JPWO2003002044A1 - 血管平滑筋細胞の増殖抑制方法 - Google Patents

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Abstract

要約書なし。

Description

技術分野
本発明は、血管平滑筋細胞の増殖抑制方法、特に細胞培養工学的手法により血管平滑筋細胞の増殖を制御する方法に関するものである。
背景技術
近年、虚血性心疾患の治療法として、経皮的冠動脈形成術(PTCA)が広く普及している。PTCAでは、開腹することなく経皮的にバルーン・カテーテルを血管内に挿入し、冠動脈狭窄部位を拡張して治療することができ、患者の負担も少なく、すぐれた治療法として評価されている。
しかしながら、Adelman AG et al「A comparison of directional atherectomy with balloon angioplasty forlesions of the left anterior descending coronary artery」N Eng J Med.329 228−233(1993) Comment等によれば、実施症例の約30%以上の高頻度で治療部位に再狭窄が起こるとされている。この再狭窄に対して、例えばステント留置術を用いても、急性期の再閉塞に対してはある程度の効果が認められるものの、局所の炎症、それに続く新生内膜過増殖、及び血管リモデリングが関与して慢性的進行経過をたどる再狭窄は依然未解決のままである。
冠状動脈血管は、内膜、中膜、外膜の三層構造からなる。内膜は内皮細胞によって、中膜は平滑筋細胞によって構成されている。PTCA後やステント留置後に起こる再狭窄の進展は、内皮下腔での平滑筋細胞の過増殖が大きな原因のひとつに挙げられている。近年の分子生物学的手法による検討では、冠動脈病変への治療介入をきっかけとして、中膜を形成していた正常な収縮型平滑筋細胞が合成型へと形質転換して遊走能力を獲得し、内皮下腔へ侵入、増殖分裂を繰り返し、新生内膜過形成を引き起こすとされている。
この再狭窄防止方法には、大別して種々の薬剤によるもの、細胞培養工学手法あるいは物理的手法によるものがある。
薬剤療法は歴史的には古いが、未だ臨床的に有効な薬剤が見出されていない。近年、インターフェロンの投与による平滑筋細胞の増殖抑制方法が試みられているが(特開平9−151137号公報)、副作用が強く患者の負担が大きい割には、治療効果が判然としない。
細胞培養工学手法としては、遺伝子工学的手法及び放射線的手法を挙げることができる。遺伝子工学的手法では、例えばSata M et al「Fas ligand gene transfer to the vessel wall inhibits neointima formation and overrides the adenovirus−mediated T cell response」 Proc Natl Acad Sci USA.95 1213−1217(1998)により、増殖する平滑筋細胞のアポトーシスを誘導することで、新生内膜過形成を抑制する方法が知られているが、臨床応用には遠い。
一方、放射線治療は、この再狭窄抑制の分野でも注目されている。放射線療法には、カテーテルによるもの(Teirstein PS et al「A double blinded randomizedtrial of catheter−based radio−therapy to inhibit restenosis following coronary stenting」N Engl J Med.336 1697−1703(1997))、あるいは放射活性のあるステントを留置する方法(Waksman R et al「Clinical and angiographical follow−up after implantation of a 6−12?Ci radioactive stent in patients with coronary artery disease」 Eur Heart J.22 669−675(2001))等が知られている。これらの方法は臨床的にも応用されているが、血管内皮細胞の再生不良、ステントの両端における高頻度の再狭窄という新たな問題も明らかになっている。
冠動脈形成術後の再狭窄に温熱療法を利用した報告としては、David G Neschis et al「Thermal preconditioning before rat arterial balloon injury; limitation of injury and sustained reduction of intimal thickening」 Arterioscler Thromb Vasc Biol.18 120−126(1998)がある。この報告では、冠動脈形成術施行の6時間前にラットの全身を43℃の温浴に15分間入れて温熱処理すると、再狭窄の減少が認められるとあるだけで、平滑筋細胞の過増殖抑制と温熱処理の適正条件などは不明である。
本発明のひとつの目的は、内膜、中膜を構成する細胞にほとんど障害を与えず、合成型に移行した平滑筋細胞の異常増殖のみを選択的に抑制する平滑筋細胞の増殖抑制方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、冠動脈病変に対するインターベンション治療で起こる再狭窄を阻止する医療上の有用性が高く、臨床的実施が安全かつ容易で、患者の負担の少ない血管平滑筋細胞の増殖抑制方法を提供するにある。
発明の開示
前記目的を達成した本発明の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法は、増殖応答した血管平滑筋細胞を温熱処理することを特徴としている。
温熱処理を加える時期は、平滑筋増殖刺激時を含めて、刺激の12時間前から刺激の15時間後までの間であれば任意に選択できるが、好ましくは増殖刺激後0〜15時間、さらに好ましくは増殖刺激後2時間目である。特に増殖刺激前の温熱処理は、いつ冠動脈疾患が起こるか予測できない臨床には、実際上適用は困難である。
