JPS6344429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は省エネルギー型コンベア式焼結炉に関
するものである。

一般に鉄系焼結品を製造する手段としてコンベ
ア式の焼結炉が汎用されており、その構造は電熱
加熱又はガス加熱による急速加熱脱ろう部と焼結
部と冷却部を順次連設し、それらにコンベアベル
トを通し、炉外から変成ガスを焼結部に導入し脱
ろう部端の入口と冷却部端の出口から流出させる
ようになつていた。

しかしこの構造では、焼結炉と別個具備した変
成炉により保護ガス生成することから、設備費が
高価になると共に設置スペースが大となりかつ変
成炉反応管加熱用のエネルギーを多量消費するた
めランニングコストが高価になるという問題があ
つた。

この対策として、特開昭58−123801号公報にお
いて、焼結炉炉内に反応管を設け、焼結用の加熱
エネルギーを利用して反応管を加熱し、炉内で保
護ガス（変成ガス）を直接生成する提案がなされ
ている。この方式によれば、さきの炉外変成方式
に較べかなり省エネルギー化を達成できる。しか
し、このような炉内変成方式を採用しても、脱ろ
う部において高価な熱エネルギーを多量消費する
欠点がある。

本考案は前記のような従来のコンベア式焼結炉
の不具合を解消し、コンパクトな構造でしかもエ
ネルギーコストを大幅に節減して良好な脱ろう、
焼結を行うことができる省エネルギー、省資源型
のこの種焼結炉を提供しようとするもので、その
特徴とするところは、焼結部に触媒管を内設して
保護ガスを直接生成させるだけでなく、この保護
ガスを焼結部手前の特殊構造の脱ろう部におい
て、エアと混合撹拌熱焼させることで脱ろうを行
い、脱ろう用の独立したエネルギーを不要ならし
めたことにある。すなわち、本考案は、脱ろう部
と焼結部と冷却部を連設し、それらにコンベアベ
ルトを通した焼結炉において、焼結部１の炉芯管
外側に炉外から供給される原料ガスとエアにより
保護ガスを直接生成して炉芯管中に送給する触媒
管を設けると共に、脱ろう部の入口通路と連絡通
路間の炉体部位に断面積の拡大した急速加熱室を
形成し、該急速加熱室内に、これの内面との間に
環状類似の渦流燃焼用空間を形成するように、炉
底板と多数の通孔を有する天井板を備えた通路を
設け、さらに急速加熱室の下側部には、前記渦流
燃焼用空間の接線方向にエアを吹き込んで焼結部
加熱室から連絡通路を経て流出した吸熱型保護ガ
スを撹拌燃焼させるための複数のエア吹込み部
を、前記通路と交差する関係位置でしかも急速加
熱室の長手方向で位置をずらせて対称的に設けた
ことを特徴とするものである。

以下本考案の実施例を添付図面に基づいて説明
する。

第１図ないし第５図は本考案に係る省エネルギ
ー型コンベア式焼結炉の一実施例を示すもので、
それら図面において、１は焼結部であり、耐火物
によりトンネル状に構築され、内側には所定のピ
ツチで抵抗発熱帯１１が設けられ、この抵抗発熱
帯１１より内側には耐熱鋼などからなる炉芯管１
２が挿設されている。

２は焼結部１の入口側に連設された耐火物製の
脱ろう部で、その前部には入口通路２０が形成さ
れ、後部には炉芯管１２の端部を内挿した連絡通
路２１が形成されている。３は焼結部１の出口側
に連設された冷却部で、水冷ジヤケツトの如きか
らなつており、端部には出口３１が開口してい
る。冷却部内には図示しないがダンパ状の垂片が
配され、出口側からの保護ガス流出量を制御する
ようにしている。４はコンベアベルトで、前後の
ドラム４１，４１に懸回され、駆動機構４２によ
り所定の速度で圧粉体を入口通路２０から脱ろう
部２と、焼結部１および冷却部３を通り出口３１
へと移送するようになつている。

しかして本考案は、第１図ないし第３図の如
く、前記焼結部１の炉芯管上部位置に複数本の触
媒管５，５を設け、それら触媒管５，５に触媒５
０を内蔵させると共に、一端部に炉壁を貫く導入
部５１，５１を設け、この導入部５１，５１に第
１図のごとくプロパンなどの炭化水素系原料ガス
の供給系５２と、エアの供給系５３を結んだ混合
ガス供給系５４を接続している。また、触媒管
５，５の他端部には連管５５を介して炉芯管１２
中に変成ガスを供給する吹込み部５６を設けてい
る。

さらに、本考案は、第１図と第４図および第５
図のように、前記脱ろう部２の入口通路２０と連
絡通路２１とのあいだに急速加熱室６を形成し、
この急速加熱室６にはこれと略同心状に耐火物製
の通路７を内設している。

前記通路７は急速加熱室６の底部のクラ８によ
り支持された炉床板７１と、この炉床板７１と対
向するアーチ状又は山形状の天井板７２とを備え
ていて、通路７と急速加熱室６内面とのあいだに
は環状類似の渦流燃焼用空間９が形成されてい
る。

