JPWO2005082303A1 - 埋め込み式人工耳管 - Google Patents

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Abstract

本発明は、耳管機能不全症の治療に有効で且つ鼓膜の穿孔閉鎖を可能にしてより生理的な状態に近い鼓室内環境を回復させる治療用埋め込み器具である、人工耳管を提供する。本発明の人工耳管は、先端部が耳管峡部を通り抜けて軟骨部耳管内に配置され、後端部が鼓室内又は骨部耳管内に配置されるものである管状体を含んでなる、ヒトの耳管内に埋め込まれるための人工耳管であって、管状体の先端と後端とが管腔によって連通しており、先端領域において該管腔が第1の開口を介して管外に開いており、後端領域において管腔が第2の開口を介して管外に開いており、管状体が、(a)後端部において、上限8mm以下の外径拡大部を少なくとも部分的に有し及び/又は管状体の外周面から立ち上がった突起を備え、及び/又は(b)先端から2mm以上離れた領域であって且つ第1の開口から12mm以内の範囲に耳管峡部に契合するための括れ部を備えていることを特徴とする。

Description

本発明は、鼓膜を通してヒトの耳管内に埋め込むための人工耳管に関する。
耳は、外耳、中耳及び内耳で構成される。外耳と中耳とは、外耳道の内端に位置する鼓膜によって仕切られている。中耳は、鼓膜と前庭窓(内耳の前庭に通じる)とを連絡する耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨及びアブミ骨)を収容した空間である鼓室(中耳腔)と、鼓室から延びて咽頭に開口する耳管とからなる。耳管は、鼓室前庭に始まり(鼓室耳管口)、上後外側から下前内側に向かって斜めに延びて咽頭側壁において開口(耳管咽頭口)する。耳管は全長約33mmで、上側約1/3は側頭骨の中を通っており、下側約2/3は軟骨で包まれている。骨部耳管は、狭まった鼓室耳管口を通って一旦やや広がった後次第に細くなり、軟骨部の入口部位で最も細くなり(耳管峡部)、この位置で通常は閉じている。耳管峡部より下方では耳管は次第に太くなってラッパ状に耳管咽頭口に開いている。耳管の機能の1つとして換気機能が挙げられる。これは、あくびや嚥下の際に口蓋帆張筋の収縮により軟骨部の下壁が下方に引かれて耳管峡部の内腔が一時的に開き、咽頭から鼓室へと空気が流入するという能動的なものと、外界の圧変化に伴って受動的に換気が行われる受動的なものとに分けられる。健常な耳では、耳管の換気機能、特に能動的な換気機能のため、鼓室内圧は外気圧と等しく保たれている。また耳管は、中耳の分泌物を咽頭へと排泄する機能をも有する。これらの機能が障害されている状態、すなわち耳管機能不全症としては、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症が挙げられる。
耳管狭窄症は、嚥下や欠伸等で起こる筈の耳管の開大が、何らかの原因で障害され、耳管を介する中耳の換気が障害された状態である。その原因としては、上咽頭の炎症等による耳管の器質的な狭窄と、口蓋裂のように耳管開大筋(口蓋帆張筋)の機能不全による機能的狭窄とがある。耳管狭窄により中耳の換気が妨げられると、鼓室中の酸素は周囲粘膜から吸収され、鼓室内が陰圧となり鼓膜は内陥する。その結果、耳閉感、難聴、自声強聴等の症状をきたす。また耳管狭窄が持続すると、滲出性中耳炎に移行することがある。これは鼓室内の陰圧状態が持続する結果、中耳腔に滲出液が漏出する疾患であり、鼓室に滲出液が充満し伝音性難聴や耳閉塞感を生じるほか、反復性の急性中耳炎にも罹患し易くなる。このほか、鼓室が慢性的且つ不可逆的な陰圧状態に置かれると、鼓膜が中耳壁に癒着する極めて難治性の疾患である癒着性中耳炎、あるいは、本来上皮ではない中耳腔で鼓膜の角化扁平上皮が増殖しその過程で周囲の骨を破壊していく疾患である真珠腫性中耳炎の原因ともなる。
耳管狭窄症の治療には、耳管咽頭口にカテーテルを挿入して通気させる、いわゆる耳管通気療法が頻用されている。また、その他の処置治療として、咽頭側あるいは鼓室側からステロイドホルモンを耳管内に注入する方法や、耳管咽頭口周囲にステロイドホルモンを粘膜下に注射する方法があるが、効果が客観的に確立されたものとはなっていない。投薬による保存的治療では、消炎酵素製剤や抗アレルギー作用を有する薬剤の全身投与や、ステロイド剤の点鼻が行われているが、長期間の投薬を要するほか、中等度以上の症例では効果が十分得られない場合が多いという問題がある。薬物療法で効果が得られない症例に対しては、鼓室の換気を確保するため鼓膜チューブ留置術も行われている。鼓膜チューブとは、鼓膜に設けた穿孔に嵌められるチューブであり、種々のサイズや形状のものが市販されている。約3mm程度の長さを有する、中央の括れたチューブが一般に用いられているものの一つである。しかし鼓膜チューブによっては、鼓室の換気は得られるが、耳管狭窄そのものはこれでは充分に改善されず、耳管を通した換気や排泄機能は必ずしも回復しない。また鼓膜チューブは、鼓膜の穿孔の修復に伴い通常数ヶ月〜1年で自然に脱落してしまうため、耳管狭窄が改善されていない場合には、換気を確保するために再度の鼓膜チューブ留置も必要となる。薬剤による治療に抵抗する症例に対し、最近では、レーザ(炭酸ガスレーザ、KTPレーザ)によって、耳管咽頭口側から耳管内粘膜を焼灼するという治療方法が開発されている。しかしながら、耳管峡部に近い奥の部分を焼灼した場合の周囲組織への影響については不明な点も多く、耳管焼灼術を施すには、十分な解剖学的知識と高度な外科的技術をマスターすることが必須であり、広く手軽に行われるには至っていない。
また耳管開放症は、耳管が常に開放した状態にあるものをいい、患者の自覚症状としては、自分の声が耳管を介して中耳に到達することによる自声強聴、自分の呼吸音が聞こえること、耳閉感等があり、めまいを訴える例もみられる。患者の鼓膜は正常であるが、呼吸に伴って前後するのが観察される。耳管開放症の原因として、加齢や神経疾患による鼻粘膜の萎縮、体重減少による耳管周囲粘膜の萎縮、アデノイド手術後の瘢痕化などが挙げられるが、多くは原因不明である。
耳管開放症の薬物療法としては、硼酸とサリチル酸の混合粉末を耳管カテーテルで耳管内に噴霧するものであるベゾルト法(Bezold)、ゼラチンスポンジ溶液の耳管内腔への注入等が挙げられ、外科的療法としては、液状シリコーンの注射、耳粘膜焼灼、口蓋帆張筋移動、耳管周囲への軟骨片あるいは脂肪組織の埋め込みやコラーゲン注入等が挙げられるが、薬物療法は、長期間の継続的治療を必要とし、外科療法は効果が不十分であるという問題があった。なお、耳管開放症、耳管閉鎖不全症の治療のための器具として、中耳管内腔へと、鼓膜から5〜15mm程度奥まで留置される、テーパを有する扁平形状の耳管ピンが提案されている(特許文献1を参照)が、これは耳管の断面を塞ぐように働くものであり、耳管狭窄症には適用できない。
また、いわゆるフロッピーチューブが耳管機能の面から最近注目されている。フロッピーチューブとは、閉塞し易いと共に開放状態にもなり易い耳管であり、あくびや嚥下をきっかけに耳管開放状態となり、自声強聴や耳閉感を生ずる。これらの不快症状を解消するために患者は無意識に鼻すすり(これにより鼓室が陰圧になり耳管が閉鎖される)をすることが多くなるが、これが習慣化して鼓室が慢性的且つ不可逆的な陰圧状態に置かれると耳管狭窄症との関連で前述したように、滲出性中耳炎、癒着性中耳炎及び真珠腫性中耳炎の原因ともなる。
以上のように耳管機能の異常が中耳の種々の疾患の原因となるが、耳管狭窄症、耳管開放症あるいは閉塞と開放の両方を起こすフロッピーチューブを効果的に且つ簡便に治療でき、また、癒着性中耳炎の治療、滲出性中耳炎手術後の鼓膜の癒着防止や真珠種の再発防止等のために用いることのできる確かな治療方法が求められている。
この目的のため、本発明者は先に、通気用の開口を管壁に有する所定形態のチューブを、鼓膜を通して鼓室側から耳管峡部に挿入して先端を軟骨部耳管内に位置させる一方、管壁の開口を鼓室内に位置させ、チューブの後端を、鼓膜に取り付けた鼓膜チューブに通して固定することで、耳管狭窄症(耳管閉塞症)に対しては鼻腔と鼓室とを連絡して、耳管を介した換気機能及び排泄機能を生理的に近い状態に回復でき、また耳管開放症や耳管閉鎖不全症に対しても、過度に広がった耳管峡部断面の少なくとも一部を塞ぎチューブ内腔を通して鼻腔と鼓室との間の適度な連絡が確保できることを見出した。そしてそのようなチューブが耳管機能不全症の治療に極めて効果的であり、「人工耳管」となり得ることに着目し、これに基づき、所定形態のチューブよりなる人工耳管を開発し、これにつき特許出願を行った(特許文献2を参照)。