温熱処理温度は、処理時間との関係で一概には特定できないが、42℃〜44℃の温度が望ましく、43℃以上が最適である。42℃未満では増殖抑制効果が不十分であり、44℃を超えると増殖する平滑筋細胞の強い抑制はみられるが、増殖能力をもたない正常な収縮型平滑筋細胞をも細胞死に至らしめ、加えて血管内皮細胞の増殖も抑制され始める。
温熱処理時間は、90〜180分の範囲が好適で、120分が最適である。処理時間が90分未満では所望の増殖抑制効果は認められず、180分を超えても120分と略同程度の増殖抑制しか認めらない。加えて、増殖能力を持たない正常な収縮型血管平滑筋細胞及び血管内皮細胞の増殖に対して悪影響を与えるおそれがある。
以上のことから、血管平滑筋細胞を増殖刺激して2時間経過後に、43℃、2時間の温熱処理を加えるのがもっとも望ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
実際の冠状動脈形成術後に起こり、慢性的進行で特徴づけられる再狭窄の大きな原因の一つは、血管内皮下腔における血管平滑筋細胞の過増殖である。バルーニング等に伴う機械的圧迫から血管内皮細胞の損傷に起因して凝集する血小板、あるいは壊死した細胞からの各種細胞増殖因子やサイトカインの放出により、血管平滑筋は、処置後早期の段階で収縮型から合成型へと形質転換し、平滑筋細胞の過増殖につながるとされている。
この対数増殖期にある合成型血管平滑筋細胞(VSMCs)に対して、例えば43℃、2時間の温熱処理を加えると、第1図に示すように処理直後から1日目までは略細胞数増加停止状態となり、2日目以降も増加はいちじるしく抑制される。これは、温熱未処理の対数増殖期コントロール細胞がそのまま増殖を続けるのとはきわめて対照的である。
本発明の温熱処理時期は、血管中膜を形成する正常収縮型平滑筋細胞に代わる細胞培養実験系での増殖静止平滑筋細胞によると、第2図及び第3図に示すように、増殖刺激前12時間から増殖刺激後15時間の間であれば、任意に選択できる。増殖抑制効果の観点からは、第2図から明らかなように、平滑筋増殖刺激時を含めて増殖刺激後15時間までの間が望ましい。増殖刺激後どの時点で温熱処理しても、温熱処理したものは温熱未処理のコントロール細胞に比して、有意な細胞増殖抑制効果を示す。増殖抑制効果は、温熱処理直後の細胞数減少(細胞死)によるものではなく、増殖刺激後2日にわたり細胞数増加が抑えられることによりもたらされる現象であり、増殖刺激後5日の長期にわたっても顕著に認められる。
増殖刺激後2日目の観測によれば、増殖刺激後2時間目の温熱処理がもっともすぐれた増殖抑制効果を示している。他の時点での温熱処理では、なお若干の細胞数の増加が認められる。細胞培養実験系モデルでの増殖刺激後における最適温熱処理時期は、増殖刺激後2時間目である。
この増殖抑制効果は、第3図の顕微鏡写真からも見てとれる。例えば、増殖刺激後5日目の観察によれば、温熱未処理のコントロール細胞では、第3図(e)に示すように、細胞接触阻害により増殖能力の鈍化を示す高い細胞密度状態に達しているが、温熱処理した細胞ではこの時点でまだ細胞密度が疎であり、増殖のあきらかな遅延が認められる。
逆に増殖静止平滑筋細胞を温熱前処理し(サーマル・プレコンディショニング)、その後に増殖刺激を行うと、第4図に示すように、温熱処理と増殖刺激を同時に与えたものが最大の増殖抑制効果を示し、温熱処理後の増殖刺激は早ければ早いほどよい。
また温熱処理温度と温熱処理時期との関係でみると、第5図(a)に示すように、細胞増殖抑制効果は、温熱処理温度が42℃以上であれば認められる。しかし、第5図(b)から明らかなように、42℃では増殖刺激から4時間経過後の温熱処理で細胞数の減少が認められるものの、その割合は35%程度に止まっている。これに対して、43℃では温熱時期を問わず顕著な増殖抑制効果が認められる。特に増殖刺激後2時間目の温熱処理では、第1図同様、最大の増殖抑制効果が見られる。44℃になると、いずれの時期の温熱処理でも増殖刺激前の増殖静止平滑筋細胞の細胞数を下回っているおり、増殖抑制効果は細胞死による喪失に起因することを示唆している。しかし、増殖応答しない増殖平滑筋細胞をも死に導くおそれがある。
これらの点から、温熱処理温度は43℃以上が望ましいが、後述する第10図(b)に示す増殖静止平滑筋細胞に対する44℃での温熱処理のフローサイトメトリーの結果を併せて考えると、43℃が至適である。温熱処理時期に関しては、増殖刺激後2時間目が最適である。
一方、本発明における好適な温熱処理時間は、第6図から明らかなように、温熱処理温度43℃で、増殖刺激後1時間目、2時間目のいずれの温熱処理でも、処理時間90分から有意の増殖抑制効果が認められる。増殖停止に近い効果は120分以上である。したがって、最適温熱処理時間は2時間である。
本発明の温熱処理を再狭窄阻止のために臨床応用する場合を想定すると、所望の血管局所に温熱処理を加えても、熱は血管壁の三層構造全体に伝播する。血管壁中膜を形成する増殖能力を持たない正常収縮型平滑筋細胞にまで熱の悪影響が及ぶようでは、本発明の温熱処理を臨床医療に適用することは困難である。逆にいえば、異常増殖する平滑筋細胞を細胞毒性的治療により増殖抑制するのに温熱処理を用いる場合、温熱処理の増殖抑制効果は、適用範囲において増殖能力の有無による細胞増殖状態選択性を持たなければならない。
この温熱処理増殖抑制効果の細胞増殖状態選択性は、第7図から明らかである。すなわち、血管壁中膜を形成する収縮型平滑筋細胞に代わる細胞培養実験系の増殖静止平滑筋細胞は、43℃、2時間の温熱処理直後に観測しても、温熱処理して引き続き血清枯渇培養を続けた1日目、2日目に観測しても、さらにその2日目で増殖刺激を加え、その後の1日目、2日目に観測しても、温熱処理しないコントロール試料と略同じ細胞増殖を認めることができる。
これを第4図の増殖静止平滑筋細胞に対する温熱処理後12時間目までに行う増殖刺激試験で認められた増殖抑制効果と併せ考えると、増殖静止平滑筋細胞への温熱処理は、その2日目以降、増殖能力において何ら影響を残すことなく、増殖静止平滑筋細胞はこの温熱処理に十分耐え、細胞死に至ることはない。
一方、血管内皮細胞では、冠動脈形成術後に内皮細胞の損傷が不可避的に起こる。損傷後に続く内皮細胞の再生は、内皮下腔での平滑筋増殖を抑制する働きをもつ重要な修復反応である。しかし、温熱処理により平滑筋細胞の増殖抑制とともに、内皮細胞の増殖も抑制されると、再狭窄阻止のための温熱処理は確実性及び安定性に欠ける。