そして、前記通路７の天井板７２には、触媒管
５により生成され炉芯管１２中を流れた吸熱型保
護ガスを渦流燃焼用空間９中に噴出させるための
多数の通孔１０が板厚を貫くように配設され、さ
らに急速加熱室６の炉幅方向下側壁部とりわけ通
路７の炉床板７１より低いレベルには噴孔を対向
する側壁部すなわち渦流燃焼用空間９の接線方向
に臨ませたエア吹込み部１３，１３′が設けられ
る。そして、本実施例では天井板７２と炉床板７
１のあいだに側部開口１０′，１０′を設けてい
る。

エア吹込み部１３，１３′は一基でもよいが、
効果的な撹拌燃焼を得しめ、渦流燃焼用空間９に
温度の低いゾーンを形成させぬようにするには複
数基を用いることが望ましい。その場合、各エア
吹込み部１３，１３′は炉長手方向で一定の間隔
をおいて、しかも夫々が交互に逆方向の側壁部に
配置されるようにすることが推奨される。

また、急速加熱による脱ろうは適正な温度範囲
内たとえば600〜700℃で行われることが必要であ
り、前記エア吹込み部１３，１３′には自動制御
機構１４を接続している。具体的には急速脱ろう
室６に熱電対などの温度検出器１５を挿設する一
方、エア吹込み部１３，１３′にはエアフイルタ
１６とブロワー１８及び電動弁１７を備えたエア
配管１９を接続し、この電動弁１７と前記温度検
出器１５とを温度調整器２２を介して接続してい
る。温度調整器２２は、所定の温度を設定する設
定回路と、設定温度信号と検出器からの検出信号
とを比較する回路とその偏差に応じた量の駆動信
号を電動弁１７に伝達する回路とを備えている。

本考案によるコンベア式焼結炉の作用を説明す
る。

圧粉体Ａの焼結にあたつては、抵抗発熱帯１１
により炉芯管内の加熱室を所定温度に昇温させ、
原料ガスとエアの各供給系５２，５３及び混合ガ
ス供給系５４を介して混合ガスを導入部５１，５
１に送り込む。混合ガスは加熱されている触媒管
５，５を通過することにより吸熱型保護ガスたと
えば組成が約44％N₂＋32％H₂＋24％COのガスに
変成され、連管５５に集められて吹込み部５６か
ら炉芯管中に供給される。炉芯管中に供給された
吸熱型保護ガスは炉芯管を満たし、さらに脱ろう
部２と冷却部３の方向へと流出する。

脱ろう部側へ流れた吸熱型保護ガスは、従来の
焼結炉においては、そのまま装入口２０′から炉
外へ排気され、装入口直近の集気筒において焼却
されていたものであるが、本考案では、連絡通路
２１から通路７に流入したところで主として通路
７に設けられている通孔１０から外周の渦流燃焼
用空間９に噴出される。

そして、このとき渦流燃焼用空間９の下部接線
方向に設けられている対称配置のエア吹込み部１
３，１３′から、吸熱型保護ガスの流れ方向と交
差する方向からエアが吹込まれ、このエアが通路
７の炉床板７１の下側を通り反対側で立上りさら
に通路７の上側を通過する時計方向および反時計
方向の旋回流を形成し、この旋回流に開口１０，
１０からの吸熱型保護ガスが遭遇することによ
り、強力かつ均一に混合撹拌され、さきのガス組
成中に含まれる可燃成分が渦流燃焼する。これに
より渦流燃焼用空間９と急速加熱室６はあますと
ころなく効果的に高温化される。

この状態でコンベアベルト４により圧粉体Ａを
入口通路２０を経て通路７に移動させれば、吸熱
型保護ガスとエアとの撹拌燃焼により通路内が高
温化し、しかも通路外側に時計方向および反時計
方向の前記施回燃焼流による強力な動圧が形成さ
れている。そのため、圧粉体Ａにきわめて効果的
な熱伝達がなされ、潤滑剤が急速に蒸発する。し
かも蒸発した潤滑剤は開口１０あるいは側部開口
１０′，１０′の開孔に働く吸引力により通路外側
の渦流燃焼用空間９に迅速に吸出されると共に、
圧粉体表面が清掃され、吸熱型保護ガスとエアと
に激しく混合されて撹拌燃焼する。排ガスは入口
通路２０を経て排出される。

以上の過程で、圧粉体はきわめて短時間のうち
に、しかも何ら特別な脱ろう用燃料を用いること
なしに急速脱ろうされ、続いて連絡通路２１から
炉芯管１１に入り、この炉芯管を通過する間に直
接生成の吸熱型保護ガスを雰囲気として焼結さ
れ、冷却部３を通つて取出される。

なお、上記脱ろう過程において、通路内の温度
は温度検出器１５により連続的に検出され、設定
温度と偏差が生じるおそれがあるときには、温度
調整器２２を通して電動弁１７に信号が送られ、
これによりエア吹込み部１３，１３′から環状燃
焼空間中に吹込まれるエア量が調整され、これに
より自動的に脱ろうに最適な条件が持続される。

