JPWO2003038505A1 - 光導波路装置 - Google Patents
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Abstract
光ビームの蛇行と偏波依存性の問題を解決し、かつ常時モニター性等に対処することができる光導波路装置を提供する。遮蔽状態では、溝(504a)、(504b)側壁のコア(501a)、(501b)の端面と、これに対面するコア(502a)、(502b)の端面との間に、コア(501a)、(501b)の端面から溝(504a)、(504b)内に入射した光ビームを所定の量だけ遮る位置に減衰板(505a)、(505b)が静止する。遮蔽状態では、減衰板(505a)、(505b)からの反射光は、コア(503a)、(503b)を有する場合これらの端面に照射される。入出力光ビームのモニタリングには、コア(501a)、(501b)よりも前の段階におけるその分岐出力、あるいはコア(502a)、(502b)の後の段階におけるその分岐出力、あるいはコア(503a)、(503b)からの出力を用いることができる。
Description
技術分野
本発明は光導波路装置に関し、より詳細には、光導波路に複数の溝を設置し、各々の溝に出入する減衰板を設け、各減衰板の各溝内の導波路コア端面に対する相対位置関係を制御することによって、光導波路の挿入損失(光減衰量)を制御する光導波路装置に関する。
背景技術
光通信ネットワークにおける近年の伝送容量の増大と高度化に対応して、1本のファイバーの高度な利用を図るため、波長の多重化が急速に進展している。
波長の多重化を実現する機能として、いわゆる合分波機能がある。合分波機能は、1本のファイバーの送信端から波長帯の異なる複数の光波を合波(多重化)して送り込み、ファイバー内を伝送させた後に、上記の合波された状態にある光波を、元の複数の送信波長帯ごとの光波に分波する機能である。この合分波を実現する代表的な光機能回路として、導波路型の合分波器が知られている。
波長多重化通信においては、上記の光波の合波・分波処理前の前段階または後段階で、複数の光波間の光強度のレベルを揃える「光強度の等化」が必要となる。かかる等化機能は、ファイバーごとに、あるいはファイバーに接続された光導波路ごとに、光強度の不均衡を調整する機能を持つ、いわゆる減衰器を構成単位として、その複数の構成単位の並列配置によって実現される。
即ち、複数の光波間の光強度の等化機能は、各光波の通る光導波路に減衰器を設置し、光波の強度の減衰量を相対的に可変調整することによって実現することができる。
従来の光導波回路として、MZ(マッハゼンダー)光干渉現象を用いるものが知られている。この回路は一般に、入力導波路部と、出力導波路部と、入力導波路部および出力導波路部の間にそれぞれY字状分岐部を介して接続された平行な中間導波路部とから構成される。しかしながら、このような従来のMZ光干渉現象を用いる光導波回路では以下の問題があった。
導波路内の光波の可変減衰調整を可能とする従来の代表的な方法として、導波路の温度光効果を用いる方法がある。かかる方法の場合、1つの入力導波路を分岐し、加熱による温度上昇で導波路の屈折率が変化する効果を用いて、少なくとも片側の導波路内の光波の伝播位相を連続可変制御する。加熱による温度上昇は、導波路上に付置したヒータ電力によって与えられる。
この場合、単一の光波の入力に対して、分岐導波路を少なくても2本必要とする。加えて、加熱用ヒータを付置した屈折率の調整部分にあたる導波路領域では熱膨張による歪みが加わる。結果として、入力する光波の伝播損失が偏光の方向で変わり、伝播損失の偏波依存性上が増大するという問題があった。
一方、光導波路のコアを切断する溝を形成し、溝内のコア断面を減衰板(遮蔽板)によって遮蔽するタイプの減衰器を用いた光導波路装置では、通常次に述べる不都合が生じている。
かかる光導波路装置は第1図に示すように、コア101の断面108から溝104に入射する矢印A方向の光ビームを減衰板105が遮蔽する。そして、光ビームの遮蔽部分の面積を減衰板105の矢印B方向への移動によって連続的に変えることで可変減衰の機能を得る。
可変減衰器に求められる減衰量の範囲は、微細レンジとしての0.1dBの桁での制御から、最大20dB前後の制御が必要となる。この場合、減衰量が極微の設定値(例えば0.1dB)から連続的に減衰量を変えるという条件の下では、第2A図に示されるように遮蔽領域は移動する減衰板105aとコア101aとの重なり部分の形状そのものであることから、遮蔽領域は一般にコアの裾野(縁)の部分から広がらざるを得ない。言い換えれば、1枚の減衰板で、コアの中心に最初から遮蔽領域を位置させ、かつ遮蔽領域がコア中心からコア周辺に向けて連続的に広がるような減衰板の形状を見出すことは困難である。
第2A図に示すコア断面の中心を通る横・縦方向の軸をそれぞれx軸・y軸とする場合、光ビームの伝播方向に垂直な断面、即ちx−y平面内の光強度分布は、減衰板を通過する前の状態で、そのx軸およびy軸に対してコア中心に強度ピークを持ち、かつx軸およびy軸に対して軸対称性を維持している。
第3図は、光の伝搬方向に垂直な断面内の伝搬光の強度分布を示し、比屈折率差Δ=0.3%、コア高さ8μm、コア幅8μmの光導波路を波長1.55μmの光が伝搬する場合の例を示している。このような光強度を持つ伝搬光に対して、第2A図に示すような矩形型の減衰板で減衰させる場合の、減衰板の位置とこれによって得られる減衰量の関係を第4図に示す。第4図において、減衰板のコア遮蔽率、即ちコアの総断面積とコアの遮蔽されている部分の面積の比率は破線で示されている。第3図から判るように、光強度はコア近傍のクラッド領域に裾を持つように広がっているため、コア断面の全域(第4図横軸の−4μm〜+4μm)を遮蔽しても伝搬光を全て遮断することはできず、減衰量はせいぜい13dB程度である。
従って、1枚の減衰板によって20dBの減衰量を得るには減衰板をコアに対して十分に大きくする必要がある。しかしながら、かかるコアに比べて十分大きな減衰板1枚のみで20dBを得る場合、かかる減衰板がコアの一方の片側から挿入されてコア中央を蔽う。このため、コアの反対側までの領域を遮蔽するように移動する過渡的な段階で、光ビームはコアの片側に極端に偏ってしまい、更にはコアの外側の裾野のみを透過する状態となる。
即ち、通常1枚の減衰板を通過した光ビームの強度のピークの位置はコア101aの中心から外れる。このため、光ビームが溝内の第2A図に示す形状の減衰板105aを通過した後の光ビームは、x軸に対する折り返した軸対称性を失う。減衰板通過後のビームは、コアとクラッドとの屈折率差によってコアの中心に向かって戻され、コア中心を越えて反対側に外れ、再び曲げられ戻る。結果として、光ビームはコアの周りで蛇行しつつ伝播することになる。しかも、蛇行の程度は、減衰板の遮蔽部分がコアの片側からコアの中心に向かって広がるほど増大する。
かかる光ビームの蛇行は、導波路内に次段の機能を有する場合には次段の機能の正常な発現を阻害する。更には、出力側のファイバーに繋がれている場合にはファイバーとの光結合特性に劣化が生ずる等、種々の不都合を引き起こす原因となる。
第2A図に示すように偏った遮蔽域を持つ減衰板の挿入では、上記の蛇行の問題に加えて、偏波依存性の問題が引き起こされる。即ち、第2A図に示す例では上述した光強度の分布のコア中心からのズレに伴う蛇行の問題に加えて、コア中心の近傍で本図の上方からy軸方向にのみ大きな遮蔽を被る。かかる場合、減衰板105aをコア101aの中央部に、より近づけて減衰量を増やすほど、偏波依存性が増大するという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1枚の減衰器の形状の工夫では解決しない蛇行と偏波依存性の問題を解決することができる光導波路装置を提供することにある。
発明の開示
本発明の第1の側面において、本発明にかかる光導波路装置は、基板上に配置された単一モード導波路と、該単一モード導波路を横断する溝と、該溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる一対の減衰板とを備えたものである。
ここで、前記一対の減衰板は、前記溝に沿って配置されているものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、互いに隣接しかつ互いに反対方向に移動して前記光ビームを遮蔽するものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、同一の前記溝内に配置されているものとすることができる。
また、前記一対の減衰板の間隔は、約60μm以下であるものとすることができる。
また、前記一対の減衰板の各々は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に向かう軸に対して対称的な形状であるものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に垂直な軸に対して対称的な形状であるものとすることができる。
また、前記溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの付加的減衰板を更に備えるものとすることができる。
ここで、前記付加的減衰板は、前記一対の減衰板よりも前記光ビームの出力側に配置されているものとすることができる。
本発明の第2の側面に置いて、本発明にかかる光導波路装置は、基板上に並列配置された複数の単一モード導波路と、該単一モード導波路を横断する溝と、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの減衰板であって、前記溝の内部を移動可能に配置された減衰板とを備え、前記減衰板のうちの少なくとも1つは、前記光ビームの強度分布の裾部を遮蔽するものである。
ここで、前記減衰板の先端は、三角形状に形成されているものとすることができる。
