JPWO2006067861A1 - 芝生土壌の土壌改良剤および当該土壌改良剤を使用する芝生の芝生育管理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる問題に対処する一手段としては、農薬や肥料を芝生に施す方法がある。しかしながら、農薬や肥料を施す方法は単なる対処療法的な方法であって、土壌内を芝の生育にとって良好な環境に復帰させるための根本的な解決手段とはなり得ない。また、土壌内を芝の生育にとって良好な環境に復帰するために農薬を使用することは、土壌の環境汚染を惹起するおそれがあって、芝の生育にとっては勿論のこと、他の植物の生育にも悪影響を及ぼすことになる。
また、土壌内を芝の生育にとって良好な環境に復帰するために肥料を使用することは、芝の適切な生育に対して肥料過多の状態を惹起して、土壌の富栄養化を顕在化させることになる。この結果、土壌中の富栄養化物が河川や湖沼等に流出して水質を汚染し、結果として、芝生運動場およびその周囲の環境を悪化させることになる。
芝生運動場では、芝が造成地の表層を構成する土壌(芝生土壌)の表面に一度張り付けられると、十数年以上の長期にわたって使用すること、換言すれば、ほぼ永続的に使用することが要請される。芝生の根本的な改造としては、芝生土壌を起耕するか新たな土壌に入れ替えて、当該芝生土壌に芝を張り付けることが考えられるが、芝生土壌をこのように再生して芝を全面的に張り替えることは、使用態様およびコスト的にも不可能である。従って、全面グリーンが主流となっているゴルフコースでは、特に、芝生の芝生育管理に苦慮しているのが実状である。これに対処すべく、芝生土壌を改良することは種々提案されてはいる。
芝生運動場の表層を構成する芝生土壌にあっては、芝の生育にとって良好な環境を形成するためには、理想的には、固相が2/4、気相が1/4、液相が1/4の割合で存在しているものと認識されている。従って、固相、気相および液相がこのような割合の土壌が、芝の生育にとって良好な環境を形成するのに適する土壌として、当該土壌を形成するために種々考慮されている。例えば、土に砂を適宜の量混合して芝生土壌を形成する方法があり、さらに、土壌の保水性を向上させるために、当該土壌や砂にピートモス等の腐植材料を適宜の量混合して芝生土壌を形成する方法がある。近年では、後者の芝生土壌が注目されていて、砂(サンド)にピートモスを10容量%前後混在して調製した芝生土壌がよく使用されている。
しかしながら、後者の土壌、すなわち、土と砂を適宜混合してなる芝生土壌や砂を主体とする芝生土壌に、ピートモス等の腐植材料を適宜の量混合して調製される芝生土壌においては、芝の毛細根の生育や土壌中の有機物に起因するシルト分等の生成により、土壌中に不透水層が発生し易く、また、土壌が局部的に硬い盤状となる耕盤が生成し易いという大きな問題がある。、これらの問題に対処するには、薫炭等の吸着性炭素を土壌に混在させる方法が考えられる。吸着性炭素、謂所、従来の活性炭は、高い吸着能を得るために、大口径(μm単位)の細孔を無数に有する多孔質の炭化物質であることが好ましい。
このため、当該吸着炭素を使用する場合には、芝の生育する毛細根や土壌中の有機物に起因するシルト分が、当該吸着炭素の大孔径の細孔に侵入して細孔を早期に閉塞してしまう。この結果、当該吸着炭素は、吸着能を早期に喪失し、単なる固形物として芝生土壌中に残存することになる。また、芝生土壌中の有機物やシルト分は水酸基を有することから、水素結合して細孔内に残存し、細孔内が停滞水で満杯となる。使用する炭素量が多いほど、土壌中に層として残存し、分解し得ない残根や残滓と絡み合って不透水層を容易に形成する原因物質となる。この結果、このような芝生土壌では、芝は生気のある根を生育させることはできず、病害虫による障害が多発することにもなる。
