JPS643008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、トランスミツシヨン、殊に、後退
出力軸歯車のみのためのシフタ・ハブおよびシフ
タ・スリーブを備えるトランスミツシヨンの改良
に関する。

一般に、常時噛合型、すなわち、コンスタン
ト・メツシユ型のトランスミツシヨンは、副軸の
複数の前進副歯車および後退副軸歯車に噛合され
た複数の前進出力軸歯車および後退出力軸の歯車
をベアリングを介して出力軸に回転可能に配置
し、シフタ・ハブおよびシフタ・スリーブにより
使用歯車を選択して、その前進出力軸歯車若しく
は後退出力軸歯車の動力をその出力軸に伝達する
ように構成されてきている。

そのシフタ・ハブおよびシフタ・スリーブは同
期装置で、通常、その出力軸において隣接する一
対の歯車に対応してその出力軸にそれぞれ配置さ
れ、その隣接する歯車の何れか一方の動力をその
出力軸に選択的に伝達するように構成されている
が、その出力軸における歯車の数、すなわち、変
速段数によつては、その同期装置は必ずしも一対
の隣接する歯車のために配置されるとは限らず、
場合によつてその同期装置としてのシフタ・ハブ
およびシフタ・スリーブは、特定の歯車、すなわ
ち、後退出力軸歯車のみのためにその出力軸に配
置される。

しかし、そのような後退出力軸歯車のみのため
のシフタ・ハブおよびシフタ・スリーブを備える
トランスミツシヨンにおいて、そのシフタ・ハブ
は、その後退出力軸歯車の外側でその出力軸と一
体的に回転されるように配置され、そのシフタ・
スリーブはその後退出力軸歯車の外側のギア・ス
プラインに噛合されるようにそのシフタ・ハブに
結合されているので、その同期装置として、少な
くともそのシフタ・ハブの厚さに相当する取付け
スペースがその出力軸上において要求され、その
結果、トランスミツシヨン・ケーシングの全長が
比較的長くなり、重量が重く、生産コストが高く
なる傾向にあつた。

この考案の目的は、トランスミツシヨン・ケー
シング内のスペースの有効利用を図り、そのトラ
ンスミツシヨン・ケーシングの全長を短くし、重
量の軽量化を図り、生産コストを低廉にするとこ
ろのトランスミツシヨンの提供にある。

それらを課題として、この考案のトランスミツ
シヨンは、入力軸、副軸、出力軸、その副軸を介
してその入力軸からその出力軸に動力を伝達する
ように、複数の前進出力軸歯車および前進副軸歯
車、後退出力軸歯車、および後退副軸歯車が備え
られ、さらに、シフタ・ハブが、その後退出力軸
歯車に隣接してその出力軸に回転可能に配置され
た前進出力軸歯車のウエブに歯を片寄らせて、そ
の後退出力軸歯とその前進出力軸歯車との間で、
その出力軸と一体的に回転されるように、その出
力軸に配置され、ギア・スプラインが、その後退
出力軸歯車のウエブとそのシフタ・ハブとの間
で、かつ、その出力軸の軸線方向においてそのシ
フタ・ハブに並べられて、その後退出力軸歯車の
ボスに形成され、そして、シフタ・スリーブが、
そのシフタ・ハブおよびギア・スプラインに噛合
されるように、その出力軸の軸線方向に摺動さ
れ、中立状態で、そのギア・スプラインに結合さ
れ、また、変速完了状態で、そのギア・スプライ
ンとの結合状態を維持しながら、そのシフタ・ハ
ブに噛合されるところの構成を備えるところにあ
る。

以下、この考案に係るトランスミツシヨンの望
ましい具体例について、図面を参照して説明す
る。

図は、トラツクに搭載されるものとして具体化
されたこの考案のトランスミツシヨン１０を概説
的に示している。

そのトランスミツシヨン１０は、前進６段、後
退１段の常時噛合型に構成され、出力軸１２にお
ける第１速出力軸歯車１４および後退出力軸歯車
１５の部分を示している。

そのトランスミツシヨン１０は、入力軸（図示
せず）、副軸（図示せず）、出力軸１２、その副軸
を介してその入力軸からその出力軸１２に動力を
伝達するように、第１速出力軸歯車１４を始めと
する複数の前進出力軸歯車および前進副軸歯車
（図示せず）、後退出力軸歯車１５および後退副軸
歯車（図示せず）を備えるもので、シフタ・ハブ
１８が、その後退出力軸歯車１５に隣接してその
出力軸１２に回転可能に配置された第１速出力軸
歯車１４のウエブ２５に歯を片寄らせて、その後
退出力軸歯車１５とその第１速出力軸歯車１４と
の間で、その出力軸１２と一体的に回転されるよ
うに、その出力軸１２に配置され、ギア・スプラ
イン２０が、その後退出力軸歯車１５のウエブ２
４とそのシフタ・ハブ１８との間で、かつ、その
出力軸１２の軸線方向において、そのシフタ・ハ
ブ１８に並べられて、その後退出力軸歯車１５の
ボス１９に形成され、そして、シフタ・スリーブ
２１が、そのシフタ・ハブ１８およびギア・スプ
ライン２０に噛合されるように、その出力軸１２
の軸線方向に摺動され、中立状態で、そのギア・
スプライン２０に結合され、また、変速完了状態
で、すなわち、シフト・フオーク（図示せず）を
介してそのシフタ・スリーブ２１をその出力軸１
２の軸線に沿つてそのシフタ・ハブ１８に向けて
摺動させることによつて、その後退出力軸歯車１
５に伝達される動力をその出力軸１２に伝達する
ように構成された。