また、前記入射した光ビームのうち、前記減衰板により遮断されて反射した光ビームを導く付加的導波路を更に設けたものとすることができる。
また、前記複数の単一モード導波路の各々は、1本の光導波路からなるものとすることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
《導波路の配置》
本実施形態にかかる光導波路装置は、第5図に示すように、基板上に配置されたコア501a、502a、501bおよび502bを含む単一モード導波路と、この単一モード導波路を横断する溝504a、504bと、この溝の内部に配置され、単一モード導波路の一端から導かれて溝504a、504bに入射した矢印A方向の光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる一対の減衰板505aおよび505bとから構成されている。単一モード導波路は、それぞれ1本のコアを有し、溝504aおよび504bによって区切られている。ここで、コア501aおよび502aは、それぞれ溝504aに対する第1の導波路および第2の導波路を構成する。また、コア501bおよび502bは、それぞれ溝504bに対する第1の導波路および第2の導波路を構成する。
一対の減衰板505aおよび505bは、単一モード導波路のコア断面に沿って配置されている。また、単一モード導波路に入射した光ビームのうち、減衰板505aおよび505bにより遮断されて反射した光ビームを導くコア503aおよび503bが更に設けられている。コア503aおよび503bは、それぞれ溝504aおよび504bに対する第3の導波路を構成する。
遮蔽状態では、溝504a、504bの側壁のコア501a、501bの端面と、これに対面するコア502a、502bの端面の間に、コア501a、501bの端面から溝504a、504b内に入射した光ビームを所定の量だけ遮る位置に減衰板505a、505bが静止する。
減衰板505a、505bからの反射光は、コア503a、503bを有する場合には、溝においてコア503aの端面に照射される。もしくは、コア503a、503bがない場合には、溝504a、504b内の側壁のうち、上記コア501a、501bまたはコア502a、502bの端面とは異なる部分に照射される。
遮蔽状態において、コア501a、501bの端面から減衰板505a、505bに入射した光ビームは、以下の3つの成分に分かれる。
即ち、第1の成分は、減衰板505a、505bからの反射成分であり、コア503a、503bの端面に結合する。第2の成分は、透過成分であり、コア502a、502bの端面に結合する。第3の成分は、減衰板505a、505b内で減衰する成分か、あるいは減衰板から反射されながらいずれの導波路とも結合せずに散逸する光損失成分である。
かかる系の入出力光ビームのモニタリングは、第1の導波路よりも前の段階においてその分岐出力を用いるか、あるいは第2の導波路の後の段階においてその分岐出力を用いるか、あるいは第3の導波路からの出力を用いて行うことができる。
なお、本発明で用いる代表的な光導波路としては、コア・クラッドが石英系ガラスからなる石英系導波路や、コア・クラッドが有機材料からなるプラスチック導波路があるが、単一モード導波路であれば、構成材料は特にこだわらない。
基板材料としては、シリコン、ガラス、セラミックスなど、更にプラスチック導波路の場合には樹脂の適用が可能である。また、前記の光導波路は基板上への膜堆積と膜加工によってコア・クラッドを形成する構造であるが、これより作成が簡易な構造としてシリコン、ガラス、セラミックス、樹脂などの基板表面にV溝あるいはU溝を形成し、形成した溝をガイドとして溝内に出来合いの単一モードファイバを接着固定した導波路構造を用いることができる。この場合、基板表面に減衰板とその駆動機構を設置するために、基板表面は必要量研磨しファイバの設置によって生じる段差を解消し表面を平滑にしておくのがよい。また、ある程度の研磨量を確保すれば研磨された基板表面からのコア位置が浅くなり、減衰板の動作距離が小さくなるため、減衰板の小型化、減衰板駆動の低電力化が図れる。このタイプの導波路は、第5図に示すような交差するコア503a、503bを設けることが難しいが、501a、502a、501b、502bからなる1入力1出力の可変減衰器の場合には有効である。
《減衰板の駆動方法と静止位置の制御法》
第5図に示す減衰板505a、505bが上下動した後に静止する位置は、光ビームの減衰量を決める。減衰板505a、505bの上下動は、通常MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)技術を用いたカンチレバー等で実現できることは周知であり、具体例は”Micromachined 2x2 Optical Switch Array by Stress−Induced Bending,”(M.Katayama et al.Technical Digest Forth International Topical Meeting on Contemporary Photonic Technologies(CTP 2001),p.27−28,Mc−4,Jan.15−17,2001)等でも記述されている。
カンチレバーに固定された減衰板505a、505bの運動軌跡は、並行移動型または近似的な並行移動としての円弧を描き、コア断面を所定の減衰値で遮蔽する位置に停止させることになる。
減衰板の静止位置の制御は、該静止位置とカンチレバーに与える電気的制御量とに予め対応関係を付けることによって可能となり、かかる電気制御量を記憶させたカンチレバーの駆動回路によって、静止位置を設定できる。
あるいは、出力モニターからの受光レベルをリアルタイムで検出する制御ループを形成し、透過状態(実効的な0減衰状態)の受光レベルから所望の減衰量だけモニター検出レベルが低下する受光レベルを基準にして、減衰板の位置に自動制御をかけることによっても、減衰板の静止位置を設定することができる。
《疎調整》
通常の可変減衰器に求められる減衰量の範囲が微細レンジとしての0.1dBの桁から最大20dB前後の範囲に及ぶことは先述した。また、減衰器における光ビームの減衰量の設定は、上述の微調整(0.1dB刻み)での設定と1〜10dB単位程度の疎調整の設定とを組み合わせて行われる。従って可変減衰量についても、微調整と疎調整の両方に関する実現方法が必要となる。
本発明は、20dB程度の疎調整域の大きな減衰量の確保に際し、減衰板の移動の中間程度においても、透過域のx軸、y軸両軸に対する軸対称性を維持する方法として、少なくとも2つの減衰板が、互いに隣接しあい、かつコア端面に対して互いに反対方向から移動する構成をとることを1つの特徴としている。
第6A図〜第6D図および第7A図〜第7D図は、隣接しあう2枚の減衰板による2つの遮蔽状態を、減衰板を含む断面で示している。なお、これらの図に示す例では、隣接する一対の減衰板は、y軸方向に沿って、互いに反対方向に移動することにより光ビームを遮蔽する。第6A図〜第6D図に示すように、y軸および減衰板の移動方向に垂直なx軸のまわりに、2枚の減衰板の形状が互いに対称形をなす場合が本発明の主旨を最も端的に現わす場合となる。また、第7A図〜第7D図に示すように、y軸のみに対称でコア中心のまわりに正三角形状の透過領域を残す様な場合、更に減衰板の形状が部分的に非対称の場合でも、それによる蛇行・偏波依存性が許容できる範囲内にある限り本発明の主旨から外れない。
第8A図は、光ビームの伝播方向に沿ってコア中心を含んだ導波路、溝、減衰板の断面を示す。また、第8B図のグラフ812b,814b,816b,818b,820bの斜線部分は、それぞれ第8A図の位置812a,814a,816a,818a,820aにおける光ビームの強度分布を示す。なお、第8A図に示す例では、一対の減衰板805a、805bが別々の溝に配置されているが、同一の溝に設置する構成としてもよい。
上述した一対2枚の減衰板の相互の距離は、以下の条件を満足する必要がある。第8B図は、光ビームの強度分布が2枚の減衰板の遮蔽を被って減衰する様子を示している。第8B図において、グラフ812bは本発明の2枚のうちの第1の減衰板の遮蔽を受ける直前の強度分布、グラフ814bは第1の減衰板を通過した直後の強度分布、グラフ816bは第2の減衰板の遮蔽を受ける直前の強度分布、グラフ818bは第2の減衰板を通過した直後の強度分布、グラフ820bは第2の減衰板から十分に隔たった位置での強度分布をそれぞれ示す。
本発明の特徴の1つは、2つの減衰板が、第8B図の第1の減衰板を通過した直後の光強度分布814bを極力保った状態の強度分布即ち強度分布816bの状態で第2の減衰板に入射するように第1および第2の減衰板が相互に近接して位置することである。換言すれば、減衰板は光導波路と溝を通る光ビームに対して開口部分を持つ回折物である。この回折物による回折現象は、該回折物から近い場所で観測されるかまたは十分に遠い位置で観測されるかによって異なり、減衰板に近接する場所での観測ではFresnel回折、遠方での観測ではFraunhofer回折となる。本実施形態では、近接場の回折範囲内に第2の減衰板が位置している必要がある。
本実施形態にかかる光導波路装置に使用される導波路として、断面が縦横各々8μmのものを用いた場合、減衰板からの距離にして30〜60μm程度以内ならFresnel回折領域である。かかる30〜60μm程度が2枚の減衰板相互間の距離の目安を与えるものとなることは、例えば古典光学(”Principles of Optics 5th Edition”,by Max Born and Emil Wold,Pergamon Press,1975.pp.384)に知られるところである。
即ち、観測位置の減衰板からの距離をs、開口部(断面)が縦横幅Dの矩形、導波路内波長をλとして、Fraunhofer回折の条件、即ち回折物開口部から十分に遠方であることの条件は、下式で与えられるとされている。
