JPWO2002014509A1 - 細胞死を誘導するグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼプロモータ - Google Patents
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Abstract
細胞死を誘導するグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータDNA、およびそれを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法。本発明によれば、GAPDHプロモータDNAを組み込んだベクターにより形質転換された宿主細胞を用いて、細胞死過程で細胞死を誘導するGAPDH蛋白を特異的に発現するGAPDH遺伝子のプロモータ活性を測定することにより、アポトーシス抑制剤のスクリーニングを行なうことができる。
Description
技術分野
本発明は、ラットの細胞死を誘導するグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDHと省略することがある。)のプロモータDNA、およびその用途に関する。
背景技術
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素として、グリセルアルデヒド−3−リン酸をリン酸化する、解糖系の主要な酵素のひとつとして知られており、G3PDとも略記される。
一方、Kerr、Wyllieらによって提唱されたアポトーシス(計画的細胞死、Brit.J.Cancer,26,239(1972))に、GAPDHが深く関与していることが本発明者らにより見出された。本発明者らは、新たな培養液への交換やグルコースの補充なしに、ラット小脳顆粒細胞(CGC)をKCl(25mM)存在下で継続培養すると、培養開始より2週間以上経過後、突然にアポトーシスが生じることを報告している(特開平8−92127号)。
このCGCのage−誘発性アポトーシスは、N−メチル−D−アスパラテート(N−methy1−D−aspartate)(NMDA)受容体拮抗剤や抗酸化剤によって抑制されることから、内因性に遊離されたグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰刺激や、その後に形成される活性酸素種によるものと考えられている。
さらに、このCGCのage−誘発性アポトーシスには、GAPDHの過剰発現が、密接に関与していることも明らかになっている。
GAPDHアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、GAPDH mRNAの発現を抑制すると、GAPDH蛋白質の過剰発現が抑制され、age−誘発性神経細胞アポトーシスは抑制される。従って、GAPDH mRNAまたはGAPDH蛋白質の発現を抑制することによって、アポトーシスを抑制することができる。
GAPDH蛋白質の過剰発現は該蛋白質の核移行を招き、神経細胞のみならず末梢組織由来の株化細胞においてもアポトーシスを著明に亢進した(NeuroReport,10,2029−2033(1999)、Mol.Pharmacol.,53,701−707(1998))。
また、GAPDHは、他の神経変性疾患における原因蛋白である遺伝子産物(特にトリプレットリピート蛋白)と選択的に結合することが知られている(Burke et al.,1996;Koshy et al.,1996)。その遺伝子産物とは、ハンチントン病のハンチンチン(huntingtin)(Nat.Med.,2,347−350(1996)))、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)のアトロフィン(atrophin)(Hum.Mol.Genet.,5,1311−1318(1996))、遺伝性脊髄小脳変性症(SCA−1)のアタキシン(ataxin)、マシャドジョセフ病のアタキシン−3(ataxin−3)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)のアンドロジェン受容体などである。そのため、GAPDHはこれら疾患の発症に何らかの役割を果たしていると考えられる。
一方、GAPDH遺伝子プロモータDNAは、蛋白質(GAPDH)をコードする領域の上流に位置し、遺伝子の発現開始反応における調節領域のことである。基本転写装置である、RNAポリメラーゼを成分とする転写複合体との相互作用によって、該遺伝子mRNAへの転写開始を規定している。
GAPDHのプロモータDNAとしては、酵母のGAPDHプロモータDNAが知られている(GenBank登録番号A15895)。しかしながら、他の種、特に高等動物について、プロモータDNAの同定に関する報告は過去になかった。更に、細胞死過程で活性化するプロモータに関しては、全く知られていない。
発明の開示
