JPS6314482Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は方形断面の２個の両側の導波管の間
に１個もしくはそれ以上のリング状の方形導波管
から成る共振器が配置されており、これらの共振
器相互、および共振器と２個の両側の導波管との
共通壁において、複数のスロツトを有し方向性結
合器として作用する分岐導波管によつて結合され
ているようなマイクロ波および準ミリ波用のリン
グ状共振器型分波器の共振周波数を任意に設定で
きるようにしたものである。

第１図および第２図は従来の分波器の部品構成
図を示している。図において、Ｕ字形に構成され
た方形導波管１，２の間にブロツク３に構成され
たリング状の方形導波管からなる共振器４が配置
されており、この共振器４と上下５，６のブロツ
クのＵ字形導波管１，２との間には結合板７に複
数のスロツトで形成される分岐導波管８が方向性
結合器として配置されている。またブロツク３に
構成された２個の共振器４の間には結合孔９が方
向性結合器として配置され、また共振器４内には
その円周を共振器の内壁４ａとする円柱状の中心
導体が設けられている。分波器としての動作は従
来から知られているように入力端Ａから広い周波
数帯域をもつた電磁波が入射し、この入射電磁波
のうち、リング状共振器４に共振する一部の周波
数帯域の電磁波は共振器４と分岐導波管８により
結合されて出力端Ｃに現われ、残りの周波数帯域
の電磁波は共振器とは結合せず、出力端Ｂに現れ
るものである。通常、電磁波が出ない部分には無
反射終端器１０が内蔵されている。共振器４の共
振管内波長λ_g0はこの共振器を構成するリング状
方形導波管の平均直径Ｄ、その縦方向断面の内壁
４ａ、外壁４ｂの間の距離Ｌとの間に次の関係が
ある。

ｎ・λ_g0＝π・Ｄ (1) ここで、ｎ：整数、λ₀：λ_g0に対応する自由空
間波長である。このように共振管内波長はリング
状の方形導波管の平均直径Ｄ、およびその縦方向
断面の内壁４ａ、外壁４ｂ間の距離Ｌによつて決
まり、従つて共振周波数もこれに伴つて決まる。

このようなリング状共振器型分波器はその低損
失特性に特長があり、準ミリ波、ミリ波通信に適
するものであるが、入射電磁波が非常に広帯域で
ある場合には、希望の共振次数 ｎ＝Ｎ (3) の他に、高次または低次の共振次数 ｎ＝Ｎ−１ または Ｎ＋１ (4) の時にも第(1)式を満足する管内波長が上記の帯域
内に入つてきて、希望共振周波数の他に低次また
は高次の共振周波数も分岐することになる。この
ため、リング状方形導波管の平均直径Ｄは第(4)式
による共振周波数が使用帯域外となるように、小
さい値を選ぶ必要がある。例えば、周波数帯域が
17.7〜21.2GHzの場合には希望共振周波数が21.0G
Hzの時に低次の共振周波数が帯域内に入らないよ
うにするためには、 ｎ＝３ とする必要があり、この場合にはリング状共振器
４の内壁４ａの直径は約３mm、また分岐導波管８
となるスリツトの幅は最も狭くなる中心部で約
0.15mmとなる。このように寸法が小さくなつてく
ると従来の部品構成ではこの分波器を両側導波管
１，２方向に貫通する位置決め用のノツクピン１
１は細くしなければならなくなり、その結果、ブ
ロツク５，３，６および結合板７を高精度で組立
てることができなくなり、また分岐導波管８とな
るスリツトの中心部の寸法は非常に小さくなり加
工できなくなるという欠点があつた。

この考案はこのような点にかんがみてなされた
もので、加工および組立が確実にできるリング状
共振器型分波器を提供するものである。

以下第３図および第４図に示すこの考案の一実
施例について説明する。第３図はこの考案による
共振器をとりだして、製作手順を示したものであ
る。第３図において１２はリング状共振器および
分岐導波管を含むブロツク、１３は分岐導波管と
なるスリツト、１４は中心部の穴、１５はブロツ
ク１２の中心部の穴１４に圧入固着し内壁４ａと
なる金属棒である。第４図は第３図に示す共振器
４を用いた分波器の部品構成を示す図である。

第３図に示す共振器４の構造にすることによ
り、分岐導波管８となるスリツト１３は中央部の
穴１４があるため幅の狭い部分まで精度よく加工
できる。これらの加工はワイヤカツト放電加工に
より容易に実施できる。また、共振器４の内壁４
ａは、中央部の穴１４に精度よく加工された金属
棒１５を圧入固着することにより形成できる。ま
たブロツク５，１２，６および複数の結合孔９を
有する結合板１６を高精度で組立てるための位置
決め用のノツクピン１１は共振器４の外側にもつ
てくることにより、何ら問題は生じない。

以上のようにこの考案によれば、共振次数の小
さいリング状共振器４および分岐導波管８となる
幅の狭いスリツトを高精度で確実に加工、組立で
きる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のリング状共振器型分波器の部品
構成を示す斜視図、第２図は従来の一実施例を示
す断面図、第３図はこの考案による共振器の一実
施例を示す斜視図、第４図はこの考案によるリン
グ状共振器型分波器の部品構成を示す斜視図であ
る。 図中、１，２は方形導波管、４はリング状共振
器、８は分岐導波管の方向性結合器、９は多孔結
合の方向性結合器、１２は共振器と分岐導波管の
スリツトを含むブロツク、１５は共振器の内壁と
なる金属棒である。なお図中、同一あるいは相当
部分には同一符号を付して示してある。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 方形断面の２個の両側の導波管の間に１個もし
   くはそれ以上のリング状の方形導波管から成る共
   振器が配置されており、この共振器相互および共
   振器と２個の両側の導波管との共通壁において複
   数のスロツトを有し、方向性結合器として作用す
   る分岐導波管によつて結合されているような分波
   器において、共振器と分岐導波管の１組を一体と
   し、共振器の内壁となる金属棒を圧入固着する穴
   と上記スロツトを連続加工した後、金属棒を圧入
   固着して共振器と分岐導波管を形成したことを特
   徴とするリング状共振器型分波器。