JPWO2008001558A1 - 肌のなめらかさの目視評価値の推定方法及び推定装置 - Google Patents

肌のなめらかさの目視評価値の推定方法及び推定装置 Download PDF

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Abstract

肌のなめらかさの目視評価値を推定する方法、肌のなめらかさの目視評価値を推定するための装置及びプログラムを提供し、肌のなめらかさの目視評価値の推定を誰にでも簡便に客観的かつ定量的に行えるようにする。被験者の肌表面の起伏値から粗さパラメータとフラクタル次元を算出し、予め用意した粗さパラメータ、フラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の粗さパラメータ、フラクタル次元、並びに年齢を代入して、肌のなめらかさの目視評価値を推定する。

Description

本発明は、肌のなめらかさの目視評価値の推定方法及び推定装置に関し、更に詳しくは、化粧料を販売する店頭などで、肌のなめらかさの目視評価値を簡便に推定する方法、並びにこの方法に用いる装置及びプログラムに関する。
第三者によって、美しい肌であると認識されることは、女性のみならず多くの人の大きな願いの一つである。このため、美しい肌に見せるための化粧料や美容法の研究開発が盛んに行われている。しかしながら、肌の状態は個人によって大きく異なり、さらに加齢や生活環境によっても変化するものであるため、化粧料の種類や化粧方法、肌の手入れ法等を適切に選択するためには、対象となる肌が第三者にどのように見えるかを客観的に判断することが必要である。例えば、デパートの化粧品売り場、薬局、化粧品店の店頭においては、被験者の見た目の肌の美しさの程度を客観的に評価する簡便な方法が求められている。
第三者の目視による肌の美しさは、大きく分けると「肌トラブルがない」というネガティブな因子と、「肌がなめらか」というポジティブな因子により形成されることが、各種の調査結果より明らかにされている。
「肌のなめらかさ」は、キメの細かさ、キメの方向の均一性、凹凸感やさらさら感等の数々の因子が複合的に関連し合って形成されている。従って、第三者の目視による肌のなめらかさ、すなわち、“肌のなめらかさの目視評価値”を的確に推定するためには、被験者の肌表面の形態や水分量などを測定し、これらの測定結果を分析したり、肌の評価の専門家が被験者の肌を観察し、専門的知識に基づいて視覚的な官能評価を行うことが必要とされてきた。しかしながら、これらの方法は、多くのデータ収集、複雑なデータ分析、肌評価の専門家の育成・訓練などを必要とするため、簡便な評価法とは言い難かった。
一方、肌表面の形態を計測し、肌表面の性状を評価する技術が開発されている。例えば、皮膚表面のレプリカの3次元形状を測定し、測定データを音程信号に変換して皮膚表面形態の状態を評価する方法(特許文献1)、皮膚の表面粗さを表すパラメータを指標として、皮膚表面の形態的な特徴を検出する方法(特許文献2)、皮膚表面の凹凸のデータを解析することにより肌表面状態の良好さを評価する方法(特許文献3参照)が開示されている。
また、肌表面の性状を様々な方法で計測し、計測値の加工値などを用いて、肌の状態を簡便に評価する技術も開発されている。例えば、皮膚表面やそのレプリカを適当な光電変換手段で撮像して得られた画像情報をプログラムにより処理し、皮膚表面形状や光学的性質を定量的に評価する方法も報告されている。例えば、皮膚のレプリカに複数の光源を照射し、皮溝のパターンを抽出することにより、皮溝間隔や皮溝方向を解析する装置(特許文献4参照)や皮膚表面画像の輝度を多段階のデジタル信号値に変換し、これを統計処理することにより皮膚表面形状を測定する方法(特許文献5参照)等が開示されている。
このような方法により、高速・高精度に皮膚表面の形態情報を収集し、この常法に基づいて肌の評価を簡便に行うことが可能になってきている。しかしながら、第三者の目視による肌のなめらかさを形成する因子は未知のものもあり、さらにこれらの因子どうしが複雑に関連していると考えられるため、現在の技術では肌のなめらかさの目視評価値を的確に推定することは未だ困難である。
このような背景において、第三者の目視による肌のなめらかさを形成する重要な因子を見出し、より、高速・高精度に肌のなめらかさの目視評価値を推定する技術の開発が求められている。
一方、フラクタルという概念は、数学分野の研究において創造された自己相似的な図形に用いられる幾何学的概念である。また、自然界には、フラクタルな形状を有しているものが数多く存在していることが知られている。フラクタルな性質の形状を表現する1つの手段として、フラクタル次元を求めることが知られている。近年では、フラクタル次元を算出することにより、生体における特定の状態を判断する方法が報告されている。例えば、被験者の特性不安レベルの生体信号をフラクタル解析し、統計的データとの相関から不安レベルを評価する方法や(特許文献6)、組織からの反射超音波パルス信号をフラクタル解析して、組織の状態を調査する方法(特許文献7)、フラクタル解析を利用した悪性細胞の自動検出システム(特許文献8)が開示されている。また、メラニン等の色素分布と肌の画像を構成する画素の輝度のフラクタル次元の相関関係から、肌のメラニン色素分布を評価する方法が開示されている(特許文献9)。また、肌の性状値のフラクタル次元を指標とすれば、肌年齢の推定等が行える可能性があることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、フラクタル次元の具体的な利用方法については明らかにされておらず、フラクタル次元と肌年齢の関係やフラクタル次元と皮膚表面の立体形状の目視評価値等との関係は見出されていない。
