JPS6318066Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は弦楽器の弦の振動を電気信号に変換
する電磁型ピツクアツプ装置に関する。

周知のように弦楽器用の電磁型ピツクアツプ装
置は、弦楽器の弦に対向させて配置されるマグネ
ツトと電磁コイルとを備えており、弦が振動した
ときにマグネツトにより作られる磁気回路の磁束
の変化を電磁コイルにより電気信号として取出す
ようにしたものである。ところで、一般的なこの
種の電磁型ピツクアツプ装置は、その応答周波数
が１〜5KHz以下であつて、それ以上の周波数の
音を拾い難いという特性があり、これをそのまま
使用した場合に、増幅してスピーカから発音され
る音がこもつて聞こえるという特性がある。この
ような特性を有するピツクアツプ装置は、こもつ
た音、丸みのある音が好まれるエレキギターに用
いて好適であるが、高域音がクリアーであること
が要求されるフオークギター等の生ギターには適
していない。したがつてこの種のピツクアツプ装
置を生ギターに用いる場合には、ピツクアツプの
出力をそのまま増幅して発音させるのではなく、
ピツクアツプの出力の高域をプリアンプにおいて
ブーストするようにしている。

そして、従来ピツクアツプ、プリアンプ等から
なる弦楽器用ピツクアツプ装置を生ギターに取付
ける方法としては、例えば第１図に示すように、
生ギターＡの響胴１に形成されたサウンドホール
２の外周木口部３に支持棒４，４……を介して電
磁型ピツクアツプ５を取付け、響胴１の側板６等
の内面に高域ブースト用のプリアンプ７、プリア
ンプ７の出力を取出すジヤツク８、プリアンプ７
に電力を供給する電池９等を取付ける方法が提案
されている。しかしながら、このように上記の部
材を生ギターに取付けた場合には、響胴の側板等
に上記の各部材を取付けるための孔を開けたり、
また響胴内部においてプリアンプ等が一定の空間
を占有することになるため、響胴の振動形態が本
来あるべき形態でなくなることになり、加えてピ
ツクアツプとプリアンプとの間のリード線を引き
廻すことになるため外部からのノイズを拾い易く
なり、これらによつて音質が劣化する不都合が生
じる。

また、ピツクアツプ装置の各部材の取付方法と
して、上記の方法とは別に、響胴に形成されたサ
ウンドホールの外周木口部に板体等からなるピツ
クアツプ固定台を取付け、この固定台の表面に弦
に対向するようにピツクアツプを取付け、同固定
台の裏面にプリアンプ等を取付ける方法も考えら
れる。しかしながら、この方法においては、ピツ
クアツプ固定台が外部に露出するため外観的に難
点が生じ、かつ固定台と各部材との組立が面倒で
あるため製作コストが高くなる等の欠点がある。

この考案は上記の事情に鑑み、音質の劣化を来
たすことがなく、弦楽器の外観を損ねることもな
く、しかも製作が容易で安価に得られるプリアン
プを備えた弦楽器用電磁型ピツクアツプ装置を提
供するもので、電磁型ピツクアツプとプリアンプ
とを絶縁性の合成樹脂にて一体的にモールド成型
してなるものである。以下、この考案の実施例を
図面を参照して説明する。

第２図ないし第５図はこの考案の一実施例を示
す図であり、これらの図において符号１１は電磁
型ピツクアツプ、１２はプリアンプ、１３は合成
樹脂製の筐体である。

ピツクアツプ１１は、２つのボビン１４，１５
を用いて構成されたものである。一方のボビン１
４には、その中央部に列設された６個の孔内にヨ
ーク１６ａ〜１６ｆが挿入配置され、その外周部
に形成されたコイル巻回溝１７にコイル１８が巻
回されている。また他方のボビン１５には、その
中央部の６個の孔内にポールピース２０ａ〜２０
ｆが挿入配置され、その外周部のコイル巻回部２
１にコイル２２が巻回されている。この場合ボビ
ン１５の上面には、ポールピース２０ａ〜２０ｆ
の頭部を囲繞するように突出部２３が形成されて
いる。また、ポールピース２０ａ〜２０ｆは、各
下端部がボビン１５の下面に固定された高導磁率
材料からなる保持部材２４に螺着されており、回
動によりその頭部の位置が調整できるようになつ
ている。上記の各部材が装着されたボビン１４，
１５は互いに平行状態に結合され、固定されてい
る。そしてこれらボビン１４，１５の下面には、
磁極をヨーク１６ａ〜１６ｆの各下端部と保持部
材２４とに接触させてマグネツト２５が固定され
ている。また上記コイル１８，２２はリード線２
６によつて直列に接続されている。

