JPS6327799Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、集塵機、粉体の分級機等として使用
されるサイクロン分離機に関するものである。

〈従来技術〉 集塵機、粉体の分級機として使用されるサイク
ロン分離機は公知である。

かかるサイクロン分離機の一例を示すと、第３
図に示すように断面円形の筒胴ａの上端に該筒胴
ａの接線方向に沿つて供給管ｂが、筒胴ａの下端
には回収口ｃが夫々設けられ、さらに前記筒胴の
上部中心には上下方向に沿つて排気筒ｄが設けら
れてなり、前記供給管ｂから粉塵、被回収粉体を
含有した流体を供給すると、前記筒胴ａの内周面
に沿つて旋回流となり、その旋回中に遠心力の作
用により筒面に粒子が衝突し、該筒面を伝つて前
記回収口から回収される。さらに前記流体は前記
筒胴ａの下部から反転して筒の中心軸に沿つて上
昇し、排気筒ｄから排出される。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところで、流体中の粒子の動作を解析すると、
前記排気筒ｄの下端部周囲で、第３図矢線に示す
ように前記流体中の粒子が筒面に衝突して、その
反発力により前記中心方向に飛込み、反転流に乗
つて、そのまま排気筒ｄから筒外に排出されるこ
とが認められ、捕集効率を低下させ、集塵又は分
級性能を悪化させる原因となつている。特にこの
ことは流体の粒子濃度が高くなる程顕著である。

本考案は前記従来欠点を是正し、良好な分離を
施し得るサイクロン分離機の提供を目的とするも
のである。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、断面円形筒胴の上端に、該筒胴の接
線方向に沿つて供給管を設け、筒胴の下端開口を
回収口とし、さらに前記筒胴の上部中心に上下方
向に沿つて排気管を設けてなるサイクロン分離機
において、前記筒胴の主体部を、前記排気管下端
の位置近傍から下方へ拡径する拡径円錐部と、該
拡径円錐部の下端に連続して下方へ縮径する縮径
円錐部とで構成すると共に、前記拡径円錐部と、
縮径円錐部の間に、回収スリツトを配設したこと
を特徴とするものである。

〈作用〉 粉体を含有する気体、液体等の流体を接線方向
の供給管から筒胴内に送給すると、該筒内でその
内周面に沿つた旋回流が生じる。この流体内の粒
子は、旋回流動中においてその質量に比例する遠
心力と空気の下方流動に伴う送り方向の力を与え
られ、この両者の力の合成力により大粒径のもの
から順次筒面に衝突する。ところで、かかる粒子
の筒面衝突に際して、その反発力により前記中心
方向に跳ね返るものがあるが、筒面は下方に拡径
しているから、その勾配による案内作用と、該拡
径により中心から離間することによつて、粒子は
該筒面に衝突しても、反転気流内への流入を阻止
される。そして、最大拡径位置で、その一部が回
収スリツトに流入し、粒子濃度が低下する。

その後、さらに、縮径円錐部に沿つて摺動落下
し、回収口から回収される。このとき、前記縮径
により、反発粒子が、反転気流側に近接してくる
が、前記回収スリツトからの排出により、粒子密
度が低下し、かつ排気管から遠ざかつているため
に、該反転気流による搬送が阻止され得る。

而して、粒子を除去された気流は、該筒胴の下
部位置で反転し、上昇気流となつて、排気管から
流出することとなる。

〈実施例〉 第１，２図は本考案に係るサイクロン集塵機を
示す。

ここで、１は筒胴であつて、その上端には第２
図に示すようにその内周面の接線方向に沿つて供
給管２が設けられ、前記筒胴１の下端には回収口
３が設けられて回収樋４に連通している。さらに
前記筒胴１の中心上方部には上下方向に沿つて排
気管５が設けられる。

前記筒胴１は、供給管２が固定されている直筒
胴６と、該直筒胴６に連続し、排気管５のほぼ下
端の高さ位置から下方へ拡径している拡径円錐部
７と、該円錐部７の下端に連続して下方へ縮径
し、下端に回収口３が形成された縮径円錐部８と
からなる。

