JPS6331031Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は組立時に下部タイプレートの取付け
方向を誤りなく装着できるようにした沸騰水型原
子炉用の核燃料体に関する。

最近の沸騰水型原子炉用の燃料集合体では、第
１図イ，ロのように62本の燃料棒１と２本のウオ
ータロツド２，２′とによつて８×８の正方配列
となし、それらの両端部（上下の端栓）を上部タ
イプレート３と下部タイプレート４の蜂の巣状を
なした台板３ａ，４ａにそれぞれ挿通支持し、途
中に数個の格子状のスペーサ５（図では２個だけ
を示した）を配設して燃料棒相互を所定の間隔に
保つようにしたもののが使用されており、そし
て、ウオータロツド２，２′は主としてロ図のよ
うに十字をなす制御棒１０の端部を結ぶ線ｌに平
行な対角線上の中心部に配置し（場合によつては
別の向きの対角線上に置かれることもある）、こ
れを囲むようにしてウラン濃縮度と中性子吸収材
であるガドリニヤ含有量の異なる何種類かの燃料
棒１を一定の状態に配置し（ロ図において燃料棒
中の数字はその種類別を表す）、燃料体の各部に
おける出力が均一になるように設計されている。

このように、燃料棒１とウオータロツド２，
２′の配列状態には方向性が持たされており、ま
た、下部タイプレート４は炉心グリツドへの装着
箱部４ｂのニ側面に設けられた冷却材のリーク孔
４ｃが隣接燃料体間の冷却材の流れを円滑にする
ために同図ハのよう制御棒１０が存在しない側に
位置するように方向ずけられている。

ところで、これまでのようにウオータロツドを
１本用いたもの（その位置は第１図ロにおいて矢
印で示した燃料棒のところ）では、ウオータロツ
ドの下部端栓の断面形状およびこれに対する下部
タイプレート台板の挿通孔の形状を角形にするだ
けで、下部タイプレートの装着方向を間違えるこ
とはなかつたが、上記のように２本のウオータロ
ツドを用いたものでは、同様のやり方では燃料バ
ンドルに対し下部タイプレートの方向を180゜誤つ
て取付ける恐れがある。

この考案はこのような不具合を解消すべくなさ
れたもので、多数の燃料棒を８×８の正方配列と
なし、その一方向の対角線上の中心部に２本のウ
オータロツドを隣接して配置し、それらの上下の
端栓を上部タイプレートと下部タイプレートに嵌
合支持し、途中を数個のスペーサにより保持する
ようにした核燃料体において、下部タイプレート
の台板の中心部における一方のウオータロツドの
下部端栓の挿通孔を多角形となし、これに隣接す
る他方のウオータロツドの下部端栓の挿通孔を上
記挿通孔とは異なる多角形又はねじ孔に形成し、
また、一方のウオータロツドの下部端栓の断面を
下部タイプレートの一方の挿通孔に相似の多角形
に形成し、他方のウオータロツドの下部端栓を下
部タイプレートの他方の挿通孔に相似な多角形又
はねじ杆に形成したことを特徴とする。

第２図ないし第４図はこの考案の一実施例を示
すものであり、第２図における１は内部に多数の
燃料ペレツトを収納した燃料棒であつて、前記の
ようにウラン濃縮度とガドリニヤ含有量を異にす
る何種類かのものが８×８の正方配列をなし、そ
の一方向の対角線（主として制御棒の端部を結ぶ
線に平行な対角線）上の中心部には２本のウオー
タロツド２，２′が配置され、それらの上部端栓
（図示せず）は上部タイプレートの蜂の巣をなし
た台板に嵌挿支持され、また、下部端栓１ｂ，２
ｂ，２b′は下部タイプレート４の同様の台板４ａ
の各挿通孔に嵌挿支持され、そして、上下のタイ
プレートの間には格子状をなした数個のスペーサ
５が配置され、燃料棒１相互の間隔を一定に保つ
ようになされており、また、下部タイプレート４
の装着箱部４ｂの制御棒とは反対側のニ側面には
リーク孔４ｃが設けられ、原子炉の運転中に下方
から流入する冷却材の一部をリークさせ、並列す
る燃料体の間に供給するようにしている。

しかし、このような構成は前記のものと変りな
い。

ところで、この考案では多数の挿通孔を有して
蜂の巣状をなす下部タイプレート４の台板４ａに
おいて、第３図のように装着箱部４ｂの一側面
（第３図で下部側面）に設けられたリーク孔４ｃ
を基準として、その一方の側（例えば右側）に位
置するウオータロツド２の下部端栓２ｂの挿通孔
６ｂは三角形に形成され、また他方の側（左側）
に位置するウオータロツド２′の下部端栓２b′の
挿通孔６ｃは一方のものとは異なつた四角形に形
成されており、そして、一方の挿通孔６ｂに嵌挿
すべきウオータロツド２の下部端栓２ｂの断面は
その孔６ｂより僅かに小さな相似の三角形に形成
され、他方の挿通孔６ｃに嵌挿すべきウオータロ
ツド２′の下部端栓２b′の断面はその孔６ｃより
僅かに小さな相似の四角形に形成されている。