本発明者等は、農業分野において、圃場土壌内に、農作物の良好な生育環境を形成し保持するための生育助成剤を開発し、当該生育助成剤については、すでに特許出願しているところである。(特開2001−122712号公報を参照)。
当該生育助成剤は、水稲や野菜等の農作物の生育に使用する土壌を対象とするものであって、特異な特性を有する無数の細孔を有する多孔質の活性炭からなるものである。本発明者等は、かかる生育助成剤を開発した知識に基づいてさらに鋭意研究した結果、芝生運動場の芝生土壌内を、芝の生育にとって良好な環境に形成する炭素化物質を見出した。従って、本発明の目的は、当該炭素化物質を、芝生土壌の土壌改良剤として提供することにある。
本発明に係る土壌改良剤は、炭素化率が少なくとも90%で無数の細孔を有する多孔質で不定形構造の炭素化物質であり、前記細孔の群は、孔径が0.1μm以下の連通する微細孔を少なくとも25%含み、実質的には水酸基を有していない炭素化物質である。当該土壌改良剤は、好ましくは、ヤシ殻やオガ屑等の植物を炭化処理の原料とする、炭素化率が少なくとも90%の不定形構造の炭素化物質であって、pHが9.0〜11.0であり、かつ、前記微細孔の孔径がμm単位以下でnm単位のものである。
本発明に係る当該土壌改良剤の使用時の形態は、粉末または適宜の粒径の粒子であり、その使用態様としては、土と砂を混合してなる芝生土壌や砂を主体とする芝生土壌(サンドとピートモスの混合土壌)等に均一に混合する使用態様、芝生土壌の表面に均一の散布する使用態様、および、芝生の適宜の場所に多数形成した筒状の穴に、単独または土壌に混合した状態で充填する使用態様等を挙げることができる。当該土壌改良剤の使用量の基準は、芝生土壌に対して容量比で3〜15%とする。当該土壌改良剤は、芝生土壌中では下記の特性を発揮して、芝生土壌内を芝の生育にとって良好な環境に形成し、この良好な環境を長期間保持する。
(1)当該土壌改良剤は、炭素化率が90%以上であって官能基である水酸基をほとんど有していないため、微細孔内の保水力は5%以下となる。当該微細孔は、芝生土壌内で周囲の水を毛管吸引力で取り入れ、かつ、微細孔内に取り入れた水を構成する水分子クラスターを、炭素化物質が誘導する自由電子(e−)の作用にて細分化する。水分子クラスターを細分化された微細孔内の水は、自らの自重によって微細孔の開口部から芝生土壌内に放出される。また、水を放出された後の微細孔は、保水率が5%以下であることから、中空に近い状態を保持することになって、常に微細な気孔として機能する。
(2)芝生土壌は種々の粒径の粒子を主体とする集合体であって、全体として多数の毛管孔隙を有し、かつ、水酸基を有している。このため、当該土壌改良剤の微細孔から芝生土壌内に放出された水は、芝生土壌の水酸基と水素結合した状態で保持され、芝生土壌の保水力が高められる。このように保持された保は、芝生の芝の生育に利用される。また、当該保水は、芝生土壌内の水を当該土壌改良剤の微細孔を介して還流されたものであるから、微細孔に存在する空気を多量に溶解した溶存酸素の多いものであって、芝の根に対する水や酸素を供給する分圧として作用する。この結果、芝に対する代謝エネルギーの寄与が大きくて、芝の健全な生育とその生育の保持等の生育条件を整える。
(3)当該土壌改良剤が有する無数の微細孔は、孔径が0.1μm以下というμm単位以下でnm単位という超微細孔であることから、芝の生育過程で発生する有機物(主として枯死した残根)の腐食分解されて生成される沈泥や毛細根の微細孔内への侵入が阻止される。このため、当該微細孔は、毛細根や沈泥等によっては閉塞されることがなくて、上記した水の還流作用を長期間維持する。このため、当該土壌改良剤は、芝生土壌内を芝の生育にとって良好な環境に形成する機能を長期間保持する。
