JPWO2002031131A1 - 新規pla1 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ホスファチジン酸(PA)に対する基質特異性を有する新規なホスホリパーゼA1(PLA1)および該新規PLA1由来のペプチドまたはポリペプチド、新規PLA1由来のペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、新規PLA1由来のペプチドまたはポリペプチドの製造法、新規PLA1由来のペプチドまたはポリペプチドに対する抗体、およびこれらを利用して新規PLA1の阻害剤、拮抗剤、賦活剤の同定を行なう方法、さらにこの方法で同定された化合物を提供することであり、またこれらを利用した医薬組成物および診断方法を提供する。

Description

技術分野
本発明は、新規なリパーゼ、特にホスホリパーゼA(phospholipase A;以下PLAと呼ぶこともある)に関するものである。さらに詳しくは、新規PLAのアミノ酸配列の全部または一部を有するペプチドまたはポリペプチド、該ペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、該組換えベクターで形質転換された形質転換体、該形質転換体を使ったペプチドまたはポリペプチドの製造方法、該ペプチドまたはポリペプチドに対する抗体、これらを利用した化合物の同定方法、該同定された化合物、該ポリペプチドもしくは該ポリヌクレオチドに作用する活性阻害化合物または活性賦活化合物、これらに関係する医薬組成物とその製造方法およびこの医薬組成物を用いた治療方法、並びにこれらに関係する疾病診断方法に関係する。
背景技術
PLAは、グリセロリン脂質のグリセロール1位のエステル結合を加水分解する酵素である。これまでに様々な臓器でこの酵素活性の存在が検出されており、また基質特異性により区別されるいくつかのPLAが報告されている。cDNAクローニングされているものとしては、蜂毒のPLA(Dolm1)、PS−PLA〔ホスファチジルセリン(PS)およびリゾホスファチジルセリン(lysoPS)のグリセロールの1位のエステル結合を特異的に加水分解する(特開平10−201479号)(蛋白質 核酸 酵素,44,1038−1042,1999)〕、ヒト精巣のPA−PLA〔ホスファチジン酸(PA)のグリセロールの1位のエステル結合を特異的に加水分解する(J.Biol.Chem.,273,5468−5477,1998)〕等がある。また、リパーゼファミリーの分子は、しばしばトリアシルグリセロールを分解する活性以外に、PLA活性を併せ持つことが知られている(FEBS Letters,320,145−149,1993)(Biochemistry,32,4702−4707,1993)(J.Biol.Chem.,272,2192−2198,1997)。さらに、これまでに見つかっているリパーゼファミリーに属するPLAは全て、短いリッド(Lid)(B.B.A.,1376,417−432,1998)(Biochemistry,32,4702−4707,1993)を有するが、その生理的意義は必ずしも明らかになっていない。また、リパーゼ分子上の糖鎖がリパーゼ活性に関与する可能性が示唆されている(J.Lipid Res.,35,1511−1523,1994)(J.Lipid Res.,36,939−951,1995)。
PLAの機能の一つにリン脂質(phospholipid)を分解する作用があるが、生成物のひとつであるリゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid;以下LPAと略称することもある)(B.B.A.,1198,185−196,1994)には多くの生理活性が知られており、生物学的有用性において着目されている〔細胞工学,17,(5),739−745,1998〕。LPAの主要な作用としては、血圧の上昇作用(Lipids,13,572−574,1978)、血小板凝集作用(Am.J.Pathol.,96,423−438,1979)、細胞増殖促進作用(Cell,59,45−54,1989)があり、またこれら以外にも、ガン細胞の浸潤促進、細胞接着、ストレスファイバーの形成、化学走性誘発、神経突起の退縮、アポトーシスの抑制、創傷治癒への関連等多様な作用が報告されている(B.B.A.,1198,185−196,1994)。
ホスファチジン酸(phosphatidic acid;以下、PAと略称することもある)に対して特異性を持つPLAとしては、ヒト精巣PA−PLAが知られており、cDNAもクローニングされているが、該PLAは細胞内の酵素であり、リン脂質代謝の中心であるホスファチジン酸のsn−1位の脂肪酸の代謝回転を決定する因子として捉えられている(J.Biol.Chem.,273,5468−5477,1998)。また、ヒト精巣PA−PLAは反応条件によっては、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)も加水分解することが報告されている。
本発明は、上記のように多様な、ある局面においてはむしろ悪益な作用の原因物質となり得るLPAの産生触媒たるPLAに関する新規な物質を見いだし、生体内におけるLPAの制御を可能にすることを目的のひとつとするものである。
発明の開示
本発明は、(1)下記の群より選ばれるポリペプチド;
▲1▼配列表の配列番号1または2に記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチド、
▲2▼前記▲1▼のポリペプチドを含有するポリペプチド、
▲3▼前記▲1▼のポリペプチドと少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有しかつホスファチジン酸を分解する活性を有するポリペプチド、および
▲4▼前記アミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつホスファチジン酸を分解する活性を有するポリペプチド、(2)配列表の配列番号1または2に記載のアミノ酸配列の少なくとも約8個の連続するアミノ酸配列を有するペプチド、(3)前記1または2のポリペプチドまたはペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖、(4)前記3のポリヌクレオチドまたはその相補鎖と選択的な条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド、(5)配列表の配列番号3または4に記載の塩基配列またはその相補的配列の少なくとも約15個の連続する塩基配列で示されるポリヌクレオチド、(6)前記3ないし5の何れかのポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、(7)前記6の組換えベクターで形質転換された形質転換体、(8)前記7の形質転換体を培養する工程を含む、前記1または2のポリペプチドまたはペプチドの製造方法、(9)前記1または2のポリペプチドまたはペプチドを免疫学的に認識する抗体、(10)ホスファチジン酸を分解する活性を抑制する、前記9の抗体、(11)前記1のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、および/または前記3もしくは4のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物の同定方法であって、前記1または2のポリペプチドもしくはペプチド、前記3ないし5の何れかのポリヌクレオチド、前記6のベクター、前記7の形質転換体、前記9もしくは10の抗体のうち、少なくとも何れか一つを用いることを特徴とする方法、(12)前記1のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、または前記3もしくは4のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物の同定方法であって、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの間の相互作用を可能にする条件下で、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる相互作用はポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供し得る第2の成分に関連したものである)、次いで、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの相互作用により生じるシグナルの存在または不存在またはその変化を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドと相互作用して、その活性を活性化または阻害するかどうかを決定することを含む方法、(13)前記1のポリペプチドまたは前記3もしくは4のポリヌクレオチドの活性または生理学的作用を阻害もしくは活性化する化合物の同定方法であって、前記7の形質転換体と、該形質転換体中で発現される前記1のポリペプチドがホスファチジン酸に作用することにより生産されるリゾホスファチジン酸に対する受容体を発現させた別の形質転換体とを用い、化合物とこれら形質転換体の相互作用を可能にする条件下で、これら形質転換体とスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる作用は形質転換体と化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供し得る第2の成分に関連したものである)、次いで、化合物と形質転換体との相互作用により生じるシグナルの存在または不存在またはその変化を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性または生理学的作用を、活性化または阻害するかどうかを決定することを含む方法、(14)前記11ないし13の方法で同定される化合物、(15)前記1のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、または前記3もしくは4のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物、(16)前記1または2のポリペプチドもしくはペプチド、前記3ないし5の何れかのポリヌクレオチド、前記6のベクター、前記7の形質転換体、前記9もしくは10の抗体、または前記14もしくは15の化合物のうち、少なくとも何れか一つを含有することを特徴とする医薬組成物、(17)個体における前記1のポリペプチドの発現または活性に関連した疾病の診断方法であって、(a)該ポリペプチドをコードしている核酸配列、および/または(b)個体由来の試料中の該ポリペプチドをマーカーとして分析することを含む方法、(18)前記16の医薬組成物をホスホリパーゼAに関連する疾患に用いることを特徴とする治療方法、(19)前記16の医薬組成物の製造方法、からなる。
発明を実施するための最良の形態
(新規PLA
本発明において提供される新規PLAは、cDNAライブラリーから、新規なアミノ酸配列を有する物質としてそのcDNAが取得されたものである。そして、本発明の新規PLAは、ヒトの精巣において、その存在がノザンブロッティング法によって確認された。本発明の新規PLAは以下のような性質を有する。リン脂質、特にホスファチジン酸(PA)に作用してLPAを生成する。リパーゼファミリーに保存されるコンセンサス配列および触媒トライアドならびにリッドと考えられるアミノ酸を有する。また、既知PLA類との相同性は約40%未満である。
(ポリペプチドまたはペプチド)
本発明の新規PLAのアミノ酸配列は、配列表の配列番号1または2に記載のポリペプチドである。さらに本発明のポリペプチドまたはペプチドは、該配列表の配列番号1または2に記載のポリペプチドの少なくとも一部分を含有するポリペプチドまたはペプチドから選択される。その選択されるポリペプチドまたはペプチドは、配列表の配列番号1または2に記載のポリペプチドと、アミノ酸配列上で約40%以上、好ましくは約70%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%、特に好ましくは約95%以上の相同性を有する。この相同性をもつポリペプチドまたはペプチドの選択は、リン脂質、特にホスファチジン酸を分解し得る活性および/またはホスファチジン酸に対する基質特異性の存在を指標にして可能である。上記分解活性は公知の方法、例えば、放射性同位体(RI)標識基質、蛍光基質、もしくは発色基質を用いた方法、または実施例に記載の方法で測定できる(J.Biochem,103,442−447,1988)(J.Biochem.,117,1280−1287,1995)(J.Biochem.,101,53−61,1987)(J.Biol.Chem.,235,2595−2599,1960)(J.Biol.Chem.,272,2192−2198,1997)。
アミノ酸配列の相同性を決定する技術は、自体公知であり、例えばアミノ酸配列を直接決定する方法、cDNAの塩基配列を決定後これにコードされるアミノ酸配列を推定する方法等が挙げられる。
本発明のポリペプチドまたはペプチドは、配列表の配列番号1または2に記載のポリペプチドの部分配列を有するポリペプチドまたはペプチドを包含し、これらは例えば試薬、標準物質、または免疫原として利用できる。その最小単位としては8個以上のアミノ酸、好ましくは10個以上のアミノ酸、より好ましくは12個以上、さらに好ましくは15個以上の連続するアミノ酸で構成されるアミノ酸配列からなり、好ましくは免疫学的に同定し得るポリペプチドまたはペプチドを本発明の対象とする。これらのペプチドは、試薬もしくは標準物質、または後述するように新規PLAに特異的な抗体を作製するための抗原として単独またはキャリア(例えば、キーホールリンペットヘモシアニンまたは卵白アルブミン等)と結合して使用できるが、これらのように別種の蛋白質または物質を結合したものも本発明の範囲に包含される。
さらに、このように特定されたポリペプチドまたはペプチドを基にして、リン脂質、特にホスファチジン酸を分解し得る活性および/またはホスファチジン酸に対する基質特異性の存在を指標とすることにより、1以上、例えば1〜100個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはペプチドも提供される。欠失、置換、付加あるいは挿入の手段は自体公知であり、例えば、部位特異的変異導入法、遺伝子相同組換え法、プライマー伸長法またはポリメラーゼ連鎖増幅法(PCR)を単独または適宜組み合わせて、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,1989、村松正實編[ラボマニュアル遺伝子工学]丸善株式会社,1988、エールリッヒ,HE.編[PCRテクノロジー,DNA増幅の原理と応用]ストックトンプレス,1989等の成書に記載の方法に準じて、あるいはそれらの方法を改変して実施することができ、例えばUlmerの技術(Science,219,666,1983)を利用することができる。
