JPWO2004033687A1 - 腎不全治療薬をスクリーニングする方法 - Google Patents

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Abstract

腎不全治療薬を得るためのスクリーニングツール及び簡便なスクリーニング方法、並びに腎不全治療用医薬組成物及びその製造方法を開示する。前記スクリーニングツールはCTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチドであるG蛋白質共役型受容体FGK、その機能的等価改変体、又は相同ポリペプチドであるか、あるいは前記ポリペプチドを発現している細胞である。スクリーニング方法は、前記ポリペプチドの阻害を指標とする方法である。

Description

本発明は、オーファンGPCRを発現している細胞及び該細胞を使用する腎不全治療薬のスクリーニング法に関する。
腎疾患による慢性透析患者は年々増加している。これは医療経済的にも大きな問題であり、その進行の改善が強く望まれている。腎障害の原因は慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症など多岐に渡り、成因も免疫学的機序、高血圧等様々である。しかし原因に拠らず、ある段階から糸球体障害には共通の進展機序が考えられている。それはBrennerらによって提唱された過剰濾過(hyperfiltration)説に基づく考え方である(非特許文献1)。以下に過剰濾過説を概説すると、まず糸球体障害による機能ネフロン減少、高血圧、高血糖、蛋白過剰摂取等により腎臓内の血行動態が変化して糸球体内圧の上昇が起こり、いわゆる糸球体内高血圧と呼ばれる状態になる。そしてこれが糸球体細胞障害を惹起する。その結果メサンギウム細胞の形質変換、細胞外基質の産生亢進を促し、更には糸球体硬化へと進展する。これにより機能ネフロンが減少すると残存する機能ネフロンの糸球体内圧は更に上昇する。当初は糸球体が代償的に肥大し、機能喪失したネフロンを補うが、最終的には物理的破綻をきたす。この悪循環によって糸球体硬化が加速度的に進行し、末期腎不全に陥る。この糸球体硬化及び尿細管間質における細胞外基質の産生亢進は総じて腎線維化(renal fibrosis)と呼ばれており、原疾患を問わず腎不全進行と一致する組織学的変化である(非特許文献2)。よって個々の原疾患に対する治療の重要性は言うまでもないが、共通の進行機序である線維化の抑制は有力な治療アプローチであると考えられる。
線維化には様々なサイトカインや成長因子の関与が知られているが、中でもTGF−βはファイブロネクチンやI型コラーゲンなどの細胞外基質構成蛋白質の産生を誘導すること(非特許文献3)、細胞外基質分解酵素の発現/機能を抑制すること(非特許文献4)等から最も重要な進展因子と考えられている。更にTGF−β中和抗体(非特許文献5)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(非特許文献6)、デコリン(非特許文献7),TGF−βレセプター中和抗体(非特許文献8)を用いたTGF−βの発現/機能抑制が腎臓の細胞外基質の増加を抑制することが腎炎モデル動物で示されており、その有効性がすでに明らかになっている。この様にTGF−βシグナル阻害は腎線維化抑制を機序とする腎不全治療につながることが示されている。しかしTGF−βは線維化促進作用の他にも抗炎症作用や腫瘍増殖抑制作用を持つ重要なサイトカインであり、TGF−βノックアウトマウスは自己免疫疾患で死亡する(非特許文献9)ことなどから、線維化抑制のためにはTGF−βを直接阻害するのではなく、TGF−βの下流でその線維化促進作用を仲介する因子を阻害することがより望ましいと考えられた(非特許文献10)。
近年TGF−βにより発現が誘導される新しいサイトカインの結合組織成長因子(CTGF)が発見され(非特許文献11)、CTGF発現により細胞外基質の産生が誘導されること(非特許文献12)、CTGFアンチセンスオリゴヌクレオチドや抗CTGF抗体によりTGF−β誘導のコラーゲン発現が抑制されること(非特許文献13)、ヒト腎線維化病理組織像においてCTGFの発現が上昇していること(非特許文献14)、ラット病態モデル腎臓においてCTGF発現がTGF−βと共に上昇すること(非特許文献15)、更に肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor)がCTGF産生抑制を介してマウス病態モデル腎臓の線維化を抑制すること(非特許文献16)などが報告されている。これらを総合すると、腎組織においてTGF−βがCTGFの発現を誘導し、更にCTGFがTGF−βと共に細胞外基質の産生を亢進させて線維化を促進させる機序が明らかになった(非特許文献17)。すなわちCTGFが腎線維化においてTGF−βの下流に位置するサイトカインであることが明らかになり、新たな治療標的となることが示された(非特許文献18)。またTGF−βやCTGFによって発現が誘導されるI型コラーゲンはヒト正常腎では発現が低く、病態腎の糸球体や尿細管上皮において発現が上昇していること(非特許文献19)、培養マウスメサンギウム細胞での高糖負荷による内在性TGF−β発現誘導によりI型コラーゲンの発現が上昇すること(非特許文献20)など、病態との関与が指摘されている。一方、CTGFは脳、胎盤、肺、肝臓、腎臓、骨格筋など幅広い組織で発現しており、発現に組織特異性は見られない(非特許文献22)。
FGK(Fibrogenic GPCR in kidney)は2001年に報告されたGPR91と同一のオーファンGPCRである(非特許文献21)。ヒトGPR91、マウスGPR91はそれぞれアミノ酸330個、317個から成るポリペプチドであり、膜貫通領域を7箇所持つ7回膜貫通型レセプターと考えられている。ヒト、マウスGPR91は互いに約68%の相同性を有している。ヒトGPR91は腎臓にのみ発現が認められ、マウスGPR91は腎臓のほかに肝臓にも若干の発現が見られる。アフリカツメガエル卵黄を用いた反応系において、UTPがヒトGPR91のリガンドとして機能することが報告されている(特許文献1)が、GPR91に共役するGタンパク質や生理機能は不明である。特許文献2〜9にはFGKと相同性を有する配列が開示されているが、アデノシン受容体であること(特許文献9)、P2U2プリン受容体であること(特許文献8)の他には発現に関する情報が記載されているにすぎず、その生理機能は不明であった。
国際公開第97/20045号パンフレット 国際公開第97/24929号パンフレット 国際公開第01/98351号パンフレット 国際公開第00/22131号パンフレット 国際公開第01/90304号パンフレット 国際公開第00/31258号パンフレット 国際公開第02/00719号パンフレット 国際公開第02/61087号パンフレット US02/137887号 「ザ・ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)」、(米国)、1982年、第307巻、p.652−659 「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイアティー・オブ・ネフロロジー(Journal of the American Society of Nephrology)」、(米国)、1996年、第7巻、p.2495−2508 「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、(米国)、1987年、第262巻、p.6443−6446 「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイアティー・オブ・ネフロロジー(Journal of the American Society of Nephrology)」、(米国)、1999年、第10巻、p.790−795 「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1990年、第346巻、p.371−374 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、1996年、第50巻、p.148−155 「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1992年、第360巻、p.361−364 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、2001年、第60巻、p.1745−1755 「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1992年、第359巻、p.693−699 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、1997年、第51巻、p.1388−1396 「モレキュラー・バイオロジー・オブ・ザ・セル(Molecular Biology of the Cell)」、(米国)、1993年、第4巻、p.637−645 「ザ・ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・ダーマトロジー(The Journal of Investigative Dermatology)」、(米国)、1996年、第107巻、p.404−411 「ジ・エフエーエスイービー・ジャーナル(The FASEB Journal)」、(米国)、1999年、第13巻、p.1774−1786 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、1998年、第53巻、p.853−861 「アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー・レナル・フィジオロジー(American Journal of Physiology・RenalPhysiology)」、(米国)、2002年、第282巻、p.F933−F942 「ジ・エフエーエスイービー・ジャーナル(The FASEB Journal)」、(米国)、2003年、第17巻、p.268−270 「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ソサイアティー・オブ・ネフロロジー(Journal of the American Society of Nephrology)」、(米国)、2001年、第12巻、p.472−484 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、2000年、第58巻、p.1389−1399 「キドニー・インターナショナル(Kidney international)」、(米国)、2002年、第62巻、p.137−146 「ザ・ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲイション(The Journal of Clinical Investigation)」、(米国)、1994年、第93巻、p.536−542 「ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)」、(英国)、2001年、第307巻、p.799−813 「サーキュレーション(Circulation)」、(米国)、1997年、第95巻、p.831−839
