JPS642720B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

技術分野 本発明は、インプリント処理された柔軟な吸収
性紙シートおよびその製造法に関する。インプリ
ント処理された紙（imprinted paper）とは、例
えばインプリント処理用織物等のパターン化部材
を例えばバツクアツプロールまたはヤンキー乾燥
ドラム等の他の部材に押圧する一方、発生期の紙
ウエブをその最終乾燥前に上記部材間に通すこと
によつて抄紙機でパターンが押印された紙のこと
である。 背景技術 湿式抄造法（wet−laid）で抄造され、インプ
リント処理およびしぼ寄せ（crepe）処理が施さ
れた柔軟な吸収性紙およびその製造法は、米国特
許第3301746号明細書に開示されている。この特
許に開示された紙の特徴は、非圧縮繊維のうね状
部分と圧縮繊維の谷状部分とが交互かつ連続的に
配列していると共に、上記部分が機械の交差方向
すなわち横方向（cross−machine−direction）
（以下、CDと称す）にのびていることである。上
記米国特許第3301746号明細書においては、スク
エア織りまたはダイアゴナル織りのインプリント
処理用織物と、あや織物および半あや織物が使用
されている。 また、湿式抄造法で抄造され、インプリント処
理としぼ寄せ処理とが施された柔軟な吸収性紙が
米国特許第3974025号明細書に開示されている。
この特許に開示されている紙の特徴は、非圧縮帯
域もしくはまくら状部分が機械の交差方向に不連
続に配列していることである。上記の種類の紙の
製造法は、米国特許第3905863号明細書に開示さ
れている。上記米国特許第3974025号および第
3905863号明細書には、ヒートセツトされている
と共に平らなナツクル（knuckle）とされた半あ
や織りのインプリント処理用織物の裏側から、イ
ンプリント処理用パターンで紙をインプリント処
理することが開示されている。 上記米国特許第3301746号の紙の特徴は、非圧
縮繊維のうね状部分が機械の交差方向に連続的に
あることであり、米国特許第3974025号および第
3905863号の紙の特徴は非圧縮帯域が機械の交差
方向に配列していることであるのに対し、本発明
の紙の特徴は繊維の非圧縮帯域がCDと機械方向
すなわち縦方向（machine−direction）（以下、
MDと称す）との両方向に千鳥状（staggered
relation）に配列されていると共に、この非圧縮
帯域の周辺が圧縮繊維の領域からなるピケツト様
輪郭（picket−like linement）、即ち圧縮の連続
線ではなく不連続線によつて囲繞されていること
にある。 乾式抄造（air−laid）繊維の吸収性パツドが、
米国特許第3908659号明細書に開示されている。
この特許に開示された吸収性パツドのパターン
は、本質上圧縮のみによつて形成されており、一
般に円形の非圧縮房が左右両側に千鳥状に配列し
ている。この乾式抄造構造物は圧縮の連続線を有
しているのに対し、本発明の紙は湿式抄造される
ものであると共に、最終の乾燥前に付される圧
縮、即ちインプリント処理によつて生ずる不連続
線や輪郭を有している。また、本発明の紙は、イ
ンプリント処理し、乾燥した後に、しぼ寄せ処理
される。 数字が不連続なワープ・ピツク・セクユエンス
（warp pick sequence）（１、４、２、５、３）
を有する５ヒ口の朱子織の織物の部分的な図面
が、アルバニ・インターナシヨナル・コーポレー
シヨンのペーパーマシン・フエルツ・エンド・フ
アブリツクス（1976）第22頁、第３〜７図；ライ
ブラリー・オブ・コングレス・キヤツト・カード
No.76−41647に示されている。また、朱子織のウ
エツトエンド織物（wet−end fabrics）（金属ワ
イヤではなく熱可塑性フイラメントからなるので
はあるが、通常“ワイヤ”と称される）はウイス
コンシン州、アプレトンのアプレトン・ワイヤ・
ワークス・コーポレーシヨンから商業上入手でき
る。しかし、上記の本には製織織物をインプリン
ト処理用織物として使用することは示唆されてお
らず、それ故上記織物を使用した場合にインプリ
ント処理された紙シートの構造にどのような作用
効果があるかは教示されていない。さらに、商業
上入手可能なウエツト・エンド織物は、ヒートセ
ツトされておらず、たと糸とよこ糸のナツクル
〔トツプ・サーフエス・クロスオーバー（top−
surface crossovers）〕は形成されていないと共
に、共面や単面のナツクルによつて規定される平
面以下のサブ・トツプ・サーフエス・クロスオー
バー（sub−top−surface crossovers）も形成さ
れていないと考えられる。共面ナツクルを以下ト
ツプ・サーフエス・プレーン・クロスオーバー
（top−surface−plane crossovers）と称すが、
これは本発明の紙の製造に使用されるインプリン
ト処理用織物に関するもので、サブ・トツプ・サ
ーフエス・クロスオーバーと共に非常に重要なも
のである。 米国特許第3473566号明細書には、同一高さを
有する共面のトツプ・サーフエス・クロスオーバ
ーを形成できるポリエステル織物の製織法および
熱処理法が教示されている。 米国特許第3573164号には、交差したフイラメ
ントの多くの部分を研削すると上記特許に添付の
第３図および第４図に示されるように平らなナツ
クルが形成されることが開示されている。この種
の平らなナツクルは、上記米国特許第3974025号
明細書および第3905863号明細書で使用されてい
る。 本明細書で使用する「ワープ・ピツク・セクユ
エンス」とは、織機内で織物を製織するためにシ
ヤツトルを飛走させた際に、縦方向にのびるたて
糸がよこ糸の下を通る順番を意味する。本明細書
に添付の織物のすべての平面図のように、たて糸