また円錐部７，８間には回収室１１に連通する
回収スリツト１０が配設されている。

前記実施例の作用について説明する。

筒胴１の供給管２からは直筒胴６の内周面に接
線方向へ粉体を含有した気体（または液体）が送
給される。該気体は、前記直筒胴６の内周面に沿
つて旋回し、徐々に下降する。この気体内の粒子
は、旋回流動中においてその質量に比例する遠心
力と空気の下方流動に伴う送り方向の力を与えら
れ、この両者の力の合成力により、主として大粒
径のものから順次筒面側に衝突して摺動落下す
る。

ところで、筒胴１の中心には、縮径円錐部８の
下部位置から排気管２に至る反転気流を生じてお
り、粒子はその落下行程で、筒面からの反発によ
り、反転気流側に移行する。ところが、拡径円錐
部７の勾配による案内作用によつて、粒子は該筒
面に衝突しても、反転気流内への流入を阻止され
る。そして、最大拡径位置にある回収スリツト１
０から、その一部が分離排出され、回収室１１に
捕集される。

この捕集により、筒胴１内に滞留する粒子濃度
が低下する。そして、筒胴１内に残留する粒子は
縮径円錐部８に沿つて、さらに摺動落下し、回収
口３に連通する回収樋４に捕集される。このと
き、前記縮径により、反発粒子が、反転気流側に
近接してくるが、粒子濃度が低下し、かつ排気管
２から遠ざかつているために、筒面からの反発や
粒子間の衝突等による粒子の反転気流への流入が
可及的に阻止され得る。而して、回収スリツト１
０と回収口３からの回収量が高まり、捕集効率が
向上することとなる。

また前記回収スリツト１０による粒子濃度の低
下によつて、縮径円錐部８から回収口３に至る粒
子量が低減し、回収口３での粒子による閉塞が防
止される。

さらにまた前記拡径円錐部７により、流体の流
速が低下し、動圧が静圧に変換される。このた
め、流れのエネルギー損失が低下する効果も生じ
る。

かかる粒子が回収スリツト１０及び回収口３で
捕集された後、気体は筒胴１下部からその中心方
向へ反転し、前記筒胴１中心を垂直状に上昇して
排気管５から排出される。

〈効果〉 本考案は前記実施例で説明したように、筒胴１
に下流側へ拡径する拡径円錐部７と、縮径円錐部
８とを回収スリツト１０を介して連成したから、 ａ 拡径円錐部７により流体内の筒面に衝突した
粒子は、その拡径勾配による案内作用で下流へ
送られ、前記筒胴１の中心へ飛び込んで反転流
に乗つて排出管から筒外へ流出するのを可及的
に阻止され、かつその一部を回収スリツト１０
により分離回収されて、捕集効率が向上する。

ｂ 回収スリツト１０からの粒子の分離回収によ
り、粒子濃度が低下し、回収口３での粒子によ
る閉塞が防止される。

ｃ 前記拡径円錐部７により流速が低下して、エ
ネルギー損失が減少する。

等の優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したサイクロン型分離機
の縦断側面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線断面図、
第３図は従来のサイクロン型分離機の縦断側面図
である。 １……筒胴、２……供給管、３……回収口、５
……排気管、６……直筒胴、７……円錐部、８…
…円錐部、１０……回収スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断面円形筒胴の上端に、該筒胴の接線方向に沿
   つて供給管を設け、筒胴の下端開口を回収口と
   し、さらに前記筒胴の上部中心に上下方向に沿つ
   て排気管を設けてなるサイクロン分離機におい
   て、前記筒胴の主体部を、前記排気管下端の位置
   近傍から下方へ拡径する拡径円錐部と、該拡径円
   錐部の下端に連続して下方へ縮径する縮径円錐部
   とで構成すると共に、前記拡径円錐部と、縮径円
   錐部の間に、回収スリツトを配設したことを特徴
   とするサイクロン分離機。