血管内皮細胞の代表としてウシ大動脈血管内皮細胞(BAECs)を使用し、細胞播種後4〜5日目の増殖速度が最も高い対数増殖期BAECsに、43℃、2時間の温熱処理をおこなった結果、第8図(a)に示すように、温熱処理後第1日目〜4日目のいずれの時点でも、細胞の増殖は温熱処理しないコントロール細胞と略同一で、温熱処理による増殖抑制の悪影響は認められない。これは、対数増殖機合成型平滑筋細胞の温熱処理による増殖抑制効果を示す第1図とは極めて対照的である。
同様に、対数増殖期BAECsを3日間血清枯渇培養して得た増殖静止ウシ大動脈血管内皮細胞(quiescent BAECs)に対し、増殖刺激して1時間目及び2時間目に43℃、2時間の温熱処理をした結果、第8図(b)に示すように、増殖刺激後1日目及び2日目のいずれの観測においても、温熱処理をしないコントロール細胞と、細胞の増殖速度は略同程度であって、温熱処理による増殖抑制の悪影響は認められない。
これらのことから、本発明の温熱処理は、細胞選択性及び細胞増殖状態選択性を有し、対数増殖期合成型平滑筋細胞にのみ選択的に増殖抑制効果を示すが、増殖静止平滑筋細胞や、対数増殖期、増殖静止のいずれの状態にあるBAECsの増殖に対しても何ら影響を及ぼさない。したがって、本発明の温熱処理を臨床応用しても、形質変換した合成型平滑筋の細胞増殖は選択的に抑制するが、血管中膜の正常収縮型平滑筋細胞や血管内皮細胞の増殖再生を妨げるおそれはない。本発明の温熱処理により、冠動脈形成術後の再狭窄は、安全かつ効果的に阻止できる。
温熱処理が増殖期合成型平滑筋細胞の増殖抑制する理由は、必ずしも明確ではないが、熱ショックタンパク質(HSPs)の影響と考えることもできる。これまでも熱ショックによる可溶性タンパク質の凝集抑制効果は知られており、細胞の熱に対する抵抗性の一つの機序として考えられていたが、今日ではHSPsは分子シャペロンと呼ばれる正常な生理機能の広範な部分にも関与していることが判明しており、熱ショックが与えられていない状態においてさえも、タンパク構造変化能力を介した重要多機能調節因子としての働きを有していることが知られている。かかる観点から、細胞を温熱処理すれば、このHSPsのさらなる誘導あるいは核内への移行が起こり、血管平滑筋細胞の細胞増殖抑制作用を惹起するものと推定される。
いずれにしろ、血管形成術後の再狭窄阻止手段として温熱療法を施すことを想定すると、本発明の温熱処理による細胞増殖抑制現象の解明は、温熱療法の安全上不可避の問題である。
この現象は、フローサイトメーターを用いた細胞内DNA量解析の結果、大部分は細胞周期G1期における成長停止に起因しており、一部(約15%)は細胞DNAの崩壊(細胞死)を意味する細胞周期サブG1ポピュレーションの出現による。
すなわち、第9図(a)の増殖静止平滑細胞を増殖刺激してから2時間目に43℃、2時間の温熱処理を加えたものと温熱処理しないコントロール試料の比較では、温熱処理したものは、増殖刺激後1日目でS期とG2/Mに進行する細胞数がコントロール試料に比べて圧倒的に少なく、典型的なG1停止現象のパターンを示している。増殖刺激後2日目には細胞死を意味するDNAの崩れ、サブG1ポピュレーションが認められるが、5日目には消失してコントロール試料と実質的な差はなくなっている。これに対して、第9図(b)の温熱処理温度のみを44℃にしたものと、温熱処理を加えなかったコントロール試料の比較では、温熱処理を加えたものは、増殖刺激後2日目にサブG1ポピュレーションの出現が認められ、その割合は温熱処理温度43℃に比べると多く、5日目でも増えつづけている。
一方、増殖刺激を加えない温熱処理43℃、2時間の第10図(a)では、温熱処理をしないコントロールと略同様の経過を辿り、第9図(a)に示すようなサブG1ポピュレーションの出現はない。また、増殖静止平滑筋は、43℃、2時間の温熱処理に耐え死に至らない。しかしながら、温熱処理温度が44℃になると、第10図(b)に示すように、サブG1ポピュレーションが高い割合で出現している。44℃といった高温では、細胞増殖状態の如何にかかわりなく細胞死が起こり、細胞状態選択性は喪失する。
第9図及び第10図をとおして明らかなことは、本発明の適正な温熱処理によれば、増殖刺激を受けた平滑筋細胞に対して細胞増殖を抑制する際には、大部分の細胞に起こる細胞周期G1停止現象に関して細胞選択性を有し、一部に誘導される細胞死に関しては細胞選択性及び細胞状態選択性を有することを示唆している。
また前記細胞周期サブG1ポピュレーションで示される細胞死が、ネクローシスによるかアポトーシスによるかは、温熱療法の臨床応用を想定した場合きわめて重要な意味をもつ。すなわち、ネクローシスであれば、炎症反応がひき起こされ、反応性リンパ球の浸潤により、血管中膜を形成する平滑筋細胞に対して、さらなる増殖刺激につながるおそれがある。これに対してアポトーシスであれば、このような二次的炎症は起こらず、安全で有効な療法となる。
第11図乃至第14図に示すギムザ染色法による顕微鏡写真によれば、アポトーシスの典型とされている細胞全体の縮小化、核の凝集及び断片化が起こっている細胞が認められる。同様に、DNAラダー検出法による第15図のレーン写真は、温熱処理細胞からのDNA抽出物がヌクレオソーム単位での断片化(DNAラダー)を示しており、TUNEL染色法による第16図乃至第18図の顕微鏡写真もTUNEL陽性を示している。これらのことから、この細胞死はアトポーシス機序にもとづくものと推定される。
しかしながら、アネキシンV−FITC/PIによるフローサイトメータ解析によれば、増殖静止平滑筋細胞に対し、増殖刺激2時間後、43℃または44℃、2時間の温熱処理を加えて誘導されたアポトーシス細胞群には、第19図乃至第23図に示すように、その半数以上がアネキシンV結合部位(フォスファチジルセリン)の細胞膜表面露出検出で陰性を示している。これは、きわめて特異な結果であるが、前記各試験から総合的にみると、細胞死の形態は安全なアポトーシスと推定できる。
以上のことから、本発明の温熱処理は、加温条件を厳密に設定管理すれば、冠状動脈形成術後の再狭窄に対する阻止療法として、臨床応用においても安全かつ有効である。