を左側から右側に順番に番号を付けて１〜ｎ（但
し、ｎは織物のヒ口）を一組とすると（例えば、
第７図に示すように、５ヒ口でｎ＝５の織物の場
合にはたて糸の番号は６２−１〜６２−５とな
る）、ワープ・ピツク・セクユエンスはたて糸が
第７図に示されるように下方に配列されている順
番を意味し、次のよこ糸のフイラメントはたて糸
の上を通る。第７図を参照すれば、よこ糸６３−
１は６２−１で示されるすべてのたて糸にはひ投
げ（picking）されているが、６２−２から６２
−５で示されるすべてのたて糸には打込まれてい
ない。即ち、第７図に示されるように、よこ糸６
３−１はたて糸６２−１の上を通り、たて糸６２
−２から６２−５の下を通る。次いで、たて糸６
２−１は解放され、たて糸６２−３はシヤトルの
通過前に選択されて次のよこ糸６３−２の下を通
る。同様に、たて糸６２−５がよこ糸６３−３の
下を通り、たて糸６２−２がよこ糸６３−４の下
を通り、たて糸６２−４がよこ糸６３−５の下を
通る。第７図の織物を製織する際にたて糸をよこ
糸にひ投げしてよこ糸の下に配列する順番、即ち
ワープ・ビツク・セクユエンスは添字だけで示す
とよこ糸１〜５に対して１、３、５、２、４であ
る。第７図の織物は数字が不連続のワープ・ピツ
ク・セクユエンスであり、第１１図の織物や第１
２図の織物のような数字が連続のワープ・ピツ
ク・セクユエンスとは異なる（第１１図、第１２
図の織物のワープ・ピツク・セクユエンスはそれ
ぞれ１、２、３および１、２、３、４、５であ
る）。数字が不連続のワープ・ピツク・セクユエ
ンスで製織された織物は、容易に変形、熱処理さ
れて、たて糸とよこ糸とを共面で交差させること
ができると共に以下に詳述するように幾分凹状の
サブ・トツプ・サーフエス・クロスオーバーとす
ることができる。一方、数字が連続のワープ・ピ
ツク・セクユエンスで製織された織物は、凹状の
サブ・トツプ・サーフエス・クロスオーバーを有
していない。また第７図のものと実質上同様の性
質を有する織物をワープ・ピツク・セクユエンス
を変えることによつて形成できる。例えば、１、
３、５、２、４の変形は１、４、２、５、３であ
る。或いは、たて糸の数を左から右へではなく、
右から左へ数えることによつても変形できる。即
ち、たて糸を左から右へ−１から−５と順番に数
えると共に１、３、５、２、４のワープ・ピツ
ク・セクユエンスで製織した織物は、たて糸を右
から左へ−１から−５と順番に数えると共に１、
３、５、２、４の同一のワープ・ピツク・セクユ
エンスで製織した織物を裏返したものである。 従来技術と異なり、本発明は、非圧縮帯域が機
械方向と機械の交差方向との両方向に対して千鳥
状に配列されていると共に非圧縮帯域の周辺がイ
ンプリント処理で付与されたピケツト様不連続輪
郭によつて囲繞されていることを特徴とする湿式
抄造の柔軟な吸収性紙シートを提供するものであ
る。しぼ寄せ処理した場合には、比較的嵩高とな
り；CD：MDの伸張比は改良され；CDの曲げ剛
性が減少し（柔軟であるという印象が強まる）；
破裂強度対総引張強さの比率が向上する。 発明の開示 本発明によれば、非圧縮帯域が機械方向
（MD）と機械の交差方向（CD）との両方向に対
して千鳥状に配列されていると共に非圧縮帯域の
周辺がインプリント処理で付与されたピケツト様
不連続輪郭によつて囲繞されていることを特徴と
する柔軟な吸収性紙シートが提供される。好まし
い帯域密度は１平方インチ当たり約15〜約3000帯
域である（１cm²当たり約２〜約450帯域）。しぼ寄
せ処理した場合には、比較的嵩高となり；CD：
MDの伸張比は改良され；CDの曲げ剛性が減少
し（柔軟であるという印象が強まる）；破裂強度
対総引張強さの比率が向上する。上記の紙シート
は、抄紙機を通る発生期の紙ウエブを最終乾燥前
に好適なパターン化インプリント処理用部材によ
りインプリント処理し、次いで最終紙の所望の乾
燥度まで乾燥した後インプリント処理された紙に
しぼ寄せ処理を施すことからなる方法によつて製
造される。 発明の具体的説明 以下、図面を参照して本発明を具体的に説明す
る。 第１図は、インプリント処理としぼ寄せ処理と
が施された本発明の紙シート４０の一部分のイン
プリント処理側の拡大模式図である。第１図に示
されるように、紙シート４０の特徴は、非圧縮帯
域４２が機械方向（MD）と機械の交差方向
（CD）との両方向に対して千鳥状に配列している
と共に上記非圧縮帯域４２の各周辺がインプリン
ト処理で付与されたピケツト様不連続輪郭（第７
図を参照して以下に詳述）によつて囲繞されてい
ることにある。ところで、第１図に示すように、
ピケツト様輪郭４３は緻密化繊維（圧縮繊維）の
帯域であり、これらは一緒になつて第１図の暗黒
色の帯域となつている。これらの帯域は２つの種
類にわけられる。即ち、一方のものは矢印４４に
よつて示される方向にのびる平行線であり、CD
方向から角度４５で右上りに傾斜している。他方
のものは矢印４６によつて示される方向に一般に
のびる一般に平行な曲がつた線であり、CD方向
から角度４７で左上りに傾斜している。上記の角
度４５および４７で示されるように、圧縮帯域は
機械方向、機械の交差方向のいずれの方向にもの
びていない。一般に、この幾何学模様から、本発
明の紙シートはCDおよび（または）MD方向に
圧縮帯域のある従来の紙よりもCD方向の曲げ剛
性（flexural rigidity）が減少していると考えら
れる。 簡単に言えば、第１図の紙シート４０は二層の
ウエブからなる。第一層のウエブは製品紙のイン
プリント処理層を構成する。第二層のウエブは製
品紙の他の層を構成し、この層は第６図の抄紙機
のヤンキー乾燥ドラムと接触する。上記第一層は
3000平方フイート当たり約９ポンドの比較的長繊
維の北方系軟木（とうひ属の樹木および（また
は）松）クラフトからなる。例えば、プロクタ
ー・エンド・ギヤンブル・セルロース、リミテツ
