JPS6323069B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、静電気対策を施した制電型貯蔵タン
クに関し、特に、内面が絶縁性材料からなる固定
屋根式タンクに於て、固有抵抗値の高い液体を受
入れる際に発生する静電気をタンク外に導きタン
ク内容液の帯電を防止するようにしてある制電型
貯蔵タンクに関する。

＜従来の技術＞ 従来から固有抵抗値の高い液体を貯蔵タンクに
受入れまたは貯蔵タンクからそのような液体を払
出す際に静電気が発生し種々の事故を招くことが
あつた。特に可燃性の液体を取扱う際に爆発、火
災等の事故を起こすことがあるために石油化学工
業等に於いて極めて重要な問題となつている。

そこで受入れ流速を下げ、かつ液の噴出を避け
るために、入口からタンク内部に向けて拡径され
たインナーパイプ等を介して液体を受入れたり、
輸送中に於ける水分や空気の混入を避けたり、フ
イルターを用いる場合には、フイルターの位置を
タンクの入口から遠ざけるなど様々な静電気の発
生を仰制する対策がとられてきた。しかし、静電
気の発生を完全に抑制することが極めて困難であ
り、一旦発生した静電気を除電させるために極め
て長時間貯蔵液を放置する必要があつた。

特に錆によるタンク内容液の汚れ及びタンク材
料の腐触などを防止するためにタンクの内面に絶
縁性材料が塗布してある場合や、タンク自体が絶
縁性材料からなる場合には、内容液中の電荷がタ
ンク内に留まる時間が長くなり静電気対策が特に
困難となる。

タンク内面の塗装を導電性材料により行ないタ
ンク内の静電気をタンク側板または底板を通して
接地する方法もあるが塗装材料が高価でありまた
塗装後の検査が困難であるなどの欠点がある。

またタンク内下部に設けたインナーパイプなど
を介して静電気を外部に導く方法が容易に孝えら
れるが、タンク内液面が上昇した場合には十分な
効果が期待できない。

＜発明が解決しようとする問題点＞ このような、内面が絶縁性材料からなる固定屋
根式タンクに於ける静電気対策が困難である点に
鑑み、本発明の主な目的はこのようなタンクに於
ける有効な静電気対策を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本発明のこのような目的は、絶縁性材料からな
る内面を有する固定屋根式貯蔵タンクに於て、前
記タンクの内部に電気的導体からなる部材を該タ
ンクの屋根と底板との間に架設された支柱に沿つ
て上下方向に延設し、その上下端のうち少なくと
も一端を前記タンクの屋根または底板に電気的に
接続することによつて接地してあることを特徴と
する制電型貯蔵タンクを提供することにより達成
される。

＜作用＞ このように、既存の部材を有効に活用して貯容
液の液面に関わらず、また液体の受入れ時から払
い出し時に至るあらゆる時点で効果的な除電・制
電作用を得ることができる。

以下本発明の好適実施例を添付の図面について
詳しく説明する。

第１図には本発明に基づく２種類の静電気対策
を施したタンクの内部が図式的に示されている。

本発明は、任意の形式のタンクに応用可能であ
るが、本実施例のタンクは、円錐形の固定式屋根
を有するいわゆるコーンルーフタンクである。タ
ンク自体は、炭素鋼からなつており、防錆のため
に、非導電性塗料により内面が塗装されている。

金属製のタンク１の内部に設けられた複数の支
柱２に沿つてフラツトバー３が延設されている。
この支柱２は屋根１ａを支持するためのものであ
つて、１本のみ用いられる場合もあるが、周方向
に沿つて多数設置されるのがより一般的である。
フラツトバー３はステンレス鋼からなるものであ
る。このフラツトバー３の上端３ａはタンクの屋
根１ａにまたフラツトバー３の下端３ｂはタンク
の底板１ｂにそれぞれ電気的に接続されている。

タンク１の内面及び支柱２には絶縁性材料の塗
料が塗布されているが、このフラツトバー３の金
属面は露出しているために、このフラツトバー３
により電荷がタンク１の側板１ｃを介して接地線
４へと導かれるようになつている。このような構
成を複数の支柱についてとると良い。このよう
に、要所に接地用導体（フラツトバー３）が配置
されていることにより、貯容液の除電及び帯電防
止を効果的に行うことができる。

またこのタンクには、ステンレス鋼からなるサ
ンプリングウエル５がサポート６及び７によりタ
ンクの側板１ｃに固定されている。このようなサ
ンプリングウエル５は、地盤沈下、内容液の充填
等に伴うタンク１の側板１ｃの変形に際して、タ
ンク１の屋根１ａ及び底板１ｂに過大な応力を及
ぼさないようにする配慮から、タンク１の屋根１
ａ及び底板１ｂからは分離されている。

また、同様の配慮から、サポート６，７も、単
にサンプリングウエル５を支承するのみで、サポ
ート６，７とサンプリングウエル５との間の電気
的導通を必ずしも期待することができない。

そこでその上端部が同じくステンレス鋼からな
る板材８ａをもつてタンク１の屋根１ａにまたそ
の下端部も同じくステンレス鋼からなる板材８ｂ
をもつてタンク１の底板１ｂにそれぞれ電気的に
接続してある。従つて、この場合も前記実施例の
場合と同様に、内容液中の電荷はサンプリングウ
エル５を介してタンク１の側板１ｃに導かれ更に
接地線４へ導き出されることとなる。

一般にこのようなタンクに於ては内容液の流動
に伴い静電気が発生することは避けられないが、
本発明に基づく構成により一旦発生した電荷を確
実かつ迅速にタンクの外へ導き出すことにより静
電気による爆発、火災等の事故を効果的に防止す
ることができ産業の安全が確保され、これら災害
により発生するであろう損失をも未然に防止する
ことができる。

特に、本発明に基づく構成は、構造が簡単なた
め製作費が安価であり、既設のタンクにも容易に
取付けることが可能である。

また、タンク内への液の導入速度や導入方法に
ついての制約を受けることがなく、最も経済的な
操作条件を選ぶことができる。

更に、本発明は、タンク内容液の受入れ及び払
い出しによつて液面が変動しても、その効果には
影響がない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に基づく２種類の静電気対策を
施した金属製タンクの内部を示す図式的縦断面図
である。第２図は第１図の―線について見た
横断面図である。 １…タンク、１ａ…屋根、１ｂ…底板、１ｃ…
側板、２…支柱、３…フラツトバー、４…接地
線、５…サンプリングウエル、６，７…サポー
ト、８ａ，８ｂ…板材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 絶縁性材料からなる内面を有する固定屋根式
   貯蔵タンクに於て、前記タンクの内部に電気的導
   体からなる部材を該タンクの屋根と底板との間に
   架設された支柱に沿つて上下方向に延設し、その
   上下端のうち少なくとも一端を前記タンクの屋根
   または底板に電気的に接続することによつて接地
   してあることを特徴とする制電型貯蔵タンク。