特開2002−224157 特願2003−375097
しかしながら上記人工耳管は、治療効果は極めて優れているものの、鼓膜に嵌めた鼓膜チューブに後端を固定することによって位置ずれを防止するように設計されており、このため、鼓膜に穿孔を残すことを前提としたものである。かかる背景において、本発明は、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症及びフロッピーチューブを含む耳管機能不全症の治療に有効であり、且つ、鼓膜の穿孔閉鎖を可能にし、より一層生理的な状態に近い鼓室内環境を回復しつつ同じ治療効果をもたらすことのできる治療用埋め込み器具及び治療方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、次のものを提供する。
(1)先端部が耳管峡部を通り抜けて軟骨部耳管内に配置され、後端部が鼓室内又は骨部耳管内に配置されるものである管状体を含んでなる、ヒトの耳管内に埋め込まれるための人工耳管であって、
該管状体の先端と後端とが、管腔によって連通しており、
先端領域において該管腔が第1の開口を介して管外に開いており、
後端領域において該管腔が第2の開口を介して管外に開いており、そして
該管状体が、
(a) 該後端部において、上限8mm以下の外径拡大部を少なくとも部分的に有し及び/又は該管状体の外周面から立ち上がった突起を備えており、及び/又は
(b) 先端から2mm以上離れた領域であって且つ第1の開口から12mm以内の範囲に、耳管峡部に契合するための括れ部を備えている
ことを特徴とする、埋め込み式人工耳管。
(2)該突起が該管状体の少なくとも2箇所から立ち上がっている少なくとも2個の突起を含んでなることを特徴とするものである、上記(1)の埋め込み式人工耳管。
(3)該突起の先端が該管状体の中心軸より1.5〜5mmの距離に達するものであることを特徴とする、上記(1)又は(2)の埋め込み式人工耳管。
(4)該管腔が、0.20mm以上の径を有し、かつ、少なくとも1部において0.8mmを超えない領域を有するものである、上記(1)ないし(3)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(5)該先端部の外径が0.35〜3.0mmの範囲にあることを特徴とする、上記(1)ないし(4)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(6)該先端部の外径が0.35〜1.7mmである、上記(1)ないし(5)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(7)該突起が該管状体の後端方向に傾斜しているものである、上記(1)ないし(6)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(8)該突起が1〜6mmの長さを有するものである、上記(1)ないし(7)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(9)該管状体が、その第1の開口から2〜15mmの範囲内に、該管腔と連通して管外に開いた第3の開口を有するものである、上記(1)ないし(8)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(10)該先端部が、該管状体の該後端部に比して細い外径を有しているものである、上記(1)ないし(9)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(11)全長が15〜45mmである、上記(1)ないし(10)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(12)該管状体が、その後端から2〜12mmの範囲内に、該管腔と連通して管外に開いた第4の開口を有することを特徴とする、上記(1)ないし(11)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(13)上記特徴(b)を有する上記(1)ないし(12)の人工耳管であって、該管状体の長手方向に沿って該括れ部の長さが0.5〜5mmである、人工耳管。
(14)上記特徴(b)を有する上記(1)ないし(13)の人工耳管であって、該括れ部が、該管状体の該括れ部に隣接する部位の外径に対して3:11〜9:11の範囲の外径を有するものである、人工耳管。
(15)上記特徴(b)を有する上記(1)ないし(14)の人工耳管であって、該括れ部の先端側に隣接して該管状体の外周面から立ち上がった突起を備えているものである、人工耳管。
(16)可撓性材料より形成されているものである、上記(1)ないし(15)の何れかの埋め込み式人工耳管。
(17)耳管機能不全症を有するヒト患者の耳管に、上記(1)ないし(16)の何れかの埋め込み式人工耳管を、経鼓膜的に挿入して該人工耳管の先端が耳管峡部を通り抜けて軟骨部耳管内に、後端が鼓室内又は骨部耳管内に収まるように配置し、当該位置に固定することによる、ヒトの耳管機能不全症の治療方法。
上記の各構成になる本発明の埋め込み式人工耳管は、第1の開口、第2の開口及びそれらの間をつなぐ管腔を介して、患者の軟骨部耳管と鼓室とを連通させ、それにより、耳管狭窄症(耳管閉塞症)の患者においては鼻腔と鼓室との間の通気を確保する。また、耳管開放症や耳管閉鎖不全症の患者においては、鼻腔と鼓室との間の過剰な通気状態を矯正して、耳管内に嵌めこまれた埋め込み式人工耳管の管腔を介した適度な通気状態をもたらす。更にはフロッピーチューブを持つ患者に対しても、耳管の開放状態や閉塞状態を取り除き、適切な通気状態を回復させる。また、本発明の埋め込み式人工耳管は、その管腔を介して、また、埋め込みにより人工耳管とその周囲の耳管峡部粘膜との間にできる隙間を通じて、鼓室内の滲出液の鼻腔への排泄をも回復し又は確保する。従って、本発明の埋め込み式人工耳管は、これら耳管機能不全症に因る種々の中耳疾患を根本治療するのに有効である。しかも、本発明の埋め込み式人工耳管は、耳管内への挿入後、鼓室内壁又は骨部耳管の内壁との(後端部に突起及び/又は外径拡大部を有する場合)、又は、耳管峡部との(括れ部を備える場合)、物理的相互作用によって定位置に固定されるため、後端を鼓膜に固定する必要がない。また後に除去する必要がなく、埋め込んだままにしておくことができる。従って、本発明の埋め込み式人工耳管を用いれば、手術時に作成した鼓膜穿孔が手術後修復して閉じるに任せることができる。穿孔が閉じた後は、外耳側からの中耳の感染や異物混入のおそれがなくなり、外気から遮断された鼓室に生理的雰囲気が回復して、より生理的な鼓膜の状況での生活が可能となり、生活上の制限も全くなくなるという、対象疾病の治療と治療後の患者の生活の質との両面において、優れた効果が得られる。
実施例1の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例2の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例3の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例4の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例5の埋め込み式人工耳管の側面図。 突起の形状及び配置の具体例を示す斜視図。 突起の形状及び配置の具体例を示す斜視図。 突起の形状及び配置の具体例を示す斜視図。 突起の配置例を示す後端面図。 突起の配置例を示す後端面図。 突起の配置例を示す後端面図。 実施例6の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例7の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例8の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例9の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例9の埋め込み式人工耳管の部分拡大図。 実施例10の埋め込み式人工耳管の部分拡大図。 実施例11の埋め込み式人工耳管の側面図。 実施例11の埋め込み式人工耳管の先端部及び括れ部付近の斜視図。 加圧減圧法による耳管機能検査の原理を示す概念図 音響耳管機能検査法の原理を示す概念図
符号の説明
