以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る損傷評価装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す損傷評価装置100は、X線CT(computerized tomography:コンピュータ断層撮影)装置で構成されており、例えば、X線発生器102、X線検出器104、高電圧源106、X線コントローラ108、ステージ110、ステージコントローラ112、コンピュータ本体114、入力装置116、および出力装置118を有する。入力装置116は、例えば、キーボードやマウス、操作盤などであり、ユーザによって操作される。また、出力装置118は、例えば、ディスプレイやプリンタなどである。
X線発生器102は、X線を発生し、発生したX線を試料Sに照射する。X線発生器102は、例えば、X線管で構成されている。
X線検出器104は、試料Sを透過したX線を検出する。X線検出器104は、例えば、CCDカメラで構成されている。図示しないが、X線は、X線発生器102の焦点を中心に円錐状に広がるため(コーンビーム)、試料Sを透過したX線は、X線検出器104の検出面に拡大投影される。この投影画像のデータは、試料Sに対するCTスキャンデータとしてコンピュータ本体114に送られる。
高電圧源106は、X線発生器102に高電圧を供給する。高電圧源106は、例えば、高出力の電圧増幅器で構成されている。
X線コントローラ108は、高電圧源106に接続され、高電圧源106の出力電圧を制御することによって、X線発生器102で発生するX線の強度を調整する。
ステージ110は、試料Sを固定する。すなわち、試料Sは、ステージ110に載置される。ステージ110は、例えば、回転テーブル110aと、回転テーブル110aを支持する台座110bとで構成されている。CT画像は、試料S全周の投影データを必要とするため、本装置100では、回転テーブル110aにより試料Sを360度または180度回転させ、微小角度(例えば、1度)毎の投影データをX線検出器104で検出してCTスキャンデータとしてコンピュータ本体114に収録するようにしている。
ステージコントローラ112は、回転テーブル110aの駆動を制御する。具体的には、試料Sの損傷を測定する際に、上記のように、回転テーブル110aを、例えば、1度ずつ360度回転させる。
X線検出器104、X線コントローラ108、およびステージコントローラ112は、コンピュータ本体114に接続されている。
図2は、コンピュータ本体114の構成を示すブロック図である。
コンピュータ本体114は、入力部120、画像再構成部122、画像処理部124、空隙解析部126、損傷判定部128、記憶部130、出力データ作成部132、出力部134、制御部136、およびバス138を有する。記憶部130は、図示しないが、例えば、プログラムやデータを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMとを有する。ROMは、電気的に内容の書き直しが可能なフラッシュメモリであってもよい。制御部136は、バス138を介して各部120〜134と接続され、各部120〜134を統括的に制御する。
入力部120は、X線検出器104および入力装置116をコンピュータ本体114と接続するインタフェースとしての機能を有し、X線検出器104から出力されるCTスキャンデータ(つまり、試料Sを透過したX線の投影画像)および入力装置116から出力される操作データ(つまり、ユーザによる操作信号)を入力処理してコンピュータが処理可能なデータ形式に変換する。
画像再構成部122は、X線検出器104からのCTスキャンデータを用いて画像再構成処理を行い、試料Sの内部状態を再構成したものであって画像処理部124での三次元画像の作成に必要な試料の多数枚のスライス画像データを作成する。
画像処理部124は、画像再構成部122で得られたスライス画像データを用いて、例えば、ボリュームレンダリング手法により、試料の三次元画像データ(三次元CT画像)を作成する。試料の三次元画像は、様々な方向でスライスして、試料の内部状態を確認し、また、その内部状態の断面画像データを作成することができる。スライス方向(切断面)は、ユーザにより、自由に設定可能である。
空隙解析部126は、画像再構成部122で作成された多数枚のスライス画像データを用いて、所定の計算アルゴリズムにより、試料Sの内部状態の定量的なデータ、具体的には、例えば、空隙の大きさおよび位置、ならびに空隙間の亀裂の大きさおよび方向を算出する。また、算出した情報(空隙の大きさおよび位置、ならびに空隙間の亀裂の大きさおよび方向)から、例えば、すべての空隙について、ある1個の空隙(当該空隙)が隣接する他の空隙と何個つながっているか、また、当該空隙と他の空隙の間の亀裂と当該空隙との幅の比率などを算出する。これにより、定量的に空隙率や空隙の分布状態、空隙の連なり状態などを把握することができる。
ここで、一例として、例えば、後述する図5および図6を用いて、空隙解析部126の解析結果の具体例を説明しておく。ここでは、「空隙」を「ポア(pore)」といい、「スロート(throat)」とは、ポアとポアをつなぐ部分(亀裂)の細くなった箇所であり、これの一番細い部分に平面をとり、「スロート」と定義する。
図5(A)のグラフは、横軸が節となるポア(nodal pore)の体積(以下「ポア体積(pore volume)」という)(mm3)であり、縦軸が割合(probability)であり、ポアの体積別の分布(つまり、すべてのポアのうち、その体積のポアはどれくらいの割合であるか)を示している。
図5(B)のグラフは、横軸が節となるポアの有効半径(以下「有効ポア半径(effective pore radius)」という)(μm)であり、縦軸が割合であり、いろいろな形のポアを同じ体積の球形にした場合の半径を有効半径(effective radius)として、その有効半径の分布を示している。
図5(C)のグラフは、横軸がポア体積(mm3)であり、縦軸が着目する(横軸に位置する)ポアと隣接するポアの体積の平均(以下「平均隣接ポア体積(average adjacent pore volume)」という)(mm3)であり、隣接するポア同士の大きさの関係を示している。
図5(D)のグラフは、横軸が有効ポア半径(μm)であり、縦軸が着目する(横軸に位置する)ポアと隣接するポアの個数(以下「隣接ポア数(adjacent pore coordination number)」という)である。このグラフにより、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを知ることができる。
図6(A)のグラフは、横軸がスロートの面積(以下「スロート面積(throat surface area)」という)(μm2)であり、縦軸が割合であり、スロートの面積別の分布(つまり、すべてのスロートのうち、その面積のスロートはどれくらいの割合であるか)を示している。
図6(B)のグラフは、横軸がスロートの有効半径(以下「有効スロート半径(effective throat radius)」という)(μm)であり、縦軸が割合であり、いろいろな形のスロートを同じ面積の円形にした場合の半径を有効半径(effective radius)として、その有効半径の分布を示している。
図6(C)のグラフは、横軸が有効スロート半径(μm)であり、縦軸が着目する(横軸に位置する)スロートの両側に位置する、つまり、当該スロートに隣接する2つのポアの有効半径の平均(以下「平均有効隣接ポア半径(average effective adjacent pore radius)」という)(μm)である。このグラフにより、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を知ることができる。