(4)当該土壌改良剤は、芝生運動場に降水した雨水や散水を芝生土壌内から微細孔内に取り込み、微細孔内にて水分子クラスターを細分化して、水分子クラスターを細分化された水として、かつ、溶存酸素量の多い水として芝生土壌内に還流させ、微細孔を中空状の気孔に復帰させて、微細孔内を新鮮な空気で充満させる。当該土壌改良剤は、かかる機能を長期間の間繰り返し行って、芝生土壌内に、溶存酸素を豊富に含有する腐敗しない水として還流させる。芝の根や根圏域の土壌菌は、水分および酸素を好んで吸収することから、当該水は、芝の生育および土壌菌の繁殖を盛んにする。当該土壌改良剤が混在する芝生土壌は、絶えず活性化される。換言すれば、芝生土壌内は、常に、芝が生育するのに良好な環境に保持される。
(5)水の隙間理論によれば、水は極狭い隙間を通過することで、−10℃という低温でも凍結させず、かつ、さらに狭い隙間を通過することで、−80℃という超低温でも凍結しないという。水分子クラスターが細分化されると、水は分子単位で回転し、移動の運動エネルギーが潜在的に増加させる。当該水は自由水として存在し、芝生土壌中の根やこれに共生している土壌菌の良好な環境を保持し、芝生の芝の健全な生育に寄与することになる。当該土壌改良剤の微細孔から芝生土壌内に放出される水は、正にこのような水に該当し、水分子クラスターを細分化されて放出される水は、かかる特性によっても、芝生土壌内を、芝が生育するのに良好な環境に形成することになる。
(6)水は、本来、自由水の働きが基本である。自由水が結合水になることは、水が汚染化に進むことになる。当該土壌改良剤は、極微細な孔径が連通する微細孔を無数に有するもので、水酸基を持たない当該微細孔は毛管吸引力によって結合水を吸引し、水分子クラスターを理論的な最小集団(4.4分子で7Å〜8Å)までに細分化し、これを芝生土壌内に放出する。当該土壌改良剤は、結晶構造を持たない不定形平面構造を呈して、炭素と酸素の結合による骨格を形成しており、骨格内部に、プラスとマイナスの両極性が分散している永久分極を持っているものと推測される。このため、当該土壌改良剤においては、分極による静電引力(クーロン力)によって、種々の物質を引き寄せて、各種の環境悪化をもたらす分子、例えば汚染された結合水を芝生土壌から強力に排除して、分解することになる。
(7)当該土壌改良剤は、特異な周波数(遠赤外線)を発生し、発生する遠赤外線の輻射波の影響で、近傍に存在している自由電子(e−)が周りの水分子クラスターを細分化する作用が認められる。水分子クラスターの細分化と、電磁場域の自由電子(e−)の作用が相乗して、水のポテンシャルパワー(位置エネルギー)を顕在化させる作用を有している。当該土壌改良剤は、このような特異な特性により、芝生の芝の生体内に代謝エネルギーとして驚異的に作用し、水分、養分、微量な栄養素を、芝の選択的な要求に応じて運搬し、循環的分配を円滑に行う。この結果、芝生を構成している芝の健康維持、健康状態への回復および生育効果を奏する。
(8)農作物の生育管理と同様に、芝の生育管理における重要なことは、芝の根に対する水分圧、酸素分圧を高めて、芝の根から種々の栄養素や必須の微量元素の吸収効率を高めることにある。当該土壌改良剤は、芝生土壌内の結合水を超微細な微細孔に取り込んで速やかに細分化し、これを芝生土壌内に還流させる。この結果、水分子クラスターを細分化された水は、その機能を芝生土壌内で迅速に発揮する。芝においては、光合成により体内に形成された炭水化物は、根から吸い上げられた窒素と結合してアミノ酸を形成し、さらには縮合して、細胞の原形質の基礎的物質である蛋白質を形成する(窒素同化作用)。また、芝の根は、芝生土壌内に存在する他の養分や必須の微量元素を吸収し同化させ、芝の本体内の組織および機能を全てバランスよく形成させる。換言すれば、当該土壌改良剤は、芝生土壌内を、芝の生育にとって良好な環境に継続して保持することになり、芝の生育管理において、省肥料化および省農薬化を達成することができるとともに、省人件費化をも達成することができる