本発明は、単離精製されたラットの細胞死を誘導する(pro−apoptotic)GAPDHプロモータおよびそれらを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法に関する。
すなわち、本発明は
(1)単離精製されたラットのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータDNA、
(2)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクター、
(3)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターで形質転換された宿主細胞、
(4)ラットGAPDHプロモータDNAを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法、
(5)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法、
(6)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターで形質転換された宿主細胞を用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法に関する。
発明の詳細な説明
本発明に係るラットGAPDHプロモータDNAは、配列番号1、3、5および配列番号6に示される配列を有する。
本発明には、配列番号1、3、5および6に示されるDNA配列の相補配列を有するもDNA含まれる。相補配列DNAは、アンチセンス鎖として、プロモータDNAを強力に阻害する作用を有する。
さらに、本発明には、上記DNAを導入されたベクターが含まれる。本発明で用いられるベクターとしては、ウイルス、ファージ由来のベクターが挙げられ、例えば、pGL3(プロメガ社)を挙げることが出来る。ここで言うベクターには、スクリーニングのための指標遺伝子を含んでいることが好ましい。
指標遺伝子としては、発光遺伝子(Firefly luciferase等)を用いることができる。
本発明には、上記のベクターで形質転換された宿主細胞が含まれる。本発明で用いられる宿主細胞としては、遺伝子導入に適したCOS細胞、PC12細胞といった動物細胞株の他、生理的にアポトーシスを生じる細胞が好ましく、特にラット小脳顆粒細胞(CGC)が好ましい。
GAPDHは、先に述べたようにアポトーシスに関与している。GAPDHプロモータは、GAPDHタンパクの発現を促進する。そのため、GAPDHプロモータを抑制することにより、GAPDHの過剰発現が関与していると考えられる疾患、特に神経細胞の欠落を特徴とする神経変性疾患等の治療に用いることができる。
本発明のスクリーニング方法により、GAPDHプロモータ抑制作用を有する化合物のスクリーニングを行なうことができる。
本発明プロモータの取得方法
本発明のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータ以下の方法により取得することができる。
すなわち、
(1)ラットゲノムDNAライブラリーを用いて、
(2)ラットGAPDHの翻訳領域の上流配列に相補的なプライマーとライブラリーに付加されているアダプターに相補的なプライマーを用いてPCRを行ない、
(3)特異増幅されたDNA断片を選び、
(4)得られたDNAをベクターに組み込み、
(5)宿主細胞をこのベクターにより形質転換して培養し、
(6)得られたコロニーを、ラットGAPDH断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーションを行ない、
(7)ポジティブコロニーからプラスミドを抽出、精製することにより取得することができる。
GAPDHプロモータDNA
本発明のラット細胞死を誘導する(pro−apoptotic)GAPDHプロモータDNAは、高等動物からはじめて単離された新規配列である。また、既に知られている酵母GAPDHのプロモータDNA(GenBank登録番号A15895)と比べたところホモロジーは50%以下と低かった。
配列番号1で示される配列(p104)の塩基配列番号960部位から下流と配列番号3で示される配列(p302)の塩基配列番号2401から下流とは、相同性が非常に高いが、それより上流域の相同性は、ほとんど見られない。
アポトーシス抑制剤のスクリーニング方法
GAPDHプロモーターを用いることにより、細胞死を誘発するpro−apoptotic GAPDH蛋白質の発現を抑制することのできる化合物を選択することができる。特に、GAPDH遺伝子のプロモーター活性化を抑制する化合物を「アポトーシス阻害剤」として容易に見出すことができる。
より具体的には、
(1)ラットGAPDHプロモータDNAをベクターに組み込み、
(2)そのベクターで宿主細胞を形質転換し、
(3)被験化合物を添加し、
(4)宿主細胞の生存率を測定することにより、アポトーシス阻害剤をスクリーニングすることができる。
