JPS643306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は真空播種機の種子吸着装置の改良に関
する。

〔従来の技術〕

真空播種機は吸着装置で種子箱内の種子を吸着
して取出し、その取出した種子を排出口から落下
して点播する。その吸着装置は中空円筒回転体か
らなり、内部には負圧がかけられ、表面には種子
を吸着する種子板が形成される。

従来の種子板は、特公昭56−52522号に開示さ
れるように、中空円筒体の平坦な端面に形成され
ていた。種子は種子板の吸着孔に吸着され、その
吸着孔が排出口の上にきたときに、シヤツタが吸
着孔を内側から閉じて種子の吸着孔の吸着作用を
停止させ、種子を種子板から外す。種子は種子板
の面に沿つて落下するため、種子板との接触状態
によつて落下位置が変わる。種子落下時の種子板
との接触状態は一定にはならないから、所定の位
置に種子を正確に落下させることができず、播種
状態が不揃いになりやすいという問題があつた。
播種状態が不揃いになると、発芽がばらばらにな
り、その後の管理作業、例えば株間徐草がやりに
くくなる上に、施肥位置とのずれが生じ、肥料の
ま上に播種されると肥料焼けを起こし、肥料から
離れすぎると初期育成に必要な養分が吸収できず
に成育が不良になる。

このため、中空回転円筒体の周面を種子板とし
て形成することが試みられている。この場合、吸
着孔が閉ざされると、種子は種子板から直ちに分
離して落下し、落下時に種子板と接触することは
ないので、所定の位置に種子を落下させることが
できる。しかし、種子板に吸着された種子が他の
種子をすくい上げたとき、種子板が円筒体の端面
であれば、途中から種子箱に落下するが、種子板
が周面の場合はすくい上げられた種子も吸着され
た種子と共に排出口へ送られてしまう。特に、複
数点播の場合は、吸着された複数の種子が必ず別
の種子をすくい上げるから、種子の歩留りが悪化
するという問題が生ずる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記問題を解決するためになされたも
のであり、その目的は所望の位置に正確に播種す
ることが可能であると共に吸着された種子により
すくい上げられた種子が必ず種子箱に戻る真空播
種機の吸着装置を提供することにある。

〔問題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため本考案の吸着装置は中
空円筒回転筒体の端面に形成された円錐台状の種
子板を備え、吸着孔はその種子板の円錐状面に穿
設される。その種子板は排出口上において水平面
すなわち地表に対して適度の傾斜を有する。

〔作用〕

内部が負圧の中空円筒回転体が種子箱に接して
回転すると、種子板の吸着孔に種子が吸着され
る。吸着された種子は種子板の回転により一度最
高位置に上がりついで下がりながら種子板の枠か
ら外に出て排出口上に達する。そこで、吸着孔は
内側からシヤツタで閉じられ、吸着作用を停止す
る。種子は吸着孔を離れ自重で排出口から地表に
落下する。

吸着孔に吸着された種子の他の種子をすくい上
げることがある。特に、複数点播用の種子板は吸
着孔が隣接するので、別の種子が複数の吸着され
た種子にはさまれてすくい上げられることが多
い。このすくい上げられた種子は最高位置を越え
るとすくい上げ方向が逆になるから、すくい上げ
た種子から開放されて自重で落下するが、種子板
は中空回転体の端面側であるため、落下位置は種
子箱の枠内にあり、再び種子箱に戻る。

吸着された種子が排出口において吸着孔から離
れて落下するとき、吸着孔のある種子板は下向き
の斜面であるから、種子が落下時に種子板と接触
することはない。したがつて、種子の落下位置は
吸着孔の閉鎖位置により定まる。

〔考案の効果〕

上記の通り、本考案の装置は種子板が中空円筒
体の端面にあるから、吸着孔に吸着された種子が
他の種子をすくい上げても、そのすくい上げられ
た種子は必ず種子箱に戻り、従来の種子板を中空
円筒体の周面に設けたものとは異なり、種子の歩
留りが悪化するおそれはない。又、種子板は円錐
状周面であり、吸着孔から離れて落下する種子に
対して下向きの斜面となるから、中空回転体の平
坦な面に設けられたものとは異なり、種子は落下
方向に種子板により乱されることなく所定の位置
に点播される。したがつて、高精度の播種作業を
能率よく行うことができる。

