JPWO2006103774A1 - 垂直移動可能な飛行体 - Google Patents
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Abstract
飛行体は、機体(100a)と、リフトエンジン(102a1)と、姿勢制御エンジンと、を具える。リフトエンジンは、タービン駆動ガスを発生するガス発生装置(200a1)と、タービン駆動ガスによって動力を得ると共にガス(20a1)を所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置(204a1, 208a1, 210a1)と、前記動力により駆動されて周囲ガス(21a1)を取り入れ圧縮し第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ所定の方向に排出して推進力に加算される推進力とする第2推力装置(214a1, 218a1, 220a1)と、を具える。ガス発生装置は、飛行体に自蔵したガス発生用原料(10a, 11a)を用いてガスを発生させる。第1推力装置は、回転力を得るタービン(204a1, 208a1)を有し、第2推力装置は、タービンにより得た回転力によって駆動されるファン(214a1, 218a1)と、ファンの下流に設けたノズル(222a1)と、を有する。【選択図】図2A
Description
本発明は、自蔵したガスによって周囲ガスを加速し、その反動によって推力を得て、浮揚、飛行、姿勢制御等を行う飛行体に関する。
現在実用化されている垂直に離陸及び着陸が可能なヘリコプタ等の回転翼機を除いた固定翼機に関する公知技術は以下の通りである。ここで以下の文献を参照により組み込む。
1-1 US-3,447,764(AIRCRAFT WITH JET PROPULSION ENGINE)には、ハリア戦闘攻撃機(JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT 1993-94 pp.389-391“BAe HARRIER/BAe SEA HARRIER”)の様に、高バイパス比ターボファンエンジン(ペガサスエンジン:Jane's AERO-ENGINES ISSUE5のROLLS-ROYCE PEGASUS)から排出されるガス流の偏向による浮揚(リフト)方法が記載されている。また、Rolls-Royce plc編集“The JET ENGINE”(1986 fifth edition)、又は、その翻訳本である社団法人 日本航空技術協会発行の「ザ・ジェット・エンジン」のp.197のFig.18-18には、ペガサスエンジンから抽気した圧縮空気の噴射による姿勢制御(RCS:Reaction Control System)による方法が記載されている。
US-3,447,764
Jane's INFORMATION GROUP Inc,「JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT」,1993-94,pp.389-391
Jane's Information Group Limited,「Jane's AERO-ENGINES」ISSUE5,March 1999
Rolls-Royce plc,「The JET ENGINE」(1986 Fifth Edition), p.197, Fig.18-18
社団法人 日本航空技術協会、「ザ・ジェット・エンジン」、p.197、Fig.18-18
1-2 フリースタイル戦闘機(JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT 1993-94 pp.336-337のYAKOVLEV Yak-141)の様に、US-3,429,509-B (COOLING SCHEME FOR A THREE BEARING SWIVEL NOZZLE)の排気偏向ノズルを装備した低バイパス比ターボファンエンジン(Jane's AERO-ENGINES ISSUE6のR-79-300)とリフト専用のターボジェットエンジン(Jane's AERO-ENGINES ISSUE6のRD-60)双方によるリフト方法と、ターボファンエンジンから抽気した圧縮空気の噴射による姿勢制御方法が記載されている。
US-3,429,509-B
Jane's INFORMATION GROUP Inc,"JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT", 1993-94, pp.336-337
Jane's Information Group Limited,"Jane's AERO-ENGINES"ISSUE6, September 1999
1-3 US-5,209,428 (PLOPULSION SYSTEM FOR A VERTICAL AND SHORT TAKEOFF AND LANDING AIRCRAFT)及びUS-5,275,356 (PLOPULSION SYSTEM FOR A V/STOL AIRCRAFT)には、統合攻撃戦闘機(JSF:Joint Strike Fighter)のASTOVL(Advanced Short Takeoff and Vertical Landing)バージョン(JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT 1999-2000 pp.681-683のLOCKHEED MARTIN X-35 AND JOINT STRIKE FIGHTER参照)の様に、排気偏向ノズルを装備した低バイパス比ターボファンエンジン(Jane's AERO-ENGINES ISSUE5のPRATT&WHITNEY F119参照:量産型はF135)とそれによって駆動されるリフト専用ファンの双方によるリフト方法と、ターボファンエンジンから抽気した圧縮空気の噴射による姿勢制御方法が記載されている。
US-5,209,428
US-5,275,356
Jane's INFORMATION GROUP Inc,"JANE'S ALL THE WORLD'S AIRCRAFT",1999-2000,pp.681-683
Jane's Information Group Limited,"Jane's AERO-ENGINES"ISSUE5, March 1999
上記1-1の機体は世界で初めて実用化されたV/STOL(Vertical/Short Take-Off and Landing)固定翼機であったが、高バイパス比ターボファンエンジンであるペガサスエンジンの排出ガス流の速度は超音速飛行をするには小さい為、亜音速での運用しかできなかった。その解決の為に開発されたのが、世界初の超音速V/STOL固定翼機となった上記1-2の機体である。この機体はアフターバーナ付き低バイパス比ターボファンエンジンの装着により超音速性能を得たが、離着陸時に使用するターボジェットエンジン(リフトエンジン)の排出する高速ガス流に起因する騒音及び高い排気ガス温度、並びに燃費の悪さが問題となった。このリフトエンジンの代わりに、アフターバーナ付き低バイパス比ターボファンエンジンによって駆動されるリフトファンを装着する事によって排出ガス流の速度と温度を若干低く、燃費も幾分改善したのが上記1-3の機体である。
発明の概要
本発明の特徴によれば、垂直に移動可能な飛行体は、機体とエンジンとを具えている。そのエンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具えている。
また本発明の別の特徴によれば、垂直に移動可能な飛行体は、機体とリフトエンジンとを具えている。そのリフトエンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具えており、前記ガス発生装置は外部仕事用ガスを発生し、前記第1推力装置は前記外部仕事用ガスによって動力を得ると共に前記外部仕事用ガスを所定の方向に排出して推進力とし、前記第2推力装置は前記動力により駆動されて周囲ガスを取り入れ圧縮し前記第1推力装置の外部仕事用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とするものである。
本発明の特徴によれば、垂直に移動可能な飛行体は、機体とエンジンとを具えている。そのエンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具えている。
また本発明の別の特徴によれば、垂直に移動可能な飛行体は、機体とリフトエンジンとを具えている。そのリフトエンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具えており、前記ガス発生装置は外部仕事用ガスを発生し、前記第1推力装置は前記外部仕事用ガスによって動力を得ると共に前記外部仕事用ガスを所定の方向に排出して推進力とし、前記第2推力装置は前記動力により駆動されて周囲ガスを取り入れ圧縮し前記第1推力装置の外部仕事用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とするものである。
また本発明の別の特徴によれば、垂直に移動可能な飛行体は、機体と前記飛行体の主に姿勢を制御する推力を得る姿勢制御エンジンを具えている。その姿勢制御エンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具えており、前記ガス発生装置は姿勢制御用ガスを発生し、前記第1推力装置は前記姿勢制御用ガスを所定の方向に排出して推進力とし、前記第2推力装置は前記姿勢制御用ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置の姿勢制御用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とするものである。
飛行体の内、航空機に属する通常離着陸(CTOL: Conventional Take-off and Landing)を行う従来の固定翼機には、以下の固有の問題が存在する。
2-1 翼によって揚力を発生させるのに速度が必要な為、離着陸には長大な滑走路を必要とする。この為、空港の建設には広大な用地を必要とするので、空港を最も利便性の高い都市部に設ける事は困難であり、郊外に設けられる事が多い。その空港まで移動する手間が、航空機の利便性や高速性を損なっている。
2-2 離着陸時の速度が低速な為、空力的な復元力や操舵力に乏しく不安定である。この為、離着陸時は事故発生の危険性が高い(魔の11分間:critical eleven minutes)。
2-3 離着陸時の速度が低速な為、離着陸に必要とする時間が長い。又、航空機同士の離着陸の間隔は安全上ある程度離さざるを得ない為、単位時間内に離着陸できる航空機の数が制限される。その為、主要な空港周辺の空域は常に混雑している。加えて、搭乗時間が長く、搭乗者の快適性や高速性を損なっている。
2-4 少しでも滑走路長や離着陸に要する時間を短縮する為、CTOL固定翼機は飛行の度に急激な加減速を繰り返す。この為、搭乗者の快適性は損なわれ、機体の寿命も短くなる。又、頻繁な整備も必要となる為、維持費も高くなる。
2-2 離着陸時の速度が低速な為、空力的な復元力や操舵力に乏しく不安定である。この為、離着陸時は事故発生の危険性が高い(魔の11分間:critical eleven minutes)。
2-3 離着陸時の速度が低速な為、離着陸に必要とする時間が長い。又、航空機同士の離着陸の間隔は安全上ある程度離さざるを得ない為、単位時間内に離着陸できる航空機の数が制限される。その為、主要な空港周辺の空域は常に混雑している。加えて、搭乗時間が長く、搭乗者の快適性や高速性を損なっている。
2-4 少しでも滑走路長や離着陸に要する時間を短縮する為、CTOL固定翼機は飛行の度に急激な加減速を繰り返す。この為、搭乗者の快適性は損なわれ、機体の寿命も短くなる。又、頻繁な整備も必要となる為、維持費も高くなる。
一方、未だ軍事用でしかも限定された用途でしか実用されていない、先述のVTOL(Vertical Take-Off and Landing)固定翼機にも、以下の固有の問題が存在する。
2-5 ジェットエンジンにより浮揚する為、垂直離着陸システムが複雑となり、エンジンのサージやストールを回避しつつ機体運動と同調した高度なエンジンやRCSその他の制御を必要とする。この為、操作性や応答性が悪く、製造費も高い。
2-6垂直離着陸システムが複雑である為、故障する確率が高く、危険性が高い。又、高度な保守整備を必要とする為、維持費が高い。
2-7 機体内にシャフトやダクトを配置する為、機器や有償荷重(ペイロード)の自由度な配置が困難で、設計の自由度が低い。
2-8 高温の排出ガスを下方へ排出する為、離着陸場所が溶融防止対策が施された耐熱性を有する滑走路等に限定され、離着陸場所選定の自由度が乏しい。
2-9 地表付近では、自身で排出した高温排出ガスが撒きあがる為、それを再度自身で吸込んでしまう高温ガス再吸込(HGI: Hot Gas Ingestion)による浮揚力減少があり、危険性が高い。
2-10 地表付近では、自身で排出した燃焼後の酸素含有量が少ないガスが撒きあがる為、それを再度自身で吸込んでしまい、酸素量が不足して燃焼が継続出来ず、不意にエンジンが停止する危険性が高い。
2-11 機体のRCSに用いる圧縮空気をエンジンから抽気する為、出力の低下により余剰浮揚力が減少する。その為、ペイロードが少なくなり、経済性が悪い。
2-6垂直離着陸システムが複雑である為、故障する確率が高く、危険性が高い。又、高度な保守整備を必要とする為、維持費が高い。
2-7 機体内にシャフトやダクトを配置する為、機器や有償荷重(ペイロード)の自由度な配置が困難で、設計の自由度が低い。
2-8 高温の排出ガスを下方へ排出する為、離着陸場所が溶融防止対策が施された耐熱性を有する滑走路等に限定され、離着陸場所選定の自由度が乏しい。
2-9 地表付近では、自身で排出した高温排出ガスが撒きあがる為、それを再度自身で吸込んでしまう高温ガス再吸込(HGI: Hot Gas Ingestion)による浮揚力減少があり、危険性が高い。
2-10 地表付近では、自身で排出した燃焼後の酸素含有量が少ないガスが撒きあがる為、それを再度自身で吸込んでしまい、酸素量が不足して燃焼が継続出来ず、不意にエンジンが停止する危険性が高い。
2-11 機体のRCSに用いる圧縮空気をエンジンから抽気する為、出力の低下により余剰浮揚力が減少する。その為、ペイロードが少なくなり、経済性が悪い。
又、垂直離着陸が可能な回転翼機である従来のヘリコプタ等には、以下の固有の問題が存在する。
2-12 ロータ等が露出して回転する為、電線等の異物巻き込み等に脆弱で、運用環境が制限される。
2-13 回転中のロータ等は大きなエネルギを有している為、この破損は周囲に大きな災害を引き起こす危険性が高い。
2-14 ロータ等の回転中には人が接近する事が困難である為、人員や貨物等の迅速な積降が難しく、利便性が損なわれる。
2-15 ロータ等の回転により低周波の騒音が発生する為、搭乗者の快適性は損なわれ、運用する環境や時間も制限される。
2-16 ロータ等の円板荷重が低い為、急激な機動時には一切のコントロールが不可能となる渦輪(vortex ring)状態に突入する危険性がある。この為、機動性に難がある。
2-17 ロータ等の回転面と飛行する方向がほぼ一致する場合、ロータ等の先端速度には限界がある為、飛行速度には上限が存在する。その為、高速での移動が出来ない。
2-18 常にロータ等を駆動する動力が必要である為、燃料の消費が激しい。その為、運用費が高く、航続距離も短い。
2-19 計器飛行方式(IFR: Instrument Flight Rule)による運行が十分には機能しておらず、有視界飛行方式(VFR: Visual Flight Rule)による運行が大部分である為、悪天候時や夜間の運行が困難である。この為、運用する環境や時間が制限される。
2-20 特に日本では、ヘリポート等の設備や制度の不備等の為、緊急時にヘリコプタによる急患等の搬送ができない病院や事故現場付近への着陸が認められない場合が多い。この為、緊急医療(EMS: Emergency Medical Service)体制が不十分で、ヘリコプタの普及率も低い。
2-12 ロータ等が露出して回転する為、電線等の異物巻き込み等に脆弱で、運用環境が制限される。
2-13 回転中のロータ等は大きなエネルギを有している為、この破損は周囲に大きな災害を引き起こす危険性が高い。
2-14 ロータ等の回転中には人が接近する事が困難である為、人員や貨物等の迅速な積降が難しく、利便性が損なわれる。
2-15 ロータ等の回転により低周波の騒音が発生する為、搭乗者の快適性は損なわれ、運用する環境や時間も制限される。
2-16 ロータ等の円板荷重が低い為、急激な機動時には一切のコントロールが不可能となる渦輪(vortex ring)状態に突入する危険性がある。この為、機動性に難がある。
2-17 ロータ等の回転面と飛行する方向がほぼ一致する場合、ロータ等の先端速度には限界がある為、飛行速度には上限が存在する。その為、高速での移動が出来ない。
2-18 常にロータ等を駆動する動力が必要である為、燃料の消費が激しい。その為、運用費が高く、航続距離も短い。
2-19 計器飛行方式(IFR: Instrument Flight Rule)による運行が十分には機能しておらず、有視界飛行方式(VFR: Visual Flight Rule)による運行が大部分である為、悪天候時や夜間の運行が困難である。この為、運用する環境や時間が制限される。
2-20 特に日本では、ヘリポート等の設備や制度の不備等の為、緊急時にヘリコプタによる急患等の搬送ができない病院や事故現場付近への着陸が認められない場合が多い。この為、緊急医療(EMS: Emergency Medical Service)体制が不十分で、ヘリコプタの普及率も低い。
他方、固定翼機や回転翼機を問わず従来のVTOL機には、以下の固有の問題が存在する。
2-21 固定翼機では主要な推力を発生するエンジンが1つしかなく、またRCSもそのエンジンに依存している。又、回転翼機ではエンジンは複数設置する事ができても、主ロータ及びテールロータ等の飛行に最低限必要な主要部品が1つしかない。よって、これら浮揚力発生装置の故障は推力及びコントロールの喪失等の重大な事故につながる為、危険性が高い。
2-22 空気を用いた機体の機動制御を行う為、その圧縮性により応答の時間遅れが発生する。よって、応答性が悪く、突風等が吹く悪天候時や収容艦の揺動等の急激な外乱には対応できない。
2-21 固定翼機では主要な推力を発生するエンジンが1つしかなく、またRCSもそのエンジンに依存している。又、回転翼機ではエンジンは複数設置する事ができても、主ロータ及びテールロータ等の飛行に最低限必要な主要部品が1つしかない。よって、これら浮揚力発生装置の故障は推力及びコントロールの喪失等の重大な事故につながる為、危険性が高い。
2-22 空気を用いた機体の機動制御を行う為、その圧縮性により応答の時間遅れが発生する。よって、応答性が悪く、突風等が吹く悪天候時や収容艦の揺動等の急激な外乱には対応できない。
更に、CTOL機やVTOL機を問わず、従来の航空機には、以下の固有の問題が存在する。
2-23 空気を吸入して燃焼を行う為、排出ガス中の酸素濃度は減少し窒素酸化物濃度は増加する。その為、地球環境が悪化する。
2-24 微細な流路で構成される空気圧縮機(コンプレッサ)が必要となる為、地表付近で多発する外部異物吸込みによるエンジン損傷(FOD: Foreign Object Damage)に脆弱である。その為、FODが生じない様に清浄に保持された滑走路等の限定された場所でしか運用できず、運用環境が制限される。
2-25 エンジン始動の際には空気を圧縮する動力が必要である為、不意にエンジンが停止した場合、迅速なエンジンの再始動が困難であり、危険性が高い。
2-26 吸入空気の温度が高い場合、タービン入口温度(TIT: Turbine Inlet Temperature)を一定とする為、燃料投入量を減少させるので出力が低下する。よって、高温地域での運用が制限される。
2-27 吸入空気の密度が低い場合、取入れられる空気量が減少する為、燃料投入量を減少させるので出力が低下する。この為、高所地域での運用が制限される。
2-23 空気を吸入して燃焼を行う為、排出ガス中の酸素濃度は減少し窒素酸化物濃度は増加する。その為、地球環境が悪化する。
2-24 微細な流路で構成される空気圧縮機(コンプレッサ)が必要となる為、地表付近で多発する外部異物吸込みによるエンジン損傷(FOD: Foreign Object Damage)に脆弱である。その為、FODが生じない様に清浄に保持された滑走路等の限定された場所でしか運用できず、運用環境が制限される。
2-25 エンジン始動の際には空気を圧縮する動力が必要である為、不意にエンジンが停止した場合、迅速なエンジンの再始動が困難であり、危険性が高い。
2-26 吸入空気の温度が高い場合、タービン入口温度(TIT: Turbine Inlet Temperature)を一定とする為、燃料投入量を減少させるので出力が低下する。よって、高温地域での運用が制限される。
2-27 吸入空気の密度が低い場合、取入れられる空気量が減少する為、燃料投入量を減少させるので出力が低下する。この為、高所地域での運用が制限される。
飛行体の内、宇宙機に属する従来のロケットには、以下の固有の問題が存在する。
2-28 特に固体ロケットの排出ガスには大気汚染物質や毒性ガス等が多く含まれ、それらを大量に大気中へ排出する為、地球環境が悪化する。この為、周辺環境を汚染される射場の立地は難しく、打上頻度も限られる。又、この有害な排出ガスが特に、大気循環流動の少ない高層大気に与える影響は深刻である。
2-29 ロケットの殆どが一回限りの使用で使い捨てられる為、打上毎に新たなロケットを製作せねばならず、貴重な資源を浪費する。この為、地球環境が悪化する。
2-30 毎回新たなロケットを製作する必要がある為、製作費が高い。
2-31 ロケットの殆どが多段式であり、各段は推進剤を消費した後に切り離されて次々と廃棄される為、地上や宇宙空間に多くのゴミを発生させて地球や宇宙の環境が悪化する。特に、地球周回軌道上のゴミはデブリ(space debris)と呼ばれ、それとの衝突は人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)等の破壊や機能喪失を引き起こす重大な脅威となっている。
2-32 打上に失敗した場合、その事故機の部品の多くが回収不能である為、事故機を調査・分析して不具合の原因究明や再発防止策を講じる事が困難である。この為、事故の原因究明には時間がかかる。又、安全を見越した設計を行わねばならない為、製作費も高い。
2-33 重力損失の影響を最小限とする為、ロケットは短時間で宇宙に達する様に設計される。その際にロケットには大きな加速度が加わる為、機器類や搭載されるペイロード等には大きな力が働く。よって、機器類やペイロード等には十分な強度が要求される為、ロケットやペイロードの質量の増加を招き、製造費も高い。
2-34 高速で移動する為、緊急時の脱出や回収等が困難であるので、危険性が高い。
2-35 高速で移動する為、飛行予定経路から外れた場合の修正が困難であり、失敗した場合にはロケット自体の爆破等が行われる。この為、打上の際には予め、飛行予定経路上をクリアにしておく必要があり、関係諸国への連絡や周辺海域へ漁船等を接近させない対策が必要となる。これは、漁業補償等を必要とする為、運用費が増加する。又、漁期によって打上の時期が限定される事があり、即応性に欠ける。
2-36 大気中を高速で移動する為、空気抵抗が大きくて推進エネルギを損失するので、搭載できるペイロードが限られ、運用費が高い。
2-37 空気抵抗を少しでも小さくする為、ロケットの形状は抵抗の少ないものに限られ、設計の自由度に乏しい。
2-38 大気中を高速で移動する為、空気との摩擦によって振動が発生するので、機器類やペイロード等には十分な防振対策が要求がされる。これは、ロケットやペイロードの質量の増加を招き、製造費も高い。
2-39 ロケットは複雑なシステムである為、打上にはその機能を十全に発揮する為の複合施設である射場が必要となる。この射場の建設や維持には、莫大な資金が必要となる為、建設費や維持費が高い。
2-40 ロケットの排出ガス速度が大きい為、打上初期における推進効率が極めて悪く、多量の推進剤を必要とする。その為、推進剤の搭載量や機体サイズが大きくなる。
2-28 特に固体ロケットの排出ガスには大気汚染物質や毒性ガス等が多く含まれ、それらを大量に大気中へ排出する為、地球環境が悪化する。この為、周辺環境を汚染される射場の立地は難しく、打上頻度も限られる。又、この有害な排出ガスが特に、大気循環流動の少ない高層大気に与える影響は深刻である。
2-29 ロケットの殆どが一回限りの使用で使い捨てられる為、打上毎に新たなロケットを製作せねばならず、貴重な資源を浪費する。この為、地球環境が悪化する。
2-30 毎回新たなロケットを製作する必要がある為、製作費が高い。
2-31 ロケットの殆どが多段式であり、各段は推進剤を消費した後に切り離されて次々と廃棄される為、地上や宇宙空間に多くのゴミを発生させて地球や宇宙の環境が悪化する。特に、地球周回軌道上のゴミはデブリ(space debris)と呼ばれ、それとの衝突は人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)等の破壊や機能喪失を引き起こす重大な脅威となっている。
2-32 打上に失敗した場合、その事故機の部品の多くが回収不能である為、事故機を調査・分析して不具合の原因究明や再発防止策を講じる事が困難である。この為、事故の原因究明には時間がかかる。又、安全を見越した設計を行わねばならない為、製作費も高い。
2-33 重力損失の影響を最小限とする為、ロケットは短時間で宇宙に達する様に設計される。その際にロケットには大きな加速度が加わる為、機器類や搭載されるペイロード等には大きな力が働く。よって、機器類やペイロード等には十分な強度が要求される為、ロケットやペイロードの質量の増加を招き、製造費も高い。
2-34 高速で移動する為、緊急時の脱出や回収等が困難であるので、危険性が高い。
2-35 高速で移動する為、飛行予定経路から外れた場合の修正が困難であり、失敗した場合にはロケット自体の爆破等が行われる。この為、打上の際には予め、飛行予定経路上をクリアにしておく必要があり、関係諸国への連絡や周辺海域へ漁船等を接近させない対策が必要となる。これは、漁業補償等を必要とする為、運用費が増加する。又、漁期によって打上の時期が限定される事があり、即応性に欠ける。
2-36 大気中を高速で移動する為、空気抵抗が大きくて推進エネルギを損失するので、搭載できるペイロードが限られ、運用費が高い。
2-37 空気抵抗を少しでも小さくする為、ロケットの形状は抵抗の少ないものに限られ、設計の自由度に乏しい。
2-38 大気中を高速で移動する為、空気との摩擦によって振動が発生するので、機器類やペイロード等には十分な防振対策が要求がされる。これは、ロケットやペイロードの質量の増加を招き、製造費も高い。
2-39 ロケットは複雑なシステムである為、打上にはその機能を十全に発揮する為の複合施設である射場が必要となる。この射場の建設や維持には、莫大な資金が必要となる為、建設費や維持費が高い。
2-40 ロケットの排出ガス速度が大きい為、打上初期における推進効率が極めて悪く、多量の推進剤を必要とする。その為、推進剤の搭載量や機体サイズが大きくなる。
最後に、航空機や宇宙機を問わず飛行体には、以下の固有の問題が存在する。
2-41 エンジンや翼等に不具合が発生し、推力や揚力を喪失する等の重大な故障が発生しても、全て独力で対応しなければならない為、安全な帰還等は極めて困難である。よって、危険性が高い。
2-42 排出ガスが高速である為、高周波の騒音が発生し、空港や射場の建設や飛行空域等が制限される。
2-43 排出ガスの温度が高温な為、赤外線(IR: Infra-Red)放射が強い。この為、安価なIR誘導兵器の標的とされ易く、生存性が低い。
2-41 エンジンや翼等に不具合が発生し、推力や揚力を喪失する等の重大な故障が発生しても、全て独力で対応しなければならない為、安全な帰還等は極めて困難である。よって、危険性が高い。
2-42 排出ガスが高速である為、高周波の騒音が発生し、空港や射場の建設や飛行空域等が制限される。
2-43 排出ガスの温度が高温な為、赤外線(IR: Infra-Red)放射が強い。この為、安価なIR誘導兵器の標的とされ易く、生存性が低い。
上記の諸問題の全て又は一部を克服した垂直離着陸が可能な飛行体を実現することが望ましい。
本発明の目的は、上記の諸問題を解決し、より安全な飛行体を実現することである。
本発明の特徴によれば、より安全な飛行体を実現できる。
本発明は、垂直離着陸が可能な航空機、飛行体との着脱と垂直離着陸が可能な航空機、地上走行と垂直離着陸が可能な航空機、リフトエンジンと飛行用エンジンが一体化した垂直離着陸が可能な航空機、ロケットブースタ、第1段ロケット、及び宇宙往還機、の各飛行体に適用可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。この実施形態に記載されている構成部品の形状や大きさ、それらの相対位置などは、この発明の範囲をそれのみに限定する意図はなく、単なる例示に過ぎない。一つの実施形態で用いられた装置等は、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、例示した装置等以外にも同等の機能を有する装置も同様に使用可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。この実施形態に記載されている構成部品の形状や大きさ、それらの相対位置などは、この発明の範囲をそれのみに限定する意図はなく、単なる例示に過ぎない。一つの実施形態で用いられた装置等は、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、例示した装置等以外にも同等の機能を有する装置も同様に使用可能である。
第1の実施形態
図1A〜図1Cは、本発明の第1の実施形態による垂直に離陸及び着陸が可能な航空機1aの垂直離着陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、1B−1Bに沿って切欠いた側断面図、及び1C−1Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1aは、航空機として既知の、飛行用エンジン116a1〜116a2、補助動力装置122a、ペイロード124a、燃料タンク110a等の一般的な構成要素を包括する機体100aに加え、本発明による、短円筒状のリフトエンジン102a1〜102a4と、直交する2つの円筒を組合せた形状の姿勢制御エンジン106a1〜106a4と、球状の酸化剤タンク108aと、直方体状のコンピュータ114aとを具えている。
航空機1aが垂直に離陸及び着陸を行う際には、飛行用エンジン116a1〜116a2は停止またはアイドル状態とし、主に姿勢制御エンジン106a1〜106a4で細かな姿勢制御を行いながら、リフトエンジン102a1〜102a4が白い幅広の矢印で示される周囲の空気40a1z〜40a4zを吸い込んで、白い矢印で示される増速したガス流41a1z〜41a4zを排出して大まかな姿勢制御を行いながら、その反力で浮揚する。特に整備されていない平地等388に達した排出ガス流41a1z〜41a4zは、塵埃及び砂粒、小石、氷等の異物を含んだ白い矢印で示されるガス流44a1z〜44a4zとして撒き上げられ、その一部は空気40a1z〜40a4zと共に再びリフトエンジン102a1〜102a4に吸入されることがある。しかしリフトエンジン102a1〜102a4は、図2で後述する通り通常のジェットエンジンとは異なって吸込んだ周囲の空気40a1〜40a4を高圧圧縮・燃焼する必要が無く、単に運動量を付与するだけの媒体として用いる為、高温ガス及び酸素含有量が少ないガスの再吸込みによって大幅に性能が低下することがない。また、流路が狭く繊細な通常の高圧加圧用コンプレッサが不要なので、FODに対しても極めて強靭である。航空機1aには、独立した複数(この例では4つ)のリフトエンジン102a1〜102a4及び独立した複数(この例では4つ)の姿勢制御エンジン106a1〜106a4が設けられている。
航空機1aが飛行するときには、リフトエンジン102a1〜102a4と姿勢制御エンジン106a1〜106a4は停止状態となり、飛行用エンジン116a1〜116a2が作動して前進方向の推進力を得、一般の固定翼機と同様にIFRにより高速で飛行する事が出来る。
この様に、主に垂直離着陸で使用するリフトエンジン102a1〜102a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4と、飛行用エンジン116a1〜116a2の双方を搭載することは、使用していない一方が死重量となって従来の技術では好ましくない。しかし、本発明におけるリフトエンジン102a1〜102a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4は図2及び図3で後述する通り小型軽量であり、垂直離着陸システムが単純で垂直離着陸と通常飛行との切替が簡単で、かつ自蔵したタービン駆動ガスが時々刻々と消費されて軽くなる為、その欠点を補って余りある利点を有する。更に、垂直離着陸状態から飛行状態への遷移飛行が容易で、かつ2つの離着陸モード、即ち垂直離着陸と一般航空機の様な通常離着陸と、を自由に選択できる利点もある。
図1A〜図1Cは、本発明の第1の実施形態による垂直に離陸及び着陸が可能な航空機1aの垂直離着陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、1B−1Bに沿って切欠いた側断面図、及び1C−1Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1aは、航空機として既知の、飛行用エンジン116a1〜116a2、補助動力装置122a、ペイロード124a、燃料タンク110a等の一般的な構成要素を包括する機体100aに加え、本発明による、短円筒状のリフトエンジン102a1〜102a4と、直交する2つの円筒を組合せた形状の姿勢制御エンジン106a1〜106a4と、球状の酸化剤タンク108aと、直方体状のコンピュータ114aとを具えている。
航空機1aが垂直に離陸及び着陸を行う際には、飛行用エンジン116a1〜116a2は停止またはアイドル状態とし、主に姿勢制御エンジン106a1〜106a4で細かな姿勢制御を行いながら、リフトエンジン102a1〜102a4が白い幅広の矢印で示される周囲の空気40a1z〜40a4zを吸い込んで、白い矢印で示される増速したガス流41a1z〜41a4zを排出して大まかな姿勢制御を行いながら、その反力で浮揚する。特に整備されていない平地等388に達した排出ガス流41a1z〜41a4zは、塵埃及び砂粒、小石、氷等の異物を含んだ白い矢印で示されるガス流44a1z〜44a4zとして撒き上げられ、その一部は空気40a1z〜40a4zと共に再びリフトエンジン102a1〜102a4に吸入されることがある。しかしリフトエンジン102a1〜102a4は、図2で後述する通り通常のジェットエンジンとは異なって吸込んだ周囲の空気40a1〜40a4を高圧圧縮・燃焼する必要が無く、単に運動量を付与するだけの媒体として用いる為、高温ガス及び酸素含有量が少ないガスの再吸込みによって大幅に性能が低下することがない。また、流路が狭く繊細な通常の高圧加圧用コンプレッサが不要なので、FODに対しても極めて強靭である。航空機1aには、独立した複数(この例では4つ)のリフトエンジン102a1〜102a4及び独立した複数(この例では4つ)の姿勢制御エンジン106a1〜106a4が設けられている。
航空機1aが飛行するときには、リフトエンジン102a1〜102a4と姿勢制御エンジン106a1〜106a4は停止状態となり、飛行用エンジン116a1〜116a2が作動して前進方向の推進力を得、一般の固定翼機と同様にIFRにより高速で飛行する事が出来る。