上記の構成からなるピツクアツプ１１は、その
下端面がシヤーシ板２７に固定されている。

また、プリアンプ１２は、上記のピツクアツプ
１１の出力信号の高域をブーストさせるもので、
例えば第５図に示すような高域ブースト回路３０
と、この回路３０に電力を供給する電池３１とを
ケース３２内に内蔵させてなるものである。

このプリアンプ１２は、そのケース３２が上記
シヤーシ板２７に固定されており、リード線３３
ａ，３３ｂを介してピツクアツプ１１と電気的に
接続されている。またこのプリアンプ１２には出
力を取出すためのコード３４が取付けられてお
り、コード３４の先端にはプラグ３５が取付けら
れている。

そして、上記の各部材は、ポールピース２０ａ
〜２０ｆの頭部が配置されているボビン１５の突
出部２３の内方と同ポールピース２０ａ〜２０ｆ
の下端部とを外部に露出させ、かつコード３４を
外部に導出させた状態で合成樹脂製の筐体１３に
より覆われている。

このピツクアツプ装置を製作する方法として
は、予め上述したようにピツクアツプ１１とプリ
アンプ１２とをシヤーシ板２７上に固定し、そし
てこれらと合成樹脂とを一体的にモールド成形す
るのである。このようにして作られたピツクアツ
プ装置は、合成樹脂からなる筐体１３内にピツク
アツプ１１、プリアンプ１２等が埋設された形と
なる。

そして、このピツクアツプ装置は、第２図に示
すように、ヨーク１６ａ〜１６ｆおよびポールピ
ース２０ａ〜２０ｆを弦楽器の弦４０ａ〜４０ｆ
に対向させて使用されるもので、ピツクアツプ１
１が弦４０ａ〜４０ｆの振動に応じた電圧をコイ
ル１８，２２に出力し、プリアンプ１２が同出力
の高域成分をブーストする。そしてプリアンプ１
２の出力はプラグ３５から取出される。

このピツクアツプ装置の使用に際して、これを
弦楽器に取付ける方法としては、この装置を第１
図に示すように支持棒を介して弦楽器のサウンド
ホール外周木口部に取付ければよい。このように
して使用すれば、ピツクアツプ装置が弦楽器の響
胴の音響特性を変化させることがなく、弦楽器本
来の演奏者を捕捉することができる。

ところで、上記の実施例においては、プリアン
プ１２の電源を構成する電池３１をプリアンプ１
２のケース３２内に配置するようにしたが、同電
池３１をプリアンプ１２の外部に出し、筐体１３
を構成する合成樹脂の内部に配置するようにして
もよく、また更に、第６図に示すようにプリアン
プ１２に電力を供給するリード線４１ａ，４１ｂ
をプリアンプ１２および筐体１３から外部に導出
させ、リード線４１ａ，４１ｂの先端に取付けた
ジヤツク４２に電池を取付けるようにしてもよ
い。

以上説明したように、この考案によれば、電磁
型ピツクアツプとこのピツクアツプの出力の高域
成分をブーストするプリアンプとを絶縁性の合成
樹脂にて一体的にモールド成型したから、これを
例えば弦楽器のサウンドホール外周木口部に取付
けて使用すれば弦楽器の響胴の音響特性を劣化さ
せることなく演奏音を捕捉することができ、かつ
コンパクトな形状とすることができるので弦楽器
の外観を損ねることがないという効果が得られ
る。また製作が容易で安価に提供できる等の効果
も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電磁型ピツクアツプ装置を弦楽
器に取付けた状態を示す図、第２図ないし第５図
はこの考案の一実施を示す図であつて、第２図は
電磁型ピツクアツプ装置の一部断面視した平面
図、第３図は第２図−線視断面図、第４図は
同装置の一部断面視した正面図、第５図はプリア
ンプとその電源との回路図、第６図はこの考案の
別の実施例として示した電磁型ピツクアツプ装置
の一部断面視した平面図である。 １１……電磁型ピツクアツプ、１２……プリア
ンプ、１３……筐体、３１……電池、４１ａ，４
１ｂ……リード線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 弦楽器の弦の振動を電気信号に変換する電磁
   型ピツクアツプとこの電磁型ピツクアツプの出
   力信号を処理するプリアンプとを絶縁性の合成
   樹脂にて一体的にモールド成型してなる弦楽器
   用電磁型ピツクアツプ装置。 ２ 上記プリアンプの電源を電池で構成し、この
   電池を上記プリアンプの内部またはモールド成
   型された合成樹脂の内部に配置してなる実用新
   案登録請求の範囲第１項記載の弦楽器用電磁型
   ピツクアツプ装置。 ３ 上記プリアンプに電力を供給するリード線を
   上記プリアンプおよびモールド成型された合成
   樹脂から外部へ導出させてなる実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の弦楽器用電磁型ピツクア
   ツプ装置。