本発明は携帯無線機と周辺機器とを接続する接続ケーブルから構成されるアンテナ装置に関する。
携帯電話などの無線機器が広く普及するにつれて、無線機器に接続して使用されるイヤホン、マイクなどの周辺機器も多数開発されている。通常、周辺機器と無線機器とは接続ケーブルによって接続される。
無線機器にとって通信機能は基本的な機能であり、その性能は重要である。そこで、例えば、図11に示すように、特許文献1には、接続ケーブル内の信号線31をアンテナとして利用することで、無線機器の通信性能を補うことができるイヤホンワイヤが提案されている。また、図12に示すように、特許文献2には、接続ケーブルの内の無線機器本体に近い部分にアンテナ素子32が配置されているイヤホンケーブルが示されている。(特許文献1、特許文献2参照)
特開2002−314450号公報 特開2000−349868号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、イヤホンケーブルの全体をアンテナとして動作させているため、人間がそのケーブルを把持する場合など、人体近接の影響を受けやすく、その度にアンテナ性能が劣化してしまう。また、特許文献2に記載された発明も人体近接の影響を受けやすく、その度にアンテナ性能が劣化してしまう。
本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続する第1接続手段と、周辺機器に接続する第2接続手段と、その間に配置され、前記無線機器から複数の信号を前記周辺機器に伝送する接続ケーブルとアンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に前記複数の信号を中継する第1中継手段と、前記第2接続手段と前記第1中継手段との間に前記アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線とを備え、前記アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記周辺機器に伝送される複数の信号線のうち少なくとも1本に直列に挿入される第1インダクタンス素子を備え、前記第2接続手段は、前記複数の信号線に直列に挿入される第2インダクタンス素子とを備え、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、少なくとも音声信号を通過させるとともに前記アンテナ受信信号を遮断し、前記第1中継手段にて前記アンテナ受信信号を取り出すよう構成される。
この構成により、アンテナ素子に平行に配置された信号線とアンテナ素子とが高周波容量結合した場合に、信号線に高周波信号が漏洩することを防ぐことができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記同軸線を芯線とする同軸ケーブルの外導体は前記無線機器の接地電位に接続し、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第1接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記外導体との間に配置される。
この構成により、同軸ケーブル外導体と、信号線のうち同軸ケーブルと平行な部分とを高周波的に同電位となり、信号線のうち同軸ケーブルと平行な部分に高周波電流が漏洩することが防がれ、アンテナ性能が低下することを防ぐことができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第2接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記同軸線との間に配置され、前記アンテナ素子の代わりに前記少なくとも1本の信号線がモノポールアンテナとして動作し、前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、信号線をアンテナ素子として動作させることができ、別途アンテナを構成する必要がないので、簡略化した構成で高いアンテナ性能を得ることができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第2接続手段に、前記無線機器を制御する制御手段を備え、前記接続ケーブルおよび前記同軸ケーブルを経由して前記無線機器を制御する。
この構成により、使用状態において、ユーザは、接続ケーブルの途中に設けられた制御手段により、無線機器を制御することができ、ユーザの利便性が向上する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、アンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に所定の間隔で配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段および第2中継手段と、前記第1中継手段と前記第2中継手段との間に前記アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段との間に、前記アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線と備え、前記アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、複数のアンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段と、前記第1中継手段から分岐され、一方の接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第2中継手段と、前記第1中継手段から分岐され、他方の接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第3中継手段と、前記第1中継手段と前記第2中継手段との間に第1アンテナ素子と、前記第1中継手段と前記第3中継手段との間に第2アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線と備え、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、アンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に所定の間隔で配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段および第2中継手段と前記第1中継手段と前記第2中継手段との間を接続する2つのケーブルにそれぞれ配置される第1アンテナ素子および第2アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線とを備え、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とがアンテナとして動作するので、各々アンテナ素子に共振し広い周波数帯域において高いアンテナ性能を得ることができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記周辺機器に伝送される複数の信号線のうち少なくとも1本に直列に挿入される第1インダクタンス素子を備え、前記第2中継手段は、前記信号線の少なくとも1本に直列に挿入される第2インダクタンス素子とを備え、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、少なくとも音声信号を通過させるとともに前記アンテナ受信信号を遮断し、前記第1中継手段にて前記アンテナ受信信号を取り出すよう構成する。
また、本発明のアンテナ装置は、前記同軸線を芯線とする同軸ケーブルの外導体は前記無線機器の接地電位に接続し、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第1接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記外導体との間に配置されることを特徴とする。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第2中継手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記同軸線との間に配置され、前記第1アンテナ素子の代わりに前記少なくとも1本の信号線がモノポールアンテナとして動作し、前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第2中継手段に、前記無線機器を制御する制御手段を備え、前記接続ケーブルおよび前記同軸ケーブルを経由して前記無線機器を制御することを特徴とする。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子との電気長が異なることを特徴とする。
