JPWO2003030636A1 - 排尿障害を有する齧歯類及びその作出方法、並びに該齧歯類を用いた排尿障害治療剤のスクリーニング方法 - Google Patents

排尿障害を有する齧歯類及びその作出方法、並びに該齧歯類を用いた排尿障害治療剤のスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

小動物における簡便かつ再現性の高い、脳の神経組織の損傷に起因する排尿障害モデル動物を提供することを目的として、ラットにおいて、リージョン・ジェネレータを用いた脳の上丘部位を限局的に損傷させた、排尿中枢機能のみを特異的に障害させた動物を開示する。さらに、本発明による排尿障害モデル動物を用いて、排尿障害治療剤のスクリーニング方法に適用可能である。

Description

技術分野
本発明は、排尿障害を有する齧歯類及びその作出方法に係り、より詳細には、脳の特定部位を損傷させて作出された排尿障害を有する齧歯類及びその作出方法に関する。
背景技術
膀胱を形成する筋肉は、主に膀胱体部を形成する排尿筋(膀胱平滑筋)と、主に尿道を形成する尿道括約筋と、に大別される。これら筋肉が神経機能により複雑に制御される結果、随意的又は不随意的に収縮・弛緩し、膀胱での蓄尿、尿排出が行われる。これらの機能が円滑に行われない状態を排尿障害と呼ぶ。その発生原因は、生理的老化現象、泌尿器科領域の疾患、神経変性疾患などによる神経機構障害と多岐にわたる。排尿障害の存在は、患者に身体的、精神的悪影響を及ぼし、quality of life(QOL)を低下させる。また、高齢化が加速し排尿障害に悩む患者が年々増加の一途を辿ることから、排尿障害治療剤の必要性が高まっている。
これまでに、排尿反射の生理学的・薬理学的解明、さらに排尿障害治療薬剤の評価系として様々な排尿障害モデルが用いられてきた。膀胱平滑筋又は抹消神経系を直接刺激するモデルとして、例えば化学的刺激法(酢酸、カプサイシン、コリン作動薬等)、電気的刺激法(支配神経の電気的刺激等)、外科手術的刺激法(尿道狭窄モデル等)が挙げられる。
動物の中枢神経機構に障害を与えるモデルとして、例えば、神経毒(イボテン酸等)注入法(例えば、非特許文献1参照)、除脳モデル(例えば、非特許文献2参照)や、ネコの脳に電極を刺入後、通電させることによる破壊法(例えば、非特許文献3参照)が開示されている。これら中枢神経障害による排尿障害モデルは、モデル動物の死亡率の高さや実験手技上の観点から簡便なものはほとんど皆無である。また、これらの方法による中枢神経損傷による排尿障害モデルにおいては、技術的な理由により、脳の損傷部位を限局させることが極めて困難であることから、他の脳機能障害をも併発させる。
そのため、排尿障害の治療に効果的である化合物を薬理学的に適正に測定する動物モデルとして満足いくものはないのが現状であり、薬理学的評価モデルとして信頼性の高い動物モデルの創出への要望が強い。
ところで、近年、実験的脳梗塞モデルをMongolian gerbilにおいて、リージョン・ジェネレータ(lesion generator)を用いて作製し得ることが開示された(例えば、非特許文献4参照)。しかしながら、この開示内容は脳に梗塞を引き起こさせて虚血モデルを作製することを目的としており、脳の器質的損傷を生じさせて中枢神経機能の特定な障害を招来させること等に関しては、何らの記載もない。
そこで、本発明では、上記事情に鑑み、疾患モデル動物として取り扱いが容易である齧歯類等の小動物に着目し、簡便かつ再現性の高い、中枢神経系損傷に伴う排尿障害モデル動物の提供と、該モデル動物の作出方法を提供することを目的とする。
また、本発明では、前記排尿障害モデル動物を用いた、排尿障害治療剤のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
非特許文献1 Hara et.Al.,J.Phamacol.Suppl.,1,58,1992
非特許文献2 Yoshiyama et.al.,Eur.J.Pharmacol.,vol 264,p467,1994
非特許文献3 Tang el.Al.,J.Comparative Neurology,106,213−245,1956
非特許文献4 Iyoda et.al.,脳卒中,vol.2(2).p93−95,1980
発明の開示