S≫nD2/λ (1)
但し、nは回折領域の屈折率である。上式(1)において、右辺が最小でどの程度の値となるかが、減衰板相互距離の近接条件の目安となる。開口部のサイズDの最小値は、例えば第6A図に示した減衰板1005、1005bを遮蔽率が最大となるように配置した場合、即ち第6A図の減衰板の下方底辺がコアの下の辺に一致した場合に対応する。この場合、コアの1/4が透過状態となり、その時のサイズDの値は、概ね8/2〜8/√2程度である。また、サイズDの最大値は8μm程度である。
また、基板上に単一モードファイバを接着固定する導波路構造のものでも、ファイバのコア径が上記矩形型のコアのサイズと同等なことから、上記の数値は近似論として変わることはない。
以上により、n〜1.5、λ〜1.5μmであることから、s≫nD2/λ=30〜60μm程度が見積もられ、この範囲以内においては光は減衰板の形状とほぼ同じ形状の分布を保ったままで伝搬する。
言い換えれば、かかる値の範囲30〜60μm程度まではFresnel回折条件が成立し、2つの減衰板が上述せる機能即ち、第6A図〜第6D図に示したような2つの減衰板がその透視図の重ね合わせとして機能する相互間距離の目安を与えるものとなる。
このように、2個の減衰板を近接して組み合わせることによって、先述の諸問題即ち蛇行・偏波依存の増大に対処しつつ所定の減衰量を与えることが可能になる。また、この効果は、減衰板がコアの内部に位置し比較的大きな減衰量、例えば数dBの疎調整域の減衰量を設定する場合においても達成される。
なお、本発明の減衰板は2個に限らず、更に付加的な減衰板を設けた構成としてもよい。例えば、第9A図に示すように3個の減衰板905a−1〜905a−3、第9B図に示すように4個の減衰板905b−1〜905b−4、あるいはそれ以上の数の減衰板を使用し、各々の減衰板によってコア中心の周りに多角形状の透過領域を残すことができる。
また、20dB程度の大きな可変減衰量の制御精度を更に高める方法として、かかる減衰板対を複数化する方法がある。第3図の光強度分布はコア中心から離れるほどなだらかとなっている。所定の与えるべき減衰量を複数対の減衰板で分担することにより、各減衰板の減衰量設定値が下がり、その結果、第3図の光強度分布の上で強度変化のなだらかな裾部に各減衰板の位置を設定することが可能となる。
《微調整》
以下に、0.1dBの台の微小な減衰値(微調整)の実現法を述べる。
減衰板の位置と減衰板がコア断面を遮蔽する割合との関係が、第10図に示されている。コアの総断面積とコアの遮蔽されている部分の面積(Scross)との面積比率を遮蔽率と定義すれば、遮蔽率は減衰板の先端部の形状に依存する。第10図において、三角形型の減衰板の形状を(高さ/コア高さ)×(底辺の幅/コア幅)で表すと、三角形(1)型は1/2×1であり、三角形(2)型は1/2×1/5である。
第10図に例示した三種類の減衰板先端部の形状それぞれについて、減衰板の移動量と遮蔽率との関係が第11図および第12図に示されている。第11図および第11図の横軸0.5μmまでの領域を拡大した第12図においても明らかなように、減衰板の先端部形状が尖るほど、微弱な減衰量の制御に有利となる。第12図で見ると、三角形の先端の最も尖った三角形型(2)のケースでは、減衰板の位置を0から0.3への変位制御、例えばコア高さ8μmの場合に絶対値として2.4μmの変位を制御できれば、一般に減衰器に求められる最小刻みの0.1dB単位の減衰が制御できる。他方、矩形型の減衰板では、0から0.02(0.16μm)への微小な変位を制御する必要があり、変位制御の精度には三角形型(2)の精度に比べて、15倍の相対精度の精密さが要求されることになる。
遮蔽面積比をもとにした上述の結果は、減衰板形状の違いが減衰量に与える効果を相対比較する場合で有効である。しかし、減衰量の絶対値をより正確に見積もるには、コアの内側のみならずコア近傍のクラッド領域にまで広がる光の裾野を含めた全体の光強度分布を知る必要がある。
この様な光強度分布を考慮した減衰板の効果は既に第4図において示されている。
第13図は、第4図の横座標軸上の−6μmから0μmまで領域の拡大図である。第13図において、実線は0.1dB台の微小な減衰量の制御域が横座標軸上でコアの端にあたる−4μmよりもクラッド領域に2μm入り込んだ−5.6μm近傍にあることを示している。つまり、0.1dBの減衰量の設定には、減衰板をコア中心から−5.6μm離れた位置に静止させる必要があることを示している。また、減衰量を0.01dB台の僅かな量を増加させるための減衰板の移動範囲は、約−10μmから−5.6μmまでである。
また、かかる微小な減衰量に減衰板を設定する場合、光強度分布はその裾野の一部でしか遮蔽を受けないので、光ビームの中心がコアの中心から外れる程度は微弱であり、上述した光ビームの蛇行の程度も微弱である。よって、上述した偏波依存特性も極めて微小であり、実用上の問題とならない。またこの減衰器がかかる0.1dB台のみの微調整域の減衰値設定を受けた場合、他の減衰板は全て透過状態に置かれる。
《微調整用減衰板の減衰量設定精度を更に高める方法》
次に、1dB台、例えば−1dBの値は、第13図において矩形減衰板の先端がコアの端−4μmの位置から1.7μmだけコア内部に向けて移動した状態で得られる。
更に、これらの減衰板の移動量の制御精度を高めるには、第10図に示した三角形型等のように減衰板の先端部分に突端部分を設けることで可能となる。蛇行回避・偏波依存回避の要求が厳しい場合、1dB台の減衰値の設定においても、上記の疎調整用と同様に一対の減衰板を用いればよい。
《疎調整用減衰板対と微調整用減衰板の配置順序》
一方、第8A図の位置818aの強度分布818bが位置820aの強度分布820bに変化するのに要する距離は、上述のFraunhofer回折が満たされる条件を目安にすることができる。式(1)の不等式関係において、右辺の値よりも十分に大きい値として仮に右辺の10倍の値を左辺sの条件とする場合、位置818aと位置820aの距離は数百μmとなる。ここで、位置818aと位置820aとの間に必要な距離とは、減衰板によって透過ビームに生じた強度分布の偏りが消滅して再び元の導波路とクラッドによって決まる強度分布におさまるまでの距離である。従って、かかる距離は、1つの減衰板がそれで隣接する後方の減衰板にビームの強度分布の観点で影響を与えない距離に相当する。
本発明によれば、複数の減衰板が上述した三角形型などの微調整用減衰板と疎調整用の対としてある2枚の減衰板とが継続配置されるにあたり、入力光ビームに対して疎調整用の減衰板対が先に配置され、その後に微調整用の1つの減衰板が配置される。これは、疎調整用の減衰板は微調整用減衰板に比べてビームの遮蔽率が大、即ち開口部がより小さいために、式(1)の右辺の値nD2/λのDが小さくなるからである。結果として、疎調整用の減衰板により近い光伝播距離以内でもFraunhofer回折条件に近づくことになる。即ち、疎調整用減衰板対による強度分布の変形が残る減衰板からの距離は、微調整用減衰板による強度分布の変形が残る減衰板からの距離よりも短くなる。
以上の結論として、本発明によれば、微調整用減衰板を疎調整用減衰板対よりも入射ビームの出力側に配置することによって、減衰板の設置される導波路の全体長を、より短くし、ひいては本減衰器のチップ面積を縮小することが可能となる。
以上、本発明による第6A図〜第6D図および第7A図〜第7D図に例示したような形状の少なくとも一対の減衰板によって、出力光ビームの蛇行と、偏波依存性を抑えることができる。併せて、第10図に示したような減衰板の形状によって微調整域の減衰量を高精度で可変制御し、所望の減衰量を制御することが可能となる。
《連続可変制御の実現法》
減衰量の連続可変の設定は、下記のようにして可能となる。
本発明の装置は、光導波路の溝内の側壁にある導波路コアからの光ビームと減衰板との相対位置関係を変えることによって、該光ビームを透過状態と遮蔽状態のいずれかに制御する機能を持つ。遮蔽状態における光ビームの減衰量は、原理的に連続可変とすることが可能である。
第14図は本実施形態にかかる光導波路装置を含む光電子回路系の構成を示し、光ビームの減衰量を連続的に制御することが可能な構成例を示している。なお、第14図に示す例では、溝部分に充填するマッチング液、減衰板のアクチュエーターは省略されている。
第14図において、光電子変化部1412は、モニター受光/電気変換/増幅器(OE変換+Amp)の部分である。また、駆動電子回路1413は、透過光減衰量演算制御・減衰板駆動電力供給用電子回路の部分であり、減衰板1405の位置を制御する。
また、矢印aは入力光、矢印bは透過出力光、矢印cはモニター光、矢印dは減衰板1405への減衰板駆動用電気入力をそれぞれ示す。なお、第14図ではモニター光cが減衰板を通じた反射光をモニターとする方法を示しているが、導波路1401、1402にタップを設け、一定比率の分流成分をモニターとする方法も可能である。
この光電子回路系では、予め減衰板1405の位置を決める駆動電子回路1413の状態と減衰板1405の透過光の減衰量との関係を1対1に対応して記憶させることが可能であり、駆動電子回路1413はこの関係を用いて外部から設定する減衰量を電気的に制御する。この場合、モニター光cおよび光電子変化部1412は、減衰板1405の制御用の帰還ループに組込まれていない。従って光電子変化部1412から駆動電子回路1413への電気情報伝達は不要であり、モニター光cは本来のモニタリングにのみ利用される。減衰板の位置制御には、駆動電子回路から供給される電力によって、減衰板を機械的に支持するカンチレバーを動作させ、減衰板を所定の位置に保持する前述のMEMS技術等が用いられる。
モニター光cを導く光導波路を、光導波路1401と光導波路1402の双方に設置する構成では、2個のモニター光cに対し、各々ともに光電子変化部1412が必要となる。かかる構成では、駆動電子回路1413に対して入力、透過出力の2つの光量を得て、実際の光減衰量が直接得られる。かかる実際の光減衰量と設定の減衰量との比較をもとに、連続的な減衰量の電気的制御が可能となる。