ド・オブ・カナダから入手できるグランド・プラ
イリー・チヤーミン・プライムを使用できる。上
記第二層は、3000平方フイート当たり約５ポンド
の比較的短繊維のマルセル法で処理された南方系
軟木クラフト（例えば、ザ・バツキー・セルロー
ス・コーポレーシヨンにより製造されている
HPZ）と3000平方フイート当たり約５ポンドの
比較的短繊維の南方系硬木クラフト（冷苛性液に
よつて後漂白抽出）との混合物からなる。好適な
南方系硬木は、インタナシヨナル・ペーパー・カ
ンパニーから入手できるNatchez−98である。調
製し、層を形成し、初期脱水した後、発生期の紙
ウエブ４０ａを上流ワイヤまたは織物５０から第
７図に示す種類の乾燥−インプリント処理用織物
７３に移送した。織物７３は１インチ当たり24×
20フイラメントのメツシユを有しているが、この
ことについては以下に詳述する。移送時の繊維粘
稠度は約25〜約30％であつた。次いで、発生期の
ウエブ４０ａを約70〜約80％の繊維粘稠度におい
てヤンキー乾燥ドラム７０に移送した。ヤンキー
乾燥ドラム７０への移送点において第６図の加圧
ロール７１を使用してインプリント処理を行つ
た。最終乾燥をヤンキー乾燥ドラム７０上で行つ
た後、紙シートをドクターブレード７２の作用に
よりしぼ寄せ処理を施し、ヤンキー乾燥ドラム７
０から取りはずした。 第２図は第１図と同様の模式図で、拡大の程度
は第１図よりも小さいが、紙ペーパー４０の拡大
部分そのものは大きい。 第３図は第２図に示された紙シート４０の反対
側即ちヤンキー乾燥ドラム側の模式図である。第
２図および第３図は拡大の程度が同一であり、こ
れらは従来技術の紙４１の模式図、第４図および
第５図と並列して比較される。 第４図は従来技術でインプリント処理としぼ寄
せ処理とが施された紙４１の一部分のインプリン
ト処理側の模式図であり、第４図における拡大の
程度は第２〜３図と同一である。第５図は第４図
の紙４１の反対側、即ちヤンキー乾燥ドラム側の
模式図である。第４〜５図の紙４１は、前述の米
国特許第3974025号明細書に記載されている。 第２〜３図の紙シート４０を第４〜５図に示さ
れる従来技術の紙４１と並べて比較すると明らか
なように、従来技術の紙４１においては圧縮帯域
４４ａが機械の交差方向にあるのに対し、本発明
の紙シート４０では機械の交差方向には圧縮帯域
はない。第２〜３図から明らかなように、本発明
の紙シート４０の特徴は非圧縮帯域４２がCDと
MDとの両方向に対して千鳥状に配列されている
ことにあるのに対し、第４図に示されるように従
来技術の紙４１の特徴は非圧縮帯域４２ａが機械
の交差方向に配列していることにある。 第６図は本発明の紙の抄紙機４９の概略側面図
である。本発明では種々の抄紙機を使用でき、特
定のものには限定されないため、抄紙機４９の詳
細を示す必要はないが、例えば真空脱水ボツクス
５１、移送装置５２（エアジエツト５３、真空ボ
ツクス５４）、送風予備乾燥機５５、織物清浄化
シヤワー５６、織物脱水ボツクス５７、回転ロー
ル５８、接着剤塗布装置５９などの他の部材を示
す。これらの部材の作用および操作法は当業者に
周知であり、例えば同様の装置が前述の米国特許
第3301746号明細書に開示されている。 第７図は、その上に４つの卵形の非圧接部
（planchet）６１が配列されたインプリント処理
用織物６０の部分平面図である。織物６０は、熱
可塑性樹脂のモノフイラメントのたて糸とよこ糸
とからなる。好ましい材料は熱可塑性ポリエステ
ルである。織物６０のたて糸とよこ糸とはそれぞ
れMDたて糸フイラメント６２とCDよこ糸フイ
ラメント６３と表示されている。これらは数字が
不連続のワープ・ピツク・セクユエンス１、３、
５、２、４を使用して５ヒ口の朱子織（sation
weave）に製織されている。製織後、織物６０を
張力下に熱処理してフイラメントをヒートセツト
する。すると、第７図の８−８線、９−９線に沿
つて切つた第８図、第９図の部分断面図に示され
るように、蛇行した配置のものが得られる。ヒー
トセツト後、織物６０を研削装置で研削すると、
MDたて糸フイラメント６２上に細長い平らなク
ロスオーバー（ナツクル）６４が形成される一
方、CDよこ糸フイラメント６３上に卵形の平ら
なクロスオーバー（ナツクル）６５が形成され
る。平らなクロスオーバー６４と６５とは共面
（或いは単面と称される）にあり、一緒にしてト
ツプ・サーフエス・プレーン・クロスオーバーと
呼ばれる。即ち、クロスオーバー６４と６５との
平らな面は第８〜９図に示すように織物６０のト
ツプ・サーフエス・プレーン（最上面）６６とな
る。織物６０の残りはトツプ・サーフエス・プレ
ーン６６の下に位置し、サブ・トツプ・サーフエ
ス・クロスオーバー（ナツクル）６７を包含す
る。第７図および第９図に示されるように、サ
ブ・トツプ・サーフエス・クロスオーバー６７は
一対になつて配置され、かつこれらの一対のサ
ブ・トツプ・サーフエス・クロスオーバー６７の
周辺は、一般に隣接の４つのMDたて糸クロスオ
ーバー６４と２つのCDよこ糸クロスオーバー６
５とによつて囲繞されている。上記の各クロスオ
ーバーと各クロスオーバー間の位置のフイラメン
トとにより小枝細工様のバスケツト状の凹部が形
成され、この凹部内の帯域では発生期の紙ウエブ
を実質上圧縮せずに使用できる一方、トツプ・サ
ーフエス・クロスオーバー６４，６５により発生
期の紙ウエブにインプリント処理を施すことがで
きる。このようにして、紙シート４０の非圧縮帯
域４２が、紙の繊維を交互に圧縮、非圧縮とした
不連続のピケツト様輪郭によつて規定されるよう
になる。第７図の非圧接部６１は、上記の小枝細
工様のバスケツト状凹部を平面的に記載したもの
である。 ところで、朱子織という用語は、一連のフイラ
メント群（例えば、たて糸またはよこ糸）の各フ
イラメントが他の一連のフイラメント群（例えば
