JPS6314909Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は各種の蒸留塔、吸収塔、冷却塔、放散
塔等の気体間や液体間あるいは気液間の流体接触
装置に使用される流体接触用充填物に関するもの
である。 （従来の技術） 蒸留塔、吸収塔、冷却塔、放散塔等の流体接触
装置には、各種の気体と気体、液体と液体あるい
は気体と液体等の流体の接触効率を高めるための
流体接触用充填物が使用されているが、従来のこ
の種流体接触用充填物としては、セラミツクス、
ガラス、合成樹脂あるいは金属等よりなるペレツ
ト状、円筒状、板状その他の形状で塔内へ不規則
的に充填されるものと、格子状、ハニカム状その
他の形状で塔内へ規則的に充填されるものとが一
般に使用されている。 （考案が解決しようとする問題点） ところが、従来のペレツト状、円筒状、板状等
の流体接触用充填物は塔内への充填をランダムに
行うことができる利点はあるが、この流体接触用
充填物を接触塔内にランダムに充填して例えば気
液接触に用いた場合、塔内を上方より流下する液
体と下方より上昇する気体とが流体接触用充填物
に沿つて複雑に向流接触をして気液の接触効率が
向上するとはいうもののランダムに充填されてい
る従来の流体接触用充填物により形成される接触
用充填物層は、流路の一部がガスおよび液流れの
軸線方向とほぼ直角になり、流体接触用充填物の
外壁部にガスおよび液が衝突することとなる。こ
のため液が流体接触用充填物の外壁部上に溜りや
すくなるうえにガスが下方から上昇するときに前
記した外壁部に衝突して圧力損失が上昇し、この
ためさらに流路内を液やガスが通過しにくくなる
ので、流体同志の接触効率が低下するという欠点
があつた。また、流体接触用充填物が貫通孔を有
する格子状、ハニカム状等で規則的に充填される
ものについては、一般的に液やガス流れの軸線に
対して貫通孔がほぼ平行に設置されるため、圧力
損失はペレツト状等のものに比べて低くなつても
液とガスの衝突する頻度が少なくなり、ガスの吹
き抜け現象が一部発生して気液接触効率が低下
し、また、塔内への充填を規則的に行わなければ
ならないので、充填作業に手数を要する欠点もあ
る。そこで、本出願人は隔壁により区画された多
数の平行な貫通孔を有する蜂巣状のブロツク体の
前記貫通孔の開口に面する少なくとも一端面を該
貫通孔の軸線方向に直交しない面とすることによ
り前記のような欠点をなくした実願昭57−185458
号に係る流体接触用充填物を先に出願し、その後
の実験結果からも有効であることが確認されてい
るが、用途によつてはさらに接触流体の圧力損失
が少なく、接触効率を高めることが必要で、より
性能のよい流体接触用充填物が要望されている。 （問題点を解決するための手段） 本考案は前記の先願の流体接触用充填物に改良
を加えることによつて前記のような要望に応えよ
うとするものであつて、隔壁により区画された多
数の平行な貫通孔を有するブロツク体の前記貫通
孔の開口に面する少なくとも一端面を該貫通孔の
軸線方向に直交しない面に形成するとともに相隣
る貫通孔を前記隔壁に設けた連通口をもつて連通
させたことを特徴とするものである。 （実施例） 次に、本考案を図示の実施例について詳細に説
明すれば、１は隔壁２により区画された多数の平
行な貫通孔３を有する外形が多角形のハニカム構
造のブロツク体で、該ブロツク体１はムライト、
アルミナ、シリカ、コージライト等のセラミツク
ス材よりなり、前記貫通孔３の開口に面する複数
の端面のうち少なくとも一端面は該貫通孔３の軸
線方向に直交しない面４に形成されている。すな
わち、第１図〜第７図に示した第１〜第３の実施
例では、ブロツク体１が縦40mm、横40mm、高さ40
mmの18面体で、該ブロツク体１には直径が８mmの
断面円形の貫通孔３が12個均斉に配設され、該貫
通孔３の開口に面する10個の端面のうち上下の対
向位置にある２個は該貫通孔３の軸線方向に直交
する面５に形成されているが、各面５に続く各４
個計８個の端面は該貫通孔３の軸線方向に対し約
45度傾斜させて前記貫通孔３の軸線方向に直交し
ない面４に形成され、各面４は前記面５より面積
が大きいものとされている。他方、第８図に示す
第４の実施例におけるブロツク体１は隔壁２の肉
厚0.8mmで一辺の長さを９mmとする断面正方形状
の貫通孔３が12個形成された縦42mm、横42mm、高
さ42mmの18面体であつて、該貫通孔３の開口に面
する10個の端面のうち面積が大きくて該貫通孔３
の軸線方向に対し約35度傾斜している８つの端面
をいずれも貫通孔３の軸線方向に直交しない面４
に、また、面積の小さい残りの２つの端面を貫通
孔３に直交する面５，５としている。さらに、各
実施例とも該ブロツク体１の18面のうち隔壁２の
表面をもつて形成される４つの側面とこの側面間
に隔壁２のエツジ部をもつて形成される４つの側
面はいずれも貫通孔３の軸線方向と平行する面と
し、この面はいずれも前記した貫通孔３の軸線方
向に直交しない面４より面積を小さいものとして
いる。なお、ブロツク体１の材質や形状、大きさ
や隔壁２の厚さ或いは貫通孔３の軸線方向に直交
しない面４の該軸線方向に対する傾斜度等は特に
限定さるものではないが、流体により腐蝕し難い
という点においてブロツク体１としてはセラミツ
クス材がガラスや合成樹脂、金属等より好まし
く、また、貫通孔３の軸線方向に直交しない面４
の数も１個よりは複数個あることが好ましいの