臨床応用する際の加温手段としては、誘電加温方式、誘導加温方式、挿入加温方式、植込み加温方式等を採用できる。誘電加温方式では、二枚の電極を体表に装着して、両電極の間に電流を流して加温する。誘導加温方式では、円筒状のコイルに電流を流して磁界を発生させ、磁界による誘導電流によって加温する。挿入加温方式では、電極を体内に挿入し、患部に刺入したまま電流を流して加温する。植込み加温方式では、患部近くに加温手段を植込んで体外から熱エネルギーを供給して加温する。
加温媒体としては、赤外線、マイクロ波、高調波、超音波等を利用できるが、特に深部侵達性、非侵襲性、及び組織内での局所発熱に優れたマイクロ波が好ましい。
実施例1
血管平滑筋細胞(VSMCs)は、ラット胸部大動脈の中膜から採取し、エクスプラント法により初代培養した。培養フラスコを用いて初代培養されたVSMCsをインキュベーター中で継代培養した。インキュベーターは、温度37℃に設定、5%の二酸化炭素を含む加湿された大気で満たした。継代培養では、細胞液体培地の交換を3日毎に行った。培養細胞密度が高くなった時点でEDTA−トリプシンにより細胞を回収し、別のフラスコ内へ播種し、継代培養を行った。細胞成長液体培地には、10%のウシ胎児血清(FBS)、100ユニット/mlのペニシリン、及び100mg/mlのストレプトマイシンを添加した。本実施例に用いた細胞は、6−10継代目の培養平滑筋細胞であった。フラスコ内に細胞を播種して4〜5日目に、増殖速度が最大で細胞密度が疎である対数増殖期のVSMCsを得た。
対数増殖期VSMCsに対して、設定温度43℃のインキュベーター内で、48穴培養皿(1穴の面積が1cm)毎に2時間の温熱処理を加えた。次いで、処理ずみのVSMCsを37℃のインキュベーター内に戻した。
試料は、温熱処理直前、温熱処理直後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目に採取した。
対照例1
実施例1と同じVSMCsから同じ時点で、温熱未処理細胞を採取、コントロール試料とした。
試験例1
実施例1と対照例1の各試料につき、細胞数をカウントした。カウントにはシスメックス社製のCDA−500粒子分析器を用いた。試験は、独立した同じ実験を3回繰り返して同じ結果を得、一つの実験は各3つの試料(n=3)について行った。結果を第1図に平均値±標準偏差値で示した。
第1図の血管平滑筋細胞増殖曲線から明らかなように、実施例1の試料では、対照例1とは異なり、温熱処理直後から1日目までは実質的に細胞数の増加は認められなかった。2日目以降においても、実施例1は対照例1に比べ、細胞数の増加はかなり抑制されており、細胞密度は疎で増殖速度の低減を示した。
また実施例1の試料では、温熱処理後にフラスコ底面から剥離する細胞はほとんでなかった。これらの結果から、温熱処理によりVSMCsの細胞増殖は強く抑制されることが判明した。
実施例2
実施例1の対数増殖期VSMCsを0.1%の牛胎児血清(FBS)からなる低血清培地で3日間培養し、血清枯渇操作によりアポトーシスに陥る細胞を含んだかたちで、増殖停止した増殖静止平滑筋細胞(quiescent VSMCs)を得た。このquiescent VSMCsを5%FBS含有液体培地下におき、増殖刺激して細胞を分裂させる一連の過程において、先ず増殖刺激直後の温熱処理効果をみた。温熱処理は43℃、2時間とした。次いで増殖刺激して2日目、5日目に試料を採取した。増殖刺激後の好適な温熱処理時期をみるため、温熱処理開始を基点として前0〜15時間にわたって、各設定時間(第2図の−符号で示した時点)で5%FBSにより増殖刺激し、複数の試料を調製した。
対照例2
実施例2と同様の方法で温熱処理をせず、設定時間毎にコントロール試料を採取した。
試験例2
実施例2と対照例2の各試料につき、温熱処理直後と、増殖刺激してから2日目及び5日目に細胞数をカウントした。カウント結果を第2図に示す。また温熱処理直後と、2日目及び5日目に位相差顕微鏡で観察した。位相差顕微鏡写真を第3図(a)(b)(c)(d)(e)に示す。(a)はquiescent VSMCs、(b)(c)はquiescent VSMCsを5%FBS含有液体培地で刺激を行い、温熱未処理でそのまま培養し、それぞれ2日及び5日経過した細胞、(d)(e)は増殖刺激後2時間目に温熱処理(43℃、2時間)し、増殖刺激時点から2日及び5日経過した細胞である。
実施例2では、冠動脈インターベンション後の最狭窄の機序にもとづき、細胞培養実験系で温熱処理の効果を確認するため、血管中膜を形成する正常収縮型平滑筋細胞の代わりに、増殖静止平滑筋細胞(quiescent VSMCs)を用いて、増殖刺激後の温熱処理効果をみた。
第2図から明らかなように、増殖刺激後の温熱処理時期に関しては、どの時点でも実施例2は対照例2に対して有意な細胞増殖抑制効果を示した。しかし、増殖刺激後2日目の観測では、増殖刺激後2時間目に温熱処理したものに比べ、他は細胞数の若干の増加傾向が認められた。この結果から、細胞培養実験系モデルでは、増殖刺激後の温熱処理では、増殖刺激後2時間目に温熱処理するのが最大の効果を示すことが判明した。
第3図に示す位相差顕微鏡観察によれば、5日目の時点では、対照例2の細胞密度は、細胞接触阻害による増殖能力の鈍化を示す高い細胞密度状態に達している((b)(c))。これに対して、実施例2の温熱処理細胞は、この時点においてもまだ細胞密度が低いままの状態にあり、明らかな増殖遅延を示している((d)(e))。
実施例3
quiescent VSMCSに、あらかじめ43℃、2時間の温熱処理を加えた。しかる後5%FBS含有培地で増殖刺激した。温熱処理後における増殖刺激のタイミングは、0、2、4、8、12時間とした。
対照例3
温熱未処理のquiescent VSMCSに、実施例3と同じ時点で増殖刺激を加えて、コントロール試料を得た。
試験例3
実施例3と対照例3の各試料について、温熱処理直後と、増殖刺激後2日目及び5日目に細胞数のカウントを行った。結果を第4図に示す。
実施例3では、実施例2とは温熱処理と増殖刺激の順序を変えて、温熱処理を先に(サーマル・プレコンディショニング)、次いで増殖刺激をして増殖抑制効果をみた。