よこ糸またはたて糸）の１本のフイラメント上に
通ると共に他の残りの（ｎ−１）本のフイラメン
トの下を通り、一方、他の一連のフイラメント群
の各フイラメントが第一の一連のフイラメント群
の１本のフイラメントの下を通ると共に他の残り
のｎ−１本のフイラメントの上を通るようになつ
ているｎヒ口の製織物を意味する。第１２図に示
すように、織物９０は１、２、３、４、５のワー
プ・ピツク・セクユエンスを使用して製織された
５ヒ口の朱子織である。織物９０はたて糸フイラ
メント８３−１から８３−５と、よこ糸フイラメ
ント８４−１から８４−５とを含んでいる。たて
糸には細長い平らなナツクル８５があり、よこ糸
には共面の卵形の平らなナツクル８６がある。織
物９０の小枝細工様のバスケツト状凹部は非圧接
部６１ｙである。これらの凹部は２本のたて糸フ
イラメントに及んでいるが、よこ糸には及んでい
ない。この織物９０には前述の第７図の織物６０
のナツクル６７に対応するサブ・トツプ・サーフ
エス・ナツクルを有していない。これに対し、第
７図の織物６０の凹部は、非圧接部６１ａ〜６１
ｄからわかるように２本のたて糸フイラメントと
１本のよこ糸フイラメントとにまで及んでおり、
また２つの並列したサブ・トツプ・サーフエス・
ナツクル６７にまで及んでいる。数字が連続的な
ワープ・ピツク・セクユエンスの第１２図の５ヒ
口の朱子織織物９０はサブ・トツプ・サーフエ
ス・クロスオーバーを有していないのに対し、数
字が不連続のワープ・ピツク・セクユエンスの第
７図の５ヒ口の朱子織織物６０はサブ・トツプ・
クロスオーバー６７を有している。 第７図の一群の４つの非圧接部６１からわかる
ように、織物６０によりインプリント処理された
紙シート４０の各非圧縮帯域４２は隣接の非圧縮
帯域と十分に近接して離間されていると共に、各
帯域の機械方向の長さMDS（machine−direction
span）はこの帯域に対して横方向に隣接された
縦方向の一対の帯域間の介在物（よこ糸）の機械
方向の長さＬよりも長く、かつ各帯域の機械の交
差方向の長さCDS（cross−machine−direction
span）はこの帯域に対して縦方向に隣接された
横方向の一対の帯域間の介在物（たて糸）の機械
の交差方向の幅Ｗ（cross−machine−direction
width）よりも長い。これらの空間的関係を説明
すると、第７図の非圧接部６１ａと６１ｃとは縦
方向に離間した一対の非圧接部であり、非圧接部
６１ｂと６１ｃとは横方向に離間した一対の非圧
接部であり、後者の一対の非圧接部は非圧接部６
１ａと６１ｄとの両者に縦方向に隣接して配置さ
れている。このように各帯域がオーバーラツプし
ているとインプリント処理された紙のMD、CD
の両方向の引裂が防止される。上記のようなオー
バーラツプした配列を、充分にオーバーラツプし
た左右両側の千鳥状配列（ａ fully overlapped
bilaterally staggered array）と呼ぶ。 第１０図は、第７図の織物６０の平らなクロス
オーバー６４，６５（インプリント処理でデボス
（deboss）されたのではなく、プリント処理され
ている）のパターンを有する紙シート４０ｘの一
部分の平面図である。クロスオーバー６４のプリ
ントは６４ｘと称され、クロスオーバー６５のプ
リントは６５ｘと称される。織物６０によつてイ
ンプリント処理されることによつては実質上圧縮
されない紙の帯域を説明するために、非圧接部６
１ｘを第１０図に示す。第１０図から、サブ・ト
ツプ・サーフエス・ナツクル６７はトツプ・サー
フエス・プレーン６６の下にあり、第１０図の紙
シート４０ｘ上にはプリントされないことが明ら
かである。 第１〜３図の本発明の紙シート４０と第４〜５
図の従来技術の紙４１とを比較するために、各種
の実験を行つた。第７図のインプリント処理用織
物６０を使用して紙シート４０を作つた。一方、
第１１図のインプリント処理用織物８０を使用し
て従来技術の紙４１を作つた。従来の織物８０
は、第１１図に示すように細長いMDナツクル８
１と、卵形CDナツクル８２と、繊維を圧縮しな
い凹状の非圧接部６１ｙとを有している。第１１
図の非圧接部６１ｙの配列から明らかなように、
織物８０でインプリント処理された紙４１には
CD方向に整列していると共にMD方向には千鳥
状に配列した細長い非圧縮帯域が形成される。こ
の種の織物８０や紙４１は前述の米国特許第
3905863号、第3974025に詳説されている。ところ
で、第７図の織物６０はサブ・トツプ・サーフエ
ス・ナツクル６７を有しているのに対し、第１１
図の織物８０はサブ・トツプ・サーフエス・ナツ
クルを有していない。そのため、織物８０の凹部
はサブ・トツプ・サーフエス・ナツクルまで及ん
でいない。このため、従来技術の織物８０は本発
明で使用する織物６０等とは異なる。 サンプル 第１〜３図の本発明の紙シート４０と第４〜５
図の従来技術の紙シート４１とを、MD、CDの
両方向に24×20メツシユ（１インチ当たりのフイ
ラメント数）を有する織物でインプリント処理し
た。但し、インプリント処理用織物を変え、本発
明の場合には第７図の織物６０、従来技術の場合
には第１１図の織物８０をそれぞれ使用したが、
実験条件を同一とし、抄紙機も同一とした。抄紙
機には２つのヘツドボツクスが付設されているた
め、分離した２層の紙シートが形成された。固定
屋根型の第一ヘツドボツクスから北方系軟木クラ
フト（グランド・プライリー・チヤーミン・プラ
イム・プロクター・エンド・ギヤンブル・セルロ
ース、リミテツド・オブ・カナダ）を供給し、発
生期の紙ウエブの第一層を形成した。第一層の坪
量は最終紙シートの総量の約50％である。第二ヘ
ツドボツクスから以下の材料を供給して紙シート
の第二層を形成した後、第一層と第二層とを並置
して第６図の発生期のウエブ４０ａを形成した。
ところで、第二ヘツドボツクスから供給する材料