特開平05−146412号公報 特開平05−329133号公報 特開平04−305113号公報 特開昭61−64232号公報 特開平02−46833号公報 特開2001−299702号公報 特表平11−507846号公報 特表2001−512824号公報 特開2000−135207号公報 「肌画像の特徴量を利用した肌年齢推定方式と肌老化予防への対応応用」(春日 正男、首都圏北部四大学発 新技術説明会 平成17年12月2日 説明資料)
このような状況下、本発明者らは、肌の形態、性質などを表す種々の性状値と、肌の美しさや皮膚の立体形状などの目視評価値との関係について分析を行ってきた。そして、これらの結果に基づいて、簡便、客観的かつ定量的に、肌の美しさや皮膚の立体形状などの目視評価値を推定する方法を発明し、既に特許出願を行っている。例えば、肌のレプリカのRaなどの粗さパラメータを使用し、目に見える肌の美しさを客観的に評価する方法(特願2005−327355号)、肌の表面の画像の表色系の画像信号の分布のフラクタル次元又は肌の起伏値の分布のフラクタル次元から、皮膚表面の立体形状の目視評価値を推定する方法(特願2006−046654号)、肌の表面の画像の表色系の画像信号の分布のフラクタル次元又は肌の起伏値の分布のフラクタル次元から、肌の美しさの目視評価値を推定する方法(特願2006−046659号)である。
本発明は、肌状態の鑑別や化粧料の適切な選択に有用な情報を与えるためのさらなる手段を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、肌のなめらかさの目視評価値を推定する方法、肌のなめらかさの目視評価値を推定するための装置及びプログラムを提供し、肌のなめらかさの目視評価値の推定を誰にでも簡便に客観的かつ定量的に行えるようにすることを課題とする。また、本発明は、肌のなめらかさの目視評価値と大きく関係する肌の性状値、その加工値、これらの値の組み合わせを見出し、肌のなめらかさの目視評価値を精度よく簡便に得る方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために肌のなめらかさの目視評価値を的確に推定する手段を求めて、さまざまな肌の性状値、その加工値、これらの数値を組み合わせることについて検討を行ってきた。
その過程で、本発明者らは、肌表面の表面性状を表すパラメータや起伏値の分布のフラクタル次元と、肌を第三者が目視した実際の評価との関連性に着目した。そして、肌表面の表面性状を表すパラメータである断面曲線パラメータ、粗さパラメータ、うねりパラメータと、肌の性状値のフラクタル次元が、肌表面の目視評価とどのように関連しているかについて分析を重ねてきた。その結果、肌表面の起伏値から算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元は、それぞれ肌のなめらかさを形成する重要な因子を示す数値であることを見出した。そして、これらの数値及び年齢と、第三者の目視による肌のなめらかさの評価結果の間には、ある関係があることを見出した。そして、この関係を利用すれば、被験者の肌表面の粗さパラメータ及びフラクタル次元を用いて肌のなめらかさの目視評価値を的確に推定できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)被験者の肌表面の起伏値を取得する工程と、
該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する工程と、
該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する工程と、
予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る工程
とを含む、肌のなめらかさの目視評価値の推定方法。
(2)前記粗さパラメータが、Rmr、RSm及びRaの少なくとも1つであることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記フラクタル次元が、ボックスカウンティング法により算出されることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記ボックスカウンティング法におけるボックスサイズの決定が、ボックス内の前記起伏値の標準偏差に基づいて行われることを特徴とする、(3)に記載の方法。
(5)前記起伏値は、肌のレプリカから算出されることを特徴とする、(1)〜(4)の何れか一に記載の方法。
(6)(1)〜(5)の何れか一に記載の肌のなめらかさの目視評価値の推定方法により、皮膚外用剤の使用前後の肌のなめらかさの目視評価値を推定し、これらの目視評価値を比較した結果を指標として皮膚外用剤を評価することを特徴とする、皮膚外用剤の評価方法。
(7)被験者の年齢を入力する手段と、
被験者の肌表面の起伏値を取得する手段と、
該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する手段と、
該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する手段と、
予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段と、
得られた目視評価値を表示する手段
とを含む、肌のなめらかさの目視評価値の推定装置。
(8)コンピュータを、
被験者の肌表面の起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する手段と、