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、オーファンGPCRであるFGKは腎臓特異的に発現しており、腎不全における創薬標的であるCTGFのプロモーターを活性化することを見出した。この知見をもとにして、FGK阻害を指標にCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法、すなわちFGK阻害剤を選択することによるCTGF発現抑制に基づく腎不全治療薬のスクリーニング方法を構築した。更に、FGKそれ自身単独でもその活性の変化を指標にして腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることができることを見出し、確かにFGKのインバースアゴニストがCTGF発現を抑制することを見出した。このことからFGKインバースアゴニストを選択することによる腎不全治療薬をスクリーニングする方法を確立した。上述したようにCTGFは幅広い組織で発現しており、発現に組織特異性は見られないことから単にCTGF遺伝子のプロモーター領域を用いてスクリーニングした場合、その結果物は腎臓のみならず全組織でCTGFの産生を抑制することになり、CTGFの作用である細胞増殖や細胞外基質産生の阻害に基づく副作用が懸念される。一方、FGKがCTGFプロモーターを活性化するという本発明者らが見出した知見を元にして構築したFGK阻害を指標にCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする系を用いた場合、FGKは腎臓特異的に発現することから、そのスクリーニング結果物によるCTGF産生抑制は腎臓特異的であり、その他の組織での発現抑制は起こらないことが期待される。
これらの結果、本発明者らは、簡便な腎不全治療薬のスクリーニング方法、並びに腎不全治療用医薬組成物及びその製造方法を提供し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
[1]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、あるいは配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、かつ、CTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチドである腎不全治療薬スクリーニングツール、
[2][1]に記載のポリペプチドを発現している細胞である腎不全治療薬スクリーニングツール、
[3]C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを共発現している[2]に記載の細胞と、試験化合物とを接触させる工程、及び
前記細胞内における[1]記載のポリペプチドの活性の変化を分析する工程
を含むことを特徴とする、試験化合物がインバースアゴニストであるか否かを検出する方法、
[4]C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを共発現している[2]に記載の細胞と、試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞内における[1]記載のポリペプチドの活性の変化を分析する工程
を含むことを特徴とする、腎不全治療薬をスクリーニングする方法、
[5]下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号13のDNAを発現している[2]に記載の細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴とするCTGFの発現を抑制する物質をスクリーニングする方法
[6]CTGFの発現を抑制する物質が腎不全治療薬である[5]に記載のスクリーニングする方法、
[7]下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号14のDNAを発現している請求項2に記載の細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴とする腎不全治療薬をスクリーニングする方法、
[8][1]に記載のポリペプチドのインバースアゴニストを含有する腎不全治療用医薬組成物、
[9][4]乃至[7]に記載の方法によって得られる物質を含有する腎不全治療用医薬組成物、
[10][4]乃至[7]に記載の方法を用いてスクリーニングする工程、及び前記スクリーニングにより得られた物質を用いて製剤化する工程
を含むことを特徴とする、腎不全治療用医薬組成物の製造方法、
[11][1]に記載のポリペプチドのインバースアゴニスト及び/又は[4]乃至[7]に記載の方法によって得られる物質を腎不全治療が必要な対象に有効量で投与することを含む、腎不全治療方法、
[12][1]に記載のポリペプチドのインバースアゴニスト及び/又は[4]乃至[7]に記載の方法によって得られる物質の、腎不全治療用医薬組成物を製造するための使用
に関する。
特許文献1には本発明のスクリーニングツールであるポリペプチドの一つであるFGKと同一配列の受容体が記載されている。腎臓に発現していること、ATP、ADP、UTP、及びUDPによって活性化されることが記載され、スクリーニングのツールとして有用であるとされているが、何の目的のスクリーニングのツールとして有用であるか、その具体的な用途に関する記載はない。特許文献2〜特許文献9にはFGKと相同性のある分子が開示されている。特許文献6には当該分子が腎臓において発現していると示されているが具体的用途に関する記載はない。特許文献7には当該分子が関わるとして多数の疾患名を列挙している中に腎疾患及び腎不全が含まれているが、それを裏付ける記載は全くない。特許文献8にはFGKと相同性の高い分子を含む多数のGPCRが開示され、多数のGPCRに対しそれらが関与するとして多数の疾患名を挙げておりその中に腎疾患が含まれるが具体的実施例の記載はおろか、それらの用途の実験的裏付けは全くない。特許文献9にはFGKと相同性を有する受容体が開示されアゴニスト又はアンタゴニストを同定する方法が開示されている。これらのアゴニスト及びアンタゴニストは血管拡張、低血圧、慢性腎疾患、甲状腺疾患、喘息を含む免疫性疾患の治療に有用であることが記載されている。しかしながら慢性腎疾患の治療に有用であることの根拠は当該分子が腎臓を含む特定の組織に発現していることのみであり、当該分子とCTGFとの関連については何ら記載されていない。特許文献2〜5の何れの文献にもFGKと相同性を有する分子と腎疾患との関係、該分子とCTGFとの関係は記載されていない。
従って、腎不全における創薬標的であるCTGFのプロモーターをFGKが活性化することは本発明者らが見出した新規の知見であり、FGK阻害を指標にCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法、及びFGKインバースアゴニストを選択することによる腎不全治療薬をスクリーニングする方法、並びに腎不全治療用医薬組成物及びその製造方法は本発明者らによって初めて提供された発明である。
図1は、HEK293細胞にpCTGF−luc又はpCOLIA2−lucレポータープラスミドを導入したときのルシフェラーゼ活性及びその活性のFGK遺伝子導入による変化を示すグラフである。グラフの縦軸はルシフェラーゼ活性の相対値を示している。
図2は、HEK293細胞にpEF−BOS−Gqi及びpSRE−lucレポータープラスミドを同時に導入したときのルシフェラーゼ活性及びその活性のFGK遺伝子導入による変化を示すグラフである。グラフの縦軸はルシフェラーゼ活性の相対値を示している。
以下に本発明を詳細に説明する。
まず、本発明で使用される用語につき説明する。
本明細書中で使用される「FGK」は「FGK蛋白質」を、「インバースアゴニスト」は本発明のスクリーニング用ポリペプチド(例えばFGK)の自発活性(すなわちFGKリガンド又はアゴニスト非存在下において、ある平衡状態で存在する活性化FGKにより検出される活性)を抑制する物質を表す。あるポリペプチドが「CTGFプロモーターを活性化する」か否かの判定方法は、特に限定されるものではないが、例えば実施例3に記載の条件下で用量依存的な該ポリペプチドによる転写活性化を示すか否かを確認することにより、判定することができる。「Gi」は、受容体と共役して細胞内へのシグナル伝達増幅因子として機能するG蛋白のサブファミリーの1つであって、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制するG蛋白質である。アデニル酸シクラーゼの活性が抑制されると、例えば、細胞内cAMP濃度が低下する。「ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質」は、受容体と共役して細胞内へのシグナル伝達増幅因子として機能するG蛋白質のサブファミリーの1つであって、ホスホリパーゼCの活性を促進するG蛋白質である。ホスホリパーゼCの活性化が促進されると、例えば、細胞内Ca2+濃度が上昇する。ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質としては、例えば、Gqを挙げることができる。
<腎不全治療薬スクリーニングツール>
本発明の腎不全治療薬スクリーニングツールには、ポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツールと、細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールとが含まれる。本明細書において「スクリーニングツール」とは、スクリーニングのために用いる物(具体的にはスクリーニングのために用いるポリペプチド又はポリペプチドを発現している細胞)をいう。「腎不全治療薬スクリーニングツール」とは、腎不全治療薬をスクリーニングするために、本発明の腎不全治療薬をスクリーニングする方法において試験化合物を接触させる対象となるポリペプチド又は細胞である。前述の[1]に記載のポリペプチド、又は[2]に記載の細胞の、腎不全治療薬スクリーニングのための使用も本発明に含まれる。
(1)ポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツール
本発明のポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツールには、
1)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである腎不全治療薬スクリーニングツール;
2)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/または挿入されたアミノ酸配列を含み、かつ、CTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)である腎不全治療薬スクリーニングツール;
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列との相同性が90%以上であるアミノ酸配列からなり、かつ、CTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)である腎不全治療薬スクリーニングツール;
が含まれる。
ポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツールのうち、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、公知のヒト由来のオーファンGPCRの一つであり、当該ポリペプチドをヒトFGKと称する。
ポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることのできる機能的等価改変体としては、、「配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個、好ましくは1〜7個、更に好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、かつ、CTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチド」が好ましい。
