JPS643566B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はロールシフト方式圧延機に関するも
のである。

平担な圧延板を有利に得るためにロールシフト
方式圧延機が最近開発された。

たとえば第１図に示すようなワークロール１，
２にそれぞれ直接接触するバツクアツプロールあ
るいはこれらの間に介装される中間ロールと呼ば
れるロール（図に記号Ｒ，R′で示した）を、圧
延ラインの中心に関する点対称配置において、そ
れぞれ図の左右に横移動（シフト）できるように
保持し、圧延材Ｓの形状制御のため、圧延材Ｓの
側縁とロールＲ，R′の端面との距離δが図示の
如く正の状態であるとき有利に平担な板が得ら
れ、それに反してδが負の状態、つまり圧延材Ｓ
とロールＲ，R′が完全に重なると耳伸び傾向と
なることの知見に従つて圧延材の板幅に応じロー
ルＲ，R′をシフトさせるものである。

上記の圧延挙動を利用する圧延機のうちすでに
稼動しているものもあるがそれは一般にロール
Ｒ，R′を中間ロールとした６段圧延機であり、
一方中間ロールを省略してロールＲ，R′として
バツアツプロールを充当する圧延機についても第
２図に示すような例が報告され、この場合バツグ
アツプロール１１，１２はそれらのチヨツク１１
ｃ，１１c′，１２ｃ，１２c′を介して可動ビーム
１１ｂ，１２ｂ上に枢架されて固定ビーム１１
Ｂ，１２Ｂによる案内の下に液圧シリンダ１１
ｄ，１２ｄでスライドさせ、バツグアツプロール
１１，１２のシフトを行うものである。

なお図中３，４はワークロール１，２の駆動ス
ピンドル、５はピニオンスタンド、６は減速機の
出力軸に継がるカツプリングであり、また１５は
ハウジングで′記号により左右を、添字でトツプ
とボトムを区別して示し、また１６，１６′は圧
下スクリウである。

しかるに前者はロールが６個垂直に並ぶため当
然ながらハウジング１５におけるウインドウの高
さは高くなる欠点が著しい。

また後者はバツグアツプロール１１，１２のロ
ールチヨツク１１ｃ，１１c′，１２ｃ，１２c′間
の中点が圧延機ハウジング１５の中心からひどく
ずれた状態でも使用されることになるため、可動
ビーム１１ｂ，１２ｂおよび固定ビーム１１Ｂ，
１２Ｂには偏つた圧延荷重がかかり、それらの強
度、剛性の必要を満たすために厚肉巨大化するの
で結局ハウジング１５のウインドウ高さはやはり
高くなり、６段圧延機と同等かそれ以上ともなる
欠点を避け得ないだけでなくバツグアツプロール
１１，１２が第２図に示す位置に横移動した状態
でワークロール１，２から圧延反力を受けると、
チヨツク１１ｃ，１２c′の方には大きな力がかか
り、チヨツク１１c′，１２ｃには小さな力がかか
つていわゆる不均等荷重状態となり、チヨツク１
１ｃ，１２c′の負荷能力の制限から、トータル圧
延力は、横移動をしない場合と比べてはるかに小
さくなつてしまう。

そこでロールチヨツクはハウジングのウインド
ウに保持したまま、補強ロールについてのみ、ロ
ールチヨツクに対し、ロールの軸方向に横移動さ
せることも一部試みられたが、この場合に、ロー
ルをその必要な横移動位置でそれに働く推力を確
実に支持することができるように、横移動させる
駆動機構が必要になるわけである。

またこの場合に、ロールの横移動によつてロー
ルチヨツクからはみ出すロールジヤーナル部を圧
延環境からいかに保護するかについても問題とな
る。

この発明はかような点についてとくに有利な解
決を図り、実用に適合することができるロールシ
フト方式圧延機を提案するものである。

この発明は上下方向のみに移動可能なロールチ
ヨツクに軸受けされるロールを、被圧延材の板幅
に応じてロール軸方向に横移動可能とした圧延機
であつて、ロールのジヤーナル部の外側で該ロー
ルに働く推力を受けるスラスト軸受けの抱持固定
を司る筒状軸受箱の外周にねじを設け、ロールの
ジヤーナル部を包囲してロールチヨツクの外側に
取付けた延長胴殻の内周にめねじを切つて筒状軸
受箱をねじばめし、この筒状軸受箱には、延長胴
殻の端部に取付けた歯車箱内に仕組んだ駆動ウオ
ームとかみ合うウオーム歯車をすべりキーにより
伝動連繋して成るロールシフト方式圧延機であ
る。

このロールシフトに供するロールは、ワークロ
ールであつてもよいが、圧延トルクの伝達軸系に
伸縮継手を組込む煩雑化を伴うので、通常はバツ
クアツプロールに適用することが推奨される。

かようなロールの軸受けに供するロールチヨツ
クは、モーゴイルベアリングで代表される油膜式
プレーン軸受を好適とするが、ローラーベアリン
グその他の転り軸受も、もちろん使用可能であ
る。