被験者の肌表面の起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する手段と、
予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段
として機能させるための肌のなめらかさの目視評価値の推定プログラム。
顔部位の計測対象領域の例を示す図である。 レプリカから得た起伏値データをSinc関数により補正したものを示す図である。 ボックスカウンティング法における、分割の概念を示す図である。 ボックスカウンティング法のカウントの概念を示す図である。 フラクタル次元を示す図である。 本発明の推定装置の一例である、推定装置aのハードウェアブロック図である。 起伏値のフィルター処理の概念を示す図である。 目視評価に用いる肌の画像の例を示す図である(写真)。 加齢プロセスにおけるトタン板状化を示す図である。 式(7)を用いて推定した肌のなめらかさの目視評価値と、実際の肌のなめらかさの目視評価値との関係(散布図)を示す図である。 式(9)を用いて推定した肌のなめらかさの目視評価値と、実際の肌のなめらかさの目視評価値と関係(散布図)を示す図である。
本発明の肌のなめらかさの目視評価値の推定方法(以下、「本発明の推定方法」ともいう。)は、以下の工程を含むことを特徴とする。
(A)被験者の肌表面の起伏値を取得する工程
(B)該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する工程
(C)該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する工程
(D)予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ、フラクタル次元、及び年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る工程
本発明の推定方法において、「肌のなめらかさの目視評価値」とは、第三者が肌を目視した場合に、肌がどの程度なめらかに見えるかを現す統計的な評価値であり、具体的には、ある肌と別の肌とを見比べた場合に、どちらの肌がなめらかに見えるかの判定を繰り返して得られる統計的な評価値である。すなわち、本発明の推定方法において、「肌のなめらかさの目視評価値」は、目視により得られた情報を人間の精神活動により加工、処理して得られる主観的な評価値ではない。
(A)被験者の肌表面の起伏値を取得する工程
起伏値とは、ある対象の表面を覆う点が、基準面からどれぐらいの高さであるかを示す数値である。肌表面の起伏値の測定方法は、通常用いられる方法で行うことができ、肌から直接測定してもよいし、肌のレプリカを作製して測定してもよいが、正確な計測値を得る観点からは、肌のレプリカを作製して測定することが好ましい。
肌のレプリカを作製するのに用いられるレプリカ剤は、通常肌の診断などに用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、シリコンやポリビニールアルコール(PVA)被膜を利用したレプリカ剤が好ましく示される。このようなレプリカ剤としては、有限会社アサヒバイオメッドのシリコンASB−01−WW等が例示できる。また、被験者の肌の表面のレプリカを取得する対象とする肌の部位は、肌のなめらかさの目視評価値を推定したい部分であれば特に制限されず、頬などの顔面皮膚、上腕内側部などが挙げられる。肌のなめらかさの目視評価値を化粧料の選択などに利用する場合には、頬のレプリカを取得することが好ましい。例えば、頬部の2cm*2cm(図1参照)の測定領域を設定し、これを含む部分のレプリカを取得すればよい。また、レプリカを取得する方法は、肌の形状などを診断するのに用いられる常法により行うことができる。例えば、洗顔後20℃、50%湿度下で20分程度おいた肌にレプリカ剤を適用し、これを採取すればよい。
レプリカから起伏値を取得する方法は、特に制限されず、通常の方法を用いることができる。例えば、「シワ評価法ガイダンス」、日本香粧品科学会誌 別冊 Vol. 28, No.2 (2004)を参照することができる。
具体的には、例えば、市販のレーザータイプの3次元表面粗さ計を利用して、図1に示すような顔の部分から採取したレプリカに対して水平方向(x方向)及び垂直方向(y方向)にレーザースキャンを行って測定する方法が挙げられる。このような3次元粗さ計として、例えば、株式会社サイエンスシステムズ社の高精度3次元画像処理装置LIP(例えばLIP−50)、株式会社東京精密のSURFCOM、レーザーテック株式会社のVLH、PRIMOS(GFM社製)、derma-TOP-blue(Breuckmann社製)等が挙げられる。これらの機器を用いて起伏値を測定する際のスキャンの間隔は、粗さパラメータを算出するのに十分なデータが得られる範囲であれば特に制限されないが、10μm以下の間隔で行うことが好ましい。例えば、LIP−50を用いてスキャンする場合には、x*yが1cm*1cmのレプリカ領域に対して、x方向及び/又はy方向垂直方向について10μm間隔で1000本の走査を行うことができる。
また、このようにして起伏値を得る際、x方向とy方向のサンプリング周期が異なる場合は、Sinc関数を用いてサンプリング周期を補正することが好ましい(図2参照)。かような補正によって、後述するフラクタル次元を正確に算出することができるからである。
また、光投射装置などを用いて斜光照明をレプリカに照射し、レプリカ凸部の影部分を抽出し、その面積・幅等から肌の凹部の深さ、面積率等を計測する方法によって、起伏値を得ることもできる。このような斜光照明の照射による起伏値の取得は、簡便である点で好ましい。この方法による起伏値の取得は、例えば反射用3Dレプリカ解析システム(アサヒバイオメッド)等を用いて行うことができる。
