JPS644595B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はイオン交換膜法食塩電解装置、特に単
極式フイルタープレス型イオン交換膜法食塩電解
装置に係る。

〔従来の技術〕

イオン交換膜法食塩電解装置については従来
種々のものが提案されており電解槽の設置の容易
な単極式フイルタープレス型のものが多数提案さ
れている（例えば、特開昭53―108899号公報、同
第54―152677号公報、同第56―142880号公報、同
第57―16185号公報）。

単極式フイルタープレス型食塩電解装置では、
一般的に、メツシユ型の他、多孔板型やロツド型
の電解用電極を額縁状枠中央開口部に取り付けた
電極部を額縁状ガスケツトを介して２つ重ね合せ
て電極体とし、該電極構造を持つ陽極体と陰極体
がイオン交換膜を介在して繰り返して配置されて
いる。こうして、繰り返して存在する陽極と陰極
の間において、イオン交換膜を介して電解が行な
われる。各電極体は２つの同極の電極の間に電極
室が形成され、この電極室へ塩水（陽極室）およ
び希薄苛性ソーダ（陰極室）が供給されると共
に、生成する苛性ソーダ、水素（陰極）および塩
素（陽極）がこの電極室から取り出される。この
供給と取り出しを行なうために、電極部およびガ
スケツトを構成する額縁状枠には、上部辺に陰極
気液抜取用同通孔および陽極気液抜取用同通孔、
下辺部に希薄苛性ソーダ供給用同通孔および塩水
供給用同通孔が設けられ、陽極体を構成する額縁
状ガスケツトは中央開口部（陽極室）と陽極気液
抜取用同通孔および塩水供給用同通孔とをそれぞ
れ結ぶ連通孔を有し、陰極体を構成する額縁状ガ
スケツトは中央開口部（陰極室）と陰極気液抜取
用同通孔および希薄苛性ソーダ供給用同通孔とを
結ぶ連通孔を有している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記の如き構造を有する単極式フイルタープレ
ス型食塩電解装置では、一般に、陰極は水素ガス
の生成反応を起こし易くするために鉄系やニツケ
ル系の材料で構成され、また、陽極は塩素ガスが
発生したり、僅かに酸性であるので、これらに耐
性のあるチタン系の材料で構成されている。とこ
ろが、額縁状枠の上部辺を走る陽極抜取用気液同
通孔および陰極気液同通孔は陽極体、陰極体およ
びガスケツトを共通に通るために、陽極抜取用気
液同通孔中を流れる塩素ガス、塩水、水素イオン
等が陰極部を侵食する一方、陰極抜取用気液同通
孔中を流れる苛性ソーダ、水素ガス等が陽極部を
侵食して電極部の寿命を短かくするという問題が
ある。

また、陽極部から陰極部にこの同通孔を通つて
電流がリークし、陽極部で発生した酸素ガスが水
素ガス中に混入したり、陰極部で発生した水素ガ
スが塩素ガス中に混入することにより爆鳴気を形
成する恐れがあり大変危険である。

一方、額縁状枠の下部辺の同通孔に於ても同様
な問題がある。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、上記の如き問題点を解決するために、
本発明では、陰極体を構成する額縁状枠に形成さ
れた陽極気液抜取用同通孔及び塩水供給用同通孔
の内壁面、および陽極体を構成する額縁状枠に形
成された陰極気液抜取用同通孔及び希薄苛性ソー
ダ供給用同通孔の内壁面を、電極部に隣接するい
ずれかのガスケツトの対応する同通孔周辺にスリ
ーブ状延長部を設けることによつてそれらの内壁
面を被覆し、電極材料を保護する。

ガスケツトは一般に陽極気液および陰極気液の
両方ならびに供給液に対して耐性のある材料によ
つて構成されているので、電極体の侵食され易い
部分をガスケツトで覆うことによつて電極体のそ
の部分は保護される。なお、このとき、各電極体
の同通孔の内壁面を覆うガスケツトのスリーブ状
延長部は、電極部のどちら側に隣接するガスケツ
トに存在してもよい。

〔実施例〕

以下に図面を参照して本発明の実施例について
説明する。第１図は、本発明の実施例の単極式フ
イルタープレス型食塩電解装置の断面図であり、
額縁状枠の主要面に対して垂直な面で切つた断面
図である。同図において、陰極部１―ガスケツト
２―陰極部３―ガスケツト４―イオン交換膜５―
ガスケツト６―陽極部７―ガスケツト８―陽極部
９―ガスケツト１０―イオン交換膜１１―ガスケ
ツト１２が繰り返して配置され、フイルタープレ
ス型に締め付けて固定されている。第２図ア〜オ
は、それぞれ、陰極部１または３、ガスケツト
２、ガスケツト４，６，１０または１２、陽極部
７または９、ガスケツト８の斜視図である。第３
図は第１図の線分―で切つて下方を見たガス
ケツト２―陰極部３―ガスケツト４―イオン交換
膜５―ガスケツト６―陽極部７―ガスケツト８の
分解した状態における端面図である。

