JPS632321Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車のホイルに取り付けられるト
リムリング、すなわちホイルカバー等の一部を構
成するトリムリングの係止用クリツプに関する。

自動車のホイルに取り付けられたトリムリング
はその取り付けられた状態でホイールに対して容
易に回転するようなことがあつてはならない。す
なわち、急発進、急停車あるいは走行中の振動な
どによりトリムリング回転すると、タイヤのエア
バルブに接触してそれを変形させたり破損させて
しまう危険があるからである。このため、従来か
らトリムリングの回転を防止する構造として、ホ
イルのリム内面等にＬ字状に形成したトルクスト
ツパを溶接固着する一方、トリムリング側には前
記トルクストツパに係合するリテーナストツパな
る特別な小部片を固着する手段が採られている。
この手段によれば、トルクストツパをホイル上の
正確な位置に溶接するのに手間が掛ること、溶接
による局部的加熱に起因してホイルに変形を生ず
ること、あるいは、トルクストツパ並びにリテー
ナストツパの２部品を要しまたそれらの取り付け
のためコストアツプになることなどの問題があつ
た。

この考案のトリムリング係止用クリツプは、上
記の問題点を解消すると共にホイルに対するトリ
ムリングの装着状態を長期に亘り確実に保持させ
ることを目的として提案されたものであつて、ト
リムリングを自動車のホイルの側部にこれと同心
的に装着させるためのトリムリング係止用クリツ
プであつて、クリツプ本体の前端部にトリムリン
グの抜出しを阻止する上向きの係止爪を備え、か
つ、ホイルに対するトリムリングの円周方向の移
動を阻止するために、前記係合爪とは独立させて
クリツプ本体にその幅方向に延びる対をなす弾性
舌片を互に逆向きに傾斜させて設け、各弾性舌片
の先端を前記ホイルのリム内面に当接させるよう
に形成したことを特徴とする。また、別の実施態
様としては、前記弾性舌片をクリツプ本体と一体
に形成したもの、あるいは前記弾性舌片をその各
先端が上記ホイルのリム内面とほぼ平行になるよ
うに形成したものが挙げられる。

以下図面についてこの考案の実施例について説
明する。第１図において、１は弾性ある金属板等
で作られたこの考案の係止用クリツプの本体で、
その中間部は段状に折り曲げられて肩状部１ａに
形成されている。クリツプ本体１の後端はほぼ直
角に折り曲げられ固着縁部１ｂに形成され、ま
た、前端における両側部は下向きに適当に折り曲
げられ固定用脚片１ｃ，１ｃにそれぞれ形成さ
れ、前端の中央部は切り起されて上向きに突出す
る任意数の係合爪１ｄ，１ｄに形成されている。
前記の係合爪１ｄは一旦ホイル３に対して装着さ
れたトリムリング２の抜出し（第２図に示す装着
方向Ａと逆方向への抜出し）を阻止するためのも
のである。

１ｅ，１ｅはこの考案の主要部をなす一対の弾
性舌片で、ホイル３に対するトリムリング２の円
周方向の移動を阻止するものであり、係合爪１ｄ
とは独立させて設けてある。クリツプ本体にその
幅方向に延びる対をなす弾性舌片１ｅ，１ｅをそ
れぞれクリツプ本体１から離隔する方向に傾斜さ
せて設け、各弾性舌片１ｅの先端線１ｆはホイル
３の軸線方向にほぼ平行である。この図示例で
は、クリツプ本体１の下段部両側からそれぞれや
や上向きに傾斜させて一体に突出形成してある
が、第４図には、舌片部分だけを別の金属片で形
成した例を示した。すなわち、ばね鋼板など別の
金属片をクリツプ本体１に鋲止め５，５などの手
段で固設することにより形成してある。また、対
をなす２つの弾性舌片はそれぞれ別の係止用クリ
ツプに１つずつ設けることもできる。いずれにし
ても、一対の弾性舌片１ｅ，１ｅはクリツプ本体
１にその幅方向（後記のトリムリング２の円周方
向）に延出するように設けられ、両舌片１ｅ，１
ｅは互に逆向きになるように形成する。

このような係止用クリツプは、第２図及び第３
図に示すように、例えば、その固着縁部１ｂをト
リムリング２の外側周縁折返し部２ａに挾着し、
またその固定用脚片１ｃ，１ｃをトリムリング２
の内側周縁折返し部２ｂに挾着するなどしてトリ
ムリング２の円周方向の適当位置に固定されるも
のである。この考案の係止用クリツプは、第５図
に示すような弾性舌片を持たない適当数の従来タ
イプの係止用クリツプ４と共に１個または複数個
をトリムリング２に取り付けて、後に詳記するホ
イル３のリム内面３ｃとの間に摩擦を生じさせ容
易に回転しないようにするもので、例えば、第１
図または第４図に示す本案係止用クリツプ１個と
第５図に示す従来タイプのクリツプ４個を用いた
場合を説明すると、５個のクリツプはトリムリン
グ２の外周部に72゜の間隔をもつて取り付けて使
用するものであり、また、その場合、この考案の
クリツプ、すなわち回転防止機能を有するこの考
案のクリツプはタイヤのエアバルブ用切欠孔（図
示しない）と対向する位置に設けることが望まし
い。なお、使用するクリツプの全数をこの考案の
係止用クリツプとしてもよいことは勿論である。