この様に、主に垂直離着陸で使用するリフトエンジン102a1〜102a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4と、飛行用エンジン116a1〜116a2の双方を搭載することは、使用していない一方が死重量となって従来の技術では好ましくない。しかし、本発明におけるリフトエンジン102a1〜102a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4は図2及び図3で後述する通り小型軽量であり、垂直離着陸システムが単純で垂直離着陸と通常飛行との切替が簡単で、かつ自蔵したタービン駆動ガスが時々刻々と消費されて軽くなる為、その欠点を補って余りある利点を有する。更に、垂直離着陸状態から飛行状態への遷移飛行が容易で、かつ2つの離着陸モード、即ち垂直離着陸と一般航空機の様な通常離着陸と、を自由に選択できる利点もある。
図2A及び図2Bは、航空機1aの作動状態及び停止状態におけるリフトエンジン102a1の垂直断面図をそれぞれ示している。リフトエンジン102a2〜102a4はリフトエンジン102a1と同じ構造を有する。図において、リフトエンジン102a1の構造は基本的に回転対称であり、図を簡明にするために同じ各要素には同じ系列の符号を付している。リフトエンジン102a1は、黒い矢印で示されるタービンを駆動するガス20a1を発生させる垂直な中心軸を有し下向きに円環状の開口を有する円環(アニュラ)状のタービン駆動ガス発生器200a1と、ガス20a1を増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208a1と、ガス20a1から機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204a1と、タービン動翼204a1が破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210a1と、周囲の空気を吸込んで加速する同軸的な放射状の複数のファン動翼214a1と、白い矢印で示される吸込んだ空気21a1の速度を圧力に変換する同軸的な放射状の複数のファン静翼218a1と、ファン動翼214a1が破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220a1と、ファンケース220a1内に設けられ空気21a1を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220a1)と切頭円錐(タービンケース210a1)間で形成されるノズル222a1と、タービン動翼204a1によって回転される中心軸上のシャフト224a1と、シャフト224a1からの回転をファン動翼214a1に伝達する回転対称に歯車類が組み合わされたトランスミッション230a1と、タービンを駆動したガス20a1の一部と吸入された空気21a1の一部を混合させて排出ガスの温度と速度を均一にする径方向に波打つひだ状のローブ型のミキサ232a1と、発電機や電動機として作動する円柱状の回転制御モータ兼発電機234a1と、大型の飛来物がファン動翼214a1に吸込まれるのを防止する網状の異物吸込防止網236a1と、収納時には翼及び機体100aの上面を成し展開時には吸入された空気21a1の通路となる放射状に配置された扇形状の複数の入口可動ルーバ250a1と、その入口可動ルーバ250a1を駆動する円柱状の複数の入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252a1と、収納時には翼及び機体の下面を成し展開時には排出ガス41a1の通路と成りかつその排出方向を個々に自在にコントロールする放射状に配置された扇形状の複数の排気偏向ルーバ254a1と、その推力偏向ルーバ254a1を駆動する円柱状の複数の推力偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1とを具えている。要するに、このリフトエンジン102a1は、後述するガス発生装置200a1と、そのガス発生装置200a1からのガスによりタービンを駆動して動力を得ると共にその排ガスを所定の方向に排出して推進力に利用する、つまり前記黒い矢印で示される外部仕事用のガス20a1から途中で動力を得て排出する第1推力装置と、その動力によって白い矢印で示される吸込んだ周囲ガスである空気21a1を前記ガス20a1と概ね同じ方向に排出して推進力とする第2推力装置と、を具えるものである。
図2Aにおいて、点火信号80aを受けてガス発生器200a1内で酸化剤10aと燃料11aが反応して発生したガス20a1は、タービン204a1及び208a1を通過することで、そのガスの持つエネルギをタービン動翼204a1に与え自身は低温低圧の状態となって、ミキサ232a1に達する。タービン動翼204a1はシャフト224a1を白い矢印の方向に回転させ、回転制御モータ兼発電機234a1とトランスミッション230a1を駆動する。トランスミッション230a1は白い矢印の方向に回転し、シャフト224a1の回転を減速・高トルク化してファン動翼214a1に伝達する。ファン214a1及び218a1は、入口可動ルーバ250a1と異物吸込防止網236a1とを通過した空気21a1を吸入し圧縮する。空気21a1は、ノズル222a1によって増速されてミキサ232a1に達する。ミキサ232a1では、タービンを駆動したガス20a1とファン流路を通過する空気21a1の一部が混合され(25a1、26a1)、その温度と速度を更に減じて、大量の低速ガス流を形成してリフトエンジン102a1より排出される。
リフトエンジン102a1は、少量のタービン駆動ガス20a1によって大量の空気21a1を低速で排出することによって浮揚力を得る利点として、従来の多量のガスを高速で排出するロケット等よりも空気の存在する範囲において経済的で推進効率も高く騒音や大気汚染物質の排出による環境の汚染も少ない。更に、ミキサ232a1によってタービン駆動ガス20a1と空気21a1の一部を混合し、加えて、少量・高温・高速であるタービン駆動ガス20a1を、大量・低温・低速である空気21a1で包み込む事によって、騒音が減少し排出ガス温度も低温とする事ができる。これらの低騒音特性により、既存の航空機と比べ、空港等周辺での離着陸時の地上騒音被害面積を大幅に小さくする事ができる。大量の空気21a1を低速で排出する手段としては、ここで示した高バイパス比ターボファンに似た方法の他、例えばファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等の別の手段を用いてもよい。
リフトエンジン102a1は、入口可動ルーバ250a1と排気偏向ルーバ254a1が開いた状態で運転され、放射状に配置された排気偏向ルーバ254a1によって排出ガスの方向を様々に偏向することによって自在に推力の方向を変向する。
リフトエンジン102a1のタービン動翼204a1やファン動翼214a1は、タービンケース210a1やファンケース220a1によって取り囲まれている為、電線等の捲込みや飛散時の周囲被害、低周波騒音の発生等の恐れが無く、人員等も迅速に積降しが可能である。
ヘリコプタ等に比べて円板荷重が大きい為、ボルテックス・リング(vortex ring)が生じ難く、離着陸時に急激な機動を行う事ができる。
従来の技術では、ファン又はコンプレッサのストール又はサージは燃焼器に流入する空気流量を変動させ、それがタービン出力の変動を引き起こし、それが再びファン又はコンプレッサへの入力の変動となってファン又はコンプレッサのストール又はサージを招く自励的な現象が生じる。しかし、本発明ではファン214a1及び218a1を通過した空気21a1はタービン204a1及び208a1には流入しない為、この自励現象は発生しない。従って、大型の鳥などの飛来物が異物吸込防止網236a1を塞いだり回転系の過回転等によってファン214a1及び218a1のストール又はサージが生じても、ファン動翼214a1の負荷が軽減してシャフト224a1の回転数が増加するだけである。従って、その回転を通常は発電機として作動している回転制御モータ兼発電機234a1の負荷で適切に調整することで安全が確保できる。更に、この回転制御モータ兼発電機234a1は、緊急時にその回転を適切に制御する事でオートローテーションを行い、接地寸前に貯蔵した回転エネルギや電力によってファン動翼214a1を駆動してフレアを掛けて、安全に着陸する事が可能となる。短時間なら電力のみでの垂直移動も可能である。
又、リフトエンジン102a1は、空気が殆どない高空においても、タービン駆動ガス20a1の反力により推力を得ることができる。
図2Bの停止状態の時、リフトエンジン102a1は、空気21a1の吸入とガス20a1の発生が停止し、入口可動ルーバ250a1と排気偏向ルーバ254a1が閉じて翼及び機体の一部となる為、航空機1aの大きな抵抗とはならない。
以上説明した通り、リフトエンジン102a1は、通常のジェットエンジンには必要不可欠で重量も容積も大きなコンプレッサやそれを駆動する高圧タービン等を必要としないので、大幅な軽量化及び小型化が可能で、タービン駆動ガス20a1から得られた動力の全てを空気21a1の加速に用いることができる。
リフトエンジン102a1は、少量のタービン駆動ガス20a1によって大量の空気21a1を低速で排出することによって浮揚力を得る利点として、従来の多量のガスを高速で排出するロケット等よりも空気の存在する範囲において経済的で推進効率も高く騒音や大気汚染物質の排出による環境の汚染も少ない。更に、ミキサ232a1によってタービン駆動ガス20a1と空気21a1の一部を混合し、加えて、少量・高温・高速であるタービン駆動ガス20a1を、大量・低温・低速である空気21a1で包み込む事によって、騒音が減少し排出ガス温度も低温とする事ができる。これらの低騒音特性により、既存の航空機と比べ、空港等周辺での離着陸時の地上騒音被害面積を大幅に小さくする事ができる。大量の空気21a1を低速で排出する手段としては、ここで示した高バイパス比ターボファンに似た方法の他、例えばファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等の別の手段を用いてもよい。
リフトエンジン102a1は、入口可動ルーバ250a1と排気偏向ルーバ254a1が開いた状態で運転され、放射状に配置された排気偏向ルーバ254a1によって排出ガスの方向を様々に偏向することによって自在に推力の方向を変向する。
リフトエンジン102a1のタービン動翼204a1やファン動翼214a1は、タービンケース210a1やファンケース220a1によって取り囲まれている為、電線等の捲込みや飛散時の周囲被害、低周波騒音の発生等の恐れが無く、人員等も迅速に積降しが可能である。
ヘリコプタ等に比べて円板荷重が大きい為、ボルテックス・リング(vortex ring)が生じ難く、離着陸時に急激な機動を行う事ができる。
従来の技術では、ファン又はコンプレッサのストール又はサージは燃焼器に流入する空気流量を変動させ、それがタービン出力の変動を引き起こし、それが再びファン又はコンプレッサへの入力の変動となってファン又はコンプレッサのストール又はサージを招く自励的な現象が生じる。しかし、本発明ではファン214a1及び218a1を通過した空気21a1はタービン204a1及び208a1には流入しない為、この自励現象は発生しない。従って、大型の鳥などの飛来物が異物吸込防止網236a1を塞いだり回転系の過回転等によってファン214a1及び218a1のストール又はサージが生じても、ファン動翼214a1の負荷が軽減してシャフト224a1の回転数が増加するだけである。従って、その回転を通常は発電機として作動している回転制御モータ兼発電機234a1の負荷で適切に調整することで安全が確保できる。更に、この回転制御モータ兼発電機234a1は、緊急時にその回転を適切に制御する事でオートローテーションを行い、接地寸前に貯蔵した回転エネルギや電力によってファン動翼214a1を駆動してフレアを掛けて、安全に着陸する事が可能となる。短時間なら電力のみでの垂直移動も可能である。
又、リフトエンジン102a1は、空気が殆どない高空においても、タービン駆動ガス20a1の反力により推力を得ることができる。
図2Bの停止状態の時、リフトエンジン102a1は、空気21a1の吸入とガス20a1の発生が停止し、入口可動ルーバ250a1と排気偏向ルーバ254a1が閉じて翼及び機体の一部となる為、航空機1aの大きな抵抗とはならない。
以上説明した通り、リフトエンジン102a1は、通常のジェットエンジンには必要不可欠で重量も容積も大きなコンプレッサやそれを駆動する高圧タービン等を必要としないので、大幅な軽量化及び小型化が可能で、タービン駆動ガス20a1から得られた動力の全てを空気21a1の加速に用いることができる。
図2Cは、図2Aの作動状態のリフトエンジン102a1のタービン駆動ガス発生器200a1の右側部分拡大垂直断面図である。ガス発生器200a1は、タービン駆動ガス20a1の点火に用いる円筒状の点火器226a1と、発生する流体の通路と管状の酸化剤加熱流路274a1とを内在したリフトエンジン用酸化剤分解触媒260a1と、同軸的な放射状の複数の気液分離旋回羽根264a1と同軸的な放射状の複数の気体逆旋回羽根266a1と環状で絞られた流路を持つ絞り板268a1で形成される気液分離室262a1と、管状の燃料加熱流路276a1と、円筒状の複数の燃料ノズル272a1と複数の開口部を有する環状のライナ328a1で形成される反応室270a1とを具えている。酸化剤10aは、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282a1によって流量を調整された後、酸化剤加熱流路274a1を通過して酸化剤分解物と熱交換を行って予熱され、リフトエンジン用酸化剤分解触媒260a1で酸化剤分解物に分解される。その後、酸化剤加熱流路274a1を通して酸化剤10aを加熱した後に、気液分離室262a1に達する。酸化剤分解物の流れ27a1は気液分離旋回羽根264によって旋回され、密度の大きな液体成分は自身に発生する遠心力によって外周側へと分離される(29a1)。密度の小さな気体成分である酸化剤分解ガス28a1は、内周側に設けられた気体逆旋回羽根266を通過することによって旋回成分を打ち消された後、分離された液体29a1が流路を通過する為の圧力差を生じさせる絞り板268a1を通過する。その後、リフトエンジン用燃料流量調整弁286a1によって流量を調整された燃料11aが内部を流れる燃料加熱流路276a1を予熱した後、ライナ328a1内の反応室270a1に流入し、点火器226a1によって与えられる点火信号80aによって燃料11aと反応し、タービン静翼208a1を加熱して流出する。一方、気液分離室262で分離された酸化剤分解物に含まれていた液体29a1は、タービン静翼208a1において反応ガスと熱交換されて加熱された後(31a1)、反応室270a1に流入する(32a1)。この時、液体31a1の温度を反応室270a1内の圧力での飽和蒸気温度以上に過熱すると、反応室270a1に流入直後、直ちに気体へと相変化する。この気体32a1は、周囲の反応ガスよりより低温である為、タービン静翼208a1を包み込む様にして遮熱し、その後、反応ガスと混合しながらタービン駆動ガス20a1となって下流へと流出する。
この様に、リフトエンジン102a1のタービンは、周囲空気と隔てられた清浄なタービン駆動ガス20a1によって駆動されるので、周囲空気の温度や圧力、汚染度合等に重大な影響を受けることなく出力が得られ、タービンの汚染も少ないのでタービン寿命も延びてオーバホール時間間隔(TBO: Time Between Overhauls)も長くなる。その結果、エンジン102a1は、空気の希薄な高地等及び砂漠等の高温多塵地域等での運用ができ、保守整備のコストも低減できる。更にエンジン102a1は酸化剤と燃料の流量を任意に設定できるのでエンジンの迅速な起動及び停止が容易であり、タービン駆動ガスを直接増減するので応答性も良く、急激な外乱にも十分対応できる。更に、エンジン102a1は、液体の酸化剤10aと液体の燃料を11aを用いる為、高密度である事から配管が容易で必要とされる容積も僅かで済み、圧縮性を持たない事から応答性も良い。
この様に、リフトエンジン102a1のタービンは、周囲空気と隔てられた清浄なタービン駆動ガス20a1によって駆動されるので、周囲空気の温度や圧力、汚染度合等に重大な影響を受けることなく出力が得られ、タービンの汚染も少ないのでタービン寿命も延びてオーバホール時間間隔(TBO: Time Between Overhauls)も長くなる。その結果、エンジン102a1は、空気の希薄な高地等及び砂漠等の高温多塵地域等での運用ができ、保守整備のコストも低減できる。更にエンジン102a1は酸化剤と燃料の流量を任意に設定できるのでエンジンの迅速な起動及び停止が容易であり、タービン駆動ガスを直接増減するので応答性も良く、急激な外乱にも十分対応できる。更に、エンジン102a1は、液体の酸化剤10aと液体の燃料を11aを用いる為、高密度である事から配管が容易で必要とされる容積も僅かで済み、圧縮性を持たない事から応答性も良い。
図2Dは、図2Bの停止状態のリフトエンジン102a1の上部水平面2D−2Dに沿った下断面図である。タービン駆動ガス発生器200a1内のライナ328a1の開口部を通して、燃料ノズル272a1が周上に等間隔で複数設けられている様子がわかる。
図2Eは、図2Aの作動状態のリフトエンジン102a1の上部水平面2E−2Eに沿った上断面図である。ファン動翼214a1は白い矢印の向きに回転するトランスミッション230a1によって駆動される。
図2Fは、図2Aのリフトエンジン102a1の下部水平面2F−2Fに沿った下断面図であり、タービン動翼204a1とファン静翼218a1のそれぞれを通過したガスが混合するミキサ232a1の形状が分かる。
図2Gは、リフトエンジン102a1の入口可動ルーバ250a1の全開状態及び全閉状態を示す上面図である。左半分の2A'はリフトエンジン102a1の作動状態を表しており、放射状に分割された入口可動ルーバ250a1が入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252a1によって全開となった状態で、その奥には異物吸入防止網236a1が配置されている。逆に右半分の2B'はリフトエンジン102a1の停止状態を表しており、放射状に分割された入口可動ルーバ250a1が入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252a1によって全閉となり、一つの平面を形成している。
図2Hは、リフトエンジン102a1の排気偏向ルーバ254a1の全開状態及び全閉状態を示す下面図である。左半分の2A"はリフトエンジン102a1の作動状態を表しており、放射状に分割された排気偏向ルーバ254a1が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって全開となる。一方、右半分の2B"はリフトエンジン102a1の停止状態を表しており、放射状に分割された排気偏向ルーバ254a1が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって全閉となり、一つの平面を形成している。
図2Iは、リフトエンジン102a1の排出ガスが一つの回転方向に旋回され、その逆回転方向の反力を受ける状態を示す下面図である。排気偏向ルーバ254a1は、排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって出口面に対して全て一様に傾く。この図の例では、全ての排気偏向ルーバ254a1が紙面時計回り方向に傾き、それに沿って白い矢印で示される排出ガス42a1(図の見易さを優先する為に全ての排出ガス42a1は記載していない)が旋回され、その反作用としてリフトエンジン102a1は紙面反時計回り方向への回転反力を受ける。
図2Jは、リフトエンジン102a1の排出ガスが一方向に偏向され、その逆方向の反力を受ける状態を示す下面図である。排気偏向ルーバ254a1は、排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によってその一部が鏡面対称的に傾く。この図の例では、左右に位置する排気偏向ルーバ254a1の一部が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって左右鏡面対称的に紙面上方向に傾いて、それに沿って白い矢印の排出ガス43a1(図の見易さを優先する為に全ての排出ガス43a1は記載していない)が紙面上方向に偏向され、その反作用としてリフトエンジン102a1は紙面下方向への反力を受ける。この際、左右の排気偏向ルーバ254a1によって排出ガス43a1の左右への旋回は相殺され、その結果、リフトエンジン102a1は紙面下方向への反力のみを受ける。
図2Eは、図2Aの作動状態のリフトエンジン102a1の上部水平面2E−2Eに沿った上断面図である。ファン動翼214a1は白い矢印の向きに回転するトランスミッション230a1によって駆動される。
図2Fは、図2Aのリフトエンジン102a1の下部水平面2F−2Fに沿った下断面図であり、タービン動翼204a1とファン静翼218a1のそれぞれを通過したガスが混合するミキサ232a1の形状が分かる。
図2Gは、リフトエンジン102a1の入口可動ルーバ250a1の全開状態及び全閉状態を示す上面図である。左半分の2A'はリフトエンジン102a1の作動状態を表しており、放射状に分割された入口可動ルーバ250a1が入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252a1によって全開となった状態で、その奥には異物吸入防止網236a1が配置されている。逆に右半分の2B'はリフトエンジン102a1の停止状態を表しており、放射状に分割された入口可動ルーバ250a1が入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252a1によって全閉となり、一つの平面を形成している。
図2Hは、リフトエンジン102a1の排気偏向ルーバ254a1の全開状態及び全閉状態を示す下面図である。左半分の2A"はリフトエンジン102a1の作動状態を表しており、放射状に分割された排気偏向ルーバ254a1が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって全開となる。一方、右半分の2B"はリフトエンジン102a1の停止状態を表しており、放射状に分割された排気偏向ルーバ254a1が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって全閉となり、一つの平面を形成している。
図2Iは、リフトエンジン102a1の排出ガスが一つの回転方向に旋回され、その逆回転方向の反力を受ける状態を示す下面図である。排気偏向ルーバ254a1は、排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって出口面に対して全て一様に傾く。この図の例では、全ての排気偏向ルーバ254a1が紙面時計回り方向に傾き、それに沿って白い矢印で示される排出ガス42a1(図の見易さを優先する為に全ての排出ガス42a1は記載していない)が旋回され、その反作用としてリフトエンジン102a1は紙面反時計回り方向への回転反力を受ける。
図2Jは、リフトエンジン102a1の排出ガスが一方向に偏向され、その逆方向の反力を受ける状態を示す下面図である。排気偏向ルーバ254a1は、排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によってその一部が鏡面対称的に傾く。この図の例では、左右に位置する排気偏向ルーバ254a1の一部が排気偏向ルーバ駆動アクチュエータ256a1によって左右鏡面対称的に紙面上方向に傾いて、それに沿って白い矢印の排出ガス43a1(図の見易さを優先する為に全ての排出ガス43a1は記載していない)が紙面上方向に偏向され、その反作用としてリフトエンジン102a1は紙面下方向への反力を受ける。この際、左右の排気偏向ルーバ254a1によって排出ガス43a1の左右への旋回は相殺され、その結果、リフトエンジン102a1は紙面下方向への反力のみを受ける。
図3A及び図3Bは、航空機1aの姿勢制御エンジン106a1の作動状態を示す垂直断面図及び水平断面図である。姿勢制御エンジン106a2〜106a4は姿勢制御エンジン106a1と同じ構造を有する。姿勢制御エンジン106a1は、発生する流体の通路を内在した姿勢制御エンジン用酸化剤分解触媒261a1と、円筒状の姿勢制御ガス発生器300a1と、酸化剤分解物の流れを切替える酸化剤分解物切替弁302a1と、中心軸が互いに直交して内部に絞られた流路を持つ円筒状のエジェクタ304a1a及び304a1bとを具えている。酸化剤10aは、姿勢制御エンジン用酸化剤流量調整弁283a1によって流量を調整された後、姿勢制御ガス発生器300a1内の姿勢制御エンジン用酸化剤分解触媒261a1によって分解され、酸化剤分解物となる。図3Aにおいて、黒い矢印で表された酸化剤分解物の流れ34a1zは、酸化剤分解物切替弁302a1によってその噴出方向が異なるノズル34a1と34a2の一方に切り替えられ(この例では下向きノズル34a1)、エジェクタ304a1aに達する。エジェクタ304a1a内では、高速で噴出する酸化剤分解物の流れ34a1zによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70a1zがエジェクタ304a1aに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71a1zとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106a1にはその反対方向である上向きに反力が働く。又、酸化剤分解物切替弁302a1によって酸化剤分解物の流れ34a1zの噴出方向を逆の上向きに切り替えることで、上向きノズル34a2からの噴出により姿勢制御エンジン106a1に下向きの反力を働かせることもできる。
エジェクタ304a1bによって水平方向への姿勢制御も可能となる。図3Bにおいて、黒い矢印で表された酸化剤分解物の流れ34a1yは、酸化剤分解物切替弁302a1によって噴出方向が異なるノズル34b1と34b2の一方に切り替えられ(この例では下向きノズル34b1)、エジェクタ304a1bに達する。エジェクタ304a1b内では、高速で噴出する酸化剤分解物の流れ34a1yによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70a1yがエジェクタ304a1bに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71a1yとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106a1には、その反対方向である上向きに反力が働く。又、酸化剤分解物切替弁302a1によって酸化剤分解物の流れ34a1yの噴出方向を上向きに切り替えることで、上向きノズル34b2からの噴出により姿勢制御エンジン106a1に下向きの反力を働かせることもできる。この姿勢制御エンジン106a1は、ガス噴出方向が、上、下、左、右の4方向に切り替えられることにより、4方向の推進力を選択できるものである。一方向の推力を得るための基本的な構成は、ノズルとエジェクタとからなる構成である。この基本的な構成は、要するに、姿勢制御ガスをノズルから噴出して所定の方向の推進力を得る第1推力装置と、その第1推力装置の噴出によって周囲ガスである空気をエジェクタに吸入し、両者の混合ガスとして排出して第1推力装置の推進力に加算される推進力を得る第2推力装置と、を具えるものである。
この様に、姿勢制御エンジン106a1は、非圧縮流体である酸化剤の流量の増減によって迅速に反力の増減が可能であり、応答性が良い。また、姿勢制御エンジン106a1は、少量の酸化剤分解物34a1を大量の空気70a1で希釈して排出することによって推力を得る為、排出するガスの温度や速度が低くなり、経済的で安全性が高く騒音も少ない。また、姿勢制御エンジン106a1は、空気が殆どない高空においても、酸化剤分解物34a1の反力により推力を得ることができる。
エジェクタ304a1bによって水平方向への姿勢制御も可能となる。図3Bにおいて、黒い矢印で表された酸化剤分解物の流れ34a1yは、酸化剤分解物切替弁302a1によって噴出方向が異なるノズル34b1と34b2の一方に切り替えられ(この例では下向きノズル34b1)、エジェクタ304a1bに達する。エジェクタ304a1b内では、高速で噴出する酸化剤分解物の流れ34a1yによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70a1yがエジェクタ304a1bに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71a1yとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106a1には、その反対方向である上向きに反力が働く。又、酸化剤分解物切替弁302a1によって酸化剤分解物の流れ34a1yの噴出方向を上向きに切り替えることで、上向きノズル34b2からの噴出により姿勢制御エンジン106a1に下向きの反力を働かせることもできる。この姿勢制御エンジン106a1は、ガス噴出方向が、上、下、左、右の4方向に切り替えられることにより、4方向の推進力を選択できるものである。一方向の推力を得るための基本的な構成は、ノズルとエジェクタとからなる構成である。この基本的な構成は、要するに、姿勢制御ガスをノズルから噴出して所定の方向の推進力を得る第1推力装置と、その第1推力装置の噴出によって周囲ガスである空気をエジェクタに吸入し、両者の混合ガスとして排出して第1推力装置の推進力に加算される推進力を得る第2推力装置と、を具えるものである。
この様に、姿勢制御エンジン106a1は、非圧縮流体である酸化剤の流量の増減によって迅速に反力の増減が可能であり、応答性が良い。また、姿勢制御エンジン106a1は、少量の酸化剤分解物34a1を大量の空気70a1で希釈して排出することによって推力を得る為、排出するガスの温度や速度が低くなり、経済的で安全性が高く騒音も少ない。また、姿勢制御エンジン106a1は、空気が殆どない高空においても、酸化剤分解物34a1の反力により推力を得ることができる。
図4Aは、航空機1aのピッチ軸回り運動を示す側面図である。リフトエンジン102a4及びリフトエンジン102a1によって加速された白い矢印のガス41a4a及び41a1aの流量を、リフトエンジン102a3及び102a2によって加速された白い矢印のガス41a3a及び41a2aの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a1から白い矢印のガス71a1aを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a3から白い矢印のガス71a3aを上向きに排出するか、又はその双方を同時に行うことによって、矢印で示されたピッチ軸回り機首上げの力600aを航空機1aに与えることができる(本図以降、図の見易さを優先する為に各エンジンに吸込まれる空気の流れについては記載しない)。逆に、リフトエンジン102a3及び102a2によって加速された黒い矢印のガス41a3b及び41a2bの流量を、リフトエンジン102a4及び102a1によって加速された黒い矢印のガス41a4b及び41a1bの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a1から黒い矢印のガス71a1bを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a3から黒い矢印のガス71a3bを下向きに排出するか、又はその双方を同時に行うことによって、矢印で示されたピッチ軸回り機首下げの力602aを航空機1aに与えることができる。
図4Bは、航空機1aのヨー軸回り運動の一例を示す上面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い破線矢印のガス42a1c〜42a4cを左回りに旋回させて下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106a1〜106a4から白い矢印の水平面左回りにガス71a1c〜71a4cを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸右回りの力604aを航空機1aに与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から白黒の破線矢印のガス42a1d〜42a4dを右回りに旋回させて下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106a1〜106a4から黒い矢印のガス71a1d〜71a4dを水平面右回りに排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸左回りの力606aを航空機1aに与えることができる。
図4Cは、航空機1aのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102a4と102a3によって加速された白い矢印のガス41a4e及び41a3eの流量を、リフトエンジン102a1と102a2によって加速された白い矢印のガス41a1e及び41a2eの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a2から白い矢印のガス71a2eを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a4から白い矢印のガス71a4eを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aにロール軸回り右ロール(図では左回り)の力608aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1と102a2によって加速された黒い矢印のガス41a1f及び41a2fの流量を、102a4と102a3によって加速された黒い矢印のガス41a4f及び41a3fの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a2から黒い矢印のガス71a2fを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a4から黒い矢印のガス71a4fを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aにロール軸回り左ロール(図では右回り)の力610aを与えることができる。
この様に、航空機1aのピッチ軸及びヨー軸、ロール軸回りの各運動は、リフトエンジン102a1〜102a4による排出ガスの流量及び方向、旋回等の調整と、姿勢制御エンジン106a1〜106a4による排出ガスの流量及び方向等の調整による独立した多重系によって制御が可能であり、その中の1系統が事故等によりその機能を喪失しても、残った他の系統がその機能を補うので、機能の冗長性が高く、高い安全性を有する。
