JPS636691Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は磁界強さの変調を確実にモニターし得
る回転型磁気探傷装置に関する。

一般に磁気探傷装置は第１図に示すように電磁
石を用いてＳ、Ｎ磁極間に磁界を作り、この磁界
中に被検材１６を入れて磁化し、その表面に存在
する表面傷によつて生じる漏洩磁束を検出するも
のである。

この種装置において、磁界の変調、例えば励磁
コイル１５の断線あるいは短絡等の故障による磁
界強度の低下などが起これば必然的に傷検出能力
が低下するので、これを早期に発見する必要があ
るが、従来の装置には満足すべきモニター装置は
つけられていない。特に電磁石と検出素子が被検
材のまわりを回転する回転型磁気探傷装置におい
ては信号の取り出しが厄介なこともあり、この点
の配慮がなされておらず往々にして長時間に亘り
上記故障に気付かずに検査を行ない大量の被検査
材を再検査しなければならない事態に到ることが
ある。即ち励磁コイルは一般に片極に１個または
２個、合計２個又は４個あるものが多いが、操業
中にこれらのうちの１個又は２個に断線あるいは
短絡が起つて磁界の強さが、例えば半分になつた
としても、このことは殆んど気付かれないままに
なつていた。

本考案は上記に鑑みてなされたもので、その要
旨は、回転型磁気探傷機において、少くとも一方
の磁極の鉄心の一部に埋め込むか又は貼り付けた
磁気感応素子９と、該磁気感応素子からの信号電
力を傷検出用素子１からの信号電力にスリツプリ
ングの直前で重畳させる電気回路１０と、スリツ
プリングにより伝送された該重畳信号から直流分
を取り出すローパスフイルター１１と、該ローパ
スフイルターからの信号電力の判定警報回路１２
と、からなる磁界モニターを備えたことを特徴と
する回転型磁気探傷装置である。

次に本考案を図面に基き詳細に説明する。第１
図は、回転型磁気探傷装置の正面概要図で且つ本
考案における磁気感応素子９の取り付け位置をも
示す図、第２図は本考案装置の信号系のブロツク
回路図である。第２図において１〜７は回転型磁
気探傷装置において一般に用いられている電気回
路であつて、傷検出用素子１（一般に６〜８個程
度が第１図の奥行き方向に並べられている）によ
り得られる傷信号を増幅回路２により増幅し、次
いで時分割送信回路３により統合し、スリツプリ
ング４を介して回転系から送り出し、次に時分割
受信回路５により再び分離し、増幅整波回路６に
より増幅と波形整形を行ない、判定弁別記録回路
７により必要な処理を行なわせるものである。本
考案においてはこれに加えモニター回路８を付加
したものである。即ち、磁気感応素子９を第１図
に１例を示す如く磁極鉄心に取りつけて鉄心内又
は鉄心表面を流れる磁界強度を電力信号に変換さ
せ、これを増幅回路２′により適切に増幅し、こ
れを傷信号電力の上に重畳回路１０により重畳し
てスリツプリング４を通過させる。次にスリツプ
リングを通過後の重畳信号からローパスフイルタ
ー１１により直流分を取り出し、増幅判定警報回
路１２に送り必要な処理を行なわせるものであ
る。以上が本考案における磁界モニター回路の構
成である。次にモニター回路８の個々について述
べる。まず磁気感応素子９は、磁気に感応して電
力を発生する磁気センサーとして一般に用いられ
るものを用いる。また磁気感応素子の取り付け位
置は第１図に示す如く、鉄心１３の正面又は背面
のなるべく磁極端に近い部分の鉄心を少し堀り込
んで埋め込むか貼りつける。この種素子は薄いも
のでは約１mm厚さのものもある。第１図には磁極
先端部を被検材の寸法によつて交換可能にしたも
のを示したが、この場合は図の如く交換部分直近
の本体部分に取りつけるのがよい。交換部分に取
りつけると交換の度に結線や電力レベル調整を行
なわねばならないので厄介である。また本実施例
においてSN両電磁極にそれぞれ１個計２個取り
つけたのは一方だけの場合だと反対極のコイルに
故障が発生した時の信号低下が正確に表われない
かも知れないことを懸念したものであるが、どち
らか一方だけでも充分である。次に傷信号と磁界
信号の重畳は、本考案における要部である。即ち
磁界モニター信号は異常がない限り変化しない直
流電力として現れ、一方傷信号は殆んど直流分の
ない少なくとも数百サイクル以上から数千サイク
ルに到る高周波電力である。このことが重畳と再
分離を可能にしているのであつて、本考案はこの
点を利用したものである。第３図に傷信号および
重畳信号のオツシロ波形の１例を示す。重畳に際
しては両者の源流に相互に影響しないように配慮
した適切な重畳回路１０を用いる。重畳信号がス
リツプリング通過後ローパスフイルター１１によ
り再分離するが、これは周波数が零又は零に近い
ものを磁界モニター信号として取り出すことによ
り行なう。増幅判定警報回路１２は特別なものは
必要でなく一般に用いられる手段を用いればよ
い。

以上のとおり本考案になる磁界モニターを備え
た回転型磁気探傷装置は、磁界強さの低下に気付
かないまま検査が行なわれてそのまま出荷され又
は再検査されるなどの事故を皆無にし、検査の信
頼性の向上に大いに貢献するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転型磁気探傷装置の正面概要説明
図、第２図は本考案装置の信号系のブロツク回路
図、第３図は傷信号と重畳信号の波形を示す図で
ある。 １……傷検出用素子、２……増幅回路、３……
時分割送信回路、４……スリツプリング、５……
時分割受信回路、６……増幅整波回路、７……判
定弁別記録回路、８……磁界モニター回路、９…
…磁気感応素子、１０……重畳回路、１１……ロ
ーパスフイルター、１２……判定警報回路、１３
……鉄心、１４……交換磁極、１５……励磁コイ
ル、１６……被検査材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転型磁気探傷装置において、少くとも一方の
   磁極の鉄心の一部に埋め込むか又は貼りつけた磁
   気感応素子と、該磁気感応素子からの信号電力を
   傷検出用素子からの信号電力にスリツプリングの
   直前で重畳させる電気回路と、スリツプリングに
   より伝送された該重畳信号から直流分を取り出す
   ローパスフイルターと、該フイルターからの信号
   の判定警報回路とからなる磁界モニターを備えた
   ことを特徴とする回転型磁気探傷装置。