第4図から明らかなように、温熱処理と同時に増殖刺激を与えた群に最も強い増殖抑制効果が認められた。増殖刺激の時期は、早ければ早いほど強い増殖抑制を示した。この時間関係からみて、増殖抑制効果は、温熱処理による細胞のストレス耐性獲得現象とは異なるとものと推定できる。通常、温熱処理細胞が二次的に虚血、ラジカル酸素などのストレスに耐性を示し始めるのは、温熱処理細胞で熱ショックタンパク質70ファミリーが最大に誘導されてくる時間帯であり、早くても温熱処理後数時間から十数時間後のことだからである。
実施例4
quiescent VSMCsを増殖刺激して、1、2、4、6時間経過した試料について温熱処理した。処理時間は2時間とし、温度は41〜44℃の範囲で、1℃刻みに実施した。実験は、各温度のインキュベーターを用意し、各試料を培養フラスコごとインキュベーターに入れて行った。
対照例4
実施例4と同じ方法で、温熱未処理コントロール試料を得た。
試験例4
実施例4及び比較例4の各試料について、各設定時間毎に細胞数のカウントをした。結果を第5図(a)(b)に示す。
実施例4では、増殖刺激したquiescent VSMCsの温熱処理時間を2時間に特定し、好適処理温度と処理時期の関係をみた。
ここでは、第5図(a)に示すように、いずれの温度設定においても、温熱処理直後の細胞剥離喪失はなかった。また第5図(b)に示すように、増殖抑制効果は42℃以上において認められた。温熱処理温度42℃では、増殖刺激してから4時間経過後の温熱処理細胞群で細胞数の減少が認められたものの、その割合は35%程度にとどまった。43℃では、ここで調べた温熱処理時期すべての場合で、顕著な増殖抑制効果が認められた。特に増殖刺激から2時間目の温熱処理は、増殖停止に近い増殖抑制効果を示し、実施例2の結果の妥当性を裏書きした。44℃では、どの時点においても増殖刺激前のquiescent VSMCsの数を下回った。この結果は、44℃における細胞増殖抑制には、細胞死による喪失の関与があることを示唆している。
以上の結果から、増殖刺激後2時間目の温熱処理温度の設定は低くても42℃が望ましく、増殖停止に近い効果が期待できる43℃以上は一層望ましい。
実施例2、実施例3及び実施例4の細胞増殖抑制試験の結果を併せて考えると、細胞培養実験系モデルにおいて、温熱処理効果が最大を示す温熱処理時期は、増殖刺激して2時間目である。また、温熱処理の最適温度は43℃以上にある。実施例5
処理温度は43℃に特定した。quiescent VSMCsを5%FBSで刺激し、実施例2で増殖抑制効果が高かった増殖刺激後1時間目と2時間目に試料を採取した。各試料につき処理時間を30分、60分、90分、120分、180分と変えて温熱処理をした。
試験例5
実施例5の各試料について細胞数をカウントした。結果を第6図(a)(b)に示す。
実施例5では、温熱処理温度43℃における有効な処理時間をみた。第6図(a)及び第6図(b)から明らかなように、温熱処理温度43℃における増殖抑制効果は、温熱処理時間90分以上において有意に現われた。温熱処理時間120分以上では、増殖停止に近い結果が得られた。
実施例6
実施例2のquiescent VSMCsに、43℃、2時間の温熱処理を加えた後、1日間及び2日間目37℃インキュベーター内に戻し、0.1%FBS含有の液体培地で培養を続けた。3日目と4日目は5%FBS含有液体培地に交換し、増殖刺激を与えた。
対照例6
温熱未処理のquiescent VSMCsを実施例6と同様に培養し、増殖刺激を与えてコントロール試料とした。
試験例6
温熱処理直前、直後、1日目、2日目、3日目、4日目に、各試料の細胞を回収し、細胞数をカウントした。結果を第7図に示す。
実施例6では、異常増殖する血管平滑筋細胞の温熱処理による増殖抑制が、血管中膜を構成する正常収縮型平滑筋細胞に悪影響を及ぼすおそれがないかをみた。細胞培養実験系では、培養平滑筋細胞を収縮型平滑筋細胞に再分化するのが困難なため、代わりに増殖状態の似た増殖静止平滑筋細胞(quiescent VSMCs)を用いた。
第7図から明らかなように、実施例6の試料では、温熱処理後のいずれの時点でも、対照例6のコントロール試料と略同じ細胞数を示した。特に温熱処理直後、1日目、2日目、また培養フラスコ底面からの剥離はなかった。この結果から、quiescent VSMCsは、前記温熱処理に耐え得る能力をもち、細胞死には至らないことが確かめられた。
実施例7
ウシ大動脈血管内皮細胞(BAECs)をウシ大動脈の内膜から採取して初代培養した。初代培養されたBAECsを培養フラスコを用いて、インキュベーター中で継代培養した。インキュベーターは、温度37℃に設定、5%の二酸化炭素を含む加湿された大気で満たした。継代培養では、細胞液体培地の交換を3日毎に行った。培養細胞密度が高くなった時点でEDTA−トリプシンにより細胞を回収し、別のフラスコ内へ播種した。細胞成長液体培地には、10%のFBS、10ng/mlのEGFを含み、100ユニット/mlのペニシリン及び100mg/mlのストレプトマイシンを添加したものを用いた。なお、試験には、12〜14目の細胞を使用した。フラスコ内に細胞を播種して4〜5日目に、増殖速度が最大で細胞密度が疎である細胞を対数増殖期BAECsとした。
この対数増殖期BAECsに対して、設定温度43℃のインキュベーター内、48穴培養皿(1穴の面積が1cm)ごと入れ、2時間の温熱処理を加えた。次いで、処理ずみのBAECsを37℃のインキュベーター内に戻し試料を得た。
一方、3日間の血清枯渇による増殖静止BAECs(quiescent BAECS)を用い、増殖培地で刺激してから1時間または2時間経過した後に、前記と同じ43℃、2時間の温熱処理を加えて試料を調製した。
対照例7
実施例7と同じ方法で、細胞播種後、温熱未処理で37℃のインキュベーター内で培養を続け、BAECsのコントロール試料を得た。
quiescent BAECsについても、実施例7と同じ方法で温熱未処理のコントロール試料を調整した。
試験例7
実施例7及び対照例7の増殖期BAECs試料について、増殖処理前、増殖処理直後、1日目、2日目、3日目、4日目に細胞数をカウントした。結果を第8図(a)に示す。