上記目的は、排尿障害を引き起こさせるように、脳の上丘部位の神経組織を損傷させた齧歯類により達成される。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類における前記損傷は、リージョン・ジェネレータにより行われることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類における前記損傷は、リージョン・ジェネレータの電極を介した通電により行われることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択されることを特徴とする。
また、上記目的は、排尿障害を有する齧歯類であって、(1)前記齧歯類を麻酔する麻酔工程と、(2)麻酔下に、前記齧歯類の脳の上丘部位の神経組織に、リージョン・ジェネレータの電極を刺入する刺入工程と、(3)前記組織を損傷させるように、前記電極を介して通電する通電工程と、を含む方法により作出された齧歯類により達成される。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類の作出方法における前記通電工程は、電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件で実行されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類の作出方法における前記刺入工程前に、前記上丘部位の上部の頭蓋に、ドリルにより前記電極が通過する開口部を形成する形成工程を、さらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択されることを特徴とする。
また、上記目的は、排尿障害を有する齧歯類の作出方法であって、(1)前記齧歯類を麻酔する麻酔工程と、(2)麻酔下に、前記齧歯類の脳の上丘部位の神経組織に、リージョン・ジェネレータの電極を刺入する刺入工程と、(3)前記組織を損傷させるように、前記電極を介して通電する通電工程と、を含む作出方法により達成される。
本発明の好ましい態様によれば、前記作出方法における前記前記通電工程は、電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件で実行されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記作出方法における前記刺入工程前に、前記上丘部位の上部の頭蓋に、ドリルにより前記電極が通過する開口部を形成する形成工程を、さらに含むことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記作出方法における前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択されることを特徴とする。
また、上記目的は、排尿障害治療剤のスクリーニング方法であって、(1)排尿機能に障害を有する齧歯類の体内へ被検物質を投与する投与工程と、(2)一定時間経過後に排尿機能の回復程度を測定する測定工程と、を含むスクリーニング方法により達成される。
本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーニング方法における前記齧歯類は、排尿障害を引き起こさせるように、脳の上丘部位の神経組織を損傷させたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーニング方法における前記齧歯類の前記損傷は、電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件の通電工程により実行されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーニング方法における前記測定工程は、膀胱の容量を測定することにより実行されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記スクリーニング方法における前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択されることを特徴とする。
なお、本発明で用いる用語「排尿障害」とは、膀胱平滑筋及び腎尿生成量に障害を与えるものではなく、膀胱と排尿中枢神経系間における排尿反射の機能障害に基づく、排尿反射亢進を誘発させ、膀胱における残尿量に影響を与えない状態の齧歯類を総称する。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の好ましい実施態様を詳細に説明する。なお、本発明が対象とする排尿障害を有する動物は齧歯類であるが、説明を簡単にするために、以下、ラットを用いて説明する。
