JPS649820B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、商用交流を直流に変換して出力する
整流器と、その出力側に並列に接続された組電池
とから成り、常時は、整流器で商用交流を整流し
て負荷へ供給し、商用電源停電時は組電池から負
荷へ供給するようにした直流電源に関するもので
あり、更に詳しくは、該直流電源において、組電
池のうちから任意少数個の電池を選択して充放電
試験を行なう際、残りの電池に悪影響が及ばない
ようにする手段に関するものである。

一般に通常用電源装置は、商用電源が正常の時
は、商用電源を整流し、必要な直流電力を得て負
荷に供給している。また、商用電源停電時におい
ても、負荷への電力の供給を絶やさないために予
備電源として蓄電池を備えている。

第１図は、その一般的な電源装置のシステム構
成を示すブロツク図である。同図において１は商
用電源、２は交流を直流に変換する整流器、３は
蓄電池を複数個直列に接続して構成した組電池、
４は負荷である。

本システムの動作は、商用電源が正常の時は、
商用電源１から交流電力を整流器２で受け、負荷
に必要な直流電圧に変換し、負荷４に直流電力を
供給しており、商用電源１の停電時には組電池３
から供給している。

第２図は第１図における整流器２の構成を示す
詳細ブロツク図である。同図において、２０１は
交流入力端子、２０２は変換トランス、２０３は
出力電圧制御変換部、２０４は整流部、２０５は
出力フイルタ部、２０６は直流出力端子、２０は
制御部、２２は出力電圧制御部、２２１は出力電
圧検出入力端子、２１は出力電圧設定調整部であ
る。

この動作は、交流入力端子２０１で交流入力を
受け、変換トランス２０２で電圧変換と絶縁を行
い、出力電圧制御変換部２０３（一般的には磁気
増幅器）で制御回路２０からの信号を受け、その
信号に見合つた出力に変換して出力し、整流部２
０４でそれを直流に変換し、フイルタ部２０５で
平滑した後、出力端子２０６から出力する。

一方、出力電圧は常時、出力側から出力電圧検
出入力端子２２１を経て制御回路２０の出力電圧
制御部２２へ取り込まれており、ここであらかじ
め出力電圧設定調整部２１で設定された電圧と比
較され、両者が等しくなるように出力電圧制御部
２２より出力電圧制御変換部２０３へ制御信号が
送信される。出力電圧設定調整部２１における電
圧設定は、一般には調整用ボリユームで行われ
る。

第１図に戻り、整流器２は組電池３に対しても
その自己放電を補うための維持充電電流を供給し
ており、一般には蓄電池１個当り、2.15V〜
2.18Vの一定電圧として電池個数に見合う電圧
で、一括充電している。また、蓄電池個数は負荷
電圧に見合うよう適正に選ばれ、その蓄電池容量
は、必要な負荷電流と停電時の電流保持時間から
決定される。したがつて、停電時には、この蓄電
池から負荷に必要な電力が供給される。

ところが、実際の蓄電池は充放電サイクルを操
り返したり、長期間の維持充電使用による経年劣
化により、電池容量が低下し停電等の非常時に、
必要な直流電力を供給できなくなつている恐れが
ある。このため、蓄電池の劣化状態を把握するた
めに、定期的に蓄電池の放電試験を行ない蓄電池
容量の確認を行つている。

第３図は、かかる電池放電試験回路の一例を示
したブロツク図であり、図中、第１図におけるの
と同一記号のものは、同じものを指している。５
は組電池３中の単電池を選択してその放電試験を
するための負荷と放電試験終了後、回復充電する
ための充電器を組合わせた充放電装置である。

従来、電池の放電試験は組電池全体を疑似負荷
に接続して放電し、容量を求めていたが、この方
法は、電力損失が多く、また、試験直後の停電に
備えて予備電源を用意するなどの対策等を施こさ
なくてはならないため、最近は第３図に示す様な
組電池３中の１つの電池のみを選択して放電して
容量を求め、その値から全体容量を推定する方法
が提案されている。この時、組電池３中の他の電
池は、整流器２により維持充電されている。この
方法を採用すると単電池のみの放電・充電で良い
ため最小限の電力損失で済み、また、試験中や試
験直後の停電に対しては、放電しない他の電池か
ら電力を供給することが可能であり停電対策を施
す必要がないという利点がある。

しかし、この方法は、組電池中の単電池のみを
選択し放電・充電し、その際、他の電池は維持充
電されているため次のような欠点が生じる。たと
えば組電池における電池個数を25個、電池１個あ
たりの充電電圧を2.15Vとした場合、整流器２は
53.75V（2.15×25）の充電電圧で電池を維持充電
している。この状態で組電池中の１個の電池を放
電すると、当該電池の電池電圧が低下し、最終的
には当該電池の放電終止電圧1.8Vまで低下する。
その結果、組電池電圧は53.4Vとなる。

ところが整流器２は充電電圧を53.75Vに設定
してあるため、組電池電圧の低下分0.35Vを上昇
させるべく電池への維持充電電流を増大させる。
この結果、放電をしている電池を除く他の組電池
は過充電される結果となり、電池寿命を著しく低
下させる結果となる。また、放電をしている単電
池についても誤差電流が流れ込む結果となり、正
しい電池容量が得られなくなる。同様にして単電
池の放電終了後、当該電池を回復充電させるが、
この場合の単電池の充電電圧は2.4V程度となる
ので、組電池全体の電圧は54.00Vとなり整流器
充電電圧より高くなり、組電池への充電電流が流
れなくなり、単独充電している電池以外は充電不
足となり電池寿命を低下させるという欠点があ
る。