出力軸１２は、入力軸に対して同軸心的に位置
され、かつ、副軸に対してほぼ平行になるように
ベアリング１３を介してトランスミツシヨン・ケ
ーシング１１に回転可能に配置されている。

勿論、その出力軸１２の先端はその入力軸の後
端に形成されたボア内に嵌め込まれ、パイロツ
ト・ベアリング（図示せず）を介してその入力軸
の後端に回転可能に支持されている。

後退出力軸歯車１５は、そのトランスミツシヨ
ン・ケーシング１１内の後方寄りの位置で、ニー
ドル・ローラ・ベアリング１７を介してその出力
軸１２に回転可能に配置されている。勿論、その
後退出力軸歯車１５のボス１９の外側の端面とそ
の出力軸１２のためのベアリング１３との間には
スラスト・ワツシヤ２３が挾まれている。

シフタ・ハブ１８は、そのリバース・ギア１５
の内側で、その出力軸１２と一体的に回転するよ
うに、その出力軸１２にスプライン結合２２され
ている。

すなわち、そのシフタ・ハブ１８は、その後退
出力軸歯車１５に隣接してその出力軸１２に回転
可能に配置された第１速出力軸歯車１４のウエブ
２５に歯を片寄らせられ、その後退出力軸歯車１
５とその第１速出力軸歯車１４との間で、その出
力軸１２と一体的に回転されるように、その出力
軸１２に配置されている。

ギア・スプライン２０は、軸方向において、そ
の第１速出力軸歯車１４とその後退出力軸歯車１
５との間に位置されるように、その後退出力軸歯
車１５のボス１９に形成されている。

そのボス１９にはテーパ・ボア２６が形成さ
れ、その出力軸１２上における取付け幅を短くし
ている。

そのギア・スプライン２０における歯数、全歯
たけ、および、ピツチは、そのシフタ・ハブ１８
におけるそれらと実質的に同一になるように構成
されることは勿論である。

シフタ・スリーブ２１は、そのシフタ・ハブ１
８に噛合されるように、その後退出力軸歯車１５
のギア・スプライン２０に結合されている。

勿論、そのシフタ・スリーブ２１は、チエンジ
レバー（図示せず）をリバース側に操作する際の
シフト・フオーク（図示せず）の駆動により、そ
の出力軸１２の軸線方向に摺動され、変速完了状
態で、そのギア・スプライン２０との結合状態を
維持しながらそのシフタ・ハブ１８に噛合され、
その後退出力軸歯車１５に伝達される動力をその
出力軸１２に伝達するように構成されている。

また、その第１速出力軸歯車１４の内側におい
て、その出力軸１２には、ニードル・ローラ・ベ
アリング（図示せず）を介して複数の前進出力軸
歯車（図示せず）が回転可能に配置され、それら
前進出力軸歯車、第１速出力軸歯車１４、およ
び、後退出力軸歯車１５は、副軸と一体的に回転
される複数の前進および後退副軸歯車（図示せ
ず）にそれぞれ噛合されている。勿論、その副軸
の先端側に取り付けられた副軸駆動歯車は、入力
軸の駆動歯車（図示せず）に噛合されている。

従つて、そのトランスミツシヨン１０のニユー
トラル状態において、エンジン（図示せず）によ
つてその入力軸が回転されるならば、副軸と共に
前進副軸歯車および後退副軸歯車が回転され、そ
れらの歯車にそれぞれ噛合された第１速出力軸歯
車１４を始めとする複数の前進出力軸歯車、およ
び、後退出力軸歯車１５がその出力軸１２のまわ
りを空転する。

この考案のトランスミツシヨン１０において、
上述した以外の構成は、既存のトラツクに搭載さ
れるトランスミツシヨンの構成と実質的に同一で
あるため、それらの構成の説明を省略する。

次に、上述のトランスミツシヨン１０でのリバ
ース操作に伴なう動力の伝達について述べるに、
チエンジ・レバーがリバース側にセレクトおよび
シフトされる場合を除き、所謂、中立状態で、シ
フタ・スリーブ２１は図に示されたようにリバー
ス・ギア１５側に寄せられ、シフタ・ハブ１８に
噛合されていない。

すなわち、そのトランスミツシヨン１０の入力
軸がエンジンによつて回転されるならば、副軸と
共に前進副軸歯車および後退副軸歯車が回転さ
れ、そのエンジンの動力は、それらの歯車にそれ
ぞれ噛合された第１速出力軸歯車１４を始めとす
る複数の前進出力軸歯車、および、後退出力軸歯
車１５に伝達される。そのような中立状態におい
て、そのシフタ・スリーブ２１はそのシフタ・ハ
ブ１８に噛合されていないため、その後退出力軸
歯車１５は、その出力軸１２のまわりを空転し、
従つて、そのエンジンの動力はその出力軸１２に
伝達されない。