そしてそれら軸受に供給される潤滑剤の封止の
ため、一般にロールのジヤーナル部のつけ根のま
わりに適用されるシール手段を、ベローズないし
は多重抜差し円筒などの伸縮外套による伸縮シー
ルとして、軸受け支持から残されるジヤーナル部
の隠蔽防護に兼ねさせることも実際上は必要であ
る。

この発明の実施例を第３図で基本理念を示し、
第４図に圧延機側面をさらに第５図でロールのジ
ヤーナル部におけるロールチヨツクの断面を、そ
れぞれあらわした。まず第３図において上下に対
をなすバツクアツプロール１１，１２のジヤーナ
ル部１１ｊ，１１j′，１２ｊ，１２j′はこれらの
バツクアツプロールがロールチヨツク１１ｃ，１
１c′，１２ｃ，１２c′に対してシフトする横移動
代すなわちそのストロークだけ通常のジヤーナル
部よりも長くするを可とし、そのストロークの如
何によつてはその必要はないが、各ジヤーナル部
１１ｊ，１１j′，１２ｊ，１２j′の軸受を内蔵し
たチヨツク１１ｃ，１１c′，１２ｃ，１２c′はハ
ウジングトツプ１５ｔ，１５t′に対し昇降のみ可
動に保持し、圧下スクリウ１６，１６′に連繋さ
せる。この例で上、下両バツクアツプロールの双
方を互いに反対向きにシフトさせる場合を図解し
たが、圧延板Ｓの板幅中心を圧延ラインの中心に
正しく合致させる必要度がうすい設備にあつて
は、上下のロール対のうち一方についてのみロー
ルシフト操作を加えてもよく、何れにしてもバツ
クアツプロール１１，１２のロールシフト操作は
上、下対につき同一の仕組みが適用され得るので
以下に上バツクアツプロール１１のロールシフト
につき主として説明を進める。

さて第３図、第４図に番号２１，２２でロール
シフト操作に供する駆動手段を全体的に示し、と
もに一対の自在継手２１ｕ，２１u′で連結したつ
なぎ軸２１ｓを操作軸として、ハウジング１５の
側面（オペレーシヨン側）に取付けた電動機２１
ｄにより、第５図に示したウオーム軸２１ｅに伝
動してロールシフトを行うものとする。

第５図には、バツクアツプロール１１につき、
この例でテーパつきの場合を示したジヤーナル部
１１ｊを支持するモーゴイルタイプ油膜軸受を代
表例として、そのロールチヨツク１１ｃによるロ
ール支持を行う場合におけるこの発明のロールシ
フト操作要領を図解した。

因みに第４図、第５図から明らかなように自在
継手２１ｕを切離すことによつて在来通りのロー
ル交換を行うことができるのはもちろんである。

第５図においてバツクアツプロール１１は、そ
の胴部に隣接して先細テーパー状の軸頚１１ｔを
有し、そのテーパーに適合するテーパー孔をもつ
スリーブ２３をかぶせてキー２４により固定し、
スリーブ２３の外周をもつてロールのジヤーナル
部１１ｊとして、ロールチヨツク１１ｃに固定さ
れたブツシング２５の内面との間に潤滑膜を介し
回転可能な、いわゆる油膜軸受で支持する。また
軸頚１１ｔの外側に隣接する軸端１１ｅには、ス
リーブ２３の外端との間に推力環２６を挾んで、
普通にはテーパーローラベアリングが多く用いら
れる推力軸受２７の内輪２８が内ねじ筒２９で抑
止固定され、かつこの推力軸受２７の外輪３０は
通常、予圧ばね３１とともに軸受ホルダ３２およ
び抑止環３２′で抱持され、従来この軸受ホルダ
３２をロールチヨツク１１ｃに固定してロールの
軸方向に働く横力を支持する推力受けとされてい
たのであるが、この発明の好ましい実施態様で
は、この軸受ホルダ３２のその外周との間にすき
間をおいてゆるく納めスラスト軸受２７のラジア
ル方向の拘束を除いてその保持固定を司る筒状軸
受箱３３をロールシフトのための推進駆動に利用
すべく、その外周、図示例では輪状の張出し鍔の
周囲にねじを設ける一方、ロールチヨツク１１ｃ
にそのブツシユ２５と同心にスリーブ２３を取囲
む配置で取付けた延長胴殻３４の内周にめねじを
切り、図に番号３５で示したねじばめ係合をもつ
て、ロールシフトのストロークに応じる進退可動
とする。従つてこの筒状軸受箱３３のねじ込みま
たはねじ戻し回転により、バツクアツプロール１
１の進退移動つまりロールシフトが強制され得
る。図中３６は、筒状軸受箱３３の内部で軸受ホ
ルダ３２を抱持固定するための止め輪、３７はそ
の止めねじ、そして３８は受け鍔である。

筒状軸受箱３３は、その外周上にすべりキー３
９により相対的な摺動を可能にはめ合わせたウオ
ーム歯車４０のボスを、延長胴殻３４の外端に取
付けた歯車箱４１により軸受けし、かつウオーム
歯車４０にかみ合うウオーム４２と一体のウオー
ム軸２１ｅも歯車箱４１に軸受けするのである。
図中４１′は歯車箱の蓋である。

