JPS6357643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、外側のレーススリーブと、このレー
ススリーブ内で同心的に配置されている案内スリ
ーブとより成つている長手方向に運動可能な軸を
支承するための玉軸受けであつて、該案内スリー
ブは、その円周に沿つて分配されている玉循環レ
ースを有しており、各玉循環レースは、軸受け軸
線に対して平行な直線状の２つのレース区分とこ
れらのレース区分を互いに接続している半円形の
２つのレース区分とより成つており、玉循環レー
ス内で案内されている多数の玉は一方の直線状レ
ース区分内でのみ負荷されており、残りのほぼＣ
字形のレース区分内では負荷されていない形式の
ものに関する。

このような玉軸受けは種種の構造のものが公知
になつている。しかしながら従来は、完全に衝撃
なしに玉を循環させることができなかつた。この
ためしばしば機能障害が生じ、玉軸受けが早期に
破損した。衝撃的に玉が循環する原因は、個々の
玉循環レースの玉が負荷されないレース区分内で
玉がずれ動いて、いわゆるジヤミングが生ずるこ
とに存している。すなわち、玉が負荷されるレー
ス区分と異なつて玉が負荷されないレース区分に
おいては玉の強制案内が行われないので、案内ス
リーブ内で遊び分だけ玉が側方に逃げることがで
き、このため個個の玉の間の所定の遊びが変化
し、特に、強制案内の行われないレース区分内で
個個の玉が密着することにより玉の循環が妨げら
れ、ジヤミングが生じるのである。

このような現象を抑制するために、各玉循環レ
ースの若干の箇所において玉の間にばね作用をも
つ中間片をそう入することが既に提案されてい
る。しかしながらこのような解決策の欠点は、中
間片のところでは玉が存在していないために軸受
けの負荷支持能力が著しく減少せしめられるこ
と、並びに、大きな速度及び加速度が生じるとば
ね作用をもつ中間片が短時間で破損し、玉軸受け
が必然的に破損することである。

本発明の目的は、最初に述べた形式の玉軸受け
を改良して、前述の欠点を簡単な形式で取り除
き、衝撃なしに玉が循環し、玉軸受けの耐用寿命
を長くし得るようにすることである。

この目的を達成するために本発明の構成では、
玉循環レースが、Ｃ字形のレース区分の少なくと
も１つの箇所に弾性的にたわむ範囲を有している
ようにした。この場合、弾性的にたわむ範囲は、
ばね作用を有しているか又はばね作用下にあつて
レース区分を仕切つている部材によつて構成する
ことができる。このような構成によつて、玉軸受
けの負荷支持能力を減少させることなしに玉のジ
ヤミングを阻止することができる。

弾性的にたわむ部材は、レーススリーブ又は案
内スリーブと一体に構成しておくことができる。
このようにすると、玉軸受けの組み立てが特に簡
単になる。すなわち、付加的な部品が必要でない
からである。

しかしながら、弾性的にたわむ部材を別個に作
つて、レーススリーブ又は案内スリーブにばね作
用を以て支えておくこともできる。これにより、
玉軸受けの組み立ての費用がわずかに高価になる
けれども、個個の部品の形状が簡単になるので、
その製作費が安価になる。

本発明の１実施態様では少なくとも、一方の半
円形レース区分の範囲内でレーススリーブと案内
スリーブとの間にばね弾性部材が配置されてお
り、これは、半径方向で外方に向かつてばね作用
を以てたわむようになつている。このような部材
は非切削加工で安価に製作することができ、玉軸
受けの組み立ての際に簡単に組み込むことができ
る。

本発明の別の実施態様では少なくとも、一方の
半円形レース区分がその軸方向外方範囲を、半径
方向及び（又は）軸方向で外方に向かつてばね作
用を以てたわむ部材によつて仕切られている。こ
の実施態様によれば、別個に作られた弾性部材で
も、また、レーススリーブ又は案内スリーブと一
体に構成された弾性部材でも使用することができ
る。