上記のような変異の導入において、当該蛋白質の基本的な性質(物性、活性、または免疫学的活性等)を変化させないという観点からは、例えば、同族アミノ酸(極性アミノ酸、非極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、親水性アミノ酸、陽性荷電アミノ酸、陰性荷電アミノ酸、芳香族アミノ酸等)の間での相互置換は容易に想定される。後述するように、リパーゼファミリーのコンセンサス配列およびリッド領域は活性の発現または調節に重要と考えられ、これらを含有する領域、特に触媒トライアドを含むコンセンサス配列は一次配列上および/または立体構造上保持されていることがPLA活性、特にPA−PLA活性を維持するためには好ましい。また、本発明のポリペプチドまたはペプチドは、糖鎖の有無に拘わらず本発明の範囲に包含されるが、糖鎖が活性に影響する可能性もあるため、少なくとも1つのグリコシレーションサイトは保持されていることが好ましい。
本発明においては、配列表の配列番号1または2のアミノ酸配列で示されるポリペプチドと同様のPLA活性を有するポリペプチドまたはその最小活性単位(領域もしくはドメイン)も提供されるが、それら以外にも、活性の強度または基質特異性を変更したポリペプチドが提供される。これらは、例えばPLA活性様物質もしくはPLA拮抗物質として、またはPLA活性を調節する物質のスクリーニング等において有用である。なお、ヒト以外の動物種の相同遺伝子産物も当然本発明の範囲に包含される。
さらに、本発明のポリペプチド等の検出もしくは精製を容易にするために、または別の機能を付加するために、N末端側やC末端側に別の蛋白質、例えばアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、IgG等の免疫グロブリンFc断片またはFLAG−tag等のペプチドを直接またはリンカーペプチド等を介して間接的に遺伝子工学的手法等を用いて付加することは当業者には容易であり、これらの別の物質を結合したポリペプチド等も本発明の範囲に包含される。
(ポリヌクレオチド)
一つの態様において、本発明のポリヌクレオチドおよびその相補鎖は、本発明のポリペプチドまたはペプチドのアミノ酸配列、例えば配列表の配列番号1または2に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドおよび該ポリヌクレオチドに対する相補鎖を意味する。これらは例えば上記新規PLAの製造に有用な遺伝子情報を提供するものであり、あるいは核酸に関する試薬または標準品としても利用できる。好ましいポリヌクレオチドを示す配列表の配列番号3または4において、各々塩基番号115のA(adenine)から塩基番号1494のA(adenine)または塩基番号11のA(adenine)から塩基番号1453のA(adenine)までがコーディング領域と推定される。また、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ酸番号1のM(Met)からアミノ酸番号13のV(Val)のまでをコードしているatg〜gtgはシグナル配列をコードしているものと推定される。
別の態様において本発明は、本発明のポリペプチドまたはペプチドのアミノ酸配列、例えば配列表の配列番号1または2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド、好ましくは配列表の配列番号3または4の塩基配列で示されるポリヌクレオチドまたはその相補鎖の対応する領域に選択的な条件下、好ましくはストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。ハイブリダイゼーションの方法は、例えばサムブルック等編[モレキュラークローニング,ア ラボラトリーマニュアル 第2版]コールドスプリングハーバーラボラトリー,(1989)、又は、ショウ(Shaw)等に記載の方法(Nucleic Acids Res.,11巻、555−573頁、1983年)、又はそれらを適宜一部改変して行うことができる。ここで、選択的ハイブリダイゼーション条件とは、所望の核酸、例えば、特定のプローブ(例えば、配列番号3の本発明のPLAをコードする核酸)と所望の相同性を有する核酸を選択的に又は特異的にハイブリダイズさせ、他の無関係な核酸、例えば、相同性がより低い核酸をハイブリダイズしないような条件をいう。一般的に、核酸の2本鎖分子(ハイブリッド)の安定性の指標として融解温度(Tm)が用いられるが、これは鎖の長さ、塩基組成及び化学的条件(イオン強度、化学変性剤の存在等)によって左右され、通常、ハイブリダイゼーションはTm以下の温度で実施される。DNA,RNA又はオリゴヌクレオチドプローブでの完全な相補性のハイブリッドのTm値は経験的な実験式が得られている(ヒトの分子遺伝学(Human Molecular Genetics,Tom Strachan and Andrew P.Read)村松正貫監修、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1997年他)。その概算値は、プローブが50ヌクレオチドより小さい場合、Tm(℃)=4(G+C)+2(A+T)[A,T,G,Cはプローブ中の各塩基数]で求められる。完全な相補性を選択的に得る為には、ハイブリダイゼーション温度は、Tmより5℃低いかそれ以上の温度(好ましくはTm以下)を用い、又ハイブリッドの安定性を保つためには1組の不対合塩基につきハイブリダイゼーション温度をTmより約5℃下げる必要がある。又、プローブが50ヌクレオチド以上の場合、Tm(℃)=81.5℃+16.6logM+0.41(%G+%C)−500/n−0.61(%ホルムアミド)[Mは溶液の1価陽イオン強度(mol/L)、nは塩基対での2本鎖の長さ]の式で計算され、1%の不対合塩基を含む毎にTmは1℃減少するので、ハイブリダイゼーション温度もそれに従い調整する。ハイブリダイゼーション温度の目安を完全相補性ハイブリッドのTmより、例えば、55℃、好ましくは40℃、より好ましくは25℃、更に好ましくは10℃、特に好ましくは5℃低い温度とすることで、所望の相同性の核酸を選択的にハイブリダイズすることが出来る。具体的には、ショウ(Shaw)等の方法を一部改変した方法がある。即ち、核酸を結合したフィルター(例えば、ナイロンメンブレン又はニトロセルロースフィルター)を、65℃で一晩、0.1%SDSを含む3×SSC(Standard Saline Citrate:1×SSCは0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム)で洗浄し、次いで、50%ホルムアミド、5×デンハルト溶液、0.1%SDS、250μg/mlの変性サケ精子DNAを含む5×SSCP(1×SSCPは、0.15M NaCl,0.015Mクエン酸ナトリウム、10mM NaHPO,1mM EDTA,pH7.2)中で、42℃、5時間(又は65℃、2時間)プレハイブリダイゼーションする。次に、50%ホルムアミド、1×デンハルト溶液、0.1%SDS、100μg/mlの変性サケ精子DNA、10%(w/v)デキストラン硫酸を含む5×SSCPにRI標識又は非RI標識プローブを適量添加し、前記フィルターを28℃(好ましくは37℃、より好ましくは42℃、更に好ましくは50℃、特に好ましくは65℃)で18時間ハイブリダイゼーションさせる。0.1%SDSを含む2×SSCPを用い、室温(好ましくは37℃)で5分間2回フィルターを洗浄し、次いで、0.1%SDSを含む0.3×SSCPを用い、37℃(好ましくは50℃、より好ましくは65℃)で3回(計1時間)洗浄する。その後、オートラジオグラフィー又は適当な検出方法でプローブの存在を特異的に検出する。ハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件等は、使用するプローブ等に応じて適宜組み合わせることが可能である。これらのポリヌクレオチドは目的のポリヌクレオチド、特に配列表の配列番号3または4の塩基配列で示されるポリヌクレオチドまたはその相補鎖にハイブリダイズするものであれば必ずしも相補的配列でなくともよい。例えば、配列表の配列番号3または4の塩基配列またはその相補配列に対する相同性において、少なくとも約40%、例えば、約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、さらに好ましくは約95%以上である。また本発明のポリヌクレオチドは、指定された塩基配列の領域に対応する連続する10個以上のヌクレオチド、好ましくは15個以上、より好ましくは20個以上の配列からなるポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよびそれらの相補鎖を包含する。
これらのポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチド等の製造において、新規PLAをコードする核酸、例えば、その遺伝子、もしくはmRNA検出のためのプローブもしくはプライマーとして、または遺伝子発現を調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド等として有用である。その意味で、本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは翻訳領域のみでなく、非翻訳領域に対応するものも包含する。例えば、アンチセンスによって新規PLAの発現を特異的に阻害するためには、リパーゼファミリーで保存されているコンセンサス配列領域以外の新規PLAに固有な領域の塩基配列を用いることが想定される。一方、保存配列を用いることにより新規PLAを含む複数のリパーゼの発現を同時に抑制することも可能と考えられる。ここで、新規PLAまたは同様の活性を有するポリペプチドをコードする塩基配列の決定は、例えば公知の蛋白質発現系を利用して発現蛋白質の確認を行い、その生理活性、特にホスファチジン酸を分解する活性を指標にして選別することにより行うことができる。無細胞蛋白質発現系を利用する場合は、例えば胚芽、家兎網状赤血球等由来のリボソーム系の技術を利用できる(Nature、179、160〜161、1957)。
(形質転換体)
上記のような無細胞蛋白質発現系以外にも、本発明は、大腸菌、酵母、枯草菌、昆虫細胞、動物細胞等の自体公知の宿主を利用した遺伝子組換え技術によっても、本発明からなる新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドは提供可能である。本発明の具体例においては、昆虫細胞を利用したが、無論これに限定されるものではない(日本国特許第2129487号および第2644447号:組み替えバキュウロウィルス発現ベクターの製法とポリペプチドの合成)。なお、本発明の新規PLA遺伝子がコードするPLAは糖蛋白質であるため、ポリペプチドまたはペプチドに糖鎖を付加し得る宿主である動物細胞等の宿主を用いることが好ましい。
形質転換は、自体公知の手段が応用され、例えばレプリコンとして、プラスミド、染色体、ウイルス等を利用して宿主の形質転換が行われる。より好ましい系としては、遺伝子の安定性を考慮するならば、染色体内へのインテグレート法であるが、簡便には核外遺伝子を利用した自律複製系の利用である。ベクターは、選択した宿主の種類により選別され、発現目的の遺伝子配列と複製そして制御に関する情報を担持した遺伝子配列とを構成要素とする。組合せは原核細胞、真核細胞によって分別され、プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター、シグナル配列、エンハンサー等を自体公知の方法によって組合せて利用できる。本発明の具体例においては、バキュロウイルス系を利用したが、無論これに限定されるものではない。
形質転換体は、自体公知の各宿主の培養条件に最適な条件を選択して培養される。培養は、発現産生される新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドの酵素活性、特にホスファチジン酸を分解する酵素活性を指標にして行ってもよいが、培地中の形質転換体量を指標にして継代培養またはバッチにより生産してもよい。
(新規PLAおよびその由来物回収)
培地からの新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドの回収は、ホスファチジン酸を分解する酵素活性を指標にして、分子篩、イオンカラムクロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等を組合せるか、溶解度差にもとづく硫安、アルコール等の分画手段によっても精製回収できる。好ましくは、アミノ酸配列の情報に基づき、該アミノ酸配列に対する抗体を作成し、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体によって、特異的に吸着回収する方法を用いる。
(抗体)
抗体は、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドの抗原決定基を選別し、作製する。抗原は新規PLAまたはその断片でもよく、少なくとも8個、好ましくは少なくとも10個、より好ましくは少なくとも12個、さらに好ましくは15個以上のアミノ酸で構成される。新規PLAに特異的な抗体を作製するためには、リパーゼファミリーのコンセンサス配列領域以外の新規PLAに固有な配列からなる領域を用いることが好ましい。このアミノ酸配列は、必ずしも配列表の配列番号1または2と相同である必要はなく、蛋白質の立体構造上の外部への露出部位が好ましく、露出部位が不連続部位であれば、該露出部位について連続的なアミノ酸配列であることも有効である。抗体は、免疫学的に新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドを結合または認識する限り特に限定されない。この結合または認識の有無は、公知の抗原抗体結合反応によって決定される。
抗体を産生するためには、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドを、単独または担体に結合して、アジュバントの存在または非存在下で、動物に対して体液性応答および/または細胞性応答等の免疫誘導をおこなうことによって行われる。担体は、自身が宿主に対して有害作用をおこさなければ、特に限定されず例えばセルロース、重合アミノ酸、アルブミン等が例示される。免疫される動物は、マウス、ラット、兎、やぎ、馬等が好適に用いられる。ポリクローナル抗体は、自体公知の血清からの抗体回収法によって取得される。好ましい手段としては、免疫アフィニティクロマトグラフィー法である。
モノクローナル抗体を生産するためには、上記の免疫手段が施された動物から抗体産生細胞(例えば、脾臓またはリンパ節由来)を回収し、自体公知の永久増殖性細胞(例えば、P3×63Ag8株等の骨髄腫細胞株等)との融合によりハイブリドーマを作製する。これをさらにクローン化した後、本発明のPLAを特異的に認識する抗体を産生しているハイブリドーマを選別し、該ハイブリドーマの培養液から抗体を回収する。
PLA活性を抑制し得るポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体は、直接本発明からなる新規PLAに結合し、その活性を制御することができ、リン脂質特にPAからのLPA産生系の制御を容易に行うことができる。そのため、LPAが関連する各種悪益的疾患の治療および/または予防のために有用である。