この構成により、それぞれ異なる電気長を有する第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とがアンテナとして同時に動作するので、各々アンテナ素子に共振し広い周波数帯域において高いアンテナ性能を得ることができる。また、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とは一定の距離離れるので、互いの通信性能は影響を受けない。さらに、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルは、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記周辺機器がイヤホンである。
また、本発明のアンテナ装置は、前記接続ケーブルが前記無線機器と接続して使用される状態において、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子の両方またはいずれか一方が略水平状態になることを特徴とする。
この構成により、アンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波に対して通信性能が向上する。また、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
本発明によれば、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態に保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減することができる。
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態1の使用例(使用状態)を示す図である。
本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
本発明の実施の形態4に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態4の使用例(使用状態)を示す図である。
本発明の実施の形態5に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態5の使用例(使用状態)を示す図である。
ストラップ形状の接続ケーブルの一例を示す図である。
実施の形態6に係るアンテナ装置の概略構成図である。
特許文献1について使用状態を例示する図である。
特許文献2について使用状態を例示する図である。
符号の説明
1 携帯無線機
2 接続ケーブル
3 同軸ケーブル
3a 同軸線
4 信号線
5 イヤホン
6 インダクタンス素子
7 アンテナ素子
8 接続ピン
8a 周辺機器接続部
9 第1接続手段
9a 第2接続手段
10 回路基板
11 端子バネ
12 無線回路部
13 制御部
14 回路基板
15 整合回路
16 コネクタ
17 プッシュボタン
18 プッシュ式スイッチ
19 第1中継手段
20 第2中継手段
以下、本発明に係るアンテナ装置、無線機器(携帯電話端末、PHS、PDA等)の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態では、無線機器のアンテナは、主偏波が水平であるテレビジョン放送(周波数が470[MHz]から700[MHz]程度)の受信に用いるものとして説明する。なお、テレビジョン放送の代わりに、FM放送など、前述した周波数帯域以外に対してでも、アンテナ素子の長さを変更するなどの手段を講じることにより、本発明は有効であり、同様の効果を奏する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。図2は、実施の形態1の使用例を示す図である。
図1において、携帯無線機1は、接続ケーブル2の第1接続手段9と接続するコネクタ16と、回路基板14を有する。回路基板14は、テレビチューナー部を備える無線回路部12と演算機能や記憶機能を備える制御部13とコネクタ16が半田付け等により固定、実装されている。コネクタ16の内部には複数の端子バネ11が設置されている。端子バネ11は、無線回路部12と制御部13と回路基板14の接地電位となるグランドパターンとにそれぞれ回路基板14上の印刷パターンを介して接続される。
アンテナ装置の接続ケーブル2は、第1接続手段9と周辺機器の一例であるイヤホン部5とを接続し、その途中位置に第1中継手段19と第2中継手段20と、その間にアンテナ素子7を配置し、第1接続手段9と第1中継手段19との間は同軸ケーブル3を構成し、携帯無線機1から音声信号を含む複数の信号線4をイヤホンへ伝送するとともに、アンテナ素子7にて受信した信号は第1中継手段にて取り出され、同軸ケーブル3の内部導体である同軸線3aから携帯無線機へ伝送される。
第1中継手段9は、接続ケーブル2の一端に設けられ、筐体1のコネクタ16と嵌合接続するものである。第1中継手段9の内部には、回路基板10が配設されている。回路基板10には複数の接続ピン8が半田付けなどにより固定されている。
接続ケーブル2の第1中継手段9を、筐体1のコネクタ16に接続すると、複数の接続ピン8と複数の端子バネ11とがそれぞれ機械的に接続され、同時に、電気的に接続される。
回路基板10には、同軸ケーブル3の同軸線3aと外導体と、複数の信号線4とがそれぞれ半田付け等により固定され、接続ピン8に接続される。
同軸ケーブル3は、例えば75Ωの高周波伝送路であり、屈曲自在な材質で構成される。コネクタ16と第1接続手段9とが接続すると、その内部導体は無線回路部12に接続され、その外導体は回路基板14のグランドパターンに接続される。また導電性の外導体の外側は、非導電性の材料のもので覆われている。本実施の形態1では、同軸ケーブルの長さL1を30[cm]としている。
複数の信号線4は、屈曲自在な線状導体であり、その外側は非導電性の材質のもので覆われており、制御部13に接続される。
同軸ケーブル3と複数の信号線4とは、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のもので覆われ、束ねられている。接続ケーブル2内においては、同軸ケーブル3と複数の信号線4とは、それぞれの外側を覆っている非導電性の材質のものにより、それぞれの金属導体は接触しない。
同軸ケーブル3において、第1接続手段9を有する端と反対側の端は第1中継手段19に接続されている。第1中継手段19上には、整合回路部15と複数のインダクタンス素子6(第1インダクタンス素子)とが半田付け等により固定される。
整合回路部15は、一方の端が同軸ケーブル3の同軸線3aに接続され、他方の端がアンテナ素子7(第1アンテナ素子)に接続されており、アンテナ素子7のインピーダンス整合を75Ωに調整する機能を果たす。
複数のインダクタンス素子6は、複数の信号線4の少なくとも1本に直列に挿入されている。また、複数のインダクタンス素子6のうち少なくとも1つは、一方の端が回路基板14の接地電位となるグランドパターンと同電位の金属に接続され、他方の端は信号線4に接続されており、図1では、同軸ケーブル3の外導体と信号線4とに接続されている。
インダクタンス素子6は、アンテナ素子7に平行に配置された信号線4とアンテナ素子7とが高周波容量結合した場合に、信号線4に高周波信号が漏洩することを防ぐ。つまり、複数のインダクタンス素子6は、本実施の形態1の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対してはインピーダンスが高く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが低ければ機能し、ローパスフィルタやLC並列共振回路などであっても良い。
また、実験により、インダクタンス素子6のインダクタンス値は、470[MHz]〜700[MHz]の周波数帯においては、400[nM]以上であれば十分であることが確認されている。さらに、インダクタンス値が400[nH]以下であっても、自己共振周波数が470[MHz]〜700[MHz]のインダクタンス素子6を用いても同様の効果を得ることができる。
また、複数のインダクタンス素子6は、A−A´の一直線上に配置することがアンテナ性能上望ましい。A−A´の一直線上にインダクタンス素子6が配置していない場合には、インダクタンス素子6の同軸ケーブル3側の信号線4とアンテナ素子7側の信号線4とがインダクタンス素子6を介さずに直接、高周波容量結合し、同軸ケーブル3側の信号線4に高周波電流が漏洩しアンテナ性能が低下するためである。また、第1中継手段19の接地電位となるグランドパターンは、A−A´よりアンテナ素子7側に配置しないほうがアンテナ性能上好ましい。
アンテナ素子7は、屈曲可能な線状導体で構成され、一方の端は第1中継手段19に接続され、他方の端は第2中継手段20に接続されている。アンテナ素子7は、第2中継手段20側において電気的に開放されており、その長さL2は1/2波長から3/2波長程度であり、本実施の形態1ではL2は45[cm]である。
接続ケーブル2の第1中継手段19と第2中継手段20との間において、アンテナ素子7と複数の信号線4とは平行に配置され、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のものにより覆われ、束ねられている。アンテナ素子7と複数の信号線4とは、信号線4を被膜する非導電性の材質のものを介して接触しているので、それぞれの金属導体は接触しない。
第2中継手段20上には、アンテナ素子7の一端と、インダクタンス素子22(第2インダクタンス素子)と、プッシュ式スイッチ18(制御手段)とが半田付け等により固定されている。