〔実施例〕

本考案の装置を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

第１図に示すように、真空播種機は機枠（図示
せず）に支持されて負圧源（図示せず）に接続さ
れた中空軸１０と、その中空軸にベアリング１１
を介して回転自在に軸受けされた椀状体１２と、
その椀状体に固定された被動輪１３と、椀状体１
２にねじばめされた逆向きの椀状体１４を備え
る。二つの椀状体１２，１４は合体して中空円筒
体１５を形成する。その中空円筒体１５の端面側
に種子箱１６が設けられ、その種子箱の下側に排
出口１７が一体に設けられる。中空円筒体１５の
端面は円錐台状に形成され、その円錐状面は種子
板２０となり、その種子板に吸着孔２１があけら
れる。中空軸１０にロールシヤツタ１８が付設さ
れ、そのロールシヤツタは最下位置の吸着孔を内
側から閉そくする。

第２図に示すように、種子板１６とホツパー１
９と排出口１７は一体であり、種子箱の枠は中空
円筒１５の端面を時計的に見て11時から４時まで
の間が内側に５時から10時までの間が外側になる
ようにＬ型に区切る。円錐面状の種子板２０の同
一母線上に二個の種子吸着孔２１があけられ、各
種子吸着孔２１は全体として環状に二列に並ぶ。

次に、本考案の装置の種子点播について説明す
る。被動輪１３にベルト又はチエーンをかけて中
空円筒体１５を回転させ、同時に中空円筒体の内
部に負圧をかける。吸引作用により吸着孔２１は
種子箱１６の中の種子を吸着する。中空円筒体１
５の回転に伴ない、吸着された種子は吸着孔２１
と共に上昇する。同一母線上の二個の種子吸着孔
２１は隣接しているため、別の種子を間にはさん
ですくい上げることが多いが、このすくい上げら
れた種子も共に上昇する。しかし、その位置が最
高位置をこえると、すくい上げの向きが変るた
め、鎖線矢印で示すようにすくい上げられた種子
は自重で上向き斜面の種子板２０に沿つて落下し
再び種子箱１６内に戻すから、すくい上げられた
種子が排出口まで持つていかれ、むだに播種され
ることはない。

このように、すくい上げられた種子は種子箱１
６に戻り、吸着された種子だけが吸着孔２１と共
に回転して最下位置の排出口１７に至ると、第１
図に示したロールシヤツタ１８が吸着孔２１を内
側からふさぐから、吸着孔は吸引力を失い種子を
開放する。開放された種子は吸着孔２１から離れ
て排出口１７から地表へ落下するが、このとき吸
着孔２１が設けられた種子板２０は下向きの斜面
になるから、落下時に種子と接触することはな
い。種子は種子板２０により落下方向を乱される
ことなく所定の位置に落下するから、中空円筒体
１５の回転を地表に合わせて調整すれば、精度の
高い点播をすることができる。

この装置は複数の種子をばらつきなく肥料との
関係位置も正しく保つて播種することができるの
で、播種作業の能率が上がるだけでなく、その後
の管理作業もしやすくなる。

実施例の種子板は円錐面であるが、必ずしも円
錐面のみに限定する必要はなく、要は水平面との
斜面が適度であり、すくい上げた種子を種子箱に
落ちやすく、吸着した種子が落下するときの落下
方向を乱すことがなければよい。又、複数点播用
の種子板に限る必要はなく、第３図に示すよう
に、種子板２０は環状一列の種子吸着孔２１を設
けて一粒まきにすることも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置を備えた真空播種機の要
部断面図、第２図は第１図の−線に沿う断面
図、第３図は一粒まき種子板の斜視図である。 図において、符号１５は中空円筒体、１６は種
子箱、１８はシヤツタ、２０は種子板、２１は吸
着孔をそれぞれ示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 回転駆動されると共に内部に負圧がかけられ
   る中空円筒体と、前記中空円筒体の端面に形成
   された種子板と、前記種子板に内部が接するよ
   うに配設された種子箱と、前記種子板に環状に
   穿設された吸着孔と、前記吸着孔を内側から閉
   じるシヤツタからなる種子吸着装置であつて、
   前記種子板は円錐台状の斜面に形成されたこと
   を特徴とする真空播種機の種子吸着装置。 ２ 種子板の円錐面の同一母線上に複数の吸着孔
   が穿設されたことを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の真空播種機の種子吸着装
   置。