《溝の形成法説明》
本実施形態で使用する光減衰装置において、溝の損失は減衰作用に直接影響を与えない。しかし、減衰量の可変範囲を広くとり、また複数の溝を許容するためには溝の損失は小さい方が好ましい。溝の損失は溝幅で決まり、例えば溝にマッチングオイルが満たされた透過状態において、コアとクラッドの比屈折率差Δを0.3%、コアサイズを8μmとすると、溝幅10μm以下とすることにより溝損失を0.01dB以下にできる。
溝の形成法には、石英のエッチングがあり、この方法は例えば“低損失自己保持型光マトリクススイッチの研究”(下川房男他、NTT R&D Vol.44,No.8,1995.p,684−688)等によって公表されている。
《アレイ構成》
本発明を適用した光導波路装置において、第1の導波路同士は互いに交差せずに並列し、第1および第2の導波路は直接接続しあうか、もしくは、溝を介して縦列しあい、第1および第2の縦列しあう導波路が1つの組の単位を構成する。溝には本発明の可変減衰機能があり、該一組の導波路全体で所定の減衰量を実現する減衰器となる。更に溝には、マッチングオイルが満たされている。
第1および第2の導波路の並列数だけ減衰器が並列した場合、これら総体は並列導波路同士の光強度を等化する機能を持つことができる。
第15A図および第15B図は、本実施形態にかかる光導波路装置における光導波路の組み合わせの例を示す。このうち、第15A図は、第3の導波路を持たない減衰器の構成例を示す。入射光量は入力導波路1501a−1もしくは出力導波路1501a−4、または、これらの双方の途中に別途の導波路を近接させ、この近接させた導波路に入力導波路1501a−1または出力導波路1501a−4、または、これらの双方から一定比で漏洩する光を検出するモニタータップを設けた構成もとり得る。
第15A図において、右の2個の減衰板1505a−1および1505a−2は一対となって、互いに30〜60μm以内に接近して配置されて疎調整域の減衰量を設定し、左の1個の減衰板1505a−3は、右の1対とは任意の距離を離れて設置されて0.1dB台の微調整域の減衰量を実現するものである。
第15B図は、第3の導波路を含む構成を示す。なお、第15B図の場合、第3の導波路は減衰板からの反射の一部を受光するモニタリング端子ともなる。即ち、第3の導波路1503b−1〜1503b−3は、減衰板1505b−1〜1505b−3からの反射光を受けるモニター導波路であり、遮蔽状態における反射出力を検知することができる。
《比較例》
第2A図の減衰板形状で引き起こされる光ビームの蛇行と偏波依存性の2つの問題のうち蛇行の問題は、第2B図に示されるような、矩形の2本のフォーク状の減衰板105bの形状によって一見回避される。但し、仔細に見ると、フォークの先端を上方からコア101bの途中まで挿入した状態では、遮蔽の領域はx軸に対する対称性を失い、光強度のピークはコア101bの中心から下方にずれ、先述の蛇行現象につながる。従って、第2B図の減衰板105bの挿入状態の中間位置を連続して用いる可変型の減衰動作には難点があり、挿入損失として一定値を期待する固定型の減衰器とならざるを得ない。
また、固定型の減衰器として第2B図に示すものを利用する場合においても、減衰量を増加させるために遮蔽域をコアの左右両翼からコア中央に向けて増大させるほど、コアの中央透過領域は縦に長くなり、偏波依存の問題が顕著になる。以上から、第2B図の減衰板105の形状では、可変性の維持・蛇行と偏波依存の問題の背反関係は解消されない。
第2C図は、第2B図のタイプの減衰板に可変性を持たせるために、減衰板105cの先端部の形状を雁行型とした場合を示している。かかる形状では、減衰板105cの上下動で遮蔽面積が連続可変する。雁行形状の開きを大きくすることにより減衰板105cの上下動に対する減衰域の変化量を増大できるが、第2B図同様に偏波依存の問題が解決できない。
第2D図は蛇行と偏波依存の問題を回避する意図を持たせた減衰板の形状である。第2D図に示す事例では、透過用の空隙が複数個設置されており、1枚の減衰板をスライドすることで複数の減衰状態を可能にする例、および小さな透過用間隙を複数個配置した1つの減衰板の事例を含んでいる。透過用の間隙の形状は、円と十字で示した本事例以外にも様々な多角形並びに多角形の角を丸くした曲線型もあり得る。
しかし、コア中心に位置させた減衰板の一定の移動範囲内では、光強度分布の変化に対応して一定の可変性を得ることはできるが、減衰板をコア中心から大きく移動させると蛇行の問題が生ずる。
これらの様々な透過用間隙が閉じている減衰板形状の場合、減衰板のコア中央に移動する過程で一時的に減衰板がコア全面あるいは殆ど全面を遮蔽し、その結果として透過光が過渡的に大きく減少するか、もしくはかかる過渡状態で透過光が全て遮蔽されて第2の導波路への出力光成分が完全に消滅する。かかる症状を持つ減衰板の形状は、透過光が常時モニターされるシステムに用いられる場合に障害となるので、減衰器としての汎用性を失わせしめることになる。
以上の説明から明らかなように、本発明は、通信ネットワークにおいて、単一のファイバー内に多重化された複数の光波間の相互の光強度の等化を実現する等化装置の構成単位としての光減衰装置に適用することができる。また、複数の光ファイバー相互の接続関係の任意随時かつ柔軟な変更、任意のファイバーからの出力信号光の光電気変換、任意のファイバーに情報を送る入力信号光の電気光変換などに対して、それらの処理の前段階ないしは後段階の処理としての光波信号強度レベルの減衰・調整を行う光減衰装置に適用することもできる。かかる装置の利用分野は、今後光ファイバーネットワークの多重化・複雑化に伴い拡大するであろう。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、1枚の減衰板の形状の工夫では解決できなかった蛇行と偏波依存性の問題を解決することができる。
また、出力モニターからの受光レベルをリアルタイムで検出するので、常時モニター性等にも対処することができる。
また、可変減衰作用を1本の直線導波路で実現することができるので、従来のMZ型光導波回路と比較して、回路面積は原則半減される。
更に、ヒーターによる導波路の加熱が不要となることから、偏波依存上の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来の光導波路装置の、光の進行方向に沿った断面図である。
第2A図〜第2D図は、光導波路装置の減衰板の移動に伴う、コアの遮蔽領域の変化を示す図である。
第3図は、光導波路装置における光波のエネルギの強度分布特性を示す図である。
第4図は、光導波路装置における減衰板の位置と、減衰量との関係を示す図である。
第5図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、光の進行方向に沿った断面図である。
第6A図〜第6D図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の遮蔽特性を示す図である。
第7A図〜第7D図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の遮蔽特性を示す図である。
第8A図および第8B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板とコアとの位置関係、およびコアの各位置における光強度分布を示す図である。
第9A図および第9B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の組合わせの例を示す図である。
第10図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板のコア遮蔽率の減衰板形状依存性を示す図である。
第11図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板先端部の位置とコアの遮蔽面積比率との関係を示す図である。
第12図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板先端部の位置と、コアの遮蔽面積比率との関係を示す図である。
第13図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の位置と減衰量との関係を示す図である。
第14図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置を含む光電子回路系の構成例を示す図である。
第15A図および第15B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の複数組の構成例を示す図である。
本発明は光導波路装置に関し、より詳細には、光導波路に複数の溝を設置し、各々の溝に出入する減衰板を設け、各減衰板の各溝内の導波路コア端面に対する相対位置関係を制御することによって、光導波路の挿入損失(光減衰量)を制御する光導波路装置に関する。
背景技術
光通信ネットワークにおける近年の伝送容量の増大と高度化に対応して、1本のファイバーの高度な利用を図るため、波長の多重化が急速に進展している。
波長の多重化を実現する機能として、いわゆる合分波機能がある。合分波機能は、1本のファイバーの送信端から波長帯の異なる複数の光波を合波(多重化)して送り込み、ファイバー内を伝送させた後に、上記の合波された状態にある光波を、元の複数の送信波長帯ごとの光波に分波する機能である。この合分波を実現する代表的な光機能回路として、導波路型の合分波器が知られている。
波長多重化通信においては、上記の光波の合波・分波処理前の前段階または後段階で、複数の光波間の光強度のレベルを揃える「光強度の等化」が必要となる。かかる等化機能は、ファイバーごとに、あるいはファイバーに接続された光導波路ごとに、光強度の不均衡を調整する機能を持つ、いわゆる減衰器を構成単位として、その複数の構成単位の並列配置によって実現される。