図5A及び図5Bは、航空機1aの前進及び後進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い矢印のガス43a1g〜43a4gを後方下向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a4と106a2から白い矢印のガス71a4gと71a2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1aに前進する力612aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から黒い矢印のガス43a1h〜43a4hを前方下向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a4と106a2から黒い矢印のガス71a4hと71a2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1aに後進する力614aを与えることができる。
図4Bは、航空機1aのヨー軸回り運動の一例を示す上面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い破線矢印のガス42a1c〜42a4cを左回りに旋回させて下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106a1〜106a4から白い矢印の水平面左回りにガス71a1c〜71a4cを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸右回りの力604aを航空機1aに与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から白黒の破線矢印のガス42a1d〜42a4dを右回りに旋回させて下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106a1〜106a4から黒い矢印のガス71a1d〜71a4dを水平面右回りに排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸左回りの力606aを航空機1aに与えることができる。
図4Cは、航空機1aのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102a4と102a3によって加速された白い矢印のガス41a4e及び41a3eの流量を、リフトエンジン102a1と102a2によって加速された白い矢印のガス41a1e及び41a2eの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a2から白い矢印のガス71a2eを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a4から白い矢印のガス71a4eを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aにロール軸回り右ロール(図では左回り)の力608aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1と102a2によって加速された黒い矢印のガス41a1f及び41a2fの流量を、102a4と102a3によって加速された黒い矢印のガス41a4f及び41a3fの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106a2から黒い矢印のガス71a2fを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106a4から黒い矢印のガス71a4fを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aにロール軸回り左ロール(図では右回り)の力610aを与えることができる。
この様に、航空機1aのピッチ軸及びヨー軸、ロール軸回りの各運動は、リフトエンジン102a1〜102a4による排出ガスの流量及び方向、旋回等の調整と、姿勢制御エンジン106a1〜106a4による排出ガスの流量及び方向等の調整による独立した多重系によって制御が可能であり、その中の1系統が事故等によりその機能を喪失しても、残った他の系統がその機能を補うので、機能の冗長性が高く、高い安全性を有する。
図5A及び図5Bは、航空機1aの前進及び後進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い矢印のガス43a1g〜43a4gを後方下向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a4と106a2から白い矢印のガス71a4gと71a2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1aに前進する力612aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から黒い矢印のガス43a1h〜43a4hを前方下向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a4と106a2から黒い矢印のガス71a4hと71a2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1aに後進する力614aを与えることができる。
図5C及び図5Dは、航空機1aの右進及び左進運動を示す正面図及び上面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い矢印のガス43a1i〜43a4iを下方左向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1と106a3から白い矢印のガス71a1iと71a3iを左向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに右進する力616aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から黒い矢印のガス43a1j〜43a4jを下方右向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1と106a3から黒い矢印のガス71a1jと71a3jを右向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに左進する力618aを与えることができる。
図5E及び図5Fは、航空機1aの上昇及び下降を示す正面図及び側面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い矢印のガス41a1k〜41a4kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1〜106a4から白い矢印のガス71a1k〜71a4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに上昇する力620aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から黒い矢印のガス41a1l〜41a4lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1〜106a4から黒い矢印のガス71a1l〜71a4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに下降する力622aを与えることができる。
この様に、航空機1aの前後、左右及び上下のロール軸、ピッチ軸及びヨー軸に沿った各運動は、リフトエンジン102a1〜102a4による排出ガスの流量及び方向、旋回や偏向の方向等の調整と、姿勢制御エンジン106a1〜106a4による排出ガスの流量及び方向等の調整による独立した多重系によって制御が可能であり、その中の1系統が事故等によりその機能を喪失しても、残った他の系統がその機能を補うので、機能の冗長性が高く、高い安全性を有する。
図5E及び図5Fは、航空機1aの上昇及び下降を示す正面図及び側面図である。リフトエンジン102a1〜102a4から白い矢印のガス41a1k〜41a4kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1〜106a4から白い矢印のガス71a1k〜71a4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに上昇する力620aを与えることができる。逆に、リフトエンジン102a1〜102a4から黒い矢印のガス41a1l〜41a4lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106a1〜106a4から黒い矢印のガス71a1l〜71a4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1aに下降する力622aを与えることができる。
この様に、航空機1aの前後、左右及び上下のロール軸、ピッチ軸及びヨー軸に沿った各運動は、リフトエンジン102a1〜102a4による排出ガスの流量及び方向、旋回や偏向の方向等の調整と、姿勢制御エンジン106a1〜106a4による排出ガスの流量及び方向等の調整による独立した多重系によって制御が可能であり、その中の1系統が事故等によりその機能を喪失しても、残った他の系統がその機能を補うので、機能の冗長性が高く、高い安全性を有する。
図6A〜図6Cは、空中で酸化剤を補給する空中給液プローブ126a、空中で燃料を補給する空中給油プローブ128a、外部酸化剤タンク130a1及び130a2、及び外部燃料タンク132a1及び132a2を装着した航空機1aの地上待機状態での上面図、側面図及び正面図をそれぞれ示している。空中給液プローブ126aや空中給油プローブ128a、外部酸化剤タンク130a、外部燃料タンク132aを設けることによって、航空機1aの航続距離の延長や搭載ペイロードの増加等が可能になる。
図7A〜図7Cは、航空機1aの垂直離着陸時において、1つのリフトエンジン(この例では104a1)が停止した状態における上面図、側面図及び正面図をそれぞれ例示している。この場合、航空機1aが停止したリフトエンジン104a1を補ってバランスを保つ様に残りのリフトエンジン102a2〜102a4から白い矢印のガス43a2m〜43a4mを偏向して多量に排出するか、姿勢制御エンジン106a1及び106a2から白い矢印のガス71a1m及び71a2mを下向きに、姿勢制御エンジン106a3及び106a4から白い矢印のガス71a3m及び71a4mを上向きに排出するか、又はその双方によって、1つのリフトエンジン104Aが停止した状態であっても航空機1aは安全な離着陸を継続することができる。
図8A〜図8Cは、航空機1aの垂直離陸及び着陸を説明するのに役立つ、部分断面を含む側面図及び上面図である。四角で囲んだ数字1〜10は航空機1aの垂直離陸及び着陸状態の過程を各々示している。
図8Aにおいて、航空機1aは、平地等388の上(400a)からリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41a1n〜41a4nを下方へ排出することによって上昇し(406a)、所定の離陸高度700に達する(418a)。そして、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1o〜43a4oを下後方へ偏向させて排出して前進上昇に移り、飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1a〜45a2aを排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス43a1p〜43a4pの流量を減じながら下後方へ偏向させて排出して前上方へ上昇(422a)する。その後、翼に十分な揚力が発生した後でリフトエンジンを停止させ飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1b〜45a2bを排出して通常の上昇(424a)を行う。
図8Bは、航空機1aの垂直離着陸時において、上空の風向きが変化した場合を示す上面図である。垂直離着陸中に白い幅広の矢印で示す風向き90が急に変化しても、438aの様にすぐに機首を風上に向けることによって、横風に煽られることなく安全で、風に正対した最適な離着陸を行うことができる。
図8Cにおいて、航空機1aは飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1c〜45a2cを排出して通常の下降を行い(426a)、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1q〜43a4qの流量を増しながら下前方へ偏向させて排出すると共に飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1d〜45a2dを減じながら排出して前下方へ下降し(422a)、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1r〜43a4rの流量を更に増しながら下方へ排出させると共に飛行用エンジンを停止させて所定の着陸高度702に達する(420a)。その後、リフトエンジンから白い矢印のガス41a1s〜41a4sの流量を調整しながら下降(414a)し、平地等388の上に着陸する(400a)。
図8Aにおいて、航空機1aは、平地等388の上(400a)からリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41a1n〜41a4nを下方へ排出することによって上昇し(406a)、所定の離陸高度700に達する(418a)。そして、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1o〜43a4oを下後方へ偏向させて排出して前進上昇に移り、飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1a〜45a2aを排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス43a1p〜43a4pの流量を減じながら下後方へ偏向させて排出して前上方へ上昇(422a)する。その後、翼に十分な揚力が発生した後でリフトエンジンを停止させ飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1b〜45a2bを排出して通常の上昇(424a)を行う。
図8Bは、航空機1aの垂直離着陸時において、上空の風向きが変化した場合を示す上面図である。垂直離着陸中に白い幅広の矢印で示す風向き90が急に変化しても、438aの様にすぐに機首を風上に向けることによって、横風に煽られることなく安全で、風に正対した最適な離着陸を行うことができる。
図8Cにおいて、航空機1aは飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1c〜45a2cを排出して通常の下降を行い(426a)、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1q〜43a4qの流量を増しながら下前方へ偏向させて排出すると共に飛行用エンジンから白い矢印のガス45a1d〜45a2dを減じながら排出して前下方へ下降し(422a)、リフトエンジンから白い矢印のガス43a1r〜43a4rの流量を更に増しながら下方へ排出させると共に飛行用エンジンを停止させて所定の着陸高度702に達する(420a)。その後、リフトエンジンから白い矢印のガス41a1s〜41a4sの流量を調整しながら下降(414a)し、平地等388の上に着陸する(400a)。
図9Aは、航空機1aのVTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から垂直に離陸(406a)し、巡航飛行(428a)をした後、平地等388の上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。
図9Bは、航空機1aの短距離離陸垂直着陸(STOVL: Short Take-Off and Vertical Landing)機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から短距離の滑走で離陸(410a)することによって、VTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)ができ、その後、平地等388の上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載したり、燃料及び酸化剤の搭載量をより節約したりすることもできる。
図9Cは、航空機1aの飛行途中で空中で給油や給液を受けるVTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から必要最小限の燃料と酸化剤によって垂直に離陸(406a)して巡航飛行(428a)の途中、空中給油給液機434から燃料と酸化剤の補給を受ける(430a)ことによってVTOL機としての運用に比べて長距離の飛行を行った後、平地等388の上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載することができる。
図9Dは、航空機1aの外部酸化剤タンク及び外部燃料タンクを利用したVTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(402a)から外部燃料タンクと外部酸化剤タンクに入った燃料と酸化剤によって垂直に離陸(408a)した後、外部燃料タンクと外部酸化剤タンクを投棄(436a)してVTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)をした後、水面等390の上の艦船等386aの上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。
図9Eは、航空機1aの高機動飛行等を行う垂直離陸通常着陸(VTOCL: Vertical Take-Off and Conventional Landing)機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から垂直に離陸(406a)して巡航飛行(428a)後、リフトエンジンと姿勢制御エンジンを用いて高迎角飛行や失速速度以下での高機動飛行、空気の希薄な高層大気中での飛行等(432a)をした後、平地等388の上へ通常滑走して着陸(416a)する様子を表している。
図9Fは、航空機1aのCTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から通常滑走して離陸(412a)してVTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)をした後、平地等388の上へ通常滑走して着陸(416a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載することもできる。
この様に、航空機1aは一般の航空機と同じ離着陸も可能なので、リフトエンジンや姿勢制御エンジンが複数故障した場合でも、安全に離着陸が可能である。
図9Bは、航空機1aの短距離離陸垂直着陸(STOVL: Short Take-Off and Vertical Landing)機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から短距離の滑走で離陸(410a)することによって、VTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)ができ、その後、平地等388の上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載したり、燃料及び酸化剤の搭載量をより節約したりすることもできる。
図9Cは、航空機1aの飛行途中で空中で給油や給液を受けるVTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から必要最小限の燃料と酸化剤によって垂直に離陸(406a)して巡航飛行(428a)の途中、空中給油給液機434から燃料と酸化剤の補給を受ける(430a)ことによってVTOL機としての運用に比べて長距離の飛行を行った後、平地等388の上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載することができる。
図9Dは、航空機1aの外部酸化剤タンク及び外部燃料タンクを利用したVTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(402a)から外部燃料タンクと外部酸化剤タンクに入った燃料と酸化剤によって垂直に離陸(408a)した後、外部燃料タンクと外部酸化剤タンクを投棄(436a)してVTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)をした後、水面等390の上の艦船等386aの上へ垂直に着陸(414a)する様子を表している。
図9Eは、航空機1aの高機動飛行等を行う垂直離陸通常着陸(VTOCL: Vertical Take-Off and Conventional Landing)機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から垂直に離陸(406a)して巡航飛行(428a)後、リフトエンジンと姿勢制御エンジンを用いて高迎角飛行や失速速度以下での高機動飛行、空気の希薄な高層大気中での飛行等(432a)をした後、平地等388の上へ通常滑走して着陸(416a)する様子を表している。
図9Fは、航空機1aのCTOL機としての運用方法を示す側面図である。平地等388の上(400a)から通常滑走して離陸(412a)してVTOL機としての運用に比べて長距離の巡航飛行(428a)をした後、平地等388の上へ通常滑走して着陸(416a)する様子を表している。また、VTOL機としての運用と同じ距離の巡航飛行を行う場合、VTOL機としての運用に比べてより多くのペイロードを積載することもできる。
この様に、航空機1aは一般の航空機と同じ離着陸も可能なので、リフトエンジンや姿勢制御エンジンが複数故障した場合でも、安全に離着陸が可能である。
図10は、航空機1aの流体及び電気系統のブロック図である。航空機1aにおいて、外部酸化剤タンク130a内や予め又は空中給液プローブ126aを介して酸化剤タンク108a内に貯蔵された酸化剤10aは、酸化剤加圧装置280aによって加圧され、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282a1〜282a4や姿勢制御エンジン用酸化剤流量調整弁283a1〜283a4を経て、リフトエンジン102a1〜102a4のタービン駆動ガス発生器200a1〜200a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4の姿勢制御ガス発生器300a1〜300a4へ供給される。一方、外部燃料タンク132a内や予め又は空中給油プローブ128aを介して燃料タンク110a内に貯蔵された燃料11aは、燃料加圧装置284aによって加圧され、リフトエンジン用燃料流量調整弁286a1〜286a4を経て、リフトエンジン102a1〜102a4のタービン駆動ガス発生器200a1〜200a4及び飛行用エンジン116a及び補助動力装置122aへ供給される。リフトエンジン102a2〜102a4の構造はリフトエンジン102a1と同じである為、ここではリフトエンジン102a1について説明を行う。リフトエンジン102a1では、タービン駆動ガス発生器200a1で発生したタービン駆動ガス20a1がタービン202a1を駆動した後、ミキサ232a1に達する。タービン202a1で得られた動力は、シャフト224a1を介してトランスミッション230a1と回転制御モータ兼発電機234a1を駆動する。トランスミッション230a1はファン212a1を駆動する。ファン212a1は入口可動ルーバ250a1と異物吸入防止網236a1を通過して周囲の空気40a1を吸い込む。その後、ファン212a1で加圧された空気21a1はノズル222a1に達する。ノズル222a1で空気21a1はその圧力を速度に変換して加速し、ミキサ232a1に達する。ミキサ232a1ではタービン駆動ガス20a1と空気21a1の一部が混合され、排気偏向ルーバ254a1を通過して排出される(41a1)ことによって、リフトエンジン102a1に反力を発生させる。周囲空気40a1中の大きな異物は異物吸入防止網236a1で捕獲されるが、その影響でファンのストール又はサージが発生しない様、回転制御モータ兼発電機234a1によってタービン202a1の負荷を調整する。タービン駆動ガス20a1が発生しなくなった場合には、一時的に回転制御モータ兼発電機234a1によって、ファン212a1を駆動し、航空機1aを可能な限り安全に着陸させる。
姿勢制御エンジン106a2〜106a4の構造は姿勢制御エンジン106a1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106a1について説明を行う。姿勢制御エンジン106a1では、姿勢制御ガス発生器300a1で発生した酸化剤分解物34a1が酸化剤分解物切替弁302a1により流路を変更した後、エジェクタ304a1で周囲の空気70a1を吸込んで排出される(71a1)ことによって、反力が発生する。
指令装置290aは、機体等の諸状態を検知するセンサ292aの情報に応じてコンピュータ114aに指令を与える。コンピュータ114aはその指令に従って、制御信号81aによりリフトエンジン102a1〜102a4、姿勢制御エンジン106a1〜106a4、飛行用エンジン116a、補助動力装置122a、点火装置288a、操舵装置294a等を制御する。点火装置288aは点火器226a1〜226a4に対して点火信号80aを発し、タービン駆動ガス発生器200a1〜200a4を点火する。
姿勢制御エンジン106a2〜106a4の構造は姿勢制御エンジン106a1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106a1について説明を行う。姿勢制御エンジン106a1では、姿勢制御ガス発生器300a1で発生した酸化剤分解物34a1が酸化剤分解物切替弁302a1により流路を変更した後、エジェクタ304a1で周囲の空気70a1を吸込んで排出される(71a1)ことによって、反力が発生する。
指令装置290aは、機体等の諸状態を検知するセンサ292aの情報に応じてコンピュータ114aに指令を与える。コンピュータ114aはその指令に従って、制御信号81aによりリフトエンジン102a1〜102a4、姿勢制御エンジン106a1〜106a4、飛行用エンジン116a、補助動力装置122a、点火装置288a、操舵装置294a等を制御する。点火装置288aは点火器226a1〜226a4に対して点火信号80aを発し、タービン駆動ガス発生器200a1〜200a4を点火する。
酸化剤及び燃料は、保存性及び貯蔵性の面で常温で高密度の液体であることが好ましいが、他の実施形態で説明する様にこれに限定されない。液体の酸化剤及び燃料を用いることによって、これらをエンジン102a1〜102a4及び姿勢制御エンジン106a1〜106a4へ導く配管等の容積が小さくなり、システム配置の自由度も向上する。
酸化剤の種類には、例えば、過酸化水素や硝酸、赤煙硝酸、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素、亜酸化窒素、混合窒素酸化物、三弗化塩素、弗化塩素酸等及びこれらの水溶液又は油溶液等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質を一切発生しないので好ましい。様々な濃度の過酸化水素水溶液が使用できるが、その中でも重量濃度が3〜70重量%の過酸化水素水溶液は、危険性が低く取扱いも容易である。高密度で貯蔵性もあり、入手し易い為にコストも低い。
リフトエンジン用酸化剤分解触媒260a及び姿勢制御エンジン用酸化剤分解触媒261aについては、使用する酸化剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、酸化剤が過酸化水素又はその水溶液であった場合には、白金やパラジウム等の白金族やマンガン酸化物等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を酸化剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
燃料の種類には、エチルアルコール及びメチルアルコール等のアルコール類及びその水溶液、ジェット燃料等の炭化水素燃料(GTL: Gas To Liquid fuelを含む)、モノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液、エチレンジアミン等のアミン類、ジボラン及びペンタボラン等のボラン類及びその水溶液及び油溶液、ジメチルエーテル等のエーテル類、アルデヒド類及びその水溶液、プロピレン類及びその水溶液、ケトン類及びその水溶液、ベンゼン類、キシレン類、トルエン類、酢酸類、ピリジン類、エステル類及びその水溶液、プロピオン酸類及びその水溶液、アクリル酸類及びその水溶液、クレオソート油類、アリニン類、ニトロベンゼン類、エチレングリコール類及びその水溶液、グリセリン類及びその水溶液、アンモニア及びその水溶液、可燃性油脂類等に加え、これらを適当に混合した燃料等がある。特に、バイオアルコール類及びその水溶液は、炭酸ガスを含む環境汚染物質を一切発生しない(1997年12月に京都開催の気候変動枠組条約第3回締約国会議の特別ルールによれば、植物類の炭酸同化作用による二酸化炭素の再放出は新たな二酸化炭素の生産とは見なされない:カーボンニュートラル)ので好ましい。灯油及びガソリン等の炭化水素燃料は、危険性が低く取扱いが容易で入手し易いのでコストも低い。近年、これらの炭化水素燃料はGTL燃料として、埋蔵量の豊富な天然ガス等の原料からも生産され始めている。
なお、第1の実施の形態においては、第1推力装置としてタービンを、第2推力装置としてファンとノズルを用いたが、その代わりに双方または一方の装置を前記ガス発生器からのガスによって動作する往復運動機関に置き換えても良い。
酸化剤の種類には、例えば、過酸化水素や硝酸、赤煙硝酸、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素、亜酸化窒素、混合窒素酸化物、三弗化塩素、弗化塩素酸等及びこれらの水溶液又は油溶液等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質を一切発生しないので好ましい。様々な濃度の過酸化水素水溶液が使用できるが、その中でも重量濃度が3〜70重量%の過酸化水素水溶液は、危険性が低く取扱いも容易である。高密度で貯蔵性もあり、入手し易い為にコストも低い。
リフトエンジン用酸化剤分解触媒260a及び姿勢制御エンジン用酸化剤分解触媒261aについては、使用する酸化剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、酸化剤が過酸化水素又はその水溶液であった場合には、白金やパラジウム等の白金族やマンガン酸化物等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を酸化剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
燃料の種類には、エチルアルコール及びメチルアルコール等のアルコール類及びその水溶液、ジェット燃料等の炭化水素燃料(GTL: Gas To Liquid fuelを含む)、モノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液、エチレンジアミン等のアミン類、ジボラン及びペンタボラン等のボラン類及びその水溶液及び油溶液、ジメチルエーテル等のエーテル類、アルデヒド類及びその水溶液、プロピレン類及びその水溶液、ケトン類及びその水溶液、ベンゼン類、キシレン類、トルエン類、酢酸類、ピリジン類、エステル類及びその水溶液、プロピオン酸類及びその水溶液、アクリル酸類及びその水溶液、クレオソート油類、アリニン類、ニトロベンゼン類、エチレングリコール類及びその水溶液、グリセリン類及びその水溶液、アンモニア及びその水溶液、可燃性油脂類等に加え、これらを適当に混合した燃料等がある。特に、バイオアルコール類及びその水溶液は、炭酸ガスを含む環境汚染物質を一切発生しない(1997年12月に京都開催の気候変動枠組条約第3回締約国会議の特別ルールによれば、植物類の炭酸同化作用による二酸化炭素の再放出は新たな二酸化炭素の生産とは見なされない:カーボンニュートラル)ので好ましい。灯油及びガソリン等の炭化水素燃料は、危険性が低く取扱いが容易で入手し易いのでコストも低い。近年、これらの炭化水素燃料はGTL燃料として、埋蔵量の豊富な天然ガス等の原料からも生産され始めている。
なお、第1の実施の形態においては、第1推力装置としてタービンを、第2推力装置としてファンとノズルを用いたが、その代わりに双方または一方の装置を前記ガス発生器からのガスによって動作する往復運動機関に置き換えても良い。
第2の実施形態
図11A〜図11Cは、本発明の第2の実施形態による垂直離着陸が可能な航空機1bの垂直離着陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、11B−11Bに沿って切欠いた側断面図、及び正面図と11C−11Cに沿って切欠いた正断面図をそれぞれ示している。航空機1bは、航空機として既知の、飛行用エンジン116b1〜116b2、補助動力装置122b、ペイロード124b、燃料タンク110b等の一般的な構成要素を包括する機体100bに加え、本発明による、短円筒状のリフトエンジン102b1〜102b4と、直交する2つの円筒を組合せた形状の姿勢制御エンジン106b1〜106b4と、球状の反応剤タンク178bと、直方体状のコンピュータ114bとを具えている。
この実施形態は、第1の実施形態と駆動ガスの発生方法が異なる。即ち、第1の実施形態が酸化剤と燃料の反応によって駆動ガスを発生していたのに対して、第2の実施形態では反応剤の反応によって駆動ガスを発生している。その他の部分は第1の実施形態と同じで同様の利点がある。
図11A〜図11Cは、本発明の第2の実施形態による垂直離着陸が可能な航空機1bの垂直離着陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、11B−11Bに沿って切欠いた側断面図、及び正面図と11C−11Cに沿って切欠いた正断面図をそれぞれ示している。航空機1bは、航空機として既知の、飛行用エンジン116b1〜116b2、補助動力装置122b、ペイロード124b、燃料タンク110b等の一般的な構成要素を包括する機体100bに加え、本発明による、短円筒状のリフトエンジン102b1〜102b4と、直交する2つの円筒を組合せた形状の姿勢制御エンジン106b1〜106b4と、球状の反応剤タンク178bと、直方体状のコンピュータ114bとを具えている。
この実施形態は、第1の実施形態と駆動ガスの発生方法が異なる。即ち、第1の実施形態が酸化剤と燃料の反応によって駆動ガスを発生していたのに対して、第2の実施形態では反応剤の反応によって駆動ガスを発生している。その他の部分は第1の実施形態と同じで同様の利点がある。