1=人工耳管、2=管腔、3=先端、4=後端、5=管状体、6、6a、6b、6c、6d=突起、7=開口(第4の開口)、8=狭窄部、10a、10b=開口、11=人工耳管、13=先端、14=後端、15=管状体、16=突起、17=開口(第4の開口)、18=狭窄部、19=開口(第3の開口)、21=人工耳管、23=先端、24=後端、25=管状体、26=突起、27=開口、28=狭窄部、29=開口、31=人工耳管、33=先端、34=後端、35=管状体、36=突起、37=開口、38=狭窄部、39=開口、41=人工耳管、43=先端、44=後端、45=管状部、46=突起、47=開口、48=狭窄部、49=開口、51=人工耳管、53=先端、54=後端、55f=先端側の管、55s=軸部をなす管、56=突起、57=開口、58=狭窄部、59=開口、61=人工耳管、63=先端、64=後端、65f=先端側の管、65m=中間の管、65s=後端側の管、66=突起、67=開口、68=狭窄部、69=開口、71=人工耳管、73=先端、74=後端、75f=先端側の管、75m=中間の管、75s=後端側の管、76=突起、77=開口、78=狭窄部、79=開口、80=開口(第1の開口)、81=人工耳管、83=先端、84=後端、85f=先端側の管、85m=中間の管、85s=後端側の管、86a、86b=突起、87=開口、88=狭窄部、89=開口、90=短管、94=後端、95s=後端側の管、96a、96b=突起、100=短管、101=スリット、141=圧トランスデューサ、142=アンプ、143=レコーダ、151=音響検査機能分析装置、111=人工耳管、113=先端、114=後端、115=管状体、116=突起、118=狭窄部、119=開口、120=括れ部、121=開口(第1の開口)
本発明の人工耳管の第2の開口は、患者の鼓室と軟骨部耳管との連通を人工耳管の管腔を介して達成して、鼓室と鼻腔との間の通気を確保することを一目的とする。従って、患者への人工耳管の挿入は、人工耳管の先端部が耳管峡部を通って軟骨部耳管内に臨み先端領域にある第1の開口が軟骨部耳管内に開くよう、且つ、後端領域にある第2の開口が鼓室内又は骨部耳管内に位置するように行われる。またこの目的に適うよう、本発明の人工耳管のうち患者の耳管の長さや太さに応じて適切な寸法を有するものが、医師の選択に従って用いられる。
本発明において、先端領域にある第1の開口と後端領域にある第2の開口は、例えば、共に、管状体の管腔が先端及び後端でそれぞれそのまま軸方向に開いているものであってもよいが、これに限定されない。例えば、これとは異なり、先端で管腔は軸方向に閉じ(盲端)、開口が先端領域の側方に設けられたものであってもよい。例えば、管状体の先端がそのような形態である場合は、内腔に通したガイドワイヤーを用いて人工耳管を耳管内に挿入する際に、たとえガイドワイヤーが先端部の内径より細い場合でも、人工耳管の先端の内側に当たって止まり、前方へ抜け出るおそれがなく、人工耳管挿入後のガイドワイヤーのみの抜去がより容易になり、手術の簡便化に寄与する。なお、本発明において、管状体について「先端領域」というときは、先端及びその付近をいい、「付近」とは先端から通常2mm又は3mm以内の範囲をいう。また本発明において「後端領域」というときは、後端、及び、鼓室内に配置される領域をいう。また「先端部」とは、先端領域に対応する人工耳管の部分をいい、「後端部」とは、鼓室内又は更に骨部耳管内に配置される、人工耳管の後端及び後端付近の部分をいう。
本発明において、鼓室内又は骨部耳管内に配置される後端が外径拡大部を有する場合、当該部分の最大径は、例えば、3mm、3.5mm、4mm、5mm、6mm、8mm等としておくことができる。そのような外径拡大部の形状は、柱状のものでもよく、また、長手方向に沿って外径が曲線的に増減する輪郭を有するものであってもよい。一部に陥凹部や溝等の外径縮小部分を含んでいるものも、全体として外径が拡大している限り、そのような外径拡大部分に包含される。また、長手方向に沿って外径が曲線的に増減する輪郭を有するものの一例として、後端部の中間の外周面が球や回転楕円体の表面のように膨らんだ形状を有するものが挙げられる。
また、後端部の外周面の2箇所以上から立ち上がった複数の突起は、例えば2〜6個、より好ましくは3〜4個設ければ充分である。但し、これ以上の個数を設けることもできる。これらの突起は、管状体の中心軸からなるべく多くの方向を向くように、人工耳管の当該部分の外周に対して、(例えば均等に)分散して配置することができる。また、配置位置を、人工耳管の長手方向にも分散させることができる。例えば、長手方向の第1の位置(例えば管状体の後端から8mmの位置)において外周に沿って第1群の2〜3個の突起を分散して配置し、第2の位置(例えば管状体の後端から4mmの位置)において外周に沿って第2群の2〜3個の突起を同様に分散して配置することができる。
本発明の埋め込み式人工耳管において、鼓室内又は骨部耳管内の耳管鼓室口付近に配置されることとなる後端部に外径の特に拡大した部分を設ける場合には、当該部分は通常、後端から10mmまでの領域内とするのが好ましく、後端から8mmまで、又は5mmまで等とするのが好ましい。また複数の突起を設ける場合も、これらの範囲内に収まるように設けるのが更に好ましい。
短い突起でも骨パテの適用時には固定に役立つから、後端部に設けられる突起の長さは、必ずしも限定されないが、通常1〜6mm、より好ましくは2〜4mmとしておくのが、汎用性があって便利であり、且つそれのみで固定機能を発揮できる点で有利でもある。突起の形状は、特に限定されず、例えば棒状のものでも板状のものでもよく、また均一な幅のものでも先細りのものでもよい。突起の幅は、突起を管状体の外周面に配置するのに不都合がない幅とすればよい。例えば、根元部分において約1mm、例えば0.8〜1.2mmとすることができる。板状の突起の場合は、厚みが例えば0.1〜0.2mm等とすることができるがこれに限定されない。
本発明の埋め込み式人工耳管は、先端領域にある第1の開口から1〜12mmの部分が耳管峡部を越えて軟骨部耳管内に、残りの部分が骨部耳管内又は骨部耳管から鼓室内にわたって配置されるように、その具体的形状及び寸法を定めてよい。
管状体の後端部の突起は、適宜の方法で管状体の外周に設けることができる。例えば、管状体と突起とを合成樹脂等の成形材料で一体成形してもよく、あるいは、それぞれ別個に作製した管状体と突起とを熱融着や接着により一体化させてもよく、更には、管状体の後端部の壁に目的とする突起の形状をした切込みを入れて、その部分を管状体の外方へと引き上げて突出させてもよい。この最後の場合には、突起を外方へ突出させた後には同じ形の開口が生ずるが、そのことは本発明の埋め込み式人工耳管にとって不都合とはならない。
また、代わりとして、上記のような方法で複数の突起を配置した短い管状物を、管状体本体の後端部の外周に被せ、両者を熱融着又は接着により一体化させることによって、外径拡大部に複数の突起が配置された形態を達成してもよい。更にこの場合、外側の管状物の内径が内側の管状体本体の外径より小さい場合(例えば両者が同じ寸法の管に基づくものである場合)には、外側に被せる管状物の壁に軸方向のスリットを入れて管を開き得るようにし、これを内側の管状体本体の外周に被せるようにしてもよい。そうすることにより、外側の管状物は、内側の管状体本体を嵌め込むのに必要なだけスリットが広がるため、内側の管状体の外周に外側の管状物の内周が密着した形で嵌めることができる。その後に、両者の接触面を熱融着又は接着等することによって、一体化させることができる。
本発明の埋め込み式人工耳管の鼓室内又は骨部耳管内に配置される部分である後端部に、上記のような外径拡大部を設け及び/又は外周から立ち上がった突起を設けることは、いずれも、ヒトの耳管に挿入された本発明の埋め込み式人工耳管が、その所定の挿入位置から(鼻腔方向へ又は鼓膜方向へと)ずれることを防止するのに役立つ。
すなわち、後端部の外周に設けられた複数の突起は、狭い鼓室又は骨部耳管においてそれらの内壁に先端の1つ又は2つ以上を当接させ、人工耳管の位置ずれに対する抵抗力を与えることによって、人工耳管を所定位置に固定するように働く。また後端部にある外径拡大部は、人工耳管が鼻腔側へと落ち込むのを阻止する。また、外径拡大部及び/又は突起を設けた部分の何れも、後端部が鼓室内に配置される場合にそれらの表面と鼓室内壁との間の隙間に少量の骨パテを適用することにより、人工耳管がその所定位置から前後何れの方向にもずれないように、固定するのに利用することができる。また、外径拡大部に突起が設けられていれば、突起と鼓室内壁との物理的相互作用が高まり人工耳管のずれが一層効果的に防止されるのみならず、骨パテを適用による固定も一層確実となる。