プッシュ式スイッチ18にはプッシュボタン17が搭載されており、ユーザがプッシュボタン17を押すことにより複数の信号線4を介して、制御部13に電気信号が伝達される。例えば、無線機器の通信開始及び終了を手元のプッシュボタンの押下により可能にし、ユーザにとっての利便性が向上する。
また、プッシュ式スイッチ18は、ボリュームやチャンネル切替えなど、無線機器の外部スイッチとして機能するものであれば良く、数は複数個あっても良い。
インダクタンス素子22は、インダクタンス素子6と同様の素子であり、複数の信号線4の少なくとも一本に直列に挿入され、アンテナ素子7と信号線4との容量結合によって、イヤホン部5と第2中継手段20との間の信号線4に高周波信号が漏洩するのを防ぐ役割を果たす。
インダクタンス素子22は、第2中継手段20上のB−B´に一直線に配置されることがアンテナ性能上好ましい。また、アンテナ素子7の開放端とインダクタンス素子22との距離D1は、小さいほうがアンテナ性能上好ましい。実験により、D1は3[cm]以下であれば高いアンテナ性能が確保できることが確認されている。
第2中継手段20では、複数の信号線4が二又に分岐され、各々の先端にはイヤホン部5が接続されている。第2中継手段20とイヤホン部5との間の距離L3とL4は50[cm]程度である。本実施の形態1では、L3とL4とを同一の長さにしているが、これに限られるものではない。図2に示すように、使用状態において接続ケーブル2のうち、アンテナ素子7を有する部分が水平に近い状態で保たれるように、各部の長さがバランスをとっていれば良い。
本実施の形態1では、接続ケーブル2は、一方の端が第1接続手段9であり、他方の端がイヤホン部5であり、その全長(L1+L2+L3)が125[cm]程度のイヤホンケーブルである。
図2に示すように、ユーザ21がその手に無線機器を持ち、その画面を見る使用状態においては、アンテナ素子7はユーザ21から一定の距離が隔たれ、水平に近い状態となる。なお、アンテナ素子7の全てが水平状態となる必要はなく、アンテナ素子7の長さの30%程度が水平状態となれば、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
ここで、第1中継手段19にクリップを取り付けておき、使用状態において使用者の胸ポケットなどにクリップを挟み込むようにすれば、接続ケーブル2の長さやとりまわし状態によらず、常にアンテナ素子7の位置を安定させることができるため、より高いアンテナ性能が得られる。なお、クリップに限らず、第1中継手段19を胸ポケット、衣服などに一時的に固定することで第1中継手段の位置を固定する手段を備えれば同様な効果が得られる。
本実施の形態1の無線機器とアンテナ装置の接続ケーブル2(イヤホンケーブル)とは、無線機器のコネクタ16に接続ケーブル2の第1接続手段9が嵌合接続されると、アンテナ素子7が長さ45[cm]程度のモノポールアンテナとして動作する。このモノポールアンテナのインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する機能を整合回路部15が果たす。したがって整合回路部15とアンテナ素子7との接続点がアンテナの給電点となる。また、複数の信号線4を介して、プッシュスイッチ18およびイヤホン部5に電気信号が伝達される。
アンテナ素子7は第1中継手段19と第2中継手段20の間に配置され、接続ケーブル2全体のうち中間の位置に配置されている。よって、図2に示す使用状態ではユーザ21とアンテナ素子7との間に、電波受信に関して人体の影響がない程度の距離が確保されるので、高いアンテナ性能が確保される。また、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
なお、本実施の形態1では、接続ケーブル2の全長を125[cm]としたが、その長さはこれに限られるものではなく、同軸ケーブル3および第2中継手段20からイヤホン部5までの長さを調整して、使用状態にアンテナ素子7が水平になる構成であれば、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、アンテナ素子7の開放端に該当する方の端を第2中継手段20に接続しているがこれに限られるものではなく、アンテナ素子7の開放端とインダクタンス素子との距離D1が3[cm]以下であれば、アンテナ素子7の開放端を第2中継手段20に接続しなくても同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、第1中継手段19、第2中継手段20及びそれらに実装したインダクタンス素子を中継手段として機能させている。本発明における中継手段は、アンテナ素子の給電点及び開放端において、オーディオ信号などの信号線、又は電源ライン、又はグランドラインなどのようなアンテナ素子と並行して配設される導体線の高周波遮断機能を果たすものであればよい。
ここで、アンテナ素子と並行して配設される導体線の高周波遮断を行う位置、すなわち中継手段を設置する位置が、アンテナ素子の給電点又は開放端のいずれか一方のみの場合であっても一定のアンテナ性能が得られるが、アンテナ素子の給電点及び開放端の両方において二つの中継手段を設置した場合の方がより高いアンテナ性能が得られる。
また、本実施の形態においては、イヤホンと携帯無線機との間を接続するケーブルを例に説明を行ったが、これに限らず、例えば、スピーカ、マイク、リモコン操作部など様々な周辺機器と携帯無線機を接続するケーブルに同様な中継手段とアンテナ素子を備えても同様な効果を奏する。また、携帯無線機を使用者が首から下げるためのストラップに同様な中継手段とアンテナ素子を備えても同様な効果を奏する。
また、本実施の形態においては、本発明に係る接続ケーブルが接続される機器が携帯無線機であるとして説明を行ったが、これに限るものではなく、テレビジョン放送やラジオ放送を受信する携帯機器であっても同様な効果を奏する。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。実施の形態2は、第1中継手段19上にキャパシタンス素子23が配置されている点以外は、実施の形態1と同様の構成である。
キャパシタンス素子23は、第1中継手段19上に半田付けなどにより固定されており、複数の信号線4と第1中継手段19上のグランドパターンとの間に配置、接続される。キャパシタンス素子23は、同軸ケーブル3外導体と、信号線4のうち同軸ケーブル3と平行な部分とを高周波的に同電位にする役割を果たす。よって、信号線4のうち同軸ケーブル3と平行な部分に高周波電流が漏洩することを防ぎ、アンテナ性能が低下することを防ぐことができる。
キャパシタンス素子23は、実施の形態2の無線機器の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対して、インピーダンスが低く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが高ければよく、実験によると、200[pF]以上の容量であれば十分であることが確認されている。
この構成により、信号線4のうち同軸ケーブル3に平行な部分に高周波電流が漏洩することによるアンテナ性能の劣化を軽減でき、より安定して高いアンテナ性能を得ることができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。実施の形態3は、接続ケーブル2において、第1中継手段19上にキャパシタンス素子24が配置されている点と、アンテナ素子7が削除されている点以外は、実施の形態2と同様の構成である。
キャパシタンス素子24は、第1中継手段19上に半田付け等により固定され、整合回路15と複数の信号線4のうち少なくとも1本との間に配置され接続される。キャパシタンス素子24は、インダクタンス素子6とインダクタンス素子22とに挟まれた信号線4に接続される。また、キャパシタンス素子24は、無線機器の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対してはインピーダンスが低く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが高く設定される。実験により、キャパシタンス素子24は、200[pF]以上の容量値であれば十分に所望の性能が得られることが確認されている。
このように構成された実施の形態3では、無線機器に備えられるコネクタ16に、接続ケーブル2の一端に備えられる第1接続手段9が嵌合接続される場合、インダクタンス素子6とインダクタンス素子22とに挟まれた信号線4がモノポールアンテナとして動作する。整合回路部15は、このモノポールアンテナのインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。本実施の形態3は、この構成により、信号線4に高周波信号と低周波信号を重畳させるので、別途アンテナ素子を設けなくても信号線4がアンテナ素子の役割を果たす。
このように本実施の形態3は、信号線をアンテナ素子として動作させることができ、別途アンテナを構成する必要がないので、簡略化した構成で高いアンテナ性能を得ることができる。
