JPWO2005110450A1 - 医薬組成物及び治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IL-18の新しい作用の発見に基づき、IL-18を含有し、SIRS(systemic inflammatory response syndrome; 全身性炎症反応症候群)等の炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物及び治療方法を提供することを目的とする。炎症性疾患に対し、低下した血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させない量のIL-18を含有する本発明の医薬組成物を投与することで、インターフェロンγに非依存にSIRSなどの炎症性疾患を予防、改善又は治療できる。

Description

本発明は、炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物及び治療方法に関する。
インターロイキン18(interleukin18又はIL-18)は、グラム陽性桿菌であるPropionibacterium acnes (P. acnes)加熱死菌を前投与したマウスに少量のリポ多糖(LPS)を静注した時に血中に出現するインターフェロンγ(IFNγ又はinterferonγ)産生誘導因子として発見された。IFNγは、マクロファージやNK細胞を活性化させることで、細胞免疫作用を亢進し、細菌など病原体の感染に対する抵抗性を上昇させる。現在では、IL-18はCD8細胞やNK細胞やTH-1細胞を活性化することにより、IFNγ産生を誘導することが明らかになっている。
IL-18は、多くのサイトカインと異なり、正常時においても低レベルの発現が認められる。しかし、病原体(ウィルス、原核生物、真核生物)による感染に対しては、発現が増大し、病原体に対する抵抗性を細胞に与える。例えば、マウスにHSVを感染させる前にIL-18を投与しておくことにより、マウスの生存率が著しく改善される。また、IL-18の投与は、真菌のクリプトコックス症のCryptococcus neoformansの増殖を抑制し、カンジダ感染に抵抗性を与える。さらに、マウスを抗IL-18抗体で処理すると、細胞内微生物であるSalmonella typhimuriumに対する抵抗性が損なわれるが、逆に、有毒株のSalmonellaを致死量感染させたマウスにIL-18を投与すると、組織中の細菌数が減り、致死性が減少する(オッペンハイム(Joost J. Oppenheim)、フェルドマン(Marc Feldmann)、ドゥラム(Scott K. Durum)編、「サイトカイン・リファレンス:宿主防御におけるサイトカイン及び他のメディエーターの概論(Cytokine Reference: A Compendium of Cytokines and Other Mediators of Host Defense)、(米国)、アカデミックプレス(Academic Press)、2000年、p.338-350」)。IL-18は、IFNγ以外のサイトカインやケモカインを誘導することが知られており、その中には、炎症性サイトカインであるIL-8、TNF、IL-6が含まれている。また、IL-18ノックアウトマウスは、炎症性サイトカインを誘導するLPS投与に耐性を有することから、IL-18はLPSが誘導する炎症性サイトカインに必須の因子であることがわかる。
以上のように、IL-18は免疫反応のメディエーターとして知られ、炎症性サイトカインの誘導に重要な役割を有すると考えられていた。
しかしながら、本発明者により、炎症を抑制するというIL-18の新たな作用が発見された。そこで、本発明は、このIL-18の新たな作用の発見に基づき、IL-18を含有し、SIRS(systemic inflammatory response syndrome:全身性炎症反応症候群)等の炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物及び治療方法を提供することを目的とする。
IL-18は、正常時にも低レベルの発現が認められる。本発明者らは、重篤な熱傷を負った際、IL-18の発現レベルが低下すること、及び、重症な熱傷を負ったマウスに、少量のIL-18を投与したところ、生存率に著しい改善が見られることを見出した。そのマウスから単離した脾臓細胞は、培養条件下でLPSに反応して炎症性サイトカインを分泌するが、IL-18投与マウスでは、その分泌が抑制されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明にかかる医薬組成物は、炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物であって、インターロイキン18を含有することを特徴とする。前記炎症性疾患がSIRSやsepsis syndromeや敗血症であってもよい。前記炎症性疾患がSIRSに続発する急性肺傷害又は多臓器不全であってもよい。また、インターフェロンγに非依存的に作用してもよい。
