JPS642880B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、散弾銃用装弾、特に狩猟における大
物獣猟に使用される散弾銃用装弾（以下、ライフ
ルドスラグという。）に用いられる装置に関する
ものである。 従来、ライフルドスラグは内、外国の各メーカ
ーによつて製造販売されているが、いずれも同一
形状の弾丸（弾丸の高さ、材質成分、ライフル溝
等に若干の差がある。）を使用し、また、装弾の
構成部材及び組合せもほぼ同一仕様であり、さら
にその性能も同性能を示し、いずれのライフルド
スラグにおいても一長一短があつても大差ない。
特にライフルドスラグの最も大切な性能である命
中精度（以下、グルーピングという。）において
もバラツキが大きく、同じ一粒弾であるライフル
に比較して信頼性が低く、充分満足すべきもので
ない。即ち、従来のライフルドスラグは、第１
図、第２図に示す如く２種に分けられる。これら
は、雷管８が撃発され、火薬５に着火し、燃焼し
てガスが発生し、カツプワツズ部４及び１０は急
激に高まるガス圧の作用を受け、更に送り３次い
で２（第２図においてはｃ，ｄに相当）に作用を
伝えて最後に弾丸９に作用して弾丸９を薬莢１外
へ超高速でとび出させるのである。この時送り
２，３または１０は弾丸９を前方へ押し出す作用
と同時に弾丸の慣性の性質も加味し、送り２，３
または１０自体も弾丸９の内部空間ａ内に圧縮変
形されながら入り込んでいく。これにより弾丸９
を前方へ押し出す作用に加えて、弾丸９の内部よ
り弾丸９の円周方向へ弾丸９と薬莢１とが予め持
つている隙間ｂまで押し広げる作用をし、この作
用が進行する際送り２，３または１０に使用され
ている材質が毛、紙、軟質プラスチツク製のため
形状、寸法、硬度及び強度等にバラツキが大き
く、これらの要因で弾丸９の内部空間ａ内に均一
に入り込まず一方が傾き、斜めに入り込みこれに
より薬莢外にとび出した弾丸９は送り２，３また
は１０を弾丸９の内部空間ａ内に入れたまま次の
銃腔内へと進む。弾丸９は更に銃腔内において、
火薬の燃焼ガス圧によつて急激に銃腔内径と同径
まで弾丸９が円周方向へ膨張されて銃腔内を進行
し、更に銃腔内壁と弾丸９の側面に強力な摩擦力
が生じ、弾丸９の側壁部の肉厚は第３図イ及びロ
に示す如く、弾丸の側面が異常に流れる、圧縮さ
れた高さ及び肉厚のバラツキを生ずる、また、弾
丸９の側壁部の片側が後方へ異常な変形をする、
さらに、弾丸９の頭部の肉厚も同時に同方向へ変
形され、弾丸９の偏心が大きくなり、重量バラン
スが崩れ、銃口外に弾丸９がとび出した後、空気
抵抗も加味して弾道が変形の方向性により上下、
左右に振れ、グルーピングを大きく乱すという欠
点がある。 本発明は、これらの欠点を除去すべく鋭意研究
をした結果、紙、フアイバー、合成樹脂製の弾丸
変形制御装置（以下、コアという。）をライフル
ドスラグに用いることによりグレルーピングのよ
いライフルドスラグがえられることを見出し、本
発明を完成した。 本発明は、薬莢内に装填された推進用火薬の燃
焼により生ずる高圧ガスで発射される一個の弾丸
を持つた散弾銃用装弾に用いる弾丸変形制御装置
であり、該弾丸変形制御装置が前記弾丸の下部を
支える弾力性を有する環状板部、前記環状板部と
一体に形成された前記弾丸の内部空間部を埋める
凸部及び前記環状板部の中央にあつて前記凸部の
内部に予め定められた距離だけ入りこんだ援衝用
空間部を備え、実質的に前記弾丸の底面部を環状
板部が支え、かつ、前記凸部が前記弾丸の内部空
間によつて取囲まれる形状としたことを特徴とす
る散弾銃用装弾に用いる弾丸変形装置である。 以下、本発明を第４，５，６図により説明す
る。 第４図は、本発明のコアを示す断面図、第５図
は、本発明のコアを用いた散弾銃用装弾の断面
図、第６図は第５図の装弾を発射したのちの弾丸
とコアの変形した状態の断面図である。 第４図において、Ａはコア１１の環状板部、Ｂ
は凸部、Ｃは緩衝用空間部である。環状板部Ａは
装弾として組込まれたとき（第５図参照）弾丸９
の底面部を実質的に支え、かつ、その外径は薬莢
１の内壁に接触する大きさであり、その厚みは用
いられる材料の材質により決められるが、通常２
mm以上である。凸部Ｂは、弾丸９に組込まれたと
きその空間部ａを埋めるものであり、その外径は
弾丸９の空間部ａの径と同じ大きさであり、高さ
は通常、該空間部ａの1/5〜4/5、好ましくは1/4
〜3/4である。凸部Ｂの高さが弾丸９の空間部ａ
を完全に埋める、即ち、該空間部ａと同一形状、
寸法にした場合、発射後に弾丸９の頭部肉厚を極
端に薄くし、側面部のみが所定の厚さとなり弾丸
９の重量バランスを崩すので好ましくない。緩衝
用空間部Ｃは、環状板部Ａの中央に設けられ、凸
部Ｂの内部に予め定められた距離だけ入り込んで
いる必要があり、その直径は５mm以下、高さ（深
さ）は凸部Ｂの高さにより決められる。コア１１
の材料としては、紙、フアイバーまたはポリエチ
レン、ポリプロピレン、ナイロン等の合成樹脂が
用いられる。また、コア１１は、プレス方式また
はインゼクシヨン成形法等により環状板部Ａと凸
部Ｂは一体に製造される。 本発明のコアは、第５図に示すように組込ま
れ、発射時の急激なガス圧の膨張によるコアの弾
丸空間部への入り込みを防止する。また、環状板
部でガス圧を均一に弾丸９へ伝え、弾丸の銃腔内
での円周方向及び摩擦力による後方への変形を防
止する。さらに凸部と緩衝用空間部とにより弾丸
の変形を制御する。さらにまた、コアが弾丸の内
部空間の径と同径の凸部を有するために装弾とし
て組込む際に弾丸の偏芯を強制的に防止し、常に
弾丸のバランスを保つ等種々の効果を有する。 実施例 １ 低密度ポリエチレンにより、環状板部の厚み３
mm、緩衝用空間部の径５mm、凸部の厚み４mm、高
さが第１表に示す高さの第４図イに示す如きコア
をインゼクシヨン成形法により製造したのち、こ
のコアを用いて、第５図に示す如き散弾銃用装弾
を作成した。ついで、この装弾の発射試験を実施
し、その命中精度を測定した。また、発射後の弾
丸の変形を調べた。その結果を第１表に示す。な
お、射手、銃器等による差を除去するため、銃器
は射台固定方式とし、銃身長30インチ、銃口絞り
平筒（絞りなし）を用い、かつ射程距離は40ｍと
した。

