JPS64776Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は酸化反応して自己発熱するハニカムセ
ラミツクブロツクと金属板との複合体から成る無
電源の複合発熱体に関し、固形殺虫剤を加熱しガ
ス化させ防虫、殺虫を果たさせる場合等に使用す
る目的を以つて創案されたものである。

例えば固形殺虫剤としてはピレスロイド系殺虫
剤等をマツト状にし加熱するとガス化し殺虫又は
防虫効果を発揮するようにしたものが周知であ
る。

上記固形殺虫剤の加熱源としては通常電源が用
いられ、電気にて発熱された熱板の上に上記固形
殺虫剤のマツトを密着する如く載せガス化させる
機構をとつており、電源の確保の困難な屋外で
は、電源による以外にガス化に必要な適切な加熱
源も存在しないことがネツクとなつて必要性が求
められているにも拘らず、汎用化するに至つてい
ない。

本考案は冒頭に述べたように、酸化反応して自
己発熱する複合発熱体に関するもので、この種小
型の発熱体は上記の如き固形殺虫剤を加熱しガス
化させる無電源の熱源として非常に高い需要が望
めるものであり、この種固形殺虫剤の屋外適用、
携行使用等を可能にする点でその実用的価値は極
めて大なるものがある。

上記酸化反応して発熱する物質としてはセラミ
ツク発熱体が用いられる。このセラミツク発熱体
はセラミツク表面に塗布・含浸等の方法にて白金
等の酸化用の金属触媒（以下単に酸化触媒とい
う）を担持させたもので、空気中においてアルコ
ール、ブタン等の有機揮発材と接触させると激し
く酸化反応し短時間で赤熱するに至り、前記ピレ
スロイド系殺虫剤のガス化温度である高温の加熱
温度を容易に得ることができる。

本考案においては実施例として示すように、上
記セラミツク発熱体とした図面、第１図乃至第４
図に示すように、上記セラミツク発熱体としてハ
ニカム構造とした直方体形のセラミツクブロツク
１を構成する。

該ハニカムセラミツクブロツク１はその表面に
塗布又は含浸にて層着された酸化触媒を担持す
る。

本考案に係る発熱体は上記ハニカムセラミツク
ブロツク１と固形殺虫剤のマツト４の支持板兼加
熱板として機能させる金属板３との複合体によつ
て形成され、上記金属板３と上記ハニカムセラミ
ツクブロツクの通気孔２が開口していない側面に
添設し、上記ハニカムセラミツクブロツク１の通
気孔２を上記金属板３と並行し開口させたことを
特徴とする。

第１図は上記ハニカムセラミツクブロツク１と
金属板２の複合体から成る発熱体の典型を示し、
上述の通りハニカムセラミツクブロツ１をその通
気孔２が横方向となるようにし、金属板３を該セ
ラミツクブロツク１の上面（通気孔が開口してい
ない側面）に添設し、通気孔２が金属板３と並行
し開口する如くなし、更に金属板３の二辺又は四
辺をハニカムセラミツクブロツク１の周囲へ張り
出させ、該張り出し板部を熱気の受板３ａとす
る。即ち、金属板３は少なくともハニカムセラミ
ツクブロツク１の通気孔２が開口する側において
同ブロツク１との添設面より張り出させる。従つ
て上記通気孔２は熱気受板３ａの下位に開口す
る。

ハニカムセラミツクブロツク１の自己発熱によ
つて加熱された同セラミツクブロツク周辺の熱気
をより効率的に捕捉させるため、上記受板３ａを
セラミツクブロツ１の周囲側方へ折り曲げる等し
て囲いを作り、該囲いの内側に熱気溜めを形成す
るようにしても良い。

前記のようにハニカムセラミツクブロク１はブ
タン、アルコール、プロパン等の有機揮発材（図
示せず）の揮発ガスと空気の混合気との接触の機
会を与えることによつて激しく反応し自己発熱し
セラミツクブロツク全体が赤熱状態となる。

セラミツクブロツク１は通気孔２と有するハニ
カム構造であり、空気と有機揮発材の混合ガスは
該通気孔２内を貫流し、セラミツク内部での発
熱、芯部での赤熱化を促進する。気体は通気孔２
内を貫流し高温に熱せられ側方（受板３ａ下）に
吐出され、金属板３を加熱するのに役立つ。