は前述のHPZ（約50％）とNatchez−98（約50％）
との配合物であつた。また、湿潤強度を高める添
加剤としてParez−NC（アメリカン・シアナミ
ド・コーポレーシヨン）を前者の北方系軟木クラ
フトに以下の第１表に示す割合で添加した。 第一層を78×60メツシユ（１インチ当たりのフ
イラメント数）のＳ製織形成用ワイヤ（Ｓ−
weave forming wire）（アプレトン・ワイヤ・
ワークス社）上に形成し、第二層を74×56メツシ
ユのＭ製織形成用ワイヤ（アプレトン・ワイヤ・
ワークス社）と78×60メツシユのＳ製織形成用中
間担体ワイヤとの間に形成した。ところで、Ｓ製
織は４ヒ口の朱子織で、機械の交差方向に配向し
た長いクロスオーバーを有すると共にワープ・ピ
ツク・セクユエンスは数字が連続である。Ｍ製織
は５ヒ口の朱子織で、機械の交差方向に配向した
長いサーフエス・クロスオーバーを有すると共に
ワープ・ピツク・セクユエンスは数字が不連続で
ある。Ｍ製織織物は共面のたて糸とよこ糸のナツ
クルを有していない。第一層が第二層の上に並置
される位置となるように第二層を中間ワイヤ上に
担持させた。それにより、第６図の発生期の紙シ
ート４０ａの形成が完了した。次いで、発生期の
紙シート４０ａを約25〜約30％の繊維粘稠度にお
いて適当なインプリント処理用織物に移送した。
発生期の紙シートを送風予備乾燥機５５で更に乾
燥して、ヤンキー乾燥ドラム７０への移送点の繊
維粘稠度を約70〜約80％とした。織物でのインプ
リント処理やヤンキー乾燥ドラム７０への移送点
で行つた。紙シートをヤンキー乾燥ドラム上で所
望の乾燥度まで乾燥した後、ドクター・ブレード
７２によりしぼ寄せ処理を施した。次いで、紙シ
ートをドクター・ブレード帯域から取り出し、巻
いて最後しぼ寄せ率を30％とした。得られた結果
を以下の第１表に示す。第１表のデータは、織物
のナツクル面積範囲（平らなナツクル面積を形成
するための研削の程度により異なる）や坪量に関
する母集団から得られる。本発明の紙シート４０
の場合には坪量は3000平方フイート当たり15.4〜
20.4ポンドの範囲内であるが、データが3000平方
フイート当たり17.0〜19.3ポンドの坪量に選択的
に限定されるならば残りの比較データを実質上変
えなかつた。

【表】

【表】 サンプル 第１〜３図の本発明の紙シート４０と第４〜５
図の従来技術の紙シート４１とを、MD、CDの
両方向にそれぞれ31×25メツシユ（１インチ当た
りのフイラメント数）を有する織物でインプリン
ト処理した。実験条件等以下の点を除いて上記サ
ンプルの場合と同一である。 (a) 第二層を形成する繊維成分のすべてを南方系
硬木クラフト（前述のNatchez−98）としたこ
と (b) インプリント処理点およびヤンキー乾燥ドラ
ムへの移送点における繊維粘稠度を約65〜約80
％としたこと、 (c) ナツクル面積20％、30％の織物を使用したこ
と。 得られた結果を以下の第２表に示す。

【表】

【表】 サンプル 第１〜３図の本発明の紙シート４０と第４〜５
図の従来技術の紙シート４１とを、上記サンプル
と同様の織物でインプリント処理した。実験条
件等を上記サンプルの場合と実質上同一とした
が、但し二層構造ではなく、三層構造とした。第
三の固定屋根型ヘツドボツクスを使用し、ここか
ら第三層用の材料を78×60メツシユ（１インチ当
たりのフイラメント数）のＳ製織形成用ワイヤ上
に供給した。中心層が前述の北方系軟木クラフト
となると共に、外側の二層がユーカリ樹の硬木ク
ラフト（チヤンピオン・インターナシヨナル社）
となるように設定した。乾燥強度添加剤としての
Accstrength98およびそれの相乗作用剤として働
くAccostrength514を中心層形成用材料中に添加
し、一方糸くずの発生を制御するために湿潤強度
添加剤としてのParez631−NCを第３図および第
５図の紙シート４０，４１のヤンキー乾燥ドラム
側の外層にそれぞれ添加した。三層の各々は各紙
シートの坪量の約1/3とした。78×60メツシユの
Ｓ製織形成用ワイヤ上に形成した後、発生期の紙
シートを前述のサンプル、と同一の中間担持
ワイヤに移送し、次いで約25〜約30％の繊維粘稠
度において適当なインプリント処理用織物に再移
送した。繊維粘稠度を送風予備乾燥機により増加
させてインプリント処理点およびヤンキー乾燥ド
ラムへの移送点における繊維粘稠度を約75〜約80
％とした。残留しぼ寄せ率を18％とし、紙シート
にゴム−スチロールカレンダースタツクで光沢を
付けた。紙シートを4.5×4.5インチの標準トイレ
ツト薄葉紙とした後、種々の測定を行つた。得ら
れた結果を以下の第３表に示す。

【表】 上記第１〜３表のデータから、本発明の紙シー
ト４０は従来技術の紙シート４１よりも(a)密度が
低く嵩が大きく、(b)CD曲げ剛性が小さく、(c)
CD：MDの伸張比が大きく、(d)破裂強度／総引
張強度の比率が大きいことがわかる。このことか
ら、本発明の紙シート４０は従来技術の紙シート
よりも優れていることがわかる。 密度が低く、嵩が大きいと吸収性が直接改良さ
れ、パネル試験で柔軟であると知覚されるように
なると考えられる。このため、上記(a)に示す事項
は重要なことである。 柔軟さの印象は最も弱い寸法特性によつて強く
影響を受けると考えられるが、CD曲げ剛性が小
さいということは重要なことである。即ち、CD
しぼ寄せのうねのためにMD剛性が低く、CD剛
性が高い場合には、CD特性は柔軟性に過度の悪
影響を与える。それ故、MD剛性に著しい影響を
与えずにCDしぼ寄せのうねをなくすことによつ
てCD剛性を減少させると、直接柔軟性に対する
印象は改善される。CD対MDの特性が更に等方
性となるため、紙は更に布のようになる。 CD：MDの伸張比が大きいことは重要なこと
であるが、その理由は以下の(a)〜(c)によるものと