図6(D)のグラフは、横軸が有効スロート半径と平均有効隣接ポア半径との比(有効スロート半径/平均有効隣接ポア半径)であり、縦軸が割合である。このグラフにより、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを知ることができる。
このように、図5(A)〜図5(D)に示すグラフは、空隙(ポア)に関する情報であり、図6(A)〜図6(D)に示すグラフは、ポア間をつなぐ部分(亀裂)であるスロートに関する情報である。すなわち、図5(A)〜図5(D)は、それぞれ、ポアの体積の分布状況、ポアの有効半径の分布状況、隣接するポア間における隣接するポアの体積の平均値、および隣接するポア間における隣接するポアの個数(1個のポアが有効半径別に何個のポアとつながっているか)を示している。また、図6(A)および図6(B)は、それぞれ、スロートの断面積の分布状況およびスロートの有効半径の分布状況を示している。また、図6(C)は、有効スロート半径と平均有効隣接ポア半径との関係を示し、図6(D)は、有効スロート半径と平均有効隣接ポア半径との比から、ポアに対してスロートがどの程度太いものから細いものまでどのように分布しているかを示している。
損傷判定部128は、空隙解析部126の解析結果を用いて、所定の判定基準に従って、損傷状態、つまり、損傷の有無と程度を種類毎に判定する。
例えば、一例として、次のような判定基準(1)〜(3)を用いることができる。
(1)当該空隙が隣接する他の空隙とつながっている個数(図5(D)参照)が多いほど(例えば、8個以上)亀裂が多いと推定されるため、損傷が大きいと判定する。
(2)当該空隙と他の空隙の間の亀裂と当該空隙との幅の比率(図6(D)参照)が一定でなく、次第に小さくなる場合は、亀裂に種々の幅が存在することになるため、損傷が大きいと判定する。
(3)例えば、舗装の場合、三次元空隙分布の側面からの情報を見ると、亀裂は鉛直方向に発生するため、上面と下面に亀裂および空隙がつながっている場合は、上面から下面まで亀裂が貫通していることになり、損傷が大きいと判定する。
出力データ作成部132は、コンピュータの計算結果(例えば、画像再構成部122、画像処理部124、空隙解析部126、および損傷判定部128の処理結果)の数値ファイルおよびグラフィックスデータを作成する。
出力部134は、外部のX線コントローラ108、ステージコントローラ112、および出力装置118をコンピュータ本体114と接続するインタフェースとしての機能を有し、制御部136で作成されたX線コントローラ108およびステージコントローラ112に対する制御指令を出力するとともに、出力データ作成部132で作成された数値ファイルおよびグラフィックスデータを出力装置(ディスプレイやプリンタなど)118に出力する。出力装置118に出力された数値ファイルおよびグラフィックスデータは、画面上に表示され、または、紙に印刷される。
本実施の形態では、上記のように、X線CT装置を利用し、試料を透過したX線の投影画像を用いて画像の再構成を行って試料の内部状態の三次元画像を構築するため、高い分解能(例えば、30μm程度)を有し、内部の状態、例えば、空隙の状態(例えば、空隙率や空隙の分布状態、空隙の連なり状態などの定量的なデータ)を正確に把握することができる。そして、このように、試料内部の三次元画像データを利用して定量的に内部の状態を把握するため、評価基準を適切に設定することにより、内部の損傷状態を正確に評価することができる。
具体的には、例えば、物体内の空隙は独立したり連続したりしているため、一般に、その測定は困難である。そこで、本実施の形態では、まず、X線を用いて物体内部の二次元画像を読み取り、これを重ね合わせて三次元画像を構築した後、得られた三次元画像を利用して空隙の解析を行う。例えば、得られた三次元画像を用いて空隙間の亀裂の連続性を解読し、ある空隙が4、5個以上の他の空隙とつながっている場合、特に、8、9個の他の空隙とつながっている場合には、亀裂が存在すると考えるのが妥当である。なぜなら、新設のアスファルト混合物等では、このようなつながりが見当たらないからである。また、亀裂の大きさと空隙の大きさの比率が一定であれば、亀裂と空隙の割合がいつも一定であることから、アスファルト混合物等は健全であるが、この比率が変化する場合は、空隙がつながって、亀裂が存在することになる。例えば、実際の測定によれば、アスファルト舗装の場合、通行車両台数が600台/1日で夏季の場合でも、内部に亀裂が発生する。したがって、亀裂存在のしきい値が存在する。
次いで、上記構成を有する損傷評価装置100の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示すフローチャートは、あらかじめ記憶部130(例えば、ROM)に制御プログラムとして記憶されており、制御部136によって実行される。
まず、ステップS1000では、試料の準備と固定を行う。具体的には、ユーザは、損傷の評価対象であるアスファルト混合物等から、切り出しなどにより、試料Sを準備する。例えば、試料Sとして、アスファルト混合物の場合は、厚さが2〜5cmで長さが20cm未満のものを、セメントコンクリート混合物の場合は、厚さが2〜3cmで長さが20cm未満のものをそれぞれ準備する。そして、準備した試料Sを、損傷評価装置(X線CT装置)100のステージ110に載置し固定する。
そして、ステップS1100では、試料Sに照射するX線の強度を決定する。具体的には、ステージ110上の試料SにX線を照射し、照射したX線が試料Sを透過するか否かを見ながら、X線が試料Sを透過するようにX線の強度を決定する。
そして、ステップS1200では、ステージ110(特に回転テーブル110a)を回転させて試料SのCTスキャンデータを取得する。具体的には、ステップS1100で決定したX線強度において、例えば、ステージ110を1度毎に360度回転させながらX線の照射を行い、1度毎の投影データをX線検出器104で検出してCTスキャンデータとしてコンピュータ本体114に収録する。
そして、ステップS1300では、画像再構成部122で、試料S内部の多数枚の再構成スライス画像データを作成する。具体的には、ステップS1200で収集したCTスキャンデータ(二次元画像データ)を用いて画像の再構成を行い、試料Sの内部状態の再構成スライス画像データを作成する。
そして、ステップS1400では、画像処理部124で、試料の三次元画像データを作成する。具体的には、ステップS1300で作成したスライス画像データを用いて、例えば、ボリュームレンダリング手法により、試料の三次元画像データ(三次元CT画像)を作成する。例えば、三次元CT画像の一例は、後述する図7(A)、図8(A)、図9(A)、図12(A)、図13(A)、図14(A)、図17(A)、図18(A)、図19(A)、図22(A)、図23(A)、図24(A)、図27(A)、図28(A)、および図29(A)参照。
そして、ステップS1500では、空隙解析部126で、空隙の解析を行う。具体的には、ステップS1300で作成した試料S内部の多数枚の再構成スライス画像データ用いて、試料Sの内部状態の定量的なデータ、例えば、空隙の大きさおよび位置、ならびに空隙間の亀裂の大きさおよび方向を算出する。また、この情報(空隙の大きさおよび位置、ならびに空隙間の亀裂の大きさおよび方向)から、例えば、すべての空隙について、ある1個の空隙(当該空隙)が隣接する他の空隙と何個つながっているか、また、当該空隙と他の空隙の間の亀裂と当該空隙との幅の比率などを算出する。例えば、空隙解析の結果の一例は、後述する図5(A)〜(D)、図6(A)〜(D)、図7(B)、図8(B)、図9(B)、図10(A)〜(D)、図11(A)〜(D)、図12(B)、図13(B)、図14(B)、図15(A)〜(D)、図16(A)〜(D)、図17(B)、図18(B)、図19(B)、図20(A)〜(D)、図21(A)〜(D)、図22(B)、図23(B)、図24(B)、図25(A)〜(D)、図26(A)〜(D)、図27(B)、図28(B)、および図29(B)参照。