なお、本実施の形態3では、200[pF]以上の容量値であるキャパシタンス素子24を用いて説明したが、これに限られるものではなく、ハイパスフィルターやLC直列共振回路のように特定の高周波数帯のインピーダンスを低く、低周波数帯のインピーダンスを高くできるものであれば同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係るアンテン装置と無線機器の概略構成図である。図6は、実施の形態4の使用例を示す図である。
実施の形態1〜3までと同一の構成部分については説明を省略する。図5に示すように、実施の形態4では、第1中継手段19上に、整合回路15と整合回路25とを有し、同軸ケーブル3の内部導体はそれぞれに接続される。接続ケーブル2は第1中継手段19上で左耳用イヤホン30と接続するケーブルと右耳用イヤホン29と接続するケーブルとに分かれる。整合回路25は、左耳用イヤホン30と接続するケーブル内に配置されるアンテナ素子28と接続する。
アンテナ素子28は、屈曲可能な線状導体で構成され一方の端は第1中継手段19に、他方の端は回路基板26に接続され、回路基板26側において電気的に開放されている。長さL5は1/2波長から3/2波長程度であり、アンテナ素子7とは電気的に異なる長さを有する。ここでは、本実施の形態4では、アンテナ素子28の長さを35[cm]とする。
アンテナ素子28と複数の信号線4とは平行に配置され、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のものにより覆われ、束ねられている。ここで、アンテナ素子28と複数の信号線4とは、信号線4を被膜している非導電性の材質のものを介して接触している。
回路基板26上には、アンテナ素子28の一端と、インダクタンス素子27とが半田付け等により固定されている。
インダクタンス素子27は、複数の信号線4の少なくとも1本に直列に挿入される。また、インダクタンス素子27はインダクタンス素子6と同様の素子であり、アンテナ素子7と信号線4との容量結合によって、イヤホン部と回路基板26との間の信号線4に高周波信号が漏洩するのを防止する役割を果たす。
アンテナ素子28の開放端とインダクタンス素子27との距離D2は、小さいほうがアンテナ性能上望ましい。実験により、D2は3[cm]以下であれば高いアンテナ性能を確保できることが確認されている。
回路基板26には、複数の信号線4を介して左耳用のイヤホン30が接続されている。また、第2中継手段20には、複数の信号線4を介して右耳用のイヤホン29が接続されている。
本実施の形態4では、回路基板26とイヤホン30との距離L6は60[cm]程度である。接続ケーブル2は、一方の端が第1接続手段9であり、他方の端がイヤホン29またはイヤホン30であり、その全長(L1+L2+L4=L1+L2+L6)は125[cm]程度のイヤホンケーブルである。
図6に示すように、ユーザ21が無線機器の画面を見る使用状態では、アンテナ素子7とアンテナ素子28は、ユーザ21の人体から距離を隔てて水平状態に保たれる。
アンテナ素子7とアンテナ素子21との間の距離もG1だけ離れる。実験により、G1は1[cm]以上であれば、高いアンテナ性能を得られることが確認されている。
本実施の形態4では、無線機器のコネクタ16と接続ケーブル2の第1接続手段9とが嵌合接続すると、アンテナの電気長が異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作する。整合回路部15は、アンテナ素子7のインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。また、整合回路部25は、アンテナ素子28のインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。
この構成により、本実施の形態4では、それぞれ電気長の異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作するので、各アンテナ素子に共振し広い周波数帯域(範囲)において高いアンテナ性能を得ることができる。また、アンテナ素子7とアンテナ素子28は接続ケーブル2の中央部分に配置されるので、使用状態において2本のアンテナ素子とユーザ21との距離を、アンテナ性能に人体の影響が及ばない程度に確保することができる。また、使用状態において、2本のアンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
なお、本実施の形態4では接続ケーブル2の全長(L1+L2+L4=L1+L2+L6)は125[cm]程度としたが、これに限られるものではなく、また、(L1+L2+L4)と(L1+L2+L6)の長さが異なっていても、使用状態においてアンテナ素子の一部が水平状態に保たれる長さであれば同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態4では、ここまで周辺機器(イヤホン)と無線機器とを接続する接続ケーブルについて説明してきたが、図9に示すように、第2中継手段20と回路基板26とを線状素子で接続し、接続ケーブル2をユーザ21の首にかけるストラップ形状にしても同様の効果は得られる。この場合は、第2中継手段20と回路基板26とを接続する線状素子の材質は導電性であっても、非導電性であっても高いアンテナ性能を得ることができる。また、第2中継手段20と回路基板26とを接続する線状素子の材質が非導電性である場合には、インダクタンス素子22とインダクタンス素子27は削除しても同様に高いアンテナ性能を得ることができる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。図8は、実施の形態5の使用例を示す図である。
ここでは、実施の形態1〜4までと同一の構成部分については説明を省略する。図7に示すように、アンテナ素子28はアンテナ素子7とは別に、第1中継手段19と第2中継手段20とを接続する非導電性の管状チューブ内に配置される。管状チューブのうちアンテナ素子28の開放端側は、第2中継手段20を被膜している非導電性の材質のものと接続される。ここで、アンテナ素子28の電気長L5はアンテナ素子7の電気長L2とは異なり、それぞれことなる周波数帯において共振する。
図7に示すように、第1中継手段19と第2中継手段20との経路は、アンテナ素子7を含む経路1(L2+D1)と、アンテナ素子28を含む経路2(L5+D3)との二つがある。ここで、インダクタンス素子22とアンテナ素子28の開放端との距離D3を、経路1(L2+D1)と、経路2(L5+D3)が10[cm]程度異なるように調整する。この構成によると、図8に示すように、使用状態において、アンテナ素子7とアンテナ素子28との間に距離G2が生じる。本実施の形態5ではG2は5[cm]程度の間隔となる。図8に示すように通常、接続ケーブル2が重力方向にぶら下がる使用状態では、この距離G2は確保される。実験により、距離G2は1[cm]以上であれば高いアンテナ性能がえら得ることが確認されている。
本実施の形態5では、それぞれ電気長の異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作するため、アンテナ素子が一本の場合と比較して、それぞれのアンテナ素子に共振し広い周波数範囲において高いアンテナ性能を得ることができる。
また、アンテナ素子7およびアンテナ28は接続ケーブル2の中央部分に配置されるので、使用状態において、二本のアンテナ素子と人体(ユーザ21)との距離を、アンテナ性能に人体の影響が及ばない程度まで、確保することができ、高いアンテナ性能を得ることができる。また、使用状態では二本のアンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。さらに、使用状態において二本のアンテナ素子の間隔を固定でき、複数のアンテナの距離が近接して電磁的に結合することによるアンテナ性能の劣化を軽減することができる。
なお、本実施の形態5では、アンテナ素子の数を二本としたがこれに限られるものではなく、二本以上の複数本のアンテナ素子を設けてもよく、そうすることで更に広い周波数帯域に対応できる。
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の概略構成図である。
ここでは、実施の形態1〜5までと同一の構成部分については説明を省略する。図10に示すように、アンテナ装置は、携帯無線機と接続する第1接続手段9の他端側に、第2中継手段の代わりに第2接続手段9aを備えている。
第2接続手段9aは、周辺機器を接続する周辺機器接続部8aを有している。この構成により、イヤホン、スピーカ、マイク、リモコン操作部など様々な周辺機器を接続することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2005年2月2日出願の日本特許出願、出願番号2005−026725、及び2005年8月26日出願の日本特許出願、出願番号2005−246451に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、無線機器の外部アンテナとして動作するアンテナ装置であって、使用状態において、人体近接の影響によりそのアンテナ性能が劣化しない接続ケーブルとして有用である。
本発明は携帯無線機と周辺機器とを接続する接続ケーブルから構成されるアンテナ装置に関する。