本発明に利用されるラットは、ラットの性別及び週齢に特に限定されるものではないが、再現性のある排尿疾患モデル動物を得る観点から、ラットの体重としては、150〜300gであることが好ましく、さらに200〜250gであることがより好ましい。
図1は、本発明に利用されるラットの脳図譜の概略図を示す。前記脳図譜の座標から上丘部位を特定し、後述するリージョン・ジェネレータの微小電極を刺入して、ラットの上丘部位に通電させて破壊することができる。図1に示すように、符号10はラットの大脳を示し、符号20はラットの中脳を示し、符号30はラットの延髄を示す。そして、図1の符号40がラットの上丘部位に相当し、後述するリージョン・ジェネレータを用いた通電により、損傷を受ける部位である。
本発明では、ラット脳の上丘部位40を、該リージョン・ジェネレータを用いて、特定の条件下で通電させて、上丘部位を局所的に損傷させることで、急性的にラットの頻尿状態を誘発する排尿障害の疾患モデル動物を見出した。
ここで、本発明に利用されるリージョン・ジェネレータについて説明する。リージョン・ジェネレータとは、その本体に接続されたTMタイプの電極から約500Hzの高周波電流を流し、試料を熱凝固させる目的で作製されたものであるが、リージョン・ジェネレータの電極の先端に設置されている熱センサーにより損傷組織の温度を確認し得るように構成されている。そのため、損傷条件を正確に制御することが可能である。リージョン・ジェネレータは選択的に目的とする脳組織に種々のサイズの損傷を付与させることが可能である。
図2は、本発明による排尿障害を有するラットの作出方法の工程図を示す。図2に示すように、排尿障害の疾患モデル動物の作出方法は、まず、用意したラットをハロセン等で麻酔させ(工程S1)、その麻酔下でラットの頭部を、脳定位固定装置にて固定させる。
前述のラットの脳図譜から、ラット脳の上丘部位の上部に相当する頭蓋に、デンタルドリルによりリージョン・ジェネレータの電極が通過する開口部を形成する(第2図の工程S2)。その際、損傷を受ける上丘部位の直径は、リージョン・ジェネレータの電極の大きさとの関係と、後述する損傷による再現性の高い排尿障害誘発の観点から、0.5〜3.5mmであることが好ましく、さらには、0.8〜3.0mmであることがより好ましい。リージョン・ジェネレータの電極としては、特に限定されるものではないが、直径約0.7mm、長さ約1.5mmであることが好ましい。
次いで、図2の工程S3に示すように、前記電極をラット脳の上丘部位に刺入し、一定時間一定電流で通電工程を実行し(図2の工程S4)、ラット脳の上丘部位の神経組織に損傷を与え、排尿中枢障害を招来させる。本発明による、再現性の高い排尿障害を有するラットを作出するため、ラット脳の上丘部位の神経組織を破壊する条件を、リージョン・ジェネレータの電極温度及び通電時間を変化させて求めることができる。
前述の排尿中枢障害により生じた排尿反射亢進状態は、麻酔からの覚醒後、シストメトグラムにより確認することができる。
図3は、排尿反射亢進状態を測定するシステムの概略図である。図3に示すように、被測定膀胱に生理食塩水を注入ポンプにより一定速度で注入し、膀胱内圧の変化を、トランスデューサを介して測定する。
図4は、図3に示すシステムにより測定されたシストメトグラムの結果を、模式的に示した拡大図である。ここで、シストメトグラムとは、図3に示すシステムにおいて、カテーテル(不図示)を膀胱に留置させ、該カテーテルを介して膀胱内圧の変化を持続的に観測して排尿反射を検知したときのものである。
図5は、正常排尿反射状態と排尿反射亢進状態におけるシストメトグラムを比較した図である。図5から分かるように、排尿反射亢進状態では、頻繁に排尿開始が観測される。
さらに、このシストメトグラムの結果から、膀胱の容量を以下のように算出することができる。つまり、生理食塩水を一定速度で膀胱内に注入したときに、排尿反射が起こる閾値に至るのに要する時間と、前記一定速度の積から、膀胱の容量を算出できる。
本発明による通電工程における時間は、安定した排尿障害を与える観点から、1.5〜5分が好ましく、さらに2〜4分がより好ましい。また、前記通電工程における電極温度は、安定した排尿障害を与える観点から55〜85℃が好ましく、さらに65〜80℃がより好ましい。なお、当該電極温度は、リージョン・ジェネレータからの電流値に応じて制御することができる。
本発明により作出された排尿障害を有するラットは、排尿障害を改善させる能力に関する薬剤の効果の検定に使用することができる。具体的には、本発明によるラットを用いて、排尿障害治療薬のスクリーニングを行うことが可能である。