上述のように、この考案の係止用クリツプある
いは従来のクリツプを取り付けたトリムリング２
は、第２図で矢印Ａ方向に押圧されてホイル３に
装着される。すなわち、係止用クリツプの肩状部
１ａがホイル３の周側下部３ａに当接し、また係
合爪１ｄ，１ｄがホイル３の内周に沿つて設けら
れた凹溝３ｂにその弾性を利して嵌り込み、もつ
てトリムリング２はホイル３に対して軸線方向に
移動すること阻止される。ここで、係止用クリツ
プの弾性舌片１ｅ，１ｅはその先端部を円筒状あ
るいは円錐台状をなすホイル３のリム内面３ｃに
弾性的に接触させるところとする。そして、対を
なす弾性舌片１ｅ，１ｅはクリツプ本体１の幅方
向に延び互に逆向きに設けられているので、急発
進あるいは急停車などにより、このクリツプを含
むトリムリング２がホイル３に対しいずれかの方
向に回転しようとした場合でも、いずれか一方の
舌片１ｅは回転方向に対して開くように作用する
が、他方の舌片１ｅはその先端線１ｆがリム内面
３ｃに食い込み全体として圧縮されるように作用
し、ホイル３の円周方向に撓むことにより弾力的
反発力を生ずる。これをもつてホイル３に対する
トリムリング２の両方向に対する回転が阻止され
るのである。各弾性舌片１ｅの先端線１ｆは、ト
リムリング２がホイル３に装着されたときリム内
面３ｃに対して直線的に当接するように、そのリ
ム内面３ｃとほぼ平行をなすように形成する。

なお、この考案の係止用クリツプと共に使用さ
れる従来タイプの係止用クリツプ４は、舌片１
ｅ，１ｅを除いてはこの考案のものとその基本的
構造が同じであつて、トリムリング２に対する固
定あるいはホイル３に対する係合について上記に
準じて行われるので、ここでは詳しい説明は省略
する。

以上に説明したこの考案のトリムリング係止用
クリツプによれば、ホイル３に対するトリムリン
グ２の円周方向の移動を阻止する弾性舌片１ｅ，
１ｅが、クリツプ本体１に対し、トリムリング２
の抜出しを阻止する係合爪１ｄとは独立して設け
てあるので、弾性舌片１ｅ，１ｅの先端線１ｆに
は、トリムリング２の円周方向の力のみが作用
し、係合爪１ｄが受けるトリムリング２の軸線方
向、すなわち抜出し方向の力は作用しないことに
なる。従つて、弾性舌片１ｅ，１ｅの先端線１ｆ
は、一方向のみの作用を受け、疲労による折損の
恐れがないばかりか、摩耗の状態が安定するとこ
ろとなつて、トリムリング２の装着位置は長期に
亘つて当初の位置に確実に保持されるところとな
る。また、この考案によれば、トリムリング２の
ホイル３に対する取り付けにおいて、係止用クリ
ツプ以外の別の部品を必要とせず、従つてホイル
３に溶接することも要しないので、コストダウン
が達成できるのみならず、ホイル３に変形も生じ
ないなど実用上極めて有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のトリムリング係止用クリツ
プの一実施例を示す斜視図、第２図はその使用状
態を示す縦断部分側面図、第３図はその平面図、
第４図はこの考案の別の実施例を示す斜視図、第
５図はこの考案の係止用クリツプと共に使用され
る従来タイプの係止用クリツプの斜視図である。 １……クリツプ本体、１ｅ……弾性舌片、１ｆ
……舌片の先端線、２……トリムリング、３……
ホイル、３ｃ……リム内面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ トリムリング２を自動車のホイル３の側部に
   これと同心的に装着させるためのトリムリング
   係止用クリツプであつて、クリツプ本体１の前
   端部にトリムリング２の抜出しを阻止する上向
   きの係合爪１ｄを備え、かつ、ホイル３に対す
   るトリムリング２の円周方向の移動を阻止する
   ために、係合爪１ｄとは独立させてクリツプ本
   体１にその幅方向に延びる対をなす弾性舌片１
   ｅ，１ｅをそれぞれクリツプ本体１から離隔す
   る方向に傾斜させて設け、各弾性舌片１ｅの先
   端線１ｆはホイル３の軸線方向にほぼ平行であ
   り、この先端線１ｆをホイル３のリム内面３ｃ
   に当接させるように形成したことを特徴とする
   トリムリング係止用クリツプ。 ２ 弾性舌片１ｅ，１ｅをクリツプ本体１と一体
   に形成したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のトリムリング係止用クリツ
   プ。