そして、ステップS1600では、損傷判定部128で、損傷の判定を行う。具体的には、ステップS1500で得た空隙解析結果を用いて、所定の判定基準、例えば、上記の判定基準(1)〜(3)に従って、損傷状態、つまり、損傷の有無と程度を種類毎に判定する。
そして、ステップS1700では、コンピュータの計算結果(例えば、画像再構成部122、画像処理部124、空隙解析部126、および損傷判定部128の処理結果)を外部の出力装置118に出力する。具体的には、例えば、ステップS1300(画像再構成部122)の処理結果、ステップS1400(画像処理部124)の処理結果、ステップS1500(空隙解析部126)の処理結果、およびステップS1600(損傷判定部128)の処理結果である数値ファイルおよびグラフィックスデータを、ユーザの指示(選択)により出力装置(ディスプレイやプリンタなど)118に出力する。この結果、出力装置118に出力された数値ファイルおよびグラフィックスデータは、画面上に表示され、または、紙に印刷される。
このとき、好ましくは、検出された空洞(ポア)および/または亀裂(スロート)を出力(表示、印刷)する際に、その大きさに応じた所定の色を付与する。この結果、ユーザは、視覚的に、空洞および/または亀裂の大きさ、位置、ならびに分布状態をきわめて容易に確認することができる。例えば、空隙解析の結果の表示の一例は、後述する図7(B)、図8(B)、図9(B)、図12(B)、図13(B)、図14(B)、図17(B)、図18(B)、図19(B)、図22(B)、図23(B)、図24(B)、図27(B)、図28(B)、および図29(B)参照。
要するに、処理の手順としては、例えば、舗装を例にとって説明すると、概略、次のようになる。
1)舗装の各層における試料Sを準備する。
2)試料Sを損傷評価装置(X線CT装置)100に載置して三次元CT画像を取得する。
3)得られた三次元CT画像を用いて、所定の計算アルゴリズムにより、試料Sの内部状態の定量的なデータを算出する。
4)得られた定量的なデータを用いて、所定の評価基準(しきい値)により、舗装の損傷状態を判定する。
ここで、本損傷評価装置100をアスファルト舗装に適用した場合の具体例を説明する。
図4は、アスファルト舗装の舗装構成を示す図である。図4に示すように、アスファルト層140は、一般に、表層142、基層144、および安定処理層146からなる三層構造を有する。
図5〜図9は、新設の排水性混合物の表層142の上部の試料の空隙解析結果を示す図である。より詳細には、図5(A)は、ポアの体積別の分布を示すグラフであり、図5(B)は、ポアの有効半径の分布を示すグラフであり、図5(C)は、隣接するポア同士の大きさの関係を示すグラフであり、図5(D)は、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを示すグラフである。また、図6(A)は、スロートの面積別の分布を示すグラフであり、図6(B)は、スロートの有効半径の分布を示すグラフであり、図6(C)は、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を示すグラフであり、図6(D)は、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを示すグラフである。また、図7(A)は、三次元CT画像の平面図であり、図7(B)は、図7(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図8(A)は、三次元CT画像の側面図であり、図8(B)は、図8(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図9(A)は、三次元CT画像の正面図であり、図9(B)は、図9(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
これに対し、図10〜図14は、新設の排水性混合物の表層142の下部の試料の空隙解析結果を示す図である。より詳細には、図10(A)は、ポアの体積別の分布を示すグラフであり、図10(B)は、ポアの有効半径の分布を示すグラフであり、図10(C)は、隣接するポア同士の大きさの関係を示すグラフであり、図10(D)は、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを示すグラフである。また、図11(A)は、スロートの面積別の分布を示すグラフであり、図11(B)は、スロートの有効半径の分布を示すグラフであり、図11(C)は、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を示すグラフであり、図11(D)は、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを示すグラフである。また、図12(A)は、三次元CT画像の平面図であり、図12(B)は、図12(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図13(A)は、三次元CT画像の側面図であり、図13(B)は、図13(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図14(A)は、三次元CT画像の正面図であり、図14(B)は、図14(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
また、図15〜図19は、既設(施工後5年経過)の密粒度タイプの混合物の表層142の試料の空隙解析結果を示す図である。より詳細には、図15(A)は、ポアの体積別の分布を示すグラフであり、図15(B)は、ポアの有効半径の分布を示すグラフであり、図15(C)は、隣接するポア同士の大きさの関係を示すグラフであり、図15(D)は、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを示すグラフである。また、図16(A)は、スロートの面積別の分布を示すグラフであり、図16(B)は、スロートの有効半径の分布を示すグラフであり、図16(C)は、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を示すグラフであり、図16(D)は、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを示すグラフである。また、図17(A)は、三次元CT画像の平面図であり、図17(B)は、図17(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図18(A)は、三次元CT画像の正面図であり、図18(B)は、図18(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図19(A)は、三次元CT画像の側面図であり、図19(B)は、図19(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