また、実施例7及び対照例7のquiescent BAECsにおいては、温熱処理直前の試料と、増殖刺激後1時間目及び2時間目の試料につき、増殖刺激後1日目及び2日目に細胞数をカウントした。結果を第8図(b)に示す。
実施例7では、実施例6同様に温熱処理が血管内皮細胞の増殖に与える影響をみた。
第8図(a)の細胞増殖曲線から明らかなように、BAECsでは、実施例7の試料も、対照例7のコントロール試料の細胞と略同様に細胞数の増加が認められた。第1図に示す対数増殖期の合成型平滑筋細胞のような細胞増殖速度の低下は認められなかった。
また、第8図(b)から明らかなように、quiescent BAECSに関しても、温熱処理による細胞増殖の抑制効果は認められなかった。
実施例8
quiescent VSMCsを5%FBSで増殖刺激して2時間経過した後、43℃、2時間の温熱処理し、試料(A)を得た。同様に44℃、2時間の温熱処理し、試料(B)を得た。
また、quiescent VSMCsを増殖刺激せずに前記同様の温熱処理して、試料(C)と試料(D)を得た。
対照例8
実施例8と同様にして、温熱処理を加えないコントロール試料を調製した。
試験例8
実施例8及び対照例8の試料につき、回収後1×10個程度になるように調節し、氷上で70%エタノールを用い30分間固定して、細胞内DNA量測定のための細胞周期解析用試料を得た。一度液体培地で細胞を洗浄後、RNアーゼ(100μg/ml)で37℃、30分間処理し、RNAを分解した。次いで、10μg/mlのヨウ化プロピジウムを添加し、室温で15分間処理して細胞内DNAを染色した。この細胞を遠心分離にかけて上清を除去後に、1mlのリン酸緩衝液(PBS)で再浮遊、混合し、フローサイトメーターにて解析した。試料(A)の結果を第9図(a)に、試料(B)の結果を第9図(b)に示す。
同様に試料(c)(d)について細胞周期解析の経時的変化をみた。結果を第10図(a)(b)に示す。
実施例8では、温熱処理による平滑筋細胞の増殖遅延(実施例2及び実施例3)の原因が、細胞周期進行の停止にあるのか、あるいは死細胞の出現によるのかを確認した。
第9図(a)のヒストグラムが示すように、43℃、2時間の温熱処理の場合、実施例8の温熱処理細胞試料の方は、増殖刺激後の1日目でみると、S期とG2/M期に進行する細胞数がコントロール試料に比べて明らかに減少し、G1期停止現象のパターンを示した。さらに増殖刺激後の2日目には、遅れてS期に侵入する様子と、同時にDNAの崩れ、つまり細胞死を意味するサブG1ポピュレーションが認められた。増殖刺激後5日目には、このサブG1ポピュレーションは消失し、コントロール試料と大差がなくなった。
第9図(b)が示すように、温熱処理温度を44℃にしても、増殖刺激後2日目にサブG1ポピュレーションが出はじめたが、その割合は処理温度43℃に比べると多かった。また増殖刺激後5日目でも、サブG1ポピュレーションがより一層増え続けた。
一方、増殖刺激を加えないものについては、第10図(a)から明らかなように、43℃、2時間の温熱処理をしても、その後は温熱未処理のコントロール試料と同じ経過をたどった。特に温熱処理後2日目においても、第9図(a)で認められたサブG1ポピュレーションの出現は全くなかった。実施例6同様に、quiescent VSMCsは、43℃、2時間の温熱処理に耐えて、死には至らないことをこのヒストグラムも示している。
しかしながら、第10図(b)が示すように、処理温度44℃の場合は、quiescent VSMCsでも温熱処理後2日目には、サブG1ポピュレーションが高い割合で出現した。このサブG1ポピュレーレーションが示す死細胞の出現によって、44℃、2時間という温熱処理は、もはや細胞増殖状態にもとづいた選択性を失い、いずれの細胞増殖状態にある平滑筋細胞をも細胞死に導くストレスであることを示している。この結果、合成型平滑筋細胞過増殖を抑制するための至適温度としては、43℃がもっとも望ましい。
実施例9
下記の試料を準備した。
試料1:対数増殖期のVSMCs。
試料2:quiescent VSMCs。
試料3:quiescent VSMCsを増殖刺激して2日間培養したコントロール細胞群。
試料4:quiescent VSMCsを増殖刺激して2時間後に、44℃、2時間の温熱処理を加え、さらに2日間培養したもの。
試料5:対数増殖期のVSMCsに対して5分間のUV照射を行い、2日間培養したもの。
試料6:対数増殖期のVSMCsに45分間のUV照射したもの。
試料7:培地を蒸留水に置換して、極端な浸透圧で処理をしたもの。
試料8:quiescent VSMCsを増殖刺激した2時間後に、55℃、2時間の高温処理を行い、数時間〜数十時間培養したもの。
試験例9
実施例9の試料1〜8について、各々ギムザ染色を行い、試料4の細胞形態を他の試料の細胞形態と比較しながら、光学顕微鏡下で観察した。結果を第11図〜第14図に示す。
実施例9の光学顕微鏡観察では、実施例8における温熱処理による増殖刺激後2日目の約15%のサブG1DNA量を含む細胞が、ネクローシスあるいはアポトーシスのいずれの死の形態に基づくかを確認した。
顕微鏡観察の結果、試料2の大多数のquiescent VSMCsに混じって、一部に認められてくる細胞や、試料5のUV照射5分間により顕著に出現してくる細胞は、アポトーシスの典型として一般的に認められている細胞全体の縮小化、核の凝集、及び断片化を示した。これに対して、試料6〜8のネクローシス細胞では、細胞全体及び核の膨潤が認められた。温熱処理した細胞の形態変化は、ネクローシス細胞の形態変化とは明らかに異なった。大小突起の出現と細胞質の狭小化及び核の凝集の様相からは、むしろアポトーシス像に近いものであると推定できる。
実施例10
下記の試料を準備した。
試料1:対数増殖期のVSMCsからDNAを抽出したもの。
試料2:quiescent VSMCsからDNAを抽出したもの。
試料3:quiescent VSMCsに5%FBSにより増殖刺激を加えて、1日後にDNAを抽出したもの。(温熱未処理コントロール)
試料4:試料3と同じものから2日後にDNAを抽出したもの。(同上)
試料5:試料3と同じものから5日後にDNAを抽出したもの。(同上)
試料6:quiescent VSMCsに5%FBSで増殖刺激を加え、その2時間後に44℃で温熱処理した細胞の増殖刺激後1日目の細胞群からDNAを抽出したもの。