図12Aは、航空機1bの作動状態におけるリフトエンジン102b1の垂直断面図を示している。リフトエンジン102b2〜102b4はリフトエンジン102b1と同じ構造を有する。図において、リフトエンジン102b1の構造は基本的に回転対称であり、図を簡明にするために同じ各要素には同じ系列の符号を付している。リフトエンジン102b1は、第1の実施形態のリフトエンジン102a1と同様に、黒い矢印で示されるタービンを駆動するガス20b1を発生させる垂直な中心軸を有し下向きに円環状の開口を有する円環(アニュラ)型のタービン駆動ガス発生器200b1と、ガス20b1を増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208b1と、ガス20b1から機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204b1と、タービン動翼204b1が破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210b1と、周囲の空気を吸込んで加速する同軸的な放射状の複数のファン動翼214b1と、白い矢印で示される吸込んだ空気21b1の速度を圧力に変換する同軸的な放射状の複数のファン静翼218b1と、ファン動翼214b1が破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220b1と、ファンケース220b1内に設けられ空気21b1を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220b1)と切頭円錐(タービンケース210b1)間で形成されるノズル222b1と、タービン動翼204b1によって回転される中心軸上のシャフト224b1と、シャフト224b1からの回転をファン動翼214b1に伝達する回転対称に歯車類が組み合わされたトランスミッション230b1と、タービンを駆動したガス20b1と吸入された空気21b1を混合させて排出ガスの温度と速度を均一にする径方向に波打つひだ状のローブ型のミキサ232b1と、発電機や電動機として作動する円柱状の回転制御モータ兼発電機234b1と、大型の飛来物がファン動翼214b1に吸込まれるのを防止する網状の異物吸込防止網236b1と、収納時には翼及び機体の上面を成し展開時には吸入された空気21b1の通路となる放射状に配置された扇形状の複数の入口可動ルーバ250b1と、その入口可動ルーバ250b1を駆動する円柱状の複数の入口可動ルーバ駆動アクチュエータ252b1と、収納時には翼及び機体の下面を成し展開時には排出ガス41b1の通路と成りかつその排出方向を個々に自在にコントロールする放射状に配置された扇形状の複数の排気偏向ルーバ254b1と、その推力偏向ルーバ254b1を駆動する円柱状の複数の推力偏向ルーバ駆動アクチュエータ256b1とを具えている。
リフトエンジン102b1の動作はリフトエンジン102a1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
図12Bは、図12Aの作動状態のリフトエンジン102b1のタービン駆動ガス発生器200b1の右側部分拡大垂直断面図である。ガス発生器200b1は、発生する流体の通路を内在したリフトエンジン用反応剤分解触媒308b1と、管状の反応剤加熱流路310b1と、環状の反応室270b1とを具えている。反応剤12bは、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314b1によって流量を調整された後、反応剤加熱流路310b1を通過して反応剤分解物33b1と熱交換を行って予熱され、リフトエンジン用反応剤分解触媒308b1で反応剤分解物33b1に分解され、反応剤加熱流路310b1を通して反応剤12bを加熱して反応室270b1に達し、タービン駆動ガス20b1となって通過する。
リフトエンジン102b1の動作はリフトエンジン102a1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
リフトエンジン102b1の動作はリフトエンジン102a1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
図12Bは、図12Aの作動状態のリフトエンジン102b1のタービン駆動ガス発生器200b1の右側部分拡大垂直断面図である。ガス発生器200b1は、発生する流体の通路を内在したリフトエンジン用反応剤分解触媒308b1と、管状の反応剤加熱流路310b1と、環状の反応室270b1とを具えている。反応剤12bは、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314b1によって流量を調整された後、反応剤加熱流路310b1を通過して反応剤分解物33b1と熱交換を行って予熱され、リフトエンジン用反応剤分解触媒308b1で反応剤分解物33b1に分解され、反応剤加熱流路310b1を通して反応剤12bを加熱して反応室270b1に達し、タービン駆動ガス20b1となって通過する。
リフトエンジン102b1の動作はリフトエンジン102a1と同様であるから、ここでは説明を省略する。
図13A及び図13Bは、航空機1bの姿勢制御エンジン106b1の作動状態を示す垂直断面図及び水平断面図である。姿勢制御エンジン106b2〜106b4は姿勢制御エンジン106b1と同じ構造を有する。姿勢制御エンジン106b1は、発生する流体の通路を内在した姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309b1と、円筒状の姿勢制御ガス発生器300b1と、反応剤分解物の流れを切替える反応剤分解物切替弁316b1と、中心軸が互いに直交して内部に絞られた流路を持つ円筒状のエジェクタ304b1a及び304b1bとを具えている。反応剤12bは、姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315b1によって流量を調整された後、姿勢制御ガス発生器300b1内の姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309b1によって分解され、反応剤分解物となる。図13Aにおいて、黒い矢印で表された反応剤分解物の流れ35b1zは、反応剤分解物切替弁316b1によってその噴出方向を切り替えられ(この例では下向き)、エジェクタ304b1aに達する。エジェクタ304b1a内では、高速で噴出する反応剤分解物の流れ35b1zによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70b1zがエジェクタ304b1aに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71b1zとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106b1にはその反対方向である上向きに反力が働く。又、反応剤分解物切替弁316b1によって反応剤分解物の流れ35b1zの噴出方向を上向きに切り替えることで、姿勢制御エンジン106b1に下向きの反力を働かせることもできる。
エジェクタ304b1bによって水平方向への姿勢制御も可能となる。図13Bにおいて、黒い矢印で表された反応剤分解物の流れ35b1yは、反応剤分解物切替弁316b1によって噴出方向を切り替えられ(この例では下向き)、エジェクタ304b1bに達する。エジェクタ304b1b内では、高速で噴出する反応剤分解物の流れ35b1yによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70b1yがエジェクタ304b1bに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71b1yとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106b1には、その反対方向である上向きに反力が働く。又、反応剤分解物切替弁316b1によって反応剤分解物の流れ35b1yの噴出方向を上向きに切り替えることで、姿勢制御エンジン106b1に下向きの反力を働かせることもできる。
姿勢制御エンジン106b1の動作は、姿勢制御エンジン106a1とは姿勢制御ガスの発生方法が異なるだけで、それ以外の動作は同様である。
エジェクタ304b1bによって水平方向への姿勢制御も可能となる。図13Bにおいて、黒い矢印で表された反応剤分解物の流れ35b1yは、反応剤分解物切替弁316b1によって噴出方向を切り替えられ(この例では下向き)、エジェクタ304b1bに達する。エジェクタ304b1b内では、高速で噴出する反応剤分解物の流れ35b1yによって白い幅広の矢印で表された周囲の空気70b1yがエジェクタ304b1bに吸入され、白い矢印で表された両者の混合ガス71b1yとなって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106b1には、その反対方向である上向きに反力が働く。又、反応剤分解物切替弁316b1によって反応剤分解物の流れ35b1yの噴出方向を上向きに切り替えることで、姿勢制御エンジン106b1に下向きの反力を働かせることもできる。
姿勢制御エンジン106b1の動作は、姿勢制御エンジン106a1とは姿勢制御ガスの発生方法が異なるだけで、それ以外の動作は同様である。
図14は、航空機1bの流体及び電気系統のブロック図である。航空機1bにおいて、外部反応剤タンク188b内や予め又は空中給液プローブ127bを介して反応剤タンク178b内に貯蔵された反応剤12bは、反応剤加圧装置312bによって加圧され、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314b1〜314b4や姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315b1〜315b4を経て、リフトエンジン102b1〜102b4のタービン駆動ガス発生器200b1〜200b4及び姿勢制御エンジン106b1〜106b4の姿勢制御ガス発生器300b1〜300b4へ供給される。一方、外部燃料タンク132b内や予め又は空中給油プローブ128bを介して燃料タンク110b内に貯蔵された燃料11bは、燃料加圧装置284bによって加圧され、飛行用エンジン116b及び補助動力装置122bへ供給される。リフトエンジン102b2〜102b4の構造はリフトエンジン102b1と同じである為、ここではリフトエンジン102b1について説明を行う。リフトエンジン102b1では、タービン駆動ガス発生器200b1で発生したタービン駆動ガス20b1がタービン202b1を駆動した後、ミキサ232b1に達する。タービン202b1で得られた動力は、シャフト224b1を介してトランスミッション230b1と回転制御モータ兼発電機234b1を駆動する。トランスミッション230b1はファン212b1を駆動する。ファン212b1は入口可動ルーバ250b1と異物吸入防止網236b1を通過して周囲の空気40b1を吸い込む。その後、ファン212b1で加圧された空気21b1はノズル222b1に達する。ノズル222b1で空気21b1はその圧力を速度に変換して加速し、ミキサ232b1に達する。ミキサ232b1ではタービン駆動ガス20b1と空気21b1の一部が混合され、排気偏向ルーバ254b1を通過して排出される(41b1)ことによって、リフトエンジン102a1に反力を発生させる。周囲空気40b1中の大きな異物は異物吸入防止網236b1で捕獲されるが、その影響でファンのストール又はサージが発生しない様、回転制御モータ兼発電機234b1によってタービン202b1の負荷を調整する。タービン駆動ガス20b1が発生しなくなった場合には、一時的に回転制御モータ兼発電機234b1によって、ファン212b1を駆動し、航空機1bを可能な限り安全に着陸させる。
姿勢制御エンジン106b2〜106b4の構造は姿勢制御エンジン106b1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106b1について説明を行う。姿勢制御エンジン106b1は、姿勢制御ガス発生器300b1で発生した反応剤分解物35b1が反応剤分解物切替弁316b1により流路を変更した後、エジェクタ304b1で周囲の空気70b1を吸込んで排出される(71b1)ことによって、反力が発生する。
その他の流体及び電気系統のその他の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
姿勢制御エンジン106b2〜106b4の構造は姿勢制御エンジン106b1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106b1について説明を行う。姿勢制御エンジン106b1は、姿勢制御ガス発生器300b1で発生した反応剤分解物35b1が反応剤分解物切替弁316b1により流路を変更した後、エジェクタ304b1で周囲の空気70b1を吸込んで排出される(71b1)ことによって、反力が発生する。
その他の流体及び電気系統のその他の動作は、第1の実施形態の場合と同様である。
反応剤は、保存性及び貯蔵性の面で常温で高密度の液体であることが好ましいが、他の実施形態も繰り返し述べる通りこれに限定されない。液体の反応剤を用いることによって配管等の容積が小さくなり、システム配置の自由度も向上する。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素、ヒドラジン及びその誘導体、酸化エチレン、n-プロピルナイトレート、エチルナイトレート、メチルナイトレート、ニトロメタン、テトロナイトロメタン、ニトログリセリン等及びその水溶液又は油溶液、水等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質及び環境汚染物質を一切発生しないので好ましい。中でも重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液は比較的危険性が低くて取り扱いも容易である。より高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素(HTP: High Test Peroxide)も、適切に取扱うことで実用に供することができる。
リフトエンジン用反応剤分解触媒308b及び姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309bについては、使用する反応剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、反応剤が過酸化水素やヒドラジン類であった場合には、イリジウムやロジウム等の白金族等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を反応剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素、ヒドラジン及びその誘導体、酸化エチレン、n-プロピルナイトレート、エチルナイトレート、メチルナイトレート、ニトロメタン、テトロナイトロメタン、ニトログリセリン等及びその水溶液又は油溶液、水等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質及び環境汚染物質を一切発生しないので好ましい。中でも重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液は比較的危険性が低くて取り扱いも容易である。より高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素(HTP: High Test Peroxide)も、適切に取扱うことで実用に供することができる。
リフトエンジン用反応剤分解触媒308b及び姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309bについては、使用する反応剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、反応剤が過酸化水素やヒドラジン類であった場合には、イリジウムやロジウム等の白金族等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を反応剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
第3の実施形態
図15A〜図15Cは、本発明の第3の実施形態による飛行体との着脱と垂直離着陸が可能な航空機1cの地上待機時における上面図と右半分を切欠いた上面図、15B−15Bに沿って切欠いた側断面図、及び15C−15Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1cは、航空機として既知の一般的な構成要素を包括する機体100cに加え、本発明による、ディスク状のリフトエンジン102c1〜102c4と、円筒状の姿勢制御エンジン106c1〜106c4と、直方体状のコンピュータ114cと、直方体枠状の着脱装置134cと、両端部が半球状で中央部が円筒状の反応剤タンク178cと、両端部が半球状で中央部が円筒状の分解剤タンク190cとを具えている。
図15A〜図15Cは、本発明の第3の実施形態による飛行体との着脱と垂直離着陸が可能な航空機1cの地上待機時における上面図と右半分を切欠いた上面図、15B−15Bに沿って切欠いた側断面図、及び15C−15Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1cは、航空機として既知の一般的な構成要素を包括する機体100cに加え、本発明による、ディスク状のリフトエンジン102c1〜102c4と、円筒状の姿勢制御エンジン106c1〜106c4と、直方体状のコンピュータ114cと、直方体枠状の着脱装置134cと、両端部が半球状で中央部が円筒状の反応剤タンク178cと、両端部が半球状で中央部が円筒状の分解剤タンク190cとを具えている。
図16Aは、作動状態における航空機1cのリフトエンジン102c1の垂直断面図を示している。リフトエンジン102c2〜102c4はリフトエンジン102c1と同じ構造を有する。図において、リフトエンジン102c1の構造は基本的に回転対称であり、図を簡明にするために同じ各要素には同じ系列の符号を付している。リフトエンジン102c1は、第1の実施形態と同様に、黒い矢印で示されるタービンを駆動するガス20c1を発生させる垂直な中心軸を有し下向きに円環状の開口を有する円環(アニュラ)型のタービン駆動ガス発生器200c1と、ガス20c1を増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208c1と、ガス20c1から機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204c1と、タービン動翼204c1が破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210c1と、周囲の空気を吸込んで加速する同軸的な放射状の複数のファン動翼214c1と、白い矢印で示される吸込んだ空気21c1の速度を圧力に変換する同軸的な放射状の複数のファン静翼218c1と、ファン動翼214c1が破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220c1と、ファンケース220c1内に設けられ空気21c1を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220c1)と切頭円錐(タービンケース210c1)間で形成されるノズル222c1と、タービン動翼204c1によって回転される中心軸上のシャフト224c1と、シャフト224c1からの回転をファン動翼214c1に伝達する回転対称に歯車類が組み合わされたトランスミッション230c1と、タービンを駆動したガス20c1と吸入された空気21c1を混合させて排出ガスの温度と速度を均一にする径方向に波打つひだ状のローブ型のミキサ232c1とを具え、さらに、この実施形態によるリフトエンジン102c1全体を変向する円柱状のリフトエンジン変向アクチュエータ154c1aとを具えている。リフトエンジン102c1のその他の動作は、第1の実施形態のリフトエンジン102a1と同様であり、再び説明することはしない。
図16Bは、図16Aの作動状態のリフトエンジン102c1のタービン駆動ガス発生器200c1の右側部分拡大垂直断面図である。ガス発生器200c1は、円筒状の複数のリフトエンジン用反応剤ノズル318c1と、円筒状の複数のリフトエンジン用分解剤ノズル334c1と、環状の反応室270c1とを具えている。反応剤12cと分解剤13cは、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314c1とリフトエンジン用分解剤流量調整弁332c1によってそれぞれ流量を調整された後、リフトエンジン用反応剤ノズル318c1とリフトエンジン用分解剤ノズル334c1を通じて反応室270c1の中で互いに衝突し、タービン駆動ガス20c1となる反応剤分解物33c1を発生する。
図16Cは、図16Aの作動状態のリフトエンジン102c1のタービン駆動ガス発生器200c1の、16C−16Cに沿って切欠いた一部下断面図である。リフトエンジン用反応剤ノズル318c1とリフトエンジン用分解剤ノズル334c1が互いに対向して放射状に配されている様子が分かる。
図16Dは、図16Aのリフトエンジン102c1の航空機1cへの取付け部分を示す上面図である。リフトエンジン102c1は、リフトエンジン用の変向アクチュエータ154c1a及び154c1bと支持腕152c1によって航空機1cに取り付けられている。リフトエンジン102c1は変向アクチュエータ154c1aによって支持腕152c1に対して回転可能であり、そのリフトエンジン支持腕152c1もリフトエンジン変向アクチュエータ154c1bによって航空機1cに対して回転可能である。リフトエンジン102c1は、その全体をリフトエンジン変向アクチュエータ154c1a及び154c1bによって変向されることによって、排出ガスの方向を様々に偏向して推力の方向を自在に変向できる。
図16Bは、図16Aの作動状態のリフトエンジン102c1のタービン駆動ガス発生器200c1の右側部分拡大垂直断面図である。ガス発生器200c1は、円筒状の複数のリフトエンジン用反応剤ノズル318c1と、円筒状の複数のリフトエンジン用分解剤ノズル334c1と、環状の反応室270c1とを具えている。反応剤12cと分解剤13cは、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314c1とリフトエンジン用分解剤流量調整弁332c1によってそれぞれ流量を調整された後、リフトエンジン用反応剤ノズル318c1とリフトエンジン用分解剤ノズル334c1を通じて反応室270c1の中で互いに衝突し、タービン駆動ガス20c1となる反応剤分解物33c1を発生する。
図16Cは、図16Aの作動状態のリフトエンジン102c1のタービン駆動ガス発生器200c1の、16C−16Cに沿って切欠いた一部下断面図である。リフトエンジン用反応剤ノズル318c1とリフトエンジン用分解剤ノズル334c1が互いに対向して放射状に配されている様子が分かる。
図16Dは、図16Aのリフトエンジン102c1の航空機1cへの取付け部分を示す上面図である。リフトエンジン102c1は、リフトエンジン用の変向アクチュエータ154c1a及び154c1bと支持腕152c1によって航空機1cに取り付けられている。リフトエンジン102c1は変向アクチュエータ154c1aによって支持腕152c1に対して回転可能であり、そのリフトエンジン支持腕152c1もリフトエンジン変向アクチュエータ154c1bによって航空機1cに対して回転可能である。リフトエンジン102c1は、その全体をリフトエンジン変向アクチュエータ154c1a及び154c1bによって変向されることによって、排出ガスの方向を様々に偏向して推力の方向を自在に変向できる。
図17は、航空機1cの姿勢制御エンジン106c1の作動状態を示す垂直断面図である。姿勢制御エンジン106c2〜106c4は姿勢制御エンジン106c1と同じ構造を有する。姿勢制御エンジン106c1は、円筒状の姿勢制御ガス発生器300c1と、円筒状の姿勢制御エンジン用反応剤ノズル319c1と、円筒状の姿勢制御エンジン用分解剤ノズル335c1と、円柱状の姿勢制御エンジン変向アクチュエータ306c1と、エジェクタ304c1とを具えている。反応剤12cと分解剤13cは、姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315c1と姿勢制御エンジン用分解剤流量調整弁333c1によってそれぞれ流量を調整された後、姿勢制御ガス発生器300c1内の姿勢制御エンジン用反応剤ノズル318と姿勢制御エンジン用分解剤ノズル334とによって互いに衝突して分解され、反応剤分解物となる。その黒の矢印の反応剤分解物の流れ35c1はエジェクタ304c1に達し、高速で噴出する反応剤分解物の流れ35c1によって白い幅広の矢印の周囲の空気70c1がエジェクタ304c1に吸入され、白い矢印の両者の混合ガス71c1が排出される。その結果、姿勢制御エンジン106c1には、その反対方向に反力が働く。エジェクタ304c1は姿勢制御エンジン変向アクチュエータ306c1によって自由に回転し、任意の方向への姿勢制御が可能である。姿勢制御エンジン106c1は、第1の実施形態のエンジン106a1と同様の機能及び利点を有する。
図18A〜図18Cは、他の航空機380を固定した航空機1cの地上等での垂直離着陸状態を示している。他の航空機380は、着脱装置134cによって航空機1cに固定されている。この様に航空機1cは、他の航空機380を固定した状態で、垂直離着陸や通常離着陸を行う事が出来る。着脱装置134cの形状を工夫する事で、他の正常な通常の航空機は勿論、重度に故障した航空機や宇宙機等の飛行体とも自在に着脱出来る。これらの飛行体を固定した状態で離着陸を行う事で、これらを安全に離着陸させることができる。
図19Aは、他の航空機380を固定した航空機1cのピッチ軸回り運動を示す側面図である。リフトエンジン102c4及び102c1によって加速された白い矢印のガス41c4a及び41c1aの流量を、リフトエンジン102c3及び102c2によって加速された白い矢印のガス41c3a及び41c2aの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c1から白い矢印のガス71c1aを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c3から白い矢印のガス71c3aを上向きに排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたピッチ軸回り機首上げの力600cを他の航空機380を固定した航空機1cに与えることができる。逆に、リフトエンジン102c3及び102c2によって加速された黒い矢印のガス41c3b及び41c2bの流量を、リフトエンジン102c4及び102c1によって加速された黒い矢印のガス41c4b及び41c1bの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c1から黒い矢印のガス71c1bを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c3から黒い矢印のガス71c3bを下向きに排出するか、又はその双方によって、矢印で示したピッチ軸回り機首下げの力602cを航空機380を固定した航空機1cに与えることができる。
図19Bは、航空機380を固定した航空機1cのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102c4及び102c3によって加速された白い矢印のガス41c4c及び41c3cの流量を、相対的にリフトエンジン102c1及び102c2によって加速された白い矢印のガス41c1c及び41c2cの流量より多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c2から白い矢印のガス71c2cを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c4から白い矢印のガス71c4cを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにロール軸回り右ロールの力608cを与えることができる。逆に、リフトエンジン102c1及び102c2によって加速された黒い矢印のガス41c1d及び41c2dの流量を、リフトエンジン102c4及び102c3によって加速された黒い矢印のガス41c4d及び41c3dの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c2から黒い矢印のガス71c2dを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c4から黒い矢印のガス71c4dを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにロール軸回り左ロールの力610cを与えることができる。
図19C及び図19Dは、航空機380を固定した航空機1cのヨー軸機首右回り運動の一例を示す上面図及び側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1e〜41c4eを反時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印の水平面反時計回りにガス71c1e〜71c4eを排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにヨー軸機首右回りの力604cを与えることができる。
図19E及び図19Fは、航空機380を固定した航空機1cのヨー軸機首左回り運動の一例を示す上面図及び側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1f〜41c4fを時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印の水平面時計回りにガス71c1f〜71c4fを排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにヨー軸機首左回りの力606cを与えることができる。
図20Aは、航空機380を固定した航空機1cの前進運動を示す側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1g〜41c4gを後方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106c4と106c2から白い矢印のガス71c4gと71c2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1cに前進する力612cを与えることができる。
図20Bは、航空機380を固定した航空機1cの後進運動を示す側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1h〜41c4hを前方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106c4と106c2から白い矢印のガス71c4hと71c2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1cに後進する力614cを与えることができる。
図20Cは、航空機380を固定した航空機1cの右進運動を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1i〜41c4iを下方左向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1と106c3から白い矢印のガス71c1iと71c3iを左向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに右進する力616cを与えることができる。
図20Dは、航空機380を固定した航空機1cの左進運動を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1j〜41c4jを下方右向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1と106c3から白い矢印のガス71c1jと71c3jを右向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに左進する力618cを与えることができる。
図20Eは、航空機380を固定した航空機1cの上昇を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印の41c1k〜41c4kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印のガス71c1k〜71c4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに上昇する力620cを与えることができる。
図20Fは、航空機380を固定した航空機1cの下降を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印の41c1l〜41c4lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印のガス71c1l〜71c4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに下降する力622cを与えることができる。
図19Bは、航空機380を固定した航空機1cのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102c4及び102c3によって加速された白い矢印のガス41c4c及び41c3cの流量を、相対的にリフトエンジン102c1及び102c2によって加速された白い矢印のガス41c1c及び41c2cの流量より多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c2から白い矢印のガス71c2cを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c4から白い矢印のガス71c4cを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにロール軸回り右ロールの力608cを与えることができる。逆に、リフトエンジン102c1及び102c2によって加速された黒い矢印のガス41c1d及び41c2dの流量を、リフトエンジン102c4及び102c3によって加速された黒い矢印のガス41c4d及び41c3dの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106c2から黒い矢印のガス71c2dを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106c4から黒い矢印のガス71c4dを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにロール軸回り左ロールの力610cを与えることができる。
図19C及び図19Dは、航空機380を固定した航空機1cのヨー軸機首右回り運動の一例を示す上面図及び側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1e〜41c4eを反時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印の水平面反時計回りにガス71c1e〜71c4eを排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにヨー軸機首右回りの力604cを与えることができる。
図19E及び図19Fは、航空機380を固定した航空機1cのヨー軸機首左回り運動の一例を示す上面図及び側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1f〜41c4fを時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印の水平面時計回りにガス71c1f〜71c4fを排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cにヨー軸機首左回りの力606cを与えることができる。