これに対し、図20〜図24は、既設(施工後10年経過)の粗粒度タイプの混合物の基層144の試料の空隙解析結果を示す図である。より詳細には、図20(A)は、ポアの体積別の分布を示すグラフであり、図20(B)は、ポアの有効半径の分布を示すグラフであり、図20(C)は、隣接するポア同士の大きさの関係を示すグラフであり、図20(D)は、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを示すグラフである。また、図21(A)は、スロートの面積別の分布を示すグラフであり、図21(B)は、スロートの有効半径の分布を示すグラフであり、図21(C)は、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を示すグラフであり、図21(D)は、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを示すグラフである。また、図22(A)は、三次元CT画像の平面図であり、図22(B)は、図22(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図23(A)は、三次元CT画像の正面図であり、図23(B)は、図23(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図24(A)は、三次元CT画像の側面図であり、図24(B)は、図24(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
また、図25〜図29は、新設の基層144の粗粒度タイプの混合物の下部の試料の空隙解析結果を示す図である。より詳細には、図25(A)は、ポアの体積別の分布を示すグラフであり、図25(B)は、ポアの有効半径の分布を示すグラフであり、図25(C)は、隣接するポア同士の大きさの関係を示すグラフであり、図25(D)は、ポアが有効半径別にどれくらいの数のポアとつながっているかを示すグラフである。また、図26(A)は、スロートの面積別の分布を示すグラフであり、図26(B)は、スロートの有効半径の分布を示すグラフであり、図26(C)は、スロートとこれに隣接するポアの大きさの関係を示すグラフであり、図26(D)は、ポアに対してスロートがどの程度細くなっているかを示すグラフである。また、図27(A)は、三次元CT画像の平面図であり、図27(B)は、図27(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図28(A)は、三次元CT画像の側面図であり、図28(B)は、図28(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。また、図29(A)は、三次元CT画像の正面図であり、図29(B)は、図29(A)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
これらの図面からは、例えば、以下の所見を得ることができる。
まず、図5(A)、図10(A)、図15(A)、図20(A)、および図25(A)からは、ポア(空隙)の体積の大きさの分布が分かるため、この混合物の特性を知ることができる。例えば、図5(A)と図10(A)を比較すると、両者とも新設の排水性混合物でかつ同一箇所の表層の上部と下部にそれぞれ相当している。図5(A)では小さいポアが多いが、図10(A)では大きいポアが多い。これにより、この表層では、下部の転圧が十分でなく、ポアが下部に多いことが分かる。これは、混合物が均質に作られていないことを示している。
これに対し、図6(A)と図11(A)を比較すると、ポア間のスロート(亀裂)の分布については、両者で断面積はほぼ同じであることが分かる。
また、図5(B)と図10(B)においてポアの半径で比較すると、図中に丸印で示す平均値が両者で異なり、上部では900μmであり、後者では1000μmである。また、前者よりも後者の方が、大きい空隙も多いことが分かる。
これに対し、図6(B)と図11(B)を比較すると、両者はほぼ同一であるため、両者で亀裂の分布はほぼ同じであると考えられる。
また、供用後5年経過の表層を示す図15(C)と供用後10年経過の基層を示す図20(C)においてあるポアと隣接するポアの体積とを比較すると、前者では、あるポアに対して隣接するポアが極端に大きいのに対し、後者では、ほぼ1対1の関係にあり、空隙の大きさが急には変化していないことを示している。
また、供用後5年経過の表層を示す図16(C)と供用後10年経過の基層を示す図21(C)を比較すると、前者では、スロートの半径が隣接するポアの半径とほぼ同じ大きさのものが並んでいる(形状が矩形)のに対し、後者では、スロートに隣接するポアの半径が一様でなく隣接するスロートの方が大きい(形状が矩形でも細長い矩形)。これは、後者では隣接する亀裂が互いに大きさが異なることを示している。
また、新設の基層を示す図25(D)と亀裂が存在すると考えられる供用後10年経過の既設の基層を示す図20(D)は、ポアの有効半径とこれに隣接するポアの数との関係を示すため、縦軸の目盛りの数が大きいものほど1つの空隙から多数の亀裂が進展していると言える。したがって、図25(D)よりも図20(D)の方が亀裂が多いと結論付けることができる。
また、亀裂が存在すると考えられる供用後10年経過の既設の基層を示す図21(D)では、図中のスロートの有効半径と隣接する2つのポアの有効半径との比の関係が大きくなると、曲線が次第に減少している。しかし、新設の基層を示す図26(D)では、この関係が一定であるため、亀裂は存在しないと考えられる。
なお、上記の具体例では、アスファルト舗装を例にとって説明したが、例えば、セメントコンクリート舗装やポリマーコンクリート、プラスチックスの場合にも、同一の損傷評価方法を用いることができる。
しかし、セメントコンクリート混合物では、中性化が生じ、中性化した部分で脱カルシウム化が生じて虫食い状態になり、空隙が多くなる。一般に、構造物のセメントコンクリートでは、亀裂は内部に生じ、亀裂の幅や長さ、方向は不明であるため、外部からは健全か否かがわからないのが現状である。この点、本方法によれば、亀裂が骨材の表面か骨材の内部かの判定が可能であり、この判定の結果として、前者の場合は、熱的な破壊(温度変化による亀裂)であり、後者の場合は、力学的な荷重による亀裂であると見ることができる。したがって、セメントコンクリート混合物では、亀裂の位置や形状により、どのような力によってセメントコンクリートに亀裂が発生したのかを明確にすることができる。
一方、アスファルト混合物では、車両の通過に伴って、空隙が圧密作用により次第に小さくなると同時に亀裂が次第に内部に発生し、太くなっていく。例えば、図24(B)に示す既設の施工後10年経過の基層では、内部に、斜め方向に太い亀裂が数多く走っている。これに対し、新設の基層では、このような亀裂は全く存在しない(例えば、図28(B)参照)。目視では、両者の試料は全く区別不可能である。
以下、具体的な判定基準について、実際の測定例を用いて説明する。なお、ここでいう具体的な判定基準とは、損傷判定部128で用いられる、内部の損傷状態(損傷の有無と程度)を判定するための評価基準(しきい値)を意味し、上記の判定基準(1)〜(3)をより一層定量化(数値化)したものである。
まず、アスファルト混合物に対する判定基準について説明する。
表1は、アスファルト混合物に対する損傷判定用のしきい値の一例を示す表である。ここでは、8つの評価基準のパラメータA、B、C、D、a、b、c、dに対して、アスファルト混合物の種類ごとに、あらかじめしきい値をそれぞれ設定している。
ここで、評価基準のパラメータA、B、C、D、a、b、c、dは、次のように定義される。なお、定義中の各用語は、すでに説明した通りである。
A:ポア体積の最大値(または平均値)(単位はmm3)