本発明の一実施形態に係る土壌改良剤は、炭素化率が少なくとも90%、好ましくは95%で、無数の細孔を有する多孔質の不定形構造を呈し、実質的に水酸基を有しない炭素化物質であり、前記細孔の群は、孔径が0.1μm以下の連通する微細孔を少なくとも25%含み、実質的には水酸基を有していないものである。また、当該土壌改良剤は、PHが8.5〜11.5好ましくは9.0〜11.0のものであり、好ましくは、前記微細孔の孔径がμm単位未満のnm単位の超微細孔である。
当該土壌改良剤は、粉末または適宜の粒径の粒子群として使用される。例えば、土壌改良剤は、当該炭素化物質を粉末状態(例えば0.07mm以下)、または、粒子状態(例えば0.1mm〜0.5mm,0.6〜1.9mm,2mm以上)で使用される。また、当該土壌改良剤の使用態様としては、芝生の造成地の表層を構成する芝生土壌(土、砂、土−砂混合の土壌)に均一混合して使用する態様、芝生土壌の表面に均一に散布する使用態様、長期間使用している芝生の適宜の場所に筒状の穴を多数形成して、この多数の穴に単独でまたは土や砂を混合して充填して使用する態様等、芝生の状況に応じてその使用態様を適宜選択する。当該土壌改良剤の使用量の基準は、芝生土壌に混合して使用する使用態様では、容量比として3〜15%、好ましくは5〜10%とする。また、多数の穴に充填して使用する使用態様では、芝生の単位m2当たり0.1L〜0.5L、好ましくは0.3Lとする。
(土壌改良剤の細孔径の分布状態)
本発明の一実施形態に係る土壌改良剤においては、異なる孔径の細孔の割合を測定している。その結果を、細孔径分布測定結果として下記の表1に示す。但し、当該土壌改良剤は、炭素化率が95%である。なお、当該土壌改良剤が極めて微細な孔径の細孔(超微細孔)を有する特異な物質であることを示すため、通常土壌改良剤として使用されているセラミック粉粒体における異なる孔径の細孔の割合を合わせて示す。但し、細孔の孔径の測定には、水銀圧入式の細孔径分布測定装置を使用した。なお、表1では、本実施形態に係る土壌改良剤を実施例として表示し、セラミック粉粒体からなる土壌改良剤を比較例として表示している。
(土壌改良剤の物性)
本発明の一実施形態に係る土壌改良剤においては、細孔径分布を測定に供した炭素化物質からなる土壌改良剤(本発明に係る土壌改良剤:実施例)、および、セラミックからなる土壌改良剤((通常の土壌改良剤:比較例)の物性を評価しており、その結果を下記の表2に示す。但し、評価項目中の保水性は保水試験(pF試験)による評価である。保水試験(pF試験)は、日本土質工学会基準(土のpF試験方法:JSP T 151−1990)に基づくもので、pF1.8〜3.0は加圧法で、pF3.0〜4.2は遠心法で測定し、pF1.8〜4.2の体積含有率(%)で評価した。評価項目中の孔隙率(毛管孔隙および非毛管孔隙)は、加圧法にて圃場容水状態(pF1.8)とした試料の実容積を土壌三相計で測定し、その結果得られる液相率を毛管孔隙率、気相率を粗孔隙率(非毛管孔隙率)とした。評価項目中の細孔容積は、水銀圧入式の細孔径分布測定装置にて測定した。
本発明においては、土壌改良剤を芝生土壌に混合して使用する使用態様を採用し、本発明の一実施形態に係る炭素化物質からなる土壌改良剤(実施例)による土壌改良の効果と、土壌改良剤を使用しない場合と比較する実験を試みている。
本実験では、芝生土壌として、砂(0.5〜1.0mm径のサンド)にピートモスを10%(容量比)混合して調製した土壌(非改質土壌)を採用し、当該土壌改良剤を使用する態様では、当該非改質土壌に対して当該土壌改良剤を5%(容量比)混合して改質土壌を調製した。本実験では、非改質土壌および改質土壌のそれぞれを、異なる造成基層上に約10cmの厚みに敷設して、芝生土壌を異にする2種類の実験用造成地を造成した。本実験では、当該造成地の芝生土壌の表面に芝を張り付け、実験用の2種類の芝生ゴルフコースに類似する超小規模の芝生ゴルフコース(実施例および比較例)を形成した。