上記ハニカムセラミツクブロツク１の赤熱化に
よつてその上面に添設された金属板３は効率的に
加熱されるに至る。

固形殺虫剤のマツト４は該金属板３の上面に添
設され適当な押さえ手段にて同金属板３上に固定
され、該金属板３にて直加熱されてガス化するに
至る。

第１図、第２図は上記マツト４の押さえ手段を
上記金属板３に具備させた実施例を示し、第２図
は金属板３の端部に金属板上面との間でマツト４
を差し挟むようにした押さえ片５ｂを設けた場合
を示す。又第１図は切り起こし片等にて金属板３
上面にマツト４を押し込みその耳端を着脱可に係
持する対の保持片５ａを形成した場合を示す。

又ハニカムセラミツクブロツク１と金属板３と
は適当な固定手段を講ずることによつて接触状態
か又は近接状態に複合体化される。

第１図乃至第４図は該複合体化の手段として金
属板３にセラミツクブロツク１を確固に抱持する
把持片６を設けた場合を提示している。

第１図乃至第３図共に、ハニカムセラミツクブ
ロツク１と金属板３とを接触状態にし複合体を形
成した場合を示すが、第４図は金属板３にセラミ
ツクブロツク１の表面を支える小突起１９（ノツ
チ）を設ける等して、金属板３とセラミツクブロ
ツク１間に微小の空隙２０を形成し添設面におい
て気体の流通を可（酸化反応可）とした構造を示
している。同様に金属板３の表面又はセラミツク
ブロツク１の表面（添設面）に溝条を形成し気体
の流通を可とすることもできる。

本考案は前記酸化触媒をハニカムセラミツクブ
ロツク１の全表面に施こし、金属板３を該酸化触
媒層の表面に添設した場合、及び金属板３を添設
するハニカムセラミツクブロツク１の表面に前記
酸化触媒を施こさず、金属板３をセラミツク母材
表面へ直接添設する場合を含む。

上記ハニカムセラミツクブロツク１と金属板３
の複合体から成る発熱体は有機揮発材（固形、液
体何れでも可）を収容した容器の上位に置かれ、
有機揮発材を下から揮発させ空気と共にセラミツ
クブロツク表面へ当るように供給する。

当然有機揮発材と上記複合発熱体とは適当な外
囲器内に組込まれ、同揮発材の遮断と供給を行な
う開閉手段によつて発熱の停開始が制御される。

第３図は一例として上記複合発熱体を用いた殺
虫器の構造を示している。

同殺虫器は図に示すように排気孔１７と吸気孔
１８とを有する外囲器７内に反応筒１２を備え、
該反応筒１２の下端開口部に位置して有機揮発材
１０を配置すると共に、前記反応筒１２の上端開
口部に位置して前記ハニカムセラミツクブロツク
１と固形殺虫剤加熱用の金属板３とから成る複合
体を配置し、さらに前記反応筒の適所に、当該反
応筒１２内へ外気を導入する吸気孔１５と、当該
反応筒内の気体を反応筒外へ排出する排気孔１６
とを具備させ、更に反応筒１２の下端開口部に配
置した有機揮発材と反応筒１２の上端開口部に配
置したセラミツク複合発熱体との間に、当該反応
筒１２内を上昇する反応気体を遮断する遮断機構
を設け、該遮断機構を例えば図示のように外囲器
７と外囲器７を載設した脚台８との相対回転にて
有機揮発材１０を収容したケース９，１１の上部
揮発孔１３，１４が開又は閉となるように構成
し、よつて有機揮発材１０の気化ガスを反応筒１
２内へ上昇させ吸気孔１５からの外気と混合して
反応筒１２内にあるセラミツクブロツク１へと流
通する。この結果、前記複合発熱体は直ちに発熱
が得られ、固形殺虫剤のマツト４のガス化、孔１
７を通じての外部への拡散がなされ害虫駆除目的
を達成するものである。

この場合反応筒１２内の気体を外部へ排出する
排気孔１６を、固形殺虫剤加熱用金属板の下面に
近接し且つ上記セラミツクブロツク１の通気孔２
と略対向して配置し、ハニカムセラミツクブロツ
ク１の下端より下位に配置した吸気孔１５を反応
筒１２外方へ突出させると良い。