B:有効ポア半径の最大値(または平均値)(単位はμm)
C:平均隣接ポア体積の最小値と最大値との差(単位はmm3)
D:隣接ポア数の最大値
a:スロート面積の最大値(または平均値)(単位はμm2)
b:有効スロート半径の最大値(または平均値)(単位はμm)
c:平均有効隣接ポア半径の最大値と最小値との差(単位はμm)
d:有効スロート半径/平均有効隣接ポア半径の最大値
なお、表1では、パラメータA、B、a、bとして、最大値の場合を示している。
また、アスファルト混合物の種類に関する表中の略称の意味は、それぞれ次の通りである。
「密粒」:連続粒度タイプ(密粒度タイプ)のアスファルト混合物を意味する。この混合物は、通常、第1層目の表層に使用される(表層用混合物)。密に骨材が詰まっているということで、このような名称となっている。この混合物は、最大骨材粒径が13〜20mm程度と小さいため、表面の肌理が細かいという特徴を持っている。
「基層」:アスファルト舗装の第2層目に用いるアスファルト混合物を意味する。この混合物は、通常、骨材最大粒径が20mmと若干表面の肌理が粗いものを使用する。アスファルト量も、下の層の混合物ほど少なくなっている。なお、次のグースアスファルトを基層(第2層目)に用いることもある。
「粗粒」:粗粒度タイプのアスファルト混合物を意味する。この混合物は、密粒度タイプと同じく表層用の混合物であるが、密粒度タイプの混合物よりも表面の肌理を粗くした混合物である。最大骨材粒径は、密粒度タイプとほぼ同じ13〜20mmである。しかし、この混合物は、アスファルト量が密粒度タイプよりも若干少なく、表面をすべりにくくした混合物である。
「グース」:グースアスファルトを意味する。グースアスファルトは、ローラ転圧が不要で、流し込みだけで仕上げる混合物である。グースアスファルトは、鋼床版で出来た橋では基層に用いるが、一般の道路では表層に用いる。
「排水性」:排水性のアスファルト混合物を意味する。この混合物は、粗粒度タイプの混合物と最大粒径は同じであるが、2〜5mmの粒径の骨材を抜いて不連続の粒度とすることによって、表面の粗さと水の浸透を良くした混合物である。この混合物は、水跳ねがなく、すべりにくいため、日本の高速道路の表層は、すべてこのタイプとなっている。
「処理層」:アスファルト処理層、つまり、アスファルト舗装の第3層目に用いるアスファルト混合物を意味する。この混合物の最大骨材粒径は、40mmである。
なお、評価基準のパラメータA、B、C、D、a、b、c、dの値は、空隙解析部126の解析結果として得られる。
表1中の数字は、しきい値である。測定されたパラメータの値がしきい値未満の場合は、当該混合物に損傷はない、つまり、当該混合物は健全であると判定される。逆に、測定されたパラメータの値がしきい値以上の場合は、当該混合物には損傷があると判定される。例えば、密粒度タイプまたは基層用の混合物の場合を例にとって説明すると、表1によれば、パラメータAの値が50未満、パラメータBの値が2000未満、パラメータCの値が30未満、パラメータDの値が4未満、パラメータaの値が6×106未満、パラメータbの値が1000未満、パラメータcの値が1000未満、パラメータdの値が0.4未満の場合は、それぞれ混合物に損傷はないと判定される。逆に、パラメータAの値が50以上、パラメータBの値が2000以上、パラメータCの値が30以上、パラメータDの値が4以上、パラメータaの値が6×106以上、パラメータbの値が1000以上、パラメータcの値が1000以上、パラメータdの値が0.4以上の場合は、それぞれ混合物に損傷があると判定される。
ただし、以下の実際の測定例において示すように、損傷の有無は、パラメータDまたはdの値に主に依存している。したがって、パラメータDまたはdの値と表1中のしきい値とを比較することによって、損傷の有無をほぼ判定することができる。なお、パラメータDとd以外の判定基準は、損傷だけではなく、その材料の施工や配合などのばらつきの判定に有効である。
なお、しきい値(判定基準)は、ユーザーが任意に設定することができる。ここでは、例えば、新設および既設の各混合物の状況を見極め、損傷があるかどうかで、それぞれのしきい値を決定した。
表2〜表18は、アスファルト混合物に対する実際の測定例をそれぞれ示している。各表において、パラメータA、B、a、bに関して、上段の数字は、最大値を示し、下段の括弧内の数字は、平均値を示している。また、パラメータcに関して、上段は、最大値と最小値を示し(ここでは「最小値−最大値」と表記する)、下段の数字は、最大値と最小値の差を示している。また、各表において、四角で囲った混合物は、表1のしきい値を用いた判定により、損傷があると認められる混合物を示し、四角で囲った数字は、表1のしきい値との比較により、損傷があると判定される測定値を示している。
パラメータA、B、a、bについては、混合物の品質のばらつきは、平均値よりも最大値で見るほうが好ましい。なぜなら、実際の測定例を見ると、平均値のばらつきは小さいものの、最大値のばらつきは大きいこと、また、空隙や亀裂の最大値は損傷の場合の大きな決め手になること(大きな空隙や亀裂から損傷が進展すること)からである。しかし、損傷判定用のしきい値として平均値を用いることは可能である。
表2は、道央自動車道の岩見沢舗装工区における測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料(表層、基層、安定処理層の三層構造を有する)に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、表層(密粒度タイプの混合物)が施工後5年経過し、基層以下の層が施工後10年経過した地点に対して行った。
ここで、表2中の「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。アスファルト処理層は、一般に厚さが厚いため、ここでは、測定対象を2〜3cmの厚さに統一するべく、アスファルト処理層を上部と下部の2つに分けて測定を行った。
この試料は、表2に示すように、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表3は、道央自動車道の新設で未供用の剣淵舗装工区における測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料(表層、基層、安定処理層の三層構造を有する)に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、すべての層が新設である地点に対して行った。
ここで、表3中の「排水性(上)」および「排水性(下)」は、同一の排水性混合物の表層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「基層(1)」、「基層(2)」、および「基層(3)」は、同一の基層を3つに分けた各部を上から順にそれぞれ示している。また、「処理層(1)」、「処理層(2)」、「処理層(3)」、「処理層(4)」、および「処理層(5)」は、同一の処理層を5つに分けた各部を上から順にそれぞれ示している。
この試料は、表3に示すように、「排水性(上)」、「排水性(下)」、「基層(3)」、「処理層(1)」、および「処理層(2)」の各層について、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表4〜表8は、通常の高速道路よりも極めて厳密に施工および品質管理した京都縦貫自動車から採取した試料の場合である。ここでは、京都縦貫自動車の4つの工区(A−1工区、A−2工区、B工区、X工区)から試料をそれぞれ採取した。各工区において、表層は、すべて排水性舗装である。各工区の特徴は、次の通りである。