検定しようとする薬剤が、本発明によるラットではなく、通常に成長させたラット群(以下、「コントロールラット」という。)及び本発明のラット群に、経口、腹腔内、皮下、血管内に投与される。一定時間経過後に、コントロールラット及び本発明のラットの膀胱容量を比較することから、排尿障害治療剤をスクリーニングすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等制限されるものではない。
実施例
排尿障害モデルラットの作出方法は、以下のようにして行った。ハロセンによりラット(メス:重量220g)を麻酔させ、脳定位固定装置に固定し、頭皮を正中切開した後、図1に示すラットの脳図譜の座標に従い、上丘部位の上部に対応する頭蓋に、デンタルドリルにより開口部(直径約1.0mm)を開けた。該開口部を通じて、リージョン・ジェネレータ(ラジオニクス社製モデルRFG−4)の微小電極(直径:0.7mm、長さ:1.5mm)を上丘部位まで刺入した後、種々の電極温度及び時間にて通電することで、ラット脳の上丘部位の神経組織を損傷させた。
手術終了後であって、麻酔から覚醒した後、手術後のラットを、図3に示すシステムによりシストメトグラムを測定し、排尿反射亢進状態を確認した。
図6は、各種条件にて手術させたラットの排尿障害の結果を示す。図6に示す結果から、排尿障害モデルラットを作出するための適正な条件として、リージョン・ジェネレータの電極温度が65℃、通電時間が4分であるとき、より安定した排尿障害のラットが作出されることが判明した。
なお、以下の説明において用いる「適正条件」とは、リージョン・ジェネレータの電極温度が65℃、通電時間が4分により作出させる条件をいう。
得られた適正条件を利用して、ラット脳上丘部位の限局的破壊を与えた後、招来した排尿障害の内容とその程度を、膀胱容量、残尿量、尿生成量(残尿量及び尿排出量の総和から算出)の変化によって観察及び検討を行った。
図7は、前述の適正条件により作出された排尿障害ラットと、通常に成長したメスの220gのコントロールラットとの比較結果を示す。図7に示すように、本発明により作出されたラットの膀胱容量は、コントロールラットよりも小さく、頻尿誘発されることが分かる。また、第4図に示す結果から、上丘部位の限局的破壊により、残尿量、尿生成量に顕著な影響を与えず、膀胱容量のみが減少したことが明らかとなった。このことは、上丘部位の損傷により排尿中枢神経機能が限局的に破壊された結果、排尿反射が亢進し、その結果として膀胱容量が減少し、頻尿が誘発されたことよると理解される。
したがって、本発明により作出された排尿障害モデルラットは、神経制御が損傷されたことに起因する排尿障害モデル動物であり(ヒトにおける神経疾患後に生じる排尿障害に近似しているといえる。)、排尿に関係する筋肉等の運動器官の損傷に起因したものではないことが実証された。
図8は、前述の適正条件による作出されたラットの再現性の結果を示す図である。図8から明らかなように、本発明による作出方法は、ラットに排尿障害をもたらす方法としては、高い再現性をもって作出可能であることが判明した。
次に、前述のように作出された排尿障害モデルラットを用いて、排尿障害治療剤のスクリーニング実験について説明する。
本発明による適正条件により作出されたラットと、コントロールラットとを用いて、排尿障害治療剤としての候補化合物である塩酸オキシブチニンを静脈注射(0.3mg/kg.iv:ivとは静脈注射を意味する。図9中のivも同じ意味である。)した後に、治療効果の有無の評価を行った。
図9は、塩酸オキシブチニンを静脈注入投与の5分後における、各ラットにおける膀胱容量の測定結果を示す。本発明による排尿障害モデルラットに塩酸オキシブチニンを投与した結果、当該ラットの膀胱容量が増大し、排尿障害が改善され、塩酸オキシブチニンが排尿障害治療剤としての有望な化合物であることが判明した。
このように、本発明による排尿障害モデルラットを利用して、排尿障害治療剤のスクリーニングが可能となる。
以上の説明は、ラットを用いて説明したが、ラット以外の齧歯類に対しても適用可能であることは、当業者には理解できる。
産業上の利用可能性
以上の説明から、本発明による作出方法によれば、脳の神経機能の損傷による排尿障害モデル動物を提供することができ、該動物を用いて、排尿障害の治療に効果的である化合物のスクリーニングに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明で利用したラットの前額断面概略図を示す。