ここで言う、ラットGAPDHプロモータDNAとは、配列番号1、3、5および6で示される配列、好ましくは、配列番号5または6で示される配列である。
配列番号1および3は、ラットGAPDHのタンパク翻訳部分を3’−末端に一部含むが、本発明のスクリーニングに用いることができる。
配列番号2および4は、各々の3’−末端の翻訳されたタンパクを表わす。
ベクターは、汎用されているレポーターベクターであるものであればよく、好ましくは、p104−pGL3−エンハンサーベクターである。
スクリーニングのための宿主細胞は、動物細胞株の他、生理的条件でアポトーシスを起こすものであればよいが、好ましくはCGCである。
測定は、ベクターに組み込まれたGAPDHプロモータによって、宿主細胞のアポトーシスが進行する過程で、該プロモータが活性化し下流の遺伝子にコードされる蛋白質の発現が促進されることを利用して行う。コントロールとして、GAPDHプロモータDNAを組み込んでいないベクターにより形質転換された宿主細胞を用いることが好ましい。
測定の際、例えば、GAPDHプロモータDNAの下流に、ルシフェラーゼ等の指標を組み込んでおき、その活性を測ることにより、プロモータ活性の測定をすることができる。また、下流に直にGAPDH遺伝子を組み込んだ場合は、生存細胞数を数えることで、抑制の指標としても良い。
被験化合物は、細胞死誘発剤添加直前、または同時に加えてもよく、DNA導入による細胞障害を増強しない場合は、化合物の添加タイミングを変更してもよい。
細胞死誘発の条件として、例えば、シトシンアラビノシド(AraC)の添加、age−誘導性アポトーシスも利用できる。
また、DNA導入の条件によるバイアスを除去するために、内部標準酵素をもちいて、ノーマライズした酵素活性比から、プロモータ活性化度を算出してもよい。その際、内部標準の酵素活性を極端に低下させる化合物は、宿主細胞に対する毒性が懸念されるため、内部標準酵素活性を低下させずに、プロモーター下流の指標酵素活性を低下させる化合物を選択することが望ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1:ラットGAPDH遺伝子プロモーター領域のクローニング
ラットゲノムDNA由来の、プロモーターファインダーDNAウォーキングキット(クローンテック社)を用いて行なった。ライブラリーとして、EcoRVおよびDraI消化を施したゲノムDNA断片を含むライブラリーを用いた。このライブラリーには、5’末端に以下のアダプター(配列番号7)が付加されているため、以下のプライマー(アダプタープライマー(AP1)およびネステッドアダプタープライマー(AP2))によりPCRが可能である。
ラットのGAPDH(GenBank登録番号AB017801)のcDNAの5’−末端側、開始コドン近傍の配列から、以下のアンチセンスプライマー1(GAP1)およびネステッドアンチセンスプライマー(GAP2)を化学合成した。(下線の数字は、GenBank登録番号:M17701、RATGAPDHA中の塩基配列番号を示す。)
プロモーターを単離するために、前述の2つのライブラリーに対して、それぞれ以下の二種のDNAポリメラーゼを用いたネステッドPCRを行なった。
(1)アドバンテージTthポリメラーゼ・ミックス(#8418−1;クローンテック社)
反応液あたり、5−6ユニット/50μlになるように調製して用いた。
(2)Taqプラスロングポリメラーゼ・ミクスチュア(#600203;ストラタジン社)
反応液あたり、5ユニット/50μlになるように調製し、Taqスタート抗体(#54001;クロンテック社)を1.1μl/50μl加えた。
PCRは、GeneAmp PCRシステム2400(パーキン−エルマー社)を用いて、GAP1、GAP2を用いた連続ネステッドPCRにより行なった。
一次反応:プライマーAP1およびGAP1を用いて、94℃で2秒、71℃で3分間を7サイクル、94℃で2秒、66℃で3分間を32サイクル、66℃で4分間。
二次反応:プライマーAP2およびGAP2を用いて、94℃で2秒、73℃で3分間を5サイクル、94℃で2秒、68℃で3分間を20サイクル、68℃で4分間。
PCRにより、DraIライブラリーからは、5.3kbの特異増幅した断片が得られ、これにはEcoRV(2.5kb)、ScaI(1.9kb)およびPvuII(0.7kb)の制限酵素認識部位が存在していた。EcoRV消化により、2.5kb断片を切り出し、プロモータ302(p302)と命名した。
一方、EcoRVライブラリーからは、1.2kbの特異増幅断片が得られ、上記のp302と制限酵素地図が異なっていたため、プロモータ104(p104)と命名した。
得られたp302およびp104を、各々プラスミド(pCR−Script Amp SK(+);ストラタジン社)のSrfI部位に挿入し、大腸菌(XL1−Blue MRF’;ストラタジン社)を用いて形質転換し、培養した。得られたコロニーを、ラットGAPDHのcDNAの5’−末端部分の合成オリゴヌクレオチド:
(下線の数字は、ATG翻訳開始点を1とした、ラットGAPDH中の塩基配列番号を示す。)をプローブとして用いたコロニーハイブリダイゼーションから、ポジティブコロニーを選択した。ポジティブコロニーから抽出したプラスミドを精製し、p104およびp302の塩基配列を常法により決定した。各々の配列を、配列番号1(p104)および配列番号2(p302)に示す。
実施例2:細胞死を誘発するGAPDH遺伝子プロモーターの同定
実施例1で得られたプロモーター領域を含む断片から、細胞死過程を誘発するプロモータ部分を決定するために、以下の実験を行なった。
プロモーター配列を挿入したプラスミド(p104−pCR−Script Amp SK(+)およびp302−pCR−Script Amp SK(+))を、GAPDHタンパクの翻訳開始点の直上流にある、BsmBIサイトで切断し、末端を平滑化した。さらに、5’−末端のMluIサイトで切断し、プロモータ配列を含む配列を切り出した。
pGL3−エンハンサーベクター(プロメガ社)をMluI−SmaIサイトで切断し、ここに、切り出した各々の配列を挿入した。
各ベクターを、以下のようにレポーターアッセイに供した。レポーターアッセイは、ラット小脳由来顆粒細胞の初代培養細胞(CGC)を使用した。CGCは、既報(J.Neurochem,66,928−935(1996))に従い調製した。播種16時間後に、以下のものを混合し、無血清培養系に添加した。なお、A)とB)の比率は5:1とし、終濃度が2μg/mLとなるよう、C)は1μL/μg DNA、D)は6μL/μg DNAとなるように予め混合して培養系に添加した。
A)p104−pGL3−エンハンサーベクター、またはp302−pGL3−エンハンサーベクター、共にプロモーター下流にホタル・ルシフェラーゼ(Firefly luciferase)遺伝子を含む。
B)pRL−SV40ベクター(恒常的に活性化しているSV40プロモーター下流に内部標準酵素ウミシイタケ・ルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子を含む)、
C)リポフェクトアミン(ギブコ−BRL社)、
D)リポフェクトアミンプラスリージェント(ギブコ−BRL社)。
播種20時間後、細胞を洗浄し、さらに4時間通常の培養を続けた。次に、シトシンアラビノシド(細胞死惹起剤;AraC)を終濃度500μMとなるように加え、さらに14ないし24時間培養した。
AraC(500μM)処理したCGCの生存率は、14時間で68%、24時間で44%であった。一方、AraC(10μM)処理したCGCは、14、24時間培養ともに生存率90%以上であり、有意な細胞死は生じなかった(コントロール)。
AraC(500μM)処置後、14時間および24時間培養した細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定した。結果を表1および表2に示す(プロモーターを含まないpGL3エンハンサーベクターを導入した細胞のルシフェラーゼ活性を1.0とした。)。
p104−pGL3−エンハンサーベクターで形質転換したCGC群では、培養時間に依存的にプロモータ(p104)が活性化され、AraC添加後24時間で1.7倍のルシフェラーゼの誘導が見られた。p302−pGL3−エンハンサーベクターで形質転換したCGC群では、プロモータ(p302)の活性化は認められず、むしろ抑制傾向を示した(表1)。
AraC(10μM)処置では、有意な細胞死を惹起することができず、その際には、いずれのプロモータ(p104およびp302)も有意な活性化を示さなかった(表2)。
このことから、p104で示される配列が、細胞死過程を誘発するプロモータ活性を有することが解った。
実施例3:Pro−apoptotic GAPDHプロモータ活性抑制化合物のスクリーニング
実施例2と同様にして、DNAを導入したプラスミド(p104−pGL3−エンハンサーベクター)をCGC培養系に添加し、形質転換した。播種20時間後、細胞を洗浄し、更に4時間培養を続けた。次に、AraC(細胞死惹起剤)を終濃度500μMとなるように加え、14ないし24時間培養した。なお、AraC曝射1時間前に被験化合物を終濃度0.001〜10μMとなるように添加した。培養後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定し、被験化合物のGAPDHプロモータ活性阻害率を算出した。
阻害率は、溶媒のみを添加した場合を0%とし、有意なホタル・ルシフェラーゼ(Firefly luciferase)活性の上昇がないレベルを100%阻害とした。
【配列表】
本発明は、ラットの細胞死を誘導するグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDHと省略することがある。)のプロモータDNA、およびその用途に関する。
背景技術
グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)を補酵素として、グリセルアルデヒド−3−リン酸をリン酸化する、解糖系の主要な酵素のひとつとして知られており、G3PDとも略記される。
一方、Kerr、Wyllieらによって提唱されたアポトーシス(計画的細胞死、Brit.J.Cancer,26,239(1972))に、GAPDHが深く関与していることが本発明者らにより見出された。本発明者らは、新たな培養液への交換やグルコースの補充なしに、ラット小脳顆粒細胞(CGC)をKCl(25mM)存在下で継続培養すると、培養開始より2週間以上経過後、突然にアポトーシスが生じることを報告している(特開平8−92127号)。
このCGCのage−誘発性アポトーシスは、N−メチル−D−アスパラテート(N−methy1−D−aspartate)(NMDA)受容体拮抗剤や抗酸化剤によって抑制されることから、内因性に遊離されたグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰刺激や、その後に形成される活性酸素種によるものと考えられている。
さらに、このCGCのage−誘発性アポトーシスには、GAPDHの過剰発現が、密接に関与していることも明らかになっている。
GAPDHアンチセンスオリゴヌクレオチドにより、GAPDH mRNAの発現を抑制すると、GAPDH蛋白質の過剰発現が抑制され、age−誘発性神経細胞アポトーシスは抑制される。従って、GAPDH mRNAまたはGAPDH蛋白質の発現を抑制することによって、アポトーシスを抑制することができる。
GAPDH蛋白質の過剰発現は該蛋白質の核移行を招き、神経細胞のみならず末梢組織由来の株化細胞においてもアポトーシスを著明に亢進した(NeuroReport,10,2029−2033(1999)、Mol.Pharmacol.,53,701−707(1998))。
また、GAPDHは、他の神経変性疾患における原因蛋白である遺伝子産物(特にトリプレットリピート蛋白)と選択的に結合することが知られている(Burke et al.,1996;Koshy et al.,1996)。その遺伝子産物とは、ハンチントン病のハンチンチン(huntingtin)(Nat.Med.,2,347−350(1996)))、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)のアトロフィン(atrophin)(Hum.Mol.Genet.,5,1311−1318(1996))、遺伝性脊髄小脳変性症(SCA−1)のアタキシン(ataxin)、マシャドジョセフ病のアタキシン−3(ataxin−3)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)のアンドロジェン受容体などである。そのため、GAPDHはこれら疾患の発症に何らかの役割を果たしていると考えられる。
一方、GAPDH遺伝子プロモータDNAは、蛋白質(GAPDH)をコードする領域の上流に位置し、遺伝子の発現開始反応における調節領域のことである。基本転写装置である、RNAポリメラーゼを成分とする転写複合体との相互作用によって、該遺伝子mRNAへの転写開始を規定している。
GAPDHのプロモータDNAとしては、酵母のGAPDHプロモータDNAが知られている(GenBank登録番号A15895)。しかしながら、他の種、特に高等動物について、プロモータDNAの同定に関する報告は過去になかった。更に、細胞死過程で活性化するプロモータに関しては、全く知られていない。
発明の開示
本発明は、単離精製されたラットの細胞死を誘導する(pro−apoptotic)GAPDHプロモータおよびそれらを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法に関する。
すなわち、本発明は
(1)単離精製されたラットのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータDNA、
(2)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクター、
(3)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターで形質転換された宿主細胞、
(4)ラットGAPDHプロモータDNAを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法、
(5)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターを用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法、
(6)ラットGAPDHプロモータDNAを導入されたベクターで形質転換された宿主細胞を用いたアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法に関する。