即ち、複数の光波間の光強度の等化機能は、各光波の通る光導波路に減衰器を設置し、光波の強度の減衰量を相対的に可変調整することによって実現することができる。
従来の光導波回路として、MZ(マッハゼンダー)光干渉現象を用いるものが知られている。この回路は一般に、入力導波路部と、出力導波路部と、入力導波路部および出力導波路部の間にそれぞれY字状分岐部を介して接続された平行な中間導波路部とから構成される。しかしながら、このような従来のMZ光干渉現象を用いる光導波回路では以下の問題があった。
導波路内の光波の可変減衰調整を可能とする従来の代表的な方法として、導波路の温度光効果を用いる方法がある。かかる方法の場合、1つの入力導波路を分岐し、加熱による温度上昇で導波路の屈折率が変化する効果を用いて、少なくとも片側の導波路内の光波の伝播位相を連続可変制御する。加熱による温度上昇は、導波路上に付置したヒータ電力によって与えられる。
この場合、単一の光波の入力に対して、分岐導波路を少なくても2本必要とする。加えて、加熱用ヒータを付置した屈折率の調整部分にあたる導波路領域では熱膨張による歪みが加わる。結果として、入力する光波の伝播損失が偏光の方向で変わり、伝播損失の偏波依存性上が増大するという問題があった。
一方、光導波路のコアを切断する溝を形成し、溝内のコア断面を減衰板(遮蔽板)によって遮蔽するタイプの減衰器を用いた光導波路装置では、通常次に述べる不都合が生じている。
かかる光導波路装置は第1図に示すように、コア101の断面108から溝104に入射する矢印A方向の光ビームを減衰板105が遮蔽する。そして、光ビームの遮蔽部分の面積を減衰板105の矢印B方向への移動によって連続的に変えることで可変減衰の機能を得る。
可変減衰器に求められる減衰量の範囲は、微細レンジとしての0.1dBの桁での制御から、最大20dB前後の制御が必要となる。この場合、減衰量が極微の設定値(例えば0.1dB)から連続的に減衰量を変えるという条件の下では、第2A図に示されるように遮蔽領域は移動する減衰板105aとコア101aとの重なり部分の形状そのものであることから、遮蔽領域は一般にコアの裾野(縁)の部分から広がらざるを得ない。言い換えれば、1枚の減衰板で、コアの中心に最初から遮蔽領域を位置させ、かつ遮蔽領域がコア中心からコア周辺に向けて連続的に広がるような減衰板の形状を見出すことは困難である。
第2A図に示すコア断面の中心を通る横・縦方向の軸をそれぞれx軸・y軸とする場合、光ビームの伝播方向に垂直な断面、即ちx−y平面内の光強度分布は、減衰板を通過する前の状態で、そのx軸およびy軸に対してコア中心に強度ピークを持ち、かつx軸およびy軸に対して軸対称性を維持している。
第3図は、光の伝搬方向に垂直な断面内の伝搬光の強度分布を示し、比屈折率差Δ=0.3%、コア高さ8μm、コア幅8μmの光導波路を波長1.55μmの光が伝搬する場合の例を示している。このような光強度を持つ伝搬光に対して、第2A図に示すような矩形型の減衰板で減衰させる場合の、減衰板の位置とこれによって得られる減衰量の関係を第4図に示す。第4図において、減衰板のコア遮蔽率、即ちコアの総断面積とコアの遮蔽されている部分の面積の比率は破線で示されている。第3図から判るように、光強度はコア近傍のクラッド領域に裾を持つように広がっているため、コア断面の全域(第4図横軸の−4μm〜+4μm)を遮蔽しても伝搬光を全て遮断することはできず、減衰量はせいぜい13dB程度である。
従って、1枚の減衰板によって20dBの減衰量を得るには減衰板をコアに対して十分に大きくする必要がある。しかしながら、かかるコアに比べて十分大きな減衰板1枚のみで20dBを得る場合、かかる減衰板がコアの一方の片側から挿入されてコア中央を蔽う。このため、コアの反対側までの領域を遮蔽するように移動する過渡的な段階で、光ビームはコアの片側に極端に偏ってしまい、更にはコアの外側の裾野のみを透過する状態となる。
即ち、通常1枚の減衰板を通過した光ビームの強度のピークの位置はコア101aの中心から外れる。このため、光ビームが溝内の第2A図に示す形状の減衰板105aを通過した後の光ビームは、x軸に対する折り返した軸対称性を失う。減衰板通過後のビームは、コアとクラッドとの屈折率差によってコアの中心に向かって戻され、コア中心を越えて反対側に外れ、再び曲げられ戻る。結果として、光ビームはコアの周りで蛇行しつつ伝播することになる。しかも、蛇行の程度は、減衰板の遮蔽部分がコアの片側からコアの中心に向かって広がるほど増大する。
かかる光ビームの蛇行は、導波路内に次段の機能を有する場合には次段の機能の正常な発現を阻害する。更には、出力側のファイバーに繋がれている場合にはファイバーとの光結合特性に劣化が生ずる等、種々の不都合を引き起こす原因となる。
第2A図に示すように偏った遮蔽域を持つ減衰板の挿入では、上記の蛇行の問題に加えて、偏波依存性の問題が引き起こされる。即ち、第2A図に示す例では上述した光強度の分布のコア中心からのズレに伴う蛇行の問題に加えて、コア中心の近傍で本図の上方からy軸方向にのみ大きな遮蔽を被る。かかる場合、減衰板105aをコア101aの中央部に、より近づけて減衰量を増やすほど、偏波依存性が増大するという問題があった。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1枚の減衰器の形状の工夫では解決しない蛇行と偏波依存性の問題を解決することができる光導波路装置を提供することにある。
発明の開示
本発明の第1の側面において、本発明にかかる光導波路装置は、基板上に配置された単一モード導波路と、該単一モード導波路を横断する溝と、該溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる一対の減衰板とを備えたものである。
ここで、前記一対の減衰板は、前記溝に沿って配置されているものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、互いに隣接しかつ互いに反対方向に移動して前記光ビームを遮蔽するものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、同一の前記溝内に配置されているものとすることができる。
また、前記一対の減衰板の間隔は、約60μm以下であるものとすることができる。
また、前記一対の減衰板の各々は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に向かう軸に対して対称的な形状であるものとすることができる。
また、前記一対の減衰板は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に垂直な軸に対して対称的な形状であるものとすることができる。
また、前記溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの付加的減衰板を更に備えるものとすることができる。
ここで、前記付加的減衰板は、前記一対の減衰板よりも前記光ビームの出力側に配置されているものとすることができる。
本発明の第2の側面に置いて、本発明にかかる光導波路装置は、基板上に並列配置された複数の単一モード導波路と、該単一モード導波路を横断する溝と、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの減衰板であって、前記溝の内部を移動可能に配置された減衰板とを備え、前記減衰板のうちの少なくとも1つは、前記光ビームの強度分布の裾部を遮蔽するものである。
ここで、前記減衰板の先端は、三角形状に形成されているものとすることができる。
また、前記入射した光ビームのうち、前記減衰板により遮断されて反射した光ビームを導く付加的導波路を更に設けたものとすることができる。
また、前記複数の単一モード導波路の各々は、1本の光導波路からなるものとすることができる。
発明を実施するための最良の形態
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
《導波路の配置》
本実施形態にかかる光導波路装置は、第5図に示すように、基板上に配置されたコア501a、502a、501bおよび502bを含む単一モード導波路と、この単一モード導波路を横断する溝504a、504bと、この溝の内部に配置され、単一モード導波路の一端から導かれて溝504a、504bに入射した矢印A方向の光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる一対の減衰板505aおよび505bとから構成されている。単一モード導波路は、それぞれ1本のコアを有し、溝504aおよび504bによって区切られている。ここで、コア501aおよび502aは、それぞれ溝504aに対する第1の導波路および第2の導波路を構成する。また、コア501bおよび502bは、それぞれ溝504bに対する第1の導波路および第2の導波路を構成する。
一対の減衰板505aおよび505bは、単一モード導波路のコア断面に沿って配置されている。また、単一モード導波路に入射した光ビームのうち、減衰板505aおよび505bにより遮断されて反射した光ビームを導くコア503aおよび503bが更に設けられている。コア503aおよび503bは、それぞれ溝504aおよび504bに対する第3の導波路を構成する。
遮蔽状態では、溝504a、504bの側壁のコア501a、501bの端面と、これに対面するコア502a、502bの端面の間に、コア501a、501bの端面から溝504a、504b内に入射した光ビームを所定の量だけ遮る位置に減衰板505a、505bが静止する。
減衰板505a、505bからの反射光は、コア503a、503bを有する場合には、溝においてコア503aの端面に照射される。もしくは、コア503a、503bがない場合には、溝504a、504b内の側壁のうち、上記コア501a、501bまたはコア502a、502bの端面とは異なる部分に照射される。