また、前記医薬組成物の治療対象である前記炎症性疾患は、肝臓におけるインターロイキン18濃度を低下させるものであってもよい。この場合、本発明にかかる医薬組成物は、前記炎症性疾患において低下した肝臓におけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させないのが好ましい。ここで正常値とは、健常人における測定値のことで、通常ある程度の範囲を有する。
本発明にかかる治療方法は、炎症性疾患を羅患した患者に、有効量のIL-18を投与することを特徴とする。前記炎症性疾患がSIRSやsepsis syndromeや敗血症であってもよい。前記炎症性疾患がSIRSに続発する急性肺傷害又は多臓器不全であってもよい。また、インターフェロンγに非依存的に作用してもよい。
また、前記治療方法の対象である前記炎症性疾患は、血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を低下させるものであってもよい。この場合、前記炎症性疾患において低下した血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させないのが好ましい。
本発明にかかる治療方法は、炎症性疾患に羅患したヒト又はヒト以外の脊椎動物個体を治療するための治療方法であって、前記脊椎動物個体に対し、インターロイキン18を含有する医薬組成物を投与することを特徴とする。前記炎症性疾患は、血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を低下させるものであってもよい。また、前記炎症性疾患において低下した血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させない量の前記インターロイキン18を含有する医薬組成物を投与することが好ましい。
==関連文献とのクロスリファレンス==
なお、本願は、2004年5月17日付けで出願した日本国特願2004-145971号に基づく優先権を主張する。この文献を本明細書に援用する。
本発明の一実施例において、対照群と熱傷群の各マウス群における肝臓と肺におけるIL-18含有量を熱傷処理以後の時間の経過とともに示したグラフである。 本発明の一実施例において、ヒトにおける血漿中のIL-18含有量を熱傷後の時間の経過とともに示したグラフである。 本発明の一実施例において、対照群、非投与群、IL-18投与群の各マウス群におけるLPS投与後の生存率を時間の経過とともに示したグラフである。 本発明の一実施例において、対照群、非投与群、IL-18投与群の各マウス群におけるLPS投与後の肺の組織切片像である。 本発明の一実施例において、in vitroで、対照群、非投与群、IL-18投与群の各マウス群から単離した脾臓細胞を抗CD3抗体によって刺激した場合の様々なサイトカインの分泌量を示した図である。 本発明の一実施例において、in vitroで、対照群、非投与群、IL-18投与群の各マウス群から単離した脾臓細胞をLPSによって刺激した場合の様々なサイトカインの分泌量を示した図である。 本発明の一実施例において、対照群、非投与群、IL-18投与群の各マウス群におけるLPS投与後の肺のサイトカインの分泌量を示した図である。
以下、上記知見に基づき完成した本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
===本発明が対象とする疾病===
本発明の医薬組成物は、IL-18を含有し、炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物である。
炎症性疾患の例として、SIRS(全身性炎症反応症候群)が挙げられる。これは1991年にアメリカの胸部疾患学会と集中治療学会によって共同で定義された炎症反応の概念であり、以下の4項目のうち2項目以上を満たす場合をSIRSとする。1)体温 38℃以上、又は36℃以下、 2)脈拍 90/分以上、3)呼吸数 20/分、又はPaCO2<32 torr、4)白血球 12,000/mm3以上、又は4,000/mm3以下、又は未熟型10%以上。SIRSは、外傷、熱傷、膵炎、侵襲の強い術後など感染を伴わない全身性炎症と、感染を伴う全身性炎症(sepsis syndrome)に分類される。さらに、sepsis syndromeには、血中に細菌の感染が見られるもの(敗血症)とそれ以外に分類される。本発明の医薬組成物は、これら全ての炎症性疾患を治療対象としうる。
例えば、重症の熱傷では、患部が細菌に感染し、増殖した細菌が血中に入り敗血症に至る。敗血症は、急性肺傷害(ALI:Acute Lung Injury)の原因となり、さらに、多臓器不全(MODS:Multi Organ Dysfunction Syndrome)に至ることもある。本発明の医薬組成物は、抗炎症作用を発揮することにより、こうした重篤な傷害も治療対象としうる。
重症の熱傷、敗血症、急性肺傷害などでは、血漿中又は肝臓におけるIL-18濃度の減少を伴うことが、発明者らの研究によって明らかになった。これらの疾患にIL-18を投与しても、炎症を引き起こす刺激に対して脾臓細胞から分泌されるIFNγの濃度は上昇しない。従って、これらの疾患に対してのIL-18の投与は、IFNγ非依存的に炎症を抑制する効果があると考えられる。しかし、過度の投与は、IFNγを誘導することが考えられるので、正常時のIL-18のレベル以上に増加させないようにIL-18を投与することが好ましい。