また、そのチエンジ・レバーがリバース側にセ
レクトおよびシフトされると、所謂、変速完了状
態で、そのシフタ・スリーブ２１は図において左
側に摺動され、そのシフタ・ハブ１８にも噛合さ
れる。

従つて、そのリバース・ギア１５側の動力が、
そのシフタ・スリーブ２１、および、シフタ・ハ
ブ１８を介してその出力軸１２に伝達される。

そのようなトランスミツシヨン１０において、
シフタ・ハブ１８、および、シフタ・スリーブ２
１はその後退出力軸歯車１５の外側に位置される
ことなく、その後退出力軸歯車１５と第１速出力
軸歯車１４との間に配置され、それらの歯車１４
および１５間のスペースを有効に利用し、そのシ
フタ・スリーブ２１により、その後退出力軸歯車
１５ギア・スプライン２０をそのシフタ・ハブ１
８に連結し、その後退出力軸歯車１５側の動力が
その出力軸１２に伝達されるようにしているの
で、従来のトランスミツシヨンのように、シフ
タ・ハブおよびシフタ・スリーブを後退出力軸歯
車１５の外側に配置しているものに比べ、出力軸
および副軸の長さ短縮し、それに伴つて、トラン
スミツシヨン・ケーシングの全長を短くすること
ができ、かつ、軽量化を図ることができる。

如上のこの考案によれば、入力軸、副軸、出力
軸、その副軸を介してその入力軸からその出力軸
に動力を伝達するように、複数の前進出力軸歯車
および前進副軸歯車、後退出力軸歯車、および後
退副軸歯車が備えられ、さらに、シフタ・ハブ
が、その後退出力軸歯車に隣接してその出力軸に
回転可能に配置された前進出力軸歯車のウエブに
歯を片寄らせて、その後退出力軸歯とその前進出
力軸歯車との間で、その出力軸と一体的に回転さ
れるように、その出力軸に配置され、ギア・スプ
ラインが、その後退出力軸歯車のウエブとそのシ
フタ・ハブとの間で、かつ、その出力軸の軸線方
向においてそのシフタ・ハブに並べられて、その
後退出力軸歯車のボスに形成され、そして、シフ
タ・スリーブが、そのシフタ・ハブおよびギア・
スプラインに噛合されるように、その出力軸の軸
線方向に摺動され、中立状態で、そのギア・スプ
ラインに結合され、また、変速完了状態で、その
ギア・スプラインとの結合状態を維持しながら、
そのシフタ・ハブに噛合されるところの構成を備
えるので、その後退出力軸歯車の内側で、そのシ
フタ・ハブおよびシフタ・スリーブによる動力の
伝達が可能になり、換言するならば、その後退出
力軸歯車とその出力軸との同期が可能になり、ト
ランスミツシヨン・ケーシング内におけるスペー
スの有効利用が図られ、加えて、その出力軸およ
び副軸の長さが短縮され、それに伴つて、そのト
ランスミツシヨン・ケーシングの全長が短くな
り、装置全体が軽量化され、その結果、生産コス
トが低廉になり、自動車にとつて非常に有用にな
り、極めて実用的になる。

【図面の簡単な説明】

図はトラツクに搭載されるものとして具体化さ
れたこの考案のトランスミツシヨンを示す部分縦
断面図である。 １０……トランスミツシヨン、１１……トラン
スミツシヨン・ケーシング、１２……出力軸、１
４……第１速出力軸歯車、１５……後退出力軸歯
車、１８……シフタ・ハブ、１９……ボス、２０
……ギア・スプライン、２１……シフタ・スリー
ブ、２５……ウエブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 入力軸、副軸、出力軸、その副軸を介してその
   入力軸からその出力軸に動力を伝達するように、
   複数の前進出力軸歯車および前進副軸歯車、後退
   出力軸歯車および後退副軸歯車を備えるものにお
   いて、 シフタ・ハブが、その後退出力軸歯車に隣接し
   てその出力軸に回転可能に配置された前進出力軸
   歯車のウエブに歯を片寄らせて、その後退出力軸
   歯車とその前進出力軸歯車との間で、その出力軸
   と一体的に回転されるように、その出力軸に配置
   され、 ギア・スプラインが、その後退出力軸歯車のウ
   エブとそのシフタ・ハブとの間で、かつ、その出
   力軸の軸線方向においてそのシフタ・ハブに並べ
   られて、その後退出力軸歯車のボスに形成され、
   そして、 シフタ・スリーブが、そのシフタ・ハブおよび
   ギア・スプラインに噛合されるように、その出力
   軸の軸線方向に摺動され、中立状態で、そのギ
   ア・スプラインに結合され、また、変速完了状態
   で、そのギア・スプラインとの結合状態を維持し
   ながら、そのシフタ・ハブに噛合される ところに特徴があるトランスミツシヨン。