遮蔽状態において、コア501a、501bの端面から減衰板505a、505bに入射した光ビームは、以下の3つの成分に分かれる。
即ち、第1の成分は、減衰板505a、505bからの反射成分であり、コア503a、503bの端面に結合する。第2の成分は、透過成分であり、コア502a、502bの端面に結合する。第3の成分は、減衰板505a、505b内で減衰する成分か、あるいは減衰板から反射されながらいずれの導波路とも結合せずに散逸する光損失成分である。
かかる系の入出力光ビームのモニタリングは、第1の導波路よりも前の段階においてその分岐出力を用いるか、あるいは第2の導波路の後の段階においてその分岐出力を用いるか、あるいは第3の導波路からの出力を用いて行うことができる。
なお、本発明で用いる代表的な光導波路としては、コア・クラッドが石英系ガラスからなる石英系導波路や、コア・クラッドが有機材料からなるプラスチック導波路があるが、単一モード導波路であれば、構成材料は特にこだわらない。
基板材料としては、シリコン、ガラス、セラミックスなど、更にプラスチック導波路の場合には樹脂の適用が可能である。また、前記の光導波路は基板上への膜堆積と膜加工によってコア・クラッドを形成する構造であるが、これより作成が簡易な構造としてシリコン、ガラス、セラミックス、樹脂などの基板表面にV溝あるいはU溝を形成し、形成した溝をガイドとして溝内に出来合いの単一モードファイバを接着固定した導波路構造を用いることができる。この場合、基板表面に減衰板とその駆動機構を設置するために、基板表面は必要量研磨しファイバの設置によって生じる段差を解消し表面を平滑にしておくのがよい。また、ある程度の研磨量を確保すれば研磨された基板表面からのコア位置が浅くなり、減衰板の動作距離が小さくなるため、減衰板の小型化、減衰板駆動の低電力化が図れる。このタイプの導波路は、第5図に示すような交差するコア503a、503bを設けることが難しいが、501a、502a、501b、502bからなる1入力1出力の可変減衰器の場合には有効である。
《減衰板の駆動方法と静止位置の制御法》
第5図に示す減衰板505a、505bが上下動した後に静止する位置は、光ビームの減衰量を決める。減衰板505a、505bの上下動は、通常MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)技術を用いたカンチレバー等で実現できることは周知であり、具体例は”Micromachined 2x2 Optical Switch Array by Stress−Induced Bending,”(M.Katayama et al.Technical Digest Forth International Topical Meeting on Contemporary Photonic Technologies(CTP 2001),p.27−28,Mc−4,Jan.15−17,2001)等でも記述されている。
カンチレバーに固定された減衰板505a、505bの運動軌跡は、並行移動型または近似的な並行移動としての円弧を描き、コア断面を所定の減衰値で遮蔽する位置に停止させることになる。
減衰板の静止位置の制御は、該静止位置とカンチレバーに与える電気的制御量とに予め対応関係を付けることによって可能となり、かかる電気制御量を記憶させたカンチレバーの駆動回路によって、静止位置を設定できる。
あるいは、出力モニターからの受光レベルをリアルタイムで検出する制御ループを形成し、透過状態(実効的な0減衰状態)の受光レベルから所望の減衰量だけモニター検出レベルが低下する受光レベルを基準にして、減衰板の位置に自動制御をかけることによっても、減衰板の静止位置を設定することができる。
《疎調整》
通常の可変減衰器に求められる減衰量の範囲が微細レンジとしての0.1dBの桁から最大20dB前後の範囲に及ぶことは先述した。また、減衰器における光ビームの減衰量の設定は、上述の微調整(0.1dB刻み)での設定と1〜10dB単位程度の疎調整の設定とを組み合わせて行われる。従って可変減衰量についても、微調整と疎調整の両方に関する実現方法が必要となる。
本発明は、20dB程度の疎調整域の大きな減衰量の確保に際し、減衰板の移動の中間程度においても、透過域のx軸、y軸両軸に対する軸対称性を維持する方法として、少なくとも2つの減衰板が、互いに隣接しあい、かつコア端面に対して互いに反対方向から移動する構成をとることを1つの特徴としている。
第6A図〜第6D図および第7A図〜第7D図は、隣接しあう2枚の減衰板による2つの遮蔽状態を、減衰板を含む断面で示している。なお、これらの図に示す例では、隣接する一対の減衰板は、y軸方向に沿って、互いに反対方向に移動することにより光ビームを遮蔽する。第6A図〜第6D図に示すように、y軸および減衰板の移動方向に垂直なx軸のまわりに、2枚の減衰板の形状が互いに対称形をなす場合が本発明の主旨を最も端的に現わす場合となる。また、第7A図〜第7D図に示すように、y軸のみに対称でコア中心のまわりに正三角形状の透過領域を残す様な場合、更に減衰板の形状が部分的に非対称の場合でも、それによる蛇行・偏波依存性が許容できる範囲内にある限り本発明の主旨から外れない。
第8A図は、光ビームの伝播方向に沿ってコア中心を含んだ導波路、溝、減衰板の断面を示す。また、第8B図のグラフ812b,814b,816b,818b,820bの斜線部分は、それぞれ第8A図の位置812a,814a,816a,818a,820aにおける光ビームの強度分布を示す。なお、第8A図に示す例では、一対の減衰板805a、805bが別々の溝に配置されているが、同一の溝に設置する構成としてもよい。
上述した一対2枚の減衰板の相互の距離は、以下の条件を満足する必要がある。第8B図は、光ビームの強度分布が2枚の減衰板の遮蔽を被って減衰する様子を示している。第8B図において、グラフ812bは本発明の2枚のうちの第1の減衰板の遮蔽を受ける直前の強度分布、グラフ814bは第1の減衰板を通過した直後の強度分布、グラフ816bは第2の減衰板の遮蔽を受ける直前の強度分布、グラフ818bは第2の減衰板を通過した直後の強度分布、グラフ820bは第2の減衰板から十分に隔たった位置での強度分布をそれぞれ示す。
本発明の特徴の1つは、2つの減衰板が、第8B図の第1の減衰板を通過した直後の光強度分布814bを極力保った状態の強度分布即ち強度分布816bの状態で第2の減衰板に入射するように第1および第2の減衰板が相互に近接して位置することである。換言すれば、減衰板は光導波路と溝を通る光ビームに対して開口部分を持つ回折物である。この回折物による回折現象は、該回折物から近い場所で観測されるかまたは十分に遠い位置で観測されるかによって異なり、減衰板に近接する場所での観測ではFresnel回折、遠方での観測ではFraunhofer回折となる。本実施形態では、近接場の回折範囲内に第2の減衰板が位置している必要がある。
本実施形態にかかる光導波路装置に使用される導波路として、断面が縦横各々8μmのものを用いた場合、減衰板からの距離にして30〜60μm程度以内ならFresnel回折領域である。かかる30〜60μm程度が2枚の減衰板相互間の距離の目安を与えるものとなることは、例えば古典光学(”Principles of Optics 5th Edition”,by Max Born and Emil Wold,Pergamon Press,1975.pp.384)に知られるところである。
即ち、観測位置の減衰板からの距離をs、開口部(断面)が縦横幅Dの矩形、導波路内波長をλとして、Fraunhofer回折の条件、即ち回折物開口部から十分に遠方であることの条件は、下式で与えられるとされている。
S≫nD2/λ (1)
但し、nは回折領域の屈折率である。上式(1)において、右辺が最小でどの程度の値となるかが、減衰板相互距離の近接条件の目安となる。開口部のサイズDの最小値は、例えば第6A図に示した減衰板1005、1005bを遮蔽率が最大となるように配置した場合、即ち第6A図の減衰板の下方底辺がコアの下の辺に一致した場合に対応する。この場合、コアの1/4が透過状態となり、その時のサイズDの値は、概ね8/2〜8/√2程度である。また、サイズDの最大値は8μm程度である。
また、基板上に単一モードファイバを接着固定する導波路構造のものでも、ファイバのコア径が上記矩形型のコアのサイズと同等なことから、上記の数値は近似論として変わることはない。
以上により、n〜1.5、λ〜1.5μmであることから、s≫nD2/λ=30〜60μm程度が見積もられ、この範囲以内においては光は減衰板の形状とほぼ同じ形状の分布を保ったままで伝搬する。
言い換えれば、かかる値の範囲30〜60μm程度まではFresnel回折条件が成立し、2つの減衰板が上述せる機能即ち、第6A図〜第6D図に示したような2つの減衰板がその透視図の重ね合わせとして機能する相互間距離の目安を与えるものとなる。
このように、2個の減衰板を近接して組み合わせることによって、先述の諸問題即ち蛇行・偏波依存の増大に対処しつつ所定の減衰量を与えることが可能になる。また、この効果は、減衰板がコアの内部に位置し比較的大きな減衰量、例えば数dBの疎調整域の減衰量を設定する場合においても達成される。
なお、本発明の減衰板は2個に限らず、更に付加的な減衰板を設けた構成としてもよい。例えば、第9A図に示すように3個の減衰板905a−1〜905a−3、第9B図に示すように4個の減衰板905b−1〜905b−4、あるいはそれ以上の数の減衰板を使用し、各々の減衰板によってコア中心の周りに多角形状の透過領域を残すことができる。
また、20dB程度の大きな可変減衰量の制御精度を更に高める方法として、かかる減衰板対を複数化する方法がある。第3図の光強度分布はコア中心から離れるほどなだらかとなっている。所定の与えるべき減衰量を複数対の減衰板で分担することにより、各減衰板の減衰量設定値が下がり、その結果、第3図の光強度分布の上で強度変化のなだらかな裾部に各減衰板の位置を設定することが可能となる。