後端部の突起は、後端方向へと全体として傾斜した形で設けられていることが、必須ではないものの、好ましい。これは、突起がそのように傾斜していれば、人工耳管が外耳方向へ後退しようとしても、鼓室内壁又は骨部耳管内壁に先端を当接させた突起が押されて抵抗を生じるため、後退をより効果的に阻止できるからである。傾斜角度(突起の根元と先端とを結ぶ直線が人工耳管の中心軸に対してなす角度)は、通常30〜70°の範囲とするのが好ましく、40〜50°の範囲とするのがより好ましい。突起の傾斜角度は、突起を形成している材料が可撓性であれば使用時に術者が手で最も適切な角度へと向けることができるから、本発明は、そのような、使用状態で後端方向に傾斜させた形となる突起を有すものも包含する。
上記の突起は、その先端が、該中心軸から1.5〜5mmの範囲に達するものであることが好ましい。そのような長さとすることで、管状体の様々な外径の後端部についても、鼓室内壁又は骨部耳管内壁に突起を当接させて埋め込み式人工耳管の位置ずれを防止することができる。
本発明の埋め込み式人工耳管の管腔は、その径が少なくとも0.20mm以上であることが好ましい。これは、管腔の径が余り狭いと、その中の空気(及び場合により浸出液)の流れに抵抗を生じ得るが、0.20mm以上であれば実質的にその懸念が少ないためである。逆に、人工耳管の管腔が全長に亘って余りに太いと、自声が鼓室内に空気伝導するおそれが生じる。これを防止するためには、人工耳管の第1の開口から第2の開口(後述の第4の開口が設けられている場合には、第4の開口)までの流路の少なくとも何れかの位置において、部分的に流路の径を狭めておけばよい。この場合その狭窄部の径の下限は0.20mmでよいが、上限は好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。そうすることにより、流路の残り部分の径が大きい場合でも、流路に設けたこの狭窄部が耳管峡部として機能し、自声が鼓室へ空気伝導されるのが防止される。
患者の耳管の太さは、患者の体格(例えば大人と子供)によっても、また耳管機能不全症の種類間でも変動する。例えば、耳管狭窄症(耳管閉塞症)においては、先端部外径がせいぜい0.35mm程度の細い人工耳管しか無理なく挿入できないほど耳管峡部が狭い場合がある一方、これより太めのもの、例えば0.5mm、0.8mm、1.0mm等の先端部外径を有する人工耳管の挿入ができる場合もある。また、耳管閉鎖不全症や耳管開放症では、患者によっては耳管峡部が広がって3mm程度の先端部外径を有する人工耳管でも無理なく挿入できる場合がある。耳管峡部の内腔の広さ(押し広げた場合の)は、問題領域のCT画像からほぼ正しく推定できることから、先端部の外径が0.35〜3.0mmの種々の寸法の人工耳管から、患者に適した太さのもの、例えば、0.35mm、0.5mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm等のものを適宜選択すればよい。先端部の外径を他の部分より相対的に小さくしておく場合には、例えば、0.35〜1.7mmの範囲とすることができ、そのような径の数種類のものを用意しておけば、耳管狭窄症患者の様々な程度に狭まった耳管峡部に挿入するに適した人工耳管を、選択して用いることができる。先端部に隣接した括れ部を有するタイプの人工耳管の場合、先端部の外径は括れ部の強度を考慮すれば、0.8mm以上とするのがより好ましい。
埋め込みに当たっては、本発明の埋め込み式人工耳管に、通常、その後端側から内腔にガイドワイヤーが通され、これによって支持されつつ耳管内に挿入され、先端部を軟骨部耳管内に挿入した後、ガイドワイヤーのみが抜去されて、人工耳管のみが、その後端部が鼓室内又は骨部耳管内に配置された状態で残される。従って、挿入時は、人工耳管の後端は、管腔がそのまま貫通して開いていることが好ましい。
本発明の埋め込み式人工耳管は、患者の耳管内に先端が耳管峡部を通り抜けて軟骨部耳管内に達するように挿入される。人工耳管の先端領域にある第1の開口が、耳管峡部を、1mm以上、又は2mm以上越えるように挿入されることが好ましい。これは、人工耳管の先端部を安定に留置でき、人工耳管の位置が僅かにずれ(後退し)て先端領域にある第1の開口が耳管峡部により塞がれるおそれを無くすためである。また人工耳管の先端領域にある第1の開口の位置は、耳管峡部から約12mmを超えないことが好ましい。これは、人工耳管の先端を耳管咽頭口に余り接近させない方が鼻腔側からの汚染を防ぎ易いためである。
本発明の埋め込み式人工耳管は、鼓室側から、その先端が耳管峡部を越えた位置に達するまで、但し、先端領域にある第1の開口が耳管峡部から約12mm以内にとどまるように挿入して固定するのに適している。そのように固定したとき、第1の開口が軟骨部耳管内に開くことによって人工耳管の管腔と軟骨部耳管(及び鼻腔)とが連通する一方、人工耳管の後端領域にある第2の開口が鼓室内又は骨部耳管内に位置することとなり、鼓室と鼻腔との間の連通が図られる。この連通は、鼓室と外界との間の気圧差を無くす機能(換気機能)を行うほか、鼓室中に分泌液がある場合にはこれを鼻腔側へと流す機能(排泄機能)をも行うことができる。患者により、特に大人と子供とで耳管の長さは異なるが、個々の患者に対してはCT像等により耳管の長さを把握した上で、且つ耳管峡部からどの深さまで人工耳管を挿入するかに応じて、挿入したとき鼓室内に後端が位置する場合でも、後端が、鼓膜と接触するおそれ無しに収容されることとなるよう、本発明の人工耳管のうち適切な寸法のものを選択して用いればよい。
なお第2の開口の大きさに特に制限はなく、人工耳管を介した鼓室と鼻腔との間の気圧差の解消を妨げない大きさであればよいが、先端領域にある第1の開口より広いものとし、鼓室内滲出液が存在する場合に第2の開口から人工耳管内に流入しこれを伝って流下することを容易にしておくことが、より好ましい。人工耳管中に滲出液が入ったときでも、鼓室と鼻腔との間の気圧変動に応じて浸出液は上下するため、鼓室と鼻腔とに気圧の差は実質的に生じない(すなわち喚起機能は保たれる)。
本発明の埋め込み式人工耳管の断面の形状は特に限定されないが、通常は円形ないし楕円形であるのが好ましい。断面形状は人工耳管の全長にわたって円形である等、全長にわたって同じであってもよいが、そうでなくてもよく、例えば全長の大部分において円形で、一部(例えば先端部)において楕円形であっても、また全長の大部分において楕円形で一部(例えば先端部)において円形であってもよい。楕円形の場合長軸と短軸との比は、最大4までが許容される。耳管峡部の断面は、左右よりも前後方向に伸びた扁平な形状であるため、人工耳管先端部が楕円形の断面を有する場合、耳管峡部内面の全周の大部分にフィットさせ易く、耳管開放症に対して耳管峡部の余分な内腔を効果的に塞ぐ上で有利である。また、例えば耳管狭窄症の場合、概略円形の先端部断面を有する人工耳管を耳管峡部に挿入すると、それによって耳管峡部の扁平な内周を幾らか押し広げることとなるため、人工耳管の先端部外壁と耳管峡部内壁との間に僅かな隙間を形成して、鼓室内の分泌液の排泄流路を確保する上で有利である。本発明の人工耳管のうち、どのような断面形状ものを選択するのが最も望ましいかは、従って、患者の耳管の形態及び機能不全の状態に合わせて担当医師が個々に決定する事項である。
本発明において、埋め込み式人工耳管について「径」とは、人工耳管の横断面の形状が円形の場合は直径を、楕円形の場合は短軸の長さをいう。また、人工耳管が有する各開口についても、これについて「径」というときは、円形の場合は直径を、楕円形、長円形など長細い形状の場合は短い方の径(差し渡し)をいう。
本発明の埋め込み式人工耳管には、滲出液が第2の開口から管腔内に入ったときこれを管腔から排出して鼻腔側へと迅速に排泄するための排液口として働く第3の開口を設けておくことができる。既に述べたとおり、耳管峡部は、元々扁平な断面形状を有するため、この部位に人工耳管を挿入したとき、耳管峡部の断面の全周に完全に密着する人工耳管を押し込むのでない限り、人工耳管を挿入された耳管峡部には人工耳管によって押し広げられた隙間が人工耳管の周囲にでき、この隙間が滲出液の流下のための通路となる。人工耳管に第3の開口が、耳管峡部又はそのすぐ上方に位置すると、人工耳管の管腔内に入った滲出液は第3の開口から自重と表面張力との助けによって管外へ流出し、人工耳管によって押し広げられた耳管峡部にできた隙間を通って軟骨部耳管側へそして鼻腔へと、た易く流下することができる。