また、半透明レプリカに光を照射し、透過した光量からレプリカの厚さを求め、レプリカの起伏値を得ることもできる(半透明レプリカ光透過法)。この方法による起伏値の取得は、例えば、3D皮膚解析システムASA−03(アサヒバイオメッド)等を用いて行うことができる。
また、肌から直接起伏値を得る方法として、例えば、格子状の光を肌に当てその光のゆがみの特性を起伏値に換算する方法が挙げられ、市販されている機器を用いて行うことができる。例えば、前記のPRIMOSやderma-TOP-blue等の機器を用いることができる。
(B)粗さパラメータの算出
上記のようにして求めた肌表面の起伏値から、被験者の肌表面の粗さパラメータを算出する。
「粗さパラメータ」とは、JIS規格で定められる粗さ曲線から計算されるパラメータ、及びこれらのパラメータの3次元拡張版(3次元表面性状パラメータ)をいう。
JIS規格で定められる粗さ曲線から計算されるパラメータとしては、「製品の幾何学特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ、JISB0601:2001」に規定される、Ra(粗さ曲線の算術平均長さ)、RSm(粗さ曲線の平均長さ)、Rmr(粗さ曲線の負荷長さ率)、Rp(粗さ曲線の最大山高さ)、Rv(粗さ曲線の最大山深さ)、Rz(粗さ曲線の最大高さ)、Rc(粗さ曲線の平均高さ)、Rt(粗さ曲線の最大断面高さ)、Rq(粗さ曲線の二乗平均平方根高さ)、Rsk(粗さ曲線のスキューネス)、Rku(粗さ曲線のクルトシス)等が挙げられる。本発明の推定方法においては、Ra、RSm及びRmrを用いることが好ましく、Rmrを用いることが特に好ましい。これらの粗さパラメータは、起伏値を測定した領域から得られるどの方向の断面曲線から抽出してもよい。粗さパラメータとしてRmr(水平方向のRmr)を用いる場合には水平方向(図1参照)の断面曲線から抽出した粗さ曲線から求めることが好ましい。
また、3次元表面性状パラメータとしては、Sa、Sp、Sv、Sz、Sq、Ssk、Sku、Smr等が挙げられる。
また、本発明の推定方法においては、前記解析の面積が可及的に小さい場合、或いは解析面のうねりの平坦さが確保できているような場合など、断面曲線の長波長成分が小さい場合には、Pa、PSm、Pmrなどの断面曲線パラメータを、粗さパラメータとみなして用いることもできる。
肌表面の粗さパラメータの算出は、以下のようにして行う。
まず、取得した起伏値から肌表面の断面曲線を得て、これをフィルター処理してうねり曲線(長波長成分)と粗さ曲線(短波長成分)に分離する。フィルター処理としては、ガウシアン(Gaussian)フィルター処理、2CRフィルター処理等が挙げられる。本発明の推定方法においては、ガウシアンフィルター処理を用いることが好ましい。フィルターのカットオフ値λcは3.5〜0.5mmが好ましい。
粗さ曲線からの粗さパラメータの算出は、JIS規格に基づいた方法により行う。Rmr、RSm、Ra、Rp、Rv、Rz、Rc、Rt、Rq、Rsk、Rkuのパラメータについては、「製品の幾何学特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語,定義及び表面性状パラメータ,JIS B 0601:2001」に基づいた方法で算出すればよい。3次元表面性状パラメータの算出方法としては、例えば、 HYPERLINK "http://orion.nagaokaut.ac.jp/3Dpara/index.html" http://orion.nagaokaut.ac.jp/3Dpara/index.htmlを参照することができる。また、これらの表面粗さパラメータを算出するには、例えば、3次元表面粗さ計に付属のソフトウェア、(有)アサヒバイオメッドのレプリカ解析ソフトASA−03−R、TalorHobson社のTalymap3D分析ソフトウェア等の汎用ソフトウェア、又は特注したソフトウェアを用いることができる。
(C)フラクタル次元の算出
上記で取得した肌表面の起伏値から、肌表面のフラクタル次元を算出する。
フラクタル次元を算出する方法としては、ボックスカウンティング法(box‐counting)、相関次元法、fractional Brownian motion modelなどが挙げられる。
ボックスカウンティング法とは、対象を完全に覆う正方形(立方体)を任意の大きさの正方形(立方体)で分割し、その正方形(立方体)の大きさとその対象の一部を覆う分割正方形(立方体)の数との関係から、フラクタル次元を求める方法である。ある形状が具体的には、対象を完全に覆う正方形(立方体)を一辺の長さhで分割した場合の対象の一部を覆う正方形(立方体)の数をN(h)とした場合に、rとN(h)の間に、
N(h)=c・h-D(cは定係数) ・・・(1)
という近似式がよい相関で成り立つ場合に、その対象はフラクタルな形状であるといえ、このとき、式(1)におけるDがフラクタル次元となる。従って、ボックスカウンティング法により、フラクタル次元Dを求めるためには、c・hとN(h)を対数プロットし、得られた直線の傾きを求めればよい。
このようなボックスカウンティング法は、非常に簡便であり、計算機での高速処理が可能であるが、対象のフラクタル次元が半整数値から遠いほど、その解析精度が低下する。そこで、一般的なボックスカウンティング法のように単に対象の一部がボックス内に入るか否かを判定するのではなく、ボックス内のデータの標準偏差に基づいて有効的なボックスサイズを決定し、対象の一部がボックス内に入るか否かを判定する工程を含む方法を用いることが好ましい。