《微調整》
以下に、0.1dBの台の微小な減衰値(微調整)の実現法を述べる。
減衰板の位置と減衰板がコア断面を遮蔽する割合との関係が、第10図に示されている。コアの総断面積とコアの遮蔽されている部分の面積(Scross)との面積比率を遮蔽率と定義すれば、遮蔽率は減衰板の先端部の形状に依存する。第10図において、三角形型の減衰板の形状を(高さ/コア高さ)×(底辺の幅/コア幅)で表すと、三角形(1)型は1/2×1であり、三角形(2)型は1/2×1/5である。
第10図に例示した三種類の減衰板先端部の形状それぞれについて、減衰板の移動量と遮蔽率との関係が第11図および第12図に示されている。第11図および第11図の横軸0.5μmまでの領域を拡大した第12図においても明らかなように、減衰板の先端部形状が尖るほど、微弱な減衰量の制御に有利となる。第12図で見ると、三角形の先端の最も尖った三角形型(2)のケースでは、減衰板の位置を0から0.3への変位制御、例えばコア高さ8μmの場合に絶対値として2.4μmの変位を制御できれば、一般に減衰器に求められる最小刻みの0.1dB単位の減衰が制御できる。他方、矩形型の減衰板では、0から0.02(0.16μm)への微小な変位を制御する必要があり、変位制御の精度には三角形型(2)の精度に比べて、15倍の相対精度の精密さが要求されることになる。
遮蔽面積比をもとにした上述の結果は、減衰板形状の違いが減衰量に与える効果を相対比較する場合で有効である。しかし、減衰量の絶対値をより正確に見積もるには、コアの内側のみならずコア近傍のクラッド領域にまで広がる光の裾野を含めた全体の光強度分布を知る必要がある。
この様な光強度分布を考慮した減衰板の効果は既に第4図において示されている。
第13図は、第4図の横座標軸上の−6μmから0μmまで領域の拡大図である。第13図において、実線は0.1dB台の微小な減衰量の制御域が横座標軸上でコアの端にあたる−4μmよりもクラッド領域に2μm入り込んだ−5.6μm近傍にあることを示している。つまり、0.1dBの減衰量の設定には、減衰板をコア中心から−5.6μm離れた位置に静止させる必要があることを示している。また、減衰量を0.01dB台の僅かな量を増加させるための減衰板の移動範囲は、約−10μmから−5.6μmまでである。
また、かかる微小な減衰量に減衰板を設定する場合、光強度分布はその裾野の一部でしか遮蔽を受けないので、光ビームの中心がコアの中心から外れる程度は微弱であり、上述した光ビームの蛇行の程度も微弱である。よって、上述した偏波依存特性も極めて微小であり、実用上の問題とならない。またこの減衰器がかかる0.1dB台のみの微調整域の減衰値設定を受けた場合、他の減衰板は全て透過状態に置かれる。
《微調整用減衰板の減衰量設定精度を更に高める方法》
次に、1dB台、例えば−1dBの値は、第13図において矩形減衰板の先端がコアの端−4μmの位置から1.7μmだけコア内部に向けて移動した状態で得られる。
更に、これらの減衰板の移動量の制御精度を高めるには、第10図に示した三角形型等のように減衰板の先端部分に突端部分を設けることで可能となる。蛇行回避・偏波依存回避の要求が厳しい場合、1dB台の減衰値の設定においても、上記の疎調整用と同様に一対の減衰板を用いればよい。
《疎調整用減衰板対と微調整用減衰板の配置順序》
一方、第8A図の位置818aの強度分布818bが位置820aの強度分布820bに変化するのに要する距離は、上述のFraunhofer回折が満たされる条件を目安にすることができる。式(1)の不等式関係において、右辺の値よりも十分に大きい値として仮に右辺の10倍の値を左辺sの条件とする場合、位置818aと位置820aの距離は数百μmとなる。ここで、位置818aと位置820aとの間に必要な距離とは、減衰板によって透過ビームに生じた強度分布の偏りが消滅して再び元の導波路とクラッドによって決まる強度分布におさまるまでの距離である。従って、かかる距離は、1つの減衰板がそれで隣接する後方の減衰板にビームの強度分布の観点で影響を与えない距離に相当する。
本発明によれば、複数の減衰板が上述した三角形型などの微調整用減衰板と疎調整用の対としてある2枚の減衰板とが継続配置されるにあたり、入力光ビームに対して疎調整用の減衰板対が先に配置され、その後に微調整用の1つの減衰板が配置される。これは、疎調整用の減衰板は微調整用減衰板に比べてビームの遮蔽率が大、即ち開口部がより小さいために、式(1)の右辺の値nD2/λのDが小さくなるからである。結果として、疎調整用の減衰板により近い光伝播距離以内でもFraunhofer回折条件に近づくことになる。即ち、疎調整用減衰板対による強度分布の変形が残る減衰板からの距離は、微調整用減衰板による強度分布の変形が残る減衰板からの距離よりも短くなる。
以上の結論として、本発明によれば、微調整用減衰板を疎調整用減衰板対よりも入射ビームの出力側に配置することによって、減衰板の設置される導波路の全体長を、より短くし、ひいては本減衰器のチップ面積を縮小することが可能となる。
以上、本発明による第6A図〜第6D図および第7A図〜第7D図に例示したような形状の少なくとも一対の減衰板によって、出力光ビームの蛇行と、偏波依存性を抑えることができる。併せて、第10図に示したような減衰板の形状によって微調整域の減衰量を高精度で可変制御し、所望の減衰量を制御することが可能となる。
《連続可変制御の実現法》
減衰量の連続可変の設定は、下記のようにして可能となる。
本発明の装置は、光導波路の溝内の側壁にある導波路コアからの光ビームと減衰板との相対位置関係を変えることによって、該光ビームを透過状態と遮蔽状態のいずれかに制御する機能を持つ。遮蔽状態における光ビームの減衰量は、原理的に連続可変とすることが可能である。
第14図は本実施形態にかかる光導波路装置を含む光電子回路系の構成を示し、光ビームの減衰量を連続的に制御することが可能な構成例を示している。なお、第14図に示す例では、溝部分に充填するマッチング液、減衰板のアクチュエーターは省略されている。
第14図において、光電子変化部1412は、モニター受光/電気変換/増幅器(OE変換+Amp)の部分である。また、駆動電子回路1413は、透過光減衰量演算制御・減衰板駆動電力供給用電子回路の部分であり、減衰板1405の位置を制御する。
また、矢印aは入力光、矢印bは透過出力光、矢印cはモニター光、矢印dは減衰板1405への減衰板駆動用電気入力をそれぞれ示す。なお、第14図ではモニター光cが減衰板を通じた反射光をモニターとする方法を示しているが、導波路1401、1402にタップを設け、一定比率の分流成分をモニターとする方法も可能である。
この光電子回路系では、予め減衰板1405の位置を決める駆動電子回路1413の状態と減衰板1405の透過光の減衰量との関係を1対1に対応して記憶させることが可能であり、駆動電子回路1413はこの関係を用いて外部から設定する減衰量を電気的に制御する。この場合、モニター光cおよび光電子変化部1412は、減衰板1405の制御用の帰還ループに組込まれていない。従って光電子変化部1412から駆動電子回路1413への電気情報伝達は不要であり、モニター光cは本来のモニタリングにのみ利用される。減衰板の位置制御には、駆動電子回路から供給される電力によって、減衰板を機械的に支持するカンチレバーを動作させ、減衰板を所定の位置に保持する前述のMEMS技術等が用いられる。
モニター光cを導く光導波路を、光導波路1401と光導波路1402の双方に設置する構成では、2個のモニター光cに対し、各々ともに光電子変化部1412が必要となる。かかる構成では、駆動電子回路1413に対して入力、透過出力の2つの光量を得て、実際の光減衰量が直接得られる。かかる実際の光減衰量と設定の減衰量との比較をもとに、連続的な減衰量の電気的制御が可能となる。
《溝の形成法説明》
本実施形態で使用する光減衰装置において、溝の損失は減衰作用に直接影響を与えない。しかし、減衰量の可変範囲を広くとり、また複数の溝を許容するためには溝の損失は小さい方が好ましい。溝の損失は溝幅で決まり、例えば溝にマッチングオイルが満たされた透過状態において、コアとクラッドの比屈折率差Δを0.3%、コアサイズを8μmとすると、溝幅10μm以下とすることにより溝損失を0.01dB以下にできる。
溝の形成法には、石英のエッチングがあり、この方法は例えば“低損失自己保持型光マトリクススイッチの研究”(下川房男他、NTT R&D Vol.44,No.8,1995.p,684−688)等によって公表されている。
《アレイ構成》
本発明を適用した光導波路装置において、第1の導波路同士は互いに交差せずに並列し、第1および第2の導波路は直接接続しあうか、もしくは、溝を介して縦列しあい、第1および第2の縦列しあう導波路が1つの組の単位を構成する。溝には本発明の可変減衰機能があり、該一組の導波路全体で所定の減衰量を実現する減衰器となる。更に溝には、マッチングオイルが満たされている。
第1および第2の導波路の並列数だけ減衰器が並列した場合、これら総体は並列導波路同士の光強度を等化する機能を持つことができる。
第15A図および第15B図は、本実施形態にかかる光導波路装置における光導波路の組み合わせの例を示す。このうち、第15A図は、第3の導波路を持たない減衰器の構成例を示す。入射光量は入力導波路1501a−1もしくは出力導波路1501a−4、または、これらの双方の途中に別途の導波路を近接させ、この近接させた導波路に入力導波路1501a−1または出力導波路1501a−4、または、これらの双方から一定比で漏洩する光を検出するモニタータップを設けた構成もとり得る。
第15A図において、右の2個の減衰板1505a−1および1505a−2は一対となって、互いに30〜60μm以内に接近して配置されて疎調整域の減衰量を設定し、左の1個の減衰板1505a−3は、右の1対とは任意の距離を離れて設置されて0.1dB台の微調整域の減衰量を実現するものである。