考えられる。 (a) 強度特性は一般に最も弱い成分によつて支配
されるため、シートの強度特性が等方性である
場合に技術的に測定可能な最小強度において最
大強度が知覚される。伸張の作用である引張エ
ネルギーの吸収や破裂エネルギーの吸収等の強
度特性（または仕事もしくはエネルギーの吸収
型の強度特性）は、CD：MDの伸張比が1.0に
近づいた際に直接最適なものに近づく。 (b) 等方伸張性を有する紙は織布に更に似てく
る。 (c) CD：MDの伸張比を比較的高くさせると、
所定のCD伸張の絶対水準を達成させるのに紙
のしぼ寄せの割合を比較的低くすることができ
る。しぼ寄せを少なくできると抄紙機を更に良
好に制御できるようになるだけでなく、所定の
最終シート坪量において生産性（例えば１日当
たりのトン数）を高めることができる。 破裂強度／総引張強度の比率を改良することの
重要性は以下の理由によるものと考えられる。破
裂強度は紙シートの主要面に対して垂直な方向の
エネルギーを吸収すると共に力に抵抗する紙の能
力の尺度である。一方、引張強度は、仕事量や吸
収されたエネルギーに関係なく、一般に主要面内
の強度特性を示す。破裂強度／総引張強度の比率
を決めることによつて破裂強度を標準化すること
ができる。破裂強度／総引張強度の比率は、比較
的大きな通常の力がかかるような実施形態等にお
ける薄葉紙製品の強度許容性を知る尺度として特
に重要である。所定の引張強度に標準化すると、
破裂強度を高くしようとする際に柔軟性等の極め
て重要な性質に悪影響を与えない。 織物の変形例 紙シート４０を形成するのに好適な織物の変形
例について記載する前に、織物の製織および用語
について説明する。 前述のように、たて糸、よこ糸なる用語は織機
で製織する織物に関連して使用される用語であ
る。たて糸またはたてフイラメントは織機内を縦
方向にのびており、一方よこ糸またはよこフイラ
メントは織機内を横方向にのびている。通常の織
機で製織された織物は、織物の頂端および下端を
それらから左側にのびたたて糸の端部と一緒に製
織することによつてループにされる。この種の織
を例えば第６図のインプリント処理用織物７３と
して抄紙機内に配置した場合には、たて糸フイラ
メントは機械方向にのび、一方よこ糸フイラメン
トは機械の交差方向にのびる。或いは、ループを
抄紙機に適用する際に、たて糸を機械の交差方向
にのばす一方、よこ糸を機械方向にのばすように
して、適当な織機により織物のエンドレスループ
を製織できる。このように、たて糸、よこ糸とい
う用語は機械方向や機械の交差方向に対しては二
つの意味にとれるものである。従つて、便宜上ま
た簡単にするために、たて糸、よこ糸のいずれか
が抄紙機内でMD、CDのいずれかの方向にある
ものとして、以下に詳述の織物について説明す
る。このため、MD、CDを第７図、第１２〜２
２図には表記しない。従つて、更に一般化して言
えば、すべての織物は、実質上平行なフイラメン
ト群が２つあり、それらが互いに一般に直交して
いるものであると記載できる。 朱子織織物の他の例について記載する前に、数
字が非連続のワープ・ピツク・セクユエンスであ
るときに第１図の紙シート４０の非圧縮帯域４２
が千鳥状となるということを理解すべきである。
第１２図の織物９０は、数字が連続的なワープ・
ピツク・セクユエンスであると、第１１図の従来
技術と同程度の非圧縮帯域が形成されると共にこ
れらの帯域がよこ糸の方向に配列されるというこ
とを示すために記載した。第１２図に示すよう
に、織物９０は１、２、３、４、５のワープ・ピ
ツク・セクユエンスを使用して製織された５ヒ口
の朱子織である。織物９０はたて糸８３−１から
８３−５とよこ糸８４−１から８４−５とからな
つている。たて糸は細長い平らなナツクル８５を
有し、一方よこ糸は卵形の平らなナツクル８６を
有している。ナツクル８５，８６は共面である。
織物９０によりインプリント処理される紙シート
の圧縮されない帯域は非圧接部６１ｙの部分であ
る。これらの帯域は２本のたて糸に及んでいる
が、よこ糸には及んでいない。これに対し、第７
図の織物６０の非圧接部６１は２本のたて糸に及
んでいると共に１本のよこ糸にも及んでいる。こ
のように、数字が不連続のワープ・ピツク・セク
ユエンスの５ヒ口の朱子織織物６０はサブ・トツ
プ・サーフエス・クロスオーバーを有しているの
に対し、数字が連続のワープ・ピツク・セクユエ
ンスの５ヒ口の朱子織織物９０はサブ・トツプ・
サーフエス・クロスオーバーを有していない。 第１３図は他のインプリント処理用織物１００
の一部分の平面図である。織物１００は、たて糸
１０１−１から１０７−７と、よこ糸１０２−１
から１０２−７とから構成されていると共に１、
３、５、７、２、４、６のワープ・ピツク・セク
ユエンスで製織された７ヒ口の朱子織織物であ
る。たて糸、よこ糸はそれぞれ共面の平らなトツ
プ・サーフエス・プレーン・ナツクル１０３，１
０４を有していると共に、たて糸はサブ・トツ
プ・サーフエス・ナツクル１０５を有している。
非圧接部１０６は、織物１００のナツクルパター
ンで紙シートをインプリント処理した際に紙シー
トを実質上圧縮しない織物の帯域である。各非圧
縮帯域は２本のたて糸と２本のよこ糸に及んでい
ると共に、ナツクル１０５にまで及んでいる。第
７図の織物６０のナツクルパターンの周辺は第７
図の非圧接部６１ａから６１ｄで示される凹部で
完全に囲繞されているのに対し、第１３図の非圧
接部１０６で示される織物１００の帯域は対角線
上の位置において当接している。従つて、織物１
００でインプリント処理された紙には対角線上に
のびる複数の非圧縮帯域が形成され、これらの非
圧縮帯域は離間した共面のナツクル１０３，１０
４によりインプリント処理された対角線上にのび
る圧縮帯域によつて互いに離間している。換言す
れば、織物１００には対角線上に当接した凹部か