このようなフラクタル次元の算出は、具体的に以下のような方法で行うことができる。
(1)まず図3に示すように、サイズX×Yに存在する2次元離散データf(x,y)をサイズh×h(m個)の領域Si(x,y)に分割する。本発明におけるデータは、上記で取得した起伏値、すなわち基準面からの高さのデータである。hは、任意に決定することができる。
(2)領域S1〜Smのそれぞれについて、起伏値の標準偏差σ1〜σmを以下の式(2)により求める(図4参照)。
Figure 2008001558
(3)サイズhでのN(h)を以下の式(3)により計算する。
Figure 2008001558
このようにしてN(h)を計算することにより、h×hの領域Sにおける標準偏差を有効的なボックスの高さとしてボックスの個数をカウントすることができるため、データ計測のノイズ等の突発的なノイズの影響を抑制することが可能となる。また、フラクタル次元の推定に不可欠である、1〜2桁近くの広いスケーリング範囲が得られる。
(4)サイズhを大きくしてf(x,y)を再分割し、(1)〜(3)の手順を用いて同様にN(h)を計算する。
(5)h=X、又はh=Yとなるまで(4)を繰り返し、N(h)を計算する。
(6)logN(h)とloghの関係を表すグラフの傾きからフラクタル次元Dを求める(図5参照)。
(D)重回帰式を用いた肌のなめらかさの目視評価値の推定
(D−1)重回帰式の作成
上記(b)で求めた被験者の肌表面の粗さパラメータ、(c)で求めた被験者の肌表面のフラクタル次元、及び被験者の年齢を用いて、被験者の肌のなめらかさの目視評価値を推定する。該目視評価値の推定に利用する肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、皮膚表面の立体形状の目視評価値の関係を示す重回帰式は、以下のようにして予め用意しておく。このようにして作成した重回帰式は、後述する目視評価値の推定に利用可能なように、保存しておくことが好ましい。
重回帰式は、例えば以下の方法で作成することができるが、該方法に限定されない。
(1)肌の状態や年齢などが十分に分布した肌(以下、「サンプル」ともいう。)の起伏値を取得し、取得した起伏値から粗さパラメータと、フラクタル次元を算出する。起伏値の取得、粗さパラメータ及びフラクタル次元の算出は、上述した方法と同様に行うことができる。このとき用いるサンプルの数は、30以上、好ましくは50以上、さらに好ましくは200以上である。
(2)次に、第三者を代表するのに適当な評価者を用意し、前記サンプルを提示し、肌のなめらかさを目視により評価してもらう。この評価に用いるサンプルは、肌そのものでも良いし、肌の写真や画像でも良い。写真や画像を用いる場合には、色味要素を除くため、グレイスケール化することが好ましい。これらの評価は、得点付けのような絶対的な評価であってもよいが、客観性を担保するために別のサンプルと比較して順位付けを行うなどの相対的な評価であることが好ましい。順位付けにおいては、差がない場合は、同順位とすることもできる。この際、さらに客観性を担保するために、評価は目視によってのみ認識できる肌の要素のみに基づいて行うことを説明することが好ましい。ここで、第三者を代表するのに適当な評価者とは、少なくとも「肌のなめらかさ」の意味を理解できるものであればよく、年齢や性別は問わない。また、評価者の数は、通常4名以上、好ましくは10名以上である。
(3)(2)の評価は、繰り返し行うことが好ましい。繰り返しの回数は、評価者の数などにより適宜調節すればよい。客観的な評価結果を得るために、通常3回以上、好ましくは4回以上、さらに好ましくは5回以上評価を繰り返すのがよい。
(4)次に、(3)の評価結果を統計処理し、各サンプルごとに皮膚表面のなめらかさの目視評価値を算出する。この統計処理に用いる目視評価値は、得られた得点そのものであってもよいし、順位付けによる相対的な評価を行った場合は、順位そのものであっても、肌のなめらかさが良好な昇順に高い数値を与えた得点であってもよい。またこれらの目視評価値は、サンプルごとの合計であってもよいし、平均値であってもよい。例えば、n個のサンプルについて順位付けを行った場合に、i番目のスコアをn−i+1として、各サンプルの合計スコアの平均値を求め、目視評価値とすることができる。また、サンプルの平均値と標準偏差から各サンプルの偏差値を求め、目視評価値としたり、これらの値を任意の段階に分割して目視評価値とすることもできる。
(5)次に、(1)で求めた粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を説明変数とし、4)で求めた肌のなめらかさの評価値を目的変数として、重回帰分析(MRA)し、重回帰式を求める。このような重回帰分析は、常法により行うことができ、例えば、市販されている統計処理用ソフトウェアを用いて行うことができる。このときに用いる粗さパラメータは、一種であっても、複数種であってもよい。
(D−2)肌のなめらかさの目視評価値の推定
上記(B)、(C)で求めた被験者の肌表面の粗さパラメータとフラクタル次元、及び被験者の年齢を、(D−1)の方法等より予め用意した、肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に代入し、被験者の肌のなめらかさの目視評価値を推定する。このようにして推定された肌のなめらかさの目視評価値は、そのまま得られた数値で表示することもできるが、偏差値や予め規定したランクなどのデータに加工することにより、カウンセリングやアドバイスの場面において使用しやすいものとなるため好ましい。例えば、肌のなめらかさの目視評価値の推定に用いる重回帰式の作成において、用いたサンプルの目視評価値の最低値と最大値の間を任意の複数のランクに等分し、それぞれのランクをアルファベットや数字で表示したり、なめらかさの程度を示す言葉などで表示しておけば、被験者について推定された目視評価値を、ランクや言葉により表示することができる。
