JPS644819Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は空中投棄型切返し機に関するものであ
る。

上記の空中投棄型切返し機は、各種の農林廃材
と家畜の糞尿とを原料として腐植（土壌ヒユーマ
ス）を熟成するため、該腐植原料を空中に吹き上
げて、通気性の良い状態に堆積させる機械であ
る。

上記のように腐植原料を空中に吹き上げる手段
として、以前はハンドトラクタ形の専用機が用い
られていたが、本考案者は上記腐植の熟成方法、
並びにその用具類に関する開発研究に努めた結
果、第１図に示すように運転手を乗せて走行する
トラクタ２のアタツチメントとして装備し得る空
中投棄型切返し機１を考案するに至つた。第１図
の空中投棄型切返し機は、切返し機１の前面側に
水平な回転軸３を設け、上記回転軸３の向かつて
左半部には左ネジ形の掻取り用スクリユー４を、
向かつて右半部には右ネジ形の掻取り用スクリユ
ー５をそれぞれ固着してある。

６は第２図について後述する回転軸３の伝動手
段、７は第２図について後述するブロワ装置、８
は上記ブロワ装置に取付けられたシユートであ
る。この空中投棄型切返し機はトラクタ２に支承
されて矢印Ａ方向に移動しつつ作業する。

第２図は前記の切返し機本体部分の水平断面図
である。トラクタのP.T.O.によつて駆動される
入力軸９の回転はベベルギヤ１０，１１を介して
伝動手段６のスプロケツト１２に伝えられ、更に
チエン１３およびスプロケツト１４を介して回転
軸３、及びこれに固着された掻取り用スクリユー
４，５を矢印Ｂ方向に回転させる。１５はチエン
カバーである。

ブロワ装置７の筐体１６は前記の回転軸３の中
央付近後方に位置するごとく、切返し機本体１に
固着され、回転軸３に向かつて開口している。前
述した入力軸９の先端は上記のブロワ筐体１６内
まで突出し、ブロワインペラ１７が固着されてい
る。

以上のように構成された空中投棄型切返し機を
用いて腐植の原料を撹拌しつつ空中に噴き上げる
には、回転軸３及びインペラ１７を回転させなが
らトラクタ２を矢印Ａ方向に進行させ、掻取り用
スクリユー４，５を腐植原料の堆積に向けて押し
こんでゆく。

すると、掻取り用スクリユー４，５の作用によ
り腐植の原料は矢印Ｃ，C′のように中央部に掻き
寄せられ、矢印Ｄのようにブロワ装置７に吸いこ
まれ、矢印Ｅのようにシユート８から噴き上げら
れる。これにより腐植の原料は撹拌され、通気性
の良好な状態で再堆積されて熟成が促進されるの
である。上記のようにブロワ装置を用いた空中投
棄型切返し機においては、腐植原料の特性に起因
する次記の不具合がある。

即ち、腐植原料である農林廃材（例えば、わ
ら、おがくず、小木片、雑草）などが堆積してい
るとき、これを掻取り用スクリユー４，５で掻き
集め、ブロワ装置７に吸い込んでブロワインペラ
７で撹拌すると、これらの腐植原料は解きほぐさ
れて体積を増し、その上、腐植原料は植物繊維性
のものが多いので相互に絡み合い易い。このた
め、ブロワ装置の吹出口付近に詰まつてしまうこ
とが屡らある。こうした不具合は第１図に示した
トラクタ式の空中投棄型切返し機に限らず、ハン
ドトラクタ式の空中投棄型切返し機にも有り、掻
取り用スクリユー及びブロワ装置を備えた空中投
棄型切返し機全般における技術的問題点である。

上述の、ブロワ装置吹出口における腐植原料の
詰まりは、腐植原料の含水率の影響を受ける。即
ち、乾燥した腐植原料は詰まりにくく、湿潤した
腐植原料は詰まり易い。

一方、ブロワ装置の吹出口を小さくすると、該
ブロワ装置から吐出される空気の流速が大きくな
るので、腐植原料は風に乗つて遠くまで吹き飛ば
されるが、吹出口が小さいため腐植原料が詰まり
易い。上記と反対に吹出口を大きくすると、腐植
原料が詰まりにくくなるが、遠くまで飛ばなくな
る。

本考案は以上の事情に鑑みて為され、腐植原料
の含水率に応じて、乾燥している場合は詰まりの
虞れが少ないので遠くまで投棄し、湿潤している
場合は投棄距離を抑制して詰まりにくくするよ
う、腐植原料の吹出し速度と吹出し量とを調節
し、常に腐植原料の含水率に応じた最適条件で、
堆積した腐植原料を切返して空中投棄し得る吹出
速度調節装置を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するため、本考案の吹出口調
節装置は、腐植原料を掻き寄せるためのスクリユ
ーと、掻き寄せた腐植原料を吹き上げるためのブ
ロワ装置とを備えてなる空中投棄型切返し機にお
いて、上記ブロワ装置の吹出口の大きさを調節し
得る構造として、該ブロワ装置の吹出速度を任意
に加減し得るように、開度調節可能なドアを設け
たものである。