本発明は、これらの欠点を除去するために、組
電池中の１個の電池を放電または充電している状
態においても、組電池中の他の電池を常に適正な
充電電圧で維持充電できるようにした直流電源を
提供することを目的とするものである。

本発明の構成の要点は、受電した商用交流を直
流に変換して出力すると共に、該直流出力電圧を
設定値と比較し、その差が零になるように直流出
力を制御する電圧制御手段を備えた整流器と、該
整流器の出力側に並列に接続された複数個直列接
続の蓄電池からなる組電池とから成り、常時は前
記整流器で商用交流を整流して負荷へ供給し、商
用電源停電時には前記蓄電池から負荷へ直流を供
給するようにした直流電源において、前記組電池
中から任意個数の蓄電池を選択して充放電試験す
る際、当該蓄電池の充放電経過時における電池電
圧の変化に従つて前記整流器の電圧制御手段にお
ける電圧設定値を可変制御する手段を備えた点に
ある。

次に図を参照して本発明の一実施例を説明す
る。

第４図は本発明の一実施例を示すブロツク図で
ある。同図において、第１図、第２図及び第３図
におけるのと同一記号のものは同じものを指して
いる。２１は整流器２の制御回路の出力電圧設定
調整部（第２図の２１）であり、２１１はその入
力端子であり、組電池３中の放電試験をしようと
して選択された電池の端子に接続されている。

本回路の動作を述べる。組電池３に対しては、
整流器２より、商用電源１からの交流入力を整流
して得られる直流電圧による適正電流で維持充電
をしている。また、整流器２は負荷４に対しても
直流電力を供給している。この状態で組電池３の
うちの１つの電池を充放電装置５により放電する
と、当該電池の電池電圧が浮動時の2.15Vから
除々に低下し、最終的に1.8V程度まで低下する。
この電池電圧の変動値は、整流器２の制御回路の
出力電圧設定調整部２１の入力端子２１１に伝達
される。その結果、出力電圧設定調整部２１で、
単電池の電圧が低下するにしたがつてその変化分
だけ整流器２の出力電圧を低下させるよう、設定
値を変化させる。このことにより組電池３の放電
試験をしている電池を除く他の電池は、常に電池
１個当り2.15Vに保たれる様に維持充電が継続さ
れる。また、同様に、組電池中の単電池の回復充
電を同じく充放電装置５で行うと、当該電池の電
池電圧が浮動時の2.15Vから除々に上昇し、最終
的に2.4V程度まで上昇するが、この電池電圧の
変動値は単電池放電と同様の方法により電圧変化
分だけ出力電圧を上昇する様に設定値を変化させ
るので、組電池中の他の電池は、常に電池１個当
り2.15Vに保たれるように維持充電が継続され
る。

一般に整流器２は、先にも述べたように、出力
電圧設定調整用ボリユームを持つており、その調
整範囲ならボリユーム調整で自由に出力電圧が可
変できる機能を持つている。したがつて、単電池
の電圧変化分をこの調整部に変動信号として伝達
することにより容易に出力電圧を変化させること
ができる。また、出力電圧の変動分は電池個数を
25個とすれば53.75Vに対し＋0.25V、−0.35Vであ
り変動パーセントでは＋0.5％、−0.65％程度であ
り非常に小さく負荷への影響は皆無である。

以上説明した様に、本発明によれば、組電池中
の単電池の充放電試験時間中においても、組電池
中の試験をしない他の電池には、常に適正な浮動
充電電圧で維持充電電流が供給されるため、電池
への過充電、充電不足が生じないため単電池試験
による組電池中の他の電池への劣化を防ぐことが
でき、電池の寿命低下を防ぐことができるととも
に、単電池放電試験中の整流器から流れ込む誤差
電流を最小限にすることができるという利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な通信用電源装置のシステム構
成を示すブロツク図、第２図は第１図における整
流器２の詳細ブロツク図、第３図は電源装置の電
池充放電試験回路の一例を示すブロツク図、第４
図は本発明の一実施例を示すブロツク図、であ
る。 符号説明、１……商用電源、２……整流器、３
……蓄電池を複数個直列に接続して構成した組電
池、４……負荷、５……充放電装置、２１……整
流器２の出力電圧設定調整部、２１１……その入
力端子。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 受電した商用交流を直流に変換して出力する
   と共に、該直流出力電圧を設定値と比較し、その
   差が零になるように直流出力を制御する電圧制御
   手段を備えた整流器と、該整流器の出力側に並列
   に接続された複数個直列接続の蓄電池からなる組
   電池とから成り、常時は前記整流器で商用交流を
   整流して負荷へ供給し、商用電源停電時には前記
   蓄電池から負荷へ直流を供給するようにした直流
   電源において、前記組電池中から任意個数の蓄電
   池を選択して充放電試験する際、当該蓄電池の充
   放電経過時における電池電圧の変化に従つて前記
   整流器の電圧制御手段における電圧設定値を可変
   制御する手段を備えたことを特徴とする直流電
   源。