本発明の推定方法は、皮膚外用剤の評価に応用することができる。皮膚外用剤の中でも、特に化粧料の評価に好適に応用することができる。
すなわち、本発明の推定方法を用いた皮膚外用剤の評価方法(以下、「本発明の皮膚外用剤の評価方法」ともいう。)は、本発明の推定方法により、皮膚外用剤の使用前後の肌のなめらかさの目視評価値を推定し、これらの目視評価値を比較した結果を指標として、皮膚外用剤を評価することを特徴とする。具体的には、皮膚外用剤の使用前に、被験者の肌表面の粗さパラメータ及びフラクタル次元を算出し、予め用意した重回帰式に算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに被験者の年齢を代入して、皮膚外用剤の使用前の肌のなめらかさの目視評価値を推定する。そして、皮膚外用剤の使用後に同じ手順で、肌のなめらかさの目視評価値を推定し、皮膚外用剤の使用前後の肌のなめらかさの目視評価値を比較する。得られた皮膚外用剤の使用後の肌のなめらかさの目視評価値が、皮膚外用剤の使用前の肌のなめらかさの目視評価値より、良好な値を示せば、その皮膚外用剤は肌のなめらかさを向上させる作用を有すると評価することができ、その増大の程度が大きいほど皮膚外用剤の肌のなめらかさに対する有効性が高いと評価することができる。反対に、皮膚外用剤の使用後の肌のなめらかさの目視評価値が、皮膚外用剤の使用前の肌のなめらかさの目視評価値と同じか、これより良好でない値を示せば、その皮膚外用剤は、肌のなめらかさに対して影響を与えない、又は肌のなめらかさを低下させる作用を有すると評価することができる。
本発明の皮膚外用剤の評価方法は、評価者が変わっても結果にばらつきが生じることがなく、変化量の小さい変化も的確に捉えることができるという利点を有する。
本発明の推定方法を実施するためには、以下に説明する肌のなめらかさの目視評価値の推定装置(以下、「本発明の推定装置」ともいう。)を用いることが好ましい。本発明の推定装置は、以下の手段を含むことを特徴とする。
(A)被験者の年齢を入力する手段
(B)被験者の肌表面の起伏値を取得する手段
(C)該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する手段
(D)該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する手段
(E)予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した肌表面の粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段
(F)得られた目視評価値を出力する手段
本発明の推定装置における各用語の定義は、上記本発明の推定方法における定義と同じである。
以下、図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を具体的に説明する。但し、以下の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
図6は、被験者の年齢の入力、被験者の肌表面のレプリカの設置を行うと、レプリカから肌表面の起伏値を取得した後、該起伏値から肌表面の粗さパラメータ及びフラクタル次元を算出し、これらの数値と入力された年齢を装置内に格納されている重回帰式に代入して、肌のなめらかさの目視評価値を得て、これを表示する装置(推定装置a)のハードウェアブロック図である。
図6に示すように、推定装置aは、年齢入力部1、起伏値取得部2、CPU(Central Processing Unit)3、ROM(Read Only Memory)4、RAM(Random Acces Memory)5、磁気ディスク装置6、記録部7、操作部8、表示部9を有している。これらは、相互にバスを介して接続されている。年齢入力部1は、(A)被験者の年齢を入力する手段であり、キーボード、マイクなどの入力装置とすることができる。起伏値取得部2は、(B)被験者の肌表面の起伏値を取得する手段であり、3次元粗さ計などの肌の表面の起伏値を計測する装置とすることができる。CPU3は、(C)肌表面の粗さパラメータを算出する手段、及び(D)肌表面のフラクタル次元を算出する手段、(E)重回帰式に、被験者の、前記算出した肌表面の粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段であり、ROM4に記憶されているプログラムに従って、取得された起伏値から、粗さパラメータの算出及びフラクタル次元の算出や、ROM4に記憶されている重回帰式によって肌のなめらかさの目視評価値の算出を行う処理等を実行する。ROM4には、推定装置Aが機能する上で必要なプログラムや目視評価値の算出に必要な重回帰式などが記憶されている。RAM5は、CPU3に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの一部が一時的に格納される。磁気ディスク装置6は、RAM5の外部記憶として用いられ、記録部7を有している。操作部8は、所定のコマンドや重回帰式などの必要なデータを入力するときなどに操作される。表示部9は、(F)得られた目視評価値を出力する手段であり、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置やスピーカーなどの音声出力装置、プリンタなどの出力装置とすることができる。