第２図に見られる如く、陰極部１，３、陽極部
７，９およびガスケツト２，４，６，８，１０，
１２はいずれも額縁状枠部を有し、それらの上部
辺および下部辺にはそれぞれ２つづつ孔が対応し
て設けられており、これらの部材をフイルタープ
レス式に締め付けたとき、上部辺に陽極気液抜取
用同通孔２１および陰極気液抜取用同通孔２２、
下部辺に希薄苛性ソーダ供給用同通孔２３および
塩水供給用同通孔２４が形成されるようになつて
いる。

陰極部１，３は額縁状枠中央開口部にメツシユ
型電解用電極１ｍ，３ｍを有している。陰極部
１，３は、特に限定するわけではないが、一般
に、鉄からなり、必要に応じて、ニツケルあるい
はニツケル―コバルトでメツキして使用される。

同様にして、陽極部７，９は額縁状枠中央開口
部にメツシユ型電解用電極７ｍ，９ｍを有してい
る。陽極部７，９は、特に限定するわけではない
が、一般に、チタンからなり、必要に応じて、酸
化ルテニウム、あるいは酸化イリジウムと酸化ル
テニウム、あるいは白金と酸化イリジウムと酸化
ルテニウムによるコーテイングを設けたものが使
用される。

イオン交換膜５，１１は陽極と陰極の間にあつ
てナトリウムイオンを選択的に透過させるために
用いられるが、その形状はそれぞれガスケツト４
と６の間およびガスケツト１０と１２の間に挾持
されて中央開口部を覆うようなものであればよ
く、典型的には、第２図ウに二点鎖線で示した形
状を有する矩形フイルム状であることができる。
イオン交換膜の材質は従来慣用のものでよい。

陰極体を構成するガスケツト２には、中央開口
部と上部辺の陰極気液抜取用同通孔２２および下
部辺の希薄苛性ソーダ供給用同通孔２３とをそれ
ぞれ結ぶ連通孔２５，２６を有している。

一方、陽極体を構成するガスケツト８には中央
開口部と上部辺の陽極気液抜取用同通孔２１およ
び下部辺の塩水供給用同通孔２４とをそれぞれ結
ぶ連通孔２７，２８を有している。

ガスケツト２，４，６，８，１０，１２の材料
は陽極気液および陰極気液の両方ならびに希薄苛
性ソーダおよび塩水に対して耐性のあるいくらか
弾性のあるものであればよく、例えば、EPDM
とか２弗化ビニリデン重合体を用いることができ
る。

本発明によれば、第２図ア，イに示す如く、陰
極部１，３に形成する陽極気液抜取用同通孔２１
ａ及び塩水供給用同通孔２４ａは他の孔２２，２
３よりひとまわり大きく、かつガスケツト２は陽
極気液抜取用同通孔及び塩水供給用同通孔の部分
にスリーブ状延長部２ａ，２a′および２ｂ，２
b′（２a′，２b′は第２図イでは見えないが、ガス
ケツト２の裏側にそれぞれ２ａ，２ｂと対称的に
存在する。第１図および第３図参照されたい。）
を有し、これらがフイルタープレス式に締め付け
られた場合、ガスケツトのスリーブ状延長部２
ａ，２a′，２ｂ，２b′が陰極部１，３の陽極気液
抜取用同通孔２１ａ，２１ｂ及び塩水供給用同通
孔２４ａ，２４ｂに挿入されて陰極材料を完全に
覆うことができるようになつている。また、これ
と同様にして、ガスケツト８の陰極気液抜取用同
通孔２２及び希薄苛性ソーダ供給用同通孔２３の
部分に設けられたスリーブ状延長部８ａ，８a′お
よび８ｂ，８b′（８a′，８b′は第２図エには図示
されていないが第３図に見られるようにガスケツ
ト８にそれぞれ８a′，８b′と対称的に存在する。）
が、陽極部７，９に他の孔２１，２４よりひとま
わり大きく設けられた陰極気液抜取用同通孔２２
ａ及び希薄苛性ソーダ供給用同通孔２３ａに挿入
されて陽極材料を完全に覆うことができるように
なつている。

こうして、このような陰極部１，３、ガスケツ
ト２、陽極部７，９およびガスケツト８を用い、
ガスケツト４，６，１０，１２およびイオン交換
膜５，１１と共に第１図（あるいは第３図）に示
す如くフイルタープレス式に締め付けた場合、陽
極気液抜取用同通孔２１及び塩水供給用同通孔２
４の内壁面は陽極部７，９とガスケツト２，４，
６，８，１０，１２（スリーブ状延長部２ａ，２
a′，２ｂ，２b′を含む）だけによつて形成され、
また陰極気液抜取用同通孔２２及び希薄苛性ソー
ダ供給用同通孔２３の内壁面は陰極部１，３とガ
スケツト２，４，６，８，１０，１２（スリーブ
状延長部８ａ，８a′，８ｂ，８b′を含む）だけに
よつて形成される。従つて、本発明によれば、陰
極材料が陽極気液（塩素ガス、水素イオン等）及
び塩水と接触したり、陽極材料が陰極気液（苛性
ソーダ、水素ガス等）及び希薄苛性ソーダ水溶液
と接触することが防止でき、電極部の寿命が向上
する。