らなる谷が形成されており、これらの谷の帯域は
織物１００でインプリント処理する際にも実質上
圧縮されない。 第１４図は本発明の紙シートを製造するのに使
用される他の例のインプリント処理用織物の一部
分の平面図である。織物１１０は、たて糸１１１
−１から１１１−７とよこ糸１１２−１から１１
２−７とから構成されていると共に１、４、７、
３、６、２、５のワープ・ピツク・セクユエンス
で製織された７ヒ口の朱子織織物である。たて
糸、よこ糸はそれぞれ共面のトツプ・サーフエ
ス・プレーン・ナツクル１１３，１１４を有して
いると共に、たて糸はサブ・トツプ・サーフエ
ス・ナツクル１１５を有している。非圧接部１１
６は非圧縮帯域を示し、これらの帯域は２本のた
て糸と１本のよこ糸とに及んでいる。この点では
第７図の織物６０の場合と同一である。 第１５図は、本発明の紙シートを製造するのに
使用される他の例のインプリント処理用織物１２
０の一部分の平面図である。織物１２０は、たて
糸１２１−１から１２１−８とよこ糸１２２−１
から１２２−８とから構成されていると共に１、
４、７、２、５、８、３、６のワープ・ピツク・
セクユエンスで製織された８ヒ口の朱子織織物で
ある。たて糸、よこ糸はそれぞれ共面のトツプ・
サーフエス・プレーン・ナツクル１２３，１２４
を有していると共に、たて糸は２つずつのサブ・
トツプ・サーフエス・ナツクル１２５を有してい
る。非圧接部１２６は実質上等方性の非圧縮帯域
で、同数即ち２本のたて糸とよこ糸とに及んでい
る。 第１６図は、本発明の紙シートを製造するのに
使用される他の例のインプリント処理用織物１３
０の一部分の平面図である。織物１３０は、たて
糸１３１−１から１３１−９とよこ糸１３２−１
から１３２−９とから構成されていると共に１、
５、９、４、８、３、７、２、６のワープ・ピツ
ク・セクユエンスで製織された９ヒ口の朱子織織
物である。たて糸、よこ糸はそれぞれ共面のトツ
プ・サーフエス・プレーン・ナツクル１３３，１
３４を有すると共に、たて糸は２つで一組のサ
ブ・トツプ・サーフエス・ナツクル１３５を有し
ている。非圧接部１３６は非圧縮帯域で、２本の
たて糸と１本のよこ糸に及んでいる。 第１７図は、本発明の紙シートを製造するのに
使用される他の例のインプリント処理用織物１４
０の一部分の平面図である。織物１４０は、たて
糸１４１−１から１４１−５とよこ糸１４２−１
から１４２−５とから構成されている。そして、
織物は、各よこ糸を２本のたて糸の上と３本のた
て糸の下とに通すと共に、次のよこ糸を前のよこ
糸が上を通つた一対のたて糸に隣接した次の２本
のたて糸の上に通すことによつて製織されてい
る。このように、隣接したよこ糸のナツクルは、
各ナツクルに及んだフイラメント数によつて互い
に相殺される。たて糸、よこ糸はそれぞれ共面の
トツプ・サーフエス・プレーン・ナツクル１４
３，１４４を有すると共に、たて糸はサブ・トツ
プ・サーフエス・ナツクル１４５を有している。
非圧接部１４６は実質上等方性の非圧縮帯域を示
し、１本のたて糸と１本のよこ糸に及んでおり、
１つのサブ・トツプ・サーフエス・ナツクル１４
５に形成されている。 第１８〜１９図は、それぞれ第１７図の１８−
１８線、１９−１９線に沿つて取られた断面図で
ある。第１８〜１９図からヒートセツトした際の
たて糸とよこ糸との蛇行性やナツクル１４３，１
４４，１４５の相対的位置がわかる。各サブ・ト
ツプ・サーフエス・ナツクル１４５上にある非圧
縮帯域の状態は第１９図に最も良く示されてい
る。 第２０図は、本発明の紙シートを製造するのに
使用される他の例のインプリント処理用織物１５
０の一部分の平面図である。織物１５０は、たて
糸１５１−１から１５１−７とよこ糸１５２−１
から１５２−７とから構成されていると共によこ
糸を３本のたて糸の上と４本のたて糸の下とに製
織された７ヒ口の混成織物である。また、次のよ
こ糸を、前のよこ糸が上を通つた３本のたて糸に
隣接した次の３本のたて糸の下に通す。隣接した
よこ糸のナツクルは各ナツクルに及んだフイラメ
ント数によつて相殺される。同様に、各たて糸の
ナツクルは、各たて糸のナツクルに及んだよこ糸
のフイラメント数によつて隣接のたて糸のナツク
ルから相殺される。たて糸、よこ糸はそれぞれ共
面のトツプ・サーフエス・プレーン・ナツクル１
５３，１５４を有すと共に、たて糸は一対のサ
ブ・トツプ・サーフエス・ナツクル１５５を有し
ている。非圧接部１５６は非圧縮帯域を示し、２
本のたて糸と１本のよこ糸に及んでいる。 第２１図、第２図はそれぞれ他の例のインプリ
ント処理用織物１６０，１７０の一部分の平面図
である。第２１図の織物１６０には２つずつのサ
ブ・トツプ・サーフエス・ナツクル１６５に及ん
だ等方性の非圧縮帯域があり、一方、第２２図の
織物１７０には３つずつのサブ・トツプ・サーフ
エス・ナツクル１７５に及んだ等方性の非圧縮帯
域がある。第２１図の織物１６０は、たて糸１６
１−１から１６１−１０とよこ糸１６２−１から
１６２−１０とから構成されていると共に同じ長
さの共面のたて糸ナツクル１６３とよこ糸ナツク
ル１６４とが形成されるように製織された10ヒ口
の混成織物である。また、織物１６０は、隣接の
よこ糸１６２のよこ糸ナツクル１６４が各ナツク
ルに及んだフイラメント数によつて相殺されると
共に各一対の隣接したたて糸のナツクルが各たて
糸のナツクルに及んだよこ糸数によつて相殺され
るように製織されている。同様に、織物１７０
は、たて糸１７１−１から１７１−１７とよこ糸
１７２−１から１７２−１７とから構成されてい
る。織物１７０は、よこ糸が４本のたて糸の上に
13本のたて糸の下に通るように製織されており、
共面のたて糸のナツクル１７３とよこ糸のナツク
ル１７４とは同一の長さでこれらのナツクル１７
３，１７４は他の糸の４本分だけの長さがある。 本発明の紙シートを製造するのに使用できるイ
ンプリント処理用織物は上記のものには限定され