第3の開口の設置目的は上記のとおりであるから、その位置は、人工耳管を患者の耳管内に適切に挿入したときに耳管峡部又はそのすぐ上方に来ることとなる位置であることが好ましい。長さの異なる耳管を持った様々な患者に、その患者の病態に適した深さで人工耳管を挿入ししかもそのとき第3の開口が耳管峡部又はそのすぐ上方に来るようにするためには、先端領域にある第1の開口から2〜15mmの範囲内において様々な位置に第3の開口を設けた人工耳管を用意しておくことが好ましい。そうすることにより、例えば、第1の開口が耳管峡部を2mm越える場合は、第1の開口から例えば2〜5mmの位置に第3の開口を有するものを選択して使用すればよく、また耳管峡部を12mm超えた深さに第1の開口を配置する場合には、第1の開口から例えば12〜15mmに第3の開口を有する人工耳管を使用できる。先端部に隣接した括れ部を有するタイプの人工耳管の場合には、括れ部又はこれに隣接する部位(例えば後方側)に第3の開口を設ければよい。
本発明の埋め込み式人工耳管は、その管状体に、第2の開口とは別に後端から2〜12mmの範囲内の管壁に、管状体の管腔と連通して管外に開いた第4の開口を有していてもよい。第4の開口は、人工耳管が患者の耳管内に挿入されたとき、鼓室内に位置するよう意図されており、第2の管腔と同様に、換気機能と排泄機能とを行うことができる。特に第2の開口が、人工耳管の後端で単にそのまま軸方向に開いている場合には、これより鼓室の深部にあって管壁に設けられている第4の開口を更に有することは、鼓室内に滲出液が存在する場合にこれをより効果的に排泄する上で有益である。
本発明の埋め込み式人工耳管は、後端部の突起を利用して固定する方式のものについては、一様な太さのものであってもよいが、一般には、全体として先端寄りの部分の方が後端寄りの部分より細いものである方がより好ましい。そのような形態の場合、特に耳管峡部が狭い患者については、相対的に細い先端部を相対的に太い後端部で支持しながら挿入することができるため、挿入の操作に便利な場合がある。また、耳管開放症患者で、径の広がった耳管峡部に挿入してその有効断面積を減少させようとする場合には、その耳管峡部に見合った太さのものを挿入する必要があるから、例えば後端から耳管峡部に挟まれて留まる部位までを十分大きな太さのものとし、それより先端側を細い径のものとしておいてもよい。そのようにした場合、耳管峡部への挿入が容易である。但し、先端部に隣接した括れ部を有するタイプの人工耳管の場合、耳管峡部に見合った太さの外径を有するのは括れ部であり、従って、それより先端側に位置する部分である先端部は、これより幾分太い外径を有する。
本発明の埋め込み式人工耳管には、管状体が全長にわたって同一の外径のもの、管状体の後端部が先端部に比して細い外径を有するもの、及び先端部が後端部に比して細い外径を有するものが包含される。管状体の先端部(又は後端部)が後端部(又は先端部)に比して細い外径を有している場合、先端部と後端部との間で外径を段階的に又は連続的に変化させたものであってよい。
例えば後端部に比し先端部の外径を減少させる場合、そのさせ方は特に限定されず、連続的に外径を狭めても、また単に後端部より細い単一の管状部分を先端部が形成するものであっても、あるいは、複数の管状部分であって順次その外径を減ずるものを連結した形態のものであってもよい。同様に、先端部に比して後端部の外径を減少させる場合も、先端部より細い単一の管状部分を後ろ端部が形成するものであっても、あるいは、複数の管状部分であって順次その外径を減ずるものを連結した形態のものであってもよい。
管状体を、後端から先端へと、順次小さくなる外径を有する管状部分で構成した場合、隣接する管状部分の外径の差は通常0.15mm以上である。また、この場合、外径が変化する肩の部分に、面取り又は丸みをつけておくことが、挿入時の余分な抵抗を無くすために好ましい。なお埋め込み式人工耳管の全長は、患者の耳管の長さと、軟骨部耳管内にどの程度の長さまでこれを挿入するかに応じて適宜決定される事項である。後端部に突起又は外径拡大部を備えているタイプの場合、通常は、乳児の場合から大人の場合までを含め、15〜45mmの範囲内から様々に設定することができる。但し、例えば先端や後端に余分な延長部分を付加しておき、使用に際して(耳管に挿入前、又は挿入した後)、余分な部分を術者が切断するようにしてもよい。そのように構成した場合は、本発明の埋め込み式人工耳管について「先端」及び「後端」というときは、使用に際して切断されるべき余分な長さの部分を除いた後の位置をいう。後端に延長部分が付加される場合、その外径は任意であるが、鼓膜の穿孔を不必要に拡大しなくて済むよう、人工耳管(すなわち延長部分を除去した部分)の外径より細くするか少なくともこれを超えないものとするのが好ましい。
本発明の埋め込み式人工耳管の管腔は、前端部に比して後端部が大きい径を有するものであることが好ましい。そのようにしておくと、鼓室内の滲出液が後端部の管腔内に入ったときにこれを下方へと移行させ排出させ易い。
本発明の人工耳管において、耳管峡部に契合するための括れ部を備えたタイプのものについては、後端部に突起や外径拡大部を設ける必要はなく(尤も、設けてもよいが)、管状体に設けられた括れ部が患者の耳管峡部と契合することによって、所定位置に固定される。括れの程度及び括れ部の長手方向の長さは、患者の体格及び耳管の状態に適合させればよい。通常、括れ部の長さは0.5〜5mm程度とすればよい。括れ部の外径は、管状体のこれに隣接する部分の外径に対して、通常、3:11〜9:11の範囲とするのが好ましい。一般には、括れ部の外径が0.4〜1.1mmのものを種々揃えておけば、大半の患者に用いることができる。但し、外径はこれに限定されず、耳管峡部の内径がこれより大きい患者のためには、より大きな外径の括れ部を有するものを準備する必要がある。
括れ部を備えたタイプの人工耳管の長さは、他のタイプのものと同様でよい。しかし、後部に固定のための突起や外径拡大部を設けなくてもよいから、それらのタイプのものより短くしてもよい。括れ部の中央から後端までの長さは、例えば、6mm〜22mm(2歳未満)、8〜30mm(2歳以上15歳未満)、11〜38mm(15歳以上)等としておけばよい。括れ部は、管状体の先端から2mm以上離れた領域であって、且つ第1の開口から12mm以内の範囲のどこかに設けられていることが好ましく、第1の開口から8mm以内の範囲のどこかに設けられていることが更に好ましい。
括れ部を有するタイプの人工耳管の挿入は、括れ部より太い先端部によって患者の耳管峡部を押し広げることによって行われ、括れ部が耳管峡部に嵌った後は、耳管峡部からの組織圧によって、人工耳管は前後へ抜けないように固定される。
括れ部を有するタイプの人工耳管は、先端部の括れ部に隣接した位置に、管状体の外周面から立ち上がった突起を更に備えていてもよい。そのような突起は、1個又は複数個(例えば2個)設けることができる。それらは通常、括れ部の側(すなわち、管状体の後端方向)に傾斜させておくのが好ましい。突起の長さは、適宜であるが、管状体の外径(特に先端部の外径)の大小に応じて、例えば外径0.8〜1.1mmの場合、通常0.2〜0.8mm程度とするのが好ましい。それらの突起は、人工耳管の固定を更に強固なものとするのに役立つ。また突起は、管状体の管壁に細長い三角形又はアーチ型の切り込みを入れて、その部分の管壁を折り曲げて外方へ起こしたものであってもよく、そのようにして突起を形成したときは、その後に生じた開口は、管腔内の滲出液を鼻腔側へと迅速に排泄するための排液口である前述の第3の開口として働く。
本発明の人工耳管を構成する素材としては、生体適合性の、すなわち生体に有害な異物反応などを惹起するおそれがなく、かつ生体内で分解、劣化等を起こすおそれのない材料を用いることができる。そのような材料としてはチタン等の金属も使用可能であるが、可撓性の材料の方がより好ましい。可撓性の材料としては、従来医療用途で生体内埋込や留置等に用いられることのある材料を、人工耳管の作製に適宜用いることができる。例えば、可撓性の合成樹脂として、塩化ビニル、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン、ポリウレタン系樹脂その他が挙げられるが、それらに限定されない。自家軟骨等の生体材料を用いて作成してもよい。また、体温まで加温されたとき柔らかさを増すように設計された樹脂を用いれば、挿入時には扱い易い適度の硬さを保たせ、挿入後は体温で柔らかくなって患者に異物感を与えるおそれをなくすることができるように設計し易いことから、一層好ましい。
以下、典型的な実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明が当該実施例に限定されることは意図しない。
〔実施例1〕