(化合物の同定・スクリーニング方法)
かくして調製された新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチド、これらをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖、これらのアミノ酸配列および塩基配列の情報に基づき形質転換させた細胞、またはこれらを用いる蛋白質合成系並びに新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドを免疫学的に認識する抗体は、単独または複数を組合せることによって、新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対する活性の調節物質または調節剤、例えば活性阻害剤または活性賦活剤の同定方法またはスクリーニング方法に有効な手段を提供する。例えば、ペプチドまたはポリペプチドの立体構造に基づくドラッグデザインによる拮抗剤の選別、蛋白質合成系を利用した遺伝子レベルでの発現調節剤の選別、抗体を利用した抗体認識物質の選別等が、自体公知の医薬品スクリーニングシステムにおいて、利用可能である。ここで上記の調節とは、阻害、拮抗、活性化、活性促進、活性賦活等を含む。
また、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドもしくは形質転換体は、スクリーニング候補の化合物とこれらペプチドまたはポリペプチド等との間の相互作用を可能にする条件を選別し、この相互作用の有無を検出することのできるシグナル(マーカー)を使用する系を導入し、このシグナル(マーカー)の存在もしくは不存在、またはシグナル量の変化を検出することにより、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドの活性を賦活もしくは阻害する化合物、または本発明のポリヌクレオチドの発現を阻害もしくは促進する化合物を同定することができる。シグナル(マーカー)を使用する系としては、本発明のポリペプチドの活性、例えば、PA等の基質を分解する活性を測定する系またはポリヌクレオチドの発現量を測定する系が含まれ、具体的には実施例に例示されている。これらは公知の方法を応用してもよい。
また本発明の新規PLAまたはその由来物からなるポリペプチドを発現させた形質転換体と、該形質転換体中で発現される新規PLAまたはその由来物からなるポリペプチドがホスファチジン酸に作用することにより生産されるリゾホスファチジン酸に対する受容体を発現させた別の形質転換体とを用い、化合物と前記ポリペプチドまたはこれら形質転換体の相互作用を可能にする条件下で、前記ポリペプチドまたはこれら形質転換体とスクリーニングすべき化合物とを接触させて、化合物と形質転換体との相互作用により生じるシグナルの存在または不存在またはその変化を検出することにより、新規PLAおよびその由来物からなるポリペプチドまたは本発明のポリヌクレオチドの活性または生理学的作用を阻害もしくは活性化する化合物を同定することができる。上記形質転換体としては、例えば本発明の新規PLAまたはその由来物からなるポリペプチドを発現させたSf9細胞と、LPA受容体EDG7を発現させたSf9細胞との組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。また、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるポリペプチドの作用を検出するためのシグナルとしては、例えばLPA受容体EDG7発現細胞にLPAが結合することにより上昇する細胞内カルシウムを検出すればよい。細胞内カルシウムの検出はFura2等を用いる自体公知の測定法を応用することができる。なお、本発明のポリペプチド等を他のリパーゼの相同物(すなわち、ポリペプチド等)またはLPAに置き換えた対照系における反応と比較することにより、化合物の作用の特異性を確認することができる。また、各形質転換体は、対応する遺伝子の発現が確認された細胞株などに置き換えてもよい。
(化合物、医薬組成物)
このようにして同定された化合物は、新規PLAおよびその由来物からなるペプチドおよびポリペプチドに関する、活性もしくは作用の阻害剤、拮抗剤、活性化剤、促進剤、または賦活剤の候補化合物として、利用可能である。また、遺伝子レベルでの新規PLAおよびその由来物に対する発現阻害剤、発現拮抗剤、発現活性化剤、発現促進剤、発現賦活剤の候補化合物としても利用可能である。その効果は、LPAに由来する各種悪益的症状の予防および/または治療を期待できる。
かくして選別された候補化合物は、生物学的有用性と毒性のバランスを考慮して選別することによって、医薬組成物として調製可能である。また本発明からなる新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチド、これらをコードするポリヌクレオチドおよびその相補鎖、これらの塩基配列を含むベクター並びに、新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドを免疫学的に認識する抗体は、それ自体を、診断マーカーもしくは試薬等の疾病診断手段として、または新規PLAの発現、活性、もしくは作用を阻害、拮抗、活性化、促進、賦活する機能を利用した治療薬等の医薬手段として使用し得る。なお、製剤化にあたっては、ペプチドまたはポリペプチド、蛋白質、ポリヌクレオチド、抗体等各対象に応じた自体公知の製剤化手段を導入すればよい。
上記医薬組成物は、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、形質転換体、抗体、および上記本発明の化合物を利用して製造することが可能である。上記医薬組成物は、PLA特に新規PLAに関連する疾患の治療に有用である。
診断手段としては、本発明の新規PLAおよびその由来物からなるペプチドまたはポリペプチドの発現または活性に関連する疾患の診断手段として有用であり、診断は例えば当該ペプチドをコードしている核酸配列との相互作用や反応性を利用して、相応する核酸配列の存在量を決定すること、および/または当該ペプチドについて個体中の生体内分布を決定すること、および/または当該ペプチドの存在、個体由来の試料中の存在量または活性量を決定すること等によって行われる。すなわち、新規PLAを診断マーカーとして検定するのである。その測定法は、自体公知の抗原抗体反応系、酵素反応系、PCR反応系等を利用すればよい。さらに、公知の方法により単一ヌクレオチド多型(SNP)を検出することも有用な診断手段である。
実施例
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
(遺伝子の単離)
ホスファチジルセリンを特異的に加水分解するラットホスホリパーゼA(PS−PLA)(J.Biol.Chem.,272,(4),2192−2198,1997)のアミノ酸配列をプローブとして、dbEST(database of Expressed Sequence Tags)に対して、ホモロジーサーチ(tblastn search)を実施した。その結果、未知の核酸配列で相同性スコアの比較的高かった、受託番号(accession no.)AA470035のEST配列を得た。