更に別の実施態様では、直線状の負荷されない
レース区分が、ばね作用を有している接線方向の
少なくとも１つの条片によつて仕切られている。
このようにすると、直線状の負荷されないレース
区分がほぼ全体的に弾性的にたわむようになる。

案内スリーブを合成樹脂から作り、ばね作用を
以てたわむ部材を、一体に形成されている舌状部
として構成すると有利である。すなわち、このよ
うにすると、弾性的にたわむ範囲が増大せしめら
れる。なぜなら、舌状部は、半径方向でも、ま
た、軸方向でも、弾性的なばね作用を以てたわむ
ことができるからである。

しかし、ばね作用を以てたわむ部材を板ばねと
して構成し、これを、案内スリーブの切り欠き内
にそう入しておくことも可能である。このように
すると、少なくとも一方の半円形のレース区分
に、玉のジヤミングを阻止する弾性的な範囲が形
成される。

本発明の別の実施態様では、ばね作用を以てた
わむ部材が、軸方向に運動可能なスライダとして
構成されており、該スライダは、半円形レース区
分に向いたその面をこのレース区分の仕切り面形
状に合わせて成形されており、かつ、ばねの作用
を受けている。このようなスライダはその形状に
基づいて、半円形のレース区分のほぼ全体を弾性
的にたわみ得るようにする。

更に、直線状の負荷されないレース区分の範囲
内でレーススリーブと案内スリーブとの間に金属
条片を配置して、該金属条片を案内スリーブに固
定し、半径方向で外方に向かつてたわむようにす
るとよい。このようにしても、直線状の負荷され
ないレース区分のほぼ全体が弾性的にたわむよう
に構成される。

弾性的にたわむ範囲が作業中に生ずる慣性力に
よつて破損することを防止するために、弾性的に
たわむ部材が、一定のばね行程を行うと、レース
スリーブ又は案内スリーブに接触するようにする
ことが可能である。しかし、弾性的にたわむ部材
が一定のばね行程を行うと、玉が、レーススリー
ブ及び（又は）案内スリーブに接触するようにす
ることもできる。

複数の弾性範囲が１つの玉循環レースに設けら
れている場合には、弾性的な部材の相互間隔が、
順次に続いている２つの玉の中心間隔の整数倍と
異なつているようにするのがよい。このようにす
ると、負荷されないレース区分内を非強制的に通
過する玉のうちの常に少なくとも１つの玉がばね
作用を以て支えられることになり、弾性的な部材
が同時に同じ距離だけ外方にばね行程を行うこと
がない。

以下においては、図面に示した実施例に基づい
て本発明の構成を具体的に説明する。

第１図〜第１１図に示した玉軸受けは外側のレ
ーススリーブ１と、このレーススリーブ内に同心
的に配置されていて円周に沿つて分配された多数
の玉循環レース３を有している案内スリーブ２と
より成つており、該玉循環レース３内では多数の
玉４が案内されている。玉循環レース３は、直線
状の２つのレース区分５及び６と、これらのレー
ス区分を互いに接続している半円形の２つのレー
ス区分７とによつて形成されており、この場合玉
４は、直線状のレース区分５内でのみ負荷されて
おり、直線状のレース区分６と半円形のレース区
分７とより成るほぼＣ字形の残りのレース区分８
（第４図）内では負荷されていない。

第１図及び第２図においては、直線状の負荷さ
れないレース区分６の範囲内でレーススリーブ１
と案内スリーブ２との間にばね作用を有する条件
９が配置されており、この条片９は、案内スリー
ブ２に固定されていて、半径方向で外方に向かつ
てばね作用を以てたわむことができる。

第３図及び第４図に示すように、半円形の一方
のレース区分７の範囲内でレーススリーブ１と案
内スリーブ２との間にばね弾性部材１０が配置さ
れており、これは、半径方向で外方に向かつてば
ね作用を以てたわむことができる。