携帯電話などの無線機器が広く普及するにつれて、無線機器に接続して使用されるイヤホン、マイクなどの周辺機器も多数開発されている。通常、周辺機器と無線機器とは接続ケーブルによって接続される。
無線機器にとって通信機能は基本的な機能であり、その性能は重要である。そこで、例えば、図11に示すように、特許文献1には、接続ケーブル内の信号線31をアンテナとして利用することで、無線機器の通信性能を補うことができるイヤホンワイヤが提案されている。また、図12に示すように、特許文献2には、接続ケーブルの内の無線機器本体に近い部分にアンテナ素子32が配置されているイヤホンケーブルが示されている。(特許文献1、特許文献2参照)
特開2002−314450号公報
特開2000−349868号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、イヤホンケーブルの全体をアンテナとして動作させているため、人間がそのケーブルを把持する場合など、人体近接の影響を受けやすく、その度にアンテナ性能が劣化してしまう。また、特許文献2に記載された発明も人体近接の影響を受けやすく、その度にアンテナ性能が劣化してしまう。
本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続する第1接続手段と、周辺機器に接続する第2接続手段と、その間に配置され、前記無線機器から複数の信号を前記周辺機器に伝送する接続ケーブルとアンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に前記複数の信号を中継する第1中継手段と、前記第2接続手段と前記第1中継手段との間に前記アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線とを備え、前記アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記周辺機器に伝送される複数の信号線のうち少なくとも1本に直列に挿入される第1インダクタンス素子を備え、前記第2接続手段は、前記複数の信号線に直列に挿入される第2インダクタンス素子とを備え、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、少なくとも音声信号を通過させるとともに前記アンテナ受信信号を遮断し、前記第1中継手段にて前記アンテナ受信信号を取り出すよう構成される。
この構成により、アンテナ素子に平行に配置された信号線とアンテナ素子とが高周波容量結合した場合に、信号線に高周波信号が漏洩することを防ぐことができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記同軸線を芯線とする同軸ケーブルの外導体は前記無線機器の接地電位に接続し、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第1接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記外導体との間に配置される。
この構成により、同軸ケーブル外導体と、信号線のうち同軸ケーブルと平行な部分とを高周波的に同電位となり、信号線のうち同軸ケーブルと平行な部分に高周波電流が漏洩することが防がれ、アンテナ性能が低下することを防ぐことができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第2接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記同軸線との間に配置され、前記アンテナ素子の代わりに前記少なくとも1本の信号線がモノポールアンテナとして動作し、前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、信号線をアンテナ素子として動作させることができ、別途アンテナを構成する必要がないので、簡略化した構成で高いアンテナ性能を得ることができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第2接続手段に、前記無線機器を制御する制御手段を備え、前記接続ケーブルおよび前記同軸ケーブルを経由して前記無線機器を制御する。
この構成により、使用状態において、ユーザは、接続ケーブルの途中に設けられた制御手段により、無線機器を制御することができ、ユーザの利便性が向上する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、アンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に所定の間隔で配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段および第2中継手段と、前記第1中継手段と前記第2中継手段との間に前記アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段との間に、前記アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線と備え、前記アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、複数のアンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段と、前記第1中継手段から分岐され、一方の接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第2中継手段と、前記第1中継手段から分岐され、他方の接続ケーブルの途中位置に配置される前記複数の信号を中継する第3中継手段と、前記第1中継手段と前記第2中継手段との間に第1アンテナ素子と、前記第1中継手段と前記第3中継手段との間に第2アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線と備え、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、無線機器に接続される第1接続手段と、前記無線機器から周辺機器に複数の信号を伝送する接続ケーブルと、アンテナ素子とを一体的に構成するアンテナ装置であって、前記接続ケーブルの途中位置に所定の間隔で配置される前記複数の信号を中継する第1中継手段および第2中継手段と前記第1中継手段と前記第2中継手段との間を接続する2つのケーブルにそれぞれ配置される第1アンテナ素子および第2アンテナ素子と、前記第1接続手段と前記第1中継手段の間に、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子で受信し、前記第1中継手段にて取り出されたアンテナ受信信号を前記無線機器に伝送する同軸線とを備え、前記第1アンテナ素子および/または第2アンテナ素子が前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
この構成により、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とがアンテナとして動作するので、各々アンテナ素子に共振し広い周波数帯域において高いアンテナ性能を得ることができる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記周辺機器に伝送される複数の信号線のうち少なくとも1本に直列に挿入される第1インダクタンス素子を備え、前記第2中継手段は、前記信号線の少なくとも1本に直列に挿入される第2インダクタンス素子とを備え、前記第1インダクタンス素子および前記第2インダクタンス素子は、少なくとも音声信号を通過させるとともに前記アンテナ受信信号を遮断し、前記第1中継手段にて前記アンテナ受信信号を取り出すよう構成する。
また、本発明のアンテナ装置は、前記同軸線を芯線とする同軸ケーブルの外導体は前記無線機器の接地電位に接続し、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第1接続手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記外導体との間に配置されることを特徴とする。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1中継手段において、前記第1インダクタンス素子に対し前記第2中継手段側にキャパシタンス素子を備え、前記キャパシタンス素子は前記複数の信号線と前記同軸線との間に配置され、前記第1アンテナ素子の代わりに前記少なくとも1本の信号線がモノポールアンテナとして動作し、前記無線機器の外部アンテナとして動作する。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第2中継手段に、前記無線機器を制御する制御手段を備え、前記接続ケーブルおよび前記同軸ケーブルを経由して前記無線機器を制御することを特徴とする。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子との電気長が異なることを特徴とする。