相同ポリペプチドのうち好ましいものは、配列番号2で表されるアミノ酸配列に関して、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、更に好ましくはCTGFプロモーターを活性化することができる蛋白質である。なお、本明細書における前記「相同性」とは、Clustal program(HigginsとSharp、Gene、第73巻、第237−244頁、1998年;Thompsonら、Nucleic Acid Res.、第22巻、第4673−4680頁、1994年)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値(Identities)を意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Pairwise Aliment Parametersとして
K tuple 1
Gap Penalty 3
Window 5
Diagonals Saved 5
本発明のポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることのできる各種ポリペプチド、すなわち、ヒトFGK、機能的等価改変体、及び相同蛋白質を、以下、スクリーニングツール用ポリペプチドと称する。
スクリーニングツール用ポリペプチドには、ヒトにおける変異体が含まれるだけでなく、ヒト以外の生物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、又はイヌ)由来のFGK又はその変異体が含まれる。更には、それらの天然蛋白質(すなわち、ヒト由来の変異体、又はヒト以外の生物由来のFGK若しくはその変異体)又はヒトFGKを元にして遺伝子工学的に人為的に改変した蛋白質などが含まれる。なお、本明細書において「変異体」(variation)とは、同一種内の同一蛋白質にみられる個体差、あるいは、数種間の相同蛋白質にみられる差異を意味する。
ヒトFGKのヒトにおける変異体、又はヒト以外の生物由来のFGK若しくはその変異体は、当業者であれば、ヒトFGK遺伝子の塩基配列(例えば、配列番号1で表される塩基配列)の情報を基にして、取得することができる。なお、遺伝子組換え技術については、特に断りがない場合、公知の方法(Maniatis,T.ら,「Molecular Cloning−A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1982等)に従って実施することが可能である。
例えば、ヒトFGK遺伝子の塩基配列の情報を基にして適当なプライマー又はプローブを設計し、前記プライマー又はプローブと、目的とする生物[例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、又はイヌ)]由来の試料(例えば、総RNA若しくはmRNA画分、cDNAライブラリー、又はファージライブラリー)とを用いてPCR法又はハイブリダイゼーション法を実施することにより、蛋白質の遺伝子を取得し、その遺伝子を適当な発現系を用いて発現させ、発現した蛋白質が、例えば、実施例3に記載の方法により、CTGFプロモーターを活性化することを確認することにより、所望の蛋白質を取得することができる。
また、前記の遺伝子工学的に人為的に改変した蛋白質は、常法、例えば、部位特異的突然変異誘発法(site−specific mutagenesis;Mark,D.F.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,5662−5666,1984)により、蛋白質の遺伝子を取得し、その遺伝子を適当な発現系を用いて発現させ、発現した蛋白質が、例えば、実施例3に記載の方法により、CTGFプロモーターを活性化することを確認することにより、所望の蛋白質を取得することができる。
スクリーニングツール用ポリペプチドは、種々の公知の方法によって得ることができ、例えば、目的蛋白質をコードする遺伝子を用いて公知の遺伝子工学的手法により調製することができる。より具体的には、後述する細胞又は形質転換細胞(すなわち、スクリーニングツール用ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで形質転換され、前記ポリペプチドを発現している形質転換細胞)を、スクリーニングツール用ポリペプチドの発現が可能な条件下で培養し、受容体蛋白質の分離及び精製に一般的に用いられる方法により、その培養物から目的蛋白質を分離及び精製することにより調製することができる。
スクリーニングツール用ポリペプチドを調製する際に、それをコードする遺伝子を取得する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ヒトFGKを調製する場合には、それをコードする遺伝子として、例えば、配列番号1で表される塩基配列からなるDNAを用いることができる。なお、所望アミノ酸に対するコドンはそれ自体公知であり、その選択も任意でよく、例えば、利用する宿主のコドン使用頻度を考慮して常法に従って決定することができる(Crantham,R.ら,Nucleic Acids Res.,9,r43−r74,1981)。
配列番号1で表される塩基配列からなるDNAは、例えば、化学合成法によって製造したDNA断片を結合することにより取得することもできるし、あるいは、ヒトFGKの産生能力を有する細胞又は組織に由来するcDNAライブラリーを鋳型とし、配列番号1で表される塩基配列に基づいて設計した適当なプライマーセットを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法(Saiki,R.K.ら,Science,239,487−491,1988)により、取得することもできる。前記のヒトFGKの産生能力を有する細胞又は組織としては、例えば、ヒト腎臓などを挙げることができる。また、前記プライマーセットとしては、配列番号3で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号4で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとの組み合わせを挙げることができる。
スクリーニングツール用ポリペプチドの調製において使用することのできる分離及び精製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順で実施することができる。例えば、スクリーニングツール用ポリペプチドを表面に発現した細胞を培養し、これらをバッファーに懸濁した後、ホモジナイズし、遠心分離することにより、スクリーニングツール用ポリペプチドを含む細胞膜画分を得ることができる。得られた細胞膜画分を可溶化した後、通常の蛋白質沈殿剤による処理、限外濾過、各種液体クロマトグラフィー[例えば、分子ふるいクロマトグラフィー(ゲル濾過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換体クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等]、若しくは透析法、又はこれらの組合せ等により、スクリーニングツール用ポリペプチドを精製することができる。なお、細胞膜画分を可溶化する際には、できるだけ緩和な可溶化剤(例えば、CHAPS、Triton X−100、又はジキトニン等)を用いることにより、可溶化後も受容体の特性を保持することができる。
スクリーニングツール用ポリペプチドを調製する際には、所望に応じて、スクリーニングツール用ポリペプチドと適当なマーカー配列とをインフレームで融合して発現させることで、前記ポリペプチドの発現の確認、細胞内局在の確認、又は精製等を容易に行なうことができる。前記マーカー配列としては、例えば、FLAGエピトープ、ヘキサーヒスチジン・タグ、ヘマグルチニン・タグ、又はmycエピトープなどを挙げることができる。また、マーカー配列とスクリーニングツール用ポリペプチドとの間に、プロテアーゼ(例えば、エンテロキナーゼ、ファクターXa、又はトロンビンなど)が認識する特異的な配列を挿入することにより、マーカー配列部分をこれらのプロテアーゼにより切断除去することが可能である。例えば、ムスカリンアセチルコリン受容体とヘキサーヒスチジン・タグとをトロンビン認識配列で連結した報告がある(Hayashi,M.K.及びHaga,T.,J.Biochem.,120,1232−1238,1996)。
(2)細胞型腎不全治療薬スクリーニングツール
本発明の細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールには、
1)ヒトFGKを発現している細胞である、腎不全治療薬スクリーニングツール;
2)機能的等価改変体を発現している細胞である、腎不全治療薬スクリーニングツール;及び
3)相同蛋白質を発現している細胞である、腎不全治療薬スクリーニングツールが含まれる。
本発明の細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることのできる細胞(以下、スクリーニングツール用細胞と称する)は、細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いる際に前記スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している限り、特に限定されるものではなく、人為的に前記ポリペプチドを発現させた形質転換細胞であることもできるし、または、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することが知られている天然の細胞又はその細胞株であることもできるが、人為的に前記ポリペプチドを発現させた形質転換細胞が好ましい。
本発明の細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることのできる各種形質転換細胞(以下、スクリーニングツール用形質転換細胞と称する)を作成するために使用することのできる宿主細胞は、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、通常使用される公知の微生物、例えば、大腸菌又は酵母(Saccharomyces cerevisiae)、あるいは、公知の培養細胞、例えば、脊椎動物細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞、又はCOS細胞)又は昆虫細胞(例えば、Sf9細胞)を挙げることができる。
前記脊椎動物細胞としては、例えば、サルの細胞であるCOS細胞(Gluzman,Y.,Cell,23,175−182,1981)、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞(CHO)のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株(Urlaub,G.及びChasin,L.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,4216−4220,1980)、ヒト胎児腎臓由来HEK293細胞、あるいは、前記HEK293細胞にエプスタイン・バーウイルスのEBNA−1遺伝子を導入した293−EBNA細胞(インビトロジェン社)を挙げることができる。
スクリーニングツール用形質転換細胞を作成するために使用することのできる発現ベクターは、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することができる限り、特に限定されるものではなく、使用する宿主細胞の種類に応じて、適宜選択することができる。
