JPS638443B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、光フアイバ伝送路を有効に利用し
大量の情報を伝送することのできる光多重通信装
置に関するものである。

光フアイバ伝送路は光波長0.7〜1.2μｍの範囲
において、１Km当り５〜6dB以下の伝送損失で光
信号を伝送することができる。しかし単一の光波
長を搬送波として利用する従来の光通信装置で
は、変復調器の性能や光フアイバ伝送路の分散特
性のために伝送路の通信容量を有効に活用するこ
とができなかつた。一方、伝送路の有効利用のた
めに複数の光搬送波を使用する試みも、従来の方
式によれば、複数の光搬送波を合成し一つの光フ
アイバ伝送路へ光信号を結合する手段として、多
層膜反射鏡フイルタあるいはレンズ等の光学部品
を多数組合せて構成した光多重化結合器を用いて
いたために、これらの多数の光学部品を高精度に
配置する必要があり、小型で簡易な通信装置を得
ることはほとんど不可能であつた。また多層膜反
射鏡フイルタを用いた上述の装置では、狭帯域の
フイルタを得ることが困難であるために、多重度
も比較的小さい範囲に抑えられるという欠点があ
つた。

この発明の目的は、上述の欠点を除去し、小型
かつ簡易でしかも高性能な光多重通信装置を提供
することにある。

この発明によれば、光波長が異る複数の光源と
前記光源から発した信号光を伝送路へ結合させる
光多重化結合器とを含む光多重通信装置におい
て、該光多重化結合器として体積形回折格子を用
いたことを特徴とする光多重通信装置が得られ
る。

次に図面を参照してこの発明を詳細に説明す
る。

第１図はこの発明の一実施例を表わす図であ
る。図中、１は波長の異なる光源１１を複数個含
む光信号発生部、２は光信号発生部１と信号伝送
路とを結合する光多重化結合器であつて、体積形
回折格子から構成されている。第２図は、光多重
化結合器を構成する体積形回折格子の動作原理を
説明する図である。回折格子は外見上、透明な厚
さｔの平板である。この回折格子は所定の方向に
誘電率が正弦波的に変化している。第２図に示す
ように格子面と回折波即ち伝送路への結合方向と
が成す角をΘ／２とすれば、回折波が生じる条件
はブラツグ（Bragg）の回折条件に従い、ｄ＝
mλ／2sin（θ／２）である。但しｄは格子面の間
隔、ｍは自然数、λは入射光の回折格子内におけ
る波長、Θは格子への入射角である。回折格子の
厚さｔが十分に厚ければ、上述の回折条件式を満
さない入射波は単に透過するのみでほとんど回折
波を生じない。一方、このような厚みをもつた体
積形回折格子では、回折条件を満す入射波に対し
ては、ほとんど入射波の電力に等しい電力をもつ
回折波を得ることができるという特徴がある。従
つて、複数の光源がそれぞれもつているパラメー
タ（λ1、Θ1）、（λ2、Θ2）、………（λn、Θn）に
対してそれぞれ上述のブラツグ回折条件を満すよ
うな格子面の間隔d1、d2、………dnをもつ正弦
波成分を含んだ体積形回折格子を作成するなら
ば、前記複数の格子成分は対応する光源からの光
のみに作用して、それぞれの信号光を光伝送路の
方向へ回折する。体積形回折格子の厚みをわずか
0.1mm程度にするだけで、この回折格子がもつ波
長選択巾を容易に10mm程度以下にすることがで
き、従つて0.7〜1.2μｍの範囲に50波以上の搬送
波を多重伝送することが可能となる。またホログ
ラフイーを用いた体積形回折格子を利用すれば、
レンズ作用や波面変換機能を含めることができる
から、結合レンズ等を使用しないで、光フアイバ
伝送路とレーザダイオードもしくは発光ダイオー
ドとの結合を高い効率で実現することができる。
更に、この実施例によれば多数のフイルタ類やレ
ンズ類等は含まず、ほとんど体積形回折格子一個
で光多重化結合器が構成できるので、複雑な配置
構成をとる必要がなく、また周期構造から成る回
折格子の特徴として、位置の変動が特性に及ぼす
影響も微小であつて高い配置精度は要求しない。

第３図は、上述の体積形回折格子の作成方法の
一例を示す図である。図中、２０は露光量に比例
して誘電率が変化する性質をもつ感光材料、２１
は光通信装置に用いられるものと等しい波長の光
源、２２は半透鏡、２３はレンズ、２４は光通信
装置と結合される光伝送路と等しい特性をもつ光
フアイバである。第３図はホログラフイで波面を
記録する際の最も一般的手法を表わしており、光
源２１は、露光後に体積形回折格子となる感光材
料に関し対称な位置に置き換えるならば、光通信
装置内において対応する光源と体積形回折格子お
よび光伝送路と全く同一の位置関係にある。感光
材料２０中には、光源２１からの直接光と、光フ
アイバ２４を経た光とが作る干渉縞が記録され
る。光源の種類と位置を上述の原理に基づいて変
えながら、多量露光を行なうことにより、所望の
体積形回折格子を得ることができる。

最後にこの発明が有する特徴を列挙すれば、光
多重化結合の構成が簡易になり、装置を小型にす
ることができること、光学部品の配置精度に対す
る要求を低減できること、光源と光伝送路との結
合効率が高いこと、高い多重度がとれるため伝送
路が有効に利用できること、そして、それらの結
果として小型でかつ高性能な光通信装置が得られ
ることである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を表わす図、第２
図は体積形回折格子の動作原理を説明する図、第
３図は体積形回折格子の作成方法の一例を示す図
である。図中、１は光信号発生部、１１は光源、
２は光多重化結合器、２０は感光材料、２１は光
源、２２は半透鏡、２３はレンズ、２４は光フア
イバである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 波長が異なる複数の光源と前記光源から発し
   た複数の信号光を伝送路へ結合させる光多重化結
   合器とを含む光多重通信装置において、前記光多
   重化結合器として体積形回折格子を用い、かつ該
   体積形回折格子が前記光源側から入射する複数の
   信号光のそれぞれに対応して前記伝送路の方向へ
   同一方向の回折波を生じさせるブラツグ回折条件
   を満す複数の格子成分を内包することを特徴とす
   る光多重通信装置。