この構成により、それぞれ異なる電気長を有する第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とがアンテナとして同時に動作するので、各々アンテナ素子に共振し広い周波数帯域において高いアンテナ性能を得ることができる。また、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とは一定の距離離れるので、互いの通信性能は影響を受けない。さらに、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルは、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
また、本発明のアンテナ装置は、前記周辺機器がイヤホンである。
また、本発明のアンテナ装置は、前記接続ケーブルが前記無線機器と接続して使用される状態において、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子の両方またはいずれか一方が略水平状態になることを特徴とする。
この構成により、アンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波に対して通信性能が向上する。また、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態が保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減できる。
本発明によれば、無線機器の外部アンテナとして動作する接続ケーブルの一部分は、使用状態において、ユーザから一定距離離れた状態に保たれるので、人体の影響によるアンテナ性能の劣化を低減することができる。
以下、本発明に係るアンテナ装置、無線機器(携帯電話端末、PHS、PDA等)の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態では、無線機器のアンテナは、主偏波が水平であるテレビジョン放送(周波数が470[MHz]から700[MHz]程度)の受信に用いるものとして説明する。なお、テレビジョン放送の代わりに、FM放送など、前述した周波数帯域以外に対してでも、アンテナ素子の長さを変更するなどの手段を講じることにより、本発明は有効であり、同様の効果を奏する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。図2は、実施の形態1の使用例を示す図である。
図1において、携帯無線機1は、接続ケーブル2の第1接続手段9と接続するコネクタ16と、回路基板14を有する。回路基板14は、テレビチューナー部を備える無線回路部12と演算機能や記憶機能を備える制御部13とコネクタ16が半田付け等により固定、実装されている。コネクタ16の内部には複数の端子バネ11が設置されている。端子バネ11は、無線回路部12と制御部13と回路基板14の接地電位となるグランドパターンとにそれぞれ回路基板14上の印刷パターンを介して接続される。
アンテナ装置の接続ケーブル2は、第1接続手段9と周辺機器の一例であるイヤホン部5とを接続し、その途中位置に第1中継手段19と第2中継手段20と、その間にアンテナ素子7を配置し、第1接続手段9と第1中継手段19との間は同軸ケーブル3を構成し、携帯無線機1から音声信号を含む複数の信号線4をイヤホンへ伝送するとともに、アンテナ素子7にて受信した信号は第1中継手段にて取り出され、同軸ケーブル3の内部導体である同軸線3aから携帯無線機へ伝送される。
第1中継手段9は、接続ケーブル2の一端に設けられ、筐体1のコネクタ16と嵌合接続するものである。第1中継手段9の内部には、回路基板10が配設されている。回路基板10には複数の接続ピン8が半田付けなどにより固定されている。
接続ケーブル2の第1中継手段9を、筐体1のコネクタ16に接続すると、複数の接続ピン8と複数の端子バネ11とがそれぞれ機械的に接続され、同時に、電気的に接続される。
回路基板10には、同軸ケーブル3の同軸線3aと外導体と、複数の信号線4とがそれぞれ半田付け等により固定され、接続ピン8に接続される。
同軸ケーブル3は、例えば75Ωの高周波伝送路であり、屈曲自在な材質で構成される。コネクタ16と第1接続手段9とが接続すると、その内部導体は無線回路部12に接続され、その外導体は回路基板14のグランドパターンに接続される。また導電性の外導体の外側は、非導電性の材料のもので覆われている。本実施の形態1では、同軸ケーブルの長さL1を30[cm]としている。
複数の信号線4は、屈曲自在な線状導体であり、その外側は非導電性の材質のもので覆われており、制御部13に接続される。
同軸ケーブル3と複数の信号線4とは、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のもので覆われ、束ねられている。接続ケーブル2内においては、同軸ケーブル3と複数の信号線4とは、それぞれの外側を覆っている非導電性の材質のものにより、それぞれの金属導体は接触しない。
同軸ケーブル3において、第1接続手段9を有する端と反対側の端は第1中継手段19に接続されている。第1中継手段19上には、整合回路部15と複数のインダクタンス素子6(第1インダクタンス素子)とが半田付け等により固定される。
整合回路部15は、一方の端が同軸ケーブル3の同軸線3aに接続され、他方の端がアンテナ素子7(第1アンテナ素子)に接続されており、アンテナ素子7のインピーダンス整合を75Ωに調整する機能を果たす。
複数のインダクタンス素子6は、複数の信号線4の少なくとも1本に直列に挿入されている。また、複数のインダクタンス素子6のうち少なくとも1つは、一方の端が回路基板14の接地電位となるグランドパターンと同電位の金属に接続され、他方の端は信号線4に接続されており、図1では、同軸ケーブル3の外導体と信号線4とに接続されている。
インダクタンス素子6は、アンテナ素子7に平行に配置された信号線4とアンテナ素子7とが高周波容量結合した場合に、信号線4に高周波信号が漏洩することを防ぐ。つまり、複数のインダクタンス素子6は、本実施の形態1の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対してはインピーダンスが高く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが低ければ機能し、ローパスフィルタやLC並列共振回路などであっても良い。
また、実験により、インダクタンス素子6のインダクタンス値は、470[MHz]〜700[MHz]の周波数帯においては、400[nM]以上であれば十分であることが確認されている。さらに、インダクタンス値が400[nH]以下であっても、自己共振周波数が470[MHz]〜700[MHz]のインダクタンス素子6を用いても同様の効果を得ることができる。
また、複数のインダクタンス素子6は、A−A´の一直線上に配置することがアンテナ性能上望ましい。A−A´の一直線上にインダクタンス素子6が配置していない場合には、インダクタンス素子6の同軸ケーブル3側の信号線4とアンテナ素子7側の信号線4とがインダクタンス素子6を介さずに直接、高周波容量結合し、同軸ケーブル3側の信号線4に高周波電流が漏洩しアンテナ性能が低下するためである。また、第1中継手段19の接地電位となるグランドパターンは、A−A´よりアンテナ素子7側に配置しないほうがアンテナ性能上好ましい。
アンテナ素子7は、屈曲可能な線状導体で構成され、一方の端は第1中継手段19に接続され、他方の端は第2中継手段20に接続されている。アンテナ素子7は、第2中継手段20側において電気的に開放されており、その長さL2は1/2波長から3/2波長程度であり、本実施の形態1ではL2は45[cm]である。
接続ケーブル2の第1中継手段19と第2中継手段20との間において、アンテナ素子7と複数の信号線4とは平行に配置され、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のものにより覆われ、束ねられている。アンテナ素子7と複数の信号線4とは、信号線4を被膜する非導電性の材質のものを介して接触しているので、それぞれの金属導体は接触しない。
第2中継手段20上には、アンテナ素子7の一端と、インダクタンス素子22(第2インダクタンス素子)と、プッシュ式スイッチ18(制御手段)とが半田付け等により固定されている。
プッシュ式スイッチ18にはプッシュボタン17が搭載されており、ユーザがプッシュボタン17を押すことにより複数の信号線4を介して、制御部13に電気信号が伝達される。例えば、無線機器の通信開始及び終了を手元のプッシュボタンの押下により可能にし、ユーザにとっての利便性が向上する。
また、プッシュ式スイッチ18は、ボリュームやチャンネル切替えなど、無線機器の外部スイッチとして機能するものであれば良く、数は複数個あっても良い。
インダクタンス素子22は、インダクタンス素子6と同様の素子であり、複数の信号線4の少なくとも一本に直列に挿入され、アンテナ素子7と信号線4との容量結合によって、イヤホン部5と第2中継手段20との間の信号線4に高周波信号が漏洩するのを防ぐ役割を果たす。
インダクタンス素子22は、第2中継手段20上のB−B´に一直線に配置されることがアンテナ性能上好ましい。また、アンテナ素子7の開放端とインダクタンス素子22との距離D1は、小さいほうがアンテナ性能上好ましい。実験により、D1は3[cm]以下であれば高いアンテナ性能が確保できることが確認されている。