次に、受託番号(accession no.)AA470035の核酸配列をプローブとして、GenBankに対してホモロジーサーチ(blastn search)を実施した。その結果、受託番号(accession no.)AP006556の配列とAP001347が明らかとなった。これらの配列を基に、プライマーを設計し、ヒト精巣全RNAからオリゴdTプライマーで作製したfirst strandを鋳型として、PCR法により配列を確認した。5’側の配列が決定困難であったので、ATTTTGTTCAAACAGTGGCTCAGCAのヌクレオチド配列を有するprimer A(配列番号5)およびTTCAAACAGTGGCTCAGCACAGTTTのヌクレオチド配列を有するprimer B(配列番号6)ならびにMarathon−ReadyTM cDNA Human Testis(Clontech)を用いて5’−RACE法により確認した。その結果、alternative splicingによると考えられる、第一エクソンの長さが異なる2種類のアイソフォームの配列(「short−type」および「long−type」と記載することがある)が確認された。次に、これらの配列を並べ、その特色を解析した。PS−PLAや、リパーゼに特色的な、活性トライアドのアミノ酸残基や立体構造的に活性ポケット近傍にあるリッドと呼ばれるループ構造領域(B.B.A.,1376,417−432,1998)(Biochemistry,32,4702−4707,1993)(蛋白質 核酸 酵素,44,1038−1042,1999)が存在することが予測され、その配列上の特色から新規なホスホリパーゼAである可能性が推測された。
(新規配列のクローニング)
実際に、上記解析で予測された新規PLA遺伝子配列を有するcDNAをクローニングする目的で、フォワードプライマーとして配列表の配列番号7(PrimerC:5’−CGCGGATCCATGTTGCTCAAATGTTTACATAAT−3’)または配列表の配列番号8(PrimerD:5’−CGCGGATCCATGAGAGTATACATTTTTCTTTGT−3’)およびリバースプライマーとして配列表の配列番号9(PrimerE:5’−AAATATGCGGCCGCTTATGTGTTCTTTGGTGTACATGT−3’)の塩基配列のオリゴヌクレオチドを組み合わせて、ヒトの精巣由来のRNA(Clontech)を用いて、RT−PCRした。増幅された2種類の遺伝子断片(約1.7kbp)を、各々プラスミドpFASTBac1(ライフテックオリエンタル社)のマルチクローニングサイト中のBamHI/NotI制限酵素サイトに組み込んだ後、大腸菌JM109にトランスフェクションし、ポジティブクローンを選択して、クローン化した。プラスミドを回収し、常法により塩基配列を確認した。なお、配列表の配列番号3の塩基配列のコード領域(short−typeに相当)を有するプラスミド(pFASTBac−PAPLA1β)を受託番号FERM P−18072として、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(旧名称:工業技術院生命工学工業技術研究所)(住所:〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に2000年10月5日付で寄託した。更に該プラスミドは、平成13年(2001)8月8日付けで、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約に従う国際寄託に移管され、受託番号FERM BP−7697が付与されている。
この配列表の配列番号3(short−type)または配列番号4(long−type)に記載のcDNAは、配列表の配列番号1または2に記載の各々460または481アミノ酸残基からなる蛋白質を暗号化可能な、各々1380または1443塩基からなるオープンリーディングフレームを含み、少なくとも配列番号3(short−type)ではN末端領域に、シグナル配列と予想される領域を有していた。アミノ酸配列的な特色としては、アスパラギングリコシレーションサイトのモチーフであるN−{P}−[ST]−{P}.をshortおよびLong−type共に2個所ずつ(N(Asn)63−L(Leu)66およびN(Asn)396−S(Ser)399、ならびに、N(Asn)84−L(Leu)87およびN(Asn)417−S(Ser)420))有していた。
(既存蛋白質との相同性)
塩基配列の翻訳によって予想されるアミノ酸配列を用いて、既存のデータベース(Genbank)に対してtblastnを用いたホモロジーサーチを実施した。その結果、本発明の新規リパーゼ(新規PLA)(colon lipase)はヒトPS−PLA(hPS−PLA)、膵臓型リパーゼ(human pancreatic lipase)、肝臓型リパーゼ(hepatic lipase)、リポプロテインリパーゼ(lipoprotein lipase)、膵臓リパーゼ関連蛋白質1(plrp1;pancreatic lipase related protein 1)および2(plrp2;pancreatic lipase related protein 2)と有意な相同性を示した。その他、立体構造的にリパーゼと相同性が高い領域があるとされるビテロジェニンとの相同性も高かった。これらの相同性が高かった既知蛋白質配列のうちビテロジェニンを除く上記各蛋白質において、酵素活性トライアドと予測されるアミノ酸残基(本発明のshortおよびlong−typeのポリペプチドにおいては、S(Ser)159、D(Asp)183、H(His)253およびS(Ser)180、D(Asp)204、H(His)274)がすべて保存されているのが確認されたので、これらの配列をGENETYX Multiple Alignmentモジュール(ソフトウエア開発株式会社)を用いて、マルチプルアラインメントを解析した。
その結果、配列表の配列番号1および2のアミノ酸配列においては、図1に示すように、共にリパーゼファミリーに保存されているコンセンサス配列GXSXG(G(Gly)157−G(Gly)161およびG(Gly)178−G(Gly)182)、ITGLD(I(Ile)179−D(Asp)183およびI(Ile)200−D(Asp)204)およびCXH(C(Cys)251−H(His)253およびC(Cys)272−H(His)274)(Xは任意のアミノ酸を示す)が存在し、これらには触媒活性トライアドと考えられるアミノ酸残基が全て含まれていることが判明した。また、立体構造的に活性トライアドが存在するポケットの近傍に存在し、リパーゼの活性発現を調節しているリッドと呼ばれるループ構造(P(Pro)239−K(Lys)250およびP(Pro)260−K(Lys)271)が、PS−PLAのそれと同じ残基数すなわち12個存在することが判明した。通常、PS−PLA以外のリパーゼ群は、リッド構造のアミノ酸残基数が長く、コリパーゼと呼ばれる蛋白性の因子が結合することによって活性が発現されることが知られている(B.B.A.,1376,417−432,1998)(Biochemistry,32,4702−4707,1993)(蛋白質 核酸 酵素,44,1038−1042,1999)が、比較的リッドが短いPS−PLAについては、コリパーゼの必要性は、現在まで明らかにされていない。従って、今回得た塩基配列から翻訳される蛋白質も、PS−PLAに似た機構で活性を発現する可能性も予測される。
次に、GENETYX Evolutional tree(UPGMA method)モジュール(ソフトウエア開発株式会社)によって、PLAリパーゼファミリーについて配列の進化的な系統樹を予測した。その結果、新規配列は、PS−PLAと最も進化的に近い配列であることが推測された。以上のことから、新規配列が翻訳された蛋白質は、リパーゼ群に近く、特にホスホリパーゼに近縁な新規リパーゼであることが推測された。
(発現組織の確認)