例えば、脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常発現しようとする遺伝子の上流に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列等を有するものを使用することができ、更に必要により、複製起点を有していることができる。前記発現ベクターの例としては、例えば、SV40の初期プロモーターを有するpSV2dhfr(Subramani,S.ら,Mol.Cell.Biol.,1,854−864,1981)、ヒトの延長因子プロモーターを有するpEF−BOS(Mizushima,S.及びNagata,S.,Nucleic Acids Res.,18,5322,1990)、又はサイトメガロウイルスプロモーターを有するpCEP4(インビトロジェン社)等を挙げることができる。
より詳細には、宿主細胞としてCOS細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、SV40複製起点を有し、COS細胞において自律増殖が可能であり、更に、転写プロモーター、転写終結シグナル、及びRNAスプライス部位を備えたものを用いることができ、例えば、pME18S(Maruyama,K.及びTakebe,Y.,Med.Immunol.,20,27−32,1990)、pEF−BOS(Mizushima,S.及びNagata,S.,Nucleic Acids Res.,18,5322,1990)、又はpCDM8(Seed,B.,Nature,329,840−842,1987)等を挙げることができる。
前記発現ベクターは、例えば、DEAE−デキストラン法(Luthman,H.及びMagnusson,G.,Nucleic Acids Res.,11,1295−1308,1983)、リン酸カルシウム−DNA共沈殿法(Graham,F.L.及びvan der Ed,A.J.,Virology,52,456−457,1973)、カチオン性リポソーム試薬(Lipofectamine;Gibco BRL社)を用いた方法、あるいは、電気パルス穿孔法(Neumann,E.ら,EMBO J.,1,841−845,1982)等により、COS細胞に取り込ませることができる。
また、宿主細胞としてCHO細胞を用いる場合には、スクリーニングツール用ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターと共に、G418耐性マーカーとして機能するneo遺伝子を発現することのできるベクター、例えば、pRSVneo(Sambrook,J.ら,「Molecular Cloning−A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1989)又はpSV2−neo(Southern,P.J.及びBerg,P.,J.Mol.Appl.Genet.,1,327−341,1982)等をコ・トランスフェクトし、G418耐性のコロニーを選択することにより、スクリーニングツール用ポリペプチドを安定に産生する形質転換細胞を得ることができる。
更に、宿主細胞として293−EBNA細胞を用いる場合には、発現ベクターとして、エプスタイン・バーウイルスの複製起点を有し、293−EBNA細胞で自己増殖が可能なpCEP4(インビトロジェン社)などを用いることができる。
スクリーニングツール用形質転換細胞は、常法に従って培養することができ、前記培養により細胞内又は細胞表面にスクリーニングツール用ポリペプチドが生産される。前記培養に用いることのできる培地としては、採用した宿主細胞に応じて慣用される各種の培地を適宜選択することができる。例えば、COS細胞の場合には、例えば、RPMI−1640培地又はダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)等の培地に、必要に応じて牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加した培地を使用することができる。また、293−EBNA細胞の場合には、牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加したダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)等の培地にG418を加えた培地を使用することができる。
スクリーニングツール用形質転換細胞は、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している限り、特に限定されるものではない。スクリーニングツール用形質転換細胞は、スクリーニングツール用ポリペプチドに加え、C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列(Asp−Cys−Gly−Leu−Phe)であるG蛋白質を発現していることが好ましい。配列番号16で表されるアミノ酸配列は、GiのC末端の5アミノ酸残基からなるアミノ酸配列であり、以下、「C末端のアミノ酸配列が配列番号16で表されるアミノ酸配列であるG蛋白質」を「C末端Gi型G蛋白質」と称する。
前記C末端Gi型G蛋白質としては、例えば、(1)Gi、又は(2)C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質(例えば、Gq)のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを挙げることができる。以下、GqのホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを、Gqiと称する。
スクリーニングツール用ポリペプチドは、GiのC末端の5アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(すなわち、配列番号16で表されるアミノ酸配列)を認識して、Giと結合する。従って、スクリーニングツール用ポリペプチドは、Giのみならず、Gqiとも結合することができる。スクリーニングツール用形質転換細胞において、スクリーニングツール用ポリペプチドとC末端Gi型G蛋白質とが発現されると、これらのポリペプチドは細胞内で結合することができる。
前記Gqiにおける「GqのホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチド」は、C末端アミノ酸配列を含まず、しかも、ホスホリパーゼCの活性を促進する活性を有する限り、特に限定されるものではないが、例えば、C末端の5アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を欠失したGqのN末端側部分ポリペプチドを挙げることができる。
前記Gqiにおける「Giの受容体共役活性を有する部分ポリペプチド」は、GiのC末端の5アミノ酸残基からなるアミノ酸配列を含み、しかも、アデニル酸シクラーゼの活性を抑制する活性を有しない限り、特に限定されるものではないが、例えば、配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるGiのC末端側部分ポリペプチドを挙げることができる。
<インバースアゴニスト検出方法>
前記スクリーニングツール用ポリペプチド、又はスクリーニングツール用細胞を検出ツールに用いて、試験化合物が本発明のスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)のインバースアゴニストであるか否かを検出することができる。腎不全治療薬の標的となるCTGFのプロモーターを活性化するスクリーニング用ポリペプチド(例えばFGK)は、それ自身単独でも腎不全治療薬スクリーニングツールとして用いることができ、スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)のインバースアゴニストは腎不全治療薬として有用な物質である。本発明の検出方法において、スクリーニング用ポリペプチド(例えばFGK)の活性の変化は、スクリーニングに用いる該蛋白質の生理学的な特性に応じた活性の指標を測定することにより行われる。指標とは、たとえばCa2+濃度の変動やcAMP量の変動である。具体的には、以下に述べるような検出方法を示すことができる。スクリーニング用ポチペプチドとしては、該受容体を発現させた細胞、該細胞の膜分画、又は該蛋白質精製標品などを用いることもできる。
本発明による、試験化合物がスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)のインバースアゴニストであるか否かを検出する方法には、
1)細胞内におけるCa2+濃度の変動を指標として、スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)に対するインバースアゴニストであるか否かを検出する方法(すなわち、Ca2+型検出方法);
2)細胞内におけるcAMP量の変動を指標として、スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)に対するインバースアゴニストであるか否かを検出する方法(すなわち、cAMP型検出方法);及び
3)GTPγS結合法を利用するスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)に対するインバースアゴニストであるか否かを検出する方法(以下、GTPγS結合型検出方法と称する)
が含まれる。これらの検出方法について、順次説明する。
1)Ca2+型検出方法
本発明のCa2+型検出方法は、細胞として、(i)スクリーニングツール用ポリペプチドと、(ii)C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラ(例えば、Gqi)とを共発現している細胞(以下、Ca2+型検出用細胞と称する)を使用する。本発明のCa2+型検出方法においてインバースアゴニストであるか否かを検出する場合には、Ca2+型検出用細胞と試験化合物とを接触させ、前記Ca2+型検出用細胞内のCa2+濃度の変化を、直接的又は間接的に分析(すなわち、測定又は検出)する。Ca2+濃度の変化は、例えば、カルシウム結合性蛍光試薬(例えば、fura2又はfluo3等)を用いて、直接的にCa2+濃度の変化を分析することもできるし、あるいは、Ca2+濃度に依存して転写量が調節される遺伝子[例えば、ルシフェラーゼの遺伝子の上流にアクチベータープロテイン1(AP1)応答配列を挿入した遺伝子]の転写活性を分析することにより、間接的にCa2+濃度の変化を分析することもできる。
Ca2+型検出用細胞と試験化合物とを接触させた場合に、Ca2+型検出用細胞内のCa2+濃度が減少すれば、前記試験化合物は、スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)に対するインバースアゴニストであると判定することができる。なお、コントロールとして、スクリーニングツール用ポリペプチドとGqiとを共発現しているCa2+型検出用細胞の代わりに、スクリーニングツール用ポリペプチドが発現されておらず、しかも、Gqiが発現しているコントロール用細胞、あるいは、形質転換前の宿主細胞を用いて同様の操作を行ない、前記試験化合物により前記コントロール用細胞又は前記宿主細胞内のCa2+濃度が減少しないことを確認することが好ましい。
より具体的には実施例4又は実施例5の方法を利用することにより実施できる。
これまで説明したように、本発明のCa2+型検出方法においては、共役蛋白質としてGiをそのまま使用するのではなく、Gqiを使用するので、cAMP濃度ではなく、Ca2+濃度を分析することによりインバースアゴニストであるか否かの検出を実施することができる。通常、cAMP濃度に比べ、Ca2+濃度の方が、より簡易且つ迅速に測定することができる。
2)cAMP型検出方法
本発明のcAMP型検出方法では、スクリーニングツール用細胞をcAMP型検出用細胞として使用する。通常の宿主細胞ではGiが構成的に発現しているので、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することが知られている天然の細胞又はその細胞株を用いるか、スクリーニングツール用ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより、cAMP型検出用細胞を得ることができる。