第2中継手段20では、複数の信号線4が二又に分岐され、各々の先端にはイヤホン部5が接続されている。第2中継手段20とイヤホン部5との間の距離L3とL4は50[cm]程度である。本実施の形態1では、L3とL4とを同一の長さにしているが、これに限られるものではない。図2に示すように、使用状態において接続ケーブル2のうち、アンテナ素子7を有する部分が水平に近い状態で保たれるように、各部の長さがバランスをとっていれば良い。
本実施の形態1では、接続ケーブル2は、一方の端が第1接続手段9であり、他方の端がイヤホン部5であり、その全長(L1+L2+L3)が125[cm]程度のイヤホンケーブルである。
図2に示すように、ユーザ21がその手に無線機器を持ち、その画面を見る使用状態においては、アンテナ素子7はユーザ21から一定の距離が隔たれ、水平に近い状態となる。なお、アンテナ素子7の全てが水平状態となる必要はなく、アンテナ素子7の長さの30%程度が水平状態となれば、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
ここで、第1中継手段19にクリップを取り付けておき、使用状態において使用者の胸ポケットなどにクリップを挟み込むようにすれば、接続ケーブル2の長さやとりまわし状態によらず、常にアンテナ素子7の位置を安定させることができるため、より高いアンテナ性能が得られる。なお、クリップに限らず、第1中継手段19を胸ポケット、衣服などに一時的に固定することで第1中継手段の位置を固定する手段を備えれば同様な効果が得られる。
本実施の形態1の無線機器とアンテナ装置の接続ケーブル2(イヤホンケーブル)とは、無線機器のコネクタ16に接続ケーブル2の第1接続手段9が嵌合接続されると、アンテナ素子7が長さ45[cm]程度のモノポールアンテナとして動作する。このモノポールアンテナのインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する機能を整合回路部15が果たす。したがって整合回路部15とアンテナ素子7との接続点がアンテナの給電点となる。また、複数の信号線4を介して、プッシュスイッチ18およびイヤホン部5に電気信号が伝達される。
アンテナ素子7は第1中継手段19と第2中継手段20の間に配置され、接続ケーブル2全体のうち中間の位置に配置されている。よって、図2に示す使用状態ではユーザ21とアンテナ素子7との間に、電波受信に関して人体の影響がない程度の距離が確保されるので、高いアンテナ性能が確保される。また、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
なお、本実施の形態1では、接続ケーブル2の全長を125[cm]としたが、その長さはこれに限られるものではなく、同軸ケーブル3および第2中継手段20からイヤホン部5までの長さを調整して、使用状態にアンテナ素子7が水平になる構成であれば、同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態1では、アンテナ素子7の開放端に該当する方の端を第2中継手段20に接続しているがこれに限られるものではなく、アンテナ素子7の開放端とインダクタンス素子との距離D1が3[cm]以下であれば、アンテナ素子7の開放端を第2中継手段20に接続しなくても同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、第1中継手段19、第2中継手段20及びそれらに実装したインダクタンス素子を中継手段として機能させている。本発明における中継手段は、アンテナ素子の給電点及び開放端において、オーディオ信号などの信号線、又は電源ライン、又はグランドラインなどのようなアンテナ素子と並行して配設される導体線の高周波遮断機能を果たすものであればよい。
ここで、アンテナ素子と並行して配設される導体線の高周波遮断を行う位置、すなわち中継手段を設置する位置が、アンテナ素子の給電点又は開放端のいずれか一方のみの場合であっても一定のアンテナ性能が得られるが、アンテナ素子の給電点及び開放端の両方において二つの中継手段を設置した場合の方がより高いアンテナ性能が得られる。
また、本実施の形態においては、イヤホンと携帯無線機との間を接続するケーブルを例に説明を行ったが、これに限らず、例えば、スピーカ、マイク、リモコン操作部など様々な周辺機器と携帯無線機を接続するケーブルに同様な中継手段とアンテナ素子を備えても同様な効果を奏する。また、携帯無線機を使用者が首から下げるためのストラップに同様な中継手段とアンテナ素子を備えても同様な効果を奏する。
また、本実施の形態においては、本発明に係る接続ケーブルが接続される機器が携帯無線機であるとして説明を行ったが、これに限るものではなく、テレビジョン放送やラジオ放送を受信する携帯機器であっても同様な効果を奏する。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。実施の形態2は、第1中継手段19上にキャパシタンス素子23が配置されている点以外は、実施の形態1と同様の構成である。
キャパシタンス素子23は、第1中継手段19上に半田付けなどにより固定されており、複数の信号線4と第1中継手段19上のグランドパターンとの間に配置、接続される。キャパシタンス素子23は、同軸ケーブル3外導体と、信号線4のうち同軸ケーブル3と平行な部分とを高周波的に同電位にする役割を果たす。よって、信号線4のうち同軸ケーブル3と平行な部分に高周波電流が漏洩することを防ぎ、アンテナ性能が低下することを防ぐことができる。
キャパシタンス素子23は、実施の形態2の無線機器の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対して、インピーダンスが低く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが高ければよく、実験によると、200[pF]以上の容量であれば十分であることが確認されている。
この構成により、信号線4のうち同軸ケーブル3に平行な部分に高周波電流が漏洩することによるアンテナ性能の劣化を軽減でき、より安定して高いアンテナ性能を得ることができる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。実施の形態3は、接続ケーブル2において、第1中継手段19上にキャパシタンス素子24が配置されている点と、アンテナ素子7が削除されている点以外は、実施の形態2と同様の構成である。
キャパシタンス素子24は、第1中継手段19上に半田付け等により固定され、整合回路15と複数の信号線4のうち少なくとも1本との間に配置され接続される。キャパシタンス素子24は、インダクタンス素子6とインダクタンス素子22とに挟まれた信号線4に接続される。また、キャパシタンス素子24は、無線機器の受信周波数である470[MHz]〜700[MHz]程度の周波数帯の信号に対してはインピーダンスが低く、50[MHz]以下から直流成分に対してはインピーダンスが高く設定される。実験により、キャパシタンス素子24は、200[pF]以上の容量値であれば十分に所望の性能が得られることが確認されている。
このように構成された実施の形態3では、無線機器に備えられるコネクタ16に、接続ケーブル2の一端に備えられる第1接続手段9が嵌合接続される場合、インダクタンス素子6とインダクタンス素子22とに挟まれた信号線4がモノポールアンテナとして動作する。整合回路部15は、このモノポールアンテナのインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。本実施の形態3は、この構成により、信号線4に高周波信号と低周波信号を重畳させるので、別途アンテナ素子を設けなくても信号線4がアンテナ素子の役割を果たす。
このように本実施の形態3は、信号線をアンテナ素子として動作させることができ、別途アンテナを構成する必要がないので、簡略化した構成で高いアンテナ性能を得ることができる。
なお、本実施の形態3では、200[pF]以上の容量値であるキャパシタンス素子24を用いて説明したが、これに限られるものではなく、ハイパスフィルターやLC直列共振回路のように特定の高周波数帯のインピーダンスを低く、低周波数帯のインピーダンスを高くできるものであれば同様の効果が得られる。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係るアンテン装置と無線機器の概略構成図である。図6は、実施の形態4の使用例を示す図である。
実施の形態1〜3までと同一の構成部分については説明を省略する。図5に示すように、実施の形態4では、第1中継手段19上に、整合回路15と整合回路25とを有し、同軸ケーブル3の内部導体はそれぞれに接続される。接続ケーブル2は第1中継手段19上で左耳用イヤホン30と接続するケーブルと右耳用イヤホン29と接続するケーブルとに分かれる。整合回路25は、左耳用イヤホン30と接続するケーブル内に配置されるアンテナ素子28と接続する。
アンテナ素子28は、屈曲可能な線状導体で構成され一方の端は第1中継手段19に、他方の端は回路基板26に接続され、回路基板26側において電気的に開放されている。長さL5は1/2波長から3/2波長程度であり、アンテナ素子7とは電気的に異なる長さを有する。ここでは、本実施の形態4では、アンテナ素子28の長さを35[cm]とする。