図1は、実施例1の埋め込み式人工耳管1の側面図を示す。図において人工耳管1は、管腔2が先端3及び後端4においてそれぞれ第1の開口及び第2の開口により管外へと開いた全長28mm(成人用)の一様の外径の管状体5と、管状体5の後端側に設けられた複数の突起6とを有し、全体がポリウレタン樹脂により形成されている。管状体5の横断面の形状は円形である。本実施例は、外径約2.5mmを有しており、耳管開放症の治療に用いるためのものである。図では管状体5は直線状であるが、後述の他の実施例のように、耳管の形状に沿わせるために一部を手で湾曲させることができる。管壁には管腔2と連通した開口7(第4の開口)が、先端3から約20mm(後端4から約8mm)の位置に設けられている。管腔2には、一部において内壁が内方へ円環状に突出した狭窄部8を有し、狭窄部8の内径は約0.35mmである。本実施例の人工耳管は、耳管開放症患者の広がった耳管峡部の有効断面積を塞いで減少させることを目的として、耳管峡部を通して軟骨部耳管内に先端部を臨ましめることを意図したものである。開口7は、人工耳管1を患者の耳管内に挿入したとき鼓室内に位置づけられることを意図したものであり、そのように人工耳管1を固定したとき、鼓室内の滲出液を鼻腔へと排出するドレーン口として働くことができる。すなわち、開口7から管腔2に入った鼓室内の滲出液は、その自重により管腔2内を下方へ移行し、先端3より軟骨部耳管内に排出される。滲出液は、後端4からも管腔2内に入ることができ、また扁平な断面を有する耳管峡部と、挿入された人工耳管1の外周面との間に僅かに形作られる流路を流下することもできるから、開口7はなくてもよいが、あれば管腔2を通じた滲出液の排出は一層容易となる。
狭窄部8は、耳管峡部に相当する部分であり、その狭い内径により、自声の鼓室への空気伝導を阻止し、患者の自声強聴を解消する。但し、管状体5の内径が一様に狭い場合、例えば、一様に0.8mm以下である場合には、自声の中耳への空気伝達は殆どおこらないから、特に狭窄部を設けなくてもよい。狭窄部8はまた、人工耳管1の挿入にガイドワイヤーを用いるとき、ガイドワイヤーの先端が当たって止まるための停止部位をも提供することができる。なお、本実施例では、管腔4は先端3で単に管外に開いているが、後述の実施例8に示すように、先端は閉じ、その側方に開口を有していてもよい。更に、本実施例は、耳管開放症用の太い人工耳管であるが、耳管狭窄(耳管閉塞)において使用するための細い人工耳管も本実施例と同様に、但し径を捕捉して構成することができる。
突起6は、人工耳管1の後端付近に設けられており、管状体5の外周面から、管状体5の軸に対して約45°の角度で後方へ傾斜しつつ立ち上がっている。図では突起6は4個設けられており、それらのうち3個が管状体5の外周面の上下及び手前側に見られる。残りの1個は、管状体5の反対側の、手前側の突起と対称な位置に設けられている。突起の長さは3〜4mmであり、根元付近の横幅は、約1mmである。一対の突起は管状体5の後端4から8mmの位置より、他の一対の突起は5mmの位置より、それぞれ立ち上がっている。なお、本実施例は、成人用の寸法のものとして示されているが、同じ形態のものを子供用(3〜8歳)に用いるには、例えば全長を約20mmとし、全体として相似形となるよう各部の寸法を定めればよい。
本実施例の人工耳管1は、患者の耳管に埋め込んだとき、突起6が鼓室内壁又は骨部耳管内壁に当接し、位置ずれに対する抵抗力を生じることにより、定位置に固定される。固定された後は、人工耳管1は、自声強聴を解消し、且つ、適切な換気機能及び排泄機能を維持することができる。これにより、人工耳管1の後端4は、鼓膜より奥において鼓室内又は骨部耳管内に位置することとなるため、患者の鼓膜の穿孔は修復して塞がることができる。鼓膜が塞がった後は、鼓室内は直接の外気と遮断されるため、生理的な鼓室内環境が回復できる。
〔実施例2〕
図2は、実施例2の埋め込み式人工耳管11の側面図を示す。図において、人工耳管11は、管状体15と、管状体15の後端部に設けられた4個の突起16とを有し、ポリウレタン樹脂で成形されている。本実施例では、管状体15は、後端14の側が相対的に太く、先端13に近いほど細くなった、先細りの形状を有している。管状体15の横断面の形状は何れの部位も円形である。人工耳管11の前端13から後端14まで、1本の管腔が通っており、該管腔は、先端13及び後端14において、それぞれ第1の開口及び第2の開口により管外に開口している。本実施例では人工耳管11の全長は約27mmであり、管壁には管腔と連通した開口17(第4の開口)が、先端13から約20mm(後端14から約7mm)の位置に設けられている。また、管状体15には、先端13から6mmの位置において管腔に内径0.25mmの狭窄部18が設けられており、また先端13から約9〜10mmの位置に、管腔と連通した開口19(第3の開口)が設けられている。開口19は、人工耳管1を患者の耳管内に、その先端13が耳管峡部を約数mmだけ越えるように挿入したとき耳管峡部のすぐ上に位置するように設けられており、管腔に中耳の滲出液が入ったときに管腔から管外への排液口として機能するためのものである。すなわち鼓室から管腔内に入った滲出液は、その自重及び開口19の外部にある滲出液の表面張力の作用により、開口19から耳管峡部のすぐ上に流出し、管状体15の外周面によってやや押し広げられた耳管峡部の扁平な間隙より軟骨部耳管側へそして鼻腔へと流下する。こうして、耳管狭窄患者における耳管の排泄作用を助け、鼓室内の滲出液の貯留の問題を確実に解決することができる。従って、開口19を設けておくことは滲出液の排泄を促進する上で好ましいが、人工耳管の挿入そのものが、扁平な耳管峡部をやや広げて滲出液の排出に有利に働くため、開口19は必須ではない。
管状体15の先端13付近は外径は約0.6mm、内径約0.4mmであり、後端14付近は外径約1.1mm、内径約0.9mmである。また開口19の位置において外径約0.9mm、内径約0.4mmを有している。突起16は、実施例1の突起6と同様な形状及び寸法のものとして、同様の位置に設けられている。
本実施例の人工耳管11は、先端寄りの部分を湾曲させてあるが、これは鼓膜を介した耳管内への人工耳管1の挿入が無理なく行えるように、耳管の曲がった形状に近づけるためである。このような湾曲は、担当医師が手術中に適宜与えることもできるため、必ずしも予め与えておかなくてもよい。
本実施例の人工耳管11を患者の耳管内に鼓室側から挿入するに当たっては、後端14より適当な径のガイドワイヤーを人工耳管内11に挿入して強度を補強することが好ましい。また、ガイドワイヤーの先端が人工耳管11の先端13から突き出ることのないよう、その径を選ぶことが好ましい。ガイドワイヤーにより補強された人工耳管11が、鼓膜に形成した穿孔から鼓室、鼓室耳管口を通して患者の耳管内に挿入され先端が軟骨部耳管内に納まると、後端部では突起16が鼓室内壁又は骨部耳管内壁に当たり、それによって人工耳管11は所定位置に固定される。次いでガイドワイヤーは抜去され、人工耳管11のみが患者の耳管内に残される。
〔実施例3〕
図3は、実施例3の埋め込み式人工耳管21の側面図を示す。本実施例では後端24及びその付近の外径が、実施例2のものより拡大しており、その他の点については、実施例2の人工耳管と形状と同一である。本実施例では、後端24付近の太い外径(1.8mm)のため、その部分の外周面と鼓室内壁又は骨部耳管内壁との間の間隙が狭まり、突起26による固定作用が向上するほか、その狭い間隙に少量の骨パテを適用してより確実に固定することも容易となる。
〔実施例4〕
図4は、実施例4の埋め込み式人工耳管31の側面図を示す。本実施例では、管状体35は、後端部の一部で管状体が部分的に風船状に膨らんで拡大した外径を有する(最大部の外径2.0mm)。この外径拡大部以外の点については、本実施例の形状は、実施例3のそれと同様である。このような大きな外径まで膨らんでいることにより、本実施例では、実施例3よりも更に骨パテの使用が容易である。本実施例では、外径拡大部は、ほぼ1個の回転楕円体の表面に近い単純な形状を有するが、これに環状の溝や括れを1個又は複数個設ける等して、外径拡大部を複数の小部分に分割してもよい。
〔実施例5〕
図5は、実施例5の埋め込み式人工耳管41の側面図を示す。突起が備えられていない点を除き、本実施例は、実施例4の人工耳管と同一である。本実施例においては、人工耳管41の固定は、後端部の外径拡大部の表面と鼓室内壁又は骨部耳管内壁との間の狭い間隙に、骨パテを適用することのみによって行われる。
〔突起の具体例〕
図6〜図11は、後端部に突起を有する埋め込み式人工耳管における、突起の形状及び配置の代表的な具体例を示しており、実施例1〜5の人工耳管に適用することができる。図6及び図7に示した具体例において、突起6a及び6bは、管状体5の表面に一体に備えられた長さ3〜4mmの細長い形状のものである。これらの突起は、管状体5と一体成形してもよく、また管状体5の表面に接着・融着等によって固着させてもよい。一対の突起6aは、管状体5の中心軸に関して相互に対称な位置にあり、一対の突起6bは、一対の突起6aとは管状体5の中心軸周りに90°回転した位置に設けられている。このようにすることで、突起6a及び6bは、様々な方向で管状体5を支えて固定することができる。なおこれらの具体例では、一対の突起6bは、一対の突起6aよりもやや後端4寄りの位置に設けられているが、一対突起6bと一対の突起6aとを、同じ長手方向位置に設けてもよい。