A−1工区:骨材としてサコダ産(骨材は通常の割り方のため、扁平な石も混じっている。このため、混合物になると、細かい空隙と大きな空隙が混在する。したがって、水が浸透しにくくかつ目詰まりしやすい石を使用した。京都産)を使用し、排水性舗装用アスファルトとして新日本石油株式会社製のエコファルトTA(商品名)を使用した区間。
A−2工区:九州の平本産(二度割りして立方体の形状に仕上げた骨材を使用。粒度が同一でも大きな空隙が多く、品質も良く、小さな空隙が極端に少ないため、目詰まりしにくい)の骨材と、排水性舗装用アスファルトとして上記エコファルトTA(商品名)とを使用した区間。
B工区:平本産の骨材と上記エコファルトTA(商品名)とを使用した区間。橋の上の舗装であり、鋼床版の橋では橋の動きが一般道路よりも大きいため、舗装の破損が早くなることが知られている。
X工区:骨材は平本産で、アスファルトは大林道路株式会社製のシーロフレックス(商品名)を使用した区間。
表4は、京都縦貫自動車道のA−1工区から採取した試料に対する測定例を示している。試料の採取は、すべての層が施工後8年経過した地点に対して行った。
ここで、表4中の「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、表4に示すように、「排水性」、「基層(上)」、および「基層(下)」の各層について、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表5は、京都縦貫自動車道のA−2工区から採取した試料に対する測定例を示している。試料の採取は、すべての層が施工後8年経過した地点に対して行った。
ここで、表5中の「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、表5に示すように、「処理層(下)」の層についてのみ、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表6は、京都縦貫自動車道のB工区から採取した試料に対する測定例を示している。試料の採取は、すべての層が施工後8年経過した地点に対して行った。
ここで、表6中の「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、表6に示すように、「排水性」、「基層(上)」、および「基層(下)」のすべての層について、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表7は、京都縦貫自動車道のX工区から採取した試料に対する測定例を示している。試料の採取は、すべての層が施工後8年経過した地点に対して行った。
ここで、表7中の「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、表7に示すように、「基層(上)」、「基層(下)」、「処理層(上)」、および「処理層(下)」の各層について、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表8は、京都縦貫自動車道のT工区(標準の仕様・施工に基づく区間)から採取した試料に対する測定例を示している。試料は、新設当時のものである(つまり、すべての層は新設である)。
ここで、表8中の「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、表8に示すように、すべての層について、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。しかも、すべての層において、パラメータA、B、a、bの測定値は表1に示すしきい値以上であるため、損傷の程度は、表4〜表7に示す場合に比べて大きいと判定される。
表4〜表8から、仕様・施工を標準よりも厳しくした4つの工区(A−1工区、A−2工区、B工区、X工区)は、8年経過しても損傷の程度は低いことがわかる。また、4つの工区(A−1工区、A−2工区、B工区、X工区)の間で損傷の程度を比較することにより、アスファルトの質や骨材の質を評価することができる。また、橋の舗装はやはり壊れやすいことがわかる。なお、このような違いを従来の舗装評価法で調べることは極めて困難である。
表9および表10は、道東自動車道の追分舗装工区における測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料(表層、基層、安定処理層の三層構造を有する)に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、すべての層が施工後5年経過した地点に対して行った。この工区において、表層は、排水性舗装であり、ニチレキ株式会社製のタフファルト(商品名)が使用されている。
ここで、表9は、OWP(Outer Wheel Pass)、つまり、車輪の外側の、タイヤが接地する部分の舗装から試料を採取した場合であり、表10は、BWP(Between Wheel Pass)、つまり、車線の中央部分で車輪が接地しない部分の舗装から試料を採取した場合である。表9および表10において、「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。
表9の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。また、表10の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表11および表12は、道東自動車道の千歳東舗装工区における測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料(表層、基層、安定処理層の三層構造を有する)に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、すべての層が施工後5年経過した地点に対して行った。この工区において、表層は、排水性舗装であり、アスファルトとして日進化成株式会社製のセナファルト(商品名)が使用されている。なお、この工区は、追分舗装工区と、使用した排水性舗装用アスファルトおよび骨材(砕石)が異なるものの、配合は同じであり、しかも、施工年度や交通量、気候も同じである、互いに隣接する区間である。
ここで、表11は、OWPの舗装から試料を採取した場合であり、表12は、BWPの舗装から試料を採取した場合である。表11および表12において、「基層(上)」および「基層(下)」は、同一の基層の上部と下部をそれぞれ示している。また、表11において、「処理層(上)」および「処理層(下)」は、同一のアスファルト処理層の上部と下部をそれぞれ示している。また、表12において、「処理層(1)」、「処理層(2)」、および「処理層(3)」は、同一のアスファルト処理層を3つに分けた各部を上から順にそれぞれ示している。
表11の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。また、表12の場合も、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表13および表14は、横浜ベイブリッジにおける測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、表層(密粒度タイプの混合物)が施工後7年経過し、基層(グースアスファルト)が施工後17年経過した地点(OWPの舗装)に対して行った。
ここで、表13は、第2走行部から試料を採取した場合であり、表14は、第3走行部から試料を採取した場合である。表13および表14において、「密粒(上)」および「密粒(下)」は、同一の表層の上部と下部をそれぞれ示している。特に、表13に示す表層は、鋼床版舗装であり、ニチレキ株式会社製のシノファルト(商品名)が使用されている。