発明の詳細な説明
本発明に係るラットGAPDHプロモータDNAは、配列番号1、3、5および配列番号6に示される配列を有する。
本発明には、配列番号1、3、5および6に示されるDNA配列の相補配列を有するもDNA含まれる。相補配列DNAは、アンチセンス鎖として、プロモータDNAを強力に阻害する作用を有する。
さらに、本発明には、上記DNAを導入されたベクターが含まれる。本発明で用いられるベクターとしては、ウイルス、ファージ由来のベクターが挙げられ、例えば、pGL3(プロメガ社)を挙げることが出来る。ここで言うベクターには、スクリーニングのための指標遺伝子を含んでいることが好ましい。
指標遺伝子としては、発光遺伝子(Firefly luciferase等)を用いることができる。
本発明には、上記のベクターで形質転換された宿主細胞が含まれる。本発明で用いられる宿主細胞としては、遺伝子導入に適したCOS細胞、PC12細胞といった動物細胞株の他、生理的にアポトーシスを生じる細胞が好ましく、特にラット小脳顆粒細胞(CGC)が好ましい。
GAPDHは、先に述べたようにアポトーシスに関与している。GAPDHプロモータは、GAPDHタンパクの発現を促進する。そのため、GAPDHプロモータを抑制することにより、GAPDHの過剰発現が関与していると考えられる疾患、特に神経細胞の欠落を特徴とする神経変性疾患等の治療に用いることができる。
本発明のスクリーニング方法により、GAPDHプロモータ抑制作用を有する化合物のスクリーニングを行なうことができる。
本発明プロモータの取得方法
本発明のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータ以下の方法により取得することができる。
すなわち、
(1)ラットゲノムDNAライブラリーを用いて、
(2)ラットGAPDHの翻訳領域の上流配列に相補的なプライマーとライブラリーに付加されているアダプターに相補的なプライマーを用いてPCRを行ない、
(3)特異増幅されたDNA断片を選び、
(4)得られたDNAをベクターに組み込み、
(5)宿主細胞をこのベクターにより形質転換して培養し、
(6)得られたコロニーを、ラットGAPDH断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーションを行ない、
(7)ポジティブコロニーからプラスミドを抽出、精製することにより取得することができる。
GAPDHプロモータDNA
本発明のラット細胞死を誘導する(pro−apoptotic)GAPDHプロモータDNAは、高等動物からはじめて単離された新規配列である。また、既に知られている酵母GAPDHのプロモータDNA(GenBank登録番号A15895)と比べたところホモロジーは50%以下と低かった。
配列番号1で示される配列(p104)の塩基配列番号960部位から下流と配列番号3で示される配列(p302)の塩基配列番号2401から下流とは、相同性が非常に高いが、それより上流域の相同性は、ほとんど見られない。
アポトーシス抑制剤のスクリーニング方法
GAPDHプロモーターを用いることにより、細胞死を誘発するpro−apoptotic GAPDH蛋白質の発現を抑制することのできる化合物を選択することができる。特に、GAPDH遺伝子のプロモーター活性化を抑制する化合物を「アポトーシス阻害剤」として容易に見出すことができる。
より具体的には、
(1)ラットGAPDHプロモータDNAをベクターに組み込み、
(2)そのベクターで宿主細胞を形質転換し、
(3)被験化合物を添加し、
(4)宿主細胞の生存率を測定することにより、アポトーシス阻害剤をスクリーニングすることができる。
ここで言う、ラットGAPDHプロモータDNAとは、配列番号1、3、5および6で示される配列、好ましくは、配列番号5または6で示される配列である。
配列番号1および3は、ラットGAPDHのタンパク翻訳部分を3’−末端に一部含むが、本発明のスクリーニングに用いることができる。
配列番号2および4は、各々の3’−末端の翻訳されたタンパクを表わす。
ベクターは、汎用されているレポーターベクターであるものであればよく、好ましくは、p104−pGL3−エンハンサーベクターである。
スクリーニングのための宿主細胞は、動物細胞株の他、生理的条件でアポトーシスを起こすものであればよいが、好ましくはCGCである。
測定は、ベクターに組み込まれたGAPDHプロモータによって、宿主細胞のアポトーシスが進行する過程で、該プロモータが活性化し下流の遺伝子にコードされる蛋白質の発現が促進されることを利用して行う。コントロールとして、GAPDHプロモータDNAを組み込んでいないベクターにより形質転換された宿主細胞を用いることが好ましい。
測定の際、例えば、GAPDHプロモータDNAの下流に、ルシフェラーゼ等の指標を組み込んでおき、その活性を測ることにより、プロモータ活性の測定をすることができる。また、下流に直にGAPDH遺伝子を組み込んだ場合は、生存細胞数を数えることで、抑制の指標としても良い。
