JPS6344799B2

JPS6344799B2 -

Info

Publication number: JPS6344799B2
Application number: JP55159278A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Takeuchi; Kazumasa Yamamoto
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1980-11-11
Filing date: 1980-11-11
Publication date: 1988-09-06
Also published as: JPS5783594A

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野本発明は高分子材料より成る円盤（以下デイス
クと称す）の表面に刻んだ連続溝に記録された信
号を、前記溝に沿つて摩擦摺動する接触針（以下
針と称す）によつて再生する装置に用いるデイス
ク用潤滑剤に関し、デイスクと針との摩擦係数を
低減し、摩耗による特性の劣化や寿命の低下、及
び摩擦による静電気の発生を防止することが可能
なデイスク用潤滑剤を提供するものである。従来の技術一般にオーデイオ用、またはビデオ用デイスク
の材料には加工性、記録精度、量産性、価格等か
らプラスチツク材料（例えば塩化ビニルと酢酸ビ
ニルの共重合体等）が広く用いられていた。しか
し、このようなプラスチツク材料より成るデイス
クを再生する場合、ダイヤモンドやサフアイヤ等
の超硬質材料より成る針との摩擦によつて、デイ
スクと針との接触面は双方共に摩擦し、例えばオ
ーデイオデイスクに於いてはこの摩耗が原因とな
つて音響的な歪の増大や、特性の劣化等の悪影響
が生じていた。又、別の問題として、デイスクと針との摩擦に
よつて静電気が発生し、空気中のゴミやほこりを
吸着したり、放電音がノイズとして再生されるな
どの問題が生じていた。従来はこのようなデイス
クや針に関する問題のうち、静電気や、吸着した
ゴミの除去方法については多くの改善が図られて
きたが、摩擦に関してはあまりその例がなかつ
た。最近、デイスクと針の摩擦に関する改善例とし
て、(1)シリコン系の潤滑用オイルによる表面コー
テイング、(2)四フツ化エチレン樹脂薄膜のコーテ
イング（特開昭49―22102号公報）、(3)フツ素化ア
ルキルエステル等のフツ素を含んだ界面活性剤を
混合、稀釈した溶液を用いる方法（特開昭54―
45456号公報）などが提案されている。発明が解決しようとする課題しかしながら、前記(1)のシリコン系等の潤滑オ
イルを用いた場合、塗布後も表面に粘性が残るた
め、ゴミやほこりの付着が著しく、ノイズ源とな
る他、摩擦係数が不安定でありトレース条件が安
定しなかつた。また、前記(2)の四フツ化エチレン
樹脂薄膜をコーテイングする方法では四フツ化エ
チレンの体積固有抵抗が従来のデイスク盤材料に
比べて高いため、摩擦による帯電現象が著しくな
つてほこり、ゴミの吸着や放電現象が活発とな
り、ノイズ源として悪影響を与えていた。さら
に、前記(3)の方法では潤滑効果が低く、またフツ
素化アルキルエステルが高価な界面活性剤である
という欠点を有していた。本発明はこのように従来より存在するデイスク
と針との潤滑方法の欠点を排除し、デイスク表面
に容易に、しかも安価に潤滑被膜を形成すること
が出来るデイスク用潤滑剤を提供するものであ
る。課題を解決するための手段本発明のデイスク用潤滑剤は、パルミチン酸ま
たはマーガリン酸またはステアリン酸とポリオキ
シエチレン（C₂H₄O）₁₀Hとのエステル結合から
なるポリオキシエチレン型アルキルエステルを主
成分とし、このポリオキシエチレン型アルキルエ
ステルを溶剤で稀釈したものである。作用本発明の潤滑剤をデイスク表面に塗布すると、
溶剤が蒸発するためデイスク表面にポリオキシエ
チレン型アルキルエステルの個体の膜を形成する
ことができ、摩耗係数を小さくすることができ
る。実施例以下、本発明のデイスク用潤滑剤の一実施例を
説明する。ステアリン酸（C₁₇H₃₅）COOHにポリオキシ
エチレンを10モル付加してなるステアレートをト
リクロロ、トリフロロエタンで0.005重量％に稀
釈し、不溶分を濾過して潤滑剤を作製した。〔比較例１〜４〕ステアリン酸（C₁₇H₃₅）COOHにポリオキシ
エチレンを３，５，15，20モル付加してなるステ
アレートをそれぞれトリクロロ、トリフロロエタ
ンで0.005重量％に稀釈し、不溶分を濾過して潤
滑剤を作製した。〔比較例５〕ラウリルアルコールとステアリン酸（C₁₇H₃₅）
COOHを混合し、所定の処理により作製したラ
ウリルステアレートをトリクロロ、トリフロロエ
タンで0.005重量％に稀釈し、不溶分を濾過して
潤滑剤を作製した。〔比較例６〕常温大気圧下で固体である脂肪酸変性シリコ
ン、液体状の脂肪酸変性シリコンをトリクロロ、
トリフロロエタンで0.005重量％に稀釈し、不溶
分を濾過して潤滑剤を作製した。〔比較例７〕ポリエチレン（C₂H₄）ｎのＨをすべてフツ素
化したフツ素化アルキルエステル（固体）をトリ
クロロ、トリフロロエタンで0.005重量％に稀釈
し、不溶分を濾過して潤滑剤を作製した。上記実施例、及び比較例の潤滑剤を酢酸ビニル
と塩化ビニルの共重合体より成るテストピース上
に塗布し、放置乾燥すると、潤滑剤中の溶剤は室
温、大気圧下で蒸発するため、デイスク表面には
固体の被膜が形成される。第１図に示す測定装置
で摩擦係数を測定した結果を表―１に示す。第１図に示す測定装置は、テストピース１の表
面に前記潤滑剤をポンプ式スプレーで等量噴霧し
たサンプル２を移動テーブル３上に固定し、先端
が10μｍの球面形状のダイヤモンド針４を上記サ
ンプル２上に一定荷重Ｗで圧接させるものであ
り、一定速度Ｖでテーブル３を移動させた時にダ
イヤモンド針４に加わる引張り荷重Ｆを、平行な
板バネ５，５′に固定した歪ゲージ６，６′を測定
し、圧接荷重Ｗ殿比により、摩擦係数μ＝Ｆ／Ｗ
を求めたものである。