表13の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。また、表14の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。なお、三次元CT画像からは、表13における基層(グースアスファルト)についてのみ、縦亀裂の前兆が見られ、縦亀裂が存在すると判定される。
表15、表16、および表17は、鶴見つばさ橋における測定例を示している。この測定例は、アスファルト層を垂直方向に切り出した試料に対して、本方法による三次元CT解析を行った結果である。試料の採取は、表層(粗粒タイプの混合物)も基層(グースアスファルト)も共に施工後13年経過した地点(OWPの舗装)に対して行った。
表15の場合、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。また、表16の場合も、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。また、表17の場合も、試料は、すべての層において、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。なお、三次元CT画像からは、表15における表層(粗粒タイプの混合物)および基層(グースアスファルト)、表16における基層(グースアスファルト)、ならびに表17における基層(グースアスファルト)についてのみ、縦亀裂が存在すると判定される。
表18は、リサイクル材を用いた室内作成試料に対する測定例を示している。ここで、「密粒+改質20%」とは、密粒タイプの混合物に、改質材を用いたリサイクル材を20%混入して作成した試料を意味する。「密粒+改質50%」とは、密粒タイプの混合物に、改質材を用いたリサイクル材を50%混入して作成した試料を意味する。「密粒+排水20%」とは、密粒タイプの混合物に、排水性混合物のリサイクル材を20%混入して作成した試料を意味する。「密粒+排水50%」とは、密粒タイプの混合物に、排水性混合物のリサイクル材を50%混入して作成した試料を意味する。
リサイクル材を混入した試料は、表13に示すように、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷ありと判定される。
このように、本方法によれば、リサイクル材を用いたアスファルト混合物の品質を判定することができる。
図30は、表9に示す各試料の三次元CT画像(平面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスを示す図である。図30(A)は、表13中の「密粒」の場合、つまり、標準として、リサイクル材の混入がない密粒タイプの混合物のみの試料の場合である。図30(B)は、表13中の「密粒+改質20%」の場合、つまり、密粒タイプの混合物に、改質材を用いたリサイクル材を20%混入した試料の場合である。図30(C)は、表13中の「密粒+改質50%」の場合、つまり、密粒タイプの混合物に、改質材を用いたリサイクル材を50%混入した試料の場合である。図30(D)は、表13中の「密粒+排水20%」の場合、つまり、密粒タイプの混合物に、排水性混合物のリサイクル材を20%混入した試料の場合である。図30(E)は、表13中の「密粒+排水50%」の場合、つまり、密粒タイプの混合物に、排水性混合物のリサイクル材を50%混入した試料の場合である。
図31は、図30(A)の試料を別の角度からも見たコンピュータグラフィックスを示す図である。具体的には、図31(A)は、図30(A)と同じであり、当該試料の三次元CT画像(平面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。図31(B)は、当該試料の三次元CT画像(側面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。図31(C)は、当該試料の三次元CT画像(図31(A)の矢印方向から見た側面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
図32は、図30(B)の試料を別の角度からも見たコンピュータグラフィックスを示す図である。具体的には、図32(A)は、図30(B)と同じであり、当該試料の三次元CT画像(平面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。図32(B)は、当該試料の三次元CT画像(側面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。図32(C)は、当該試料の三次元CT画像(図32(A)の矢印方向から見た側面図)に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスである。
標準としての密粒タイプの混合物では、図31に示すように、骨材の周りに赤(0.24mm)と緑(0.96mm)の亀裂が見られるが、リサイクル材(改質材)を20%混入した混合物では、図32に示すように、骨材の周りの亀裂は、赤(0.24mm)と黄色(0.48mm)の2種類である。これは、リサイクル材を使用すると、骨材の周りの古いアスファルトと新しいアスファルトとの付着が若干悪くなり、骨材の周りに細かい亀裂がすぐ発生することを示している。図32において、骨材は、円のように見える部分であり、この円が3枚の図面すべてに見られることは、骨材の周りのアスファルトが剥離していることを示している。このように、リサイクル材の混入により骨材の周りに細かい亀裂が新設時でも発生するため、リサイクル材の混入の有無を本方法により判定することができる。
次に、セメントコンクリート混合物に対する判定基準について説明する。
表19は、セメントコンクリート混合物に対する損傷判定用のしきい値の一例を示す表である。ここでは、8つの評価基準のパラメータA、B、C、D、a、b、c、dに対して、しきい値をそれぞれ設定している。評価基準のパラメータA、B、C、D、a、b、c、dの定義は、上記したアスファルト混合物に対する評価基準のパラメータと全く同じである。
この場合も、測定されたパラメータの値がしきい値未満の場合は、当該混合物に損傷はない、つまり、当該混合物は健全であると判定され、逆に、測定されたパラメータの値がしきい値以上の場合は、当該混合物には損傷があると判定される。例えば、表19によれば、パラメータAの値が30未満、パラメータBの値が2000未満、パラメータCの値が30未満、パラメータDの値が4未満、パラメータaの値が1×107未満、パラメータbの値が1000未満、パラメータcの値が1000、パラメータdの値が0.4未満の場合は、それぞれ混合物に損傷はないと判定される。逆に、パラメータAの値が30以上、パラメータBの値が2000以上、パラメータCの値が30以上、パラメータDの値が4以上、パラメータaの値が1×107以上、パラメータbの値が1000以上、パラメータcの値が1000以上、パラメータdの値が0.4以上の場合は、それぞれ混合物に損傷があると判定される。
ただし、この場合も、以下の実際の測定例において示すように、損傷の有無は、パラメータDまたはdの値に主に依存している。したがって、パラメータDまたはdの値と表1中のしきい値とを比較することによって、損傷の有無をほぼ判定することができる。
表20は、施工後1年経過したセメントコンクリートの滑走路から採取した試料に対する測定例を示している。試料は、厚さ25cmのセメントコンクリートを垂直方向に切り出して採取した。試料の番号(No.)10〜19は、深さ2.5cm毎の試料を、上(表面側)から順に示している。