本発明のcAMP型検出方法においてインバースアゴニストであるか否かを検出する場合には、cAMP型検出用細胞と試験化合物とを接触させ、前記cAMP型検出用細胞内のcAMP濃度の変化を、直接的又は間接的に分析(すなわち、測定又は検出)する。cAMP濃度の変化は、例えば、市販のcAMP測定キット(アマシャム社等)を用いて、直接的にcAMP濃度の変化を分析することもできるし、あるいは、cAMP濃度に依存して転写量が調節される遺伝子[例えば、ルシフェラーゼの遺伝子の上流にcAMP応答配列(CRE)を挿入した遺伝子]の転写活性を分析することにより、間接的にcAMP濃度の変化を分析することもできる。
cAMP型検出用細胞と試験化合物とを接触させた場合に、cAMP型検出用細胞内のcAMP濃度が上昇すれば、前記試験化合物は、FGKに対するインバースアゴニストであると判定することができる。また、コントロールとして、スクリーニングツール用ポリペプチドとGiとを発現しているcAMP型検出用細胞の代わりに、スクリーニングツール用ポリペプチドが発現されていない細胞を用いて同様の操作を行ない、前記試験化合物により前記細胞内のcAMP濃度が上昇しないことを確認することが好ましい。より具体的には、例えば、実施例4と同様の条件において、低用量の(例えば0.2μgの)FGKを発現させた場合において試験化合物を接触させた場合に試験化合物を接触させない場合と比較してcAMP濃度が上昇するか否かを検出することにより実施できる。
3)GTPγS結合型検出方法
本発明のGTPγS結合型検出方法は、スクリーニングツール用ポリペプチド、前記ポリペプチドを含む細胞膜画分、あるいは、前記ポリペプチドを発現している細胞を用いて、GTPγS結合法(Lazareno,S.及び
Birdsall,N.J.M.,Br.J.Pharmacol.,109,1120−1127,1993)を利用して、FGKに対するインバースアゴニストであるか否かを検出することができる。スクリーニングツール用ポリペプチドを発現することが知られている天然の細胞又はその細胞株を用いるか、スクリーニングツール用ポリペプチドをコードするDNAを含む発現ベクターで宿主細胞を形質転換することにより、GTPγS結合型検出方法用の細胞又は細胞膜画分(GTPγS型検出用細胞)を得ることができる。
例えば、以下の手順により実施することができる。
すなわち、スクリーニングツール用ポリペプチドを含む細胞膜を、20mmol/L−HEPES(pH7.4)、100mmol/L−NaCl、10mmol/L−MgCl、及び50mmol/L−GDP混合溶液中で、35Sで標識されたGTPγS(400pmol/L)と混合する。試験化合物存在下と試験化合物不在下とでインキュベートした後、反応液をガラスフィルター等で濾過し、フィルターに残存するGTPγSの放射活性を液体シンチレーションカウンター等で測定する。試験化合物存在下における特異的なGTPγS結合の低下を指標に、FGKに対するインバースアゴニストであるか否かを検出することができる。また、コントロールとして、スクリーニングツール用ポリペプチドを発現している細胞膜の代わりに、スクリーニングツール用ポリペプチドが発現していない細胞膜を用いて同様の操作を行ない、前記試験化合物存在下においてGTPγS結合が低下しないことを確認することが好ましい。
<CTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法>
本発明にはスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性阻害を指標にしてCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法が包含される。該方法には、CTGF遺伝子のプロモーター領域を用いたレポーターアッセイ系が使用できる。既に上述したように、CTGFが腎線維化においてTGF−βの下流に位置するサイトカインであることが明らかになり、CTGFが腎不全治療薬の創薬標的であることが示されている。本発明者らは後述の実施例3に示すようにFGKが腎不全における創薬標的と考えられるCTGFのプロモーターを活性化することを見出し、更に、FGKの活性阻害を指標にCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法を確立した。
本発明のCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法は、下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号13のDNA(CTGFプロモーター)を発現しているスクリーニングツール用細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴としてCTGFの発現を抑制する物質をスクリーニングすることができる。
該方法で用いる細胞として、(i)スクリーニングツール用ポリペプチドと、(ii)CTGFプロモーター領域と融合されたレポーター遺伝子とを共発現している細胞(以下、CTGFプロモーター型検出用細胞と称する)を使用することができる。なお、前記細胞は、形質転換する前の宿主細胞が、腎臓由来の細胞であることが好ましい。このような細胞としては、例えば、前出のHEK293細胞を挙げることができる。
レポーター遺伝子アッセイ(田村ら、転写因子研究法、羊土社、1993年)は、レポーター遺伝子の発現をマーカーとして遺伝子の発現調節を検出する方法である。一般に遺伝子の発現調節はその5’上流域に存在するプロモーター領域と呼ばれる部分で制御されており、転写段階での遺伝子発現量はこのプロモーターの活性を測定することで推測することができる。試験物質がプロモーターを活性化すれば、プロモーター領域の下流に配置されたレポーター遺伝子の転写を活性化する。このようにプロモーター活性化作用すなわち発現亢進作用をレポーター遺伝子の発現に置き換えて検出することができる。したがって、CTGFプロモーター領域を用いたレポーター遺伝子アッセイにより、CTGFの発現調節に対する試験化合物の作用はレポーター遺伝子の発現に置き換えて検出することができる。配列番号16で表される塩基配列からなるCTGFプロモーター領域と融合された「レポーター遺伝子」は、一般に用いられるものであれば特に限定されないが、定量的測定が容易な酵素遺伝子などが好ましい。例えば、バクテリアトランスポゾン由来のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(CAT)、ホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子(Luc)、クラゲ由来の緑色蛍光蛋白質遺伝子(GFP)等があげられる。レポーター遺伝子は、配列番号16で表される塩基配列からなるCTGFのプロモーター領域と機能的に融合されていればよい。CTGFプロモーター型検出用細胞に試験化合物を接触した場合と接触しなかった場合のレポーター遺伝子の発現量を比較することにより試験化合物依存的な転写誘導活性の変化を分析することができる。
コントロールとしてCTGFプロモーター型検出用細胞の代わりに、スクリーニングツール用ポリペプチドが発現されておらず、しかもCTGFプロモーター領域と融合されたレポーター遺伝子を発現しているスクリーニングツール用細胞を用いて同様の操作を行ない、前記試験化合物により前記スクリーニングツール用細胞におけるレポーター活性が抑制されないことを確認することが好ましい。
上記工程を実施し、レポーター活性を抑制する物質を選択することにより、CTGFの発現を抑制する物質のスクリーニングを実施できる。具体的には、実施例3に記載の方法により、前記スクリーニングを実施できる。たとえば実施例3に記載のアッセイ条件に試験化合物を追加することにより、実施例3の条件下でIC50が10μM以下の物質を、好ましくはIC50が1μM以下の物質を、更に好ましくはIC50が0.1μM以下の物質を、CTGF発現を抑制する活性を有する物質として選択することができる。より好ましくは実施例7の条件下で同様に実施することができる。
<腎不全治療薬をスクリーニングする方法>
本発明の腎不全治療薬スクリーニングツール(ポリペプチド型腎不全治療薬スクリーニングツール及び細胞型腎不全治療薬スクリーニングツールの両方を含む)を用いると、腎不全治療薬をスクリーニングすることができる。
既に説明したように、CTGFが腎線維化においてTGF−βの下流に位置するサイトカインであることが明らかになり、CTGFが腎不全治療薬の創薬標的であることすなわちCTGFの発現を制御する物質は腎不全治療薬となることが示されている。また、FGKは腎臓に局在することが明らかとなっている。更に、本発明者らは実施例3に記載するようにFGKがCTGFプロモーターを活性すること及びヒトI型コラーゲンアルファ2サブユニット(COLIA2)プロモーターを活性化することを見出している。これらの知見によれば、スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)に対するインバースアゴニスト又はFGK活性阻害によりCTGFの発現を抑制する物質は腎不全治療薬として有用である。従って、これまで説明したスクリーニングツール用ポリペプチドそれ自体、あるいは、スクリーニングツール用細胞それ自体を、腎不全治療薬のスクリーニングにスクリーニングツールとして用いることができる。
本発明の腎不全治療薬スクリーニングツールを用いてスクリーニングにかけることのできる試験化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Terrett,N.K.ら,Tetrahedron,51,8135−8137,1995)によって得られた化合物群、あるいは、ファージ・ディスプレイ法(Felici,F.ら,J.Mol.Biol.,222,301−310,1991)などを応用して作成されたランダム・ペプチド群を用いることができる。また、微生物の培養上清、植物若しくは海洋生物由来の天然成分、又は動物組織抽出物などもスクリーニングの試験化合物として用いることができる。更には、本発明の腎不全治療薬スクリーニングツールにより選択された化合物(ペプチドを含む)を、化学的又は生物学的に修飾した化合物(ペプチドを含む)を用いることができる。
本発明のスクリーニング方法は検出方法により以下の3つに大別されるが、いずれかの方法を用いて、あるいはこれらを組み合わせることによって、腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。以下、本発明のスクリーニング方法、
(1)スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性変化を指標とするスクリーニング方法
(2)スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性阻害を指標としてCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法
(3)COLIA2プロモーターを利用しスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性変化を指標とするスクリーニング方法
について、順次説明する。
(1)スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性変化を指標とするスクリーニング方法には、
1)細胞内におけるCa2+濃度の変動を指標として、インバースアゴニストをスクリーニングする方法(以下、Ca2+型スクリーニング方法と称する);
2)細胞内におけるcAMP量の変動を指標として、インバースアゴニストをスクリーニングする方法(以下、cAMP型スクリーニング方法と称する);及び