図8は、図6及び7とは異なった形態の突起を示している。図8において、一対の突起6aは、管状体5の中心軸に関して相互に対称な位置にあり、他の一対の突起6bは、一対の突起6aとは管状体5の中心軸周りに90°回転した位置に、且つ、一対の突起6aよりもやや後端4寄りの位置に設けられている。各々の突起は、管状体5の管壁に細長い三角形(二等辺三角形等)又はアーチ型の切り込みを入れて、その部分の管壁を折り曲げて外方へ起こしたものであり、それぞれ長さ3〜4mm、根元部分の幅は約0.8mmである。突起6a及び6bをこうして形成した後は、管腔は開口10a及び10bにおいて管外に開いている。これらの開口10a及び10bは、例えば実施例1の開口7と同じ機能を果たすことができる。
図9〜11は、埋め込み式人工耳管の後端4側から見たときの、突起の代表的な配置例を示す端面図。図9において、一対の突起6aは(及び一対の突起6bも)、図8について述べたように、管状体5の中心軸に関して相互に対称な位置にあり、一対の突起6bは一対の突起6aよりもやや後端4寄りに備えられている。
図10に示した例においては、3個の突起6cが、管状体5の外周に沿って均等に配置されており、何れの突起6cも、管状体5の後端4から等距離にある。また図11に示した例においては、3個の突起6cが、管状体5の外周に沿って均等に配置されており、それら各突起6cの中間で且つ管状体5のやや後端4寄りの位置に、3個の突起6dが均等に配置されている。
〔実施例6〕
図12は、実施例6の埋め込み式人工耳管51の側面図である。本実施例において、管状体は、相対的に細い先端53側の管55fと相対的に太い、軸部をなす管55sとから構成されており、全長は約28mm(成人用)である。管55fは、長さ約7mm、外径約0.6mm、内径約0.4mmを有し、管55sは、管55fに近い部位において外径約0.9mm、内径約0.7mmを有し、後端54付近において、約1.1mm、内径約0.9mmを有する。管55fと管55sは、何れもポリウレタン樹脂よりなり、本実施例では、管55sの管腔に管55fの一部を嵌め込んで、嵌め込み部位で融着して一体化させてある。先端53から約8mmの位置において管腔に内径0.25mmの狭窄部58が、先端53から約21mm(後端54から約6mm)の位置に開口57が、約9〜10mmの位置に開口59が、それぞれ設けられている。これらの狭窄部58、開口57及び59は、実施例2における狭窄部18、開口17及び19に対応する。
〔実施例7〕
図13は、実施例7の埋め込み式人工耳管61の側面図である。本実施例においては、管状体は、相対的に細い先端側の管65f、中間の太さの中間の管65m、及び最も太い後端側の管65sから構成されており、全長は約28mm(成人用)である。管65fは、長さ約7mm、外径約0.6mm、内径約0.4mmを有し、管65mは、長さ約4mm、外径約0.9mm、内径約0.7mm、管65sは、長さ約約17mm、外径約1.1mm、内径約0.9mmを有する。これらの3本の管は、ポリウレタン樹脂よりなり、相互に末端の一部をはめ込んで融着させることにより一体化させてある。その他の構成は、実施例7と同様である。
〔実施例8〕
図14は、実施例8の埋め込み式人工耳管71の側面図である。本実施例は、先端73が閉じ、その側方の管壁に開口80(第1の開口)が設けられている点を除くほかは、実施例7の構成と同一である。開口80は管腔と連通しており、実施例7の人工耳管61の先端63に開いた開口と同じ機能を果たす。しかしながら、本実施例では、人工耳管71の先端73が閉じていることから、患者への人工耳管の挿入に際してガイドワイヤーを後端74から管腔に通したとき、ガイドワイヤーが耳管峡部を通過した後、先端73より先へガイドワイヤーが通り抜けることがなくなり、人工耳管挿入後のガイドワイヤーのみの抜去がより容易になり、手術の簡便化に寄与する。なお、図において、破線で示した部分Eは、人工耳管の後端に付加できる管状の延長部分であり、例えば人工耳管と同一の材料よりなり、人工耳管と一体に成形又はこれに接着・融着されたものである。このような延長部分は、何れの実施例の人工耳管にも付加することができ、人工耳管が鼓室内に埋め込まれるに際して、不要部分として切除することができる。
〔実施例9〕
図15は、実施例9の埋め込み式人工耳管81の側面図である。本実施例は、突起86の取り付け部分の構造以外は、実施例7の人工耳管と同一である。図16は、本実施例の突起の取り付け部分を示す拡大図である。これらの図より明らかなとおり、突起86a及び86bは、管85fに被せられた短管90(長さ5〜12mm)の管壁に細長い三角形又はアーチ型の切り込みを入れて、その部分の管壁を折り曲げて外方へ起こしたものであり、それぞれ長さ3〜4mm、根元部分の幅は約0.8mmである。短管90は、管85sに一部において融着して一体化させてある。突起86a及び86bを外方へ起こした後には、管85sの外壁が露出している。
〔実施例10〕
図17は、実施例10の埋め込み式人工耳管91の、突起96の取り付け部分を示す拡大図である。本実施例において、短管100は、実施例9の短管90に対応し、管95sと同一の太さであるが、軸方向に入れられたスリット101を広げることで径を拡大して、管95sに被せてある。短管100と管95sとは、少なくとも一部において融着して一体化させてある。その他の点については、本実施例は実施例9と同様である。
〔実施例11〕
図18は、実施例11の埋め込み式人工耳管111の側面図、図19は、先端部と及び括れ部120付近の斜視図である。これらの図において、管状体115は、全長約29mmで、途中に括れ部120を有する。括れ部120とその前後の部分との間は溶接により結合されているが、他の如何なる方法括れ部を形成してもよい。この実施例では先端から括れ部120までの長さは約5mm、括れ部120自体の長さは約1.5mmである。管状体115は、後端114寄りの約11mmの長さの相対的に太い部分と、それより先端寄りの相対的に細い部分とからなっている。前者は外径1.3mm、後者は外径1.1mmである。括れ部120の外径は最も細い部位で0.7mm、括れ部の内径は最も細い部位で約0.45mmである。括れ部120の中心から後端までの長さは約23mmである。先端部の、括れ部120と隣接する位置に一対の突起116が、管状体115の側面の相互に反対側から後端方向に傾斜して立ち上がっている。これら一対の突起116は、図8に示したのと類似して、括れ部120の管壁に三角形の切り込みを入れ、その部分の管壁を折り曲げて外方へ起こしたものであり、その後には管壁に内腔と連通する一対の開口119が残されている。但し、開口119は突起116の作成の都合上形成されたもので、特に必要はなく、開口が生じない他の適宜の方法で突起116を設けてもよい。突起116の長さは約0.6mm、傾斜の角度は約45°である。管状体115は、後端114において内腔が軸方向に開いているが(第2の開口)、先端113においては閉じており(盲端)、代わりに先端から約2.5mm離れた位置の管壁に開口121(第1の開口)が設けられている。本実施例に設けられている突起116は、固定を強固にする働きをするが、これを省いて括れ部120のみで固定してもよい。また、後端114寄りの適宜の位置において管壁に開口(第4の開口)を設けて、鼓室内の滲出液を管腔内に迅速に導くようにしてもよい。なお、本実施例も、患者の体格や耳管の形状の多様性に応じて、様々な寸法のものとして作製される。なお、括れ部120の後端側に隣接する部位で管壁に開口(第3の開口)を設けてもよい。
〔臨床試験〕
本発明の実施例1の型の人工耳管を患者に用いて治療した臨床試験の成績の一部を以下に記載する。
(試験方法)
耳管機能検査: 耳管機能の検査は、加圧減圧法及び音響耳管法により行った。
加圧減圧法による検査は、鼓膜穿孔を介して外耳道側より鼓室内に一定速度で空気圧を加え、耳管が自然に開く圧(受動的開大圧又は逆通気圧という。)を調べる静的検査と、外耳道側から中耳に一定の陽圧、あるいは陰圧を負荷しておき、嚥下運動によって耳管が開く(能動的開大)程度を調べる動的検査とがある。加圧減圧法によれば、健常な耳管の場合、外耳側から鼓室の気圧を高めても、嚥下運動により耳管が開くため、急激な減圧による回復が見られる。また負荷する空気圧を徐々に高めて行っても、ある程度以上になると耳管が受動的に押し広げられて開き(受動的開大)空気が流出するため、その時点で気圧の下行が見られる。耳管狭窄症では、これとは対照的に、嚥下運動時も耳管が閉じたままであるため、鼓室側の空気圧は嚥下を繰り返しても低下せず、また、鼓室の気圧がかなり高くならないと耳管の受動的開大が起こらない。受動的開大圧は、正常耳の平均が約355daPaであり、標準偏差×2以内を正常とみなし、545daPaを超えるとき、異常であると判断することができる。
