JPS6326416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は増殖護岸、特に潮溜り利用の海洋生物
の増殖護岸に関するものである。

従来の護岸工は、海岸に加わる物理的な力に対
抗する事に全力を注いで来た。しかし、特に物理
的に大きな力がかからない内湾部や、港内におい
ても、消波効果と土止めのみを考えた護岸工がな
されているにすぎない。

護岸建設にあたつて特に海岸に生息する、多種
多様の生物の生態系は、全く考慮されていない場
合が大部分である。生物の立場より見れば、従来
の護岸工は、生態系をコンクリートで蹂りんして
いるものに他ならない。

ところで、天然海岸、特に磯や干潟は、有用水
産生物を含む、多くの生物の生活基盤であり、か
つまた繁殖の場所である。これらの“場”の存在
は、沖合かなたの生物群にまで影響を及ぼすもの
であり、従つてこれら生物群の一部を利用してい
る沿岸漁業にも貢献しているものである。

本考案の目的は護岸建設によつて磯や干潟に形
成される潮溜りを人工的に作りこれによつて水産
生物の増殖を行うようにした海洋生物増殖護岸を
得るにある。

本考案の海洋生物増殖護岸は一端にくぼみを形
成した筒状ブロツクを海浜等に多数前記くぼみが
上向きとなるよう斜めに傾斜した状態で積重して
成ることを特徴とする。

以下図面によつて本考案の実施例を説明する。

本考案においては第１図〜第３図に示すように
磯や干潟１にその一端に円柱状のくぼみ２を形成
した多角形の筒状ブロツク３を多数、前記くぼみ
２が上向きとなるよう斜めに傾斜した状態で積重
して護岸４となし、前記くぼみ２の最上段のもの
が満潮時海面より下方で最下段のものが干潮時海
面より高いレベルとなるようにして海洋生物増殖
護岸を構成せしめる。

本考案海洋生物増殖護岸は上記のような構成で
あるからくぼみ２内には常に海水がたまり、即ち
人工の潮溜りとなり下記のような効果が得られ
る。

ａ 浅く、日光の良く当る静隠な潮溜りは沿岸の
多くの種類のイソギンチヤク、小型甲殻類、各
種巻貝、フジツボ、カキ、イガイ等の水棲生物
にとつて、良好な棲み場所である。

ｂ 潮溜りの機能により幼魚・稚魚期の魚類にと
つて餌料生物となる水棲生物が産出され、その
結果、餌料要因により魚類が集まる。

ｃ 日光の良く当る浅い潮溜りはアマモ、ホンダ
ワラ類等の海草・海藻類にとつて良好な生息空
間である。潮溜り内は、干潮時、海中より隔離
されるのでその期間は、大型魚類による捕食を
受けない。

ｄ 潮溜り内に増加した付着生物や藻類による栄
養塩類の吸収及び有機懸濁物の除去がされ良好
な水質を維持することが期待出来る。

尚、本考案の他の実施例において第４図に示す
ように前記くぼみ２の内周面全面に幅10mm程度の
溝５を設ける。この実施例によればこの溝５によ
つて付着生物の付着が容易となる利益がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案海洋生物増殖護岸の断面図、第
２図はその側面図、第３図はその斜視図、第４図
は本考案の他の実施例を示す一部の断面図であ
る。 １……磯や干潟、２……くぼみ、３……ブロツ
ク、４……護岸、５……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端にくぼみを形成した筒状ブロツクを海浜等
   に多数前記くぼみが上向きとなるよう斜めに傾斜
   した状態で積重して成ることを特徴とする海洋生
   物増殖護岸。