3)GTPγS結合法を利用するインバースアゴニストをスクリーニングする方法(以下、GTPγS結合型スクリーニング方法と称する)
が含まれ、以下順次説明する。
1)Ca2+型スクリーニング方法
本発明のCa2+型スクリーニング方法は、本発明のCa2+型検出方法により、インバースアゴニストであるか否かを検出する工程、及びインバースアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
インバースアゴニストは、前記Ca2+型検出方法において、試験化合物によるCa2+型検出用細胞内のCa2+濃度の減少を指標に、スクリーニングすることができる。
例えば試験化合物を一定時間作用させ、細胞内Ca2+濃度の減少を指標に、そのIC50が10μM以下の物質を、好ましくはIC50が1μM以下の物質を、更に好ましくはIC50が0.1μM以下の物質を、インバースアゴニストとして選択することができる。本発明のCa2+型スクリーニング方法でインバースアゴニストをスクリーニングすることにより、腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。
2)cAMP型スクリーニング方法
本発明のcAMP型スクリーニング方法は、本発明のcAMP型検出方法により、インバースアゴニストであるか否かを検出する工程、及びインバースアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
インバースアゴニストは、前記cAMP型検出方法において、試験化合物によるcAMP型検出用細胞内のcAMP濃度上昇を指標に、スクリーニングすることができる。
細胞内cAMP濃度の上昇を指標に、そのED50が10μM以下(更に好ましくは1μM以下)の試験化合物を、インバースアゴニスト活性を有する物質として選択することができる。
本発明のcAMP型スクリーニング方法でインバースアゴニストをスクリーニングすることにより、腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。
3)GTPγS結合型スクリーニング方法
本発明のGTPγS結合型スクリーニング方法は、本発明のGTPγS結合型検出方法により、インバースアゴニストであるか否かを検出する工程、及びインバースアゴニストを選択する工程を含む限り、特に限定されるものではない。
インバースアゴニストは、前記GTPγS結合型検出方法における、試験化合物による特異的なGTPγS結合の低下を指標にスクリーニングすることができる。
本発明のGTPγS結合型スクリーニング方法でインバースアゴニストをスクリーニングすることにより、腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。
(2)スクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)活性阻害を指標としてCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法
CTGFの発現を制御する物質は腎不全治療薬となることが示されている。従って、本発明のCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法、すなわち、下流にレポーター遺伝子を保持するCTGFプロモーターを発現しているスクリーニングツール用細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴とする方法により腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。より具体的には、実施例3又は実施例7に記載の方法により、前記スクリーニングを実施できる。たとえば実施例3又は実施例7に記載のアッセイ条件に試験化合物を追加することにより、実施例3又は実施例7の条件下でIC50が10μM以下の物質を、好ましくはIC50が1μM以下の物質を、更に好ましくはIC50が0.1μM以下の物質を、腎不全治療薬として有用な物質として選択することができる。
(3)COLIA2プロモーターを利用しスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性変化を指標とするスクリーニング方法
腎不全治療薬の標的となるCTGFのプロモーターを活性化するスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)は、それ自身単独でも腎不全治療薬スクリーニングツールとして有用である。本発明者らは後述の実施例3に示すように、FGKが、COLIA2のプロモーターを活性化することを見出し、COLIA2プロモーターを利用しFGK活性変化を指標とするスクリーニング方法を確立した。FGKの活性阻害をインビトロで検出する系の一つとして以下のCOLIA2プロモーターを利用したレポーターアッセイ系が利用できる。
本発明のCOLIA2プロモーターを利用しスクリーニング用ポリペプチド(好ましくはFGK)の活性変化を指標とするスクリーニング方法は、下流にレポーター遺伝子を保持するCOLIA2プロモーターを発現しているスクリーニングツール用細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴する。当該スクリーニング方法は、前述のCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法においてCTGFプロモーターのかわりにCOLIA2プロモーターを用いることにより実施できる。上記工程を実施し、レポーター活性を抑制する物質を選択することにより、腎不全治療に有用な物質をスクリーニングすることができる。より具体的には、実施例3に記載の方法により、前記スクリーニングを実施できる。たとえば実施例3に記載のアッセイ条件に試験化合物を追加することにより、実施例3の条件下でIC50が10μM以下の物質を、好ましくはIC50が1μM以下の物質を、更に好ましくはIC50が0.1μM以下の物質を、腎不全治療薬として有用な物質として選択することができる。
<腎不全治療用医薬組成物及びその製造方法>
本発明には、例えば、本発明のスクリーニング方法で選択することのできる、スクリーニングツール用ポリペプチドのインバースアゴニスト[例えば、DNA、蛋白質(抗体又は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物]を有効成分とする医薬組成物が包含される。
また、腎不全治療用医薬組成物の品質規格の確認試験において、(1)(i)C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを共発現しているスクリーニングツール用細胞又はその細胞膜と、試験化合物とを接触させる工程、及び(ii)前記細胞内におけるスクリーニンツール用ポリペプチドの活性の変化を分析する工程、あるいは(2)(i)下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号13又は14のDNAを発現しているスクリーニングツール用細胞又はその細胞膜と試験化合物とを接触させる工程、及び(ii)前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程からなる分析を行ない、次いで、分析した物質を製剤化することからなる、腎不全治療用医薬組成物の製造方法も本発明に含まれる。
本発明には、本発明のスクリーニング方法を用いてスクリーニングする工程、及び前記スクリーニングにより得られた物質を用いて製剤化する工程を含むことを特徴とする、腎不全治療用医薬組成物の製造方法が包含される。
本発明の医薬組成物における有効成分としては、スクリーニングツール用ポリペプチドのインバースアゴニストを用いることができ、前記インバースアゴニストは、例えば、本発明のスクリーニング方法により選択することができる。スクリーニングツール用ポリペプチドのインバースアゴニストとしては、例えば、本発明のスクリーニング方法で選択された化合物(後述の実施例5〜7、表1参照)を挙げることができる。本発明の医薬組成物は、本発明のスクリーニング方法で得られた物質を有効成分とする医薬組成物に限定されず、スクリーニングツール用ポリペプチドのインバースアゴニストを有効成分とする腎不全治療用医薬組成物であれば全て包含される。
なお、腎不全治療効果があることの確認は、当業者に公知の方法、あるいは、それを改良した方法を用いることにより実施することができる。腎不全治療効果は尿細管間質線維化の抑制、尿蛋白の抑制、血中クレアチニン量などを指標として検出することができる。例えば、尿細管間質線維化の抑制効果の確認は、非特許文献15又は非特許文献Kidney international、2002年、第61巻、p.1684−1695記載のUUOモデルマウスもしくはその変法により確認できる。より具体的には以下方法により確認できる。雄性ICRマウスにペントバルビタール(50mg/kg)を0.1mL/10gの液量にて腹腔内投与(i.p.)して麻酔する。左腹部を切開し、左尿管を4−0絹糸にて二箇所で結紮し、その間を切断し、その後切開部を縫合することによりUUOマウスを作製することができる。UUOマウスをコントロール群と試験化合物投与群とに分け、薬物をそのタイプに応じた方法で投与する。投与後(例えば1日1回の投与でUUOマウス作製の5日後)、ペントバルビタール麻酔下にて採血後、左腎(病態腎)と右腎(対照腎)を摘出し、湿重量を測定する。腎を分割して、一部を病理評価(例えばマッソン・トリクロム染色(間質に蓄積したコラーゲン蛋白が青く染色される))することができる。また、一部からRNAを抽出し、線維化のマーカー遺伝子(例えば、CTGF、コラーゲン又はファイブロネクチンなど)の発現を公知の方法(例えばノザンブロッティング又はRT−PCR)にて検出することができる。前記染色において、コントロール群に比較して試験化合物投与群の染色が減少していれば(コラーゲン蛋白量が低下していれば)試験化合物に腎不全治療効果があると判定することができる。また、コントロール群に比較して試験化合物投与群における線維化マーカーの発現量が減少していれば試験化合物に腎不全治療効果があると判定できる。
また、尿蛋白の抑制は、例えば、非特許文献Pharmacological Research、2003年、第47巻、p.243−252記載の5/6腎摘ラットもしくはその変法により確認できる。
上記腎不全治療効果の確認方法のうち最も好ましいのは5/6腎摘ラットを用いる方法である。より具体的には以下の方法により確認できる。9週齢のWistarratをペントバルビタール(50mg/kg)にて腹腔内投与(i.p.)して麻酔する。左腹部を切開し、左腎の2/3を摘出し、1週後右腎の全摘を行い、5/6腎摘出腎不全モデルラットを作製することが出来る。5/6腎摘出腎不全モデルラットをコントロール群と試験化合物投与群とに分け、薬物をそのタイプに応じた方法で投与する(例えば5/6腎摘出腎不全モデル作製の2週間後から1日1回の投与)。手術後1週ごとに、血圧の測定および個別代謝ケージを用い採尿実験を経時的に(例えば1週ごとに10週間)行う。屠殺時に腹部大静脈から採血し、腎摘出を行う。尿サンプルはその量や蛋白濃度などを、血液サンプルはコレステロールや尿素窒素、又はクレアチニンなどの濃度を測定し、腎組織サンプルは病理組織変化などを検討する。コントロール群に比較して、例えば、尿中の蛋白量が低下していれば、もしくは血液中の尿素窒素量やクレアチニン量が低下していれば試験化合物に腎不全治療効果があると判定することができる。
本発明のスクリーニング方法により得られる物質又はスクリーニングツール用ポリペプチドのインバースアゴニスト[例えば、DNA、蛋白質(抗体又は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物]を有効成分とする製剤は、前記有効成分のタイプに応じて、それらの製剤化に通常用いられる薬理学上許容される担体、賦形剤、及び/又はその他の添加剤を用いて、医薬組成物として調製することができる。