本考案によつて提供される複合発熱体は上記の
如くマツト化された固形殺虫剤の加熱に適し、こ
れを安定に加熱しガス化される加熱源として極め
て好適に実用される。

無電源であるから、屋外使用、携行使用が可能
であり、これまでに屋内に限られていた加熱ガス
化方式の固形殺虫剤の屋外適用を可能にした。

更に本発熱体は前記複合構造とすることによつ
て小形部品化でき、携帯、屋外使用の条件である
害虫駆除器全体の小型化を達成し、発熱はマツチ
やライターの使用を要せず有機揮発材を揮発させ
接触の機会を与えるのみを以つて足り、簡便且つ
安全に使用できる。しかも非常に安価であり、ブ
タン等の廉価な反応材を適用でき極少量の有機揮
発材との反応にて所用の発熱温度に高めることが
でき、反応性も迅速で、実施例の如き複合構造と
することによつて熱効率よく発熱に至らせ、マツ
ト化された殺虫剤の加熱効率も良好なものとな
る。

本考案においてはハニカムセラミツクブロツク
１の通気孔２は左右側方へ開放されて反応気体の
貫流を自由に行なわせ、セラミツクブロツク自身
の反応発熱を促進しつつ、通気孔２貫流による熱
気生成をも盛んに行なわせる。又例えば有機揮発
剤の気体を上昇させながら上下方向に配した通気
孔を貫流させると貫流が過度に進み（貫流スピー
ド、貫流量の両面で）、未反応ガスを排出する恐
れがあり、空気や有機揮発剤の供給の調整が難し
い。又有機揮発剤の上昇気流方向とハニカムセラ
ミツクブロツクの外側壁及び通気孔内壁が平行に
なるので通流は促進されるものの、特に広面積で
外気との接触の機会が多いブロツク外側壁との接
触効率に欠ける問題を生ずる。

本考案においては有機揮発剤の気体が上昇しつ
つ上昇方向を遮るように配置されたハニカムセラ
ミツクブロツクの外側壁の下部表面に当り、更に
側部表面を巻くように流動して同ブロツク外側壁
との良好な接触、活性な反応を促すことができ、
加えて金属板の張り出し部に受け止めた反応ガス
を該張り出し部直下の通気孔の左右開口部から通
気孔内へと緩やかに導入し効率の良い反応を促
し、開口部から吐出された加熱気体を開口部上位
に張り出された上記金属板で受け、ブロツク外側
壁の発熱と通気孔から吐出された加熱気体の双方
を金属板で効果的に捕捉し固形殺虫剤の加熱を促
進することができる。

又殺虫剤の司持板たる金属板との複合化によつ
てセラミツクブロツク１の汚損を防止し、長期に
亘り安定な発熱を保障し、且つ金属板３を介して
の殺虫剤の加熱も安全に行なわせることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の複合発熱体の第１実施例を示
す斜面図、第２図は同第２実施例を示す複合発熱
体断面図、第３図は本考案に係る複合発熱体を実
用せる害虫駆除器を例示する断面図、第４図は本
考案に係る複合発熱体の第３実施例を示す側面図
である。 １……ハニカムセラミツクブロツク、２……通
気孔、３……金属板、４……固形殺虫剤のマツ
ト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 白金等の酸化触媒を担持させたハニカムセラ
   ミツクブロツクと金属板との複合体から成る固
   形殺虫剤の加熱用複合発熱体であつて、上記金
   属板を上記ハニカムセラミツクブロツクの通気
   孔が開口していない側面に添設し、上記ハニカ
   ムセラミツクブロツクの通気孔を上記金属板と
   並行し開口させ、上記金属板を上記通気孔が開
   口する側においてハニカムセラミツクブロツク
   との添設面より張り出させたことを特徴とする
   固形殺虫剤の加熱用複合発熱体。 (2) 上記金属板をハニカムセラミツクブロツクの
   通気孔が開口していない側面に密着して添設し
   たことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の固形殺虫剤の加熱用複合発熱体。 (3) 上記金属板をハニカムセラミツクブロツクの
   通気孔が開口していない側面に空隙を介し添設
   したことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の固形殺虫剤の加熱用複合発熱体。