===本発明にかかる医薬品の形状及び投与方法===
IL-18又はその薬理学的に許容される塩をヒトに投与する場合には、例えば、1日あたり約8mg/kg(体重)の投与量で、1回又は数回に分けて静脈内投与するとよいが、その投与量や投与回数は、症状、年齢、投与方法などにより適宜変更しうる。
IL-18及びその薬理学的に許容される塩は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、塗布剤などの製剤にして、経口投与してもよいし、直接患部に塗布してもよいし、注射剤、坐剤などの製剤にして、腹腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下などへの注射により非経口投与することもできる。また、液状にして、皮膚、粘膜、患部などに塗布したりスプレーしたりしてもよく、鼻粘膜やのど粘膜などから吸入してもよい。
製剤中のIL-18又はその薬理学的に許容される塩(有効成分)の含有率は、1〜90重量%の間で変動させることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの形態をとる場合には、有効成分を5〜80重量%含有させるのが好ましい。シロップ剤などの液剤の場合には、有効成分を1〜30重量%含有させるのが好ましい。さらに、非経口投与する注射剤の場合には、有効成分を1〜10重量%含有させるのが好ましい。
IL-18及びその薬理学的に許容される塩の製剤化は、賦形剤(乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトールなどの糖類、バレイショ、コムギ、トウモロコシなどのデンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機物、結晶セルロースなど)、結合剤(デンプンのり液、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコーン油)、崩壊剤(デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、CMC・Na、CMC・Ca、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなど)、矯味矯臭剤(乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、芳香性精油類など)、溶剤(注射用水、滅菌精製水、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油など)、安定剤(窒素、二酸化炭素などの不活性ガス、EDTA、チオグリコール酸などのキレート剤、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元物質など)、保存剤(パラオキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、塩化ベンザルコニウムなど)、界面活性剤(水素添加ヒマシ油、ポリソルベート80、20など)、緩衝剤(クエン酸、酢酸、リン酸のナトリウム塩、ホウ酸など)、希釈剤などの製剤添加物を用いて、公知の方法で行われる。
なお、IL-18の薬理学的に許容される塩としては、例えば、第4級アンモニウム塩などの有機塩、あるいはアルカリ金属などの金属塩を用いることができるが、これらに制限されるものではない。
ヒト及びヒト以外の脊椎動物において、熱傷を起因とする炎症性疾患に対しての免疫反応及びIL-18の投与効果を確認するため、以下の実験を行った。
<実施例1> 熱傷マウスモデルの作製
7週令の雄のBalb/cマウス(体重23〜28グラム)をかごに入れ、約一週間自由に水と餌を与えた。その後、対照群、熱傷群に分けた。マウスは実験の一日前(Day 0)にペントバルビタール麻酔(50mg/kg)下にて背の部分の毛を剃った。翌日(Day 1)、全てのマウスにエーテル麻酔をし、熱傷群のマウスに対しては、毛を剃った背の部分に5秒間熱蒸気を当て、体全体の表面積の約15%の全層熱傷を負わせた。対照群のマウスは、熱蒸気には曝さなかった。その後、全てのマウスはただちに4mlの生理食塩水で意識を回復させた。
<実施例2> 肺及び肝臓におけるIL-18濃度及びIL-12濃度の測定
IL-12は、IL-18とともに、Th-1細胞分化に関与するTh-1サイトカインに分類されるサイトカインである。重傷の熱傷の後のこれらTh-1サイトカインの動態を調べるため、実施例1に従って作製した熱傷群及び対照群のマウスの肺及び肝臓におけるIL-18及びIL-12の含有量を測定した。
熱傷処理の24時間後、腹腔内にペントバルビタールを投与してマウスを麻酔し、肺及び肝臓を切除した。取り出した肺及び肝臓に対し、それらの10又は50倍重量のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を加えてホモゲナイズし、遠心分離した後、上清を回収した。IL-18及びIL-12に対し、ELISAキット(BDバイオサイエンス社)を用いたサンドイッチELISA法によって、肺及び肝臓の上清に含まれる各サイトカイン濃度を決定した。その結果を図1に示す。なお、サイトカイン濃度は、分散分析(ANOVA)後、Scheffeの比較テストを用いることにより、比較した(有意差はp<0.05で判定した。以下のサイトカイン濃度の比較も同様。)。