これらの実験用の芝生ゴルフコースについては、通常のゴルフコースにおける使用頻度と同等にプレーを行うとともに、定期的に散水して芝生の管理を行い、この間、芝の生育状況を経時的に観察するとともに、芝の根圏土壌における物性の変化を経時的に測定した。得られた結果を、根圏土壌の物理特性の経時的変化として、下記の表3(実施例)および表4(比較例)に示す。また、経時的測定の最終の測定終了時点での芝の生育状態を示す写真を図3および図4に示す。
(1)実験用の非改質土壌は、砂(0.5〜1.0mm径のサンド)にピートモスを10%(容量比)混合して調製した土壌である。当該芝生土壌(非改質土壌:比較例)では、当初、飽和透水性速度(mm/h)は大きいが、径年的な低下が極めて大きく、計測の最終年では極めて低くなる。また、保水性(%)(水分含有比で表示)については、径年的に漸次増加する傾向にあって、この増加傾向は計測の最終年以降も継続するものと推測される。これに対して、改質土壌(実施例)では、飽和透水性速度は径年的に漸次低下するが、計測の最終年で低下度合いが収斂してほぼ一定(略200mm/h)になる状態にある。また、保水性については、径年的にわずかな増加傾向にあるが径年的な変化は少なく、20〜25%の範囲に保持される。
(2)全孔隙率(%)については、非改質土壌および改質土壌共に、径年的な変化は少ないが、芝生土壌内の気相に大きく関わる通気孔隙率(%)については、非改質土壌では径年的な低下が極めて大きく、これに対して、改質土壌では径年的に漸次低下するが、計測の最終年で低下度合いが収斂して、計測の最終年以降にほぼ一定(略20%)になるものと推測される。
(3)芝生土壌内の液相に大きく関わる毛管孔隙率(%)については、非改質土壌では径年的な増加が極めて大きく、これに対して、改質土壌では径年的な増加は少なく、漸次増加して、計測の最終年以降に収斂してほぼ25(%)程度の一定値となる。芝生土壌内の有機物の残留については、非改質土壌では径年的な増加が大きく、これに対して、改質土壌では径年的な増加はほとんどなく計測の最終年以降に収斂してほぼ0.7(%)程度の一定値となる。
(本発明に係る土壌改良剤の機能)
砂(0.5〜1.0mm径のサンド)にピートモスを10%(容量比)混合して調製した芝生土壌(非改質土壌)は、その組成上、保水能力性や保肥能力性に欠けることは当然である。このため、芝生の管理では、散水や施肥が過多に陥り易く、年数が経るにしたがって、芝生土壌内が段層的に嫌気性環境となって漸次拡大し、芝生の芝の根が発育不良に陥って、芝の根の伸長発育が阻害される。この結果、芝には病虫害が多発するとともに、枯れ死に至ることになる。この原因は、芝生土壌自体に気孔として機能する細孔、換言すれば、呼吸能力を有する細孔が存在しないからである。砂粒や土粒の接点により形成される土壌内の空隙は、芝が過密植栽であることもあって、生育盛りの芝の根が競って伸長する空間であって非毛管孔隙にも相当せず、根の充満とプレーヤ等の踏圧によって早期に消失する。このため、芝生土壌内では空気の流入が閉塞され、雨水や散水が停滞し、土壌は漸次嫌気性となる。
セラミックからなる土壌改良剤、その他の土壌改良剤(ピート・バーク,ゼオライト,パーライト等)は、全て水酸基(OH)を持っていることから、水素結合によって結合水を形成する機能を有している。このため、芝生に散水および雨水として付与された土壌内の水は、土壌改良剤中で結合して、μm単位以上の大径の細孔内で結合水として存在することになる。すなわち、これらの土壌改良剤は、土壌内の水を結合水として保持することになって、細孔を閉塞させて気孔としての機能を無効にする。また、当該結合水は、漸次無酸素水となって腐敗し、当該細孔に侵入した芝の毛細根を腐食して細孔の閉塞を助長し、また、土壌内の微細粉の侵入によっても細孔の閉塞が助長され、この結果、細孔は気孔としての機能を完全に消失されることになる。