アンテナ素子28と複数の信号線4とは平行に配置され、接続ケーブル2を構成する非導電性の材質のものにより覆われ、束ねられている。ここで、アンテナ素子28と複数の信号線4とは、信号線4を被膜している非導電性の材質のものを介して接触している。
回路基板26上には、アンテナ素子28の一端と、インダクタンス素子27とが半田付け等により固定されている。
インダクタンス素子27は、複数の信号線4の少なくとも1本に直列に挿入される。また、インダクタンス素子27はインダクタンス素子6と同様の素子であり、アンテナ素子7と信号線4との容量結合によって、イヤホン部と回路基板26との間の信号線4に高周波信号が漏洩するのを防止する役割を果たす。
アンテナ素子28の開放端とインダクタンス素子27との距離D2は、小さいほうがアンテナ性能上望ましい。実験により、D2は3[cm]以下であれば高いアンテナ性能を確保できることが確認されている。
回路基板26には、複数の信号線4を介して左耳用のイヤホン30が接続されている。また、第2中継手段20には、複数の信号線4を介して右耳用のイヤホン29が接続されている。
本実施の形態4では、回路基板26とイヤホン30との距離L6は60[cm]程度である。接続ケーブル2は、一方の端が第1接続手段9であり、他方の端がイヤホン29またはイヤホン30であり、その全長(L1+L2+L4=L1+L2+L6)は125[cm]程度のイヤホンケーブルである。
図6に示すように、ユーザ21が無線機器の画面を見る使用状態では、アンテナ素子7とアンテナ素子28は、ユーザ21の人体から距離を隔てて水平状態に保たれる。アンテナ素子7とアンテナ素子21との間の距離もG1だけ離れる。実験により、G1は1[cm]以上であれば、高いアンテナ性能を得られることが確認されている。
本実施の形態4では、無線機器のコネクタ16と接続ケーブル2の第1接続手段9とが嵌合接続すると、アンテナの電気長が異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作する。整合回路部15は、アンテナ素子7のインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。また、整合回路部25は、アンテナ素子28のインピーダンスを無線回路12の入力インピーダンス(一般的には75Ω)に整合する。
この構成により、本実施の形態4では、それぞれ電気長の異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作するので、各アンテナ素子に共振し広い周波数帯域(範囲)において高いアンテナ性能を得ることができる。また、アンテナ素子7とアンテナ素子28は接続ケーブル2の中央部分に配置されるので、使用状態において2本のアンテナ素子とユーザ21との距離を、アンテナ性能に人体の影響が及ばない程度に確保することができる。また、使用状態において、2本のアンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。
なお、本実施の形態4では接続ケーブル2の全長(L1+L2+L4=L1+L2+L6)は125[cm]程度としたが、これに限られるものではなく、また、(L1+L2+L4)と(L1+L2+L6)の長さが異なっていても、使用状態においてアンテナ素子の一部が水平状態に保たれる長さであれば同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態4では、ここまで周辺機器(イヤホン)と無線機器とを接続する接続ケーブルについて説明してきたが、図9に示すように、第2中継手段20と回路基板26とを線状素子で接続し、接続ケーブル2をユーザ21の首にかけるストラップ形状にしても同様の効果は得られる。この場合は、第2中継手段20と回路基板26とを接続する線状素子の材質は導電性であっても、非導電性であっても高いアンテナ性能を得ることができる。また、第2中継手段20と回路基板26とを接続する線状素子の材質が非導電性である場合には、インダクタンス素子22とインダクタンス素子27は削除しても同様に高いアンテナ性能を得ることができる。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5に係るアンテナ装置と無線機器の概略構成図である。図8は、実施の形態5の使用例を示す図である。
ここでは、実施の形態1〜4までと同一の構成部分については説明を省略する。図7に示すように、アンテナ素子28はアンテナ素子7とは別に、第1中継手段19と第2中継手段20とを接続する非導電性の管状チューブ内に配置される。管状チューブのうちアンテナ素子28の開放端側は、第2中継手段20を被膜している非導電性の材質のものと接続される。ここで、アンテナ素子28の電気長L5はアンテナ素子7の電気長L2とは異なり、それぞれことなる周波数帯において共振する。
図7に示すように、第1中継手段19と第2中継手段20との経路は、アンテナ素子7を含む経路1(L2+D1)と、アンテナ素子28を含む経路2(L5+D3)との二つがある。ここで、インダクタンス素子22とアンテナ素子28の開放端との距離D3を、経路1(L2+D1)と、経路2(L5+D3)が10[cm]程度異なるように調整する。この構成によると、図8に示すように、使用状態において、アンテナ素子7とアンテナ素子28との間に距離G2が生じる。本実施の形態5ではG2は5[cm]程度の間隔となる。図8に示すように通常、接続ケーブル2が重力方向にぶら下がる使用状態では、この距離G2は確保される。実験により、距離G2は1[cm]以上であれば高いアンテナ性能がえら得ることが確認されている。
本実施の形態5では、それぞれ電気長の異なるアンテナ素子7とアンテナ素子28とが同時にモノポールアンテナとして動作するため、アンテナ素子が一本の場合と比較して、それぞれのアンテナ素子に共振し広い周波数範囲において高いアンテナ性能を得ることができる。
また、アンテナ素子7およびアンテナ28は接続ケーブル2の中央部分に配置されるので、使用状態において、二本のアンテナ素子と人体(ユーザ21)との距離を、アンテナ性能に人体の影響が及ばない程度まで、確保することができ、高いアンテナ性能を得ることができる。また、使用状態では二本のアンテナ素子は水平状態に保たれるので、主偏波を水平とする電波を効率よく受信することができる。さらに、使用状態において二本のアンテナ素子の間隔を固定でき、複数のアンテナの距離が近接して電磁的に結合することによるアンテナ性能の劣化を軽減することができる。
なお、本実施の形態5では、アンテナ素子の数を二本としたがこれに限られるものではなく、二本以上の複数本のアンテナ素子を設けてもよく、そうすることで更に広い周波数帯域に対応できる。
(実施の形態6)
図10は、本発明の実施の形態6に係るアンテナ装置の概略構成図である。
ここでは、実施の形態1〜5までと同一の構成部分については説明を省略する。図10に示すように、アンテナ装置は、携帯無線機と接続する第1接続手段9の他端側に、第2中継手段の代わりに第2接続手段9aを備えている。
第2接続手段9aは、周辺機器を接続する周辺機器接続部8aを有している。この構成により、イヤホン、スピーカ、マイク、リモコン操作部など様々な周辺機器を接続することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2005年2月2日出願の日本特許出願、出願番号2005-026725、及び2005年8月26日出願の日本特許出願、出願番号2005-246451に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、無線機器の外部アンテナとして動作するアンテナ装置であって、使用状態において、人体近接の影響によりそのアンテナ性能が劣化しない接続ケーブルとして有用である。
本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態1の使用例(使用状態)を示す図である。
本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
本発明の実施の形態4に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態4の使用例(使用状態)を示す図である。
本発明の実施の形態5に係るアンテナ装置と携帯無線機の概略構成図である。
実施の形態5の使用例(使用状態)を示す図である。
ストラップ形状の接続ケーブルの一例を示す図である。
実施の形態6に係るアンテナ装置の概略構成図である。
特許文献1について使用状態を例示する図である。
特許文献2について使用状態を例示する図である。
符号の説明
1 携帯無線機
2 接続ケーブル
3 同軸ケーブル
3a 同軸線
4 信号線
5 イヤホン
6 インダクタンス素子
7 アンテナ素子
8 接続ピン
8a 周辺機器接続部
9 第1接続手段
9a 第2接続手段
10 回路基板
11 端子バネ
12 無線回路部
13 制御部
14 回路基板
15 整合回路
16 コネクタ
17 プッシュボタン
18 プッシュ式スイッチ
19 第1中継手段
20 第2中継手段