このようにして第４図に示した電動機２１ｄを
駆動することにより、ウオーム４２とウオーム歯
車４１とのかみ合いを介した筒状軸受箱３３の回
転で、ねじ係合３５による筒状軸受箱３３、ひい
てはバツクアツプロール１１の進退つまりロール
シフトを行うことができる。

第５図においてはバツクアツプロール１１のジ
ヤーナル部１１ｊがロールシフトのストローク極
端位置に退去したありさまを示したがこの位置か
ら該ストロークの反対端位置に向けて推進される
ときジヤーナル部１１ｊが、圧延作業環境内に進
出するため、圧延油飛沫や、ミルスケールの飛散
などによる表面損傷を生じるうれいがあるのでそ
れらに対する防護ならびに、循環給油のための加
圧下の潤滑油を密閉領域に閉じ込めて外部への漏
洩を防止する手段としてこの例では、油膜軸受に
おける封止の仕組みを、次のように伸縮シールと
して活用する。

すなわち第５図において４３はロールネツクシ
ールであり、４４はラビリンスリングであつて、
その円周上数個所においてロールチヨツク１１ｃ
に対し抜差し可動のガイドロツド４５により支持
したとえばコイルばね４６（またはエヤーシリン
ダでもよい）を介して常にロールネツク４７に向
けて押し付ける一方、ロールチヨツク１１ｃとラ
ビリンスリング４４とにそれぞれフランジ４８，
４９で取付けたベローズ５０によつてジヤーナル
部１１ｊの外周を取囲み、その内部に充満させた
潤滑油の外部への漏洩の防止に兼ねて外部環境か
らジヤーナル部１１ｊを防護する。従つてこのジ
ヤーナル部１１ｊに供給した潤滑剤は、その回転
すべりの減摩作用に加え、ロールシフトのための
軸方向すべり抵抗を有利に軽減する。

第５図にはバツクアツプロール１１の右側シフ
ト限の位置を示したが、種々なロールシフト位置
の指示セルシンおよび左右のシフト限のリミツト
スイツチをウオーム軸２１ｅ上に設けて操作の便
に供するが図示は省略してある。

ロールチヨツクとロールネツク間の防護にはベ
ローズを用いる例を示したが竹の子ばね円筒や、
同心多重の抜差し円筒なども伸縮外套として用い
ることができる。

以上説明したようにこの発明はロールチヨツク
をハウジングに対し固定関係のままでロールシフ
トを行うのでそのストロークの大小にかかわら
ず、常に軸受荷重はロールの左右で一定となり軸
受能力一杯の圧延作業を行うことができるのであ
り、とくに６段圧延機の中間ロールとしての適用
を不可欠としないのでロールの原単位を増す不利
はなく、またロールチヨツクをハウジングに保持
固定したままロールのみを独立に横移動させるの
でロールシフトの操作機構は簡単であつて、従来
の４段圧延機についても大巾な改造を要せず容易
にロールシフト方式への適用に供することができ
る。

またこの発明のワークロールへの適用はバツク
アツプロールを用いない２段圧延機にも及ぶこと
明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図はロールシフト圧延要領説明図、第２図
は従来のバツクアツプロールシフト圧延機の正面
図、第３図はこの発明の実施例を４段圧延機につ
いて示す正面図、第４図は同じく側面図、第５図
はロールのジヤーナル部の断面図である。 １，２……ワークロール、１ｃ，１c′，２ｃ，
２c′……ワークロールチヨツク、１１，１２……
バツクアツプロール、１１ｃ，１１c′，１２ｃ，
１２c′……バツクアツプロールチヨツク、１５…
…ハウジング、３３……筒状軸受箱、３４……延
長胴殻、３９……すべりキー、４０……ウオーム
歯車、４１……歯車箱、４２……駆動ウオーム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下方向のみに移動可能なロールチヨツクに
   軸受けされるロールを、被圧延材の板幅に応じて
   ロール軸方向に横移動可能とした圧延機であつ
   て、ロールのジヤーナル部の外側で該ロールに働
   く推力を受けるスラスト軸受けの抱持固定を司る
   筒状軸受箱の外周にねじを設け、ロールのジヤー
   ナル部を包囲してロールチヨツクの外側に取付け
   た延長胴殻の内周にめねじを切つて筒状軸受箱を
   ねじばめし、この筒状軸受箱には、延長胴殻の端
   部に取付けた歯車箱内に仕組んだ駆動ウオームと
   かみ合うウオーム歯車をすべりキーにより伝動連
   繋して成るロールシフト方式圧延機。 ２ 前記ロールが油膜式プレーン軸受を介してロ
   ールチヨツクに軸受けされる特許請求の範囲第１
   項記載の圧延機。 ３ 前記ロールが転がり軸受を介してロールチヨ
   ツクに軸受される特許請求の範囲第１項記載の圧
   延機。 ４ ロールチヨツクがロール胴のジヤーナル部つ
   け根のまわりを封止する伸縮シールを有するもの
   である特許請求の範囲１、２または３項記載の圧
   延機。