肺におけるTh-1サイトカインの濃度は、肝臓における濃度より、はるかに低かった。熱傷群のマウスの肝臓においては、IL-18の含有量は特に7日目において著しく低下し、IL-12の濃度は11日目まで一様に低下していた。このように、重傷の熱傷の後は、肝臓において、Th-1サイトカインの濃度が低下することが明らかになった。
<実施例3> ヒトにおける熱傷後のIL-18濃度測定
ヒトにおけるIL-18濃度の熱傷後の変化を観察するため、重症の熱傷を負ったヒトの血漿中のIL-18濃度を熱傷後いくつかの時点で測定し、熱傷後1日目、2−3日目、6−8日目、9−11日目の分割群に分類した。測定は、実施例2と同様にELISAキット(BDバイオサイエンス社)を用いて行った。なお、各分割群で測定した複数のIL-18濃度の測定値から分割群毎の平均値を算出した。各分割群におけるIL-18濃度は、この平均値を用い、分散分析後、FisherのPLSD法を用いて統計処理を行った(有意差はp<0.05で判定した)。
図2に示すように、熱傷後、2−3日目にIL-18濃度が有意に減少し、6−8日目にはその減少のピークに達する。このIL-18濃度の動態は、実施例2の熱傷群マウスの肝臓におけるIL-18含有量の変化と同一である。このようして、ヒトにおいても熱傷後はIL-18濃度が減少することを確認した。
<実施例4>エンドトキシン処理後の生存率に対するIL-18投与の効果
実施例2及び3の結果より、熱傷後のTh-1サイトカインの濃度の低下が、重傷の熱傷を起因とする敗血症や急性肺傷害などの炎症性疾患に重要な関わりがある可能性が考えられた。そこで、熱傷後のマウスにエンドトキシン(LPS)を投与することにより急性の炎症を生じさせた炎症モデルマウスを用い、LPS投与による生存率を指標として、少量のIL-18の投与の効果を調べた。
実施例1に従って作製した熱傷群のマウスを、IL-18投与群と非投与群に分け、IL-18投与群のマウスには、熱傷後10日間、1日おきに組み換えIL-18(MBL社)0.2μgを投与し、非投与群には、なにも投与しなかった。熱傷処理の11日目(Day12)に、3つのグループの全てのマウスに対し、LPS3mg/kg体重(Escherichia coli0111:B4 endotoxin; Sigma社)を含有した生理食塩水10ml/kg体重を静脈投与し、炎症を誘導した。その後、72時間まで、12時間おきに各グループの生存個体を調べた。図3はその結果を示したグラフである。なお、グループ間の生存率は、Wilcoxon-Gehan検定によって比較した(有意差はp<0.05で判定した)。
熱傷72時間後に、対照群の生存率は100%で、非投与群は42.9%であるのに対し、IL-18投与群では91.7%であった。このように、非投与群の生存率は、対照群に比べてかなり低下しているが、IL-18の投与はその生存率を著しく改善することが明らかになった。
このことから、IL-18は抗炎症作用を有することが示され、敗血症を含む全身性炎症反応症候群などの炎症性疾患を予防、改善又は治療する医薬組成物として有用であると考えられる。
<実施例5> 肺水腫に対するIL-18投与の効果
実施例4の炎症モデルマウスにおいて、肺を切除し、上肺葉を4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、パラフィン切片を作製して、ヘマトキシリン−エオシンで染色し、病理検査を行った。図4に示すように、対照群(図4A)に比べ、非投与群(図4B)においては、重度の肺水腫(severe pulmonary edema)が誘導され、好中球が増加していた。これは、急性肺傷害と同様の病態であり、そのモデルとなりうる。一方、IL-18投与群(図4C)では、これら肺水腫や好中球の増加といった症状の改善が観察された。
このことから、IL-18の投与はSIRSに続発する急性肺傷害や多臓器不全などの疾患を予防、改善又は治療するのに有用であると考えられる。
<実施例6> 活性化脾臓細胞によるサイトカインの分泌
本実施例では、実施例4の炎症モデルマウスから脾臓細胞を単離し、培養条件下において抗CD3抗体又はLPSを投与することで、脾臓細胞を活性化し、分泌されるサイトカインの量を測定した。脾臓細胞を抗CD3抗体で刺激すると、T細胞を通じて免疫反応が活性化され、脾臓細胞をLPSで刺激すると、主にマクロファージが活性化され、炎症性サイトカインが分泌される。
まず、取り出した脾臓を細分化して5%胎児牛血清(FCS)を含有したRPMI 1640に入れ、ナイロンメッシュでろ過した。混入した赤血球を溶血させるため、0.84%赤血球除去用塩化アンモニウム溶液で処理した。遠心分離した後、脾臓細胞をRPMI 1640/5%FCSに再懸濁させ、1μg/mLの抗CD3抗体(MAb clone I45-2C11、BDバイオサイエンス社)又は10μg/mLのLPSを添加して、5%CO、37℃で、24時間又は48時間培養した。培養上清に対し、ELISAキット(BDバイオサイエンス社)を用いて、炎症性サイトカインであるTNFα及びMIP-2、Th-1サイトカインであるIFNγ、Th-2サイトカインであるIL-4及びIL-10の各濃度を測定した。