本考案において、ドアとは、開閉操作可能な板
状の部材を言う。

また、開度調節可能とは、単に開閉操作可能な
だけでなく、所望の開度を保持し得る構造である
ことを言う。

次に、本考案の１実施例について、第３図乃至
第７図を参照しつつ説明する。

第３図は、対比のために示した参考図で、第２
図に示した空中投棄型切返し機のブロワ装置７を
背面側（同図の上方）から見た１部破断図であ
る。１５はチエンカバー、１６はブロワ筐体、１
７はブロワインペラである。８はブロワ装置の吹
出口に接続されたシユートであり、腐植原料は矢
印Ｅのごとく吹き出される。

第４図は本考案の空中投棄型切返し機の１実施
例におけるブロワ装置７′を背面側から見た１部
破断図で、従来装置における第３図に対応する図
である。

本実施例においては、ブロワ装置７′の筐体１
６の吹出口付近に開口１６ａを設けると共に、こ
の開口１６ａを覆うドア２０をヒンジピン２０ａ
で回動自在に枢支する。仮想線で描いた２０ｂは
閉扉した状態を、実線で描いた２０ａは開扉した
状態を、それぞれ示している。

第５図は第４図に示した個所の外観図、第６図
は第５図の矢印Ｒ方向に見た側面図、第７図は第
５図の矢印Ｕ方向に見た平面図である。

ドア２０がヒンジピン２０ａの回りに開閉回動
する際に該ドア２０の両側の縁と摺触するよう、
１対の側板２１をブロワ装置７′に固着し、前記
のドア２０を開いたときシユート８をバイパスす
る側方吹出口Ｓが開口するように構成する。この
側方吹出口Ｓを開くと、腐植原料は矢Ｅ方向（第
４図参照）だけでなく、矢印Ｆ方向にも吹き出さ
れる。

第５図に示すように、前記の側板２１に円弧状
の溝孔２１ａを設け、この溝孔２１ａに挿通した
ハンドル２２をドア２０に取りつけて、該ドア２
０の手動開閉操作、及び開閉回動の係止ができる
よううに構成する。

本実施例のブロワ装置７′は以上のようにして
吹出口の大きさを調節できるように開度調節可能
なドア２０を設けてある。

本考案の応用範囲について考案するに、ブロワ
の吹出口の寸法を調節する手段は、本実施例のよ
うにドア２０を開閉する構造に限られるものでは
なく、例えばシユート８を大径、中径、小径とい
うように複数種類準備しておいて交換装着しても
よい。

以上のように構成した空中投棄型切返し機は、
腐植原料が乾燥しているときはブロワ装置７′の
ドア２０を閉じて吹出口を小さくして用い、腐植
原料が湿潤しているときは該ドア２０を開いて吹
出口を大きくして用いる。

ブロワ装置７′の吹出口を小さくすると、吐出
空気の流速が大きくなり、腐植原料は高速の気流
に乗せられてシユート８から高速で吹き出され、
遠方まで投棄される。腐植原料が乾燥していると
きはブロワの吹出口が詰まりにくいので、上記の
ようにして高速吹き上げを行なつて作業能率を上
げる。

ブロワ装置の吹出口を大きくすると、吐出空気
の流速が低下するので投棄距離は減少するが、吹
出口が大きいため腐植原料が詰まる虞れが無くな
る。従つて、切返し作業中に作業を中断して詰ま
つた腐植原料を取除く作業をする必要が無くな
り、総合的に能率が向上する。

以上詳述したように、本考案は、水平に設けた
回転軸の左半部と右半部とにそれぞれ送り方向を
中央部に向けた掻取用スクリユーを固着し、かつ
上記の回転軸の中央付近後方にブロワ装置を備え
てなる空中投棄型切返し機において、上記ブロワ
装置の吹出口付近の流路（腐植原料を含む空気の
流路）に開度調節可能なドアを設け、このドアを
開くと吹出速度が低下し、閉じると上昇するよう
に構成したことにより、常に腐植原料の含水率に
応じた最適条件で腐植原料の堆積を切返すことが
できるという優れた実用的効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はトラクタに搭載した空中投棄型切返し
機の斜視図、第２図は空中投棄型切返し機本体部
分の水平断面図、第３図は上記空中投棄型切返し
機のブロワ装置の背面図、第４図乃至第７図は本
考案の吹出速度調節装置を備えた空中投棄型切返
し機の１実施例を示し、第４図はそのブロワ装置
を部分的に破断して描いた背面図、第５図は同背
面外観図、第６図は第５図の矢印Ｒ方向に見た側
面図、第７図は第５図の矢印Ｕ方向に見た平面図
である。 １……切返し機本体、２……トラクタ、３……
回転軸、４，５……掻取り用スクリユー、６……
伝動手段、７，７′……ブロワ装置、８……シユ
ート、９……入力軸、１０，１１……ベベルギ
ヤ、１２，１４……スプロケツト、１３……チエ
ン、１６……ブロワ筐体、１６ａ……開口、１７
……ブロワインペラ、２０……ドア、２０ａ……
ヒンジピン、２１……側板、２１ａ……円弧状の
溝孔、２２……ハンドル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水平に設けた回転軸の左半部と右半部とにそれ
   ぞれ送り方向を中央部に向けた掻取用スクリユー
   を固着し、かつ上記の回転軸の中央付近後方にブ
   ロワ装置を備えてなる空中投棄型切返し機におい
   て、上記ブロワ装置の吹出口付近の流路に開度調
   節可能なドアを設けて、該ブロワ装置の吹出速度
   を調整し得る構造としたことを特徴とする空中投
   棄型切返し機の吹出口調節装置。