試料7:試料6と同じ温熱処理細胞の増殖刺激後2日目の細胞群からDNAを抽出したもの。
試料8:試料6と同じ温熱処理細胞の増殖刺激後5日目の細胞群からDNAを抽出したもの。
試料9:対数増殖期のVSMCsに対してUV照射を5分間行い、照射後の1日目の細胞群からDNA抽出を行ったもの。
試料10:試料9と同一のUV処理を行い、照射後2日目の細胞群からDNA抽出を行ったもの。
試料11:試料9と同一のUV処理を行い、照射後3日目の細胞群からDNA抽出を行ったもの。
試料12:試料9と同一のUV処理を行い、照射後5日目の細胞群からDNA抽出を行ったもの。
試験例10
各試料からのDNA抽出及びアガーロース電気泳動は、アポトーシスラダー検出キット(Apoptosis Ladder Detection Kit Wako)に従い行った。すなわち、各試料とも、1×10個細胞からイソプロパノール沈殿を用いてDNA抽出を行った。抽出したDNAを50μlの溶解バッファー(TEバッファー)に溶かして試料を作成した。そのうち、20μlの試料を用いてアガロース電気泳動にかけた。
泳動後のゲル内DNAの検出には、終濃度0.5μg/mlのエチジウムブロマイドを用い、暗所で30分間染色した。次いでUVトランスルミネーターを用いて写真撮影した。結果を第15図に示す。
実施例10では、実施例9の形態的所見のみでもってアポトーシスか否かの判定は困難であるため、DNAラダー検出を行った。
第15図のレーン1〜8は、アガーロースゲル電気泳動によりDNAの切断様式を解析したものである。温熱処理細胞から抽出されたDNA抽出物は、ヌクレオソーム単位での断片化(DNAラダー)を示しており、この現象は増殖刺激後5日目の細胞群からDNA抽出した試料8において顕著に認められた。DNAラダーの検出の結果、44℃の温熱処理で誘導される死の形態は、アポトーシス機序に基づくことが明らかとなった。
レーン9〜12は、参考までに、試料9〜12(UV照射後1日目、2日目、3日目、5日目)についてアガーロースゲル電気泳動を行ったDNAの切断様式を示す。これらは、この実験方法におけるアポトーシスの典型的なパターン例である。
実施例11
下記の試料を準備した。
試料1:対数増殖期のVSMCs。
試料2:quiescent VSMCs。
試料3:quiescent VSMCsを5%FBSにて増殖刺激し、その後2日間培養したコントロール細胞。
試料4:quiescent VSMCsを増殖刺激して2時間後に43℃、2時間の温熱処理を加え、次いで2日間培養したVSMCs。
試料5:対数増殖期のVSMCsに5分間のUV照射を行って後、2日間培養した細胞群。
試験例11
実施例11の各試料について、Terminal Deoxynucleotidyltransferase(TdT)−mediated DdTP−biotin Nick End Labeling法(TUNEL)による染色実験をした。
まずグラスチャンバースライド上に細胞播種された細胞を用い、各種実験処理した後に、4%のホルムアルデヒドで10分間固定した。次いでApoptosis in situ Detection Kit Wakoのプロトコールに従い染色した。染色後の細胞を光学顕微鏡にて観察した。結果を第16図〜第18図に示す。
実施例9及び実施例10の結果からみても、43℃、2時間の温熱処理により誘導されてくる細胞死の形態は略アポトーシスであると推定できるが、さらにこれを裏付けるため、43℃、2時間の温熱処理試料を作成し、実施例11ではTUNEL法を用いた染色実験を行った。
その結果、試料4のquiescent VSMCsを5%FBSで増殖刺激して、2時間後に43℃、2時間の温熱処理を加えた細胞群では、第17図(d)が示すようように、約15%の細胞死はTUNEL陽性を示した。これによりこの細胞死がアポトーシス機序に基づくものと推定できる。
なお、本実施例のTUNEL染色用温熱処理試料(43℃、2時間)と、実施例9のギムザ染色及び実施例10のDNAラダー検出における温熱処理試料(44℃、2時間)とで温熱処理温度が異なるのは、検出感度を配慮した結果である。ギムザ染色とDNAラダー検出は検出感度が低く、多量のアポトーシスを必要とするため、44℃の温熱処理を採用したまでで、これにより前記アポトーシス機序の推定が影響を受けることはない。
実施例12
下記の試料を調製した。
試料1:対数増殖期VSMCs
試料2:quiescent VSMCs
試料3:quiescent VSMCsを5%のFBSで刺激し、44℃で2時間温熱処理し、アポトーシス細胞を誘導した細胞群
試料4:温熱処理温度が43℃である以外は、試料3と同じアポトーシス細胞誘導細胞群
試料5:5分間のUV照射で誘導されるVSMCsアポトーシス細胞群
試料6:quiescent VSMCsを5%FBSで増殖刺激した後、55℃で高温処理したもの。
試験例12
実施例12で温熱処理したVSMCs試料3について、アネキシンV−FITC/PIを用いたフローサイトメーターの解析を行った。
細胞膜表面へのアネキシンV結合部位(ホスファチジルセリン)の露出の検出は、アネキシンV−FITCキット(Immunotech A Beckman Coulter Company製)のプロトコールにしたがった。
すなわち、各細胞試料1×10個を5分間遠心分離機で分離後、一度4℃の液体培地を用いて細胞洗浄した。次いで、付属の結合緩衝液中に細胞を浮遊させて、5μlのアネキシンV−FITCC溶液と5μlのヨウ化プロピジウムPI(250μg/ml)を添加し、おだやかに撹拌混合して反応させた。氷上暗所で10分間の静置後、フローサイトメーターにより解析した。結果を第19図〜第23図に示す。
実施例9〜11の結果から、温熱処理誘導細胞死形態変化がアポトーシス機序にもとづくものと考えられることから、実施例12では、アポトーシス細胞死の初期段階で一般的に認められるアネキシンV結合部位であるフォスファチジルセリンの細胞膜表面への露出の有無をみた。
試料1は、第19図(a)に示すように、生細胞でPI陰性かつアネキシン−FITC結合陰性の領域3に分布した。