また、本発明は、コンピュータ、その他の装置、機械等に前記処理の一部又は全部を実行させるプログラムも提供する。また、本発明は、このようなプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録したものも提供する。
以下に、本発明を実施例などを参照して詳細に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されることはない。
<重回帰式の作成>
10〜50代の248名の女性の頬部(以下、「サンプル」ともいう。)について、肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値との関係を解析した。
まず、洗顔20分後に、図1に示す部位を中心として、市販のデジタルカメラ(Nikon D100, レンズ:60mm Macroレンズ)を利用して20cmの距離で撮影して画像を得た。この画像から図1に示す部位の中心から1.5cm四方を300ピクセルの解像度で切り出して、サンプル画像とした。
次に同部位の2cm*2cmより(有)アサヒバイオメッドのシリコンABS−01−WWを用いて、頬部のレプリカを採取した後、株式会社サイエンスシステムズ社の高精度3次元画像処理装置LIP−50を用い、レプリカの中央部の1cm*1cmの領域について、y方向(垂直方向)(図1参照)に10μm間隔で1000本のレーザースキャンを行って起伏値を得た。次に、LIP−50のx方向とy方向のサンプリング周期は、それぞれ9.4μm、10μmと異なることから、Sinc関数を用いてx方向とy方向の間隔が何れも10μmとなるように補完処理をした。
この起伏値から得た断面曲線をフィルター処理し(図7参照)、JIS B0601:2001に基づいて粗さパラメータのRmr、RSm、Ra、Rp、Rv、Rz、Rc、Rt、Rq、Rsk、Rkuを算出した。それぞれの粗さパラメータは、水平方向及び垂直方向の断面曲線それぞれから得た。
また、前記ボックスカウンティング法をコンピュータに実行させるプログラムを用いて、フラクタル次元を算出した。すなわち、前記ボックスカウンティング法において、X=1000、Y=1000、hを2、4、8、16・・・2nと変化させ、各hに対してN(h)を算出した。
この算出結果から、loghに対してlogN(h)をプロットし、各サンプルについてフラクタル次元を求めた。
上記で撮影しておいたサンプル画像について、5人の評価者に目視評価を行ってもらった。画像は、色味要素を除くためアドビシステムズ(株)のAdobePhotoshop(登録商標)でグレイスケール化した(図8参照)。続いて、このサンプル画像を乱数で各年代が均等に含まれるように5群に分け(50名×4群+48名×1群)、各群、5人の評価者によって肌がなめらかである順に順位付けを行ってもらい、それぞれの群において、最もなめらか〜最もなめらかでないで、1〜50点となるように点数を均等分配した。各サンプル画像の合計スコアから平均値を得て、肌のなめらかさの目視評価値とした。
続いて、上記で算出した粗さパラメータと年齢の関連性について解析した。その結果、Ra及び垂直方向の断面曲線から得られたRmrが、年齢と共に単調に増加するのに対し、RSmと水平方向の断面曲線から得られたRmrは、30才代で最大ピークを示すことが明らかとなった。これより、代表的な加齢プロセスにおいては、肌表面に毛穴レベルの凹凸の形成・拡大に加え、凹凸構造のふちの後退とたるみに基づく、方向性を持った凹凸構造の出現、すなわちトタン板状化が起こることが確認された(図9参照)。さらに、これらの粗さパラメータのうち、Rmr、特に水平方向のRmrは、フラクタル次元との関連性が低いことも判った。
次に、前記で得た肌のなめらかさの目視評価値(z)を目的変数として、上記で得たそれぞれの肌表面の粗さパラメータ(a)、フラクタル次元(b)、年齢(c)を説明変数として、重回帰分析を行って重回帰式(予測式)を得た。
その結果、粗さパラメータとして、Ra、RSm又はRmrを用いると、肌のなめらかさの目視評価値と高い相関が得られることが判明した。中でも、水平方向及び垂直方向の断面曲線から得られたRa又は水平方向の断面曲線から得られたRmrを用いると、肌のなめらかさの目視評価値と高い相関が得られることが判明した。
水平方向の断面曲線から得られたRmr、フラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式は、
z(肌のなめらかさの目視評価値)=3.77*a(Rmr)+117.3*b(フラクタル次元)−0.379*c(年齢)−235.62 ・・・(7)
であり、重相関係数は0.706、P<0.01であった。
また、水平方向のRa、フラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係をを示す重回帰式は、
z(肌のなめらかさの目視評価値)=−0.694*a(Ra)+83.7*b(フラクタル次元)−0.388*c(年齢)−155.63 ・・・(8)
であり、重相関係数は0.710、P<0.01であった。
式(7)及び式(8)に示すように、フラクタル次元及び表面粗さパラメータと肌のなめらかさの目視評価値とは、高い相関関係を有することが分かる。
なお、垂直方向のRaを用いた場合も、水平方向のRaを用いた場合と同様に、高い重相関係数が得られた。
また、比較のために、目視評価値(z)を目的変数として、上記で得たそれぞれの肌表面のフラクタル次元(b)を説明変数として、回帰分析を行って回帰式(予測式)を得た。フラクタル次元と肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す回帰式は、
z(肌のなめらかさの目視評価値)=−162.81b(フラクタル次元)+396.96・・・(9)