被験化合物は、細胞死誘発剤添加直前、または同時に加えてもよく、DNA導入による細胞障害を増強しない場合は、化合物の添加タイミングを変更してもよい。
細胞死誘発の条件として、例えば、シトシンアラビノシド(AraC)の添加、age−誘導性アポトーシスも利用できる。
また、DNA導入の条件によるバイアスを除去するために、内部標準酵素をもちいて、ノーマライズした酵素活性比から、プロモータ活性化度を算出してもよい。その際、内部標準の酵素活性を極端に低下させる化合物は、宿主細胞に対する毒性が懸念されるため、内部標準酵素活性を低下させずに、プロモーター下流の指標酵素活性を低下させる化合物を選択することが望ましい。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1:ラットGAPDH遺伝子プロモーター領域のクローニング
ラットゲノムDNA由来の、プロモーターファインダーDNAウォーキングキット(クローンテック社)を用いて行なった。ライブラリーとして、EcoRVおよびDraI消化を施したゲノムDNA断片を含むライブラリーを用いた。このライブラリーには、5’末端に以下のアダプター(配列番号7)が付加されているため、以下のプライマー(アダプタープライマー(AP1)およびネステッドアダプタープライマー(AP2))によりPCRが可能である。
ラットのGAPDH(GenBank登録番号AB017801)のcDNAの5’−末端側、開始コドン近傍の配列から、以下のアンチセンスプライマー1(GAP1)およびネステッドアンチセンスプライマー(GAP2)を化学合成した。(下線の数字は、GenBank登録番号:M17701、RATGAPDHA中の塩基配列番号を示す。)
プロモーターを単離するために、前述の2つのライブラリーに対して、それぞれ以下の二種のDNAポリメラーゼを用いたネステッドPCRを行なった。
(1)アドバンテージTthポリメラーゼ・ミックス(#8418−1;クローンテック社)
反応液あたり、5−6ユニット/50μlになるように調製して用いた。
(2)Taqプラスロングポリメラーゼ・ミクスチュア(#600203;ストラタジン社)
反応液あたり、5ユニット/50μlになるように調製し、Taqスタート抗体(#54001;クロンテック社)を1.1μl/50μl加えた。
PCRは、GeneAmp PCRシステム2400(パーキン−エルマー社)を用いて、GAP1、GAP2を用いた連続ネステッドPCRにより行なった。
一次反応:プライマーAP1およびGAP1を用いて、94℃で2秒、71℃で3分間を7サイクル、94℃で2秒、66℃で3分間を32サイクル、66℃で4分間。
二次反応:プライマーAP2およびGAP2を用いて、94℃で2秒、73℃で3分間を5サイクル、94℃で2秒、68℃で3分間を20サイクル、68℃で4分間。
PCRにより、DraIライブラリーからは、5.3kbの特異増幅した断片が得られ、これにはEcoRV(2.5kb)、ScaI(1.9kb)およびPvuII(0.7kb)の制限酵素認識部位が存在していた。EcoRV消化により、2.5kb断片を切り出し、プロモータ302(p302)と命名した。
一方、EcoRVライブラリーからは、1.2kbの特異増幅断片が得られ、上記のp302と制限酵素地図が異なっていたため、プロモータ104(p104)と命名した。
得られたp302およびp104を、各々プラスミド(pCR−Script Amp SK(+);ストラタジン社)のSrfI部位に挿入し、大腸菌(XL1−Blue MRF’;ストラタジン社)を用いて形質転換し、培養した。得られたコロニーを、ラットGAPDHのcDNAの5’−末端部分の合成オリゴヌクレオチド:
(下線の数字は、ATG翻訳開始点を1とした、ラットGAPDH中の塩基配列番号を示す。)をプローブとして用いたコロニーハイブリダイゼーションから、ポジティブコロニーを選択した。ポジティブコロニーから抽出したプラスミドを精製し、p104およびp302の塩基配列を常法により決定した。各々の配列を、配列番号1(p104)および配列番号2(p302)に示す。
実施例2:細胞死を誘発するGAPDH遺伝子プロモーターの同定
実施例1で得られたプロモーター領域を含む断片から、細胞死過程を誘発するプロモータ部分を決定するために、以下の実験を行なった。
プロモーター配列を挿入したプラスミド(p104−pCR−Script Amp SK(+)およびp302−pCR−Script Amp SK(+))を、GAPDHタンパクの翻訳開始点の直上流にある、BsmBIサイトで切断し、末端を平滑化した。さらに、5’−末端のMluIサイトで切断し、プロモータ配列を含む配列を切り出した。
pGL3−エンハンサーベクター(プロメガ社)をMluI−SmaIサイトで切断し、ここに、切り出した各々の配列を挿入した。