ず、たて糸、よこ糸の設け方を変て、ワープ・ピ
ツク・セクユエンスを変えることができることは
勿論である。また、前述のすべての織物はたて糸
とよこ糸のクロスオーバーの両方に共面の平らな
領域を有しているが、本発明はこれには限定され
ない。 本発明の特定の実施態様を説明し記載したが、
本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、
種々の変形や変更を行うことができることは当業
者には明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図はインプリント処理としぼ寄せ処理とが
施された本発明の紙シートの一部分のインプリン
ト処理側の拡大模式図、第２図は拡大の程度が第
１図よりも小さい以外は第１図と同様の模式図、
第３図は第２図の紙シートの反対側（乾燥ドラム
側）の模式図、第４図は従来技術でインプリント
処理としぼ寄せ処理が施された紙の一部分のイン
プリント処理側の模式図、第５図は第４図の紙の
反対側（乾燥ドラム側）の模式図、第６図は本発
明の紙シートを製造するのに使用される抄紙機の
概略側面図、第７図は発生期の紙シートにインプ
リント処理を施すのに使用されるインプリント処
理用織物の部分拡大図、第８図および第９図はそ
れぞれ第７図の８−８線、９−９線に沿つて取つ
た断面図、第１０図は第７図のインプリント処理
用織物のナツクルパターンがつけられた紙シート
の部分拡大図、第１１図は従来のインプリント処
理用織物の部分拡大図、第１２図は織物の製織時
にたて糸を連続的にひ投げすることにより製織さ
れた５ヒ口の朱子織インプリント処理用織物の部
分拡大図、第１３図〜第１６図は本発明の紙シー
トを製造するのに使用される他の例の朱子織イン
プリント処理用織物の部分拡大図、第１７図、第
２０図〜第２２図は本発明の紙シートを製造する
のに使用される他の例の混成織インプリント処理
用織物の部分拡大図、第１８図および第１９図は
それぞれ第１７図の１８−１８線、１９−１９線
に沿つて取つた断面図である。 ４０……紙シート、４０ａ……紙ウエブ、４２
……まくら様非圧縮帯域、４３……ピケツト様輪
郭、６０，７３，９０，１００，１１０，１２
０，１３０，１４０，１５０，１６０，１７０…
…インプリント処理用織物、７０……ヤンキー乾
燥ドラム、７２……ドクターブレード。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ピケツト様輪郭によつてそれぞれ囲繞され比
   較的近接して位置するまくら様非圧縮帯域のパタ
   ーン化された配列を有し、前記ピケツト様輪郭は
   緻密化繊維と比較的非緻密化繊維とが交互に配置
   した区域を有し、前記非圧縮帯域は紙シートの機
   械方向および機械交差方向との両方向に対して千
   鳥状に配列されていることを特徴とする、インプ
   リント処理された柔軟な吸収性紙シート。 ２ しぼ寄せ処理がさらに施されていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載のインプリン
   ト処理された柔軟な吸収性紙シート。 ３ 隣接した上記まくら様非圧縮帯域が十分に近
   接して位置しており、各帯域の機械方向の長さは
   この帯域に対して横方向に隣接された縦方向の一
   対の帯域間の介在物の機械方向の長さよりも長
   く、かつ各帯域の機械の交差方向の長さはこの帯
   域に対して縦方向に隣接された横方向の一対の帯
   域間の介在物の機械の交差方向の幅よりも長いこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項または第２
   項記載のインプリント処理された柔軟な吸収性紙
   シート。 ４ 上記非圧縮帯域の数が１平方インチ当たり約
   15〜約3000であることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項または第２項記載のインプリント処理さ
   れた柔軟な吸収性紙シート。 ５ 上記ピケツト様輪郭を、紙シートを抄紙機で
   製造している際に紙シートの最終乾燥前にインプ
   リント処理用織物により上記紙シート上に形成し
   てなることを特徴とする特許請求の範囲第１項ま
   たは第２項記載のインプリント処理された柔軟な
   吸収性紙シート。 ６ 緻密化繊維と比較的非緻密化繊維とが交互に
   配列したピケツト様輪郭によつて囲繞され、比較
   的近接して位置するまくら様非圧縮帯域が両方向
   に千鳥状に配列した柔軟な吸収性紙シートを製造
   する方法であつて、全体にわたつて実質上均一な
   密度を有する発生期の紙ウエブを形成し；最終乾
   燥前に上記発生期の紙ウエブにインプリント処理
   を施して、緻密化繊維と比較的非緻密化繊維とが
   交互に配列したピケツト様輪郭によつてまくら様
   非圧縮帯域の周辺を別々に囲繞すると共にこれら
   の非圧縮帯域を両方向に千鳥状に配列した紙を形
   成することを特徴とする、前記紙シートの製造
   法。 ７ 上記のインプリント処理された発生期の紙ウ
   エブをしぼ寄せ処理用表面に接着させ；上記ウエ
   ブを十分に乾燥し；十分に乾燥してウエブが紙シ
   ートになつた時に上記ウエブをしぼ寄せ処理用表
   面によりしぼ寄せ処理を施すことを特徴とするし
   ぼ寄せされ、機械の交差方向対機械方向の伸張比
   が比較的高い紙シートを形成する特許請求の範囲
   第６項記載の柔軟な吸収性紙シートの製造法。 ８ 上記まくら様非圧縮帯域を十分にオーバーラ
   ツプされ、非圧縮帯域を十分にオーバーラツプし
   た状態で両方向に千鳥状に配列することを特徴と
   する特許請求の範囲第６項または第７項記載の柔
   軟な吸収性紙シートの製造法。