投与としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、又は経口用液剤などによる経口投与、あるいは、静注、筋注、若しくは関節注などの注射剤、坐剤、経皮投与剤、又は経粘膜投与剤などによる非経口投与を挙げることができる。特に胃で消化されるペプチドにあっては、静注等の非経口投与が好ましい。
経口投与のための固体組成物においては、1又はそれ以上の活性物質と、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどと混合することができる。前記組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、滑沢剤、崩壊剤、安定化剤、又は溶解若しくは溶解補助剤などを含有することができる。錠剤又は丸剤は、必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質などのフィルムで被覆することができる。
経口のための液体組成物は、例えば、乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、又はエリキシル剤を含むことができ、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば、精製水又はエタノールを含むことができる。前記組成物は、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えば、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、芳香剤、又は防腐剤を含有することができる。
非経口のための注射剤としては、無菌の水性若しくは非水性の溶液剤、懸濁剤、又は乳濁剤を含むことができる。水溶性の溶液剤又は懸濁剤には、希釈剤として、例えば、注射用蒸留水又は生理用食塩水などを含むことができる。非水溶性の溶液剤又は懸濁剤の希釈剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)、アルコール類(例えば、エタノール)、又はポリソルベート80等を含むことができる。前記組成物は、更に湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解若しくは溶解補助剤、又は防腐剤などを含むことができる。前記組成物は、例えば、バクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によって無菌化することができる。また、無菌の固体組成物を製造し、使用の際に、無菌水又はその他の無菌用注射用媒体に溶解し、使用することもできる。
投与量は、有効成分すなわち本発明のスクリーニング方法により得られる物質の活性の強さ、症状、投与対象の年齢、又は性別等を考慮して、適宜決定することができる。
例えば、経口投与の場合、その投与量は、通常、成人(体重60kgとして)において、1日につき約0.1〜100mg、好ましくは0.1〜50mgである。非経口投与の場合、注射剤の形では、1日につき0.01〜50mg、好ましくは0.01〜10mgである。
以下に実施例により本発明を詳述するが,本発明は該実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りがない場合は、公知の方法(Maniatis,T.at al.「Molecular Cloning−A Laboratory Manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,NY,1982等)に従って実施可能である。
また、市販の試薬やキットを用いる場合には市販品の指示書に従って実施可能である。
(実施例1)FGKをコードする遺伝子の単離
本発明のFGKをコードする全長cDNAは、ヒト腎臓cDNA(クロンテック社)をテンプレートとしてPCRにより取得した。配列番号3で示されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして、配列番号4で示されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして用いた(それぞれの5’末端にはXbal siteが付加してある)。PCRはDNAポリメラーゼ(Pyrobest DNA Polymerase;宝酒造社)を用い、5%DMSO存在下で98℃(30秒)/55℃(30秒)/72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。その結果、約1.0kbpのDNA断片が増幅された。この断片をXbalで消化した後、pEF−BOS−dhfrプラスミド(Mizushima,S.and Nagata,S.(1990)Nucleic Acids Res.,18,5322)を用いてクローニングした。構築したプラスミドをpEF−BOS−dhfr−FGKと名付けた。得られたクローンの塩基配列をジデオキシターミネーター法によりABI377 DNA Sequencer(アプライドバイオシステムズ社)を用いて解析したところ、配列番号1で表される塩基配列が得られた。同配列は993塩基のオープンリーディングフレーム(ORF)を持っている。ORFから予測されるアミノ酸配列(330アミノ酸)を配列番号2に示す。
(実施例2)ヒト結合組織成長因子(CTGF)プロモーターを用いたレポータープラスミド及びヒトI型コラーゲンアルファ2サブユニット(COLIA2)プロモーターを用いたレポータープラスミドの取得
ヒトCTGF及びヒトCOLIA2遺伝子のプロモーター領域の増幅には、ヒト全血由来のゲノムDNA(Human Genomic DNA;クロンテック社)を鋳型DNAに用いた。CTGFプロモーター領域の増幅にはフォワードプライマーとして、配列番号5で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、リバースプライマーとして、配列番号6で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用した。またCOLIA2プロモーター領域の増幅にはフォワードプライマーとして、配列番号7で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、リバースプライマーとして、配列番号8で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用した。PCRはDNAポリメラーゼ(Pfu turbo DNA Polymerase;ストラタジーン社)を用い、94℃(2分)の後、94℃(30秒)/58℃(30秒))/72℃(2分)のサイクルを35回繰り返した。その結果、CTGFプロモーターの場合は約1.2kbp、COLIA2プロモーターの場合は約0.4kbpのDNA断片が増幅された。その後各増幅産物を1%アガロースゲルにて分離し、スピンカラム(QIAquick Gel Extraction Kit;キアゲン社)にて精製後、これらを鋳型として再度PCRを行った。CTGFプロモーター領域の増幅にはフォワードプライマーとして、配列番号9で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、リバースプライマーとして、配列番号10で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用した。またCOLIA2プロモーター領域の増幅にはフォワードプライマーとして、配列番号11で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用し、リバースプライマーとして、配列番号12で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを使用した。なおそれぞれのフォワードプライマーの5’末端にはKpnl認識配列、またリバースプライマーの5’末端にはBgIII認識配列が付加してある。PCRはDNAポリメラーゼ(Pfu turbo DNA Polymerase;ストラタジーン社)を用い、94℃(2分)の後、94℃(30秒)/58℃(30秒))/72℃(2分)のサイクルを30回繰り返した。その後各増幅産物を1%アガロースゲルにて分離し、スピンカラム(QIAquick Gel Extraction Kit;キアゲン社)にて精製後、Kpnl及びBgIIIにて消化し、レポーター発現用プラスミド(ピッカジーンベーシックベクター2;東洋インキ社)に挿入してクローニングした。得られたクローンの塩基配列はジデオキシターミネーター法によりABI3700 DNA Sequencer(アプライドバイオシステムズ社)で解析し、既知CTGFプロモーター配列(GenBank accession No.AL354866)又はCOLIA2プロモーター配列(GenBank accession No.AF004877)と合致したクローンをそれぞれ選択した。以上により得られたレポータープラスミドはそれぞれヒトCTGFプロモーターの1129bpから+24bp(配列番号13)、又はヒトCOLIA2プロモーターの−337bpから+22bp(配列番号14)をルシフェラーゼ遺伝子の上流に含んでおり、それぞれpCTGF−luc,pCOLIA2−lucと命名した。
(実施例3)CTGFプロモーター及びCOLIA2プロモーターレポーターアッセイ系の構築とFGK導入による効果
24ウェルプレート(24−well plate;アサヒテクノグラス社)にHEK293細胞(ATCCより入手)を10%牛胎児血清入りダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)にて1ウェルあたり1×10細胞で播種して37℃で24時間培養後、1ウェルあたり0.1μgのレポータープラスミド及び最高で0.5μgのヒトFGK発現プラスミドの計0.6μgをトランスフェクション試薬(FuGENE6;ベーリンガーロシェ社)を用いて添付の指示書に従い遺伝子導入を行った。なお全てのウェル当たりの導入遺伝子量は1ウェルあたり計0.6μgとなる様にプラスミドベクター(pcDNA3.1;インビトロジェン社)を加えて調整した。FGKを含まずpcDNA3.1ベクターのみをレポータープラスミドと共に形質転換した細胞をコントロールとした。遺伝子導入24時間後に培地を廃棄し、細胞溶解液を1ウェルあたり100μl加えて溶解した。溶解液50μlにルシフェリン基質液100μlを加えて反応させた後、ルミノメーター(ML3000;ダイナテックラボラトリーズ社)にて測定した。コントロールのルシフェラーゼ活性に対する相対活性(コントロールを1とする)を図1に示す。FGKの発現によりCTGFプロモーター及びCOLIA2プロモーターの活性化が観察された。またその活性化におけるFGKの用量依存性も観察された。以上の事から、FGKはCTGF及びI型コラーゲンの発現を誘導することが明らかになった。
本アッセイ系を利用することにより、CTGF発現を抑制する物質及び腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることができる。
(実施例4)FGK活性変化を指標とするスクリーニング系の構築
本実施例で使用したGqとGiとのキメラ蛋白質を発現するための発現プラスミドは、Conklin,B.R.らの方法(Nature,363,274−276,1993)に従い、GqのC末端側の5アミノ酸(Glu−Tyr−Asn−Leu−Val;配列番号15で表されるアミノ酸配列)を、GiのC末端側の5アミノ酸(Asp−Cys−Gly−Leu−Phe;配列番号16で表されるアミノ酸配列)と置換して構築した遺伝子(以下、Gqi遺伝子と称する)を、プラスミドpEF−BOS−dhfrにクローニングして作製した。構築したプラスミドは、プラスミドpEF−BOS−Gqiと命名した。