【表】 実施例 ２ 第２表に示す材料により、実施例１の試料No.ｃ
のコアをインゼクシヨン成形法により製造したの
ち、このコアを用いて第５図に示す如き散弾銃用
装弾を作成した。ついで、この装弾の発射試験を
実施例１と同一方法で実施し、その命中精度を測
定した。また、試験後の弾丸の変形を調べた。そ
の結果を第２表に示す。

【表】 高密度ポリエチレンは三井石油化学製ハイゼツ
クス7000F、スチレン／ブタジエンブロツク共重
合体は旭化成工業製タフプレン、ナイロンは旭化
成工業製ナイロン66である。 比較例 送り２，３として紙及びフエルトを、カツプワ
ツズとしてポリエチレンを用いた第１図に示す如
きライフルドスラグと、プラスチツク製ワツズと
して低密度ポリエチレンを用いた第２図に示す如
きライフルドスラグを製造し、実施例１と同一方
法により発射試験を実施し、命中精度及び発射後
の弾丸の形状を調べた。その結果を第３表に示
す。

【表】 【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、従来のライフルドスラグ
の断面図、第３図は従来のライフルドスラグを発
射した後における弾丸の変形状態の１例を示す断
面図、第４図は本発明コアの断面図、第５図は第
４図イのコアを用いたライフルドスラグの断面
図、第６図は第５図に示すライフルドスラグを発
射した後における弾丸とコアの状態を示す断面図
である。図中、１……薬莢、２……送り、３……
送り、４……カツプワツズ、５……火薬、６……
ベースメタル、７……ベースワツズ、８……雷
管、９……弾丸、１０……１体に成形されたプラ
スチツク製ワツズ、１１……コア、ａ……弾丸９
の内部空間部、ｂ……薬莢１と弾丸９との隙間、
ｃ……プラスチツク製ワツズ１０の送り３に相当
する部分、ｄ……プラスチツク製ワツズ１０の送
り２に相当する部分、Ａ……コア１１の環状板
部、Ｂ……コアの１１の凸部、Ｃ……コア１１の
緩衝用空間部である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 薬莢内に装填された推進用火薬の燃焼により
   生ずる高圧ガスで発射される一個の弾丸を持つた
   散弾銃用装弾に用いる弾丸変形制御装置であり、
   該弾丸変形制御装置が前記弾丸の下部を支える弾
   力性を有する環状板部、前記環状板部と一体に成
   形された前記弾丸の内部空間部を埋める凸部及び
   前記環状板部の中央にあつて前記凸部の内部に予
   め定められた距離だけ入りこんだ援衝用空間部を
   備え、実質的に前記弾丸の底面部を前記環状板部
   が支え、且つ、前記凸部が前記弾丸の内部空間に
   よつて取囲まれる形状としたことを特徴とする、
   散弾銃用装弾に用いる弾丸変形制御装置。 ２ 凸部の高さが、弾丸の内部空間部の高さの1/
   ４〜3/4であることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の散弾銃用装弾に用いる弾丸変形制御装
   置。