図20Aは、航空機380を固定した航空機1cの前進運動を示す側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1g〜41c4gを後方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106c4と106c2から白い矢印のガス71c4gと71c2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1cに前進する力612cを与えることができる。
図20Bは、航空機380を固定した航空機1cの後進運動を示す側面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1h〜41c4hを前方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106c4と106c2から白い矢印のガス71c4hと71c2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1cに後進する力614cを与えることができる。
図20Cは、航空機380を固定した航空機1cの右進運動を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1i〜41c4iを下方左向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1と106c3から白い矢印のガス71c1iと71c3iを左向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに右進する力616cを与えることができる。
図20Dは、航空機380を固定した航空機1cの左進運動を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印のガス41c1j〜41c4jを下方右向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1と106c3から白い矢印のガス71c1jと71c3jを右向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに左進する力618cを与えることができる。
図20Eは、航空機380を固定した航空機1cの上昇を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印の41c1k〜41c4kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印のガス71c1k〜71c4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに上昇する力620cを与えることができる。
図20Fは、航空機380を固定した航空機1cの下降を示す正面図である。リフトエンジン102c1〜102c4から白い矢印の41c1l〜41c4lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106c1〜106c4から白い矢印のガス71c1l〜71c4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機380を固定した航空機1cに下降する力622cを与えることができる。
図21Aおよび図21Bは、飛行体との着脱と垂直離着陸が可能な航空機1c及び航空機380の垂直離陸及び着陸を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字1〜10は飛行体と着脱可能な航空機1c及び航空機380の垂直離陸及び着陸状態の過程を各々示している。
図21Aにおいて、航空機380を固定した航空機1cは、平地等388の上(440c)からリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41c1m〜41c4mを下方へ排出することによって上昇し(442c)、所定の離陸高度700に達する(446c)。次いで、リフトエンジンから白い矢印のガス41c1n〜41c4nを下後方へ排出して前進上昇に移り、航空機380から白い矢印のガス46c1a〜46c2aを徐々に排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス41c1o〜41c4oを下後方へ排出して前上方へ上昇し、航空機380の翼に十分な揚力が発生した後に着脱装置134cにより航空機380を飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cから脱離させ(450c)、飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cはリフトエンジンから白い矢印のガス41c1p〜41c4pを後方へ排出させて飛行を行い(456c)、航空機380は白い矢印のガス46c1b〜46c2bを排出して通常の上昇(452)を継続する。
図21Bにおいて、航空機380は白い矢印のガス46c1c〜46c2cを排出して通常の下降を行い(454)、飛行体と着脱可能な航空機1cはリフトエンジンから白い矢印のガス41c1q〜41c4qを後方へ排出させて飛行している(456c)。航空機380は白い矢印のガス46c1d〜46c2dを徐々に減じ、飛行体と着脱可能な航空機1cはその航空機380の動きに合わせて白い矢印のガス41c1r〜41c4rを前下方へ調整しながら排出して下降し、航空機380と接する(450c)。次いで、着脱装置134cにより航空機380を飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cとを固定させて、白い矢印のガス41c1s〜41c4sを前前方へ調整しながら排出して前進速度を減じながら所定の着陸高度702に達する(448c)。その後、航空機380を固定した航空機1cは白い矢印のガス41c1t〜41c4tの流量を調整しながら下降(444c)して平地等388の上に着陸する(440c)。
図21Aにおいて、航空機380を固定した航空機1cは、平地等388の上(440c)からリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41c1m〜41c4mを下方へ排出することによって上昇し(442c)、所定の離陸高度700に達する(446c)。次いで、リフトエンジンから白い矢印のガス41c1n〜41c4nを下後方へ排出して前進上昇に移り、航空機380から白い矢印のガス46c1a〜46c2aを徐々に排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス41c1o〜41c4oを下後方へ排出して前上方へ上昇し、航空機380の翼に十分な揚力が発生した後に着脱装置134cにより航空機380を飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cから脱離させ(450c)、飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cはリフトエンジンから白い矢印のガス41c1p〜41c4pを後方へ排出させて飛行を行い(456c)、航空機380は白い矢印のガス46c1b〜46c2bを排出して通常の上昇(452)を継続する。
図21Bにおいて、航空機380は白い矢印のガス46c1c〜46c2cを排出して通常の下降を行い(454)、飛行体と着脱可能な航空機1cはリフトエンジンから白い矢印のガス41c1q〜41c4qを後方へ排出させて飛行している(456c)。航空機380は白い矢印のガス46c1d〜46c2dを徐々に減じ、飛行体と着脱可能な航空機1cはその航空機380の動きに合わせて白い矢印のガス41c1r〜41c4rを前下方へ調整しながら排出して下降し、航空機380と接する(450c)。次いで、着脱装置134cにより航空機380を飛行体と着脱可能な垂直離着陸航空機1cとを固定させて、白い矢印のガス41c1s〜41c4sを前前方へ調整しながら排出して前進速度を減じながら所定の着陸高度702に達する(448c)。その後、航空機380を固定した航空機1cは白い矢印のガス41c1t〜41c4tの流量を調整しながら下降(444c)して平地等388の上に着陸する(440c)。
図22は、航空機1cの流体及び電気系統のブロック図である。航空機1cにおいて、反応剤タンク178cに貯蔵された反応剤12cは、反応剤加圧装置312cによって加圧され、リフトエンジン用反応剤流量調整弁314c1〜314c4や姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315c1〜315c4を経て、リフトエンジン102c1〜102c4のタービン駆動ガス発生器200c1〜200c4及び姿勢制御エンジン106c1〜106c4の姿勢制御ガス発生器300c1〜300c4へ供給される。一方、分解剤タンク190cに貯蔵された分解剤13cは、分解剤加圧装置330cによって加圧され、リフトエンジン用分解剤流量調整弁332c1〜332c4や姿勢制御エンジン用分解剤流量調整弁333c1〜333c4を経て、リフトエンジン102c1〜102c4のタービン駆動ガス発生器200c1〜200c4及び姿勢制御エンジン106c1〜106c4の姿勢制御ガス発生器300c1〜300c4へ供給される。リフトエンジン102c2〜102c4の構造はリフトエンジン102c1と同じである為、ここではリフトエンジン102c1について説明を行う。リフトエンジン102c1では、タービン駆動ガス発生器200c1で発生したタービン駆動ガス20c1がタービン202c1を駆動した後、ミキサ232c1に達する。タービン202c1で得られた動力は、シャフト224c1とトランスミッション230c1を介してファン212c1を駆動する。ファン212c1は周囲の空気40c1を吸い込む。ファン212c1で加圧された空気21c1はノズル222c1に達する。ノズル222c1で空気21c1はその圧力を速度に変換して加速し、ミキサ232c1に達する。ミキサ232c1ではタービン駆動ガス20c1と空気21c1の一部が混合されて排出される(41c1)ことによって、リフトエンジン102c1に反力を発生させる。
姿勢制御エンジン106c2〜106c4の構造は姿勢制御エンジン106c1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106c1について説明を行う。姿勢制御エンジン106c1では、姿勢制御ガス発生器300c1で発生した反応剤分解物35c1がエジェクタ304c1で周囲の空気70c1を吸込んで排出される(71c1)ことによって、反力が発生する。エジェクタ304c1は姿勢制御エンジン変向アクチュエータ306c1によって自在にその方向を変向することができる。
指令装置290cは、機体等の諸状態を検知するセンサ292cの情報に応じてコンピュータ114cに指令を与える。コンピュータ114cはその指令に従って、航空機380の挙動を監視する監視装置296cの情報に応じて、制御信号81cによりリフトエンジン102c1〜102c4、姿勢制御エンジン106c1〜106c4、着脱装置134c、操舵装置294c等を制御する。
姿勢制御エンジン106c2〜106c4の構造は姿勢制御エンジン106c1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106c1について説明を行う。姿勢制御エンジン106c1では、姿勢制御ガス発生器300c1で発生した反応剤分解物35c1がエジェクタ304c1で周囲の空気70c1を吸込んで排出される(71c1)ことによって、反力が発生する。エジェクタ304c1は姿勢制御エンジン変向アクチュエータ306c1によって自在にその方向を変向することができる。
指令装置290cは、機体等の諸状態を検知するセンサ292cの情報に応じてコンピュータ114cに指令を与える。コンピュータ114cはその指令に従って、航空機380の挙動を監視する監視装置296cの情報に応じて、制御信号81cによりリフトエンジン102c1〜102c4、姿勢制御エンジン106c1〜106c4、着脱装置134c、操舵装置294c等を制御する。
反応剤及び分解剤は、保存性及び貯蔵性の面で常温で高密度の液体であることが好ましいが、これに限定されない。液体の反応剤及び分解剤を用いることによって、これらをエンジン102c1〜102c4及び姿勢制御エンジン106c1〜106c4へ導く配管等の容積が小さくなり、システム配置の自由度も向上する。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素又はその水溶液、ヒドラジン及びその誘導体等がある。前述したように、重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液又はより高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素は実用上有利である。
分解剤の種類には、反応剤が過酸化水素又はその水溶液である場合にはヨウ化カリウム、過マンガン酸塩及びその水溶液等、アルカリ性溶液、カタラーゼ、ペルオキシターゼ等の酵素アルカリ性溶液等でよい。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素又はその水溶液、ヒドラジン及びその誘導体等がある。前述したように、重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液又はより高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素は実用上有利である。
分解剤の種類には、反応剤が過酸化水素又はその水溶液である場合にはヨウ化カリウム、過マンガン酸塩及びその水溶液等、アルカリ性溶液、カタラーゼ、ペルオキシターゼ等の酵素アルカリ性溶液等でよい。
第4の実施形態
図23A〜図23Cは、本発明の第4の実施形態による地上走行と垂直離着陸が可能な航空機1dの地上走行時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、23B−23Bに沿って切欠いた側断面図、及び23C−23Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1dは、航空機の一般的な構成要素である燃料タンク110d等及び自動車の一般的な構成要素である駆動輪144d等を包括する機体100dに加え、本発明による、薄い矩形状のリフトエンジン102d1〜102d3と、直方体状のコンピュータ114dと、直方体状の走行兼飛行用エンジン118dと、ディスク状の飛行用ファン138d1〜138d2と、直方体状の動力切替装置142dと、矩形状の救護ベット146dと、両端部が半球状で中央部が円筒状の圧縮酸化ガスボンベ192dと、両端部が半球状で中央部が円筒状の圧縮燃料ガスボンベ356dとを具えている。走行兼飛行用エンジン118dで発生した動力は、動力切替装置142dを介して駆動輪144dに伝達され、平地等388の上を走行できる。地上走行を行う為、航空機1dの翼及びリフトエンジン102d1〜102d3は折り畳まれた状態である。
航空機1dは、自動車と垂直離着陸航空機が融合した飛行体であり、ヘリポート等の設備を持たない消防署、病院、僻地等に配備することができる。航空機1dを用いれば、一刻を争う重傷者や急病人に過度な負担をかけることなく、救急車やEMSヘリコプタ等の従来の輸送機関を用いるよりも迅速に搬送することができる。航空機1dは、通常のヘリコプタでは進入不可能な瓦礫の散乱する被災地や火災現場、高層ビル等でも運用することができる。
図23A〜図23Cは、本発明の第4の実施形態による地上走行と垂直離着陸が可能な航空機1dの地上走行時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、23B−23Bに沿って切欠いた側断面図、及び23C−23Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1dは、航空機の一般的な構成要素である燃料タンク110d等及び自動車の一般的な構成要素である駆動輪144d等を包括する機体100dに加え、本発明による、薄い矩形状のリフトエンジン102d1〜102d3と、直方体状のコンピュータ114dと、直方体状の走行兼飛行用エンジン118dと、ディスク状の飛行用ファン138d1〜138d2と、直方体状の動力切替装置142dと、矩形状の救護ベット146dと、両端部が半球状で中央部が円筒状の圧縮酸化ガスボンベ192dと、両端部が半球状で中央部が円筒状の圧縮燃料ガスボンベ356dとを具えている。走行兼飛行用エンジン118dで発生した動力は、動力切替装置142dを介して駆動輪144dに伝達され、平地等388の上を走行できる。地上走行を行う為、航空機1dの翼及びリフトエンジン102d1〜102d3は折り畳まれた状態である。
航空機1dは、自動車と垂直離着陸航空機が融合した飛行体であり、ヘリポート等の設備を持たない消防署、病院、僻地等に配備することができる。航空機1dを用いれば、一刻を争う重傷者や急病人に過度な負担をかけることなく、救急車やEMSヘリコプタ等の従来の輸送機関を用いるよりも迅速に搬送することができる。航空機1dは、通常のヘリコプタでは進入不可能な瓦礫の散乱する被災地や火災現場、高層ビル等でも運用することができる。
図24A〜図24Cは、航空機1dの垂直離着陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、24B−24Bに沿って切欠いた側断面図、及び24C−24Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。垂直離着陸を行う為、航空機1dの翼及びリフトエンジン102d1〜102d3は展開されて作動した状態である。
図25A〜図25Cは、航空機1dの飛行状態の上面図と右半分を切欠いた上断面図、25B−25Bに沿って切欠いた側断面図、及び25C−25Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。走行兼飛行用エンジン118dで発生した動力は、動力切替装置142dを介して飛行用ファン138d1〜138d2に伝達され作動している。飛行を行う為、有害な抵抗にならない様に航空機1dのリフトエンジン102d1〜102d3は折り畳まれ、駆動輪144dも格納された状態である。
図26A〜図26Cは、航空機1dの作動状態におけるリフトエンジン102d1の垂直断面図と水平断面図、26C−26Cで切り欠いた垂直断面図をそれぞれ示している。リフトエンジン102d2〜102d3はリフトエンジン102d1と同じ構造を有する。図において、リフトエンジン102d1の構造は基本的に回転対称であり、図を簡明にするために同じ各要素には同じ系列の符号を付している。リフトエンジン102d1は、黒い矢印で示されるタービンを駆動するガス20d1を発生させる円筒(キャン)状のタービン駆動ガス発生器200d1a〜200d1dと、タービン駆動ガス発生器200d1a〜200d1dで発生したガス20d1を集合する垂直な中心軸を有し下向きに円環状の開口を有する円環(アニュラ)状のタービン駆動ガスマニホールド352d1と、各タービン駆動ガス発生器200d1a〜200d1dに設けられたタービン駆動ガス20d1の点火に用いる円柱状の点火器226d1a〜226d1dと燃料ガス15dを噴射する円柱状のリフトエンジン用燃料ノズル272d1a〜272d1dと複数の開口部を有する円筒状のライナ328d1a〜328d1dと、発生したガス20d1を増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208d1と、そのガス20d1から機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204d1と、その動翼204d1及びファン動翼214d1が破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のタービンケース210d1と、タービン動翼204d1を駆動した後のガス20d1の偏った流れを軸方向に修正する同軸的な放射状の複数の偏向翼240d1と、ガス20d1の持つ速度を圧力に変換させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より大きい同軸的な円筒(タービンケース210d1)と逆切頭円錐間で形成されるディフューザ242d1と、周囲空気を吸込んで加速する同軸的な放射状の複数のファン動翼214d1と、白い矢印の吸込んだ空気21d1の速度を圧力に変換する同軸的な放射状の複数のファン静翼218d1と、空気21d1を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な逆切頭円錐状のノズル222d1と、タービン動翼204d1及びファン動翼214d1の回転中心となる同軸的なシャフト224d1と、可動部を持ちリフトエンジン102d1を支えるリフトエンジン支持腕152d1と、リフトエンジン102d1の方向を変向させるリフトエンジン変向アクチュエータ154d1a〜154d1bとを具えている。
酸化ガス14dと燃料ガス15dは、酸化ガス流量調整弁338d1及び燃料ガス流量調整弁350d1によって流量を各々調整された後、ガス発生器200d1a〜200d1d内に達する。燃料ガス15dはリフトエンジン用燃料ノズル272d1a〜272d1dを通過してライナ328d1a〜328d1dに噴射され、そこで点火信号80dを受けた点火器226d1a〜226d1dによって酸化ガス14dと反応し、タービン駆動ガス20d1を発生する。タービン駆動ガス20d1の流れは、タービン駆動ガスマニホールド352d1で合流した後、タービン204d1及び208d1を通過することで、そのガス自身の持つエネルギを減少させて偏向翼240d1にて偏った流れを軸方向に修正された後、ディフューザ242d1にて残った過剰な速度エネルギも圧力エネルギに変換されてから、リフトエンジン102d1より排出される。タービン動翼204d1は同じシャフト224d1を回転中心とするファン動翼214d1に動力を伝達し、ファン214d1及び218d1にて空気21d1を吸入し圧縮する。その空気21d1は、ノズル222d1によって増速された後、リフトエンジン102d1より排出される。
酸化ガス14dと燃料ガス15dは、酸化ガス流量調整弁338d1及び燃料ガス流量調整弁350d1によって流量を各々調整された後、ガス発生器200d1a〜200d1d内に達する。燃料ガス15dはリフトエンジン用燃料ノズル272d1a〜272d1dを通過してライナ328d1a〜328d1dに噴射され、そこで点火信号80dを受けた点火器226d1a〜226d1dによって酸化ガス14dと反応し、タービン駆動ガス20d1を発生する。タービン駆動ガス20d1の流れは、タービン駆動ガスマニホールド352d1で合流した後、タービン204d1及び208d1を通過することで、そのガス自身の持つエネルギを減少させて偏向翼240d1にて偏った流れを軸方向に修正された後、ディフューザ242d1にて残った過剰な速度エネルギも圧力エネルギに変換されてから、リフトエンジン102d1より排出される。タービン動翼204d1は同じシャフト224d1を回転中心とするファン動翼214d1に動力を伝達し、ファン214d1及び218d1にて空気21d1を吸入し圧縮する。その空気21d1は、ノズル222d1によって増速された後、リフトエンジン102d1より排出される。
図27Aは、航空機1dのピッチ軸回り運動を示す側面図である。リフトエンジン102d1によって加速された白い矢印のガス41d1aの流量を、リフトエンジン102d3とその対称位置にあるリフトエンジン102d2によって加速された白い矢印のガス41d3a及び41d2aの流量よりも相対的に多くすることによって、矢印で示されたピッチ軸回り機首上げの力600dを航空機1dに与えることができる。逆に、リフトエンジン102d3と102d2によって加速された黒い矢印のガス41d3b及び41d2bの流量を、リフトエンジン102d1によって加速された黒い矢印のガス41d1bの流量よりも相対的に多くすることによって、矢印で示されたピッチ軸回り機首下げの力602dを航空機1dに与えることができる。
図27B〜図27Dは、航空機1dのヨー軸機首右回り運動を示す上面図及び側面図、正面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1c〜41d3cを反時計回り下方に排出することによって、矢印で示されたヨー軸機首右回りの力604dを航空機1dに与えることができる。
図27E〜図27Gは、航空機1dのヨー軸機首左回り運動を示す上面図、側面図及び正面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1d〜41d3dを時計回り下方に排出することによって、矢印で示されたヨー軸機首左回りの力606dを航空機1dに与えることができる。
図27Hは、航空機1dのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102d3によって加速された白い矢印のガス41d3eの流量を、相対的にリフトエンジン102d2によって加速された白い矢印のガス41d2eの流量より多くすることによって、航空機1dにロール軸回り右ロールの力608dを与えることができる。逆に、リフトエンジン102d2によって加速された黒い矢印のガス41d2fの流量を、102d3によって加速された黒い矢印のガス41d3fの流量より相対的に多くすることによって、航空機1dにロール軸回り左ロールの力610dを与えることができる。
図28A及び図28Bは、航空機1dの前進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1g〜41d3gを後方下向きに排出することによって、航空機1dに前進する力612dを与えることができる。
図28C及び図28Dは、航空機1dの後進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1h〜41d3hを前方下向きに排出することによって、航空機1dに後進する力614dを与えることができる。
図28E及び図28Fは、航空機1dの右進運動を示す正面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1i〜41d3iを下方左向きに偏向して排出することによって、航空機1dに右進する力616dを与えることができる。
図28G及び図28Hは、航空機1dの左進運動を示す正面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1j〜41d3jを下方右向きに偏向して排出することによって、航空機1dに左進する力618dを与えることができる。
図28I及び図28Jは、航空機1dの上昇を示す正面図及び側面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印の41d1k〜41d3kの流量をホバリング時より多く排出することによって、航空機1dに上昇する力620dを与えることができる。一方、リフトエンジン102d1〜102d3から黒い矢印の41d1l〜41d3lの流量をホバリング時より少なく排出することによって、航空機1dに下降する力622dを与えることができる。
図27B〜図27Dは、航空機1dのヨー軸機首右回り運動を示す上面図及び側面図、正面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1c〜41d3cを反時計回り下方に排出することによって、矢印で示されたヨー軸機首右回りの力604dを航空機1dに与えることができる。
図27E〜図27Gは、航空機1dのヨー軸機首左回り運動を示す上面図、側面図及び正面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1d〜41d3dを時計回り下方に排出することによって、矢印で示されたヨー軸機首左回りの力606dを航空機1dに与えることができる。
図27Hは、航空機1dのロール軸回り運動を示す正面図である。リフトエンジン102d3によって加速された白い矢印のガス41d3eの流量を、相対的にリフトエンジン102d2によって加速された白い矢印のガス41d2eの流量より多くすることによって、航空機1dにロール軸回り右ロールの力608dを与えることができる。逆に、リフトエンジン102d2によって加速された黒い矢印のガス41d2fの流量を、102d3によって加速された黒い矢印のガス41d3fの流量より相対的に多くすることによって、航空機1dにロール軸回り左ロールの力610dを与えることができる。
図28A及び図28Bは、航空機1dの前進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1g〜41d3gを後方下向きに排出することによって、航空機1dに前進する力612dを与えることができる。
図28C及び図28Dは、航空機1dの後進運動を示す側面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1h〜41d3hを前方下向きに排出することによって、航空機1dに後進する力614dを与えることができる。
図28E及び図28Fは、航空機1dの右進運動を示す正面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1i〜41d3iを下方左向きに偏向して排出することによって、航空機1dに右進する力616dを与えることができる。
図28G及び図28Hは、航空機1dの左進運動を示す正面図及び上面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印のガス41d1j〜41d3jを下方右向きに偏向して排出することによって、航空機1dに左進する力618dを与えることができる。
図28I及び図28Jは、航空機1dの上昇を示す正面図及び側面図である。リフトエンジン102d1〜102d3から白い矢印の41d1k〜41d3kの流量をホバリング時より多く排出することによって、航空機1dに上昇する力620dを与えることができる。一方、リフトエンジン102d1〜102d3から黒い矢印の41d1l〜41d3lの流量をホバリング時より少なく排出することによって、航空機1dに下降する力622dを与えることができる。
図29A及び図29Bは、航空機1dの垂直離陸及び着陸を説明するのに役立つ。四角で囲んだ数字1〜12は航空機1dの地上走行状態から垂直離陸状態を経て飛行状態へ、及び飛行状態から垂直着陸状態を経て地上走行状態へ移行する過程を示している。
図29Aにおいて、航空機1dは、平地等388の上を駆動輪等を使って地上走行し(460d)、離陸地点に達してリフトエンジンを展開する(462d)。次いでリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41d1m〜41d3mを下方へ排出することによって上昇し、建築物等に干渉しない高度で翼を展開(464d)した後、所定の離陸高度700に達する(468d)。そして、リフトエンジンから白い矢印のガス41d1n〜41d3nを下後方へ排出して前進上昇に移り、飛行用ファンから白い矢印のガス48d1a〜48d2aを徐々に排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス41d1o〜41d3oの流量を徐々に減じながら下後方へ排出して前上方へ上昇し(472d)、やがて、航空機1dのリフトエンジンは停止後に折りたたまれ、白い矢印のガス48d1b〜48d2bを排出して通常の飛行(474d)を行う。
図29Bにおいて、航空機1dは飛行用ファンから白い矢印のガス48d1c〜48d2cを排出して通常の飛行を行い(474d)、その白い矢印のガス48d1d〜48d2dを徐々に減じ、リフトエンジンから白い矢印のガス41d1p〜41d3pを前下方へ徐々に増しながら排出して下降する(472d)。その後、飛行用ファンを停止しリフトファンから白い矢印のガス41d1q〜41d3qを前下方へ排出して所定の着陸高度702に達する(470d)。その後、航空機1dは白い矢印のガス41d1r〜41d3rの流量を調整しながら、建築物等に干渉しない高度で翼を折りたたみながら下降(466d)して平地等388の上に着陸(462d)した後、リフトエンジンを折りたたんでから平地等388の上を駆動輪等を使って地上走行を行う(460d)。
図29Aにおいて、航空機1dは、平地等388の上を駆動輪等を使って地上走行し(460d)、離陸地点に達してリフトエンジンを展開する(462d)。次いでリフトエンジンを作動させて白い矢印のガス41d1m〜41d3mを下方へ排出することによって上昇し、建築物等に干渉しない高度で翼を展開(464d)した後、所定の離陸高度700に達する(468d)。そして、リフトエンジンから白い矢印のガス41d1n〜41d3nを下後方へ排出して前進上昇に移り、飛行用ファンから白い矢印のガス48d1a〜48d2aを徐々に排出すると共にリフトエンジンから白い矢印のガス41d1o〜41d3oの流量を徐々に減じながら下後方へ排出して前上方へ上昇し(472d)、やがて、航空機1dのリフトエンジンは停止後に折りたたまれ、白い矢印のガス48d1b〜48d2bを排出して通常の飛行(474d)を行う。
図29Bにおいて、航空機1dは飛行用ファンから白い矢印のガス48d1c〜48d2cを排出して通常の飛行を行い(474d)、その白い矢印のガス48d1d〜48d2dを徐々に減じ、リフトエンジンから白い矢印のガス41d1p〜41d3pを前下方へ徐々に増しながら排出して下降する(472d)。その後、飛行用ファンを停止しリフトファンから白い矢印のガス41d1q〜41d3qを前下方へ排出して所定の着陸高度702に達する(470d)。その後、航空機1dは白い矢印のガス41d1r〜41d3rの流量を調整しながら、建築物等に干渉しない高度で翼を折りたたみながら下降(466d)して平地等388の上に着陸(462d)した後、リフトエンジンを折りたたんでから平地等388の上を駆動輪等を使って地上走行を行う(460d)。
図30は、航空機1dの流体及び電気系統のブロック図である。航空機1dにおいて、圧縮酸化ガスボンベ192d内に貯蔵された酸化ガス14dは、酸化ガス減圧装置336dによって減圧され、リフトエンジン102d1〜102d3の酸化ガス流量調整弁338d1〜338d3で流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200d1〜200d3へ供給される。又、圧縮燃料ガスボンベ356d内に貯蔵された燃料ガス15dは、燃料ガス減圧装置358dによって減圧され、リフトエンジン102d1〜102d3の燃料ガス流量調整弁350d1〜350d3で流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200d1〜200d3へ供給される。一方、燃料タンク110dに貯蔵された燃料11dは、燃料加圧装置284dによって加圧されて走行兼飛行用エンジン118dへ供給される。リフトエンジン102d1〜102d3の構造はリフトエンジン102d1と同じである為、ここではリフトエンジン102d1について説明を行う。リフトエンジン102d1では、タービン駆動ガス発生器200d1で発生したタービン駆動ガス20d1がタービン202d1を駆動した後、偏向翼240d1を通過してディフューザ242d1に達して排出される(41d1)。タービン202d1で得られた動力は、シャフト224d1を介してファン212d1を駆動し、周囲の空気40d1を吸い込む。ファン212d1で加圧された空気21d1はノズル222d1に達し、その圧力を速度に変換した後に排出される(41d1)。リフトエンジン102d1〜102d3はそれぞれがリフトエンジン支持腕152d1〜152d3とリフトエンジン変向アクチュエータ154d1a〜154d3a及び154d1b〜154d3bを介して航空機1dに接続され、その推力面を自在に変向することができる。