で、ブロツク体１は８面体以上の多角形のハニカ
ム構造として貫通孔３の軸線方向に対する面４の
傾斜度も30〜70度程度好ましくは45度前後とする
のが一般的である。６は相隣る貫通孔３，３を連
通させるために前記隔壁２に設けられる連通口で
あつて、該連通口６は第１〜第３の実施例に示す
ようにスリツト状としても第４の実施例に示すよ
うに円孔としてもそれ以外の形状としてもよく、
また、スリツト状とする場合でも隔壁２の一端か
ら他端に亘り連続させるように形成しても途中ま
で形成してもよく、要は相隣る貫通孔３，３を連
通させるものであればよいものである。なお、連
通口６は必ずしも全ての隔壁２に設ける必要はな
く、耐圧強度等を考慮して必要なだけ設ければよ
い。 （作用） このように構成されたものは、流体接触塔内に
多数個をランダムに充填して使用した場合、ブロ
ツク体１は隔壁２により区画された多数の平行な
貫通孔３を有するものであるうえに該ブロツク体
１の前記貫通孔３の開口に面する少なくとも一端
面が該貫通孔３の軸線方向に直交しない面４に形
成されているので、多数のブロツク体１をもつて
形成される流体接触用充填層には各ブロツク体１
の貫通孔３と各ブロツク体１，１間の隙間とによ
つて三次元的に連続した網目状の流体通路が形成
され、その結果、流体の流れが複雑に入り乱れて
衝突効果が向上し、屈曲しながら上昇、下降する
ために気液接触効率が向上するとともに流体の分
散性が向上して均一な接触操作が得られる。しか
も、ブロツク体１の相隣る貫通孔３が隔壁２に配
設された連通口６により連通されているので、前
記流体通路はより複雑な構造となつて流体接触効
率はさらに向上し、また、流体が各貫通孔３の端
部に均等に送られなかつた場合でも貫通孔３を通
過する間に連通口６を通じ各貫通孔３に流体が均
等に分散されることとなり、この連通口６から他
の貫通孔３へ分散される際に流体接触効率がさら
に高められるうえに各貫通孔３へ均一に流体を分
散させるための分散装置を塔内に設置する必要も
なく、さらに、接触流体の圧力損失も連通口６を
設けない場合の約70％程度まで減少する。しか
も、貫通孔３の軸線方向に直交しない面４を有す
るブロツク体１はその外壁面が流体の流れに対し
て殆どが傾斜した状態で流体接触塔内に充填され
ることとなるため、下方のブロツク体１の貫通孔
３を通過する流体の上昇が上方のブロツク体１の
外壁部により妨げられることなくほぼ均等に貫通
孔３内を通過することになり、圧力損失が低い値
で安定するうえ流体の分散性も良くなり、塔内で
の均一な流速分布が得られ、また、塔内への充填
作業についても規則充填物の如き手間もかからず
容易に充填できる。 次に、前記第１の実施例に記載した本考案に係
る流体接触用充填物の多数個を流体接触塔中に層
厚が300mmとなるように充填して該流体接触塔の
下部よりNH₃1000ppmを含む空気を流入し、上
部より水を6000Kg／cm²Hr流下して気液向流接触
を行つた時の圧力損失およびNH₃吸収効率を従
来の磁器製ラシヒリング充填物を用いたものや前
記先願のものと比較測定した結果を下表に示す。

【表】

【表】 上表によれば本考案は従来の磁器製ラシヒリン
グ充填物に比べて圧力損失が約1/4以下となり、
吸収効率が７〜８％向上することが確認されたば
かりでなく、前記先願のものに比べても一層効果
的であることが確認された。 （考案の効果） 本考案は前記説明から明らかなように、隔壁に
より区画された多数の平行な貫通孔を有するブロ
ツク体の前記開口に面する端面が貫通孔の軸線方
向に直交しない面に形成されているのみならず、
相隣る貫通孔同志を隔壁に設けた連通口によつて
連通させたので、接触流体の圧力損失が極めて少
ないうえに流体の接触効率は高く、しかも、流体
の吹き抜け現象も少ないもので、構造が簡単で量
産が容易なうえに塔内への充填作業に手間を要さ
ない等種々の利点があり、従来の流体接触用充填
物の欠点を除いたものとして実用的価値極めて大
なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例を示す斜視図、
第２図は同じく正面図、第３図は同じく第２図の
Ａ−Ａ矢視図、第４図は本考案の第２の実施例を
示す正面図、第５図は同じく第４図のＢ−Ｂ矢視
図、第６図は本考案の第３の実施例を示す正面
図、第７図は同じく第６図のＣ−Ｃ矢視図、第８
図は本考案の第４の実施例を示す斜視図である。 １：ブロツク体、２：隔壁、３：貫通孔、４：
貫通孔の軸線方向に直交しない面、６：連通口。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 隔壁により区画された多数の平行な貫通孔を
   有するブロツク体の前記貫通孔の開口に面する
   少なくとも一端面を該貫通孔の軸線方向に直交
   しない面に形成するとともに相隣る貫通孔を前
   記隔壁に設けた連通口をもつて連通させたこと
   を特徴とする流体接触用充填物。 ２ ブロツク体が隔壁により区画された多数の平
   行な貫通孔を有する多角形のハニカム構造のも
   のである実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   流体接触用充填物。 ３ ブロツク体がセラミツクス材よりなるもので
   ある実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項記載の流体接触用充填物。