第15B図は、第3の導波路を含む構成を示す。なお、第15B図の場合、第3の導波路は減衰板からの反射の一部を受光するモニタリング端子ともなる。即ち、第3の導波路1503b−1〜1503b−3は、減衰板1505b−1〜1505b−3からの反射光を受けるモニター導波路であり、遮蔽状態における反射出力を検知することができる。
《比較例》
第2A図の減衰板形状で引き起こされる光ビームの蛇行と偏波依存性の2つの問題のうち蛇行の問題は、第2B図に示されるような、矩形の2本のフォーク状の減衰板105bの形状によって一見回避される。但し、仔細に見ると、フォークの先端を上方からコア101bの途中まで挿入した状態では、遮蔽の領域はx軸に対する対称性を失い、光強度のピークはコア101bの中心から下方にずれ、先述の蛇行現象につながる。従って、第2B図の減衰板105bの挿入状態の中間位置を連続して用いる可変型の減衰動作には難点があり、挿入損失として一定値を期待する固定型の減衰器とならざるを得ない。
また、固定型の減衰器として第2B図に示すものを利用する場合においても、減衰量を増加させるために遮蔽域をコアの左右両翼からコア中央に向けて増大させるほど、コアの中央透過領域は縦に長くなり、偏波依存の問題が顕著になる。以上から、第2B図の減衰板105の形状では、可変性の維持・蛇行と偏波依存の問題の背反関係は解消されない。
第2C図は、第2B図のタイプの減衰板に可変性を持たせるために、減衰板105cの先端部の形状を雁行型とした場合を示している。かかる形状では、減衰板105cの上下動で遮蔽面積が連続可変する。雁行形状の開きを大きくすることにより減衰板105cの上下動に対する減衰域の変化量を増大できるが、第2B図同様に偏波依存の問題が解決できない。
第2D図は蛇行と偏波依存の問題を回避する意図を持たせた減衰板の形状である。第2D図に示す事例では、透過用の空隙が複数個設置されており、1枚の減衰板をスライドすることで複数の減衰状態を可能にする例、および小さな透過用間隙を複数個配置した1つの減衰板の事例を含んでいる。透過用の間隙の形状は、円と十字で示した本事例以外にも様々な多角形並びに多角形の角を丸くした曲線型もあり得る。
しかし、コア中心に位置させた減衰板の一定の移動範囲内では、光強度分布の変化に対応して一定の可変性を得ることはできるが、減衰板をコア中心から大きく移動させると蛇行の問題が生ずる。
これらの様々な透過用間隙が閉じている減衰板形状の場合、減衰板のコア中央に移動する過程で一時的に減衰板がコア全面あるいは殆ど全面を遮蔽し、その結果として透過光が過渡的に大きく減少するか、もしくはかかる過渡状態で透過光が全て遮蔽されて第2の導波路への出力光成分が完全に消滅する。かかる症状を持つ減衰板の形状は、透過光が常時モニターされるシステムに用いられる場合に障害となるので、減衰器としての汎用性を失わせしめることになる。
以上の説明から明らかなように、本発明は、通信ネットワークにおいて、単一のファイバー内に多重化された複数の光波間の相互の光強度の等化を実現する等化装置の構成単位としての光減衰装置に適用することができる。また、複数の光ファイバー相互の接続関係の任意随時かつ柔軟な変更、任意のファイバーからの出力信号光の光電気変換、任意のファイバーに情報を送る入力信号光の電気光変換などに対して、それらの処理の前段階ないしは後段階の処理としての光波信号強度レベルの減衰・調整を行う光減衰装置に適用することもできる。かかる装置の利用分野は、今後光ファイバーネットワークの多重化・複雑化に伴い拡大するであろう。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、1枚の減衰板の形状の工夫では解決できなかった蛇行と偏波依存性の問題を解決することができる。
また、出力モニターからの受光レベルをリアルタイムで検出するので、常時モニター性等にも対処することができる。
また、可変減衰作用を1本の直線導波路で実現することができるので、従来のMZ型光導波回路と比較して、回路面積は原則半減される。
更に、ヒーターによる導波路の加熱が不要となることから、偏波依存上の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来の光導波路装置の、光の進行方向に沿った断面図である。
第2A図〜第2D図は、光導波路装置の減衰板の移動に伴う、コアの遮蔽領域の変化を示す図である。
第3図は、光導波路装置における光波のエネルギの強度分布特性を示す図である。
第4図は、光導波路装置における減衰板の位置と、減衰量との関係を示す図である。
第5図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、光の進行方向に沿った断面図である。
第6A図〜第6D図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の遮蔽特性を示す図である。
第7A図〜第7D図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の遮蔽特性を示す図である。
第8A図および第8B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板とコアとの位置関係、およびコアの各位置における光強度分布を示す図である。
第9A図および第9B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の組合わせの例を示す図である。
第10図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板のコア遮蔽率の減衰板形状依存性を示す図である。
第11図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板先端部の位置とコアの遮蔽面積比率との関係を示す図である。
第12図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板先端部の位置と、コアの遮蔽面積比率との関係を示す図である。
第13図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の、減衰板の位置と減衰量との関係を示す図である。
第14図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置を含む光電子回路系の構成例を示す図である。
第15A図および第15B図は、本発明の一実施形態にかかる光導波路装置の複数組の構成例を示す図である。
Claims (13)
- 基板上に配置された単一モード導波路と、
該単一モード導波路を横断する溝と、
該溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる一対の減衰板と
を備えたことを特徴とする光導波路装置。 - 前記一対の減衰板は、前記溝に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記一対の減衰板は、互いに隣接しかつ互いに反対方向に移動して前記光ビームを遮蔽することを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記一対の減衰板は、同一の前記溝内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記一対の減衰板の間隔は、約60μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記一対の減衰板の各々は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に向かう軸に対して対称的な形状であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記一対の減衰板は、前記単一モード導波路のコア断面の中心を通りかつ前記一対の減衰板の移動方向に垂直な軸に対して対称的な形状であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記溝の内部に配置され、前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの付加的減衰板を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記付加的減衰板は、前記一対の減衰板よりも前記光ビームの出力側に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の光導波路装置。
- 基板上に並列配置された複数の単一モード導波路と、
該単一モード導波路を横断する溝と、
前記単一モード導波路の一端から導かれて前記溝に入射した光ビームを少なくとも部分的に遮断して減衰させる少なくとも1つの減衰板であって、前記溝の内部を移動可能に配置された減衰板と
を備え、前記減衰板のうちの少なくとも1つは、前記光ビームの強度分布の裾部を遮蔽することを特徴とする光導波路装置。 - 前記減衰板の先端は、三角形状に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の光導波路装置。
- 前記入射した光ビームのうち、前記減衰板により遮断されて反射した光ビームを導く付加的導波路を更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
- 前記複数の単一モード導波路の各々は、1本の光導波路からなることを特徴とする請求項1に記載の光導波路装置。
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2002
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