指令装置290dは、機体等の情報を検知するセンサ292dの情報に応じてコンピュータ114dに指令を与える。コンピュータ114dはその指令に従って、制御信号81dによりリフトエンジン102d1〜102d3、走行兼飛行用エンジン118d、動力切替装置142d、操舵装置294d、点火装置288d等を制御する。点火装置288dは点火器226d1〜226d3に対して点火信号80dを発し、タービン駆動ガス発生器200d1〜200d3を点火する。動力切替装置142dでは、走行兼飛行用エンジン118dからの動力を飛行状態や走行状態に応じて、飛行用ファン138d又は駆動輪144dに切り替える。
酸化ガスや燃料ガスはより高い圧力で圧縮・充填されることで、圧縮酸化ガスボンベ192dや圧縮燃料ガスボンベ356dの容積が小さくなる。
指令装置290dは、機体等の情報を検知するセンサ292dの情報に応じてコンピュータ114dに指令を与える。コンピュータ114dはその指令に従って、制御信号81dによりリフトエンジン102d1〜102d3、走行兼飛行用エンジン118d、動力切替装置142d、操舵装置294d、点火装置288d等を制御する。点火装置288dは点火器226d1〜226d3に対して点火信号80dを発し、タービン駆動ガス発生器200d1〜200d3を点火する。動力切替装置142dでは、走行兼飛行用エンジン118dからの動力を飛行状態や走行状態に応じて、飛行用ファン138d又は駆動輪144dに切り替える。
酸化ガスや燃料ガスはより高い圧力で圧縮・充填されることで、圧縮酸化ガスボンベ192dや圧縮燃料ガスボンベ356dの容積が小さくなる。
酸化ガスの種類には、例えば、酸素や空気等がある。空気は機上にコンプレッサ等を持ち込むだけで容易に再充填を行える利点がある。
燃料ガスの種類には、例えば、水素や天然ガス、プロパン、メタン等がある。水素と酸素の組み合わせは有害物質を一切発生しない利点がある。
万一の場合、酸化ガスや燃料ガスのかわりに空気やヘリウムガス等の圧縮ガスを用い、ガスの膨張力だけを利用して短時間の垂直離着陸を行う事も可能である。
燃料の種類には、ガソリン等の炭化水素燃料(GTLを含む)、炭化水素燃料とアルコール類及びその水溶液との混合燃料等がある。特に、バイオアルコール類及びその水溶液との混合燃料は、炭酸ガスを含む環境汚染物質の発生が少ない。灯油及びガソリン等の炭化水素燃料は、危険性が低く取り扱いが容易で、入手し易い為にコストも低い。
燃料ガスの種類には、例えば、水素や天然ガス、プロパン、メタン等がある。水素と酸素の組み合わせは有害物質を一切発生しない利点がある。
万一の場合、酸化ガスや燃料ガスのかわりに空気やヘリウムガス等の圧縮ガスを用い、ガスの膨張力だけを利用して短時間の垂直離着陸を行う事も可能である。
燃料の種類には、ガソリン等の炭化水素燃料(GTLを含む)、炭化水素燃料とアルコール類及びその水溶液との混合燃料等がある。特に、バイオアルコール類及びその水溶液との混合燃料は、炭酸ガスを含む環境汚染物質の発生が少ない。灯油及びガソリン等の炭化水素燃料は、危険性が低く取り扱いが容易で、入手し易い為にコストも低い。
第5の実施形態
図31A〜図31Cは、本発明の第5の実施形態によるリフトエンジンと飛行用エンジンが一体化した垂直離着陸が可能な航空機1eの地上等での垂直離陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、31B−31Bに沿って切欠いた側断面図、及び31C−31Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1eは、航空機の一般的な構成要素である燃料タンク110e等を包括する機体100eに加え、本発明による、算盤珠状のリフト兼飛行用エンジン140eと、直交する2つの円筒を十字に組合せた形状の姿勢制御エンジン106e1〜106e4と、直方体状の酸化剤タンク108eと、直方体状のコンピュータ114eと、可尭する管状のフレキシブルダクト150e1〜150e3と、可変する矩形状の可変空気取入口ランプ160eと、排出ガスの喉部と出口部の面積が可変する切頭円錐状の可変面積排気偏向ノズル174e1〜174e3と、可動する殻状の排気ノズル収容扉198e1及び198e3と、可動する殻状のフレキシブルダクト収容扉246eと、筒状のアフターバーナ258eと、稼動する円板状の空気流量調整弁344e1〜344e3と、筒状のダクト346e1〜346e3とを具えている。可変空気取入口ランプ160eから取入れられた空気49ezがリフト兼飛行用エンジン140eで圧縮され、空気流量調整弁344e1と344e3によって流量を調整された後、ダクト346e1と346e3、フレキシブルダクト150e1と150e3、可変面積排気偏向ノズル174e1と174e3を順に通過して排出される(50e1zと50e3z)。又、リフト兼飛行用エンジン140eを駆動したガスもアフターバーナ258e(この時は非燃焼)、フレキシブルダクト150e2、可変面積排気偏向ノズル174e2を順に通過して排出される(50e2z)。これらの排出ガス50e1z〜50e3zが平地等388で撒き上げられて(51e1z〜51e3z)その一部が再び空気49ezに混入しても、リフト兼飛行用エンジン140eはその影響を殆ど受ける事無く自在にその出力を調整できる為、安全な垂直離着陸が可能である。図31B及び図31Cでは、排気ノズル収容扉198e1及び198e3と、フレキシブルダクト収容扉246eが開き、可変面積排気偏向ノズル174e1〜174e3が下方へ露出している状態が分かる。ランプ160e及び排気ノズル174e1〜174e3は飛行速度及び使用状況に応じて、適切にその形状を変更する。航空機1eは、リフトエンジンと飛行用エンジンを一体化して軽量化した飛行体であり、機敏な機動及び超音速での飛行等ができる。
図31A〜図31Cは、本発明の第5の実施形態によるリフトエンジンと飛行用エンジンが一体化した垂直離着陸が可能な航空機1eの地上等での垂直離陸時における上面図と右半分を切欠いた上断面図、31B−31Bに沿って切欠いた側断面図、及び31C−31Cに沿って切欠いた正面図と正断面図をそれぞれ示している。航空機1eは、航空機の一般的な構成要素である燃料タンク110e等を包括する機体100eに加え、本発明による、算盤珠状のリフト兼飛行用エンジン140eと、直交する2つの円筒を十字に組合せた形状の姿勢制御エンジン106e1〜106e4と、直方体状の酸化剤タンク108eと、直方体状のコンピュータ114eと、可尭する管状のフレキシブルダクト150e1〜150e3と、可変する矩形状の可変空気取入口ランプ160eと、排出ガスの喉部と出口部の面積が可変する切頭円錐状の可変面積排気偏向ノズル174e1〜174e3と、可動する殻状の排気ノズル収容扉198e1及び198e3と、可動する殻状のフレキシブルダクト収容扉246eと、筒状のアフターバーナ258eと、稼動する円板状の空気流量調整弁344e1〜344e3と、筒状のダクト346e1〜346e3とを具えている。可変空気取入口ランプ160eから取入れられた空気49ezがリフト兼飛行用エンジン140eで圧縮され、空気流量調整弁344e1と344e3によって流量を調整された後、ダクト346e1と346e3、フレキシブルダクト150e1と150e3、可変面積排気偏向ノズル174e1と174e3を順に通過して排出される(50e1zと50e3z)。又、リフト兼飛行用エンジン140eを駆動したガスもアフターバーナ258e(この時は非燃焼)、フレキシブルダクト150e2、可変面積排気偏向ノズル174e2を順に通過して排出される(50e2z)。これらの排出ガス50e1z〜50e3zが平地等388で撒き上げられて(51e1z〜51e3z)その一部が再び空気49ezに混入しても、リフト兼飛行用エンジン140eはその影響を殆ど受ける事無く自在にその出力を調整できる為、安全な垂直離着陸が可能である。図31B及び図31Cでは、排気ノズル収容扉198e1及び198e3と、フレキシブルダクト収容扉246eが開き、可変面積排気偏向ノズル174e1〜174e3が下方へ露出している状態が分かる。ランプ160e及び排気ノズル174e1〜174e3は飛行速度及び使用状況に応じて、適切にその形状を変更する。航空機1eは、リフトエンジンと飛行用エンジンを一体化して軽量化した飛行体であり、機敏な機動及び超音速での飛行等ができる。
図32A〜図32Bは、航空機1eの垂直離着陸状態と飛行状態におけるリフト兼飛行用エンジン140e及び関連要素の動作を説明する水平断面図をそれぞれ示している。リフト兼飛行用エンジン140eは、タービン駆動ガス発生器200eと、燃焼器298eと、円柱状の点火器226e1〜226e2と、円筒状の燃料ノズル272e1〜272e3と、酸化剤ノズル278eと、回転軸を有する半算盤珠状のタービン動翼204eと、周上に流路を持つ複数のタービン静翼208eと、タービン動翼204e1に連結している同軸的な半算盤珠状のコンプレッサ動翼362eと、周上に流路を持つ複数のコンプレッサ静翼364eと、網状の分散板228eと、楔状の複数の保炎器348eとを具えている。前記コンプレッサ動翼362e及びコンプレッサ静翼364eで構成されるコンプレッサは、高圧圧縮用のファンである。
航空機1eの垂直離着陸時におけるエンジン140e及び関連要素の作動を説明する。図32Aにおいて、自己着火性を持つ酸化剤10eと燃料11eの流れは、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282e及びリフトエンジン用燃料流量調整弁286e1によってそれぞれ流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200e1内で酸化剤ノズル278と燃料ノズル272を通じて互いに衝突し、黒い矢印のタービン駆動ガス20ezを発生させる。ガス20ezはタービン静翼208eを通して白い矢印の方向へタービン動翼204eを駆動した後、フレキシブルダクト150e2によって下方(紙面裏向き)へと偏向されて可変面積排気偏向ノズル174e2を通過して外部へ排出される(図31B及び図31Cの50e2z)。一方、タービン動翼204eで得られた動力は、白い矢印の方向へコンプレッサ動翼362eを駆動する。可変空気取入口ランプ160eを通過して吸込まれた白い矢印で表される空気49ezは、コンプレッサ362e及び364eによって圧縮(23e1z〜23e3z)され、空気流量調整弁344e1〜344e3に達する。ここで、空気流量調整弁344e2は閉鎖されている為にダクト346e2内の白い矢印の空気24e2zは止められ、代わりに開放されている空気流量調整弁344e1及び344e3を白い矢印の空気23e1z及び23e3zが通過する。空気23e1z及び23e3zはダクト346e1及び346e3を通過し、フレキシブルダクト150e1及び150e3によって下方(紙面裏向き)へと偏向されて可変面積排気偏向ノズル174e1及び174e3を通過して外部へそれぞれ排出される(図31B及び図31Cの50e1z及び50e3z)。航空機1eはこれらのガス及び空気の流れの反力を受け、上方(紙面表向き)の力を得て垂直離着陸を行う。
航空機1eの垂直離着陸時におけるエンジン140e及び関連要素の作動を説明する。図32Aにおいて、自己着火性を持つ酸化剤10eと燃料11eの流れは、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282e及びリフトエンジン用燃料流量調整弁286e1によってそれぞれ流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200e1内で酸化剤ノズル278と燃料ノズル272を通じて互いに衝突し、黒い矢印のタービン駆動ガス20ezを発生させる。ガス20ezはタービン静翼208eを通して白い矢印の方向へタービン動翼204eを駆動した後、フレキシブルダクト150e2によって下方(紙面裏向き)へと偏向されて可変面積排気偏向ノズル174e2を通過して外部へ排出される(図31B及び図31Cの50e2z)。一方、タービン動翼204eで得られた動力は、白い矢印の方向へコンプレッサ動翼362eを駆動する。可変空気取入口ランプ160eを通過して吸込まれた白い矢印で表される空気49ezは、コンプレッサ362e及び364eによって圧縮(23e1z〜23e3z)され、空気流量調整弁344e1〜344e3に達する。ここで、空気流量調整弁344e2は閉鎖されている為にダクト346e2内の白い矢印の空気24e2zは止められ、代わりに開放されている空気流量調整弁344e1及び344e3を白い矢印の空気23e1z及び23e3zが通過する。空気23e1z及び23e3zはダクト346e1及び346e3を通過し、フレキシブルダクト150e1及び150e3によって下方(紙面裏向き)へと偏向されて可変面積排気偏向ノズル174e1及び174e3を通過して外部へそれぞれ排出される(図31B及び図31Cの50e1z及び50e3z)。航空機1eはこれらのガス及び空気の流れの反力を受け、上方(紙面表向き)の力を得て垂直離着陸を行う。
次に、航空機1eの飛行時におけるリフト兼飛行用エンジン140e及び関連要素の作動を説明する。図32Bにおいて、可変空気取入口ランプ160eを通過した白い矢印の空気49eyは、コンプレッサ362e及び364eによって圧縮され、空気流量調整弁344e1〜344e3に達する。ここで、空気流量調整弁344e1及び344e3は閉鎖されている為に白い矢印の空気24e1y及び24e3yは止められ、代わりにダクト346e2を通って開放されている空気流量調整弁344e2を白い矢印の空気23e2yが通過する。空気23e2yは分散板228eによって空間的に均一な流れに整流された後、燃焼器298eに達する。燃焼器298eでは、燃料11eがリフトエンジン用燃料流量調整弁286e2によって流量を調整された後、燃料ノズル272e2を通じて吹込まれ、点火信号80eを受けた点火器226e1によって空気23e2yと反応して、タービン駆動ガス20eyが発生する。タービン駆動ガス20eyはタービン静翼208eを通して白い矢印の方向へタービン動翼204eを駆動した後、アフターバーナ258eに達する。一方、タービン動翼204eで得られた動力は、白い矢印の方向へコンプレッサ動翼362eを駆動する。 アフターバーナ258eでは、燃料11eがリフトエンジン用燃料流量調整弁286e3によって流量を調整された後、火炎を安定して保持する保炎器348eの下流に位置する燃料ノズル272e3から加えられ、点火信号80eを受けた点火器226e2によって空気20e1と反応を行う。その後、フレキシブルダクト150e2を通過して後方(紙面右向き)へ可変面積排気偏向ノズル174e2を通じて外部へ排出される(50e2y)。航空機1eはこのガス50e2yの流れの反力を受け、前方(紙面左向き)の力を得て飛行を行う。なお、タービン駆動ガス発生器200eを、リフト兼飛行用エンジン140eの始動用スタータとしても用いることができる。なお、このリフト兼飛行用エンジン140eは、酸化剤10eを用いずに燃料11eのみで垂直離着陸を行ったり(燃焼器298eからタービン駆動ガス20e1zを発生する)、逆に酸化剤10eと燃料11eを用いて飛行を行ったり(タービン駆動ガス発生器298からタービン駆動ガス20e1yを発生する)する事もできる。
図33A〜図33Bは、航空機1eの姿勢制御エンジン106e1の作動状態を示す垂直断面図及び33B−33Bに沿った別断面での垂直断面図である。姿勢制御エンジン106e2〜106e4は姿勢制御エンジン106e1と同じ構造を有する。姿勢制御エンジン106e1は、円筒状の姿勢制御ガス発生器300e1と、円筒状の姿勢制御エンジン用酸化剤ノズル279e1と、円筒状の姿勢制御エンジン用燃料ノズル273e1と、反応ガスの流れを切替える反応ガス切替弁354e1と、直交する2つの円筒を十字に組合せた形状のエジェクタ304e1とを具えている。酸化剤10eと燃料11eは、姿勢制御エンジン用酸化剤流量調整弁283e1と姿勢制御エンジン用燃料流量調整弁387e1でそれぞれ流量を調整された後、姿勢制御ガス発生器300e1内の姿勢制御エンジン用酸化剤ノズル279e1及び姿勢制御エンジン用燃料ノズル273e1から噴射されて互いに衝突し、反応ガス30e1となる。黒の矢印で示される反応ガスの流れ30e1は、反応ガス切替弁354e1によってその噴出方向を切り替えられてエジェクタ304e1にする。エジェクタ304e1内では、高速で噴出する反応ガスの流れ30e1によって白い幅広の矢印の周囲の空気70e1がエジェクタ304e1の3方向から吸入され、白い矢印の両者の混合ガス71e1となって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106e1には、その反対方向に反力が働く。反応ガス切替弁354e1を切り替えることによって、任意の方向への姿勢制御が可能である。この様に、姿勢制御エンジン106e1は、酸化剤と燃料の流量の増減によって迅速に反力の増減が可能であることから、その応答性が良い。また、姿勢制御エンジン106e1は、少量の反応ガス30e1を大量の空気70e1で希釈して排出することによって推力を得る為、排出温度も排出速度も低くなり騒音も少ない。
図34Aは、航空機1eのピッチ軸回り運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された白い矢印のガス50e3a及び50e1aの流量を、白い矢印のガス50e2aの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e1から白い矢印のガス71e1aを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e3から白い矢印のガス71e3aを上向きに排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたピッチ軸回り機首上げの力600eを航空機1eに与えることができる。逆に、リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された黒い矢印のガス50e2bの流量を、黒い矢印のガス50e3b及び50e1bの流量よりも相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e1から黒い矢印のガス71e1bを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e3から黒い矢印のガス71e3bを下向きに排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたピッチ軸回り機首下げの力602eを航空機1eに与えることができる。
図34B〜図34Dは、航空機1eのヨー軸機首右回り運動の一例を示す上面図、側面図及び正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1c〜50e3cを反時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106e1〜106e4から水平面反時計回りに白い矢印のガス71e1c〜71e4cを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸機首右回りの力604eを航空機1eに与えることができる。
図34E〜図34Gは、航空機1eのヨー軸機首左回り運動の一例を示す上面図、側面図及び正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1d〜50e3dを時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106e1〜106e4から水平面時計回りに白い矢印のガス71e1d〜71e4dを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸機首左回りの力606eを航空機1eに与えることができる。
図34Hは、航空機1eのロール軸回り運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された白い矢印のガス50e3eの流量を相対的に白い矢印のガス50e1eの流量より多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e2から白い矢印のガス71e2eを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e4から白い矢印のガス71e4eを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eにロール軸回り右ロールの力608eを与えることができる。逆に、リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された黒い矢印のガス50e1fの流量を相対的に黒い矢印のガス50e3fの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e2から黒い矢印のガス71e2fを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e4から黒い矢印のガス71e4fを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eにロール軸回り左ロールの力610eを与えることができる。
図35Aは、航空機1eの前進運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1g〜50e3gを後方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106e4及び106e2から白い矢印のガス71e4gと71e2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1eに前進する力612eを与えることができる。
図35Bは、航空機1eの後進運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガスガス50e1h〜50e3hを前方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106e4及び106e2から白い矢印のガス71e4hと71e2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1eに後進する力614eを与えることができる。
図35Cは、航空機1eの右進運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1i〜50e3iを下方左向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1及び106e3から白い矢印のガス71e1iと71e3iを左向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに右進する力616eを与えることができる。
図35Dは、航空機1eの左進運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1j〜50e3jを下方右向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1及び106e3から白い矢印のガス71e1jと71e3jを右向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに左進する力618eを与えることができる。
図35Eは、航空機1eの上昇運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1k〜50e3kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1〜106e4から白い矢印のガス71e1k〜71e4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに上昇する力620eを与えることができる。
図35Fは、航空機1eの下降運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1l〜50e3lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1〜106e4から白い矢印のガス71e1l〜71e4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに下降する力622eを与えることができる。
この様に、航空機1eは、第1の実施形態の航空機1aと同様の利点を有する。
図34B〜図34Dは、航空機1eのヨー軸機首右回り運動の一例を示す上面図、側面図及び正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1c〜50e3cを反時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106e1〜106e4から水平面反時計回りに白い矢印のガス71e1c〜71e4cを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸機首右回りの力604eを航空機1eに与えることができる。
図34E〜図34Gは、航空機1eのヨー軸機首左回り運動の一例を示す上面図、側面図及び正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1d〜50e3dを時計回り下方に排出するか、又は、姿勢制御エンジン106e1〜106e4から水平面時計回りに白い矢印のガス71e1d〜71e4dを排出するか、又はその双方によって、矢印で示されたヨー軸機首左回りの力606eを航空機1eに与えることができる。
図34Hは、航空機1eのロール軸回り運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された白い矢印のガス50e3eの流量を相対的に白い矢印のガス50e1eの流量より多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e2から白い矢印のガス71e2eを上向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e4から白い矢印のガス71e4eを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eにロール軸回り右ロールの力608eを与えることができる。逆に、リフト兼飛行用エンジン140e等によって加速された黒い矢印のガス50e1fの流量を相対的に黒い矢印のガス50e3fの流量より相対的に多くするか、又は、姿勢制御エンジン106e2から黒い矢印のガス71e2fを下向きに排出もしくは姿勢制御エンジン106e4から黒い矢印のガス71e4fを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eにロール軸回り左ロールの力610eを与えることができる。
図35Aは、航空機1eの前進運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1g〜50e3gを後方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106e4及び106e2から白い矢印のガス71e4gと71e2gを後方に排出するか、又はその双方によって、航空機1eに前進する力612eを与えることができる。
図35Bは、航空機1eの後進運動を示す側面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガスガス50e1h〜50e3hを前方下向きに排出するか、又は姿勢制御エンジン106e4及び106e2から白い矢印のガス71e4hと71e2hを前方に排出するか、又はその双方によって、航空機1eに後進する力614eを与えることができる。
図35Cは、航空機1eの右進運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1i〜50e3iを下方左向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1及び106e3から白い矢印のガス71e1iと71e3iを左向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに右進する力616eを与えることができる。
図35Dは、航空機1eの左進運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1j〜50e3jを下方右向きに偏向して排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1及び106e3から白い矢印のガス71e1jと71e3jを右向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに左進する力618eを与えることができる。
図35Eは、航空機1eの上昇運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1k〜50e3kの流量をホバリング時より多く排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1〜106e4から白い矢印のガス71e1k〜71e4kを下向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに上昇する力620eを与えることができる。
図35Fは、航空機1eの下降運動を示す正面図である。リフト兼飛行用エンジン140e等から白い矢印のガス50e1l〜50e3lの流量をホバリング時より少なく排出するか、又は姿勢制御エンジン106e1〜106e4から白い矢印のガス71e1l〜71e4lを上向きに排出するか、又はその双方によって、航空機1eに下降する力622eを与えることができる。
この様に、航空機1eは、第1の実施形態の航空機1aと同様の利点を有する。
図36は、航空機1eの流体及び電気系統のブロック図である。航空機1eにおいて、外部酸化剤タンク130e内や予め又は空中給液プローブ126eを介して酸化剤タンク108e内に貯蔵された酸化剤10eは、酸化剤加圧装置280eによって加圧され、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282eや姿勢制御エンジン用酸化剤流量調整弁283e1〜283e4を経て、リフト兼飛行用エンジン140eのタービン駆動ガス発生器200e及び姿勢制御エンジン106e1〜106e4の姿勢制御ガス発生器300e1〜300e4へ供給される。一方、外部燃料タンク132e内や予め又は空中給油プローブ128eを介して燃料タンク110e内に貯蔵された燃料11eは、燃料加圧装置284eによって加圧され、リフトエンジン用燃料流量調整弁286e1〜286e3や姿勢制御エンジン用燃料流量調整弁287e1〜287e4を経て、リフト兼飛行用エンジン140eのタービン駆動ガス発生器200e及び燃焼器298e、アフターバーナ258e、及び姿勢制御エンジン106e1〜106e4の姿勢制御ガス発生器300e1〜300e4へ供給される。リフト兼飛行用エンジン140eでは、タービン駆動ガス発生器200e又は燃焼器298eで発生したタービン駆動ガス20eがタービン202eを駆動した後、アフターバーナ258eに達する。タービン202eで得られた動力はコンプレッサ360eを駆動し、周囲の空気49eを可変空気取入口ランプ160eを通じて吸い込む。その後、コンプレッサ360eで加圧された空気22eは空気流量調整弁344e1〜344e3に達し、流量を調整された後で下流に位置する燃焼器298e又はフレキシブルダクト150e1及び150e3へ導かれる。燃焼器298eでは空気22eに燃料11eが投入された後、点火器226e1によって反応が行われる。空気22eはフレキシブルダクト150e1及び150e3で適切に方向を偏向された後、可変面積排気偏向ノズル174e1及び174e3で加速された後に外部へ排出される(50e1、50e3)。一方、アフターバーナ258eでは必要に応じてタービン駆動ガス20eに再び燃料11eが投入され、点火器226e2によって反応が行われる。その後、このガスはフレキシブルダクト150e2で適切に方向を偏向された後、可変面積排気偏向ノズル174e2で加速された後に外部へ排出される(50e2)。飛行形態に応じて、排気ノズル収容扉198e1及び198e3及びフレキシブルダクト収容扉246eが開閉する。
姿勢制御エンジン106e2〜106e4の構造は姿勢制御エンジン106e1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106e1について説明を行う。姿勢制御エンジン106e1では、姿勢制御ガス発生器300e1で発生した反応ガス30e1が反応ガス切替弁354e1により流路を変更した後、エジェクタ304e1で周囲の空気70e1を吸込んで排出される(71e1)ことによって、反力を発生させる。
指令装置290eは、機体等の情報を検知するセンサ292eの情報に応じてコンピュータ114eに指令を与える。コンピュータ114eはその指令に従って、制御信号81eによりリフト兼飛行用エンジン140e及び姿勢制御エンジン106e1〜106e4、点火装置288e、操舵装置294e等を制御する。点火装置288eは点火器226e1〜226e2に対して点火信号80eを発し、燃焼器298e及びアフターバーナ258eを点火する。
姿勢制御エンジン106e2〜106e4の構造は姿勢制御エンジン106e1と同じである為、ここでは姿勢制御エンジン106e1について説明を行う。姿勢制御エンジン106e1では、姿勢制御ガス発生器300e1で発生した反応ガス30e1が反応ガス切替弁354e1により流路を変更した後、エジェクタ304e1で周囲の空気70e1を吸込んで排出される(71e1)ことによって、反力を発生させる。
指令装置290eは、機体等の情報を検知するセンサ292eの情報に応じてコンピュータ114eに指令を与える。コンピュータ114eはその指令に従って、制御信号81eによりリフト兼飛行用エンジン140e及び姿勢制御エンジン106e1〜106e4、点火装置288e、操舵装置294e等を制御する。点火装置288eは点火器226e1〜226e2に対して点火信号80eを発し、燃焼器298e及びアフターバーナ258eを点火する。
酸化剤及び燃料は、自己着火性を持ち、保存性及び貯蔵性の面で常温で高密度の液体であることが好ましいが、これに限定されない。液体の酸化剤及び燃料を用いることによって、これらをエンジン140e及び姿勢制御エンジン106e1〜106e4へ導く配管等の容積が小さくなり、システム配置の自由度も向上する。
酸化剤と燃料の組合せには、例えば、酸化剤が三弗化塩素の場合の燃料にはアンモニア及びその水溶液、アリニン類、エチルアルコール及びメチルアルコール等のアルコール類及びその水溶液、モノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液、ジェット燃料等の炭化水素燃料(含GTL: Gas To Liquid fuel)等があり、燃料がアリニン類及びモノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液等の場合の酸化剤には白煙硝酸又はその水溶液及び赤煙硝酸、四酸化二窒素等がある。