本考案をコンベアベルト幅450mm、コンベアベ
ルト上の高さ100mm、脱ろうゾーンの長さ500mm、
焼結ゾーンの長さ4500mm、焼結ゾーン中の圧粉体
の滞留時間40分間、ベルト速度110mm／min、炉
容量（ネツト）200Kg／ｈ、炉全長16.6ｍのコン
ベア式焼結炉に適用した結果、脱ろう部長は従来
のコンベア炉の1/3に減少し、さらに脱ろう部を
プロパンとエアとの混合燃焼バーナで直接加熱す
る方式とした場合に要する2.5Nm³／ｈのプロパ
ンが全く不要となり、焼結部品Kgあたり0.70Kwh
を要したエネルギ消費が0.30Kwh／Kgに低減され
た。すなわちエネルギーコストが1/2以下に大幅
に節減された。

以上説明した本考案によるときには、焼結部の
炉芯管外側に触媒管を設け、焼結部内で直接保護
ガスを生成するようにしているため、保護ガス製
造に要する熱エネルギーと特別な変成炉が不要と
なる。しかも脱ろう部２の入口通路２０と連絡通
路２１間の炉体部位に断面積の拡大した急速加熱
室６を形成し、該急速加熱室６内に、これの内面
との間に環状類似の渦流燃焼用空間９を形成する
ように、炉底板７１と多数の通孔１０を有する天
井板７２を備えた通路７を設け、さらに急速加熱
室６の下側部には、前記渦流燃焼用空間９の接線
方向にエアを吹き込んで焼結部加熱室から連絡通
路２１を経て流出した吸熱型保護ガスを撹拌燃焼
させるための複数のエア吹込み部１３，１３′を、
前記通路７と交差する関係位置でしかも急速加熱
室６の長手方向で位置をずらせて対称的に設けた
ため、渦流燃焼用空間９には吸熱型保護ガスの流
れ方向と交差する時計方向と反時計方向の強力な
旋回流が生じ、これに前記通孔１０からの吸熱型
保護ガスが衝突するため強力に撹拌混合され、吸
熱型保護ガスの可燃分が完全燃焼され、そしてそ
の渦流燃焼ガス流は通路７の周りをぐるぐると回
りその一部が天井板７２と炉床板７１間の側部開
口１０′，１０′を介して直接圧粉体に接するた
め、ガスの激しい動きにより通路７を通る圧粉体
全体にまんべんなくに急速な熱伝達が行われ、圧
粉体中の潤滑剤を急速に蒸発させることができる
とともに圧粉体表面が絶えず強力に清掃され、か
つその蒸発潤滑剤は渦流燃焼中の吸熱型保護ガス
とエアとに効率良く混合され、均一な雰囲気とな
つて完全燃焼し、渦流燃焼用空間９をぐるぐると
回る渦流ガス流となる。従つて極めて脱ろう効率
が良好となり、かつコールドゾーンが全く生じな
いため、潤滑剤蒸気の凝結、堆積およびこれの圧
粉体やコンベアベルトへの付着が起らない。

これらにより、単に吸熱型保護ガスの製造が省
エネルギー化されるだけでなく、焼結上枢要な脱
ろう工程を高能率かつ完全化することができ、装
置的にも、脱ろう部長さが短縮され、バーナや脱
ろう用燃料が節約され、蒸発潤滑剤も脱ろう用燃
料として効果的に使用されるコストをきわめて低
減できるというすぐれた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る省エネルギー型コンベア
式焼結炉の一実施例を示す縦断側面図、第２図は
第１図における焼結部の一部拡大図、第３図は同
じくその縦断正面図、第４図は第１図における脱
ろう部の拡大図、第５図は第４図−線にそう
断面図である。 １……焼結部、２……脱ろう部、５……触媒
管、６……急速加熱室、７……通路、９……渦流
燃焼用空間、１０……通孔、１３，１３′……エ
ア吹込み部、２０……入口通路、２１……連絡通
路、７１……炉床板、７２……天井板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 脱ろう部と焼結部と冷却部を連設し、それらに
   コンベアベルトを通した焼結炉において、焼結部
   １の炉芯管外側に炉外から供給される原料ガスと
   エアにより保護ガスを直接生成して炉芯管中に送
   給する触媒管５，５を設けると共に、脱ろう部２
   の入口通路２０と連絡通路２１間の炉体部位に断
   面積の拡大した急速加熱室６を形成し、該急速加
   熱室６内に、これの内面との間に環状類似の渦流
   燃焼用空間９を形成するように、炉底板７１と多
   数の通孔１０を有する天井板７２を備えた通路７
   を設け、さらに急速加熱室６の下側部には、前記
   渦流燃焼用空間９の接線方向にエアを吹き込んで
   焼結部加熱室から連絡通路２１を経て流出した吸
   熱型保護ガスを撹拌燃焼させるための複数のエア
   吹込み部１３，１３′を、前記通路７と交差する
   関係位置でしかも急速加熱室６の長手方向で位置
   をずらせて対称的に設けたことを特徴とする省エ
   ネルギー型コンベア式焼結炉。