新規PLAの発現組織を調べる目的で、ヒト正常組織に対してノザンブロッティングを行った。オープンリーディングフレーム内のcDNA断片である約0.5kbpのPCR断片をプローブとして用いた。すなわち、PCRプライマーとして、配列表の配列番号10に記載のAAAAACACCAGAAAAGTTGCTGTGAG(フォワードプライマー配列:配列番号3の塩基配列の塩基番号493−518に相当)および配列表の配列番号11に記載のGCTTGATAACCCAGCCGAGGACATG(リバースプライマー配列:配列番号3の塩基配列の塩基番号1001−1025の相補鎖に相当)の塩基配列で示されるオリゴヌクレオチドを合成し、PCRをおこなうことにより32P標識プローブを調製した。ノザンブロッティングは、Human Multiple Tissue Nothern Blot(Clontech)を用いてユーザーマニュアル(PT1200−1、Clontech)に従って実施した。その結果、検討した正常組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、白血球)においては、精巣においてmRNAの高い発現が認められた。
(LPA受容体との関係)
本発明の新規PLAは、PAに作用して加水分解し、2−アシルLPAを産生するPLA(特願平11−187089)と最も高いアミノ酸配列上の相同性(約45%)を示したことから、同様の活性を有する可能性が考えられた。従って、新規PLAは、生体内での機能として、LPAを生産してLPA受容体にリガンドとして供給している可能性がある。LPA受容体は、EDG2、EDG4、およびEDG7が知られているが、中でもEDG7は、不飽和脂肪酸を含むLPAに対し強い反応性を示し、1−acyl−LPAより2−acyl−LPAに強く反応するユニークな受容体であり、そのリガンド特異性はEDG2、EDG4とは異なる(J.Biol.Chem.,274,pp27776−27785,1999)。EDG7を介するシグナル伝達には何らかのPLA反応が関与することが予想されるので、新規PLAとEDG7の生体組織における発現をノザンブロッティング法により調べたところ、両方のmRNAが精巣によく発現していた。
次に、新規PLAがPAを加水分解してLPAを産生し、EDG7にリガンドとして供給する可能性について検討した。図3に示すバイオアッセイ系を用いて、LPAが新規PLAによって生産され得るか検討をおこなった。バイオアッセイ系には、LPAへの反応性を欠く昆虫細胞Sf9を使用した。Sf9細胞に、新規PLAを上記のバキュロウイルス系を用いて発現させた(以下、酵素側と呼ぶこともある)。すなわち、上記でクローン化した組換pFASTBacプラスミドを、DH10BACTMコンピーテントセル(GIBCO BRL)にトランスフェクションし、組換えBacmidを回収した。得られたBacmidは、CellFECTINTMとともにSf9細胞(夜盗蛾Spodoptera frugiperdaさなぎ卵巣組織由来)にトランスフェクションした。その結果、組換え型バキュロウイルス(Baculovirus)が培養上清中に回収された。回収した組換ウイルスを感染させることにより新規PLA1を発現するSf9細胞を得た。また、LPA受容体であるEDG7を、J.Biol.Chem.,274,pp27776−27785,1999に記載の方法に準じてバキュロウイルス系を用いてSf9細胞に発現させた(以下、受容体側と呼ぶこともある)。この系においては、新規PLAが十分に発現されてLPAが産生されれば、LPA受容体を発現している細胞にLPAが結合して細胞内シグナル伝達が惹起され、カルシウムイオン(Ca2+)の細胞内濃度が上昇する。すなわち、新規PLAのin vitroでのLPA産生とその作用を、Ca2+の濃度変化を検出することにより、検討することができる。Ca2+濃度変化の測定は、Ca2+蛍光指示薬Fura−2を用いて行った。まず、LPA受容体を発現させたSf9細胞をSf9カルシウムアッセイ用栄養液(10mM CaCl,60mM KCl,17mM MgCl,10mM NaCl,10mM MES,4mM グルコース,110mM シュークロース,0.1%ウシ血清アルブミン)に5×10細胞/mlとなるように懸濁し、2μM Fura2−AMを27℃で1時間取り込ませた。その後、上記栄養液で2回洗浄後、上記栄養液中に5×10細胞/mlとなるように懸濁した。新規PLAを発現させたSf9細胞は、上記栄養液に5×10細胞/50μlとなるように懸濁し、30分間培養した。キュベット中に上記で調製したLPA受容体発現細胞を1ml加え、マイクロスターラーで撹拌しながら340nmおよび380nmの励起光をあて、それぞれの500nmでの蛍光強度とその比を、CAF−110型細胞内イオン測定装置(日本分光工業株式会社)により測定した。これに新規PLA発現細胞を50μl加えて同様に測定を行った。また、それぞれの測定時に、Triton−X100を添加して全Fura2と細胞外Ca2+が結合した時の値と、EGTAを加えて全Ca2+がキレートされてFura2が解離した時の値を同様に測定した。上記各測定値を用いて、下記式により、細胞内カルシウム濃度を算出した。
[Ca2+](nM)=224×b/a×(F−Fmin)/(Fmax−F)
上記式において、224はFura2の解離定数、aはTritonX−100を加えて全Fura2と細胞外Ca2+が結合した時の380nm励起光による蛍光強度、bはEGTAを加え全Ca2+がキレートされてFura2が解離した時の380nm励起光による蛍光強度、Fは340nm励起光による蛍光強度/380nm励起光による蛍光強度の比、FmaxはTritonX−100を加えて全Fura2と細胞外Ca2+が結合した時のF、FminはEGTAを加え全Ca2+がキレートされてFura2が解離したときのFである。
その結果、EDG7を発現させたSF9細胞に、新規PLA発現Sf9細胞の培養上清を加えると細胞内Ca2+濃度の上昇が観察された(図4A)。この現象は、受容体側または酵素側を野生型(wild−type)バキュロウイルスで感染させた細胞に変えた場合には観察されなかった。以上のことから、新規PLAは細胞内で内在性のPAを基質として加水分解してLPAを産生し、LPA受容体であるEDG7を発現している細胞に作用していることが示唆された。
(新規PLAが媒介するLPA産生におけるPLDの関与)
膜リン脂質をPAに変換するホスホリパーゼD(PLD)は、卵巣癌細胞によるLPA産生においても関与している。新規PLAによるLPA産生におけるPLDの役割を見出すために、上記の新規PLA1発現Sf9細胞を放線菌由来のPLDで処理し、30分後の培養上清を回収した。この培養上清をLPA受容体EDG7発現Sf9細胞に作用させ、細胞内カルシウムを上述のように測定した。その結果、PLDを処理しない場合に比べてより低濃度で細胞内Ca応答を誘導した。すなわち、新規PLAはLPA(おそらく2−acyl−1−lysoPA)をPLDの活性化との協同作用により産生するものと考えられた。
産業上の利用可能性
本発明は、PLAリパーゼファミリーに属する新規PLAを提供するものである。新規PLAはホスファチジン酸(PA)に対する基質特異性を有する細胞結合性の糖蛋白質であり、PAを加水分解してリゾホスファチジン酸(LPA)を産生させるものである。さらに本発明は、新規なPA特異的リパーゼ(PLA)による細胞におけるLPA産生と、LPA受容体であるEDG7への細胞からのLPAの受け渡し機構の存在を見出したことにより、PLAファミリーの生理的意義、LPA受容体のリガンドを産生する機構を解明する手がかりを提供するものであり、この知見を利用した新規医薬組成物、診療手段の提供は、リパーゼ関連の臨床ならびに基礎の医用領域において大きな有用性を提供する。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