図2は、本発明による排尿障害を有するラットの作出方法の工程図を示す。
図3は、本発明に用いた排尿反射状態を測定するシステムの概略図である。
図4は、図3に示すシステムにより測定されたシストメトグラムの結果の模式的拡大図である。
図5は、正常な排尿反射状態と排尿反射亢進状態における典型的なシストメトグラムを比較した図である。なお、図5中の矢印は、排尿開始を示す。
図6は、本発明において、ラット脳の上丘部位の神経組織を、リージョン・ジェネレータによって損傷させた結果を示す図である。
図7は、本発明によるラット脳の上丘部位に限局的破壊を与えた後に招来した排尿障害の内容及びその程度の結果を示す図である。
図8は、本発明による作出方法により、ラットの上丘部位の神経組織を損傷させた排尿障害モデルラットの再現性の結果を示す図である。
図9は、本発明による排尿障害モデルラットを用いて、塩酸オキシブチニンを静脈注入投与の5分後における、各ラットにおける膀胱容量の結果を示す図である。

Claims (17)

  1. 排尿障害を引き起こさせるように、脳の上丘部位の神経組織を損傷させた齧歯類。
  2. 前記損傷は、リージョン・ジェネレータの電極を介した通電により行われる請求の範囲1記載の齧歯類。
  3. 前記通電は、リージョン・ジェネレータの電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件で実行される請求の範囲2記載の齧歯類。
  4. 前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択される請求の範囲1記載の齧歯類。
  5. 排尿障害を有する齧歯類であって、
    (1) 前記齧歯類を麻酔する麻酔工程と、
    (2) 麻酔下に、前記齧歯類の脳の上丘部位の神経組織に、リージョン・ジェネレータの電極を刺入する刺入工程と、
    (3) 前記組織を損傷させるように、前記電極を介して通電する通電工程と、を含む方法により作出された齧歯類。
  6. 前記通電工程は、電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件で実行される請求の範囲5記載の齧歯類。
  7. 前記刺入工程前に、前記上丘部位の上部の頭蓋に、ドリルにより前記電極が通過する開口部を開ける工程を、さらに含む請求項5記載の齧歯類。
  8. 前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択される請求の範囲5記載の齧歯類。
  9. 排尿障害を有する齧歯類の作出方法であって、
    (1) 前記齧歯類を麻酔する麻酔工程と、
    (2) 麻酔下に、前記齧歯類の脳の上丘部位の神経組織に、リージョン・ジェネレータの電極を刺入する刺入工程と、
    (3) 前記組織を損傷させるように、前記電極を介して通電する通電工程と、
    を含む作出方法。
  10. 前記通電工程は、電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件で実行される請求の範囲9記載の作出方法。
  11. 前記刺入工程前に、前記上丘部位の上部の頭蓋に、ドリルにより前記電極が通過する開口部を開ける工程を、さらに含む請求項9記載の作出方法。
  12. 前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択される請求の範囲9記載の作出方法。
  13. 排尿障害治療剤のスクリーニング方法であって、
    (1) 排尿機能に障害を有する齧歯類の体内へ被検物質を投与する投与工程と、
    (2) 一定時間経過後に排尿機能の回復程度を測定する測定工程と、
    を含むスクリーニング方法。
  14. 前記齧歯類は、排尿障害を引き起こさせるように、脳の上丘部位の神経細胞を損傷させた請求の範囲13記載のスクリーニング方法。
  15. 前記損傷は、リージョン・ジェネレータを用いて、リージョンジェネレータの電極温度が65〜80℃であり、通電時間が2〜4分である条件の通電工程により実行される請求の範囲14記載のスクリーニング方法。
  16. 前記スクリーニング方法における前記測定工程は、膀胱の容量を測定することにより実行される請求の範囲13記載のスクリーニング方法。
  17. 前記齧歯類は、ラット、マウス及びモルモットからなる群から選択される請求の範囲13記載のスクリーニング方法。
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