出力する。特に、IPレイヤ処理部302は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される着呼要求メッセージを含むパケットを受信した場合には、この着呼要求メッセージをページング処理部303に出力する。
また、IPレイヤ処理部302は、着呼応答後に無線端末装置宛のIPパケットを受信した場合には、位置登録判断部306に、UE400宛の最初のIPパケットの受信を示す通知情報を出力する。なお、IPレイヤ処理部302は、2つめ以降のUE400宛IPパケットを受信した場合、ページング処理部303に通知情報を通知しない。
また、IPレイヤ処理部302は、自身に設定されたIPアドレスを用いてパケットをカプセル化して、カプセル化したパケットを送受信部301に出力する。特に、IPレイヤ処理部302は、ページング処理部303で生成される着呼要求に応答する着呼応答メッセージをパケット化し、このパケットを送受信部301に出力する。
ページング処理部303は、IPレイヤ処理部302から入力されるアクセスゲートウェイ装置200からの着呼要求メッセージに基づいて、自身のページング処理を行い、着呼応答メッセージ(Paging Reply)を生成する。すなわち、ページング処理部303は、着呼要求メッセージ内から宛先の無線端末装置の着呼を確認できるだけの情報をページ単位で一旦記憶し、宛先の無線端末装置との無線リンクの確立後に、自局が当該宛先の無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージをIPレイヤ処理部302に出力する
。
また、ページング処理部303は、アクセスゲートウェイ装置200から無線端末装置への着呼要求メッセージがIPレイヤ処理部302から入力された場合には、IPトンネルを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、IPレイヤ処理部302から着呼要求メッセージが入力されると、ページング処理部303の位置登録判断部306は、着呼要求対象の無線端末装置との無線リンクが確立できるか否かを判断し、判断結果を位置登録部307に出力する。
位置登録部307は、位置登録判断部306から入力される判断結果が無線リンクの確立できたことを示す場合、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスをデータベース305に出力する。具体的には、位置登録部307は、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求対象の宛先の無線端末装置に設定されるIPアドレスと、無線リンクを確立した無線端末装置のIPアドレスとが一致するか確認する。そして、IPアドレスが一致した場合には、位置登録部307は、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース305に登録する。これにより、ルーティングテーブルのCoAがアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスに変更される。
また、位置登録部307は、IPレイヤ処理部302から無線端末装置400宛の最初のパケットの受信を示す通知情報を受信すると、アクセスゲートウェイ装置200で位置登録処理が完了してIPトンネルが確立したことを確認し、位置登録完了処理を実施してデータベース305を更新する。なお、位置登録完了処理としては、例えば、IPトンネルの確立を意味するフラグを立てるなどの処理が挙げられる。
MIP MA管理部304は、Proxy MIP Mobile Agent機能を有し、MIP関連処理を行う。例えば、MIP MA管理部304は、無線端末装置が移動した場合に位置登録を行う。
データベース305は、モバイルIP(MIP)関連データベース(MIP DataBase)であり、特に位置登録部307で位置登録処理が行われた場合には、入力されるIPアドレス等の情報を記憶する。
次に、他のアクセスゲートウェイ装置等からのアクセスゲートウェイ装置200のトラッキングエリア内の無線端末装置が宛先となる着呼要求を受けた場合のアクセスゲートウェイ装置200及び基地局装置300の動作について、図9のシーケンス図を用いて説明する。
まず、ステップS1001では、アクセスゲートウェイ装置200の送受信部201が他のアクセスゲートウェイ装置から着呼要求メッセージを含むパケットを受信し、IPレイヤ処理部302が、自身に設定されるIPアドレスを用いてカプセル化を解いて、ページング処理部203に着呼要求メッセージを出力する。
ステップS1002では、ページング処理部203が、着呼要求メッセージに基づいてページング処理を行う。ここで、着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスが、一旦記憶される。
次いで、ステップS1003では、送受信部201が、着呼要求メッセージを基地局装置(eNodeB)300に送信し、基地局装置300の送受信部301が、この着呼要求メッセージを受信する。IPレイヤ処理部302は、自身に設定されるパケットを用い
てカプセル化を解き、ページング処理部303に着呼要求メッセージを出力する。