であり、相関係数は0.603、P<0.001であった。
式(7)及び式(9)を用いて得られた上記248個の各サンプルの肌のなめらかさの目視評価値(Measured)と、上記評価者の評価により得られた目視評価値の関係(散布図)を、それぞれ図10及び図11に示す。これらの図より、フラクタル次元のみを用いても、肌のなめらかさの目視評価値を推定できるが、フラクタル次元とは相関性が極めて低い粗さパラメータと年齢をさらに用いると、高精度に肌のなめらかさの目視評価値を推定できることが判る。
<実施例1>
レプリカを用いた肌のなめらかさの目視評価値の推定
前記248名に含まれない18〜53才の5名の女性被験者を対象に、前記の方法にて、頬部のレプリカを採取し、粗さパラメータ及びフラクタル次元を算出した後、前記式(7)及び式(8)に、これらの算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに女性被験者の年齢を代入して、肌のなめらかさの目視評価値を推定した。
また、前記の方法と同様に、頬部の画像を用いて肌のなめらかさの目視評価値を得て、この目視評価値を、上記の式(7)及び式(8)を用いて推定した目視評価値と比較した(表1)。表1より、式(7)及び式(8)を用いて推定した目視評価値と、頬部の画像の目視評価により得られた目視評価値は、極めて近い値であることが分かる。これより、本発明の推定方法によれば、極めて簡便、高精度に肌のなめらかさの目視評価値の推定が行えることが判る。
Figure 2008001558
<実施例2>
皮膚外用剤の評価
30〜50才の10名の女性被験者に、現在使用中のクリームに代えて、下記表2に示すコラーゲン線維束再構築剤入りの皮膚外用剤を用いて、1ヶ月間の実使用テストを行った。実使用テストの前後に、肌の頬部よりレプリカを採取し、前記方法に従って、水平方向の断面曲線から得られるRmr及びフラクタル次元を算出した後、これらの数値と、女性被験者の年齢を上記で得た式(7)に代入して、第三者の目に映る肌のなめらかさの目視評価値の推定値を求めた。実使用テスト前の三者の目に映る肌のなめらかさの推定値は、31.7±9.0であったが、実使用テスト後は、27.9±8.7と減少した(対応あるt−検定で有意な差あり、P<0.001)。これより、当該皮膚外用剤は、肌のなめらかさを向上させる作用を有すると評価することができた。
Figure 2008001558
産業上の利用の可能性
本発明によれば、第三者の目視による肌のなめらかさを、誰でも簡便且つ的確に推定することができる。本発明の方法を用いて肌のなめらかさを評価することにより、肌のカウンセリングや化粧料の適切な選択において、被験者に簡便に有用な情報を与えることができる。

Claims (8)

  1. 被験者の肌表面の起伏値を取得する工程と、
    該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する工程と、
    該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する工程と、
    予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る工程
    とを含む、肌のなめらかさの目視評価値の推定方法。
  2. 前記粗さパラメータが、Rmr、RSm及びRaの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記フラクタル次元が、ボックスカウンティング法により算出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ボックスカウンティング法におけるボックスサイズの決定が、ボックス内の前記起伏値の標準偏差に基づいて行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記起伏値は、肌のレプリカから算出されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の肌のなめらかさの目視評価値の推定方法により、皮膚外用剤の使用前後の肌のなめらかさの目視評価値を推定し、これらの目視評価値を比較した結果を指標として皮膚外用剤を評価することを特徴とする、皮膚外用剤の評価方法。
  7. 被験者の年齢を入力する手段と、
    被験者の肌表面の起伏値を取得する手段と、
    該起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する手段と、
    該起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する手段と、
    予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段と、
    得られた目視評価値を表示する手段
    とを含む、肌のなめらかさの目視評価値の推定装置。
  8. コンピュータを、
    被験者の肌表面の起伏値から肌表面の粗さパラメータを算出する手段と、
    被験者の肌表面の起伏値から肌表面のフラクタル次元を算出する手段と、
    予め用意した肌表面の粗さパラメータ、肌表面のフラクタル次元及び年齢と、肌のなめらかさの目視評価値の関係を示す重回帰式に、被験者の、前記算出した粗さパラメータ及びフラクタル次元、並びに年齢を代入し、肌のなめらかさの目視評価値を得る手段
    として機能させるための肌のなめらかさの目視評価値の推定プログラム。
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