酸化剤と燃料の組合せには、例えば、酸化剤が三弗化塩素の場合の燃料にはアンモニア及びその水溶液、アリニン類、エチルアルコール及びメチルアルコール等のアルコール類及びその水溶液、モノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液、ジェット燃料等の炭化水素燃料(含GTL: Gas To Liquid fuel)等があり、燃料がアリニン類及びモノメチルヒドラジン等のヒドラジン類及びその水溶液及び油溶液等の場合の酸化剤には白煙硝酸又はその水溶液及び赤煙硝酸、四酸化二窒素等がある。
第6の実施形態
図37A〜図37Bは、本発明の第6の実施形態によるロケットブースタ1f1〜1f4及びロケット382の発射時における側面図及び上面図をそれぞれ示している。大きさの異なる円筒を組合せた形状のロケットブースタ1f1〜1f4は既存のロケット382を取り囲むように配され、分離装置136fによってロケット382と固定されており、ロケットブースタ1f1〜1f4で生じた推力がロケット382に伝わる。
ブースタ1f1〜1f4は、ロケット382を打ち上げる際に大気圏内で推力を発生する飛行体であり、既存のロケットブースタより騒音及び大気汚染物質が大幅に削減される。ブースタ1f1〜1f4は、既存のロケットブースタの様に高速の排出ガスを多量に噴出することにより加速して大気圏内を高速で突き抜けるのではなく、周囲の大量の空気を燃焼させずに低速で噴出するので加速は緩やかで、ロケット等の構造重量を削減でき、搭載衛星等に与える望ましくない加速度及び振動等も最小限にできる。それは、大気圏内での移動速度も遅いので、一定高度に到達する迄の時間は長くなるが、ロケットに生じる空気抵抗及び空力加熱は少なく、構造体及びフェアリング等をより一層軽量化でき、最後まで高い推進効率を維持できる。低速なので制御や軌道修正も容易で、回収して再利用することもできる。
図37A〜図37Bは、本発明の第6の実施形態によるロケットブースタ1f1〜1f4及びロケット382の発射時における側面図及び上面図をそれぞれ示している。大きさの異なる円筒を組合せた形状のロケットブースタ1f1〜1f4は既存のロケット382を取り囲むように配され、分離装置136fによってロケット382と固定されており、ロケットブースタ1f1〜1f4で生じた推力がロケット382に伝わる。
ブースタ1f1〜1f4は、ロケット382を打ち上げる際に大気圏内で推力を発生する飛行体であり、既存のロケットブースタより騒音及び大気汚染物質が大幅に削減される。ブースタ1f1〜1f4は、既存のロケットブースタの様に高速の排出ガスを多量に噴出することにより加速して大気圏内を高速で突き抜けるのではなく、周囲の大量の空気を燃焼させずに低速で噴出するので加速は緩やかで、ロケット等の構造重量を削減でき、搭載衛星等に与える望ましくない加速度及び振動等も最小限にできる。それは、大気圏内での移動速度も遅いので、一定高度に到達する迄の時間は長くなるが、ロケットに生じる空気抵抗及び空力加熱は少なく、構造体及びフェアリング等をより一層軽量化でき、最後まで高い推進効率を維持できる。低速なので制御や軌道修正も容易で、回収して再利用することもできる。
図38は、作動状態のロケットブースタ1f1の側断面図を示している。ロケットブースタ1f2〜1f4はロケットブースタ1f1と同じ構造を有する。ロケットブースタ1f1は、球状の酸化剤タンク108f1と、折りたたんで収納が可能な直方体状のパラシュート148f1と、タービン駆動用のガス20f1を発生させ垂直な中心軸を有し下向きの円環状の開口を有する頂部円錐円筒(キャン)状のタービン駆動ガス発生器200f1と、中空の竹輪状の固体燃料194f1と、点火信号80fによって点火する円柱状の点火器226f1と、酸化剤10f1を分散する円筒状の酸化剤ノズル278f1と、ガス20f1を増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208f1と、ガス20f1から機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204f1と、タービン動翼204f1が破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210f1と、周囲の空気を吸込んで加速する同軸的な放射状の複数のファン動翼214f1と、白い矢印で示される吸込んだ空気21f1の速度を圧力に変換する同軸的な放射状の複数のファン静翼218f1と、ファン動翼214f1が破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220f1と、ファンケース220f1内に設けられ空気21f1を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220f1)と切頭円錐(タービンケース210f1)間で形成されるノズル222f1と、タービン動翼204f1によって回転される中心軸上のシャフト224f1と、シャフト224f1からの回転をファン動翼214f1に伝達する回転対称に歯車類が組み合わされたトランスミッション230f1と、タービンを駆動したガス20f1の一部と吸入された空気21f1の一部を混合させて排出ガスの温度と速度を均一にする径方向に波打つひだ状のローブ型のミキサ232f1と、発電機や電動機として作動する円柱状の回転制御モータ兼発電機234f1と、周囲空気の流れの向きを変えることにより推力の変向が可能な放射状の複数の排気偏向ルーバ254f1と、排気偏向ルーバ254f1を駆動する駆動アクチュエータ256f1と、排気ノズルの喉部及び出口部の面積を任意に変更可能な可変面積排気ノズル166f1と、可変面積排気ノズル166f1を駆動する駆動アクチュエータ168f1とを具えている。
酸化剤10fは、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282f1によって流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200f1内部の酸化剤ノズル278f1によって分散され、点火信号80fを受けた点火器226f1によって供給されたエネルギによって固体燃料194f1表面で反応し、タービン駆動ガス20f1を発生する。ガス20f1はタービン204f1及び208f1を通過することで、ガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってミキサ232f1に達する。タービン動翼204f1はシャフト224f1と回転制御モータ兼発電機234f1を回転させ、トランスミッション230f1によってその回転を減じてファン動翼214f1を駆動し、ファン214f1及び218f1によって空気21f1を吸入し圧縮する。空気21f1は、ノズル222f1によって増速されて排気偏向ルーバ254f1に達し、空気21f1の流れの向きを変えることにより推力の変向を行った後、ミキサ232f1に達する。タービンを駆動したガス20f1の一部(25f1)は、ミキサ232f1によってファン流路を通過する空気21f1の一部(26f1)と混合され、その温度と速度を更に減じて、大量の低速ガス流を形成してロケットブースタ1f1より排出される。シャフト224f1の回転は回転制御モータ兼発電機234f1の負荷で適切に調整される。ロケットブースタ1f1は、少量のタービン駆動ガス20f1によって大量の空気21f1を低速で排出することによって推力を得るので、従来のロケットよりも経済性が高く、推進効率も高く、排出するガス20f1の量及び騒音も少ない。大量の空気21f1を低速で排出する手段として、ターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。ロケットブースタ1f1は、空気が希薄な高空等であっても、その前進速度に応じて可変面積排気ノズル166f1の喉部及び出口部の面積を適切に変更することで効率良く推力を得ることができ、その方向は排気偏向ルーバ254f1を適切に制御したり、他のロケットブースタ1f2〜1f4との間で、推力を協調制御することによって自在に変えることができる。
酸化剤10fは、リフトエンジン用酸化剤流量調整弁282f1によって流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200f1内部の酸化剤ノズル278f1によって分散され、点火信号80fを受けた点火器226f1によって供給されたエネルギによって固体燃料194f1表面で反応し、タービン駆動ガス20f1を発生する。ガス20f1はタービン204f1及び208f1を通過することで、ガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってミキサ232f1に達する。タービン動翼204f1はシャフト224f1と回転制御モータ兼発電機234f1を回転させ、トランスミッション230f1によってその回転を減じてファン動翼214f1を駆動し、ファン214f1及び218f1によって空気21f1を吸入し圧縮する。空気21f1は、ノズル222f1によって増速されて排気偏向ルーバ254f1に達し、空気21f1の流れの向きを変えることにより推力の変向を行った後、ミキサ232f1に達する。タービンを駆動したガス20f1の一部(25f1)は、ミキサ232f1によってファン流路を通過する空気21f1の一部(26f1)と混合され、その温度と速度を更に減じて、大量の低速ガス流を形成してロケットブースタ1f1より排出される。シャフト224f1の回転は回転制御モータ兼発電機234f1の負荷で適切に調整される。ロケットブースタ1f1は、少量のタービン駆動ガス20f1によって大量の空気21f1を低速で排出することによって推力を得るので、従来のロケットよりも経済性が高く、推進効率も高く、排出するガス20f1の量及び騒音も少ない。大量の空気21f1を低速で排出する手段として、ターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。ロケットブースタ1f1は、空気が希薄な高空等であっても、その前進速度に応じて可変面積排気ノズル166f1の喉部及び出口部の面積を適切に変更することで効率良く推力を得ることができ、その方向は排気偏向ルーバ254f1を適切に制御したり、他のロケットブースタ1f2〜1f4との間で、推力を協調制御することによって自在に変えることができる。
図39は、ロケットブースタ1f1〜1f4とロケット382の発射方法を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字1〜3はロケットブースタ1f1〜1f4とロケット382の発射の順番を示している。ロケットブースタ1f1〜1f4とロケット382は互いに固定された状態で、平地等388の上(480f)から白い矢印のガス53fを下方へ排出することによって上昇(482f)した後、分離装置136fによってロケットブースタ1f1〜1f4とロケット382は互いに分離する。ロケット382はガス55fを排出して上昇を続け(484f)、使用後のロケットブースタ1f1〜1f4はパラシュート148fを展開して緩やかに降下(486f)し、回収されて再利用される。
図40は、ロケットブースタ1f1〜1f4の流体及び電気系統のブロック図である。ロケットブースタ1f2〜1f4の構造はロケットブースタ1f1と同じである為、ここではロケットブースタ1f1とその関連部品について説明を行う。ロケットブースタ1f1において、予め酸化剤タンク108f1に貯蔵された酸化剤10f1は、酸化剤加圧装置280f1によって加圧されて酸化剤流量調整弁282f1で流量を調整された後、タービン駆動ガス発生器200f1へ供給される。ガス発生器200f1で発生したタービン駆動ガス20f1がタービン202f1を駆動した後、ミキサ232f1に達する。タービン202f1で得られた動力は、シャフト224f1を介してトランスミッション230f1と回転制御モータ兼発電機234f1を駆動する。トランスミッション230f1はファン212f1を駆動する。ファン212f1は周囲の空気52f1を吸い込み、加圧された空気21f1はノズル222f1に達する。ノズル222f1で空気21f1はその圧力を速度に変換して加速され、排気偏向ルーバ254f1によって推力を変向した後、ミキサ232f1に達する。ミキサ232f1ではタービン駆動ガス20f1と空気21f1の一部が混合され、可変面積排気ノズル166f1を通過して排出される(53f1)。ファンのストール及びサージが発生しない様、回転制御モータ兼発電機234f1によってシャフト224f1の負荷を調整する。タービン駆動ガス20f1が発生しなくなった場合には、一時的に回転制御モータ兼発電機234f1によって、ファン212f1を駆動し、ロケットブースタ1f1〜1f4とロケット382を可能な限り安全に軟着陸させる。これは通常のロケットブースタ及びロケットの様に、高速で大気圏を突き抜ける方式では、到底実現し得ない回収方法である。
指令装置290fは、機体等の情報を検知するセンサ292fの情報に応じてコンピュータ114fに指令を与える。コンピュータ114fはその指令に従って、制御信号81fによりロケットブースタ1f1〜1f4及びパラシュート148f1〜148f4、分離装置136f、点火装置288f等を制御する。点火装置288fは点火器226f1〜226f4に対して点火信号80fを発し、タービン駆動ガス発生器200f1を点火する。
指令装置290fは、機体等の情報を検知するセンサ292fの情報に応じてコンピュータ114fに指令を与える。コンピュータ114fはその指令に従って、制御信号81fによりロケットブースタ1f1〜1f4及びパラシュート148f1〜148f4、分離装置136f、点火装置288f等を制御する。点火装置288fは点火器226f1〜226f4に対して点火信号80fを発し、タービン駆動ガス発生器200f1を点火する。
酸化剤と燃料の組合せとしては、取扱いや貯蔵等が容易で、発生するガスの分子量が低いものが望ましい。酸化剤としては、過酸化水素及びその水溶液、硝酸又はその水溶液、赤煙硝酸又はその水溶液、二酸化窒素、四酸化二窒素等がある。固体燃料には、コンポジット型等の燃料、例えば、ポリブタジェン系及びポリウレタン系、ポリエステル系、ポリサルファイド系、ポリエチレン系、ゴム系、ビニール系等がある。従来の固体ロケット用燃料に多用されるアルミニウム等の金属類の添加はタービン(202f)等を傷める為、余り好ましくない。
第7の実施形態
図41A〜図41Bは、本発明の第7の実施形態による第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384の発射時における側面図及び上面図をそれぞれ示している。大小の円筒が組み合わされた形状の第1段ロケット1gは、既存の第2段以降のロケット384の下段に固定されており、第1段ロケット1gで生じた推力は第2段以降のロケット384に伝わる。
第1段ロケット1gは大気圏内で推力を発生する飛行体であり、既存のロケット及びロケットブースタより騒音及び大気汚染物質が大幅にされる。第1段ロケット1gは、周囲の大量の空気を燃焼させずに低速で噴出するので加速は緩やかで、ロケット等の構造重量の削減でき、搭載衛星等に与える望ましくない力等も最小限にできる。それは、大気圏内での移動速度も遅いので、一定高度に到達する迄の時間は長くなるが、ロケットに生じる空気抵抗及び空力加熱は少なく、最後まで高い推進効率を維持することができる。低速なので制御や軌道修正も容易で、使い捨て構造とすることによって低コストになる。
図41A〜図41Bは、本発明の第7の実施形態による第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384の発射時における側面図及び上面図をそれぞれ示している。大小の円筒が組み合わされた形状の第1段ロケット1gは、既存の第2段以降のロケット384の下段に固定されており、第1段ロケット1gで生じた推力は第2段以降のロケット384に伝わる。
第1段ロケット1gは大気圏内で推力を発生する飛行体であり、既存のロケット及びロケットブースタより騒音及び大気汚染物質が大幅にされる。第1段ロケット1gは、周囲の大量の空気を燃焼させずに低速で噴出するので加速は緩やかで、ロケット等の構造重量の削減でき、搭載衛星等に与える望ましくない力等も最小限にできる。それは、大気圏内での移動速度も遅いので、一定高度に到達する迄の時間は長くなるが、ロケットに生じる空気抵抗及び空力加熱は少なく、最後まで高い推進効率を維持することができる。低速なので制御や軌道修正も容易で、使い捨て構造とすることによって低コストになる。
図42は、作動状態の第1段ロケット1gの側断面図を示している。第1段ロケット1gは、直方体状の複数の分離装置136gと、タービン駆動用のガス20gを発生させ垂直な中心軸を有し下向きの円環状の開口を有する円筒(キャン)状のタービン駆動ガス発生器200gと、円柱状の固体燃料194gと、点火信号80gによって点火する円柱状の複数の点火器226gと、ガス20gから機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204gと、同じくガス20gから機械仕事を取り出すタービン動翼204gとは逆回転して機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼206gと、タービン動翼204g及び206gが破壊又は飛散してもその破片がエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210gと、白い矢印の空気21gを加圧する同軸的な放射状の複数のファン動翼214gと、同じく空気21gを加圧するファン動翼214gとは逆回転する同軸的な放射状の複数のファン動翼216gと、ファン動翼214g及び216gが破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220gと、ファンケース220g内に設けられ空気21gを加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220g)と切頭円錐(タービンケース210g)間で形成されるノズル222gと、タービン動翼204g及び206gの回転中心となる中心軸上のシャフト224gと、速度エネルギを圧力エネルギに変換する同軸的な切頭円錐状のディフューザ242gと、排気ノズルの出口部の方向を任意に変更することが可能な排気偏向ノズル170gと、排気偏向ノズル170gを駆動する駆動アクチュエータ172gとを具えている。
タービン駆動ガス発生器200g内部において、点火器226gによって固体燃料194gが反応し、タービン駆動ガス20gを発生する。ガス20gはタービン204g及び206gを通過することにより、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242gに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204gはシャフト224gを回転中心としてファン動翼214gを駆動し、タービン動翼206gはシャフト224gを回転中心としてファン動翼214gとは逆方向にファン動翼216gを駆動することにより、空気21gを吸入し圧縮する。空気21gは、ノズル222gによって増速される。空気21gとディフューザ242gを通過したタービン駆動ガス20gは大量の低速ガス流を形成して、排気偏向ノズル170gにて推力を任意に変向された後、排出される。第1段ロケット1gは、第6の実施形態のロケットブースタ1f1と同様の利点を有する。大量の空気21gを低速で排出する手段として、ファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。タービン動翼204gと206g又は、ファン動翼214gと216gの様に、互いに逆方向に回転する動翼によって機械仕事を吸収及び付加することによって、軸方向の距離を短かくし構造も簡単になり、回転数も低くできるので、その小型化及び軽量化に寄与する。
タービン駆動ガス発生器200g内部において、点火器226gによって固体燃料194gが反応し、タービン駆動ガス20gを発生する。ガス20gはタービン204g及び206gを通過することにより、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242gに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204gはシャフト224gを回転中心としてファン動翼214gを駆動し、タービン動翼206gはシャフト224gを回転中心としてファン動翼214gとは逆方向にファン動翼216gを駆動することにより、空気21gを吸入し圧縮する。空気21gは、ノズル222gによって増速される。空気21gとディフューザ242gを通過したタービン駆動ガス20gは大量の低速ガス流を形成して、排気偏向ノズル170gにて推力を任意に変向された後、排出される。第1段ロケット1gは、第6の実施形態のロケットブースタ1f1と同様の利点を有する。大量の空気21gを低速で排出する手段として、ファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。タービン動翼204gと206g又は、ファン動翼214gと216gの様に、互いに逆方向に回転する動翼によって機械仕事を吸収及び付加することによって、軸方向の距離を短かくし構造も簡単になり、回転数も低くできるので、その小型化及び軽量化に寄与する。
図43は、第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384の発射方法を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字1〜3は第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384の発射の順番を示している。第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384は互いに固定された状態で、平地等388の上(490g)から白い矢印のガス57gを下方へ排出することによって上昇(492g)した後、分離装置136gによって第1段ロケット1gと第2段以降のロケット384は互いに分離する。第2段以降のロケット384はガス55gを排出して上昇を続け(494g)、使用後の第1段ロケット1gは投棄(496g)され、大気との摩擦で燃え尽きるか海洋上に破棄される。
図44は、第1段ロケット1gの流体及び電気系統のブロック図である。第1段ロケット1gにおいて、タービン駆動ガス発生器200gで発生したタービン駆動ガス20gはタービン202gを駆動し、ディフューザ242gを通過してその速度を圧力に変換する。タービン202gで得られた動力は、シャフト224gを介してファン212gを駆動する。ファン212gは周囲の空気56gを吸い込み、加圧された空気21gはノズル222gに達する。ノズル222gで空気21gはその圧力を速度に変換して加速される。ディフューザ242gやノズル222g1を通過したガス20gや空気56gは、排気偏向ノズル170gにて推力を任意に変向された後、第1段ロケット1gより排出される(57g)。
指令装置290gは、機体等の情報を検知するセン類292gの情報に応じてコンピュータ114gに指令を与える。コンピュータ114gはその指令に従って、制御信号81gにより第1段ロケット1gの各部及び分離装置136g、点火装置288g等を制御する。点火装置288gは点火器226gに対して点火信号80gを発し、タービン駆動ガス発生器200gを点火する。
指令装置290gは、機体等の情報を検知するセン類292gの情報に応じてコンピュータ114gに指令を与える。コンピュータ114gはその指令に従って、制御信号81gにより第1段ロケット1gの各部及び分離装置136g、点火装置288g等を制御する。点火装置288gは点火器226gに対して点火信号80gを発し、タービン駆動ガス発生器200gを点火する。
使用する燃料は、取扱いや貯蔵等が容易で、発生するガスの分子量が低いものが望ましい。固体燃料には、既存のダブルベース型及びコンポジット型燃料、GAP(Glycidyl Azide Polymer)等の高エネルギポリマー等がある。従来の固体ロケット用燃料に多用されるアルミニウム等の金属類の添加はタービン(202g)等を傷める為、余り好ましくない。
第8の実施形態
図45A〜図45Bは、本発明の第8の実施形態による宇宙往還機1hの打上時(532h)における側面図及び上面図を示している。宇宙往還機1hは、周囲の大量の空気59hzを取り込んで加速して排出(60hz)する事により、その反動によって上昇する。この図では、宇宙往還機1hが垂直に離発着するように描かれているが、通常の航空機のように水平に離発着してもよい。
宇宙往還機1hは、地上から飛び立って衛星軌道に達した後に再び地上へ帰着できる飛行体であり、単段式宇宙往還機(SSTO: Single Stage to Orbit)の一種である。宇宙往還機1hは、空気密度の大きい大気内ではリフトエンジンモードで低速上昇し、その密度が低下するに従ってガスジェネレータサイクルATR(Air Turbo Ram)モード又はエキスパンダーサイクルATRモードに適宜移行して増速し、大気圏突破後は速やかにロケットモードに移行して最終的に必要な軌道速度を得る。この方式により、大気中の酸素のみならず空気そのものを反動を得る質量として最大限に利用できるので、従来のロケット等に比べて搭載する推進剤質量を減らすことができる。将来、例えば月及び火星、軌道上等での推進剤の生産が可能になれば、そこで推進剤を補給することによって大量のペイロードを積載して地球と宇宙間を往還することができる。各速度領域において最適な推進モードを選択する事によって、最後まで高い推進効率を維持できる。宇宙往還機1hは繰り返し再利用することにより低コスト及び省資源化することができ、排出される環境汚染物質も僅かであり、推進剤の選定によっては無害となる。
図45A〜図45Bは、本発明の第8の実施形態による宇宙往還機1hの打上時(532h)における側面図及び上面図を示している。宇宙往還機1hは、周囲の大量の空気59hzを取り込んで加速して排出(60hz)する事により、その反動によって上昇する。この図では、宇宙往還機1hが垂直に離発着するように描かれているが、通常の航空機のように水平に離発着してもよい。
宇宙往還機1hは、地上から飛び立って衛星軌道に達した後に再び地上へ帰着できる飛行体であり、単段式宇宙往還機(SSTO: Single Stage to Orbit)の一種である。宇宙往還機1hは、空気密度の大きい大気内ではリフトエンジンモードで低速上昇し、その密度が低下するに従ってガスジェネレータサイクルATR(Air Turbo Ram)モード又はエキスパンダーサイクルATRモードに適宜移行して増速し、大気圏突破後は速やかにロケットモードに移行して最終的に必要な軌道速度を得る。この方式により、大気中の酸素のみならず空気そのものを反動を得る質量として最大限に利用できるので、従来のロケット等に比べて搭載する推進剤質量を減らすことができる。将来、例えば月及び火星、軌道上等での推進剤の生産が可能になれば、そこで推進剤を補給することによって大量のペイロードを積載して地球と宇宙間を往還することができる。各速度領域において最適な推進モードを選択する事によって、最後まで高い推進効率を維持できる。宇宙往還機1hは繰り返し再利用することにより低コスト及び省資源化することができ、排出される環境汚染物質も僅かであり、推進剤の選定によっては無害となる。
図46Aは、地上等における打上待機時(530h)における宇宙往還機1hの側断面図を示している。宇宙往還機1hは、直交する2つの円筒を十字に組合せた形状の姿勢制御エンジン106h1〜106h5と、折りたたんで収納が可能な半四角推状のパラシュート148hと、有償荷重である直方体状の複数のペイロード124h1〜124h2と、ペイロード124hを格納する四角錐状の複数のフェアリング156h1〜156h2と、フェアリング156hを開閉する直方体状の複数のフェアリング駆動アクチュエータ158h1〜158h2と、形状を変更することで効率良く空気を取り入れることができる矩形の複数の可変空気取入口ランプ160h1〜160h4と、可変空気取入口ランプ160h1〜160h4を変形する直方体状の複数の可変空気取入口ランプ駆動アクチュエータ162h1〜162h4と、断熱の為に中央部に設けられた低温の燃料を貯蔵する直方体状の低温燃料タンク120hと、断熱の為に低温燃料タンク120hを取り囲む様に設けられた低温の酸化剤を貯蔵する直方体状の低温酸化剤タンク112hと、断熱の為に低温酸化剤タンク112hを取り囲む様に設けられた反応剤を貯蔵する直方体状の反応剤タンク178hと、タービン駆動ガスを発生させる垂直な中心軸を有し下向きの円環状の開口を有する鈍頭円筒(キャン)状のタービン駆動ガス発生器200hと、点火信号によって点火エネルギを発生する円柱状の複数の点火器226h1〜226h2と、燃料を分散する円筒形の複数の燃料ノズル272h1〜272h2と、酸化剤を分散する円筒形の複数の酸化剤ノズル278h1〜278h2と、タービン駆動ガスを増速・転向する同軸的な放射状の複数のタービン静翼208hと、タービン駆動ガスから機械仕事を取り出す同軸的な放射状の複数のタービン動翼204hと、タービン動翼204hが破壊又は飛散してもその破片が外部に飛散するのを防止する同軸的な切頭円錐状のタービンケース210hと、周囲の空気を吸込んで加速し翼の取付角度が変更可能な同軸的な放射状の複数の取付角度可変ファン動翼320hと、取付角度可変ファン動翼320hの取付角度を変更する円柱状の複数のファン動翼取付角度変更アクチュエータ322hと、吸込んだ空気の速度を圧力に変換し翼の取付角度が変更可能な同軸的な放射状の複数の取付角度可変ファン静翼324hと、取付角度可変ファン静翼324の取付角度を変更する円柱状の複数のファン静翼取付角度変更アクチュエータ326hと、取付角度可変ファン動翼320hが破壊又は飛散してもその破片をエンジン外部に飛散するのを防止する同軸的な円筒状のファンケース220hと、ファンケース220h内に設けられ空気を加速させる為に底面の開口面積が上面の開口面積より小さい同軸的な円筒(ファンケース220h)と切頭円錐(タービンケース210h)間で形成されるノズル222hと、タービン動翼204hによって回転される中心軸上のシャフト224hと、シャフト224hからの回転を取付角度可変ファン動翼320hに伝達する回転対称に歯車類が組み合わされたトランスミッション230hと、タービンを駆動したガスの一部と吸入された空気の一部を混合させて排出ガスの温度と速度を均一にする径方向に波打つひだ状のローブ型のミキサ232hと、発電機や電動機として作動する円柱状の回転制御モータ兼発電機234hと、タービン駆動ガスの速度エネルギを圧力エネルギに変換する切頭円錐状のディフューザ242hと、宇宙往還機1hの速度が低速で空気取入口の面積が小さい場合には開き速度が高速で空気が余分なら排出する殻状の補助空気取入兼空気排出扉164hと、周囲流体を冷却し酸化剤を加熱する管状の複数の酸化剤加熱流路274h1〜274h2と、周囲流体を冷却し燃料を加熱する管状の複数の燃料加熱流路276h1〜276h2と、大気圏内ではラム燃焼器となり大気圏外ではロケット燃焼器となる円筒状のラム兼ロケット燃焼器180hと、ラム兼ロケット燃焼器180h内で生じた火炎の再循環領域を形成する楔状の複数の保炎器182hと、排気ノズルの喉部及び出口部の面積を任意に変更し及び出口部の方向を任意に変更可能な可変面積排気偏向ノズル174hと、可変面積排気偏向ノズル174hを駆動する直方体状の複数の駆動アクチュエータ176hと、折りたたんで収納が可能で使用時には展開して浮力を確保する球状の複数の浮力ブイ184hとを具えている。
最も低温となる燃料貯蔵用の低温燃料タンク120hを中心に、その周囲に低温酸化剤貯蔵用の低温酸化剤タンク112h、及びその外に反応剤貯蔵用の反応剤タンク178hを配することによって、断熱材等の使用を節約でき燃料及び酸化剤の蒸発損耗も小さくできる。更に、反応性に富む燃料や反応剤を低温に保つことで安全性も高めることができる。
図46Bは、宇宙往還機1hの大気圏内亜音速飛行時534h(図の左側)と大気圏内遷音速飛行時536h(図の右側)における側断面図を示している。大気圏内亜音速飛行状態534hにおいて、燃料11hと酸化剤10hは、ファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1と酸化剤加熱流路274h1によって周囲空気63hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって予熱された後、タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1と酸化剤ノズル278h1からそれぞれ供給され、点火器226h1に供給されたエネルギ80hによって反応してタービン駆動ガス20haを発生する。ガス20haはタービン204h及び208hを通過することにより、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242hに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、トランスミッション230hによってその回転を減じて取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hにて可変空気取入口ランプ160h1a〜160h4a及び補助空気取入兼空気排出扉164haを通過し燃料11h及び酸化剤10hで予冷された空気63hを吸入し圧縮する。ファン320h及び324hは各翼の取付角度変更アクチュエータ322h及び326hによって飛行速度等に合わせてその取付角度を適切に変更される。ファンを通過した空気21haは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20haの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21haの一部と混合され、その温度と速度を更に減じて、大量の低速ガス流を形成して燃料11hと酸化剤10hを加熱した後で可変面積排気偏向ノズル174haを通過して宇宙往還機1hより排出される(64h)。ファン320h及び324hを通過した空気21hはタービン204h及び208h側には流入しない。シャフト224hの回転は回転制御モータ兼発電機234hの負荷で適切に調整される。宇宙往還機1hは、少量のタービン駆動ガス20hによって大量の空気21hを低速で排出することによって推力を得るので、従来のロケットよりも経済性が高くて推進効率も高く、排出するガス64hの量及び騒音も少ない(リフトエンジンモード)。大量の空気21hを低速で排出する手段として、ファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。宇宙往還機1hは、空気が希薄な高空等であっても、可変面積排気偏向ノズル174hの喉部及び出口部の面積を適切に変更することで効率良く推力を得ることができ、その出口部の方向を適切に制御することができる。大気圏内遷音速飛行状態536hにおいては、燃料11hと酸化剤10hはファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1と酸化剤加熱流路274h1によって周囲空気65hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって予熱された後タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1と酸化剤ノズル278h1から供給され、点火器226hが点火信号80hによって作動してタービン駆動ガス20hbとなる。ガス20hbはタービン204h及び208hを通過することで、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242hに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、トランスミッション230hによってその回転を減じて取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hによって可変空気取入口ランプ160h1b〜160h4b及び補助空気取入兼空気排出扉164hbを通過し燃料11h及び酸化剤10hで予冷された空気65hを吸入し圧縮する。ファンを通過した空気21hbは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20hbの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21hbの一部と混合された後、ラム兼ロケット燃焼器180h内で点火器226h2のエネルギにより空気21hbとガス20hbの混合ガスが反応してラム燃焼を行い、高温高速ガス流66hを形成して燃料11hと酸化剤10hを加熱した後に可変面積排気偏向ノズル174hbを通過して排出される(ガスジェネレータサイクルATRモード)。