この試料はすべて、表20に示すように、パラメータD、dの少なくとも一方の測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
なお、表20に示す試料はすべて、骨材反応が生じていた。ここで、「骨材反応」とは、セメントコンクリートが硬化するとき、内部の通常の骨材の表面で、セメントまたは添加材と骨材とが化学反応して、骨材の表面にゲルができ、このゲルが膨張して、セメントに亀裂が発生する現象をいう。
図33および図34は、表20に示す番号10の試料(表面に最も近い)の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスを示す図である。ここでは、コンピュータグラフィックスにより試料を回転させて空隙解析結果をいろいろ角度から表示するようにしている。図33(A)は、基準(平面図)の場合(角度0度)であり、図33(B)は、図33(A)の場合を基準として、15度回転した場合(角度15度)であり、図33(C)は、図33(A)の場合を基準として、30度回転した場合(角度30度)であり、図33(D)は、図33(A)の場合を基準として、45度回転した場合(角度45度)であり、図34(E)は、図33(A)の場合を基準として、60度回転した場合(角度60度)であり、図34(F)は、図33(A)の場合を基準として、75度回転した場合(角度75度)であり、図34(G)は、図33(A)の場合を基準として、90度回転した場合(角度90度)である。
上記のように、骨材の周りに空隙が存在し骨材が浮いている場合、骨材は、円のように見える。したがって、図33(A)〜図34(G)に示すように、試料を回転させることによって、セメントコンクリート混合物の内部の骨材周辺で骨材が浮いている現象を容易に観察することができる。具体的には、どの骨材が浮いているか、どの程度の幅の空隙があるかが明確に分かり、その場所や位置、形状も容易に確認することができる。
表21は、札幌市の国道36号線の豊平橋の30年前に施工したコンクリートから採取した試料に対する測定例を示している。試料は、厚さ20cm程度のセメントコンクリートを垂直方向に切り出して採取した。試料の番号(No.)20、21は、採取した同一の試料の上部と下部をそれぞれ示している。
この試料は、いずれも、表21に示すように、パラメータD、dのいずれも測定値も表1に示すしきい値未満であるため、損傷がない、つまり、健全であると判定される。なお、このコンクリートは、この上に別のコンクリートが20cm程度打設されているため、内部の中性化が進行していなかった。
表22は、神戸市の30年経過した実橋の中性化したコンクリートから採取した試料に対する測定例を示している。
この試料(番号30)は、表22に示すように、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
表23は、アル骨反応(アルカリシリカ反応)を起こした川砂利(試料)に対する測定例を示している。試料の番号(No.)40、41は、採取した川砂利の上部と下部をそれぞれ示している。ここで、「アル骨反応(アルカリ骨材反応)」とは、セメントコンクリート中の水酸化アルカリと、骨材中のアルカリ反応性鉱物とが反応して、反応性鉱物が膨張し、セメントコンクリートに樹木の枝のような形状の亀裂が発生する現象をいう。
番号41の試料は、表23に示すように、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
図35は、表23に示す試料(番号41)、つまり、アル骨反応を起こした川砂利の下部の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスを示す図である。
表24は、施工後30年経過した道路トンネルから採取した試料に対する測定例を示している。試料は、道路トンネルの上部に設けられた換気用の2つのダクト(2m×2m)のコンクリートを垂直方向に切り出して採取した。試料の番号(No.)50〜52は、排気ダクトのコンクリートから切り出した同一試料を3つに分けた各部を上から順にそれぞれ示している。試料の番号(No.)53〜55は、吸気ダクトのコンクリートから切り出した同一試料を3つに分けた各部を上から順にそれぞれ示している。
すべての試料は、表24に示すように、パラメータD、dの測定値が表1に示すしきい値以上であるため、損傷があると判定される。
なお、フェノールフタレン塗布による中性化試験によれば、排気ダクトと吸気ダクトとも、上部は中性化し(番号50、53の試料)、内部は健全で(番号51、54の試料)、下部はまた中性化していた(番号52、55の試料)。これは、フェノールフタレン塗布による試験だけでは、セメントコンクリートの健全度は把握できないことを意味している。
図36は、表24に示す各試料の三次元CT画像に対する空隙解析結果を示す三次元のコンピュータグラフィックスを示す図である。図36(A)は、表24中の番号50の試料(排気ダクト、上部、中性化)の場合である。図36(B)は、表24中の番号51の試料(排気ダクト、中部、健全部)の場合である。図36(C)は、表24中の番号52の試料(排気ダクト、下部、中性化)の場合である。図36(D)は、表24中の番号53の試料(吸気ダクト、上部、中性化)の場合である。図36(E)は、表24中の番号54の試料(吸気ダクト、中部、健全部)の場合である。図36(F)は、表24中の番号55の試料(吸気ダクト、下部、中性化)の場合である。ただし、上記のように、ここでいう健全部は、フェノールフタレン塗布による試験結果であり、本方法による試験結果とは一致していない。
このように、本方法は、従来の試験法では健全と判定される箇所についても正しく損傷ありと評価することができるため、セメントコンクリートの品質検査には最適な試験法であるということができる。
(実施の形態2)
実施の形態2は、診断対象のアスファルト混合物等から試料を採取することなく、アスファルト混合物等の損傷を評価する場合である。
図37は、本発明の実施の形態2に係る損傷評価装置の適用例を示す概略図である。なお、図37に示す損傷評価装置は、図1に示す損傷評価装置100と同様の基本的構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を一部省略する。
本実施の形態では、診断対象のアスファルト混合物等から試料を採取しないため、一組のX線発生器102aおよびX線検出器104aを診断対象のアスファルト混合物等またはその近傍に回転可能に配置されるように構成されている。図37の例では、診断対象のアスファルト混合物等は、例えば、コンクリート橋200である。コンクリート橋200は、橋脚202と床版204で構成され、橋脚202の下部は、地面206に埋め込まれている。
コンクリート橋200の診断に当たっては、診断対象である橋脚202または床版204を間に挟むように一組のX線発生器102aおよびX線検出器104aを配置し、X線が診断対象(橋脚202、床版204)を透過するようにX線の強度を決定した後、一組のX線発生器102aおよびX線検出器104aを、例えば、診断対象に対して1度毎に360度回転させながらX線の照射を行い、1度毎の投影データをX線検出器104aで検出してCTスキャンデータとしてコンピュータ本体114に収録する。その後の処理は、実施の形態1の場合と同様である。
このように、本実施の形態によれば、試料を採取することなく、アスファルト混合物等の損傷を非破壊で短時間にかつ正確に評価することができる。
本明細書は、2005年5月24日出願の特願2005−151581に基づく。この内容はすべてここに含めておく。