なお、６ａは燃料棒１の下部端栓１ｂのための
多数の挿通孔である。

そこで、核燃料体を組立てるため、作業台上に
下部タイプレート４および数個のスペーサ５を所
定の間隔をおいて配置し、これに多数の燃料棒１
に併せてウオータロツド２，２′を挿通し、それ
らの下部端栓２ｂ，２b′をタイプレート台板４ａ
の挿通孔に嵌挿する際、下部端栓２ｂ，２b′の断
面形状と同じ形状の挿通孔６ｂ又は６ｃが一致し
なければ嵌挿することができないため、下部タイ
プレート４はウオータロツド２，２′および燃料
棒に対し、そのリーク孔４ｃ位置を常に誤ること
なく装着されることになる。

また、このようにまとめられた燃料バンドル
は、その先端部（上端部）に下部タイプレート４
に対すると同様の手段により上部タイプレート
（図示せず）が装着され、その屈曲ハンドルに設
けられた方向指示ボス（第１図の３ｃに相当）よ
り指示されて炉心中に正しく組込まれ、下部タイ
プレート４のリーク孔４ｃは正しい向きに位置ず
けられる。

また、第５図イ，ロは下部タイプレートの台板
４ａにおけるウオータロツドの挿通孔のうち、一
方の側（右側）の孔６ｂを四形となし、他方の側
（左側）の孔６ｃをねじ孔に形成し、これに対す
る一方のウオータロツド２の下部端栓２ｂの断面
を同じく四角形となし、他方のウオータロツド
２′の下部端栓２b′にねじを設けて、挿通孔６ｃ
に蝶合するようにした変更例を示すものであり、
ウオータロツド２，２′に対し下部タイプレート
４を一定の向きに装着する機能は前記のものと変
りない。

また、ウオータロツド２，２′の下部端栓２ｂ，
２b′の断面形状およびこれを嵌挿すべき下部タイ
プレート４の挿通孔６ｂ，６ｃの形状は図示のも
のに限らず、相互に異なる他の多角形としても差
支えない。

以上のようにこの考案では、多数の燃料棒を８
×８の正方配列となし、その一方向の対角線上の
中心部に２本のウオータロツドを隣接して配置す
る核燃料体において、下部タイプレートの台板の
中心部における一方のウオータロツドの下部端栓
の挿通孔を多角形となし、これに隣接する他方の
ウオータロツドの下部端栓の挿通孔を上記の挿通
孔とは異なる多角形又はねじ孔に形成し、これに
対する一方のウオータロツドの下部端栓の断面を
上記一方の挿通孔に相似の多角形に形成し、他方
のウオータロツドの下部端栓を他方の挿通孔に相
似な多角形又はねじ杆に形成したので、核燃料体
の組立時に燃料体に対し下部タイプレート取付け
方向を間違なく装着することができ、出力の低下
を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図イは沸騰水型原子炉用核燃料体の一部切
断側面図。同図、ロは炉心に組込んだ状態の途中
断面図。同図ハは下部タイプレート部分の下面
図。第２２図はこの考案に係る核燃料体の下方部
分の一部断面側面図。第３図は下部タイプレート
の一例の平面図。第４図は２本のウオータロツド
の一例の下方部分の側面図。第５図イは下部タイ
プレートの変更例の平面図。同図ロはウオータロ
ツドの変更例の下方部分の側面図。 図中、１……燃料棒、２，２′……ウオータロ
ツド、２ｂ，２b′……下部端栓、３……上部タイ
プレート、４……下部タイプレート、４ａ……台
板、４ｂ……装着箱部、４ｃ……リーク孔、５…
…スペーサ、６ａ……燃料棒の挿通孔、６ｂ，６
ｃ……ウオータロツドの挿通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多数の燃料棒１を８×８の正方配列となし、そ
   の一方向の対角線上の中心部に２本のウオータロ
   ツド２，２′を隣接して配置し、それらの上下の
   端栓を上部タイプレートと下部タイプレートに嵌
   合支持し、途中を数個のスペーサにより保持する
   ようにしたものにおいて、下部タイプレート４の
   台板４ｂの中心部における一方のウオータロツド
   ２の下部端栓２ｂの挿通孔６ｂを多角形となし、
   これに隣接する他方のウオータロツド２′の下部
   端栓２b′の挿通孔６ｃを上記挿通孔６ｂとは異な
   る多角形又はねじ孔に形成し、また、一方のウオ
   ータロツド２の下部端栓２ｂの断面を下部タイプ
   レート４の一方の挿通孔６ｂに相似の多角形に形
   成し、他方のウオータロツド２′の下部端栓２
   b′を下部タイプレート４の他方の挿通孔６ｃに相
   似な多角形又はねじ杆に形成したことを特徴とす
   る核燃料体。