抗CD3抗体で脾臓細胞を刺激した場合(図5)、対照群に比べ、非投与群では、炎症性サイトカイン、Th-1サイトカイン、Th-2サイトカインの分泌量は全て低下した。IL-18投与群においても、それらサイトカイン分泌量は低下している。以上より、IL-18はT細胞の活性化によるサイトカインの分泌の低下に関与できないことがわかる。
一方、LPSで脾臓細胞を刺激した場合(図6)、非投与群では炎症性サイトカインの分泌量は増加する一方、Th-1サイトカインの分泌量は著しく低下し、Th-2サイトカインであるIL-10の分泌量は増加した(IL-4はいずれにおいても検出できず)。IL-18投与群では、非投与群に比べ、炎症性サイトカインの一つMIP-2が減少し、Th-2サイトカインであるIL-10は非投与群よりさらに増加した。このことは、IL-18が、サイトカインのレベルで抗炎症作用を有していることを示す。また、IFNγの分泌量は増加しないことから、個体に対するIL-18投与の効果は、IFNγに非依存的であり、従来知られていた病原体の感染に対するIL-18増強の際のIL-18の効果とはメカニズムが異なると考えられる。
<実施例7> エンドトキシン処理後のサイトカインの分泌
実施例4の結果により、IL-18の投与が炎症モデルマウスの生存率を著しく改善することが明らかになった。そこで、IL-18が炎症モデルマウスにおけるサイトカインの分泌量とどのような関係にあるか調べるために以下の実験を行った。
本実施例では、実施例4においてLPSを投与してから12時間経った炎症モデルマウスの肺を単離し、その10又は50倍重量のPBS(リン酸緩衝生理食塩水)を加えてホモゲナイズし、遠心分離した後、上清を回収した。TNFα、IFNγ、IL-4、IL-10、IL-12、IL-18、MIP-2に対し、ELISAキット(BDバイオサイエンス社または和光純薬工業株式会社)を用いたサンドイッチELISA法によって、肺の上清に含まれる各サイトカイン濃度を決定した。その結果を図7に示す。なお、サイトカイン濃度は、分散分析(ANOVA)後、Scheffeの比較テストを用いることにより、比較した(有意差はp<0.05で判定した。)。
図7に示すように、非投与群における炎症性サイトカイン、Th-1サイトカイン、Th-2サイトカインの全ての分泌量は、対照群に比べ、著しく増加した。これに対して、IL-18投与群は、炎症性サイトカイン(TNFαおよびMIP-2)の分泌量を有意に低下させた。従ってこのことは、IL-18がサイトカインのレベルで抗炎症作用を有していることを示す。
本発明は、IL-18を含有し、SIRS等の炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物を提供する。

Claims (11)

  1. 炎症性疾患を予防、改善又は治療するための医薬組成物であって、インターロイキン18(Interleukin-18又はIL-18)を含有することを特徴とする医薬組成物。
  2. 前記炎症性疾患がSIRS(systemic inflammatory response syndrome: 全身性炎症反応症候群)であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記炎症性疾患がsepsis syndromeであることを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記炎症性疾患が敗血症であることを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 前記炎症性疾患がSIRSに続発する急性肺傷害又は多臓器不全であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  6. インターフェロンγ(Interferon-γ又はIFN-γ)に非依存的に作用することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記炎症性疾患は、血漿中又は肝臓におけるインターロイキン18濃度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記炎症性疾患において低下した血漿中又は肝臓におけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させないことを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 炎症性疾患に羅患したヒト以外の脊椎動物個体を治療するための治療方法であって、
    前記脊椎動物個体に対し、インターロイキン18を含有する医薬組成物を投与することを特徴とする治療方法。
  10. 前記炎症性疾患は、血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を低下させることを特徴とする請求項9に記載の治療方法。
  11. 前記炎症性疾患において低下した血漿中又は肝臓のいずれかにおけるインターロイキン18濃度を、正常値以上に上昇させない量の前記インターロイキン18を含有する医薬組成物を投与することを特徴とする請求項10に記載の治療方法。
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