第５図及び第６図に示した実施例では案内スリ
ーブ２は合成樹脂から成つている。この場合、ば
ね弾性部材は、案内スリーブ２に一体に形成され
た舌状部１１として構成されていて、半径方向及
び軸方向にばね作用を以てたわむことができる。

第７図及び第８図に示した実施例では半円形の
両方のレース区分７に弾性的にたわむ範囲が設け
られている。この場合、ばね作用を以てたわむ部
材は板ばね１２として構成されていて、案内スリ
ーブ２の切り欠き１３内にそう入されている。特
に、第８図から分かるように、板ばね１２の相互
間隔は、順次に続く２つの玉の中心間隔の整数倍
とは異なつている。

第９図及び第１０図によればばね作用を以てた
わむ部材は軸方向に可動のスライダ１４より成
り、これは、半円形のレース区分７に向いたその
面１５を、このレース区分の輪郭形状に合わせて
成形されており、かつ、ばね１６の作用下にあ
る。

第１１図に示した実施例では直線状の負荷され
ないレース区分６は接線方向でばね作用をもつ条
片１７によつて仕切られており、該条片１７は、
案内スリーブ２の切り欠き１８内にそう入されて
いる。

弾性的にたわむ部分の過負荷を避けるために、
第１図〜第４図に示した実施例では、金属製の条
片９若しくはばね弾性部材１０が所定のばね行程
の後にレーススリーブ１に当接するようになつて
いる。第７図・第８図及び第１１図に示した実施
例では板ばね１２若しくは条片１７のためのスト
ツパを案内スリーブ２が形成している。最後に、
第５図・第６図・第９図及び第１０図の実施例で
は、舌状部１１又はスライダ１４が所定のばね行
程を行うと、レーススリーブ１及び（又は）案内
スリーブ２に玉４が当たる。

図面に示した弾性的にたわむ部材は、軸受けの
構造に合わせて、あるいはそれ自体の製作を容易
にするために更に変化させることができる。

例えば、第１図及び第２図に示した条片の少な
くとも一端部を互いに結合して、半径方向で内方
に向いたウエブの代わりにリング形のつばを形成
しておくことも可能である。