なお、以上に説明した実施例では、ガスケツト
のスリーブ状延長部を陰極部１，３の間および陽
極部７，９の間に存在するガスケツト２および８
にそれぞれ設けて使用したが、本発明はこの態様
に限定されるものではない。すなわち、例えば、
陰極部１の孔２１ａ，２４ａを覆うスリーブ状延
長部は、陰極部１に隣接するガスケツト２または
１２のいずれに設けてもよいし、さらにはガスケ
ツト２および１２の両方に設けて２つ合せて孔２
１ａ，２４ａを覆うようにしてもよい。同様にし
て、陰極部３の孔２１ａ，２４ａ、陽極部７の孔
２２ａ，２３ａ、陽極部９の孔２２ａ，２３ａ
は、それぞれ独立に、それらと隣接するガスケツ
トのどれかにスリーブ状延長部を設けて覆うよう
にしてもよい。

また、以上の例では、電極材料の腐食が激しい
部分だけをガスケツトのスリーブ状延長部で覆つ
て保護したが、同通孔２１〜２４において電極材
料が孔２１〜２４に露出する部分はその他の部分
においても一部あるいは全部をガスケツトのスリ
ーブ状延長部で覆つて保護することは任意であ
り、必要に応じて採用される。

〔発明の効果〕

本発明によれば、単極式フイルタープレス型イ
オン交換膜電解装置において、陰極材料が陽極気
液及び塩水とあるいは陽極材料が陰極気液及び希
薄苛性ソーダ水溶液と接触することを簡易に防止
でき、電極の交換寿命を延長することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例の食塩電解装置の長手
方向断面図、第２図ア〜イは第１図の装置の主要
部材の斜視図、第３図は第１図の線分―で切
つて下方を見た主要部品の分解端面図である。 １，３…陰極部、２，４，６，８，１０，１２
…ガスケツト、７，９…陽極部、５，１１…イオ
ン交換膜、２１…陽極気液抜取用同通孔、２２…
陰極気液抜取用同通孔、２３…希薄苛性ソーダ供
給用同通孔、２４…塩水供給用同通孔、２ａ，２
a′，２ｂ，２b′，８ａ，８a′，８ｂ，８b′…ガス
ケツトのスリーブ状延長部、２１ａ…陰極部の陽
極気液抜取用同通孔、２２ａ…陽極部の陰極気液
抜取用同通孔、２３ａ…陽極部の希薄苛性ソーダ
供給用同通孔、２４ａ…陰極部の塩水供給用同通
孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 電解用電極を額縁状枠中央開口部に取り付け
   た電極部を電極部の額縁状枠に対応する形状の額
   縁状ガスケツトを介して２つ重ね合わせて電極体
   とし、該電極体構造を持つ陽極体および陰極体を
   額縁状枠中央開口部を覆うイオン交換膜を介在し
   て繰り返して配置し、各電極体とイオン交換膜の
   間にも電極部の額縁状枠に対応する形状の額縁状
   ガスケツトを配置し、上記電極部および上記ガス
   ケツトは夫々その額縁状枠の上部辺に陰極気液抜
   取用同通孔および陽極気液抜取用同通孔、下部辺
   に希薄苛性ソーダ供給用同通孔および塩水供給用
   同通孔を有し、陽極体を構成する額縁状ガスケツ
   トは中央開口部と陽極気液抜取用同通孔および塩
   水供給用同通孔とを結ぶ連通孔を有し、陰極体を
   構成する額縁状ガスケツトは中央開口部と陰極気
   液抜取用同通孔および希薄苛性ソーダ供給用同通
   孔とを結ぶ連通孔を有する単極式フイルタープレ
   ス型イオン交換膜法食塩電解装置において、 陽極体を構成する各電極部の額縁状枠に形成さ
   れた陰極気液抜取用同通孔および希薄苛性ソーダ
   供給用同通孔の内壁面が該陽極体を構成する各電
   極部に直接隣接する少なくとも一方の額縁状ガス
   ケツトに設けたスリーブ状延長部によつてそれぞ
   れ覆われて保護され、そして陰極体を構成する各
   電極部の額縁状枠に形成された陽極気液抜取用同
   通孔および塩水供給用同通孔の内壁面が該陰極体
   を構成する各電極部に直接隣接する少なくとも一
   方の額状ガスケツトに設けたスリーブ状延長部に
   よつて覆われて保護されていることを特徴とする
   イオン交換膜法食塩電解装置。