図46Cは、大気圏内超音速飛行状態538h(左側)と大気圏外飛行状態540h(右側)における宇宙往還機1hの側断面図を示している。大気圏内超音速飛行状態538hにおいて、燃料11hはファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1によって周囲空気67hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2によって予熱された後タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1から供給され、タービン駆動ガス20hcとなる。ガス20hcは、図6Bの飛行状態534hと同様に、ディフューザ242hに達する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hにてランプ160h1c〜160h4cを通過し燃料11hで予冷された空気67hを吸入し圧縮する。この際に余分な空気62hは、補助空気取入兼空気排出扉164hcから排出される。ファンを通過した空気21hcは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20hcの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21hcの一部と混合された後、ラム兼ロケット燃焼器180h内で点火器226h2のエネルギにより空気21hcとガス20hcの混合ガスが反応してラム燃焼を行い、高温高速ガス流68hを形成して燃料11hを加熱した後で可変面積排気偏向ノズル174hcを通過して排出される(エキスパンダーサイクルATRモード)。大気圏外飛行状態540hにおいては、ランプ160h1d〜160h4d及び扉164hdが完全に閉じられ、ラム兼ロケット燃焼器180h内で燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって熱交換された燃料11hと酸化剤10hが燃料ノズル272h2と酸化剤ノズル278h2から供給されて点火器226h2が作動してロケット燃焼を行い、可変面積排気偏向ノズル174hdからガス69hを排出する(ロケットモード)。なお、大気圏内遷音速飛行状態536hと大気圏内超音速飛行状態538hでは、ガスジェネレータサイクルATRモードとエキスパンダーサイクルATRモードの双方をどの順番(又はどちらか一方)で用いても良く、大気圏外飛行状態540hであるロケットモードとの切替のタイミングも与えられたタスクによって適切に定めることができる。
図46Dは、大気圏外ペイロード積降状態542h(左側)と大気圏突入状態544h(右側)の宇宙往還機1hの側断面図を示している。宇宙往還機1hはペイロード積降状態542hにおいて、フェアリング156h1e〜156h2eを開閉してペイロード124h1の積降を行う。大気圏突入状態544hでは、フェアリング156h1f〜156h2fを含む全ての開口部を閉じた状態で自重による自由落下を利用して、大気圏への突入を行う。
最も低温となる燃料貯蔵用の低温燃料タンク120hを中心に、その周囲に低温酸化剤貯蔵用の低温酸化剤タンク112h、及びその外に反応剤貯蔵用の反応剤タンク178hを配することによって、断熱材等の使用を節約でき燃料及び酸化剤の蒸発損耗も小さくできる。更に、反応性に富む燃料や反応剤を低温に保つことで安全性も高めることができる。
図46Bは、宇宙往還機1hの大気圏内亜音速飛行時534h(図の左側)と大気圏内遷音速飛行時536h(図の右側)における側断面図を示している。大気圏内亜音速飛行状態534hにおいて、燃料11hと酸化剤10hは、ファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1と酸化剤加熱流路274h1によって周囲空気63hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって予熱された後、タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1と酸化剤ノズル278h1からそれぞれ供給され、点火器226h1に供給されたエネルギ80hによって反応してタービン駆動ガス20haを発生する。ガス20haはタービン204h及び208hを通過することにより、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242hに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、トランスミッション230hによってその回転を減じて取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hにて可変空気取入口ランプ160h1a〜160h4a及び補助空気取入兼空気排出扉164haを通過し燃料11h及び酸化剤10hで予冷された空気63hを吸入し圧縮する。ファン320h及び324hは各翼の取付角度変更アクチュエータ322h及び326hによって飛行速度等に合わせてその取付角度を適切に変更される。ファンを通過した空気21haは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20haの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21haの一部と混合され、その温度と速度を更に減じて、大量の低速ガス流を形成して燃料11hと酸化剤10hを加熱した後で可変面積排気偏向ノズル174haを通過して宇宙往還機1hより排出される(64h)。ファン320h及び324hを通過した空気21hはタービン204h及び208h側には流入しない。シャフト224hの回転は回転制御モータ兼発電機234hの負荷で適切に調整される。宇宙往還機1hは、少量のタービン駆動ガス20hによって大量の空気21hを低速で排出することによって推力を得るので、従来のロケットよりも経済性が高くて推進効率も高く、排出するガス64hの量及び騒音も少ない(リフトエンジンモード)。大量の空気21hを低速で排出する手段として、ファンをプロペラに置き換えたターボプロップ又はコンプレッサ等を用いてもよい。宇宙往還機1hは、空気が希薄な高空等であっても、可変面積排気偏向ノズル174hの喉部及び出口部の面積を適切に変更することで効率良く推力を得ることができ、その出口部の方向を適切に制御することができる。大気圏内遷音速飛行状態536hにおいては、燃料11hと酸化剤10hはファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1と酸化剤加熱流路274h1によって周囲空気65hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって予熱された後タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1と酸化剤ノズル278h1から供給され、点火器226hが点火信号80hによって作動してタービン駆動ガス20hbとなる。ガス20hbはタービン204h及び208hを通過することで、そのガス自身の持つエネルギを減少させて低温低圧の状態となってディフューザ242hに達し、残った速度エネルギの一部を圧力エネルギに変換する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、トランスミッション230hによってその回転を減じて取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hによって可変空気取入口ランプ160h1b〜160h4b及び補助空気取入兼空気排出扉164hbを通過し燃料11h及び酸化剤10hで予冷された空気65hを吸入し圧縮する。ファンを通過した空気21hbは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20hbの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21hbの一部と混合された後、ラム兼ロケット燃焼器180h内で点火器226h2のエネルギにより空気21hbとガス20hbの混合ガスが反応してラム燃焼を行い、高温高速ガス流66hを形成して燃料11hと酸化剤10hを加熱した後に可変面積排気偏向ノズル174hbを通過して排出される(ガスジェネレータサイクルATRモード)。
図46Cは、大気圏内超音速飛行状態538h(左側)と大気圏外飛行状態540h(右側)における宇宙往還機1hの側断面図を示している。大気圏内超音速飛行状態538hにおいて、燃料11hはファン320h及び324hの上流に配された燃料加熱流路276h1によって周囲空気67hを冷却してラム兼ロケット燃焼器180h内に配された燃料加熱流路276h2によって予熱された後タービン駆動ガス発生器200h内部で燃料ノズル272h1から供給され、タービン駆動ガス20hcとなる。ガス20hcは、図6Bの飛行状態534hと同様に、ディフューザ242hに達する。タービン動翼204hはシャフト224hと回転制御モータ兼発電機234hを回転させ、取付角度可変ファン動翼320hを駆動し、ファン320h及び324hにてランプ160h1c〜160h4cを通過し燃料11hで予冷された空気67hを吸入し圧縮する。この際に余分な空気62hは、補助空気取入兼空気排出扉164hcから排出される。ファンを通過した空気21hcは、ノズル222hによって増速されてミキサ232hに達する。ガス20hcの一部はミキサ232hによってファン流路を通過する空気21hcの一部と混合された後、ラム兼ロケット燃焼器180h内で点火器226h2のエネルギにより空気21hcとガス20hcの混合ガスが反応してラム燃焼を行い、高温高速ガス流68hを形成して燃料11hを加熱した後で可変面積排気偏向ノズル174hcを通過して排出される(エキスパンダーサイクルATRモード)。大気圏外飛行状態540hにおいては、ランプ160h1d〜160h4d及び扉164hdが完全に閉じられ、ラム兼ロケット燃焼器180h内で燃料加熱流路276h2と酸化剤加熱流路274h2によって熱交換された燃料11hと酸化剤10hが燃料ノズル272h2と酸化剤ノズル278h2から供給されて点火器226h2が作動してロケット燃焼を行い、可変面積排気偏向ノズル174hdからガス69hを排出する(ロケットモード)。なお、大気圏内遷音速飛行状態536hと大気圏内超音速飛行状態538hでは、ガスジェネレータサイクルATRモードとエキスパンダーサイクルATRモードの双方をどの順番(又はどちらか一方)で用いても良く、大気圏外飛行状態540hであるロケットモードとの切替のタイミングも与えられたタスクによって適切に定めることができる。
図46Dは、大気圏外ペイロード積降状態542h(左側)と大気圏突入状態544h(右側)の宇宙往還機1hの側断面図を示している。宇宙往還機1hはペイロード積降状態542hにおいて、フェアリング156h1e〜156h2eを開閉してペイロード124h1の積降を行う。大気圏突入状態544hでは、フェアリング156h1f〜156h2fを含む全ての開口部を閉じた状態で自重による自由落下を利用して、大気圏への突入を行う。
図47A及び図47Bは、宇宙往還機1hの打上及び帰還を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字1〜12は宇宙往還機1hの打上及び帰還の順番を示している。平地等388の上に配置された宇宙往還機1h(500h)は、大気圏内において、リフトエンジンモードで白い矢印のガス64hを低速で大量に下方へ排出することによって亜音速で上昇(502h)した後、ガスジェネレータサイクルATRモードに移行して黒の矢印のガス66hを後方へ排出することによって遷音速で前進上昇(504h)を続け、次にエキスパンダーサイクルATRモードに移行して黒の矢印のガス68hを後方へ排出することによって超音速で更に前進上昇(506h)を行う。その後大気圏外に達したら、宇宙往還機1h(508h)は、ロケットモードに移行して黒の矢印のガス69hを後方へ排出することによって上昇を続けると共に軌道方向への加速も併せて行って軌道に到達し、ペイロードの積み下ろしを行う(510h)。
帰還する際に軌道上の宇宙往還機1hは、姿勢制御エンジン106h2〜106h5から白い矢印のガス71h2〜71h5を排出することによって軌道速度を減じ(518h)、自由落下を行って大気圏に突入する(512h)。その後、大気圏内に到達したら、宇宙往還機1hは大気中の空気を利用し、エキスパンダーサイクルATRモード(506h)又はガスジェネレータサイクルATRモード(504h)に移行した後、リフトエンジンモード(502h)によって安全な速度で降下を続け、平地等388の上に着陸を行う(500h)。打上時や帰還時に動力飛行を行うことによって、高いクロスレンジ能力及び航続能力を有する。
図47Cは、宇宙往還機1hの非常時の帰還を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字13〜14は宇宙往還機1hの陸上又は水上への帰還の過程を示している。宇宙往還機1hの打上中及び帰還中(図47A及び図47Bの四角で囲んだ数字2〜11の間)に非常事態が発生して動力飛行の継続が困難となった場合にパラシュート148hを展開して減速降下(514h)し、降下地点が陸上の場合はそのまま、水上の場合は浮力ブイ184hを展開(516h)して救助を待つことができる。この様に宇宙往還機1hは、従来のロケット等とは違って大気圏内を航空機の様に移動するので、非常時でも空気力を用いた安全な帰還を行うことができる。
帰還する際に軌道上の宇宙往還機1hは、姿勢制御エンジン106h2〜106h5から白い矢印のガス71h2〜71h5を排出することによって軌道速度を減じ(518h)、自由落下を行って大気圏に突入する(512h)。その後、大気圏内に到達したら、宇宙往還機1hは大気中の空気を利用し、エキスパンダーサイクルATRモード(506h)又はガスジェネレータサイクルATRモード(504h)に移行した後、リフトエンジンモード(502h)によって安全な速度で降下を続け、平地等388の上に着陸を行う(500h)。打上時や帰還時に動力飛行を行うことによって、高いクロスレンジ能力及び航続能力を有する。
図47Cは、宇宙往還機1hの非常時の帰還を説明するのに役立つ側面図である。四角で囲んだ数字13〜14は宇宙往還機1hの陸上又は水上への帰還の過程を示している。宇宙往還機1hの打上中及び帰還中(図47A及び図47Bの四角で囲んだ数字2〜11の間)に非常事態が発生して動力飛行の継続が困難となった場合にパラシュート148hを展開して減速降下(514h)し、降下地点が陸上の場合はそのまま、水上の場合は浮力ブイ184hを展開(516h)して救助を待つことができる。この様に宇宙往還機1hは、従来のロケット等とは違って大気圏内を航空機の様に移動するので、非常時でも空気力を用いた安全な帰還を行うことができる。
図48A及び図48Bは、宇宙往還機1hの姿勢制御エンジン106h1の作動状態を示す垂直断面図及び48B−48Bに沿った別断面での垂直断面図である。姿勢制御エンジン106h2〜106h5は姿勢制御エンジン106h1と同じ構造を有する。姿勢制御エンジン106h1は、円筒状の姿勢制御ガス発生器300h1と、発生する流体の通路を内在した姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309h1と、反応剤分解物の流れを切替える反応剤分解物切替弁316h1と、直交する2つの円筒を十字に組合せた形状のエジェクタ304h1とを具えている。反応剤12hは、姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315h1によって流量を調整された後、姿勢制御ガス発生器300h1内の姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309h1によって分解されて反応剤分解物となる。黒の矢印の反応剤分解物の流れ34h1は、反応剤分解物切替弁316h1によってその噴出方向を切り替えられ、エジェクタ304h1に達し、高速で噴出する反応剤分解物の流れ34h1によって白い幅広の矢印の周囲の空気70h1がエジェクタ304h1に吸入され、白い矢印の両者の混合ガス71h1となって排出される。その結果、姿勢制御エンジン106h1には、その反対方向に反力が働く。反応剤分解物切替弁316h1を切り替えることによって、任意の方向への姿勢制御が可能である。
図49は、宇宙往還機1hの流体及び電気系統のブロック図である。宇宙往還機1hにおいて、低温酸化剤タンク112h内に貯蔵された酸化剤10hは、酸化剤加圧装置280hによって加圧され、酸化剤バイパス弁340hを経て酸化剤加熱流路274h1〜274h2にて周囲の空気及びガスと熱交換を行った後、酸化剤流量調整弁282h1〜282h2を経てタービン駆動ガス発生器200h及びラム兼ロケット燃焼器180hへ供給される。一方、低温燃料タンク120h内に貯蔵された燃料11hは、燃料加圧装置284hによって加圧され、燃料バイパス弁342hを経て燃料加熱流路276h1〜276h2にて周囲の空気及びガスと熱交換を行った後、燃料流量調整弁286h1〜286h2を経てタービン駆動ガス発生器200h及びラム兼ロケット燃焼器180hへ供給される。タービン駆動ガス発生器200hで発生したタービン駆動ガス20hがタービン202hを駆動した後、ディフューザ242hを経てミキサ232hに達する。タービン202hで得られた動力は、シャフト224hとトランスミッション230hを介してファン212hを駆動する。ファン212hはその翼の取付角度を各翼の取付角度変更アクチュエータ322h及び326hによって適切に調整して、周囲の空気59hをその流速に合わせて可変空気取入口ランプ160h及び補助空気取入兼空気排出扉164hを調整して吸い込む。吸込まれた空気は酸化剤加熱流路274h1及び燃料加熱流路276h1で冷却され充填効率を高めた後ファン212hに達して加圧され(21h)ノズル222hに達する。ノズル222hで空気21hはその圧力を速度に変換して加速し、ミキサ232hに達する。ミキサ232hではタービン駆動ガス20hの一部と空気21hの一部が混合され、ラム兼ロケット燃焼器180hへ達する。ここで飛行状態に応じて酸化剤10h及び燃料11hが追加されて燃焼した後、再び酸化剤加熱流路274h2及び燃料加熱流路276h2を加熱し、可変面積排気偏向ノズル174hを通過して排出される(60h)。回転制御モータ兼発電機234hによってシャフト224hの負荷を調整し、ストール及びサージ等を回避する。タービン駆動ガス20hが発生しなくなった場合には、一時的に回転制御モータ兼発電機234hによって、ファン212hを駆動し、宇宙往還機1hを可能な限り安全に着陸させる。
反応剤タンク178h内に貯蔵された反応剤12hは、反応剤加圧装置312hによって加圧され、姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315h1〜315h5を経て姿勢制御エンジン106h1〜106h5の姿勢制御ガス発生器300h1〜300h5へ供給される。姿勢制御ガス発生器300h1〜300h5で発生した反応剤分解物34h1〜34h5が反応剤分解物切替弁316h1〜316h5により流路を変更した後、エジェクタ304h1〜304h5で周囲の空気70h1〜70h5を吸込んで排出される(71h1〜71h5)ことによって、反力を発生させる。
指令装置290hは、機体等の情報を検知するセンサ292hの情報に応じてコンピュータ114hに指令を与える。コンピュータ114hはその指令に従って、制御信号81hにより宇宙往還機1hの各部及び姿勢制御エンジン106h1〜106h5、パラシュート148h、フェアリング156hを開閉するフェアリング駆動アクチュエータ158h、浮力ブイ184h、点火装置288h、操舵装置294h等を制御する。点火装置288hは点火器226h1〜h2に対して点火信号80hを発し、タービン駆動ガス発生器200h及びラム兼ロケット燃焼器180hを点火する。
反応剤タンク178h内に貯蔵された反応剤12hは、反応剤加圧装置312hによって加圧され、姿勢制御エンジン用反応剤流量調整弁315h1〜315h5を経て姿勢制御エンジン106h1〜106h5の姿勢制御ガス発生器300h1〜300h5へ供給される。姿勢制御ガス発生器300h1〜300h5で発生した反応剤分解物34h1〜34h5が反応剤分解物切替弁316h1〜316h5により流路を変更した後、エジェクタ304h1〜304h5で周囲の空気70h1〜70h5を吸込んで排出される(71h1〜71h5)ことによって、反力を発生させる。
指令装置290hは、機体等の情報を検知するセンサ292hの情報に応じてコンピュータ114hに指令を与える。コンピュータ114hはその指令に従って、制御信号81hにより宇宙往還機1hの各部及び姿勢制御エンジン106h1〜106h5、パラシュート148h、フェアリング156hを開閉するフェアリング駆動アクチュエータ158h、浮力ブイ184h、点火装置288h、操舵装置294h等を制御する。点火装置288hは点火器226h1〜h2に対して点火信号80hを発し、タービン駆動ガス発生器200h及びラム兼ロケット燃焼器180hを点火する。
酸化剤には、液体酸素、液体弗素及び二弗化酸素等の弗素酸化物等がある。燃料には、液体水素等がある。液体酸素と液体水素の組合せは、発生する水蒸気の分子量が小さい点と有害物質及び環境汚染物質を一切発生しない点で魅力的である。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素又はその水溶液、ヒドラジン及びその誘導体、酸化エチレン、n-プロピルナイトレート、エチルナイトレート、メチルナイトレート、ニトロメタン、テトロナイトロメタン、ニトログリセリン等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質及び環境汚染物質を一切発生しない。前述したように、重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液又はより高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素は実用上有利である。
姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309hについては、使用する反応剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、反応剤が過酸化水素又はその水溶液であった場合には、白金やパラジウム等の白金族やマンガン酸化物等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を反応剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
反応剤の種類には、例えば、過酸化水素又はその水溶液、ヒドラジン及びその誘導体、酸化エチレン、n-プロピルナイトレート、エチルナイトレート、メチルナイトレート、ニトロメタン、テトロナイトロメタン、ニトログリセリン等がある。中でも過酸化水素又はその水溶液は、有害物質及び環境汚染物質を一切発生しない。前述したように、重量濃度が30〜80重量%の過酸化水素水溶液又はより高濃度の過酸化水素水溶液及び過酸化水素は実用上有利である。
姿勢制御エンジン用反応剤分解触媒309hについては、使用する反応剤に応じて適当な触媒成分を選定する。例えば、反応剤が過酸化水素又はその水溶液であった場合には、白金やパラジウム等の白金族やマンガン酸化物等の触媒成分を用いれば良い。又、これらの触媒を反応剤熱分解用の加熱器に置き換える事も出来る。
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、その各実施形態の構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
Claims (46)
- 機体とエンジンとを具えた飛行体であって、
前記エンジンは、前記飛行体に自蔵したガス発生用原料を用いてガスを発生するガス発生装置と、前記ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置のガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具える飛行体。 - 前記エンジンが前記飛行体の主に垂直方向の推進力を得るリフトエンジンであって、
前記リフトエンジンにおいて、前記ガス発生装置は外部仕事用ガスを発生し、前記第1推力装置は前記外部仕事用ガスによって動力を得ると共に前記外部仕事用ガスを所定の方向に排出して推進力とし、前記第2推力装置は前記動力により駆動されて周囲ガスを取り入れ圧縮し前記第1推力装置の外部仕事用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする、請求項1に記載の飛行体。 - 前記ガス発生用原料は、燃料や燃料ガス、酸化剤、酸化ガス、反応剤、反応ガス、分解剤、分解ガス、圧縮ガスの中から選択したものである、請求項1記載の飛行体。
- 前記第1推力装置は、動力を得るタービンを有し、前記第2推力装置は、前記タービンにより得た動力によって駆動されるファンと、前記ファンの下流に設けたノズルとを有する、請求項2に記載の飛行体。
- 前記タービンの動翼が前記ファンの動翼の外周に配置された、請求項4に記載の飛行体。
- 前記タービンは、複数の第1の動翼と、その第1の動翼と逆方向に回転する複数の第2の動翼とを含み、前記ファンは、前記タービンの複数の第1の動翼に連結された複数の第1の動翼と、前記タービンの複数の第2の動翼に連結された複数の第2の動翼とを含む、請求項4に記載の飛行体。
- 前記ファンは、前記複数の静翼の取付角度が変更可能である、請求項4に記載の飛行体。
- 前記ファンは、前記複数の動翼の取付角度が変更可能である、請求項4に記載の飛行体。
- 前記タービンの動翼が取り付けられ前記ファンの動翼と連結されたシャフトを具える、請求項4に記載の飛行体。
- 前記シャフトに連結され前記タービンの動翼の回転を減じて前記ファンの動翼に伝達するトランスミッションを具える、請求項9に記載の飛行体。
- 前記シャフト、前記トランスミッションから選択された1つに連結され、回転の制御と発電との少なくとも一方を行う装置を具える、請求項10に記載の飛行体。
- 前記第1推力装置と前記第2推力装置の下流に設けられて前記前記第1推力装置と前記第2推力装置から排出されたガスの少なくとも一部を混合するミキサを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記第2推力装置の周囲ガスを取入れる部分に異物の吸込みを防止する網を具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記第2推力装置の周囲ガスを取入れる部分に開閉可能な複数のルーバを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記第2推力装置の周囲ガスを取入れる部分に開閉と形状の変更が可能な複数の周囲ガス取入口ランプを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記エンジンのガスを排出する部分に開閉と排出ガスの方向変更が可能な複数のルーバを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記エンジンのガスを排出する部分に最小断面積部分の断面積変更が可能なノズルを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記エンジンのガスを排出する部分に排出ガスの方向変更が可能なノズルを具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記第2推力装置の下流に複数の変向翼を具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記機体に対して前記エンジンの向きを変更する装置を具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記エンジンが飛行体の主に姿勢を制御する推進力を得る姿勢制御エンジンであって、
前記姿勢制御エンジンにおいて、前記ガス発生装置は姿勢制御用ガスを発生し、前記第1推力装置は前記姿勢制御用ガスを所定の方向に排出して推進力とし、前記第2推力装置は前記姿勢制御用ガスにより周囲ガスを取り入れ前記第1推力装置の姿勢制御用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする、請求項1に記載の飛行体。 - 前記姿勢制御エンジンにおいて、前記姿勢制御ガス発生装置が発生するガスによって周囲ガスを増速するエジェクタを具える、請求項21に記載の飛行体。
- 前記姿勢制御エンジンにおいて、前記姿勢制御ガス発生装置から発生するガスの排出方向を切り替える切替弁と、所定の方向を向いた複数の前記エジェクタと、を具えるものである、請求項22に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、前記ガス発生用原料の分解触媒を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、前記ガス発生用原料の熱分解用の加熱器を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、前記ガス発生用原料の加熱流路を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、前記ガス発生用原料のノズルを用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、前記ガス発生用原料の液体成分を分離する気液分離装置を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、出口側が絞られた流路を持つ絞り板を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、ライナで形成される反応室を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記ガス発生装置において、点火器を用いる、請求項1に記載の飛行体。
- 前記タービンの下流に位置する第1ダクトと、前記ファンの下流に位置する第2ダクトと、前記第2ダクトに設けたガス流量調整用の第1弁と、を具える請求項4記載の飛行体。
- 前記ファンと前記タービンの間に位置する燃焼器と、前記第1弁を前記流量調整機能に加えて閉鎖機能を有するものとし、前記ファンと前記燃焼器を接続する第3ダクトと、を具える請求項32記載の飛行体。
- 前記第1推力装置の下流に設けられ前記ガス発生用原料を加熱する装置を具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記第2推力装置の上流に設けられ周囲ガスの温度を低下する装置を具える、請求項1に記載の飛行体。
- 前記燃料として、アルコール類、炭化水素燃料、ヒドラジン類、アミン類、ボラン類、エーテル類、アルデヒド類、プロピレン類、ケトン類、ベンゼン類、キシレン類、トルエン類、酢酸類、ピリジン類、エステル類、プロピオン酸類、アクリル酸類、クレオソート油類、アリニン類、ニトロベンゼン類、エチレングリコール類、グリセリン類、アンモニア、可燃性油脂類、上記燃料の水溶液、上記燃料の油溶液、液体水素、ポリブタジェン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリサルファイド系、ポリエチレン系、ゴム系、ビニール系の各コンポジット型燃料、ダブルベース型燃料、高エネルギポリマー、の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記燃料ガスとして、水素、炭化水素ガス、の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記酸化剤として、過酸化水素、硝酸、赤煙硝酸、一酸化二窒素、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素、亜酸化窒素、混合窒素酸化物、二弗化酸素、弗素酸化物、三弗化塩素、弗化塩素酸、液体酸素、液体弗素、上記酸化剤の水溶液、上記酸化剤の油溶液、臭素、ヨウ素、の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記酸化ガスとして、酸素、弗素、塩素、空気、の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記反応剤として、過酸化水素、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、酸化エチレン、n-プロピルナイトレート、エチルナイトレート、メチルナイトレート、ニトロメタン、テトロナイトロメタン、ニトログリセリン、上記反応剤の水溶液、上記反応剤の油溶液、水、氷の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記分解剤として、ヨウ化カリウム、過マンガン酸塩、酵素、上記分解剤の水溶液、上記分解剤の油溶液、アルカリ性溶液の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記圧縮ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、空気、水蒸気、の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記反応ガスとして、オゾン、アセチレン、ジボラン、エチレン、酸化エチレン、弗化エチレン、酸化窒素化合物、ハイドレート類の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記分解ガスとして、オゾン、弗素ガス、一酸化炭素、塩化水素化合物の中から選択された1以上のものを用いる、請求項3に記載の飛行体。
- 前記エンジンに使用するガスとして、当量比付近で反応したガスを用いる、請求項1に記載の飛行体。
- ガス発生用原料を用いて外部仕事用ガスを発生するガス発生装置と、前記外部仕事用ガスによって動力を得ると共に前記外部仕事用ガスを所定の方向に排出して推進力とする第1推力装置と、前記動力により駆動されて周囲ガスを取り入れ圧縮し前記第1推力装置の外部仕事用ガス排出方向と概ね同じ方向に増速して排出して前記推進力に加算される推進力とする第2推力装置と、を具える飛行体用リフトエンジン。
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