一方、本発明の一実施形態に係る土壌改良剤(実施例)は、土壌の保水力に影響を与えず、空気の流通を向上すべく機能する特異な細孔径分布を有するものである。当該土壌改良剤には、孔径が0.1μm以下でnm単位という超微細孔が大量に分布している。当該超微細孔は、その内部に結合水を保持せず、かつ、当該超微細孔には芝根や土壌内の微細粉が侵入されることがないことから、当該超微細孔は閉塞されることなく連通孔として長期間存在し、気孔としての機能を保持する。
このため、当該土壌改良剤は、芝生土壌内に呼吸能力を付与して、芝生土壌内を好気性の環境に形成し、芝生土壌内を嫌気性の環境になるのを防止する。このような土壌内環境では、芝根は、水分および必要な各栄養素を必要量だけ吸収し、芝を十分に生育させて、病害虫に対して強い芝を生育させる。当該芝生土壌内のこのような良好な環境は、退化した残根を分解して養分化する機能を有し、生成された養分は芝の生育に利用される。従って、当該土壌改良剤を使用することにより、芝生の芝の生育管理では、農薬の使用を大幅に低減することができるとともに、肥料の施肥をも大幅に低減することができる。このため、芝生の芝の生育管理は、極めて楽になるとともに管理費を大幅に軽減することができる。
当該土壌改良剤に大量に分布する微細孔は、孔径がμm単位以下でnm単位の超微細孔であって、水酸基を持たない連通孔である。当該超微細孔は、土壌内の水分を毛細管現象にて取り込むが、結合水として内部に保持することなく、取り込んだ水の水分子クラスターを細分化する機能を有している。このため、当該超微細孔は、土壌内から一旦取り込んだ水の水分子クラスターを細分化し、例えば、最小分子集団(4.4分子でnm単位)の水として土壌内に還元する。これにより、当該土壌改良剤は、芝生土壌内を、芝の生育にとって良好な環境に形成する。
また、当該土壌改良剤は、結晶構造を持たない不定形構造を呈し、骨格内に微量の酸素を含んでいることから、骨格内は、プラスとマイナスの両極性が分散している永久分極性であって、周囲に大量の自由電子を誘導しているものと考えられる。このため、当該土壌改良剤は、分極による静電引力(クーロン力)と周りの自由電子(e−)によって、様々の物質を引き寄せ、各種の環境悪化の原因とな分子、特に、水分子クラスターが増大されている結合水を土壌内から強力に引き寄せて分解し、水分子クラスターを細分化して自由水に移行させる機能を有している。従って、当該土壌改良剤は、芝生土壌内の環境悪化の原因となっている土壌内の結合水を、その水分子クラスターを細分化して自由水として土壌内に還元する。これにより、当該土壌改良剤は、芝生土壌内を、芝の生育にとって良好な環境に形成する。
Claims (3)
- 芝生運動場の造成地の表層を構成する芝生土壌の内部を芝の生育に適した環境に形成するとともに、当該環境を長期間保持するための土壌改良剤であり、当該土壌改良剤は、炭素化率が少なくとも90%で無数の細孔を有する多孔質の不定形構造を呈する実質的に水酸基を持たない炭素化物質であって、前記細孔の群は孔径が0.1μm以下の微細孔を少なくとも25%含み、同微細孔が連通孔であることを特徴とする土壌改良剤。
- 請求項1に記載の土壌改良剤であり、当該土壌改良剤は、植物を炭化処理の原料とする炭素化率が95%以上の炭素化物質であって、pHが9.0〜11.0であることを特徴とする土壌改良剤。
- 請求項1または2に記載の土壌改良剤を使用する芝の生育管理方法であり、当該土壌改良剤を粉体または粒体として、芝生土壌に混合して使用する使用態様、芝生の表層に散布する使用態様、または、芝生に設けた多数の穴に充填して使用する使用態様を採り、当該土壌改良剤の使用量を芝生土壌に対して容量比で3〜15%とすることを特徴とする芝の生育管理方法。
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