具体的な方法としては、まず24ウェルプレート(24−well plate;アサヒテクノグラス社)にHEK293細胞(ATCCより入手)を10%牛胎児血清入りダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)にて1ウェルあたり1×10細胞で播種して24時間培養後、1ウェルあたり0.05μgのルシフェラーゼ遺伝子の上流に血清応答配列を挿入したレポータープラスミドpSRE−luc(PathDetectTM SRE cis−Reporting System;ストラタジーン社)、0.05μgのpEF−BOS−Gqi及び最高で0.5μgのヒトFGK発現プラスミド計0.6μgをトランスフェクション試薬(FuGENE6;ベーリンガーロシェ社)を用いて遺伝子導入を行った。FGKを含まずpcDNA3.1ベクターのみをレポータープラスミド及びpEF−BOS−Gqiと共に形質転換した細胞をコントロールとした。他の条件及びレポーター活性の測定は実地例3に従った。コントロールのルシフェラーゼ活性に対する相対活性(コントロールを1とする)を図2に示す。FGKの発現によりレポーター活性の上昇が観察された。またその活性化におけるFGKの用量依存も観察された。以上の事から、本アッセイ系によってFGK活性を阻害する物質、すなわち腎不全治療薬として有用な物質をスクリーニングすることが可能となった。
(実施例5)FGK活性を阻害する物質のスクリーニング
実施例4において構築したFGK活性変化を指標とするスクリーニング系を用いて試験物質のスクリーニングを行った。
96ウェルプレート(96−well plate;アサヒテクノグラス社)にHEK293細胞(ATCCより入手)を10%牛胎児血清入りダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)にて1ウェルあたり1×10細胞で播種して37℃にて24時間培養した。1ウェルあたり0.01μgのレポータープラスミドpSRE−luc(実施例4)、0.03μgのpEF−BOS−Gqi及び0.02μgのヒトFGK発現プラスミド計0.06μgをトランスフェクション試薬(FuGENE6;ベーリンガーロシェ社)を用いて遺伝子導入を行った。導入後37℃にて6時間培養した後、試験化合物のジメチルスルホキシド溶液を最終濃度が30μM,10μM,3μM,1μM,0.3μM又は0.1μMとなるように添加し、更に37℃にて24時間培養した。その後レポーター活性を測定し、試験化合物による50%活性抑制濃度(IC50)を決定した。化合物処理に対するコントロールとして、等量のジメチルスルホキシドのみを加えた場合のレポーター活性を100%とした。他の条件及びレポーター活性の測定は実地例4に従った。FGKを発現させた細胞においてFGK活性を阻害する物質(IC50が10μM以下の物質)をFGKのインバースアゴニストとして選択したところ7個の異なる化合物を取得することができた。これらの化合物の構造、活性及び入手先を表1に示す。
(実施例6)FGK活性を阻害する物質によるCTGF発現抑制の検出
12ウェルプレート(12−well plate;アサヒテクノグラス社)にヒト近位尿細管上皮初代培養細胞(RPTEC;アサヒテクノグラス社)を腎上皮細胞用増殖培地(ブレットキットREGM;アサヒテクノグラス社)にて1ウェルあたり2×10細胞で播種した。37℃にて24時間培養後、実施例5にて得た試験化合物(FGK活性を阻害する物質、すなわちFGKインバースアゴニスト)を最終濃度が10μMとなる様に培地に添加し、更に37℃にて24時間培養した。その後細胞を回収し、トータルRNAをスピンカラム(RNeasy Mini Kit;キアゲン社)にて精製した。1.5μgのトータルRNA及び逆転写酵素(PowerScript Rrverse Transcriptase;BDBiosciences社)を用いて逆転写反応を行い、cDNAを得た。それらを鋳型として、PRISM7700 Sequence Detector(PERKIN ELMER社)を用いたリアルタイムPCR法により、CTGF及びハウスキーピング遺伝子であるグリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(以下G3PDHと略す)の発現量を測定した。PCR反応にはSYBR Green PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を使用し、50°C(2分)、95°C(10分)の後、95°C(15秒)/60°C(60秒)のサイクルを40回繰り返した。CTGFの検出には配列番号17で示されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして、配列番号18で示されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして、またG3PDHの検出には配列番号19で示されるオリゴヌクレオチドをフォワードプライマーとして、配列番号20で示されるオリゴヌクレオチドをリバースプライマーとして使用した。PCRにより得られたCTGFの発現量をG3PDHの発現量で割った値を単位RNA量あたりのCTGF発現量と定義した。また化合物処理に対するコントロールとして、等量のジメチルスルホキシドのみを加えた場合の単位RNA量あたりのCTGF発現量を100%とした。このアッセイにより得られたCTGF発現阻害活性(化合物濃度10μMにおける阻害活性)を表1に示す。FGK活性阻害を指標に取得した物質が確かにCTGF発現を抑制することが確認できた。
(実施例7)FGKによるCTGFプロモーター活性化を抑制する化合物のスクリーニング
実施例3において構築した、FGKによるCTGFプロモーター活性化の系により試験化合物をスクリーニングした。
96ウェルプレート(96−well plate;アサヒテクノグラス社)にHEK293細胞(ATCCより入手)を10%牛胎児血清入りダルベッコ修正イーグル最小必須培地(DMEM)にて1ウェルあたり1×10細胞で播種した。37℃にて24時間培養後、1ウェルあたり0.02μgのpCTGF−luc(実施例2参照)及び0.02μgのヒトFGK発現プラスミド計0.04μgをトランスフェクション試薬(FuGENE6;ベーリンガーロシェ社)を用いて遺伝子導入を行った。導入後37℃にて6時間培養した後、試験化合物のジメチルスルホキシド溶液を最終濃度が30μM,10μM,3μM,1μM,0.3μM又は0.1μMとなるように添加し、更に37℃にて24時間培養した。その後レポーター活性を測定し、試験化合物による50%活性抑制濃度(IC50)を決定した。化合物処理に対するコントロールとして、等量のジメチルスルホキシドのみを加えた場合のレポーター活性を100%とした。他の条件及びレポーター活性の測定は実地例3に従った。FGKによるCTGFプロモーター活性化を阻害する物質を選択し、IC50が10μM以下の物質を表1に示した。本アッセイ系によってCTGF発現を抑制する物質すなわち腎不全治療薬として有用な物質を確かにスクリーニングすることができることが確認された。
Figure 2004033687
本発明のスクリーニングツールの一つであるFGKがCTGFのプロモーターを活性化することを見出した。CTGFは腎不全における創薬標的であることが知られており、従って、本発明のスクリーニングツールであるポリペプチドおよび/または前記ポリペプチドを発現している細胞を用いることによって、前記ポリペプチドの阻害を指標にCTGF発現を抑制する物質をスクリーニングする方法、すなわち前記ポリペプチドの阻害剤を選択することによるCTGF発現抑制に基づく腎不全治療薬のスクリーニング方法及び前記ポリペプチドのインバースアゴニストを選択することによる腎不全治療薬をスクリーニングする方法を構築することができる。
また、本発明のスクリーニング方法により得ることができる物質を有効成分とし、担体、賦形剤、及び/又はその他の添加剤を用いて製剤化することにより、腎不全治療用医薬組成物を製造することができる。
配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号3、4、9〜12の配列で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【配列表】
Figure 2004033687
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Claims (12)

  1. 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、あるいは配列番号2で表されるアミノ酸配列において1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、かつ、CTGFプロモーターを活性化することができるポリペプチドである腎不全治療薬スクリーニングツール。
  2. 請求の範囲1に記載のポリペプチドを発現している細胞である腎不全治療薬スクリーニングツール。
  3. C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを共発現している請求の範囲2に記載の細胞と、試験化合物とを接触させる工程、及び
    前記細胞内における請求項1記載のポリペプチドの活性の変化を分析する工程を含むことを特徴とする、試験化合物がインバースアゴニストであるか否かを検出する方法。
  4. C末端のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列であり、しかも、ホスホリパーゼC活性促進性G蛋白質のホスホリパーゼC活性促進活性を有する部分ポリペプチドとGiの受容体共役活性を有する部分ポリペプチドとのキメラであるG蛋白質キメラを共発現している請求の範囲2に記載の細胞と、試験化合物とを接触させる工程及び
    前記細胞内における請求の範囲1記載のポリペプチドの活性の変化を分析する工程
    を含むことを特徴とする、腎不全治療薬をスクリーニングする方法。
  5. 下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号13のDNAを発現している請求の範囲2に記載の細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
    前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴とするCTGFの発現を抑制する物質をスクリーニングする方法。
  6. CTGFの発現を抑制する物質が腎不全治療薬である請求の範囲5に記載のスクリーニングする方法。
  7. 下流にレポーター遺伝子を保持する配列番号14のDNAを発現している請求の範囲2に記載の細胞と試験化合物とを接触させる工程及び
    前記細胞におけるレポーター活性を測定する工程を含むことを特徴とする腎不全治療薬をスクリーニングする方法。
  8. 請求の範囲1に記載のポリペプチドのインバースアゴニストを含有する腎不全治療用医薬組成物。
  9. 請求の範囲4乃至請求の範囲7に記載の方法によって得られる物質を含有する腎不全治療用医薬組成物。
  10. 請求の範囲4乃至請求の範囲7に記載の方法を用いてスクリーニングする工程、及び
    前記スクリーニングにより得られた物質を用いて製剤化する工程
    を含むことを特徴とする、腎不全治療用医薬組成物の製造方法。
  11. 請求の範囲1に記載のポリペプチドのインバースアゴニスト及び/又は請求の範囲4乃至請求の範囲7に記載の方法によって得られる物質を腎不全治療が必要な対象に有効量で投与することを含む、腎不全治療方法。
  12. 請求の範囲1に記載のポリペプチドのインバースアゴニスト及び/又は請求の範囲4乃至請求の範囲7に記載の方法によって得られる物質の、腎不全治療用医薬組成物を製造するための使用。
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