第19図(b)から明らかなように、試料2では、PI陰性で且つアネキシンV−FITC陽性を示す分布域(領域4)に移行する早期段階でのアポトーシス細胞、あるいはPI陽性で且つアネキシンV−FITC陽性を示す分布域(領域2)に移行するアポトーシス二次ネクローシス細胞が認められた。また、第20図(c)第21図(d)が示すように、試料3(44℃温熱処理)及び試料4(43℃温熱処理)のいずれにおいても、死細胞を意味するPI陽性の半数以上の細胞がアネキシンV陰性を示し、生細胞分布領域3から領域1に移行した。これは、きわめて特徴的な温熱誘導血管平滑筋アポトーシス細胞であり、従来のアポトーシス細胞では報告例がなく、典型的ネクローシス細胞でも認められる現象ではない。44℃と43℃の温熱処理温度で領域3から領域1に移行する割合は、増殖刺激後24時間において31.2%と7.4%を示し、領域2と合わせた死細胞の割合は、それぞれ31.2%+16.1%と7.4%+5.8%であった。また第22図(e)は試料5の典型的アポトーシス例として領域4と領域2に移行する様子を示しており、第23図(f)は典型的ネクローシス例として領域2に移行する様子を示している。
以上の実施例1〜12における培養細胞実験系における最終的結論をまとめると、以下のとおりである。
(1)対数増殖期の合成型平滑筋細胞に、例えば増殖刺激して2時間後に43℃、2時間の温熱処理を加えると、平滑筋細胞の増殖は最大限有効に抑制される。
(2)同温熱処理は、正常収縮型平滑筋細胞に相当する実験培養系の増殖静止平滑筋細胞を細胞死にまで至らしめることはない。
(3)同温熱処理は、血管内皮細胞の代表例であるウシ大動脈血管内皮細胞に対しては、増殖応答過程あるいは増殖過程のいずれにおいてもほとんど増殖阻害を起こさない。
これらのことから、一般的に癌の細胞毒性にもとづく臨床治療において求められる細胞選択的及び細胞状態選択的効果の観点から考えると、温熱処理による細胞増殖抑制現象が、G1期停止現象においては細胞選択性のもとに、アポトーシスの誘導に関しては細胞選択性で且つ細胞状態選択性のもとに生じた総合的結果と言える。
これらの実施例は、冠状動脈形成術後の再狭窄に対する阻止手段としての臨床応用を想定して、温熱処理の加温条件を厳密に設定し、温熱療法の有効性と安全性を細胞レベルで証明したものである。
産業上の利用可能性
本発明によれば、血管平滑筋細胞を増殖刺激する前後に所定の温熱処理することにより、血管壁中膜を形成する正常収縮型平滑筋細胞及び血管内皮細胞などの周囲の重要な細胞には何ら障害を与えることなく、血管内皮下腔における合成型平滑筋の増殖を確実に抑制することができる。この増殖抑制効果は、細胞選択的なG1期停止、細胞選択的かつ細胞状態選択的なアポトーシス誘導にもとづくもので、安全かつ有効な温熱療法として、冠状動脈形成術後の再狭窄阻止などの血管病変に広く臨床応用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、温熱処理が対数増殖期血管平滑筋細胞に与える影響を示すグラフである。
第2図は、増殖刺激直後の温熱処理が増殖静止平滑筋細胞に与える影響を示すグラフである。
第3図は、増殖刺激後2時間目の温熱処理が増殖静止平滑筋細胞に与える影響を示す位相差顕微鏡写真である。
第4図は、増殖静止平滑筋細胞に対する増殖刺激前の温熱処理が、増殖刺激後の増殖静止平滑筋細胞数増加にもたらす影響を示すグラフである。
第5図は、増殖刺激後の温熱処理温度と温熱処理時期が、増殖静止平滑筋細胞に与える影響を示すグラフである。
第6図は、増殖刺激後の温熱処理において、温熱処理時間が増殖静止平滑筋細胞に与える影響を示すグラフである。
第7図は、温熱処理が正常収縮型平滑筋に代わる増殖静止平滑筋細胞に与える影響を示すグラフである。
第8図は、温熱処理が血管内皮細胞の代表であるウシ大動脈血管内皮細胞に与える影響を示すグラフである。
第9図は、増殖刺激後に温熱処理した平滑筋細胞のフローサイトメーター細胞DNA量解析結果を細胞周期経時変化で示すグラフである。
第10図は、増殖刺激せず温熱処理した平滑筋細胞のフローサイトメーター細胞DNA量解析結果を細胞周期経時変化で示すグラフである。
第11図、第12図、第13図及び第14図は、温熱処理後の平滑筋細胞のギムザ染色結果を示す顕微鏡写真である。
第15図は、温熱処理後の平滑筋細胞のDNAラダー検出結果を示す写真である。
第16図、第17図及び第18図は、温熱処理後の増殖静止平滑筋細胞のTUNEL染色結果を示す光学顕微鏡写真である。
第19図、第20図、第21図、第22図及び第23図は、温熱処理後の平滑筋細胞に対してアネキシンV−FITCの細胞膜外表面結合試験を行った結果を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 殖応答した血管平滑筋細胞を温熱処理することを特徴とする血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  2. 温熱処理時期が、血管平滑筋増殖刺激時を含めて、刺激の12時間前から15時間後までの間の任意の時期であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  3. 温熱処理時期が増殖刺激後であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  4. 温熱処理が血管平滑筋増殖刺激後2時間目であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  5. 温熱処理温度が42〜44℃の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  6. 温熱処理温度が43〜44℃の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  7. 温熱処理時間が90〜180分の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
  8. 増殖刺激を与えた2時間後に、血管平滑筋細胞に対して43℃、2時間の温熱処理を施すことを特徴とする血管平滑筋細胞の増殖抑制方法。
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