各ベクターを、以下のようにレポーターアッセイに供した。レポーターアッセイは、ラット小脳由来顆粒細胞の初代培養細胞(CGC)を使用した。CGCは、既報(J.Neurochem,66,928−935(1996))に従い調製した。播種16時間後に、以下のものを混合し、無血清培養系に添加した。なお、A)とB)の比率は5:1とし、終濃度が2μg/mLとなるよう、C)は1μL/μg DNA、D)は6μL/μg DNAとなるように予め混合して培養系に添加した。
A)p104−pGL3−エンハンサーベクター、またはp302−pGL3−エンハンサーベクター、共にプロモーター下流にホタル・ルシフェラーゼ(Firefly luciferase)遺伝子を含む。
B)pRL−SV40ベクター(恒常的に活性化しているSV40プロモーター下流に内部標準酵素ウミシイタケ・ルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子を含む)、
C)リポフェクトアミン(ギブコ−BRL社)、
D)リポフェクトアミンプラスリージェント(ギブコ−BRL社)。
播種20時間後、細胞を洗浄し、さらに4時間通常の培養を続けた。次に、シトシンアラビノシド(細胞死惹起剤;AraC)を終濃度500μMとなるように加え、さらに14ないし24時間培養した。
AraC(500μM)処理したCGCの生存率は、14時間で68%、24時間で44%であった。一方、AraC(10μM)処理したCGCは、14、24時間培養ともに生存率90%以上であり、有意な細胞死は生じなかった(コントロール)。
AraC(500μM)処置後、14時間および24時間培養した細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定した。結果を表1および表2に示す(プロモーターを含まないpGL3エンハンサーベクターを導入した細胞のルシフェラーゼ活性を1.0とした。)。
p104−pGL3−エンハンサーベクターで形質転換したCGC群では、培養時間に依存的にプロモータ(p104)が活性化され、AraC添加後24時間で1.7倍のルシフェラーゼの誘導が見られた。p302−pGL3−エンハンサーベクターで形質転換したCGC群では、プロモータ(p302)の活性化は認められず、むしろ抑制傾向を示した(表1)。
AraC(10μM)処置では、有意な細胞死を惹起することができず、その際には、いずれのプロモータ(p104およびp302)も有意な活性化を示さなかった(表2)。
このことから、p104で示される配列が、細胞死過程を誘発するプロモータ活性を有することが解った。
実施例3:Pro−apoptotic GAPDHプロモータ活性抑制化合物のスクリーニング
実施例2と同様にして、DNAを導入したプラスミド(p104−pGL3−エンハンサーベクター)をCGC培養系に添加し、形質転換した。播種20時間後、細胞を洗浄し、更に4時間培養を続けた。次に、AraC(細胞死惹起剤)を終濃度500μMとなるように加え、14ないし24時間培養した。なお、AraC曝射1時間前に被験化合物を終濃度0.001〜10μMとなるように添加した。培養後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定し、被験化合物のGAPDHプロモータ活性阻害率を算出した。
阻害率は、溶媒のみを添加した場合を0%とし、有意なホタル・ルシフェラーゼ(Firefly luciferase)活性の上昇がないレベルを100%阻害とした。
【配列表】
Claims (8)
- 単離精製されたラットのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモータDNA。
- 配列番号1、3、5または6で示される配列を有する請求の範囲1記載のプロモータDNA、またはその相補配列を有するDNA。
- 請求の範囲1または2記載のDNAを導入されたベクター。
- 請求の範囲3記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
- 請求の範囲1記載のラットのGAPDHプロモータDNAを用いることを特徴とするアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法。
- 請求の範囲3記載のベクターを用いることを特徴とするアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法。
- 請求の範囲4記載の宿主細胞を用いることを特徴とするアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法。
- (1)ラットGAPDHプロモータDNAをベクターに組み込み、(2)そのベクターで宿主細胞を形質転換し、
(3)被験化合物を添加し、
(4)宿主細胞の生存率を測定することからなるアポトーシス抑制剤のスクリーニング方法。
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