加圧減圧法による検査には永島医科器械株式会社製の耳管機能検査装置ET−1000を用いた(図20に概念的に示す)。装置のチャネルを加圧減圧法のプロットダイアグラム作成に合わせて、鼓膜穿孔患者の外耳側から空気圧(陽圧又は陰圧)を負荷し、耳管が開放するとき(嚥下による、又は、負荷した空気圧の増大による)の圧変化を圧トランシュデューサ141で測定しアンプ142で増幅してレコーダ143に記録し、評価した。
音響耳管法は、負荷音源からの音を鼻腔内に投射しつつ、外耳道に取り付けたマイクを用いて嚥下時の音圧変化をモニターすることによって、耳管の開閉状況を調べる方法である。嚥下時に耳管の開大があれば鼻腔内の音が耳管中を空気伝導して外耳側に達するため、外耳道側のマイクで捉えた音圧変化により、耳管狭窄の有無と程度を評価することができる。
音響耳管法による検査には永島医科器械株式会社製の耳管機能検査装置ET−1000用いた(図21に概念的に示す)。装置のチャネルを音響耳管機能検査に合わせ、嚥下運動と外耳道の音圧とを同時にモニターして、嚥下の際の耳管の開放の有無を評価した。
(症例1) 24歳男性患者。右耳管開放症。術前の耳管機能検査のうち加圧減圧法で、中耳から咽頭への逆通気時の受動的開大圧は、150daPa前後と、正常値(355±190daPa:平均±2SD)よりも明らかに低かった。この患者に対して、外径1.3mm、長さ28mmであって、後端部に、実施例10(図17参照)に準じて嵌めた外側の短管に突起(長さ3mm、根元部分の幅0.9mm、厚み0.1mm)を後端から約5mmの位置に、図10に準じて3方向に向けて設けてなる、ポリウレタン樹脂製の人工耳管を準備した。患者の鼓膜を切開して、鼓膜側から人工耳管を、その先端が耳管峡部を数mm超えた位置に達するように挿入し、後端を、鼓膜よりも奥に位置させた。この状態で、人工耳管は、その後端部の突起が鼓室内壁を押す形となって定位置固定された。手術直後は、550daPa前後とやや耳管狭窄気味となったが、術後3日目に炎症症状が収まってくると、中耳から咽頭への逆通気時の耳管の受動開大圧は、410daPaと、ほぼ正常化したため、鼓膜穿孔をベスキチンで閉鎖した。鼓膜閉鎖後も、自覚的及び他覚的に特に病的な訴えや所見は見られていない。
(症例2) 63歳男性患者。右側耳管閉塞症による、持続性耳漏を伴う慢性癒着性中耳炎。この患者に対して、先端部外径が細く(外径約0.7mm)後端に近づくほど外径が拡大し(後端から約4mmの位置で最大外径約1.3mm)、後端から約4mmのみが再び細く(外径約1.1mm)なっている、全長28mmの実施例5(図5)のタイプの人工耳管を準備した。全身麻酔下に右耳介後部を切開し、外耳道後壁を剥離し、鼓膜を外耳道側の後部より剥離して、耳管上陥凹および鼓室耳管口を直視できる位置で顕微鏡下手術を続けた。この状態で、人工耳管を鼓室耳管口から耳管内へ挿入し、鼓室耳管口から約5mmの長さに亘る膨らんだ部分及びこれに続く約4mmの上記細径部が突出した状態とした。細径部の周囲を骨パテにより比較的粗に充填することにより人工耳管をその位置に固定した。側頭筋膜の一部を採取し、これを新しい鼓膜として補強した。 手術直後より、それまで止まらなかった耳漏がなくなり、右側の中耳炎は完全に改善した。カテーテルによる主観的な耳管通気でも、耳管は開大し、通気音を聴取するようになった。
(症例3) 34歳女性患者。約1年6ヶ月前より右耳の閉塞感、難聴や耳鳴があり、右耳管狭窄及び右耳管閉塞症として、滲出性中耳炎に準じて抗アレルギー剤や表面活性剤、マクロライド系抗生物質等の投薬治療、鼓膜チューブ挿入術等を施行したが、耳管機能検査でTTAGでのバルサルバ通気時の耳管開大圧が550daPa以上、音響法で音圧上昇陰性、中耳から咽頭への逆通気時の耳管開大圧550daPaと、何れも耳管閉塞又は狭窄症の所見を呈し、改善なく経過していた。この患者に対し、実施例11に示した人工耳管(各寸法も同じ)を準備した。局所麻酔下に、右鼓膜前上部を切開後、人工耳管を患者の耳管内へ、鼓膜部分から後端が約30mm奥に位置するように押し込んだ。人工耳管の挿入は、人工耳管の後端の開口から管腔内に先端(盲端)まで通したガイドワイヤーで押すことによって行った。次いでガイドワイヤーのみを抜去し、人工耳管の後端が鼓室内に、鼓膜よりも内方で収まるのを確認すると共に、人工耳管がその位置で自ら固定されていることを、鉗子で後端を摘んで確認した。手術直後から、右耳閉塞感や難聴が改善し、耳鳴も蝉の鳴くような騒々しい音から、血流のような拍動性の耳鳴りに変化し、症状は改善した。他覚的にも、耳管機能検査で耳管開大圧が低下すると共に、音響法で術前の陰性から陽性へと明らかに改善した。
本発明の埋め込み式人工耳管は、耳管狭窄症(耳管閉塞症)、耳管開放症、耳管閉鎖不全症及びフロッピーチューブを含む耳管機能不全症の治療のために用いることができる。

Claims (16)

  1. 先端部が耳管峡部を通り抜けて軟骨部耳管内に配置され、後端部が鼓室内又は骨部耳管内に配置されるものである管状体を含んでなる、ヒトの耳管内に埋め込まれるための人工耳管であって、
    該管状体の先端と後端とが管腔によって連通しており、
    先端領域において該管腔が第1の開口を介して管外に開いており、
    後端領域において該管腔が第2の開口を介して管外に開いており、そして
    該管状体が、
    (a) 該後端部において、上限8mm以下の外径拡大部を少なくとも部分的に有し及び/又は該管状体の外周面から立ち上がった突起を備えており、及び/又は
    (b) 先端から2mm以上離れた領域であって且つ第1の開口から12mm以内の範囲に、耳管峡部に契合するための括れ部を備えている
    ことを特徴とする、埋め込み式人工耳管。
  2. 該突起が該管状体の少なくとも2箇所から立ち上がっている少なくとも2個の突起を含んでなることを特徴とするものである、請求項1の埋め込み式人工耳管。
  3. 該突起の先端が該管状体の中心軸より1.5〜5mmの距離に達するものであることを特徴とする、請求項1又は2の埋め込み式人工耳管。
  4. 該管腔が、0.20mm以上の径を有し、かつ、少なくとも1部において0.8mmを超えない領域を有するものである、請求項1ないし3の何れかの埋め込み式人工耳管。
  5. 該先端部の外径が0.35〜3.0mmの範囲にあることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかの埋め込み式人工耳管。
  6. 該先端部の外径が0.35〜1.7mmである、請求項1ないし5の何れかの埋め込み式人工耳管。
  7. 該突起が該管状体の後端方向に傾斜しているものである、請求項1ないし6の何れかの埋め込み式人工耳管。
  8. 該突起が1〜6mmの長さを有するものである、請求項1ないし7の何れかの埋め込み式人工耳管。
  9. 該管状体が、その第1の開口から2〜15mmの範囲内に、該管腔と連通して管外に開いた第3の開口を有するものである、請求項1ないし8の何れかの埋め込み式人工耳管。
  10. 該先端部が、該管状体の該後端部に比して細い外径を有しているものである、請求項1ないし9の何れかの埋め込み式人工耳管。
  11. 全長が15〜45mmである、請求項1ないし10の何れかの埋め込み式人工耳管。
  12. 該管状体が、その後端から2〜12mmの範囲内に、該管腔と連通して管外に開いた第4の開口を有することを特徴とする、請求項1ないし11の何れかの埋め込み式人工耳管。
  13. 上記特徴(b)を有する請求項1ないし12の人工耳管であって、該管状体の長手方向に沿って該括れ部の長さが0.5〜5mmである、人工耳管。
  14. 上記特徴(b)を有する請求項1ないし13の人工耳管であって、該括れ部が、該管状体の該括れ部に隣接する部位の外径に対して3:11〜9:11の範囲の外径を有するものである、人工耳管。
  15. 上記特徴(b)を有する請求項1ないし14の人工耳管であって、該括れ部の先端側に隣接して該管状体の外周面から立ち上がった突起を備えているものである、人工耳管。
  16. 可撓性材料より形成されているものである、請求項1ないし15の何れかの埋め込み式人工耳管。
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