次いで、ステップS1004では、ページング処理部303が、自身のページング処理を行うとともにパスを確立するための位置登録処理を行う。具体的には、位置登録判断部306は、着呼要求メッセージの着呼対象である無線端末装置400との無線リンクが確立できるか否かを判断する。ここでは、無線端末装置400との無線リンクが確立できるので(ステップS1005)、位置登録判断部306は、着呼要求元の位置登録が可能であると判断し、判断結果を位置登録部307に出力する。
次いで、ステップS1006では、位置登録部307が、位置登録判断部306の判断結果に従い、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求対象の宛先の無線端末装置に設定されるIPアドレスと、無線リンクを確立した無線端末装置のIPアドレスとが一致するか確認する。一致した場合、位置登録部307は、着呼要求メッセージの送信元のアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース305に登録する。これにより、ルーティングテーブルのCoAがアクセスゲートウェイ装置200に設定されるIPアドレスに変更される。
次いで、ステップS1007では、ページング処理部303が、着呼応答メッセージを生成する。
次いで、ステップS1008では、IPレイヤ処理部302が、ページング処理部303で生成された着呼応答メッセージをパケット化し、送受信部301は、このパケットをアクセスゲートウェイ装置200に送信する。
そして、アクセスゲートウェイ装置200の送受信部201が、基地局装置300から送信されるパケットを受信し、IPレイヤ処理部202が、カプセル化を解いて、着呼応答メッセージをページング処理部203の位置登録部206に出力する。
次いで、ステップS1009では、位置登録部206が、着呼応答メッセージに基づいて、この着呼応答メッセージに含まれる無線端末装置のIPアドレスと、ページング処理の際に一旦記憶した着呼要求メッセージに含まれる宛先の無線端末装置のIPアドレスとが一致するかを確認する。そして、IPアドレスが一致した場合には、位置登録部206は、着呼応答メッセージの送信元、つまり、IPアドレスの一致した無線端末装置を収容する基地局装置に設定されるIPアドレスを、CoAとしてデータベース205に登録する。
ステップS1010では、ページング処理部203が、着呼応答メッセージを生成して、IPレイヤ処理部202及び送受信部201を介して、他のアクセスゲートウェイ装置に送信する。これにより、アクセスゲートウェイ装置200と基地局装置300とのIPトンネルが確立される。そして、基地局装置300は、最初に受信するUE400宛のIPパケットを、アクセスゲートウェイ装置200の位置登録完了通知とみなす。これにより、従来での位置登録応答メッセージに係るトラフィック量が削減される。
このように、本実施の形態によれば、基地局装置300は、アクセスゲートウェイ装置200から送信される無線端末装置の着呼要求メッセージを受信し、当該着呼要求メッセージの着呼対象である無線端末装置と無線リンクを確立できるか否かを判断する。無線リンクが確立した場合、基地局装置300は、着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録し、着呼要求メッセージに対して無線端末装置を収容することを示す着呼応答メッセージを生成し、アクセスゲートウェイ装置200に送信する。アクセスゲートウェイ装置200は、基地局装置300から送信される着呼応答メッセージを受信し、
着呼応答メッセージに基づいてこの着呼要求メッセージの送信元に設定されるIPアドレスを登録する。これにより、位置登録処理に係るトラヒック量を低減させるとともに、CPUの処理負荷を低減させ、かつ、回線の使用帯域を低減させることができる。
なお、MIPの動作は、上記実施の形態で説明した動作に限定されず、本発明は、例えば、MIPv4、MIPv6、HMIPなどでも適用可能である。また、ページング(Paging)動作及び位置登録動作は、上記実施の形態で説明した動作に限定されない。また、本発明は、MIPを使用することに限定されず、MIPと同様な機能を持つプロトコルであれば適用可能である。
本発明のアクセスゲートウェイ装置、基地局装置、通信制御システム及び通信制御方法は、位置登録処理に係るトラヒック量、CPUの処理負荷および回線の使用帯域を低減させる効果を有し、次世代3GPPシステムにおける通信制御システムとして有用である。
次世代3GPPシステムのネットワーク構成を示す図
Mobility制御を説明するための模式図
図2で説明したMobility制御を具体的に説明するための図
Mobility制御における従来の着信制御方式を説明するための図
従来のeNodeB及びACGWの構成を示す図
本発明の実施の形態に係る通信制御システムにおける着信制御方式を模式的に説明する図
本発明の実施の形態に係るアクセスゲートウェイ装置の一構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態に係る基地局装置の一構成を示す機能ブロック図
本発明の実施の形態に係る通信制御システムの動作を説明するシーケンス図