また、第３図及び第４図に示したばね弾性部材
は全ての玉循環レースをカバーする一体のスリー
ブとして構成しておいてもよいし、あるいは各玉
循環レースにリング形のばね弾性区分を設けてお
くことも考えられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明による玉軸受けの横断面図、
第２図は、第１図の−線に沿つた部分的縦断
面図、第３図は、第１図のＡ−Ａ線に沿つた縦断
面図、第４図は、第３図の−線に沿つた断面
図、第５図は、第１図のＡ−Ａ線に沿つた部分的
縦断面図、第６図は、第５図の−線に沿つた
断面図、第７図は、第１図のＡ−Ａ線に沿つた縦
断面図、第８図は、第７図の−線に沿つた断
面図、第９図は、第１図のＡ−Ａ線に沿つた部分
的縦断面図、第１０図は、第９図のＸ−Ｘ線に沿
つた断面図、第１１図は、第１図のＡ−Ａ線に沿
つた縦断面図である。 １……レーススリーブ、２……案内スリーブ、
３……玉循環レース、４……玉、５〜８……レー
ス区分、９……条片、１０……ばね弾性部材、１
１……舌状部、１２……板ばね、１３……切り欠
き、１４……スライダ、１５……面、１６……ば
ね、１７……条片、１８……切り欠き。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外側のレーススリーブと、このレーススリー
   ブ内で同心的に配置されている案内スリーブとよ
   り成つている長手方向に運動可能な軸を支承する
   ための玉軸受けであつて、該案内スリーブは、そ
   の円周に沿つて分配されている玉循環レースを有
   しており、各主循環レースは、軸受け軸線に対し
   て平行な直線状の２つのレース区分とこれらのレ
   ース区分を互いに接続している半円形の２つのレ
   ース区分とより成つており、玉循環レース内で案
   内されている多数の玉は一方の直線状レース区分
   内でのみ負荷されており、残りのほぼＣ字形のレ
   ース区分内では負荷されていない形式のものにお
   いて、玉循環レース３が、Ｃ字形のレース区分８
   の少なくとも１つの箇所に弾性的にたわむ範囲を
   有していることを特徴とする、長手方向に運動可
   能な軸を支承するための玉軸受け。 ２ 弾性的にたわむ範囲が、ばね作用を有してい
   るか又はばねの作用下にあつてレース区分８を仕
   切つている部材によつて形成されている特許請求
   の範囲第１項記載の玉軸受け。 ３ 弾性的にたわむ部材が、レーススリーブ１又
   は案内スリーブ２と一体に構成されている特許請
   求の範囲第２項記載の玉軸受け。 ４ 弾性的にたわむ部材が別個に作られていて、
   レーススリーブ１又は案内スリーブ２にばね作用
   を以て支えられている特許請求の範囲第２項記載
   の玉軸受け。 ５ 少なくとも、一方の半円形レース区分７の範
   囲内でレーススリーブ１と案内スリーブ２との間
   にばね弾性部材１０が配置されており、これは、
   半径方向で外方に向かつてばね作用を以てたわむ
   特許請求の範囲第４項記載の玉軸受け。 ６ 少なくとも、一方の半円形レース区分７がそ
   の軸方向外方範囲を、半径方向及び（又は）軸方
   向で外方に向かつてばね作用を以てたわむ部材に
   よつて仕切られている特許請求の範囲第３項記載
   の玉軸受け。 ７ 直線状の負荷されないレース区分６が、ばね
   作用を有している接線方向の少なくとも１つの条
   片１７によつて仕切られており、該条片は、案内
   スリーブ２の切り欠き１８内にそう入されている
   特許請求の範囲第３項記載の玉軸受け。 ８ 案内スリーブ２が合成樹脂から成つていて、
   ばね作用を以てたわむ部材が、一体に形成されて
   いる舌状部１１として構成されている特許請求の
   範囲第６項記載の玉軸受け。 ９ ばね作用を以てたわむ部材が板ばね１２とし
   て構成されており、該板ばねは、案内スリーブ２
   の切り欠き１３内にそう入されている特許請求の
   範囲第６項記載の玉軸受け。 １０ ばね作用を以てたわむ部材が、軸方向に運
   動可能なスライダ１４として構成されており、該
   スライダは、半円形レース区分７に向いたその面
   １５をこのレース区分の仕切り面形状に合わせて
   形成されており、かつ、ばね１６の作用下にある
   特許請求の範囲第６項記載の玉軸受け。 １１ 直線状の負荷されないレース区分６の範囲
   内でレーススリーブ１と案内スリーブ２との間に
   ばね作用を有している条片９が配置されており、
   該条片は、案内スリーブ２に固定されていて、半
   径方向で外方に向かつてばね作用を以てたわむ特
   許請求の範囲第４項記載の玉軸受け。 １２ 弾性的にたわむ部材が、一定のばね行程を
   行うと、レーススリーブ１又は案内スリーブ２に
   接触するように配置されている特許請求の範囲第
   ２項記載の玉軸受け。 １３ 弾性的にたわむ部材が一定のばね行程を行
   うと、玉４が、レーススリーブ１及び（又は）案
   内スリーブ２に接触するように、弾性的にたわむ
   部材が配置されている特許請求の範囲第２項記載
   の玉軸受け。 １４ 複数の弾性範囲が１つの玉循環レース３に
   設けられている場合に、弾性的な部材の相互間隔
   が、順次に続いている２つの玉４の中心間隔の整
   数倍と異なつている特許請求の範囲第１項記載の
   玉軸受け。