【表】

【表】第１図において、７はダイヤモンド針４のホル
ダー、８は針先高さ調整ネジ、９は針先高さ固定
ネジ、１０は支点、１１は荷重調整おもりであ
る。第２図、第３図は本発明の潤滑剤、及び比較例
の潤滑剤をレコード盤に塗布した場合の再生出力
レベル、及び第３高調波歪のレベルを示したもの
である。第２図、第３図において、ａは本発明の
潤滑剤を塗布しないレコード盤の１回目の特性、
ｂは潤滑剤を塗布しないレコード盤の100回目の
特性、ｃは本発明の潤滑剤を塗布したレコード盤
の100回目の特性、ｄは比較例の潤滑剤を塗布し
たレコード盤の100回目の特性を示しており、本
発明によれば摩擦係数が小さくなるため、溝の追
随性が良好になると共に、摩擦による針や溝の摩
耗が少なくなるため、再生出力レベルの低下がな
くなり、第３次高調波のレベルが向上せず、初期
の特性を持続することが可能になる。尚、本実施例の潤滑剤に、適当な帯電防止剤、
香料などを混入も可能である。発明の効果以上の実施例の説明からも明らかなように、本
発明は摩擦係数が最も小さいポリオキシエチレン
との結合からなるポリオキシエチレン型アルキル
エステルを主成分とした潤滑剤を用いることに
り、針の追随性が良好になると共に、レコード盤
の摩耗が少なく、初期特性を維持出来る利点を有
するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はデイスクと針との摩擦係数を測定する
装置の斜視図、第２図は本発明の潤滑剤をレコー
ド盤に塗布した際の再生出力レベルを示した図、
第３図は本発明の潤滑剤をレコード盤に塗布した
際の第３次高調波歪レベルを示した図である。１……テストピース、２……サンプル、３……
移動テーブル、４……ダイヤモンド針、５，５′
……板パネ、６，６′……歪ゲージ、７……ホル
ダー。

Claims

【特許請求の範囲】

１パルミチン酸またはマーガリン酸またはステ
アリン酸と、ポリオキシエチレン（C₂H₄O）₁₀H
とのエステル結合からなるポリオキシエチレン型
アルキルエステルを主成分とし、このポリオキシ
エチレン型アルキルエステルを溶剤で稀釈して成
るデイスク用潤滑剤。