図1は、新規PLA(short−type)の配列およびその配列の特徴を説明する図である。図中、二重下線はシグナル配列、下線は糖鎖付加予測部位、両矢印の下線はリパーゼコンセンサス配列およびリッド領域、四角で囲んだS、D、Hは活性トライアドを示す。
図2は図1の続きであり、新規PLA(short−type)の配列およびその配列の特徴を説明する図である。図中、二重下線はシグナル配列、下線は糖鎖付加予測部位、両矢印の下線はリパーゼコンセンサス配列およびリッド領域、四角で囲んだS、D、Hは活性トライアドを示す。
図3は、新規PLAの作用を検討するための、新規PLA発現細胞とFura2を取り込ませたLPA受容体EDG7発現細胞とを用いるバイオアッセイシステムを説明する図である。
図4(A)は、新規PLAを発現させたSf9が、LPA受容体EDG7を発現させたSf9の細胞内Ca2+濃度を上昇させること、および新規PLAが媒介するLPA産生におけるPLDの関与を示す図である。
図4(B)は、EDG7発現細胞における1−oleyl−LPAの濃度作用曲線を示す図である。

Claims (19)

  1. 下記の群より選ばれるポリペプチド;
    ▲1▼配列表の配列番号1または2に記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチド、
    ▲2▼前記▲1▼のポリペプチドを含有するポリペプチド、
    ▲3▼前記▲1▼のポリペプチドと少なくとも約70%のアミノ酸配列上の相同性を有しかつホスファチジン酸を分解する活性を有するポリペプチド、および
    ▲4▼前記アミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸の欠失、置換、付加あるいは挿入といった変異を有し、かつホスファチジン酸を分解する活性を有するポリペプチド。
  2. 配列表の配列番号1または2に記載のアミノ酸配列の、少なくとも約8個の連続するアミノ酸配列を有するペプチド。
  3. 請求の範囲第1項または第2項に記載のポリペプチドまたはペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖。
  4. 請求の範囲第3項に記載のポリヌクレオチドまたはその相補鎖と選択的な条件下でハイブリダイゼーションするポリヌクレオチド。
  5. 配列表の配列番号3または4に記載の塩基配列またはその相補的配列の、少なくとも約15個の連続する塩基配列で示されるポリヌクレオチド。
  6. 請求の範囲第3項ないし第5項に記載の何れかのポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  7. 請求の範囲第6項に記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  8. 請求の範囲第7項に記載の形質転換体を培養する工程を含む、請求の範囲第1項または第2項に記載のポリペプチドまたはペプチドの製造方法。
  9. 請求の範囲第1項または第2項に記載のポリペプチドまたはペプチドを免疫学的に認識する抗体。
  10. ホスファチジン酸を分解する活性を抑制する、請求の範囲第9項に記載の抗体。
  11. 請求の範囲第1項に記載のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、および/または請求の範囲第3項もしくは第4項に記載のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物の同定方法であって、請求の範囲第1項または第2項に記載のポリペプチドもしくはペプチド、請求の範囲第3項ないし第5項に記載の何れかのポリヌクレオチド、請求の範囲第6項に記載のベクター、請求の範囲第7項に記載の形質転換体、請求の範囲第9項もしくは第10項に記載の抗体のうち、少なくとも何れか一つを用いることを特徴とする方法。
  12. 請求の範囲第1項に記載のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、または請求の範囲第3項もしくは第4項に記載のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物の同定方法であって、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの間の相互作用を可能にする条件下で、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドとスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる相互作用はポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供し得る第2の成分に関連したものである)、次いで、化合物とポリペプチドまたはポリヌクレオチドとの相互作用により生じるシグナルの存在または不存在またはその変化を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドと相互作用して、その活性を活性化または阻害するかどうかを決定することを含む方法。
  13. 請求の範囲第1項に記載のポリペプチドまたは請求の範囲第3項もしくは第4項に記載のポリヌクレオチドの活性または生理学的作用を阻害もしくは活性化する化合物の同定方法であって、請求の範囲第7項に記載の形質転換体と、該形質転換体中で発現される請求の範囲第1項に記載のポリペプチドがホスファチジン酸に作用することにより生産されるリゾホスファチジン酸に対する受容体を発現させた別の形質転換体とを用い、化合物とこれら形質転換体の相互作用を可能にする条件下で、これら形質転換体とスクリーニングすべき化合物とを接触させて化合物の相互作用を評価し(かかる作用は形質転換体と化合物との相互作用に応答した検出可能シグナルを提供し得る第2の成分に関連したものである)、次いで、化合物と形質転換体との相互作用により生じるシグナルの存在または不存在またはその変化を検出することにより、化合物がポリペプチドまたはポリヌクレオチドの活性または生理学的作用を、活性化または阻害するかどうかを決定することを含む方法。
  14. 請求の範囲第11項ないし第13項に記載の方法で同定される化合物。
  15. 請求の範囲第1項に記載のポリペプチドと相互作用してその活性を阻害もしくは活性化する化合物、または請求の範囲第3項もしくは第4項に記載のポリヌクレオチドと相互作用してその発現を阻害もしくは促進する化合物。
  16. 請求の範囲第1項または第2項に記載のポリペプチドもしくはペプチド、請求の範囲第3項ないし第5項に記載の何れかのポリヌクレオチド、請求の範囲第6項に記載のベクター、請求の範囲第7項に記載の形質転換体、請求の範囲第9項もしくは第10項に記載の抗体、または請求の範囲第14項または第15項に記載の化合物のうち、少なくとも何れか一つを含有することを特徴とする医薬組成物。
  17. 個体における請求の範囲第1項に記載のポリペプチドの発現または活性に関連した疾病の診断方法であって、(a)該ポリペプチドをコードしている核酸配列、および/または(b)個体由来の試料中の該ポリペプチドをマーカーとして分析することを含む方法。
  18. 請求の範囲第16項に記載の医薬組成物をホスホリパーゼAに関連する疾患に用いることを特徴とする治療方法。
  19. 請求の範囲第16項に記載の医薬組成物の製造方法。
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